“深淵唱詩”

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1:アビス◆wc:2017/10/12(木) 06:11

思いついたら取りあえず書く事に決めた(センスは皆無)。

電柱から覗く君は誰だろか?
私はコソリと確かめゆく
けれども何時もシュッパイする

今日も君はシャッテン延びる電柱から私を見ている
そんな所で見てないで早くお入りよ
けれども君は首を横に振る

レーゲン降る日も
シュタルカー・ヴィント吹く日も
君は只私を柱から覗くだけ

何故かと私は君に聞いた
君は口を開いた
“だって僕はゲシュペンストだから”

2:アビス◆wc:2017/10/12(木) 08:23

誰かに突き落とされ水底に沈んだ私の躰を魚が食む

先ずは皮を剥がされる
血は溢れ水は紅に染まり更に魚が集まり私を食む

食まれて穴の空いた躰に魚がぬらりと入り次にはらわたを荒らされる
美味しいかい?私の躰は?
魚に聞いた
魚は答えた
“美味しくはない 只生きる為に喰らうだけ”

私は笑った
肉を無くし骸となったこの躰で

魚は聞いた
“何故笑う?”
私は答えた
“何時かは貴方達は捕らえられ喰われる”
“そして私の肉を食んだ魚が私を突き落としたあの人の元に食物として届いたらあの人は私を二度“_した”事になるのだから…嗚呼可笑しい”

3:アビス◆wc:2017/10/12(木) 10:14

息絶え人生閉ざした私よ
黄泉比良坂の道を歩め
白の装束纏い白の三角巾を付けて
只々歩め

三本足の烏が道を示す
私が道を外さぬ様に
道を外せば地獄へ落ちると烏が云った

4:アビス◆wc:2017/10/12(木) 11:00

あくる日私は桜の木の下に
“宙ぶらりん”になっている男を見つけた

私は溜め息をひとつ吐き
穴堀金具で桜の木の下に埋める

昨日は女が
其の又昨日は互いの恋叶わぬ男女が

この桜に曰く無く
日増しに桜の下には人が増えて行く

だが其れも今日で終り
私が行くのだから
桜の木は花弁を風に吹かせ喜び舞い踊る

5:アビス◆wc:2017/10/12(木) 12:44

私は道に咲く花を踏み潰す
貴方が“綺麗”と褒めたから

私は篭の中の鳥に手を掛ける
貴方が“可愛い”と云ったから

私を見初め惚れたと云い
私の自由の大半奪い閉じ込めたのは
貴方だ

なのに他に目を向けた
私は貴方の為に自由を手放した
なのに結果はこの仕打ち

貴方が悪い
理由?それは
“私を好き”だと云ったから

私は刃物を降り下ろす
さようなら“貴方”
こんにちは“貴方”

6:アビス◆wc:2017/10/12(木) 16:33

ナハトヒンメルにモーントが浮かぶ
私は貴方と共に其れを見つめる
其処にシュテルンが横切った

私は流れるシュテルンに願う
“貴方と共にずっとこの光景を見れたら良いな”と

貴方は何を願ったの?
貴方は云った
“月が綺麗ですね”

…私は其の言葉に涙した
私の涙を貴方は手を添えて拭って微笑んだ

二人寄り添う姿を
モーントシャインが静かに照らした

7:アビス◆wc:2017/10/13(金) 21:23

“誰か”は友多き
喜しや子

“誰か”は独り
寂しい児

誰かは誰かが羨まし
誰かは誰かが妬ましき
誰かは誰かが憎々し
誰かは誰かが“_している”

8:アビス◆wc:2017/10/13(金) 21:41

夕焼け沈み
“逢魔ヶ刻”が始まるよ
魑魅魍魎が闊歩する

カンラカラカラ笑いをあげる
人通る道は魑魅魍魎の“この世道”

鈴はシャンシャン
太鼓はドン
“宴” “宴”と皆歌う

人間入っちゃいけません
これは魑魅魍魎の宴です
入りたけりゃ“彼方”へどうぞ

魑魅魍魎が“歌う” “歌う”
鈴はシャンシャン
太鼓はドン
血染めの刀 緋色に光る

9:アビス◆wc:2017/10/13(金) 23:36

部屋にあるプッペの螺を回す
プッペは歪な音を立て
ギギリギグルリ踊ってる

プッペは止まったおじぎのまんま
も一度回そう
螺折れた
もういらない

回らないプッペ
役立たず

置いてかれたプッペ
埃を被る

おじぎのプッペ
そのまんま

10:アビス◆wc:2017/10/13(金) 23:39

何か感想が有るなら書いても
良いですよ。

但し
荒し等はお辞め下さい。御願いします

11:アビス◆wc:2017/10/17(火) 01:42

手作り南瓜のランタン持ってゆき
仮装し街を練り歩く

籠にいっぱいお菓子を積めよう
お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ

目の玉抉り
手足の爪を剥がして
端から刻む

12:アビス◆wc:2017/10/20(金) 19:35

くり貫かれた南瓜の気持ちなんて
誰にもわからない

ただ飾りの為に切り取られて
中身をほじられて
何も見えない目と
何も聴こえやしない偽りの口を
彫られて笑う

ケラケラ南瓜は笑う
(お前達も俺と同じ目に遭え)

ケラケラ南瓜は笑う
(痛いだろう?俺も同じ気持ちだ)

ケラケラ南瓜は笑う
(もう笑わないのか?)

13:アビス◆wc:2017/10/20(金) 19:44

なんか書いてみると
暗いなぁ…どうしても暗くなっちゃうんだよなぁ

14:アビス◆wc:2017/10/20(金) 21:24

親の温もりを求める赤子に
機械仕掛けの小箱を渡した親

赤子は喜び小箱で遊ぶ
小箱は色とりどりだ
けど何処か虚無である

赤子はやがて幼子になった
だが親は変わらず機械仕掛けの小箱を渡す

幼子は物云わぬ小箱と遊ぶ

親は幼子に機械仕掛けの小箱を返せと云う
幼子は其れを拒む

親は首をかしげる
幼子は云った
“親はこの小箱だ お前では無い”

15:アビス◆wc:2017/10/20(金) 22:59

鶏の首を絞めよう
そうすれば朝は来ない筈

コケェと甲高く鳴く声を
この手でキュッと絞めて
其の声が無くなるまで

鶏の首は絞めたよ
コケェと鳴く声無くなった
辛い朝は二度と来ない筈

朝日が刺す
私の体を
鶏はこの手で絞めたのに

どうすれば良い
朝が二度と来ない方法

朝が二度と来ない方法を見つけた
紐を掛けたら
朝は二度と来なくなった

16:アビス◆wc:2017/10/20(金) 23:08

私のここに書いた詩
見てくれる方居ませんか?
(荒しや悪口は厳禁で)

17:アビス◆wc:2017/10/21(土) 23:05

林檎が食べたい
私は母にねだった
母は叶えてくれた
次の日居なくなったけど

林檎が食べたい
私は父にねだった
父は叶えてくれた
次の日居なくなったけど

まだ食べたい
私は姉にねだった
姉は拒否した
次の日姉は林檎になった

私の我が儘
皆聞いたら皆居なくなった

まだ足りない
まだ食べたい
まぁるい林檎
赤い液体滴る林檎

次は貴方が“林檎”だよ

18:ねこさと◆pU:2017/10/22(日) 12:59

こんにちは
とても不思議な世界観の詩でとても好きです。がんばってください
待ってます!

19:ねこさと◆pU:2017/10/22(日) 13:12

楽しみにしてます

20:アビス◆wc:2017/10/23(月) 08:14

>>19
ありがとう!
応援してくれて嬉しいよ!
思い付いた時にしか書けないけど
良いかな?

21:アビス◆wc:2017/10/23(月) 09:14

今日も“さぁかす”が始まる
だけど貰えるのは拍手じゃ無い
野次なんだ

観客は口々に云う
つまらない
面白くない
退屈だ
毎日そんな事ばっかりだ

どうすれば良い
何が足りない

そうだ
火の輪潜りをする獅子を

お前がやれば良い

劇場は拍手に初めて包まれた
火の輪を潜る獅子は炎に包まれた

次は何にしようか
そうだ
“水中脱出いりゅうじょん”にしよう

飢えた鮫が泳ぐ水槽に
鎖を巻いた

お前を入れて

観客は喜んだ
良いぞ
良いぞ
もっとやれ

観客は虜になった
狂気の“さぁかす”
今宵も始まる

お代はいらない
誰でも寄っといで
なに
道化師になってくれれば良い

一夜限りだ

怖い事は無い

今夜は
お前は
そうだ
猛獣使いになれ

飢えた獣の餌として

22:ねこさと◆pU:2017/10/23(月) 17:34

>>20
はい全然大丈夫です!
待ってまーす

23:アビス◆wc:2017/10/23(月) 22:06

とある所の灰被り
今日も継母に召し使いの様に使われる

とある所の灰被り
今日は姉二人に使われる

灰被りは泣いている
継母 姉二人は
知るか知らずか高らかに笑う

今日は城の舞踏会
継母 姉達
絢爛に着飾る

だけど灰被りには何も無し
そして何時もの様に召し使い

母の墓に寄り添い泣いた
私も行きたかった
踊りたかった

墓の傍に生えるハシバミの木
白い小鳥が止まってる
持っていたのは
ドレスに
金の靴と
銀の靴

灰被りの娘
ドレスに銀の靴を履き
急いで城の舞踏会
いっておいで灰被り

24:アビス◆wc:2017/10/24(火) 00:17

>>23の続き

舞踏会に間に合った灰被り
中で人が楽しく踊る

その中で
一つ高い所から見下ろす王子
舞踏会を兼ねての嫁探し

王子は溜め息
何処にも居ない
我が伴侶になる者が

そんな時
純白のドレスに銀の靴を着た
灰被りの娘を見た王子
気付けば足が自然に娘の元へ

どうか踊っていただけないか
私と共に
この一晩を

王子と灰被りの娘は踊る
楽しい
もう一晩踊りたい
互い互いにそう願う

二晩目の舞踏会
灰被りの娘は金の靴を履いて
やって来た

待っていたよ
さぁ踊ろう

だけど楽しい時間はもう御仕舞い
灰被りの娘は別れを告げて
急いで帰る
脱げた靴も気にせずに

次の日
王子は従者に探させた
片方だけの靴の持ち主を
国中から

長女は考えた
靴が合うには
爪先を切り落とせば良い

次女は考えた
靴が合うには
踵を切り落とせば良い

だけど血が滲んで
どちらも偽物と見抜かれた

次は灰被りの娘の番
靴はピタリとはまった
従者は云った

王子がお待ちです
さぁどうぞ城へ
貴方様をお待ちです

こうして結婚
灰被りの娘と王子様
国中が祝福の声を上げる中

姉二人 媚びへつらい
娘の両脇に座る
その時娘の両肩に止まった白鳩が
姉二人の両目をくり貫いた

痛みにのたうち回る姉二人を
娘はただ冷たい目で見下ろした

25:アビス◆wc:2017/10/26(木) 21:54

急げや急げ
急げや急げ
女王様に首をはねられる

人の言葉を話す不思議なウサギ
懐中時計を見ながら急いで走る

ウサギを追いかけ木の中転がる
机の上の小瓶を飲んだら
小人になった

森の中
さまよい歩くと
イモムシが

ぞんざいな態度で
質問を

キノコを食べれば大きくなる
キノコを食べれば小さくなる
 大きい?
小さい?
どっちだろう

小さな家の公爵夫人
料理人の振り撒くコショウで
くしゃみが止まりゃしない

夫人の赤ん坊
外に出したら
ブタになった

26:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:04

>>25の続き

森の中
再び歩く
すると今度はチェシャ猫だ

ニヤニヤしている
チェシャ猫さん
  どこに行けばいいの

チェシャ猫答えた
この先行けば
三月ウサギと帽子屋のお茶会ニャ

三月ウサギと帽子屋そして
ネムリネズミが
茶会を開いてる
帽子屋はなぞなぞを出してきた

答えが出ない
そりゃそうだ
帽子屋のなぞなぞに

答えはない

ウサギとネズミも好き勝手
女王に刑の宣告を受けて以来
一人と二匹の時間は止まったまんま

だから好き勝手できるんだ
さようなら
狂った永遠のお茶会
2度と来ない

27:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:10

>>26の続き

最初に戻った大広間
金のカギ使って
小さな扉を開けた

開けた先は
とても美しい
赤いバラの庭

手入れをするのは
手足の生えたトランプだ
チョキ チョキ チョキ
ハサミの音

シャワ シャワ シャワと
水やりの音

突然聞こえた高い声
首をおはね
庭師達の首をおはね

首をはねられた庭師達
何が
癪にさわった?

わからない

いいんです
わからなくても
この世界は

28:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:17

>>27の続き

はぁとの女王様の絶対支配
だから
どんな理不尽も

女王様が云えば
まかり通るのデス

他所の世界から
来た人間ニャ
理カイ不能

そんなこんなで
始まる裁判
被告人は

ハァトのジャック

被告人の罪は
盗み

女王様のタルトを
とったんだ

大それた事を
首をおはねはまぬがれない

それでもジャックは訴える
私はやっていない

29:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:23

>>28の続き

けれども
周りが
ジャックの罪をでっち上げ

それにいきどおる少女
ついに切れた
感情の糸

あんた達なんか
ただのトランプの
クセに

その言葉に
怒り舞い上がる
トランプ兵

少女をトラエロ
首をおはね

悲鳴を上げたら

いつの間にか
姉の膝の上で
眠りこけ

30:アビス◆wc:2017/10/26(木) 22:25

>>29の続き

どっちでもいい
こりごりだ
でも楽しかった


ハァトのジャックの最後は
だぁれも知らない

わからない

31:アビス◆wc:2017/10/27(金) 00:03

次はどんなの書こうかな…?

32:アビス◆wc:2017/10/27(金) 18:53

ふらりふらりと歩く猫
目の前には不思議な館

中は不思議な光景
文字が宙を漂っている
ゆらり ゆらり
ふより ふより
まるで海月の様だ

中に入ったら
さっさと閉めてくれ
文字が鳥になって逃げてしまうから

館の主は云う
文字が友だと

館の主は云う
人が信じられないと

猫は問いかける
他に誰もいないのか
宙に漂う文字と君以外に

33:アビス◆wc:2017/10/27(金) 18:59

>>32の続き

館の主は答える
いる訳がない
此処にあるのは

文字と
私と
そしてお前だ

猫は問いかけた
してはならない
禁忌の問いかけを

君は寂しいのか
それとも満足か
存在するだけで何も意味をなさない

文字が
友達で

館の主は
猫を見つめたまま
黙りこくる

猫は続ける
黙りこくらないで
答えてよ

早く
早く

孤独な館の主様とやら

34:へいと◆NI hoge:2017/10/27(金) 18:59



上手ですね……

35:アビス◆wc:2017/10/27(金) 19:05

>>33の続き

館の主
突如口開く

お前のせいで
文字が幾つか
鳥になった

友が消えた

償って貰おう

猫は云う
問いと答えが
合っていない

館の主は云った
知った事では無い

再び静かになった
不思議の館

館の主は薄ら笑みを浮かべる
友が増えたと
そして新たに漂う文字は

「猫」「赤」「黒」「皮」「臓」

36:アビス◆wc:2017/10/27(金) 19:05

>>34
ありがとう!
嬉しいよ!

37:アビス◆wc:2017/10/28(土) 21:44

雨が降る
ザア ザア
ザア ザア

カエルが鳴いてる
ゲコ ゲコ
ゲコ ゲコ

そんな道中
何が一体
ヒタリ ヒタリと

無気味な音

現れたるは
七つ人影

杖の音も
七つ突く

七人ミサキ
暗雨行脚

我達は
生前皆罪人
清き者なぞ

この列には
有りはせぬ

(まだ、続きがあるよ)

38:アビス◆wc:2017/10/28(土) 21:52

“ 人”
窃盗
騙し欺き
間引き成す

他様々
悪業重ねて
生まれた我達

七人ミサキ

来やれ
来やれ
我達の列へ

成そう
成そうぞ
我が成仏

お前
お前は
新たな七人ミサキ

帰しゃあせん
逝こう
行こうぞ

卒塔婆が其処らに
立つ道を

幽霊花
乱り咲きたる
あの道を

七より増えず
七より減らずの
我達と共に

蛙 鳴く 泣く
下呼 下呼
下呼 下呼

39:モルガナ◆fI:2017/10/28(土) 22:53

タルタロスさんいますかぁー?
「くま」ですが……

40:モルガナ◆fI:2017/10/28(土) 23:01

えーと……
闇竜の騎士……アク禁されてしまったみたいで……
巻き込まれたそうです!

ぇー……だから「もう少し待って」みたいなことを……言ってましたよ!はい……

41:アビス◆wc:2017/10/29(日) 07:55

>>40
うん!わかったよ

42:アビス◆wc:2017/10/29(日) 16:22

一つの葛には
光明を

一つの葛には
おぞまし醜き怪物を

どちらを選ぶ
小さき葛
大きき葛

決めるのは
貴方だ

私じゃない

とある所の
翁と媼の夫妻

片方は欲無き優しさ故に
光明を

もう片方は己が強欲が故に
醜き 醜き
毒蟲
幽霊
怪物と
生きてはいられない戯れを

貴方はどちらを選ぶだろう
小さき葛
大きき葛
選ぶが良いさ

罪人よ

43:アビス◆wc:2017/11/01(水) 21:40

(詩じゃ無いよ)
ノートに今書いてるんだけど
長くなりそう。

44:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:36

(1章)

母山羊は
子山羊達に
云いつけた

良いですか
誰が来ても
すぐに開けてはいけません

たとえ私でも
疑いなさい
でないと

狡猾で
飽食を望む
狼に

喰われてしまうから

母行く後
子山羊達は
各々戯れる

外より忍ぶ
黒影が
皆喰らいをせんと

見ている事も
知らずに

45:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:40

(2章)

狼は望む
己が腹に
満たされる程の

子山羊達を
詰めたい

狼は考える
先ず声だ
似せよう母山羊に

チョオクを食べて

コン コン コン
扉の音
お母さんだよ

開けておくれ

子山羊達は口々に
嘘だ
嘘だ
お前は狼だ

黒毛と
鋭い爪が
見えてるぞ

46:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:46

(3章)

狼は考える
次は毛だ
似せよう母山羊に

白粉を被り
爪を仕舞い

コン コン コン
扉の音
お母さんだよ

開けておくれ

子山羊達は口々に
嘘だ
嘘だ
お前は狼だ

其の黒い足は
何だ
嘘つきめ

狼は鬱屈する
子山羊共
何故騙されん

嗚呼 苛々する

47:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:51

(4章)

狼は考える
次は足だ
似せよう母山羊に

白布を履いて

爆ぜ兼ねなき
感情を抑え乍

コン コン コン
扉の音
お母さんだよ

開けておくれ
お前達

子山羊達は口々に
お母さんだ
お帰りなさい

開けよう
扉を

ギギィと一つ
扉の音

カランと一つ
鐘の音

開けた先は狼が

48:アビス◆wc:2017/11/02(木) 20:57

(5章)

狡猾狼
鬱屈爆ぜる

己が望むままに
飽食を

子山羊達は
逃げ惑う

逃れられない
牙と爪

金切り鳴きが
一つ消え

また一つ
また一つと
声が消え

やがて鳴きは
皆絶えた

ふわり舞う
黒毛白毛

残りたるは
破壊の惨禍

そして
時を刻む台の中で
怯える末の子一匹

49:アビス◆wc:2017/11/02(木) 22:04

(6章)

母山羊見やるは
惨たらしき
己が家の中

何処だ
何処なの
私の愛しき子らは

末の子山羊は
慟哭す

食べられたんだ
狼に

聞こえたんだ
狼が兄姉達を
ゴクリ ゴクリと

飲む音が

母山羊は
泣きじゃくる末の子山羊を
抱きしめ慰める

まだ間に合う
狼の腹を裂こう

持つ鋏に復讐を込めて
心に秘めよう
怨恨の情を

50:アビス◆wc:2017/11/02(木) 22:13

(7章)

木の下にて
惰眠を貪る
狼は

まだ知らない
己に迫る
磨羯による怨嗟の音が

狼を見つけた母山羊は
裁縫鋏で
狼の丸腹を切り裂いた

わらわら出てくる
母山羊の子ら

代わりに何を詰めよう
そうだ石を詰めよう
いっぱい詰めよう

ゴロン ゴロン入れて
ギュウ ギュウ押して
縫い 縫い

縫い合わせて

母山羊達去りし後
眠りから覚めし狼は
気付かない

腹の中身が
子山羊から石に
なっている事を

51:アビス◆wc:2017/11/02(木) 22:17

(終章)

フラフラ歩く狼
石詰め腹を抱え
見つけた井戸

覗いたら

バシャアンと
狼落ちた
水の音

ブク ブク ブク
沈む音

助けを乞う声
井戸の中

沈んだ体も
井戸の中

何も聞こえやしない
井戸の中

52:モルガナ◆fI:2017/11/03(金) 22:20

かっこいい〜☆
流石だぜ☆

53:アビス◆wc:2017/11/03(金) 23:33

>>52
ありがとう!

54:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:26

(1章)
堅実に生きる妻
せっせ せっせと
家の事

現実を見ずの猟師夫
今日もまた
獲物が捕れずの木の実だけ

あくる日
夫が帰ってきたら
其処には妻と握り飯

これは旅人の置き去りし物
妻は妻の親族から
言伝を

あんな奴に食わせるな
家でただ威張るだけしか
能が無い奴なんかに

夫の手には柿の種
何かを思いついた

交換しよう
種と握り飯を

種はいつか実に生るが
握り飯は増えりゃしない
そんな理由で取り上げた

目先の利益に囚われる夫に
将来の利益を得た妻よ

55:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:34

(2章)
そんなこんなで
年月8年
植えた柿の種

立派に木と成り実をつける
だがしかし
夫は変わらず威張ったまま

木の上登り柿の実喰らう
妻は身重で登れない

くれと
くれと
懇願す

夫は知らぬ存ぜぬの
独り占め

くれと
くれと
懇願す

夫は木から降り
この柿は
俺の物だ渡さない

蹴られた妻
其の場で倒れる
下から流るる紅い液

逃げ去る夫
動かぬ妻

56:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:41

(3章)
生まれた子
母無き子
親族は告げる

酷なる事実を

お前の
母は

お前の
父に

“__”された

憎かろう
憎かろう

其の感情は
子が知るには
早すぎた

感情は
子に初めて生を与えた

子は願う

母の敵討ちを

親族は力を貸す
子の復讐の為に

一つの怨嗟と
一つの怨恨
今一つとなる

57:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:52

(4章)
かつての父
今は敵

家の中
入ってきた

子は誘う
敵は追う

遠縁は敵の足に
紐掛ける
敵は転び

床の針に
全身ぶすり

恰幅の良いおば
上から乗す

深く
深く
刺さって仕舞え

おっ母の受けた痛みは
こんなものじゃない

従兄弟と従姉妹は
木棒で
全身叩く

58:アビス◆wc:2017/11/05(日) 17:59

(終章)
吊るし上げの敵は云う
お前は
俺の子だろう

だったら助けてくれ

嗚呼そうだな
おらのおっ父は

握り飯を取り上げた

柿を食わせなかった

家で威張った

おっ母の腹を蹴った

恨み骨髄に徹する程の
恨み言を云い乍
子は鉈を降り下ろす

あの世でおっ母に謝れ

一族の復讐劇
これにて幕を

59:アビス◆wc:2017/11/06(月) 17:18

何回味わった事
口の中の鉄の味

貴方につけられた
赤黒ひ花弁

涙を見せれば
貴方は笑む

光無き瞳
私を映し乍

綺麗だと云い

私の口の中を
貴方の其れで荒しく掻き回す

あぁ!

もっと私を

其の加虐の愛で

歪に

貴方の元へと

堕としてくれ

60:アビス◆wc:2017/11/06(月) 17:25

閉じ込めたい
貴方を
私の冷たひ世界へ

マイナスの
何もかも
真白の凍土

お互いに
朽ちる事は
永遠に無いから

怖くは無いよ

私は
マイナスの世界でしか
生きられない

氷の女王

白の玉座は
骸の塊

逃がしたくないの
だから皆は氷柱の中

待って
待って
私の愛し人

背かないで
御願い
独りにしないで

だったら要らない
貴方の温もりなんて

私の氷で
包んであげる

だって私は
氷の女王

広く孤独な
人の子だ

61:アビス◆wc:2017/11/07(火) 21:00

(1章)
悪戯狸
今日も里の者達を
困らせう

あくる日畑荒し
罠に掛かりて
捕まった

悪戯狸
狸汁にして
食ってやろ

それはやめてくれ
もう悪戯しない
お願いだよ

優しき婆は縄を解く
狸はにたりと笑い
えげつなき事しなさった

爺が畑から帰りて
婆は用意した鍋を
食わせる

爺が鍋の汁一口
そして婆は狂笑す

じじぃがばばぁ汁
食ったやぁい

じじぃがばばぁ汁
食ったやぁい

婆を“_”し
皮被り
汁にした

してやったりの悪戯狸
爺は怒りて
追い回す

狸は逃げ去り
いかれた歌を
カンラカラカラ笑い乍里中に響かす

じじぃがばばぁ汁
食ったやぁい

じじぃがばばぁ汁
食ったやぁい

爺去る後
飼われていた白兎
何思ふ

62:アビス◆wc:2017/11/07(火) 21:06

(2章)
山の中
悪戯狸
てらてら歩く

茅の束運ぶ白兎
もしもし其処の狸どん
手伝っちゃくれませんか

茅の束背負いて運ぶ
狸どん
後からみょうちきりん音が

カチ カチ カチ
何の音

カチ カチ カチ
かちかち鳥の鳴き声さ

ぼう ぼう ぼう
燃える音

狸の背中も
ぼう ぼう ぼう

熱い
熱いよ
兎どん

63:アビス◆wc:2017/11/07(火) 21:12

(3章)
まぁ大変
塗ってあげませう
この薬

ただれた背に
塗り薬
実は違う

蓼の汁
忽ち火ぶくれの
狸の背

痛い
痛いよ
兎どん

蓼食う虫も好き好きとは
良く云った物で

64:アビス◆wc:2017/11/07(火) 21:18

(終章)
まぁ大変
舟があるから
其れに乗ろう

狸どんはそちらの舟に
私は彼方の舟を

ギコ ギコ ギコ
舟漕ぐ音

ブク ブク ブク
何の音

お前の泥舟が
沈む音さと
兎どん

ずぶ ずぶ ずぶ
沈む音

助けて 助けて
兎どん

掴まって狸どん
そう云い
櫂の棒

ばし ばし ばし
狸を叩く
更に沈む狸どん

遂には
沼の底の
狸どん

65:アビス◆wc:2017/11/08(水) 17:28

(1章)
ピィヒャラピィ

とある國の
とある町
鼠がわんさかいましたと

鼠は運ぶよ
黒の使者

使者の正体
黒“_”病

大人も子供も
皆平等

彼方の世へと
連れて行く
黒の使者

ふらり現る
謎の者

私に任せてくれないか

追い出してみせよう
鼠達
報酬出してくれるなら

66:アビス◆wc:2017/11/08(水) 17:33

(2章)
嗚呼 出してやる
本当に
追い出せたら

約束守れよ
ピィヒャラピィ
ラッパ吹き鳴らす

鼠は群れなして
大行進
彼方の方へお行きなさい

それなのに
何も出しゃしない
大人達

者は鳴らす
ピィヒャラピィ
子供ぞろぞろ

連れて去った

もう一つおまけ
ピィヒャラピィ

67:アビス◆wc:2017/11/08(水) 17:37

(終章)
とある國の
とある町
鼠がわんさかいましたと

そしてとても奇妙です

鼠は運ぶ
黒の使者

大人だけが
皆平等

彼方の世へと
連れ去る
黒の“_”者

ね 奇妙でしょう

子供は何処に行ったのか

わからないから
ラッパを吹こう
ピィヒャラピィ

者とは誰の事
ハァメルン

68:アビス◆wc:2017/11/08(水) 18:13

(作者より)
見てくれる人がいる

楽しみにしてくれる人がいる

こんな私の詩を

ありがとう
ありがとう

私は見てくれた者に届けよう

音無き拍手を

存在して初めて意味をなす
感謝の言葉を見てくれた貴君達に

69:アビス◆wc:2017/11/08(水) 22:18

僕は夢を見る
怪物に喰われたいと

少年は周りにずっと
そう云ってきた
周りは

奇妙な奴だと
少年を疎む

少年は云ふ
だって知りたいのだもの
怪物に喰われるのが

どんな気持ちか

少年はやがて
青年となりても
夢を語る

怪物に喰われたいと

周りは云う
目の前にいるじゃないかと

ぎょろりと血走る眼
垂れる涎
其の隙間から光る牙

70:アビス◆wc:2017/11/08(水) 22:24

>>69の続き

青年は喜んだ
夢が叶う

だってねぇ
夢じゃ怪物に
食べられないもの

幻想怪奇の
主人公に
今なろう

頭からガリゴリ
いってくれ


一つずつ千切られるのも
悪くない

兎に角
僕を喰ってくれ

叶えたいんだ
僕の夢

痛い 痛いと
叫ばせて

助けて 助けてと
命乞いさせて

そして
全て聞き入れず無慈悲に
食べてくれ

71:アビス◆wc:2017/11/09(木) 20:58

>>59の詩の別視点の詩ですよ。

乃公が君に付けた
赤と黒が混じった
印を見る度に

君が乃公の物だと云う事に
綺麗だと云う事に
何時も気付かされるよ

人は思うだろう
其れが愛なのか
おかしいと

だが其の事でしか
愛を確かめる
与える事しか出来ない

彼女もわかってくれている
それで良いじゃないか

リンドウの花が散る迄

加虐の愛を

72:アビス◆wc:2017/11/09(木) 21:08

ねぇ 何がそんなに
嬉しいの

華美な服着て
キラキラ宝石で
飾ってさ

全て私には
偽りにしか
見えないよ

くすんで見えるの
服も 宝石も
そして貴方も

何故だろね

貴方は云ったね
お姫様になりたいの

既になっているでしょうに
何度も 何度も

一夜限りの
王子と共に
踊る姫君に

貴方は一体
何人の王子と
踊ったの

其の度に
棄ててきたね
王子も

そして中のモノも

今は未だ身軽かい
お姫様

汚れた華美な服着て
汚れたキラキラ宝石付けて
貴方は去って行く

行ってらっしゃい
お姫様

しがない魔女
只手を振る事しか
出来なかった

73:アビス◆wc:2017/11/09(木) 21:35

館に
また誰か
迷い込んだ様ですよ

其の館は
とても不思議な
文字が宙を舞っているんだ

冒険心を掻き立てられると
思いませんかね
でも気をつけて

此処の主は
人であって
人じゃない

見つかったら
“_”されて
文字にされちゃいます

そんな事知ったこっちゃ無い
貴方は進む

溜め息溢し

警告はしましたよ

74:アビス◆wc:2017/11/09(木) 21:40

>>73の続き

主とやらが何だ
僕は怖くない
ほら ほら

こんな事しても
怒らないの
此処の主様とやらは

首の欠けた
片足無くした人形を
ブンブン振り回す

其の人形は
主様の大切な
御人形

なんとまぁ
愚かな事を
あぁ ほら

起きてしまったよ

この館の主様が

何をしている
後ろから響く声
振り返る者

75:アビス◆wc:2017/11/09(木) 21:43

文字にはしてやらない
其の代わり
人形のぱぁつに

なって貰おう

主様を
怒らせた冒険者
人形のぱぁつに

なりましたとさ

え 私は誰ですと
まぁ 其れは
後程と云う事で

また会いましょう

76:アビス◆wc:2017/11/10(金) 18:25

「ネクロ性愛」

今日はこんな事があったんだ
何も答えない私

明日は晴れるかな
何も答えない私

答えないんじゃなかった
答えられなかったんだ

寂しそうに笑みを浮かべる彼
でも好きだと云う彼

そりゃそうでしょうよ
私を動かない様にしたのは
彼だもの

愛して貰わなきゃ
困りますよ
でないと

貴方の
貴方だけのネクロになった
意味が無い

あの夜の事は
忘れませんよ

涙を浮かべて
私に手を掛けて

生きてた頃の
最後の光景
なんだったけ

嗚呼そうだ

思い出した

笑っている

彼の顔だった

77:アビス◆wc:2017/11/14(火) 10:40

「睡眠フィリア」

良く眠っているね
其のままで良い

誤解しないで
起きている君も
勿論好きなんだよ

だけれど
一番好きなのは

眠っている時の君

スゥスゥ寝息を立てて
寝返りで
少し乱れた髪に隠れる顔は

なんて愛らしいのだろう

あ 五月蝿かったか
でも丁度いいや

君の寝顔が
正面にきたもの

本当は
其の頬に触れてみたいけど

君が起きちゃうから
ガマン ガマン

空の闇が深くなったよ

今夜も良く眠ってね

星は瞬き
月は昇り
眠る女の横に

クスリと笑い乍
佇む者一人

78:アビス◆wc:2017/11/14(火) 10:52

「オキュロ愛好」

はぁ と深く溜息をつく

今日も輝いているなぁ

君の眼は
そんな事を思い乍
君の顔を見つめる

恥ずかしそうに
顔をそらす
赤ら顔は更に

君の眼を
際立たせる

君は
聞いてくれるだろうか
私の願いを

目玉が欲しい
抉り取ってくれ
そして私の手の中に

聞いてくれる訳無いか
それに
君の眼から光が消えるのは嫌だ

だから
君が生きている間は
この思いは胸に秘めおこう

君が逝ったら
眼は貰ってあげる
光は無いけれど

それでも良い
思いを馳せれば

喜びに輝く眼も

陽炎みたくゆらりと悲しの眼も

怒りにたぎる鋭ひ眼も

私だけの物に

79:アビス◆wc:2017/11/14(火) 11:18

「赤クレヨンと少年」

暗い 暗い
部屋の中
真ん中にぽつりと少年

右の手には
赤のクレヨン
そして今日も描く

助けてと

何して
閉じ込められた

皿を割った

云う事を聞かなかった

目障りだった

只の理不尽も
少年にとっては
理由となる

子供であるがゆへに
どんな暴力も

愛として
受け止めるしかなひ

壁に助けてと

出して下さいと
無き声で叫ぶ

やがて忘れ去らるる

見つかつた少年
白骸となりて

手に握りめたるは
赤ひ小さな欠片

80:アビス◆wc:2017/11/14(火) 11:28

「色山羊に妄呵責」

それは人であり
人間でなかった

皮を被った
色欲の山羊なり

欲の侭に
私の体に触れ
口付けを交わそうとした

其の時の感触は
今でも残りたり

己は私に問ふ
されし事を黙るのは
己の罪なりや?

周囲に助けを求むる事せず
只 己が内に閉じ込めて
過ぎ去る時が流してくれると

お思いか?

私は己に云った

若し願いが
叶うと云うのならば
私は

色欲の山羊に
呵責をしたい

生きた侭 皮を剥ぎ

癒えぬ 責め苦を与え

そして“_”したいと思う私は

罪なりや?

思ふ事は罪では無い
するとならば罪だがな

81:アビス◆wc:2017/11/14(火) 11:38

「吉遊情事(きちゆうじょうじ)」

蝶は誘う
おいで おいで
此方へと

蝶の色香に
まいってしまった魚
招かれるが侭に

格子の中へ

惑わす蝶は
身を差し出し

魚は
貪り喰らふ

一夜の情事を
記憶する事無かれ

蝶よ

一夜の魚に
恋慕する事無かれ

約束の証
指ひとつ

万の拳で
殴られようと守られよ

嘘吐きは
千の針を呑まそうぞ

蝶は手招く
己を閉じ込めし
赤格子の中へ

何時か
誰か
連れだして

赤格子の中は
もう飽いた

成すならば
夜が明けぬ内に
はらへらを

82:アビス◆wc:2017/11/15(水) 21:16

「兎に思ひ 角も人」

起きた時
私は泣いていた
嗚呼 私は未だあの時の事を

忘れられてはいないのだ

必死に記憶から消そうとした
だが体に染み付いた
見えなひ傷は

私を確実に蝕んだ

空に浮かぶ細の三日月と
足元の靄は
心の現れだろうか

私を笑うな細の三日月よ
早く消えて仕舞え
忌々しき靄よ

兎 叫ぶ私は
角に狂人

周りは只云う
忘れろと

消せぬのだ
無茶云うな

其れしか
云えぬのなら

黙っててくれ

された事が無いから
云えるのだろう
忘れろと

汚れの淵に
落ちて仕舞え

悲の深に
溺れて仕舞え

兎 思ふ私は
角に咎人

83:アビス◆wc:2017/11/16(木) 08:54

「文字館 遣蝙蝠」

皆様方へ
御機嫌様

え 私は誰ですと
また会いましょうと云った
私ですよ

今は主様の使いを
しております

私の事が知りたいと
数奇者ですね
さては貴方

良い 良い
 良いでしょう

お教えしませう
私の事

姿在りし頃
私は蝙蝠でありました
トーテンシェーデルが友でありました

語り相手で
寝の床で
仲間蝙蝠と共に

宴の
飲めや歌えや

そんな時
一人の者が
迷い込み

仲間蝙蝠
血の気多く
襲うけど

皆々レーベンを
奪われました

其の者は
プリュンダラーと
云いませう

私迄レーベンを
奪われたく無いと
命乞い

こうして私は
主様を得ましたと

私の姿が無いのは
何故で御座いましょうかと

主様は苦手なのです
自ずの姿を見られるの

はてさて
 そろそろナハトが明けますよ

私は結局何者ですと
只のフレーダーマオスですよ

ま フェアラート
フレーダーマオスですが

84:アビス◆wc:2017/11/16(木) 09:21

(作者より)
>>32>>33>>35の題名は
「文字館 好奇猫」

>>73>>74>>75の題名は
「文字館 愚ノ冒険者」

“しりぃず”みたいな物ですね

85:アビス◆wc:2017/11/17(金) 08:07

「洗い髪のヴイナス」

ぼうと見やる庭の先道に
カランコロンと
下駄の音

石鹸の香り
たなびく黒髪

洗い髪のヴイナス

はと気づくと
ヴイナスは消えた

喫茶処で茶をしていても
学び舎にて学業を積もうと
浮かぶのは

洗い髪のヴイナスの事ばかりだ

胸中が熱い
ヴイナスの事を考えると

顔は如何だろうか
判らない

洗い髪のヴイナスよ
願わくば
もう一度 我が前に

そして顔を
見せてくれ

友にヴイナスの事を話す
友は鼻で笑ふ

何が可笑しい
人を想う事が
そんなに

庭前の道に
カランコロンと
下駄の音

ヴイナスだ

ヴイナスの下へ
私は駆け寄る

洗い髪のヴイナスの足先に
小動物がいた

ヴイナスは邪魔だと
蹴ろうとす

私は庇い
ヴイナスに蹴られた

ヴイナスは
知らないと
足早に去る

麗しかった
だが麗しくなかった

小動物を蹴ろうとす時の
顔はまるで
鬼女であった

自分は恋をしていたのだ
洗い髪のヴイナスに
だが其れは

私の理想の中だ

私は眠り泣いた

女中は心配そうに
私を見ていた

私は鈍感故に
知る由もなかった

86:アビス◆wc:2017/11/17(金) 20:05

(作者より)

私の詩を見た者は
皆言葉を揃えてこう云う

不思議だと

こんな私の語彙力の欠片も無い詩を
或る人は云った

謙遜をと

其の言葉に私は発破をかけられた
様な気がした

嗚呼 見てくれているのだと
なんと私は果報者だろう

有難い
私は改めて感謝せねばなるまい

この詩を見てくれる者達に

87:アビス◆wc:2017/11/18(土) 21:35

「桜花の正腐虫」

悪人を懲らす者達

地に墜ちる

権力を傘にし
民衆に虐の限りを
尽くす者達の何処に

 正 があろうか

黄金の桜花は
端から腐りて
形のみありきの

存在ではないか

未だすがるか
偽の者達が

何も保たない
黄金の桜花に

今日も輝くのだろうな

桜花の紋は
民衆を守る為ではなく

偽正の腐虫を
隠蔽す為に

88:アビス◆wc:2017/11/18(土) 21:53

「泥壺」

物は形あれば
何時か壊れる
では

見えない物は如何だろうか

壊れる事を許されない物は
考に服す

もう限界だ
これ以上は

壺は叫ぶ
負の情を詰める物

最初は耐えた
だが負の情は
絶える事無く更に増す

ひびが入った
未だ大丈夫
そう己に云い聞かす

負の情は
減る事無く
水として入り

泥となる

泥は
外に出ずらんと
壺の中で暴る

壺は出さまいと
地に張り留まる

ひびはやがて
全てを巡った
本来は壊れる筈である

だが
形は保った侭だ
何故だろか

泥である

泥は
出ようとした
壺は許さなかった

故に
泥がひびを
補する形となった

これが水ならば
とうに壊れたろう

今日も壺は
其処にある

壊れる事を許されずに
泥と共に或

89:アビス◆wc:2017/11/18(土) 22:03

「大正明暗混々」

ざんぎり頭を
叩いてみりゃあ
文明開化の音がする

誰の頭を
はたいたので

自分の頭か
そりゃそうだ

他人の頭は
逆にしばかれる

人々は
各々の自由を
謳歌する

アッパッパを翻せ

喫茶処で
清涼珈琲水を飲め

閑雅な食慾
おむれつ ふらい

成金彼方ほら
御嬢さん
これで明るくなったろう

札を一枚
贅沢な灯り

体の中に
過剰投薬
其れで逝こうとも

狂になろうとも

自由 自由だ
アッハッハ

ばんから其処らに
西洋風の
ハイカるさん

兵隊勘定
御馳走様でした

90:アビス◆wc:2017/11/19(日) 20:19

(作者より)
>>89のについて

アッパッパ→女性のワンピース
兵隊勘定→割り勘
ハイカる→西洋風な格好、振るまい

これ等は大正で使われた言葉なんです
最近大正の言葉が良いなって思ふ
今日この頃

91:アビス◆wc:2017/11/20(月) 21:22

「惰する操人ノ形」

誰かに従っている方が
楽だ

自分の考えなんて
等に棄てた

怠惰に生きる事の
何が悪い

別に迷惑を
かけている訳じゃない

操人形は
全てを知り尚

たったった

らぁらぁらぁ

はいで御座います
ご主人様
歌いましょう 踊りましょう

仰せの侭に

糸ぷらりぴんと張り
手足逆でも
構いませぬ

さぁさぁ
どうぞ
操って下さいませ

自分が考えを
持つなんて
ろくな事が無い

災事を招くだけ
だから私は
怠惰に生きる

人の形をした
操で良ひ

人間を棄てた
後悔は無かった
今迄は

操人形は飽きられる
人間もまた飽きられる
私もまた飽きられた

埃を被り
うずくまる

望んだ筈なのに
何故後悔が

まぁ良ひとしよう

もう動かなくて
良いんだ

誰の為にも

欠伸を一つ
眠りませう

考える事すら
面倒くさい

92:アビス◆wc:2017/11/21(火) 21:27

「嫉蛇妬犬」(しじゃたくいぬ)

私は今日も我慢した
今日も良い子でした
なのに

報われないのは何故なのか

自分の欲しい物は
皆心に秘めた

家に帰れば
直ぐに家事もしている
なのに

何故彼奴ばかりが
報われる

何故彼奴ばかりが
幸になる

嫉ましい
妬ましい

私は刄を
心に突き立て
欲の木に降り下ろす

ぐしゃりと音立て落ちて
足元は赤と紫に
染まる

これで良いんだ
これで私は
もっと良い子に

なれる

良い子であれば
報われる

我慢をすれば
幸が来る筈

なのに来ない

他を困らせる貴様が
幸を手に入れられる

何故貴様なのだ

私は刄を
貴様に突き立てる

嫉みを鞘に
妬みを刀身に
貴様の心に

降り下ろす

今の私は蛇だ
嫉に狂いた

今の私は犬でもある
妬みて吼える

答えろ

貴様は如何やって

幸を手に入れた

首を足蹴に
私は問ふ

93:ピース・シィーン:2017/11/23(木) 15:43

とても才能のある詩だね。情景が想像しやすいし、思いが伝わってくる。これからも頑張ってね。

94:アビス◆wc:2017/11/23(木) 22:46

>>93
…私には勿体無い言葉だ
“才能”なんて…
とても嬉しいよ!有り難う!

95:アル◆RY:2017/11/24(金) 06:32

あ、アビス!
お久〜
アク禁解けたよ!
ごめんねこっちに書いて
ポエム上手いね!私なんて全然だから羨ましいよ…

96:アビス◆wc:2017/11/24(金) 17:52

>>95
久しぶり!
アク禁解けたんだ!
良かったね!!
詩、見てくれたんだ。
ありがとう!

97:アビス◆wc:2017/11/24(金) 17:59

「哀愚の人形師」

坊っちゃん 嬢ちゃん
寄っといで
お話しが始まるよ

工房から音がします
カンカン トントン

町一番の人形師
人の笑顔の為に
人形作り

人形師の人形は
誰かの手に渡る度
其の人を笑顔に出来る

不思議で素敵な御人形

さぁさぁ
坊っちゃん 嬢ちゃん
寄っといで

この人形師が
笑顔にしてあげよう

泣いてる子には
人形をあげる

涙を拭いて
さぁ笑おう

今日も頑張る
町一番の人形師
魔の手が来るよ

98:アビス◆wc:2017/11/24(金) 18:04

>>97の続き

人形師の工房に
ある人物が
やって来た

身なり絢爛の
貴族様
人形師に云いました

友達になろう
広い工房を作ってあげよう
僕の城に

君の為に

友達 其の言葉は
人形師にとって
初めての言葉

勿論です
嬉しいなぁ

初めての
友達が出来たのです
でも気をつけて

飴の様な
甘い言葉ほど
怖いものは無いのだから

99:アビス◆wc:2017/11/24(金) 18:10

>>98の続き

城にやって来た
人形師

貴族様が手招いて
おいで おいで
こっちだよ

案内された
地下工房
とても広くて

道具もいっぱい
うれし泣きだね
人形師

早速作ろう
人形を
トントン カンカン

ガシャアンと
突然何の音
戸惑い焦る人形師

檻の音だよと
貴族様
したり顔で微笑んで

作っておくれ人形を
僕と云う
友の為だけに

100:アビス◆wc:2017/11/24(金) 18:18

>>99の続き

まだまだ続くよ
坊っちゃん 嬢ちゃん
席は立っちゃいけないよ

閉じ込められた
人形師
それでも作ります

友達の為に
トンカン トンカン

心優しい
人形師
騙されている事に

まだ気づかないのです

そしてもう一つ
作った人形達が
何に利用されているのか

町の人々から
笑顔が消えました
それは何かわかりますか

人形師の人形達です

楽しませる為の踊りは
狂気のワルツへ
人々の体が飛ぶんです

101:アビス◆wc:2017/11/24(金) 18:36

>>100の続き

町の人々は云いました
人形達のせいで
家族が恋人が

友達が消えたんだ

作ったの誰だ
人形師ですよと
貴族様

許さないぞ
人形師

怖くないかい
坊っちゃん 嬢ちゃん
でも見ておいきなさい

町の人々に
貴族様は云います
退治しましょう

悪の人形師を

ガシャリと開いた
檻の音
出ろと云われ出た先は

怒りの町の人々で
人形師に
次々と石ぶつけ

102:アビス◆wc:2017/11/24(金) 18:51

>>101の続き

助けて友達よ
すがる人形師を

冷たく払う貴族様
次にこう云った

ここにおります
人形師
人々惑わす悪の人形師を

この僕が一生閉じ込め致しましょう
高らかに宣言
喜ぶ人々

理解出来てない
人形師

どうなるの ねぇどうなるの
まぁ焦らないで
坊っちゃん 嬢ちゃん

再び閉じ込められた
人形師
ここでようやく気付きます

自分が騙されている事に
でも人形師は
貴族様を責めませんでした

それは何故でしょう

友達だからです

103:アビス◆wc:2017/11/24(金) 19:04

>>102の続き

あぁ何という事だ
それでも信じているのです
余程うれしかったのでしょう

友達と云われた事が

何とまぁ
そして友達と云う言葉程
呪いが強い言葉はありませんね

そう思わないかい
坊っちゃん 嬢ちゃん
なんで泣いているのかな

刻々迫る
命の火が消える刻
人形師は考えます

どうすれば
人々は再び笑顔に
なれるのか そうだ

人形になればいい
早速作ろう
自分の人形

トンカン カントン
できたは良いが

次に何をすれば良い
そうだ

心臓に
心を乗せて
抜き取ろう

でも入れるのは
誰でしょう
人形ですよ

自分に従順な
人形です

自分の心臓と心を
抜いた人形師

人形は入れます
心臓と心を
でも目覚めません

人形は待ちました
自分が朽ちるまで
いつまでも

如何でしたか
坊っちゃん 嬢ちゃん
この愚かで哀れな

人形師の物語

この私の物語は

ぱち ぱち ぱち
拍手をありがとう

来てくれたお礼に
人形をあげましょう

笑顔になりましょうね

104:アビス◆wc:2017/11/26(日) 22:09

(作者ヨリ)
見てみたら100スレ行ってました

…飽き性でネガティブな
22歳の放浪者(バガポンド)が
此処までいくなんて

思ってもいませんでしたよ。

やー めでたや めでたや

105:闇竜の騎士◆cs:2017/11/27(月) 20:37

おー!
百レスおめ!

106:アビス◆wc:2017/11/27(月) 21:41

>>105
ありがとう!

107:アビス◆wc:2017/11/27(月) 21:52

「フロイント・アーデル」

かぁてんこぉる
ぱちぱち拍手
さぁまた始まるよ

わぁわぁと
寄っておいで
坊っちゃん 嬢ちゃん

開演には
まだ少し待ってくれるかな
ほら赤い飴をあげるから

いい子に三角座り
してようね

ごめんね 待たせたね
糸が絡まっちゃってたんだ

私を貶めた
貴族様

かつての友達
いや違う
今も友達だ

ねぇ早くみたいよ
焦らせないで
いい子にしてろと云ったろう

108:アビス◆wc:2017/11/27(月) 21:57

お城に住んでる
貴族様
民に慕われる

良い貴族様でした

ある日こんな噂を
聞いたとさ
自分よりも人々を

笑顔にできる
人形師がいると
僕の町に

そりゃ一目会ってみたい
僕よりも
慕われる者が

いるのなら

城を出た
貴族様

会う事で
互いの運命の
歯車が

ギギィと歪に音立て
廻り出す事を
まだ知らない

109:アビス◆wc:2017/11/27(月) 22:01

トンカン トンカン
鎚の音
ここにいるのか

町一番の人形師

これは客人
珍しい
こんにちは

何の用でしょう

僕と友達に
なってくれ
人形師よ

城に来てくれないか
君の為に用意しよう
広い工房を

人形師
友と云う初めての言葉に
感激し

友達になった
貴族様と人形師
ここからです

貴族様の心に
魔物が
住みはじめたのは

110:アビス◆wc:2017/11/27(月) 22:06

城に招いた
貴族様
ようこそ

町一番の人形師
僕の友よ

案内しよう
工房へ

逃がしは無い様に
扉に鍵かけて
君をここに

閉じ込めよう

僕の町で
僕より噂に
なるなんて

許せないから
君を招いたんだ

檻の音だよ
気にしないで
頑張って

作ってね
僕の為に

友の為に

111:アビス◆wc:2017/11/27(月) 22:11

地下工房に
鎚の音
トンカン トンカン

作られた人形
何れも今に
動きそうだ

ガタガタタ
突然動く
人形達

貴族様
驚き腰抜かす

人形達
貴族様の方に
ギョロリ振り向き

膝をつく

従います
どうぞ何でも
お申し付けを

それならば
町に行き
民に害を

与えてくれ

112:アビス◆wc:2017/11/27(月) 22:16

これでいい
僕が慕われるなら
民に害があろうが

知った事じゃない

黒笑浮かべる貴族様
そこに
かつての貴族様は

もういません

いたのは
心を嫉妬に燃やされた
己の称賛のみを欲する

一人の人間ではなく

一匹の魔物なのでした

この時の
人形師は
知る由もない

友達が
魔物になって
自分の作った人形が

人々に害を
なすなんて

113:アビス◆wc:2017/11/27(月) 22:24

町に人形降り立った
人々の逃げと悲鳴は

狂気のワルツと
ゲシュライ・プレリュードだ

厄災のギグを用意した
指揮者の貴族様

自作自演のリフは
準備済み

民達よ
あの人形達を
作りしは

町一番の人形師だ

人形師を許さない
怒れる民達に
僕はこう云った

悪の人形師は
この僕が
退治しましょう

114:アビス◆wc:2017/11/27(月) 22:26

僕に対する
拍手喝采
これなんだよ

もっと僕を
慕って敬え
ほらさっさと

民草共が
グズグズするな
僕は貴族様だ

115:アビス◆wc:2017/11/27(月) 22:30

ここから先は
前に話した
通りを参考に

今回のお話
これでおしまい
坊っちゃん 嬢ちゃん

貴族様は
如何なったか
今もここにいるよ

私の人形として
友達として

さぁさぁお帰り
坊っちゃん 嬢ちゃん
親の所へ

朝告げ鶏が
鳴いたから
ここでお別れ

また会おう
会えるかな

116:アビス◆wc:2017/11/28(火) 16:23

「金満虚心」

友の沙汰も金次第
赤の他人に
金積んで

友達装わす業が
本当にあるだとさ

其の場凌ぎの
孤独紛らし
楽しい 楽しい

誰の為
他人の為
そんなわきゃない

自分への上げ指が
欲しいだけだろう

友充あぴぃる代行業

ご先祖様へも金次第
赤の他人に
金積んで

墓へ参わす業が
本の当にあるだとさ

ご先祖様も
馘捻る

こやつは誰だと

墓参り代行業

他にも色々
代行業界

忘れちゃならない
呪祖代行

丑の呪神への
願い事
代わりに

請け負うと
云われとます

宿題工作の
代行業

子にやらせたくないからと
親心

ロクな大人にゃ
なれないね

金が満つりゃ
人の心は
虚となる

117:アビス◆wc:2017/11/30(木) 21:10

「王は故に である」

人はこの世から去るたら
何に先ずなると思う

王様になるんだよ

人から姿は
見えないから
好き放題

何処へだって
行き放題

この浮世を
楽しもう

あっはっはと
笑い乍
飛んで行く

君を空を
私は
見上げる

彼の者は
知らないのか
誤魔化しているのか

何処へだって
行けるのなら
想ひ人の処へも

行けるだろう

生前思いを
伝えられなかった
今度こそ

想ひ人よ
此方を
向いてくれ

そして
云わせてくれ

貴方を思ふ者は何時でも
貴方の傍に

いたと

其の声は
想ひ人に
届かない

なら姿も
見えないさ

大粒の
涙珠を流する
王様は

何とまぁ
孤独な
王様で

ありましょうか

好き放題
していても

想ひ人に
伝える事はもう

出来ないのですから

118:アビス◆wc:2017/12/01(金) 20:22

「喜亡生叫」
(ヨロコビナキハ イケシモノサケビ)

骨はだけた
白手で招く
おいで おいで

此方へと

目玉片方
落ちた顔で
ぎょろりと見つめる

其の先は

三味線
弾き語る
坊主様

うとりと
聞き魅いられて
次々仲間が

浄土か
地獄へ

葦原中つ國を
去る者達への
慰め歌

坊主様は
今日も
弾き語る

亡者仲間に
誘われ今日も

弾き語り
坊主様の元へ
行って来ます

今日は何やら
仲間が怒りだ

何故だろか

坊主様が
弾き語る
三味の線音

あの頃の魅力は
何処へと行った

あの音を聞いて
私も漸く
逝けるかと

浄土か
地獄へ

役に立たぬ
坊主はいらぬ

雑音奏でる
坊主の耳を
引き千切れ

女の事ばかり考える
生臭坊主の
脳味噌を

掻き摺り出して
代わりに
石を詰めようか

今はもう
我等を浄する
歌は無い

代わりに
我等が
歌うだけ

生者よおいで
此方へと
共に歌おう

喜と叫に分けて

119:アビス◆wc:2017/12/01(金) 20:34

「人形が遊ぶ」

人形は遊ばれる
腕を千切られようと

只 其処にあるだけ

目をぶちりと
毟り取られても
人形は

表情を変えない

綿が出てきた
人形にとっては
人間にとっての

内臓である

色々な所を
いじられて
弄ばれて

人形とて
平気な訳がない
そして思う

私達だって
遊びたい
人間で

ねぇねぇ
人間 何して遊ぶ

かごめかごめが やりたいよ
後ろの正面だぁれ

わぁい私達の

かぁち

周りの人形が
騒いでる

何するの
そうだ
私達がやられている事を

しましょうよ

それじゃあ
何しよか

わたしは腕を
千切られたから
腕にしよう

ぼくは目を
毟られたから
目にしよう

それよりも
中身が見たいな
人間の

私達は
綿でしょ

人間は
どうなのかな

人形達は
無邪気な
好奇心で

人間に群がる

ありゃりゃ
綿じゃないんだね

赤い綿なんだね
人間て

120:アビス◆wc:2017/12/03(日) 22:26

「不噛合」(カミアワズ)

月に住む
美しの君よ
餅をつく兎は

其処にいるかい
ぺったん ぺたん

此方の兎は
餅をつかないけど
元気に野山を

走り回るんだ

月の友たる地球に住む
名知らぬ男子よ
そちらの四季は折々ですか

私は一度
地球に
降りましたが

人の美しさ等
霞の様で
もう一度

見に行きたいと
思いました

僕は知りたいな
貴方の名が
なんて云うんだろう

私の名は
輝夜姫と
云うのです

とても素敵な
名前だね
輝夜姫

私は貴方と
話していると
何処か楽しいです

僕もだよ
ねぇ次は何時
会えるかな

わかりません
この文のやり取りは
私と貴方だけの

秘密ですから

私にしかわからない
地球の男子と

僕にしか見えない
月の美しの君との

何処か噛み合っていて

何処か不噛合の
文のやり取り

121:アビス◆wc:2017/12/05(火) 21:46

三匹の子豚
何時も仲良く
暮らしてた

日常平和の謳歌
其れを壊す
腹空きの狼が

涎だらだら
丸腹肥えた
三匹子豚

御飯は彼奴達だ

長男は作る 藁の家
次男は作る 木の家を
三男は作る 煉瓦の家

藁の家と木の家は
狼の息で
びゅびゅうと

飛ばされた

長男 次男
たったか逃げる

狼其れを
だっだ追う
待てこら逃げるな餌共が

三男の家に
逃げ込んだ

狼びゅびゅうと
吹いてても
壊れやしないの

煉瓦だから

しょうがない
狼諦め
帰ってった

其の侭
居座る
長男 次男

掃除しろ
綺麗にして

お腹が空いた
ごはんを用意しろ

家を建てろ
長男と次男の分
建てた

そして三男
火をつけた
二匹の兄の家

ごうごうと
焼ける音

もくもく
いい匂い

釣られ来たぞ
腹空き狼
逃げないと

長男次男
窓から逃げる
けど抜けない

其れを見て
やつれた顔で笑む三男
良かった ぴったりだ

うふふ うふふ

腹空き狼
満腹狼になって
帰ってった

122:アビス◆wc:2017/12/06(水) 21:49

「虫の苗床」

暗い深い
森の中
動かなくなつた体を

虫達が食べに来る

きいきい鳴いて
もそもそ体を
這つて上る

体がこそばゆい

開いた
口に
巣作つて

肉をぶちり
餌にして
蟲育て哉

月を臨む
母蝿は
腐肉に仔を

産み落とす

蛆等は
じゆるじゆる
顔の中

他の虫達も
ぞろぞろ
体の中

気持ちが悪い
筈なのに

気分は何故だか
子を育む
母の様だ

愛おしい

人間ではない
かといつて
屍でもない

今の自分は

虫の苗床だ

そう思える

123:アビス◆wc:2017/12/06(水) 22:24

「白銀問答」

雪降る白空に
目を遣り

其の視線を
地へと移せば
いるみねいしよんが

ちかちか光る

拡声器からは
冬に因む音楽が
飽くる程に

耳に来た

街歩く人々見やば
互いの温もり求むる
男と女が

ちらほらと

人は聞くだろう
こんな時期に
人間観察なぞ

面白いのかと
外に出楽しむのは
如何かと

私は答えよう
面白いさ
ほら御覧よ

彼処で
ぎやんぎやん
云いあう

男と女を

まるで
犬の様だろう

くつくつと
私は口元
隠して目を細め笑う

其れに私には
寒で冷えた手を
暖める者等

居やしない
独り者の
身 故に

外に出
楽しむ勇等
ありやしない

臆病者さ

どうせ
行つたつて
何も無い

ならば
暖かい部屋に
引篭つて

蛞蝓と
なつた方が良い

そう思わないかね

と 私は人に
質を投げ返す

そして青鯖缶を
開けて
一つ口へと放つた

124:アビス◆wc:2017/12/08(金) 20:11

「空の壺は何で満つるやら」

他に汚された私を
貴方は何処まで
消してくれるだろうか

見知らぬ者に
拐わかされ
私の秘所を姦されて

泣きじやいて帰つて来た私を
貴方は只黙つて
抱き締める

其の侭
貴方の匂いが
染み付いた寝の床へ

私は倒され
上に跨がり
貴方は囁く

何処を姦された
云つてみろ

云いたくない
私は拒んだ

云わなければ
消す事が

出来ないだろう

妖しく笑い
艷気を含んだ
声で云つた

震える手で
私は己の体に触れた

忘れさせてやる
消してやるさ
乃公の手で

だから泣くな
記憶の為だけに

啼いて良いのは
乃公の為だけだ

体が重なる
映る影も又重なる

消して欲しい
貴方の手で
記憶を

そして満たして
貴方の物で
何も無くなつた

私の空壺を

125:アビス◆wc:2017/12/08(金) 20:20

「文字館 孤ノ主」

古ぼけた外装に
蔦が張つている

中は蜘蛛の巣ばかり
こんな所に人なんて
住んでいるのか

と里人は頚をかしげる

本当にいるのだ
嘘では無い

外から声がする
喧しい事
この上無いな

目玉の入つた
かんてらと共に
外を見下ろす一人の影

其れこそが
この館の主である

私には
不思議な力があつた

者を物を
文字にす力
だから他に

化物だと
疎まれた

だから私は
人で在り乍
人では無い

以前
迷い込んだ猫は
文字にしてあげたよ

理由は無い
強いてあげると
するならば

私に質問を
したからだ

館の主は
今日も孤である

漂う文字は
今日も意味を成さず
主の為に

126:アビス◆wc:2017/12/08(金) 20:29

「愛閉ジノ檻」(メトジノオリ)

私が入つている
檻の外にいる
貴方に手を添える

貴方は
何を考えているのか
判らない表情で

私の首に
触れ返す

そうだつた
貴方は愛情を
伝えるのが下手だから

私を檻に
閉じ込めたのだつけ

逃げない様に
首輪と紐迄
購つて

色は青だよ
私の好きな
色だから

貴方は云つた
嫌な事はしない
檻の中に

居てくれるだけで良い

だから私は
ずつと檻の中だ

外の世界なんて
知らない
知らなくて良い

私にとつては
貴方が世界だ

貴方が何処か
別の世界へ
逝つたら

私も又
貴方を追い
其の世界へ

逝く事でしよう

貴方は世界で
世界は貴方
なのだから

127:アビス◆wc:2017/12/08(金) 20:49

(作者ヨリ)

私ガ小サイ“ッ”等ヲ
大文字ニシテイルノハ
ワザトデアル

決シテ間違イデハ無イノデ
アシカラズ

128:アビス◆wc:2017/12/09(土) 22:22

「背徳ニ請ウハ道徳カラノ解放」

ねぇ
次は何時
会えるの

何人の誰に
云つたつけ
この言葉

布に
己の体を包み乍
私は呟いた

布には
互いに交合つた
匂いが

未だ染み付いている

私は
奪う事でしか
人を愛せない

こんな私は
可笑しいのだろうか

否 可笑しくは無いな
奪う事が悪いと云うのは

其れは只の周りの
道徳的価値観だ

奪う事は
私にとつての
価値観だ

道徳的で
在る事は
私にとつての

苦痛でしか無い

洗脳的道徳から
解放されたくて
私は他人の愛を

奪つた

背徳と云う
禁断の蜜の味は
とても甘美であつた

他の愛が
私への愛と
変わる様は

私を
快楽の泥沼へ
頭の先から

溺れ堕とさせる

沼からは
もう這い上がれ無い

這い上がら無い

道徳と云う洗脳から
解放されるならば

其れで良い

129:アビス◆wc:2017/12/11(月) 00:42

「音終弾」(ねおわのたま)

乾いた銃弾は
又一つ音を
終わらせた

虚空に目を遣り
吐く息の白さに
寒を感じる

赤に染まる地と
倒れる人間を見て
呟く

駄目だ
今日も
去る事が出来なかつた

この退屈に
崩れ去る世界から

去りたいなら
去れば良いだろう
自らのこめかみに

銃口を向けて
其れで終わり
この世界から

去れるぞ

其れが駄目なんだ
もう一人の自分が
拒むから

我は汝
惨憺たる者なり

汝は我
弱き者による
壊を望まず

強き者にて
壊を望みたり

音に終わりを
告げし者が

涙を流す
御前では無かつた

130:アビス◆wc:2017/12/12(火) 21:37

「病風」(やまいかぜ)

己の不摂生
其処に祟りて寄るは
病風

躰の隙に
入り込んで
凡百病を引き起こす

風の邪
肺が炎か
或いは別か

全が蝕まる前に
医者に診て貰え
針の一射し其で了だ

だが病の魔は
風に乗つて
又やつて来た

全が蝕まりや
動けず仕舞いの
其で了で

天井の
木目仰ぎ
苦を抱えん

131:アビス◆wc:2017/12/13(水) 20:47

「眠 子子 寝」(ネ ネコ ネ)

夜ガ来タリ
命或者ハ
眠リニツコウ

船ヲ漕グ躰ハ
岸ニ着ケテ
コクリ コクリ

羊ガゾロゾロ
メエメエ鳴イテルヨ
数ヲ数エテ

壱匹
弐匹
参匹

眠レ無イナラ
温カイ牛ノ乳ヲ
カツプ一杯

子守唄デモ
聞キマシヨウ

揺籠ニ
躰ヲ埋メテ

金糸雀ガ
唄ツテ

上ノ枇杷ノ実
揺レテ ユラアン

蔦ヲ木鼠
ユサユサ揺スル

夢ニ黄色イ
月ガ出テ

スヤア スヤア

フワア

目ヲ閉ジテ

グウ グウ

132:アビス◆wc:2017/12/13(水) 21:54

「言葉届ど只卑下たる己」

私の綴る
言葉は魚である
逃げる魚を

針と云う
筆で釣り

たもと云う
紙にて捕らえる

さしずめ私は
太公望

私の綴る
言葉は虫でも或
逃げる虫を

蜜と云う
墨で誘い

籠と云う
本にて捕らえる

さしずめ私は
麦藁帽の
夏山駆ける

虫採り少年哉

否 私は只の
年を喰つた
人間の女

美しさも
可愛気すらも
存在しない

居ても居なくても
変わらない

其れが私である

133:アビス◆wc:2017/12/15(金) 19:09

「釘と標本」

釘と云うのは
実に便利だ
物を其の場に

留めて置ける

欠かせないのは
本だ
留めた物を

挟ま無ければ
標本にはならない

釘を片手に
私はアハハと笑う

両手両釘
両足両釘の
君は問う

恨みでも
何か在るのかと

有るには或
私は他者が
嫌いだ

君は
私にとつての
他者だ

けど君が
他者と
笑うのを見るのは

もつと嫌いだ

そして私は
標本が好きだ

生きずして
黙ても尚
生きている様だから

君が
私にとつての
他者で無くなるには

如何すれば
答えは簡単だ

私の好きな
標本にすれば良い

だから君は
私の好きな
物で

在つてくれ

光る釘の切つ先よ
最後の一刺しを
君にあげよう

134:アビス◆wc:2017/12/15(金) 22:52

「脳界異探」

在る者が云つた
私の脳内を
覗いてみたいと

如何やつたら
其んなに言葉が
出てくるのかが不思議だと

止めておけ
迷うぞ
と或国の少女みたく

案内役等も
存在無い

繋がらない
階段は無数に在り

橙と黒の混じる
昼か夜かも判らぬ空に

汚濁なる海と
反して地に白砂が
在るだけだ

其れでも
いいと云うなら
覗くが良い

私の脳内に
道は無いが
猫と足跡に

付いて行くと良い

桃色の象には
触れるなよ
彼奴は凶暴で

頭蓋は
簡単に粉と臓物に
なるからな

地面をうごめく
群毛虫にも
触れないでくれ

私が笑う

猫と足跡が
途切れたら
杉の木を切れ

そうしたら
目が覚める

135:アビス◆wc:2017/12/15(金) 23:05

「言ノ葉の魔法使い」

私は
魔法使いである

あらゆる言語を使い
新たなる呪文を創り出す者

世や人は
其を詩と呼ぶ

私は憧れた
サムボリスト・アン・ノワァルに

其の者は何時も
黒ずくめの帽子と
マントを愛用し

仲間と共に
複雑難解な言葉記されし
高度な魔導書を読み更けていたと云う

其の者の創造せし呪文は
現代においても
数多を惹き付け魅了する

私も又
惹き付けられた者の
一人故

魔法使いと
なった

未だ未熟な
魔法使いだが

私なりの
呪文を描きし
魔導書は

これからも
思いつければ
書いていこうと思う

136:アビス◆wc:2017/12/18(月) 21:51

「傲慢女王 首バケツ」

女王の声は
民の耳に良く通る

民の声は
女王の耳には届かない

女王は
肥えている

民は
飢えている

女王は云う
飢えているのなら
食べ物を食べれば良い

民は云う
食物は何処に在る

女王は指す
其処らに在るじゃない

民は指す
虫や雑草の事か

そうよと
女王はケラケラ

ふざけるな
怒れる民

逆らう者は
首斬りで
兵に女王が命ずる

斬首の民は
バケツの中

絶対独政の
傲慢女王
其の姿は

獅子か孔雀か

吼えて荒げ
絢爛装飾

だが其れも
長く続かず

斬首台の上に
女王が居る

取囲み
未だか 未だか
待ちわびる民

女王の姿は
何処にも無い

在るのは
牙無き獅子か
尾羽根毟れた孔雀か

ギロチンは
首を斬った

女王は
バケツの中だ

137:アビス◆wc:2017/12/20(水) 21:24

「叶わぬ夢は己為の娯楽」

遠き座に在りて
手元に残らぬ銭程
虚しい物は無い

朝から夕迄
己の時を贄にし
生くる為に働いた

己が何れだけ
働いたかは
紙に記された

数字のみぞ知る処

紙を持ち乍
私は帰路に着く

皆で働かねば
生活は成り立たない
だが少しでも

娯楽は在る
片方だけだが

もう片方には
殆ど無い

くれる余裕は
無いと云い乍
片方の娯楽を楽しむ姿は

正直羨ましい

余裕は無い事は
知っている
だから私は

我慢を
し続けている

賞与すらも
生活の為に
捧げた

本当は
己の為のみに
使いたかった

叶わぬ夢を
持ち乍
私は今日も働く

目の前の
人参を食べられぬ
馬の様に

138:アビス◆wc:2017/12/21(木) 22:17

「脳界探人」

彼の者の
脳界は
実に不思議だ

階段は
階段の意義を
成してはいなかった

空の色は
目眩がする程の
橙と黒が

白砂を歩いていたら
生物は住んでいない
汚濁な海で

否 生物はいた
生きていない物だったが

コクリコの様に
赤い森の中で
桃色の象が

酔っ払いみたく
機嫌良く踊っている
近付いたら

頭蓋を
潰されそうに
良く見たら

怒って
暴れているのだった
危ない 危ない

案内の
猫と足跡が
跡絶えた

目の前に
杉の木と鋸が

切り倒したら
元の世界へ
帰れたが

戻れなかった

139:アビス◆wc:2017/12/21(木) 22:27

「炬燵漫談」

炬燵の上に
蜜柑が篭に一杯
其の一つを剥いて

口へと放り
端からも見て
自分達からも見て

下らない漫談を交わす

蝸牛と蛞蝓の違いは
何か
答えは殼が在るか無いかと

仲間が云う

では美女や美男の
定義とは何かと
仲間が云う

私は云った
人は性格以前に
見た目を見る

顔と体だろう

幾ら性格が
良くとも

顔と体が
良く無ければ
異性は振り向きにくい

そうだろう

剥いた
蜜柑の皮で
熊が出来た

此方は
皮が途切れずに
此処まで長く剥けた

今度鍋をしようか
材料は如何する

何か適当に
一品ずつで

世間では
其れは鍋では無い
闇鍋と云うんです

炬燵の上で
広がる
漫談と笑いは

下らないが
平和で或

140:アビス◆wc:2017/12/22(金) 22:17

「賽子賭天獄博」

丁か半か
さあ何方だ
選べと急かす

半だ
奇に賭けて
よござんす

賭けた結果は
丁で
負けざんす

又負けた
畜生もう一回

賭ける物は
未だ有るのか

嗚呼 有るさ
自らの命を
賭けてやらあ

次で
倍以上に
してやるよ

あんたさんの
たった一つの
命は

此の二つの
賽子に
委ねられやした

切った
張ったの
丁か半か

選びなすって

今度は丁だ
偶に賭けて
よござんす

結は果にして
如何に

ピンゾロの丁で
ございやす

救われやしたね
賽子に

此れが有るから
止めらんねえ

次のチンチロ
有り金全て
賭けて

賭博長者と
なってやる

丁か半か
何方を選び
天を見るか

獄を見るか
丁に次も賭けてやる
さあ結果は

如何に

おや
あんたさんの
負けでござんすね

有り金全て
戴きやしょう

序でに
命も
戴きやしょう

半でやんすから

141:アビス◆wc:2017/12/23(土) 16:55

「達磨の愛し君」

達磨になった
気持ちって
どんな気持ち

歩ける
立つ事
出来ないよね

お風呂も
ご飯も
日常生活全て

私が居なきゃ
いけないよね

なのに君は
一度も私を
愛しちゃいない

其れ処か
礼も無し

今から私が
君から離れたら
何が出来るかな

歩く足が
無くなって

食べる手も
失って

其の全てを
やっている
私が

でもね
ごめんなさいって
云えたら

私を愛して
くれるなら
許してあげる

其の為に
口だけは
残してあげたんだ

手と足は
何処かと
聞いたね

手はもう
返したよ
君の中に

足も今から
返してあげよう

口を開けてよ
でないと君に
返せない

いらないなら
私が貰うよ
私の中に

ごめんなさいって
良く云えたね
いい子 いい子

でも恐怖から
私を
愛さないでね

心の底の
底から

私を
愛してね

愛し君の達磨さん

142:アビス◆wc:2017/12/23(土) 17:11

「御伽語 夜共浦」

細波白立つ
青の海
其処に似合わぬ

亀苛めの餓鬼達
のろまだ 蹴ってやる
痛みに耐え

助けを願い
現れは
腰簑履きし

釣青年
金で餓鬼釣り
亀助けん

助けた亀に
連れられて
向かいた先は

海底に在りし
絵不描なる
美しき竜宮城

迎えたるは
竜宮の姫君

暫く居なさい
この城に

貴方に退屈
させません
昼の時も

夜の時も

昼は魚が
舞い踊り

夜は
体の遊戯を
致しましょう

楽し時を
過ごし続けて
幾星霜

帰りに
渡された
玉手箱

海から
久しく
地を踏みしめ

母の元へと
急ぎたるも
母は亡し

村の者達は云う
放蕩息子の
お帰りだ

お前の母は
帰りをずっと
待ち続けた

出ていけ
親不孝者が

さ迷う青年
箱を開けるも
僅かな飾り物

時が経ちて
砂浜を
虚ろに歩く

一人の翁

翁は
探し続ける

亀よ
出てきてくれ

其して私を
もう一度
あの場所へと

143:アビス◆wc:2017/12/23(土) 17:27

(作者ヨリ)

此処に書いている詩全ての
題名が決まった故に
載せていきます

引き続き詩の感想を
お待ちシテオリマス
(荒しや悪口は犬に喰わせます)

144:アビス◆wc:2017/12/23(土) 17:53

最初に載せるのは
何を“もちぃふ”にしたかとか
“しりぃず”系から

145:アビス◆wc:2017/12/26(火) 21:17

…どうしよう
無くしてしまった“のぉと”を…

146:闇竜の騎士◆qA:2017/12/27(水) 21:35

おー!久しぶりに来たらレス伸びてる!相変わらず上手いねぇ

147:ねこさ◆pU:2017/12/28(木) 11:04

久しぶりです。
アビスさんの詞はやっぱり素敵です!新しいのも待ってます

148:アビス◆wc:2017/12/29(金) 20:17

>>146 >>147
嬉し過ぎるわぁ…(嬉泣)
今此処で“たいとる”全部書くから
其れ迄待っててね。

149:アビス◆wc:2017/12/29(金) 20:24

第壱部
>>23>>24
『灰ノ姫』(シンデレラ)
>>25>>26>>27>>28>>29>>30
『少女ノ不思議』(アリス)

150:アビス◆wc:2017/12/29(金) 20:29

第弐部
>>32>>33>>35
『文字館 好奇猫』
>>37>>38
『七人岬 罪数』
>>42
『御伽語 何方葛』(舌切雀)

151:アビス◆wc:2017/12/29(金) 20:36

第惨部
>>44>>45>>46>>47
>>48>>49>>50>>51
『磨羯鋏』(狼と七匹の子山羊)

>>54>>55>>56>>57>>58
『御伽語 猿蟹奇譚』(猿蟹合戦)

152:アビス◆wc:2017/12/29(金) 20:41

第肆部
>>59
『竜胆女 加』
>>71
『竜胆男 虐』
>>61>>62>>63>>64
『御伽語 火茅兎』(かちかち山)
>>65>>66>>67
『災笛』(ハーメルンの笛吹き男)

153:アビス◆wc:2017/12/29(金) 20:47

第伍部
>>69>>70
『怪少年』
>>73>>74>>75
『文字館 愚ノ冒険者』
>>83
『文字館 遣蝙蝠』
>>76
『ネクロ性愛』
>>77
『睡眠フィリア』
>>78
『オキュロ愛好』

154:アビス◆wc:2017/12/29(金) 20:50

第陸部
>>97>>98>>99>>100>>101
>>102>>103
『哀愚の人形師』

>>107>>108>>109>>110
>>111>>112>>113>>114
>>115
『フロイント・アーデル』

155:アビス◆wc:2017/12/29(金) 20:54

第七部
>>121
『焼豚』(三匹の子豚)
>>125
『文字館 弧ノ主』
>>142
『御伽語 夜共浦』

156:アビス◆wc:2017/12/29(金) 20:59

第捌部
>>1
『幽追歌』
>>2
『喰魚』
>>3
『黄泉歩』
>>4
『曰招』
>>5
『恋病女』
>>6
『二添』
>>7
『誰か』
>>8
『魔カ宴』
>>9
『螺折』
>>11
『悪戯角灯』

157:アビス◆wc:2017/12/29(金) 21:06

第玖部
>>12
『南瓜の報復』
>>14
『小箱親』
>>15
『鶏絞』
>>17
『林檎化族』
>>21
『一夜限道化』
>>60
『氷女王』
>>72
『華汚』
>>79
『赤クレヨンと少年』
>>80
『色山羊に妄呵責』
>>81
『吉遊情事』

158:アビス◆wc:2017/12/29(金) 21:13

第拾部
>>82
『兎に思ひ 角も人』
>>85
『洗い髪のヴイナス』
>>87
『桜花の正腐虫』
>>88
『泥壺』
>>89
『大正明暗混々』
>>91
『惰する操人ノ形』
>>92
『嫉蛇妬犬』
>>116
『金満虚心』
>>117
『王は故に である』
>>118
『喜亡生叫』
>>119
『人形が遊ぶ』

159:アビス◆wc:2017/12/29(金) 21:21

第拾壱部
>>120
『不噛合』
>>122
『虫の苗床』
>>123
『白銀問答』
>>124
『空の壺は何で満つるやら』
>>126
『愛閉ジノ檻』
>>128
『背徳ニ請ウハ道徳カラノ解放』
>>129
『音終弾』
>>130
『病風』
>>131
『眠 子子 寝』
>>132
『言葉届ど只卑下たる己』

160:アビス◆wc:2017/12/29(金) 21:28

第拾弐部
>>133
『釘と標本』
>>134
『脳界異探』
>>135
『言ノ葉の魔法使い』
>>136
『傲慢女王 首バケツ』
>>137
『叶わぬ夢は己為の娯楽』
>>138
『脳界探人』
>>139
『炬燵漫談』
>>140
『賽子賭天獄博』
>>141
『達磨の愛し君』

161:アビス◆wc:2017/12/29(金) 21:29

やっと…全部書けたぜ…
これで新しいの書ける…
早速書こう

162:アビス◆wc:2017/12/29(金) 21:36

「罪光」

罪の色は
闇に例えられる

罰の与色は
光と例えられる

では
光の罪は無いのだろうか

闇の罰は
聞いた事あるが

光は
凡百物を照らし出す

其の誰もが
光の中で
生きて行ける訳では無い

闇の中でしか
生きていられ無い者もいる

だが光は
闇を潰さんと
輝き続ける

目が眩む
開けては
いられない

光よ
全ての闇を
かき消さんと

照らし続けるのは
やめてくれ

闇でしか
安寧を得られぬ

我等の住を
奪うな

罪光よ

163:アビス◆wc:2017/12/30(土) 17:41

『厨の歌』

右目が疼く
我が目に宿りし
索敵の眼が

闇に潜む
我が敵の所在を
教えてくれる

其の敵は
我にしか
見えぬ故に

我にしか
討てぬのだ

幾度となく
狩りし物の血で
手を濡らし

狩りし物の骸で
道を歩んだ

其処に我以外
何も無い

我の友は
骸である

164:アビス◆wc:2017/12/31(日) 23:04

「酉から戌へ」

今年も時は流れ
新たなる年が始まる

今年を守護せし
干支の酉は

次の年を守護する
戌へと襷(たすき)を渡す

人間に有る百八の
煩悩打ち消す
除夜の鐘が

ごぉーんと鳴り

酉はコケェ
戌はワンと鳴いた

165:アビス◆wc:2017/12/31(日) 23:07

(作者ヨリ)
>>164の詩について

今年も終わりなので
即興で書いてみたよ

では皆さん!
良いお年を!

166:アビス◆wc:2018/01/03(水) 22:03

「自傷王国」
(スーサイドキングダム)

とある国の
住民は
皆何故か

傷がある
どうしてなのかと
聞いてみた

それが
この国だと
住民答え

また傷を作る

腕に
カッタアを当てて
スパリと切った

流れる血を
周りも本人も
止める気は無い

これでもっと
褒めて頂ける
あの方に

突如現る
全身傷だらけの
女の人

女王だ
女王様だ
喜に沸いて

血が飛沫く

住民よ
今日も素敵ね
傷だらけで

光栄です
お褒め頂けるなんて

さぁ皆さん
今日も張り切って
傷を作りましょう

傷を作れば
美も醜も
関係無いんです

平等になれるんです

此処は
自傷王国だ

そう呟き
足に畳み刀を
突き刺した

そうした方が
良いと思ったから

女王様の
仰せの侭に

167:アビス◆wc:2018/01/04(木) 21:22

「自傷規則」
(スーサイドルウル)

奇妙至極たる
其の規則

自分で
傷を作りなさい

傷を作る
部位は
何処でも良い

でも
彼岸の方へ
逝っては

いけません

他人に
傷を付けられたら

付けた方も
付けられた方も

斬首台で
仲良く
斬りましょう

使う物は
何でも
良いのです

鋏でも
カッターでも
氷穿棒でも

兎に角
傷を作れば
良いんです

誰もが
従わないだろう
其の規則

でも
住民は
従がっていて

其れでいて
幸福そうだ

平等だから
皆傷付いて
いるのだから

168:アビス◆wc:2018/01/05(金) 23:20

「自傷女王」
(スーサイドクイーン)

今日も
平等ね
私の国の

住民達は

やっぱり
正解だったわ
自らの傷を

作るのは

最初は皆
恐くて震えて
反発もあったっけ

でも私は
女王だから
住民に見せしめた

先ず自分の足に
釘を刺した

次に
熱した鉄棒を
腕に押し付けたの

住民は其の度に
悲鳴を
上げていたわ

でも私には
私を讃える
歓喜に

聞こえたの

否 そうに
違い無いわ

そうじゃないと
駄目なの

私が
自ら模範に
なったら

自分達で
傷を付ける様に
なったのよ

嬉しいな
判ってくれて

ほら見てよ
住民達が
楽しそうに

傷を付ける
姿を
幸せそうでしょう

平等でしょう
だから私の国は
争いが無いの

平和なの

どうやら女王は
民を憂う余り
心に重症を

負ったようだ

だから彼女は
女王なのだ

169:アビス◆wc:2018/01/08(月) 20:52

「忘れられぬ 忘れられた物」

人が造りし
人に富を
与えたもう物は

大地の嘆きに因って
崩された

其の時に現れた
見えない災は
人に寄り添い

人を蝕んだ

其の禍根は
子孫にも
現れる

常と異なる
姿となって

そして其れは
人以外の
生物とて

例外では無い

茸は化け
魚や獣
動く物は皆

人が造りし
富に因る
災にて

まるで
神話に出てくる
混成獣と化した

其れにも関わらず
人は時が経てば
忘れる生物

新に生まれる
子達に
語り継げようか

忘れられぬ
忘れられた物よ

嘗ての
人の居た場所は
緑の地となりて

170:アビス◆wc:2018/01/09(火) 21:42

「人時計」

人が持つ
時計は
皆其々

違うらしい

刻む時の
速さは
ゆっくりなのか

早いのか

刻む時の
早い時計は
ゆっくり進む事は

無い

刻む時の
遅い時計は
早く進む事を

強いられる

だけどどちらにも
止まる時は
何時か来る

早い分
止まるのが
早い訳では無い

遅い分
止まるのが
遅い訳でも無い

人の持つ
時計と云うのは
判らない

だが
早いのか
遅いのかは

其の人を
見れば
判る事

171:里予獣先輩:2018/01/09(火) 21:55

「人時計」なかなかいいゾ

172:アビス◆wc:2018/01/10(水) 00:52

>>171
ありがとう!

173:アビス◆wc:2018/01/10(水) 20:28

「脳界脱法」

どうすれば良い
自分の体に
戻る方法は

脳界に
長く居すぎた
桃色の象が

長鼻を振り回し
怒り狂うて
追って来てる

走った
走ったのだけれど
象が思ったより早い

白砂に潜む
ヤドカリが
足をつまづかせ

象が踏み潰した
私ではなく
ヤドカリを

ヤドカリは
バラバラの
片になっても

ウゴウゴと

こっちだよ
白黒の少女が
手招く其の方へ

危を免れた
でもまだ
根本的問題が

脳界から
脱するには
どうすれば

探人は問う
少女は云った

金の鍵を
探しなさいな

この脳世界の
何処かに有るよ

少女は消え
声のみが響く
嘲笑か

戻りたいと
思っては
いるようだけど

其れが
本当に
貴方にとって

喜終と
なるのかしら

174:ゆ◆z6:2018/01/10(水) 23:04


相変わらず難しい言葉多くて解読が少し難しいけど、
やっぱり世界観がめっちゃ好き!

声はかけれてないけど、ちょくちょく顔だして読ませて貰ってるよ(-'ロ'- )


175:アビス◆wc:2018/01/11(木) 20:16

>>174
うぉわあああ!?
本気(マジ)でかあぁぁ!
ありがとうおおぉ!

あー…矢張り難しいかぁ。
何気(なにげ)に
昔の言葉とか使ってるからなぁ。

176:アビス◆wc:2018/01/11(木) 20:24

「強か狐と欲針鼠」

瓦屋敷の
其の下で
怪しく取り引き

狐と針鼠

鼠は差し出す
狼の皮

狐は
鼠へ渡す
山吹の束

鼠はそそくさと
袖の下

何時も
有難い
御狐様

いえいえ
此方こそ
御鼠様

狼共は
私等にとって
疎ましい者でと

鼠が口開き

狼の皮は
高く捌ける
ものでと

狐が
手摺擦り

強欲狐と
針鼠

クックッと
笑う二匹の影を

狼が見ていた
窓の外から

177:アビス◆wc:2018/01/12(金) 19:12

「憤怒の月下狼」

疾走る
疾走る
狼が

憤怒を
其の身に
たぎらせて

どうしてだ
どうして
他に疎ましいと

思われてるだけで
同胞があの様な目に
遭わねばならない

奴等め
許さぬぞ

喉笛を
喰い千切り
助けを乞えない様に

膓を
喰らい漁り
臓物其処等に

散らしてやる

瓦屋敷の
其の下で
狐と針鼠が

己等の
私腹を肥やして
笑っている

狼は
声を荒げ

狐の喉笛を
喰い千切り

針鼠の
腹を
喰い破り

狐と針鼠
どちらの臓物か
判らぬ程に

散らしに
散らした

憤怒に
呑まれた狼は

血光る
月下にて
又声を荒げた

178:アビス◆wc:2018/01/12(金) 22:48

「脳界橙黒空」

橙と黒の交じる
空の上にある
意味の成していない

階段を
歩いていたら
何かがいた

赤子のいない
乳母車を押す
鴉の羽が生えた

乳母がいた

おぎゃあ
おぎゃあと
泣き止んでくれないのよ

なんでかしらと

乳母は
空の乳母車を
指差し云う

確かに
泣き声はする
でも姿は何処に

橙黒空に
一匹の幼鳥が
飛んでいた

坊や坊や
私の児よと
乳母が云う

危ないから
降りて来て頂戴

乳母の警告も
素知らぬ顔で
橙黒空を飛ぶ

幼鳥よ
乳母鳥に抱かれた
其の世界を

全ての世界と
誤りて認した
気分はどうだろうか

嬉しいか
恐ろしいか
其のどちらで

幼鳥よ
お前は鳴いている

坊や坊や
もう戻って来ないのね

私の子
この腕の中に
もういないの

179:アビス◆wc:2018/01/13(土) 17:35

「脳界市場」

扉があった
其の先を潜ると
市場の様な

行き交う人々に
顔は無くとも
すれ違う度

此方を
見てくる
其の視線に

悪意は無く
又善意も無い

此処は何処かと
聞いてみた

市場だと
人は答えた

成程

商品を
見てみた

鴉の首が
突き刺さっている
棒があったり

片腕の無い
双子に

様々な色の
髪の束

割る口が
何処にあるのか
胡桃割り人形

お勧めは
何れと
聞いてみた

人は答えた
この南瓜だと
美味しいのだと

其れは
南瓜と呼ぶには
とても形容し難く

肌色の硬皮
割ったら赤い
種は白く

葉の色は黒くて
蔓の色は
中身と同じく

赤く滑りがある

金の鍵は
此処に無さそうだ

何も買わず
出て行く私を

商と人は
黙って
凝視していた

また直ぐ
賑やかになった

180:アビス◆wc:2018/01/14(日) 22:13

「脳界心晶森」

金の鍵は
何処に
当ても無く只歩く

ふと周りを
見てみる
木々は全て

水晶で
とても幻想的

地面はまるで
絵の具の
中身を撒いて

全て混ぜた
何の色と
判らない

此処は
心の中だろうか

だとしたら
水晶の森は
大人を表していて

彩色の地面は
子供の部分か

目の前を
何かが
横切った

金の鍵を
頸に下げた
猫だった

追いかけた
追い付け無い

猫は時々
此方を向いては
ニャアと一鳴き

歯を見せて
ニヤニヤ笑う

木の上で
余裕尺々眠る猫

木を蹴つたら
簡単に捕まえた

猫から
金の鍵を奪い
帰れると思つた

猫は云つた

蹴つたニャア
蹴つたニャア
心を蹴つたニャア

桃色の象が
赤になつて
お前を

踏み潰しに
来るニャア

笑い乍
猫は消えた

181:アビス◆wc:2018/01/16(火) 09:05

「脳界怒濁象」

金の鍵を
手に入れた

象がいない
今なら帰れる

白砂に現れた
無機質の扉の
鍵を回そうとしたら

汚濁の海より
現れた

怒りに因り
桃から赤へ
変わった象が

津波を
起こして
扉は白砂の

向こうの方へ
流された

コクリコの様な
赤い森から

杉の木茂る
森へと変わる

杉の木薙ぎ倒し
怒濁の象は

踏み潰さんと
追って来る

根につまづいた
もう駄目だ

怒濁の象
眠り転ける

余りの怒りに
身体が
追い付け無かったか

今度こそ
扉を回し
元へと帰ろう

帰って来たが
帰れない

私の身体
燃えている

めらめら
ぱちぱち

少女は現れ
こう云った

だから云ったのに

182:アビス◆wc:2018/01/16(火) 20:55

(作者ヨリ)

今皆の詩をチラリと
覗いてみたけど

清い恋愛系が多いなぁって思う
其して其れを上手に書ける皆が
正直云って羨ましい

私の詩は「歪」な「愛」なら何とか
書ける。
「清」な「愛」は不得手だ。

だから私の詩は皆より
「質」が「異」なるなのだよ。
「不思議」なのだよ。
只其れだけだ。

183:アビス◆wc:2018/01/17(水) 17:22

「一一七の詩」

又一つ
あの時を
迎える

かつて荒れた地に
恐れを抱き乍

災に呑まれし者達への
鎮魂の儀が

一九九五 一一七の
午前 五四六

災禍の襲来

地は盛り
天へは
黒炎吐かれ

人の造った
生命の線は
容易く切れた

其して代わりに
人が
積み重なった

天地に
刻まれた
其の傷は深く

人の心にも又
深い傷が

だが人は
立ち止まっては
いられない

手を取り合い
復興を

忘れまじと
碑を建て
館を建て

言の葉描きし
蝋燭に灯をともせ

祈りを捧げよ

災に呑まれた
御魂の為に

今此の瞬間を

生きる者達よ

其して語り継げ

災を知らぬ
者達へ

184:アビス◆wc:2018/01/17(水) 21:19

「星と共の」

人よ
御前達が
造りあげた

星々より
強き光放つ物を
消してはくれないか

星の歌が
聞こえないから

星は瞬きで
歌を紡ぐんだ

人の様に
口を持たないから

若し星々に
口が或るのなら

瞬き乍
歌うのだろうね

人が定め
名を付けた
星々は

古の人が
そう見えたから
そう付けたんだ

名を付けられた
星々は
如何思うのだろうか

人は何かを
疑問に思う時
馘をかしげるけど

星はかしげる馘を
持たない

若し星々に
馘が或るのなら

疑問に
思うのだろうね

我等は
人間には
そう見えるのかと

今日も空を
見上げるか

星の歌を
聞く為に

望遠鏡と
清涼珈琲水を

共にして

185:アビス◆wc:2018/01/19(金) 19:13

「思い想い重い」

思いが
想いになって

其の想いが
重いになった時

人は如何いった
行動を
起こすのだろうか

最初に
君を見て
思ったよ

嗚呼君は
其んな感じかと

其して私は
其んな君を
想う様に

なったんだ

でも君には
他の想い人がいた

私じゃ駄目かな
其の想い人は

君との思い出は
楽しかったよ

会えない時は
電話で
話したよね

私は照れて
何も話さなくて

君も照れて
直ぐに電話を
切ったんだよね

手紙も
送ったんだよ

でも君は
全く返事を
くれなかった

或れは流石に
傷ついた

今から
君の所へ
会いに行くよ

君への想いを
持ち乍

私の重いを
届けなきゃ

君への想い人は
此の私だけ

待っていてね

186:アビス◆wc:2018/01/20(土) 22:09

「薬黙録」

其れは

吸ったり
飲んだり
打ったりして

快楽を得る物

一度味わって
仕舞えば虜となり

もう二度と
人には戻れない

其れが魅せる
まやかしが
切れれば

現実と云う
地獄が待っている

夢と現の
境目で生まれた

幻覚と幻聴が
責めに
襲い掛かって来るから

幾ら幻に
叫ぼうが
喚こうが

消える事は
無い

だから又
其れに
手を伸ばす

逃れる為に

今の自分の姿を
見て御覧よ

顔色は如何だ
歯は何本有る
髪は

今の啓発広告に
其れの恐ろしさを
伝える力は無い

昔は有ったさ

だが
怖いと云うだけで
今から姿を消した

ほら又
欲しがってる

其れに
助けて貰えると
思って

だが違うんだ

其れは
助けてるんじゃ無い

187:アビス◆wc:2018/01/21(日) 21:16

「影陽」

目が覚めると
何時も誰かが
膝枕をしている様な

感触が有った

でも私以外
人なんて
居ないのに

判らない侭
私は又
眠りに尽く

夢の中で起きた
妙な言葉だが

黒い影が
膝枕を
していた

黒い影は
私の顔を
覗いていた

目は無く
鼻も無い
口は有ったが

影の手は
私の頭を

幼児みたく
慈しみて
撫でていた

目線を
上に遣る

顔面を
削がれた
二匹の金魚が

くるくる
くるくる

回り乍
泳いでる

其れを見て
私は又
眠くなる

夢の中で
妙な言葉だが

黒い影は
眠る私を見て

ニコリと笑って
子守歌を歌った

眠れ眠れ
可愛い児

今日の辛い事を
全て忘れて

此の安寧は
他でも無い

貴方だけの物だから

閉じて
開けよ

陽光が
御早うと
云っているから

188:アビス◆wc:2018/01/22(月) 00:34

「鬱屈と爪」

かじかじ
かじかじ

爪を噛む

父指
母指

順番に噛む

鬱屈が溜まると
かじりたくなる

口の中に貯まる
爪の破片

其れ等全て
鬱屈の破片

かじかじ
かじかじ

爪を噛む

兄指
姉指
赤子指

順番に噛む

ぽろぽろ
ぽろぽろ

口の中から
出て来る

爪の破片

床に落ちた
爪の破片は

抑え切れない
鬱屈の表れ

勿体無いから
何時もの
瓶の中へ

かじかじ
かじかじ

爪を噛む

けれども
噛む爪が
存在無い

だけど
噛ま無きゃ
落ち着か無い

じわじわ
じわじわ

血が滲む

爪と皮の
かじり過ぎ

ぽたぽた
ぽたぽた

血が落ちる

溜まった血は
落ち着きの表れ

勿体無いから

ぎゅうぎゅう詰めの
瓶の中へ

189:アビス◆wc:2018/01/22(月) 09:43

「愛目」

目隠しをされた
君が目の前にいた

カタカタと
震えている

寒いのかな

だから僕は
暖める為に
君を抱き締める

君は云った
何で私は
目隠しを

されているの

僕は云った
君の事が好きで

僕は
恥ずかしがり屋
だから

君に姿を
見られたく無くて

家に帰して
此処は何処なの

何を云ってるの
君の家だよ

違うよ
此処は私の
家じゃない

御免ね
間違えた

君と僕の
家だった

君は今は
視界が
判らない

だから僕が
手を引いて
あげよう

嫌がっている
様だけど
まぁ良いや

目隠しが
解けたら

本当に

無くして
仕舞えば

良いだけ

190:アビス◆wc:2018/01/22(月) 21:21

「崇」

貴女は今日も
素敵です

有り難うと
微笑む姿は

正に
僕にとっての
女神様だ

貴女の
云う事ならば

僕は
喜んで
聞きましょう

重い物とか
持ってあげる

持って苦しんでる
貴女を
見たく無いから

飲物とか
欲しいなら
直ぐに持って来よう

僕だけに
有り難うと
云って下さい

僕だけに
其の微笑みを
向けて下さい

若し貴女が
鬱屈の捌け口を
求めてるなら

僕を
捌け口に
して下さい

打って下さい
貴女の拳で

蹴って下さい
貴女の足で

貴女の手で
此の命が
果てようと

僕は何も
惜しく在りません

寧ろ
喜こばしい
事なのです

だって貴女は
僕の女神だ

其して僕は
貴女の

下僕
なのですから


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