くるくる回るよあの子のハート。

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1:モコ:2015/08/05(水) 12:43

「はい、今回のゲストは、弘瀬広海ちゃんです!」
そんな司会者の声に、わたしはにっこりとカメラに向かってほほ笑んだ。
「いやー、広海ちゃん、大人気ですよね。特にこの間のドラマが!」
「はい、皆さんのおかげで!」
わたしの言葉に、周りがおぉっとなる。
照明のせいで少し暑い。
でも、それを何とかこらえて笑顔を保つんだよね。
「すごくしっかり者ですね〜。じゃあ、広海ちゃん、ドラマでは主人公の妹役を演じていますが、今の心境は?」
司会者の百瀬さんがわたしにマイクを向ける。
それで、わたしはうーんとうなるふりをして、可愛さを上げる……なんて、いつもの事。
「体当たりで演じてみました。なので、少し乱暴な演技になっているかもしれません」
「なるほど〜よし、ありがとうございました!」
……。
「はい、いいよ!」
そんな監督さんの言葉でわたしは椅子から降りた。
金髪の、少し長めに切りそろえたストレートボブの髪型。
なので、少し汗で張り付いています。
そんなわたしを見て、スタイリストさんはわたしに声をかけてくれた。
「広海ちゃん、お疲れ様!じゃあ、次はドラマの撮影あるから、早く楽屋行こうか?」
「はい!」
わたしはスタイリストさんと一緒に、楽屋へ行って、赤いワンピースに着替えて。
「可愛いよ。広海ちゃん。じゃあ、まだ一時間以上もあるから、ゆっくり休んでおいてね」
「はい」
スタイリストさんが部屋から出て行ったと同時に、わたしの笑顔は消えうせた。
わたしは花宮菜緒。小学3年生。
弘瀬広海は、わたしの芸名。
今、わたしは天才子役として芸能界で活躍している。
幼稚園にいるころからこんな感じだった。
でも、わたし自身がそれを望んだことだから、誰にも文句なんか言えない。
わたしはカバンの中から教科書とノートを取り出して勉強を始めた。
花宮菜緒じゃない。
頭がよくって、可愛い「弘瀬広海」を突き通すため。
セリフは完璧に覚えた。
見た目も完璧。
あとは、勉強を怠らなければわたしはこのまま、完璧になれる。
花宮菜緒なんていらない。
ドラマでの名前「川下鈴」と「弘瀬広海」皆にも、わたしにも、この二つがあれば大丈夫だから。


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