小瓶に涙

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1: 少女爛々 :2015/09/13(日) 01:41



愚痴を束ねる年齢もそろそろ過ぎたいので、日々のストレスを小話として吐き出します。大概山も落ちも意味もなく登場人物がひどい目に合ってるだけ、多分スカッとするのはわたしくらいです。まさに俺得の名のつく幕が上がる。

 

2: 少女爛々 :2015/09/13(日) 02:02



「あたしは疲れたから寝てたの。その連絡、遅すぎるんじゃないの?」

そうぴしゃりと言い放ってやると、目の前の少女はたじろいだ。連絡なんて、あたしが見てなければ回っていないも同然。それなのに、見ていたの?なんて愚問にも程がある。あたしの元へくだらない理由を提げて寄ってきたゴミ虫を、軽蔑を込めてじろりと睨んでやると、彼女は何か言いたそうに下唇を噛んだ。

当たり前に考えて、世界の中心はあたしだ。あたしが全て正しく、あたしの行動に対するものが全人類にとって優先すべき事柄だ。それなのに、それを分かろうとしない人間がいる。不快極まりない。反吐が出そうだ。あたしはもぞもぞしている彼女へ二、三言の罵倒を投げかけ、わざと大股でその場を去ってやった。

文化祭やら体育祭やらの重なるこの時期はすごく忙しい。あたしも意見を出して懸命に貢献してやっているけれど、生憎自己主張の激しい駄犬達が鳴き騒ぐもので、思うように進まない。

先程の少女もその内のひとりだ。あたしより少しばかし先に入っていたという理由だけで部長になり、傲慢ながらあたしに指図をしようとしている。あたしは指摘をしてやるために居てやっているのに、作業を要求しようとする図々しさが腹立たしい。あたしを誰だと思っているのだろうか。

色々なことを考えているうちに苛立ちが募ってきたので、傍にいたクラスメイトを殴っておいた。

そういえば。少女のせいですっかり忘れていた事、あたしには文化祭の看板作りをしなければならなかった。走るつもりは無いけれど、気持ち速めに体育館裏へと向かった。

 

3: 少女爛々 :2015/09/13(日) 02:18



向かった其処は、異様としか言いようが無かった。湿った雰囲気、暗がりが鬱蒼を生み出しており、居心地の良いものでは無かった。何より、この場にあたし1人しかいない。看板作りのメンバーは少なくともあと4人は居た筈だ。
こんなところで作業をしろというのか。この学校は頭がおかしい。腹が立って八つ当たりに地面を蹴ったその時だった。

唐突に地面がまるで瘴気をおびた蟻地獄の様に渦を巻き、砂を散らしながら中から巨大な口が現れたのだ。

赤赤とした唇、鋭利な歯は唾液と血が混ざった様な糸を引いており、何よりニタニタと笑っているような形をしているのだ。

驚き、恐怖、その他言葉に表しづらい、凍りつく様な感情が一気に押し寄せ、あたしは硬直した。股間が生暖かく湿っていくのを、漏らしたと気付く余裕も無かった。


 傷みヲ知れ、愚かな人間ノ屑が

「口」は、何かを言うと、あたしの右足を膝元まで噛んだ。ぐりぐりと前歯で抉られ、信じられない痛みを叫ばない内に鈍い音を立てて喰いちぎられた。

痛い。痛い痛い痛い。そこから口の侵食は止まらなかった。腕も腰も全て喰いちぎられ、奥歯で原型が無いほどに剃り潰された。いたくてたまらない。口も潰されてもう叫ぶこともできない。どうしてこんなことをするの、あたしはいちばん偉いのに、どうして。痛い。わからない。痛い痛いいたい!

最後に残った右目、喰らわれるその瞬間には何も映らなかった。


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