闘い

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1:林檎◆zg:2016/12/28(水) 17:57

相手には敵わない________。

2:林檎◆zg:2016/12/28(水) 17:59

初めまして、林檎です。
病気系を書いていこうと思います!
もし良ければお付き合い下さいませ。

3:林檎◆zg:2016/12/28(水) 18:12

キャラクター <追加有り>

伊波 彩芽  Inami Ayame
河越 那月  Kawagoe Natsuki
桐山 愁   Kiriyama Shuu

4:林檎◆zg:2016/12/28(水) 18:33

「おはよ〜」
「おっは」
「眠い」
そんな他愛もない会話が、クラス中に響く。そして私も、今からその賑わいの中へ入っていくのだ。
「おっはよ!!」
「あ、彩芽!おはよう!」
元気よく挨拶した私_____伊波彩芽に、親友の河越那月が駆け寄る。
那月はかなりのゲーマーで夜更かししてるくせに、どうしてこう早く学校に来れるのか…。心底不思議だ。きっとこれは一生解けない謎だろう……。
なんてどうでもいいことを考えていると、チャイムが鳴った。
「ふぇ!?ヤバっ…!!」
私は大急ぎで朝の支度を終わらせ、掃除に取り掛かった。
「うぇ…。掃除面倒臭い〜…」
不意に口から零れたその独り言は、
青空の果てへと、消えていった__。

5:林檎◆zg:2016/12/28(水) 20:41

「ふわぁぁ………」
眠い。ただただ眠い。のに____。
「は……次体育…?ふざけんなよ…」
最早眠気で、時間割が書かれた紙に本気で怒鳴ることすら出来なかった。
今から運動すると思うと憂鬱。
一刻も早く帰りたい…。
しかも、
「ドッチボールかよぉぉぉぉ……」

   ーーーーーーーーーー*ーーーーーーーーーー

「前前!」
「そこだっ、投げろ!!」
「おい、取れよぉ」

「はぁぁ……」
皆が楽しそうにボールを投げ合っている中、私は外野で溜め息ばかり吐いていた。那月はスポーツが得意なため、内野に居るのだ。
「あぁもう……!早く終わってよ!」
私は怒りに任せ、なんの反応も示さない土に向かって怒鳴りつけた。

____これが良くなかった。

6:林檎◆zg:2016/12/29(木) 20:27

私が木の枝で土に絵を描いていると、なにかの気配がした。
____なんとなく、危機が迫っているような。

ヒュン!!

「______え?」

スパコォォン!!

「かはっ………………!」
「彩芽!?」
……なに、が、起きた…の………?
なんだか…顔が凄く痛い。
さっきのヒュンって飛んできたボールが…顔に当たったのかな。
なんにしろ……。
え、当たっただけの筈なのに……。
なんだか…意識が……遠のい…て…。
_________________

7:林檎◆zg:2017/01/03(火) 22:18

……あれ?なんだろう、ここ…。
不思議な場所。真っ暗でなにも見えない。灯りもなく、ただただ暗い。
「………………ッ!?」
息を吸っている感覚がない。
声も出ない。
どういうこと……?
ねぇ、誰か!助けてよ______。


「………………う……」
ゆっくりと目を開けた。白く、あまり見慣れない天井が視界に入る。
どうやら保健室のようだ。
先程の不思議な闇の世界はきっと夢だったのだろう。現に私は今、息を吸っている感覚があるし、声も……。
「んん!あー、あー、あー。……うん、声は出るんだな」
「……彩芽なにしてんの?」
「へっ?うわぁぁ!!」
急に掛けられた声に驚き、思いきり寝転んでいたベッドから落ちる。
「いったぁぁ!?はぁ…はぁ……誰?」
とりあえず思っていることを聞く。
「はぁ…?彩芽、忘れた?俺だよ俺。桐山愁」
「え……しゅ、う………?」
愁。愁だ!あぁ、我が彼氏よ!
「愁!なんで……?」
「彼女が倒れたらそりゃ来るだろ?」
そう言ってケタケタと愁は笑った。

8:林檎◆zg:2017/01/04(水) 16:49

まぁ、なにはともあれ帰らなければいけない。もう5時だし……。
「愁……」
「ん、なに?」
「……看ててくれて…ありがと」
「…………!」
私がお礼を言うと愁が一瞬狼狽えた。
どんな反応をすれば良いか迷ったようで、暫く間を空けてから「どういたしまして」と苦笑しながら言った。
「……じ、じゃあ私…帰るね」
「おぉ、送ってくよ」
「え?いいよぉ」
「気にすんなって!」
少々腑に落ちないが、送ってくれるというのは有難い。なにより……愁は彼氏だしね。

__なんてことのない帰り道。
それだけで幸せだし、そうなると思ってた。でも、
「彩芽?彩芽!!」
とても不思議なことに瞼が重く、意識もやたらと朦朧としていく。薄れていく……。さっきの余韻かな。それになんだか身体が後ろに引っ張られていくみたいで……。あ、愁が必死に呼び掛けてくれてる……。なんで?
「彩芽!なぁ、彩芽!!」
えへへ…愁に身体支えてもらっちゃってる。愁の手、大きくて暖かい……。
_そしてついに私の意識は途絶えた。

9:林檎◆zg:2017/01/04(水) 21:56

「………………………!」
……あぁ、また。
またなにかから目覚めた。
ここは…保健室?いや、違うな。
「病院……?」
ふと夜風が吹き込む窓を見ると、満月が雲で見え隠れしている。
……もう夜か。
今回ばかりは愁も帰ったのだろう。
ベッドの横に心配そうな面持ちで佇んでいるのは看護師さん。
ええと……。看護師さんの胸元をちらりと見る。____稲垣さん……稲垣弥生さんか。優しそうな名前…。
「……あぁ、起きた?私は看護師の稲垣弥生。彩芽ちゃんの担当なの。宜しくね」
「へ?あ、はい。お願いします…。」
……え?今稲垣さんはなんて言った?
担当……?え、嘘でしょ…。私……。

入院、するの______?

「あっ…あのっ……稲垣さんッ…!」
「ん、どうしたの彩芽ちゃん。あと弥生で良いわよ?」
「エッ、じゃあ…ええと……。弥生さん、担当…ってことは私…………」
「ん?」
「……入院…するんですか………?」
私が恐る恐る尋ねると、弥生さんは困ったように苦笑した。
「……えぇ、そうみたい」
弥生さんは悲しそうに、それだけ絞り出した。同情してるの?まぁいいや。
……私、死ぬのかな。


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