目を合わせる話 〜想像フォレスト〜

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1:大工 ◆AUoo:2012/06/28(木) 19:29

夏風がノックする。

私はガタガタと音を出している窓を開けてみた。

突然に聞こえたのは鳥の声。
読みかけの本を机に置き、私は首を傾けて、
「何処から来たんだい?」と微笑んだ。
鳥はピーチクパーチクと可愛く鳴いていたが、
私はその鳥の姿を見ることは出来ず、長い前髪で目を隠していた。



目を合わせると、石になってしまうから_________。

2:& ◆AUoo:2012/06/28(木) 20:41

世界は意外にシンプルだ。結局みんな同じだ。
私みたいな特別な人間は居ないだろう.......
てゆうか、私は人ですらないのかもしれない。
マリーは “メドゥーサ” と呼ばれる一族の生き残りだった。
血は4分の1なのだが、それでも能力は受け継いでいた。
童話とかによく出てくる、目を合わせると石になってしまう生き物のことだ。

私は、そのせいでどんだけ苦しんだか......
両親も失い、人とは話せず、ずっとこの森の奥の家でひっそり暮らしてきた。
でも、本を読みながら想像して自分の世界で冒険してる時間は
そんな悲しいことを少し忘れることが出来るのだ。

マリーはそんな思いを募らせながら、窓から空を見上げた。

ワクワクする冒険は今日か明日にでも......
ノックしてくれませんか?

3:大工 ◆AUoo:2012/06/29(金) 18:55

マリーはかれこれ140年この家で過ごしてきた。
メドゥーサの平均寿命は900才でとても長寿族なのだ。
あと760年も独りぼっちでこの家にいるんだろうか。

ここは図書館みたいで退屈はしないけれど、
独りぼっちは寂しかった。

「この目が無ければな........」

とマリーは手鏡で自分の真っ赤な燃えるような瞳を見る。
マリーは耐えきれなくなり叫んだ。

「こんな赤色.....大嫌いだ!!」

手鏡は鋭い音をたてて割れる。
マリーは無意識に鏡を投げつけていたのだ。



少し息を荒ぶらせるマリーは、ふと母親の最期を思い出した________________。

4:大工 ◆AUoo:2012/06/30(土) 18:21

家の庭。笑顔で自作の花冠を被る少女。
飛び回る蝶々とふれ合っている少女は、
70才の頃のマリーだった。
ペールブロンドの長い髪と真っ赤な瞳は今と変わっていなかったが、
現在来ている水色ワンピースとはちがい、ピンクのワンピースを着ていた。

「マリーの目は綺麗ね。」と母親から言われていたので、
自分の目の色が、当時はとても好きだったのだ。

蝶々が空高く飛んでいってしまい、寂しく感じたとき、
そこに少年が2人、縄とこん棒を持ってやってきた。

「遊んでくれるの?」とマリーが聞くと、
少年は意地の悪そうな笑みを浮かべた。

5:大工 ◆AUoo:2012/06/30(土) 21:00

「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

マリーの泣き叫び声が響く。
お母さんは花の手入れをしていたが、すぐに庭に出た。
少年2人がマリーの髪を引っ張り、叩いたり縄で縛ったりしている。

お母さんは急いで叩いている少年に石を投げた。
石は少年の頭に当たり、血が出た。
「大丈夫か!?」ともう一人の少年がマリーから手を話した。

お母さんはまだ泣いているマリーの手を引っ張り、

「家に入りましょう。」

と言ってマリーを家に入れた。
そして、自分も逃げようと思ったら、頭から血を流している少年が服を掴んだ。

「逃げるなよ怪物!!」

すると、後ろから少年がこん棒を振り上げた。

「メドゥーサ、死ね!!!」

お母さんはその少年に向き直ると、決意したような表情をした。
マリーは窓から泣きながら見ていることしかできないでいた。



メドゥーサの目が、赤く光った____________________。

6:大工 ◆AUoo:2012/07/01(日) 16:43

一人の少年は叫び声を上げ、
もう一人の少年は悲鳴を上げて逃げた。

叫び声を上げた少年は、石になって崩れ落ちた。

マリーは心配になり、外に飛び出た。

「お母さん........?」

お母さんはただ、マリーに振り向かず立っていた。
そして、苦しそうに口を開いた。

「マ...リー.. ..... い...つ...か___...」

最後まで言えず、お母さんは薔薇の花の山に変わっていた。
石にするのは、生命力をたくさん使うのだ。
お母さんは体が弱いから、一回使っただけでも死んでしまった。

マリーは心をズタズタにされた思いで、
薔薇の花を両手に救って持っていった。
泣いていたが、泣き声が出ないのは孤独感のせいだろうか。

その時からマリーは赤色を嫌いになったのだ。

*********************

そんな事を思い出して憂鬱な気分になるマリーは
外でも見ようと窓に寄りかかった。

_____その時、突然に聞こえたのは人の声______。

To Be Countinued.....

7:大工 ◆AUoo:2012/07/02(月) 19:24

「だれか居ませんかー?」

玄関で少年の声がする。
私は「えっ..........!?」マリーは動揺してパニックを起こし、
飲みかけのハーブティーを机中に撒き散らした。

「どうしよう........」

マリーはハーブティーを無視して、ドアの向こうを見つめる。

鍵をかけてない____________。

マリーは家に鍵をかけるのが嫌いで、いつも開けていた。

理由は.................言うのも恥ずかしいし、馬鹿げてる。
少年は困ったように繰り返す。

「すいませ〜ん。だれか居ませんか〜?」

マリーは逃げようと、階段に向かって走ったが、
途中で本に躓いて転び、「うわっ!」と声を出してしまった。
本気で自分のドジっ子属性を恨んだ。

マリー慌てて抑えたがもう遅く、
少年が「大丈夫ですか!?」と言ってドアを開けて駆け込んで来た。

マリーはとっさに目を塞いでうずくまった__________。

8:大工 ◆AUoo:2012/07/03(火) 01:55

少年は、目を塞いでうずくまるマリーに当然驚いた。
少年が理由を聞くまでもなくマリーは答えた。

「目を合わせると、石になってしまうの!!」

少年はそれを聞いたとたんただ、優しく笑った。

「僕だって、昔は人の目を見るたびに緊張して石のように固まってしまっていたよ。」

マリーは何も言わなかった。コミュ障とメドゥーサじゃワケが違うと思った。
しかし、少年は続ける。

「だけど世界はさ.......案外怯えなくてもいいかもしれないよ?」

すると、少年はマリーの顔を覗きこむようにして「君の目が見たいなぁ......」と言う。
マリーはいけないと知っていながらも、頷いて顔を上げてしまった。

涙が両目から溢れていた。

この人が、石になってしまう_____________。

9:大工 ◆AUoo:2012/07/03(火) 02:13

「あ..........れ..........?」

泣きながらも、マリーはしっかりと少年の目を見てしまっていた。
少年は豊かな黒髪に、白いフードのついたパーカーを着ている。
顔はとても綺麗で優しそうな人だった。

問題はそこじゃない、何で石になっていないのだろうか?
と、困惑するマリーに、少年が優しく語りかけた。

「メドゥーサの能力は100才を越えると任意で制御出来るようになるんだよ。
でも幼い内は無理だからね。お母さんがキミの能力の暴走を止めていたんだろう。」

少年から明かされた真実に、マリーは追い付けず少年に問う。

「わ、私、もう怖がらなくていいの?」

「うん。」と笑顔で少年は頷く。
すると、少年はポケットから i podを取り出した。

しかしマリーには見慣れないもので、「なぁに?それ。」と尋ねる。
少年は「いいから聴いてごらん?」とイヤホンをマリーの耳に押し当てた。


《♪ 伝えたいこと 詰め込んだ〜
♪そんな「夢」から〜
♪もう 目を離さないで 〜
♪さぁさぁ 明日も〜
♪スキップで進もう!!》


突然流れ出した音楽にマリーは少し驚いたが、とても良い曲で、元気になった。
「『如月モモ』って子の曲だよ」と言った後、少年は本題を切り出す。


「突然だけど、僕達と一緒に来ないかい?」

10:大工 ◆AUoo:2012/07/03(火) 02:31

「僕は『メカクシ団』っていう組織に入ってるんだけど、
そこにはキミのような能力を持った人たちが集まってるよ。
みんな優しいし、みんなのおかげで僕はコミュ障を克服出来たんだ。」

マリーはとても良いと思った。
自分を理解してくれる人々に会えるなら、どんなに幸せだろうか......

「よく考えれば良いよ。一年後、また来るから。」

マリーは「はいっ!!」と元気よく返事をする。
少年がマリーを察して付け足した。
そして、少年は白いパーカーをマリーに渡す。

「はい。入団(仮)の証として取っておいて。じゃあね。」

少年はドアから出ていった。
マリーは一つ聞き忘れた事を思い出し、慌てて少年に追い付いた。

「あの....っ!!名前、何て言うんですか!?」
「クロだよ。キミはマリーだよね。」

クロは遠い所から手を振って叫んだ。

「マリーの目、綺麗だったよ!!」

そう言われた瞬間、マリーは顔が赤くなるのを感じた。
目の色を誉めてくれたのは、これで二人目だったから.......
マリーは恥ずかしさを堪えて精一杯叫んだ。

「また、待っているからっ!!!!!」

予想以上に大きな声が出て、クロにもちゃんと届いた筈だ。

そうだ.........私が家に鍵をかけなかったのは、
いつか誰かに開けてもらうためだったのだ。

【マリー、いつか大切な人達と会いなさい。】



_____お母さんが言いそびれた言葉が、この森から鮮明に聞こえた気がした______

11:大工 ◆AUoo:2012/07/03(火) 02:40

第五話 目を合わせる話 『想像フォレスト』

無事完結致しました!!
『想像フォレスト』を知らない人でも見ていてくれてたら嬉しいです。
次は第六話 目を逸らす話 『透明アンサー』をやろうと思います。
カゲロウプロジェクト制覇を目指して頑張ります!!


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