ひぐらしのなく頃に  本編やオリジナル好きにかいてね♪

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1:ユリカ マリン:2013/09/15(日) 18:46 ID:fpY

・自分が考えた『ひぐらしのなく頃に』(オリジナル小説)でもok!
・目明し編、罪滅ぼし編などの本編や、ちょっと改造?
したものでもok!
・皆で仲良くやってください!! 
・荒らさないで!

ということで仲良くしましょう!

2:ユリカ マリン:2013/09/15(日) 18:52 ID:fpY

誰かぁ〜!!

3:ユリカ マリン:2013/09/15(日) 20:29 ID:fpY

ひぐらしのなく頃に解〜第一話、目明し編(上)〜
これは一応本編です!←小説のヤツを移した?やつです!

〜脱走〜
1脱獄劇〜詩音目線〜
……キーホルダーに括りつけられたカギは大小七つ。
どのカギが正しいものかよくわからないから、自分の勘に従って順に試すしかない。
期待値は三・五本。最初に試した三本以内のカギで開けば、幸運。
それ以外は不運と占うことが出来るだろう。
こういう場合、石橋を叩いて渡るなら、正解のカギを七本目に当ててしまう最悪の可能性を考慮するべきだ。
頭がしくしくと痛み出すぐらいに、冷静さと緊張感がせめぎ合う。カギを錠前に挿す、解錠を確かめる。
その行為を淡々と繰り返せばいいだけのはずなのに、
……指先の微弱な震えを抑えきれない。……ちぇ、 …カギを挿して回すなんて、それだけの動作、幼稚園児だってやれる。
……じゃあ今の私は幼稚園児以下ってわけ? 下らないことは考えなくていい、不器用だっていい。
……とにかく、淡々とこの七つのカギを全て試せばいいのだ……。
……どんなに星の巡りが悪くたって、七本目で絶対に開くのだから……………。
「……………。…………うっそ……」
……だが、現実は算数じゃない。私の前に突きつけられた現実は、どのカギも外れであるという致命的なものだった。
全身から、ザーーーという音を立てて血の気が引いていくのがわかる。
……このカギ束ではなかった!?いや、プレートにはここの施錠に使うカギだと薄らとだが明記されている。
……それすらも読み間違えたのか? 今すぐ引き返し、再びあのキーボックスを丹念に調べなおすべきだろうか……?
それはもちろん致命的なタイムロスだった。
私は、今ここに居続けるたけで、リスクを一秒毎に累積している。
……次の一秒で、どんな予想外のハブニングが起こって、全てが水泡に帰すかわかったものではないのだ……。
管理室に引き返し、キーボックスを探し直す以外に、ここをあける方法がないなら…私は躊躇なくそれを実行する他ない?
……なら、ここで座して脂汗をかくことに数秒を費やすことこそ愚の骨頂……!
管理室がこの時間に無人なのは、統計的なものではない。
……職員のちょっとした気まぐれで、誰かが戻ってきてしまうのだ。
そうしたらもう、のんびりとキーボックスを漁るなんて真似は出来なくなる………!!
……屈んでいた全身に電気が走って弾かれたかのように、私は立ち上がる。
パニックに陥りかけているからこそ、体を全力で動かさないと不安になる…。
人間の本能に突き動かされての行動だった。一刻も早く走って戻らないと危険!!
ここにいるのも危険だし、管理室に誰かが戻ってきてしまうのも危険危険!
そんな恐怖心を、私は冷たすぎて、むしろ痛みすら感じないような………
ドライアイスのように冷えきった冷静さで押さえこむ。落ち着け詩音…。
魅音ならこんなことでは取り乱さないぞ……。何かの間違いかもしれないじゃないか…。もう一度だけカギを試してみよう…。

4:ユリカ マリン:2013/09/15(日) 20:36 ID:fpY

↑すみません!書き切れなかったので明日ぐらい?(出来れば)に書きます!
コメントなどくれれば嬉しいです!

5:水梨:2013/10/08(火) 18:19 ID:zVQ

はじめまして水梨です。ユリカさん、ひぐらしのためこんでたオリジナル小説書いていいですか?

6:水梨:2013/10/09(水) 18:00 ID:zVQ

それと、目明し編よかったですよね!最後の詩音のシーンはもう号泣ものでしたね!

7:匿名さん:2013/10/09(水) 19:10 ID:PXg

本編そのまま書いたり
アレンジでも著作権侵害ですよ?

8:水梨:2013/10/10(木) 19:29 ID:zVQ

 オリジナル小説書きます!
 
 昭和58年、8月――

 少女たちが紡ぎだす一つのカケラが始まろうとしていた。

 そのカケラをつくりだすのは、一人の神様であった。

 「梨花ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

朝の古手家に響き渡る、少女の声に「夢のラブリーホイル」なる本を読んでいた古手梨花はため息をついて振り返った。

 「何よ羽入。大声出しちゃって。近所迷惑よ」

 「あぅあぅあぅ、ごめんなさいなのです」

妙な擬声語(?)を発して、羽入と呼ばれた少女は着ている巫女服を見せるように手を上にかざす。

 「それより、僕の服!!どう思いますですか!?」


 「あんたの服・・・って、ただの巫女服じゃないの。それが何?」

梨花は興味ないというように、読んでいた本に向き直った。


 とりあえず今日はここまでにします。 

9:水梨:2013/10/12(土) 23:16 ID:zVQ

続きです。キャラが多少崩壊するかもしれません。すみません。ちなみにこれは「旅回り編」とします。

 そんなことで呼ばないでよ、と梨花は言い放った。

 「僕がここまでアピールしてるというのにわからないなんて・・・。梨花は頭が悪いのです。
  ループしてた間、勉強をサボってたせいです。どうせ夏休みの宿題もまだやってないのです」

毒づく羽入に、梨花のこめかみに青筋が浮き立つ。

 「関係ないわよそれ!」

あんたもどうせ宿題終わってないんでしょ、と鼻で笑う梨花であったが――。



 「僕はもう終わったのです」



 
 一瞬沈黙が流れ、雄叫びにも似た叫びが響き渡る。



 「・・・・・・な、なんですってええええええええええええええええええええ!?何それ!?
  バカそうな羽入が先に終えてるのよ!」

 「バカとは失礼なのです!仮にも僕は梨花よりも数百年以上の時を生きてきてるのです!今のセリフは
  神に対しての冒涜なのですー!」

羽入も負けじと言い返す。

 「それに僕は僕で、夏休みに入ったら圭一に勉強教えてもらったりしたのですよ」

 「・・・・・・そういえば昼くらいまでいなかったことあったわね、あんた」

思い出したように梨花は目を細めた。

 「梨花とはここの器が違うのです」

羽入は言いながら自分の頭を指でさす。要するに自分のほうが頭がいいことを示唆しているのである。

その中で、梨花の怒りの沸点は頂点に達しつつあった。我ながらこれぐらいのことでいらだつなんて・・・と
も考えたが、元から今日はあまり機嫌はよくなかったのである。

 今日、梨花は朝の5時に華麗なる眠りを妨げられたのである。・・・それも、目の前にいる神によって。

 叫び声のようなものが聞こえ、目を覚まし、眠たい目をこする彼女にドタバタと足音を立ててやってきた
 叫び声をあげた張本人がやってきて言ったのだ。

 「ヤモリなのです梨花!ヤモリが出たのです!怖いのです!」

とりあえず梨花は騒ぎ立てる神を死刑用キムチで制し、ヤモリの蠢く台所に行き、眠りを妨げられたことの
あてつけのようにヤモリに殺虫剤30回発射をお見舞いして、一難去ったのであったが・・・。

 

 「・・・羽入。あんた服がどうとか言ってたわね。それ以上言うようなら、話聞いてあげないわよ」

梨花のこの一言で、羽入はあぅあぅ、と言って土下座する。

 「そ、それは困るのです!僕が悪かったのです!」


 「・・・それで?服が何?」

 「あぅ、実はですね・・・」

ここまでにします。


  

10:ユリカ Aアユ:2013/10/26(土) 09:54 ID:FcE

最近、来なくてすみません!
皆さん好きに書いていいですよ!!
ってか書いてください!お願いします!

羽生と梨花の会話とても面白いです!
更新頑張ってください!!
私も頑張ります!

11:水梨:2013/11/01(金) 09:00 ID:zVQ

ユリカさん、ありがとうございます!恐縮です!更新頑張ります!

 「僕って、ほとんどこの服しか着てないと思うのです。他にもいっぱいいっぱいほしいのですよ」

羽入は自分が着ている巫女服を軽く引っ張りながら言った。

 「・・・あんただったら、シュークリームをほしがりそうなのにね。てか服ならあるじゃないの。私服の
  ピンクの服とか、分校に着ていく制服とか」

 「そんなんじゃ全然足りないのです!足りないのです!」

小さな子供のように(見た目は子供だが)地団駄する羽入に、梨花は呆れたように目を細める。

 「それなら興宮のほうにでも行って、服を買いに行けばいいじゃないの」

 「ああ!その手がありましたのです!」

羽入は感心して手をたたく―が、それをやめ、あの・・・、といいにくそうに切り出した。

 「何よ」

 「・・・僕、一文無しなんですけど、あの、梨花・・・」

 


 「何?・・・あ、言っとくけど、お金はかさないからね」

今はここまでにします。 

 

12:水梨:2013/11/02(土) 22:14 ID:zVQ

続きです。

 言おうとしていたことを言われ、羽入はあぅぅ、と言葉が詰まる。

 「少しぐらいいいじゃないですか!必ず何らかの方法で返しますから・・・」


 「かす気がないといったらないのよ。わかった?」

羽入の渾身の願いも塵となる。

下手に出ていた羽入も梨花の容赦のなさに口をとがらせる。

 「あ・・・あぅぅぅぅぅぅ〜。


 ・・・梨花の鬼!鬼畜!」


 「何とでも言ったら?」

涙目の羽入に対し、梨花は余裕の笑みを見せると、また本に視線を戻す。



 しかし彼女は、「対梨花用イラつかせる言葉(たぶん)No.1」を放った。

 

 「梨花の胸は貧乳!!」




 「なっ・・・・・・!・・・あのね、言っとくけど、貧乳はステータスなのよ!?希少価値なのよ!?」


梨花はやはり堪忍袋の緒がだいぶきれかかっているのか、言葉が少しばかり崩壊ぎみになる。

そんな彼女に羽入は冷たい目を向ける。




 「・・・・・・梨花。自分で言ってて恥ずかしくないですか?」



 ぷち、と何か音がしたような気がした。間違ってもプチプチ袋で遊んでいてなっている音ではない。


 ・・・つまりこの時になって、彼女の堪忍袋がはじけたのであった。



 
 「・・・・・・」

 
 「梨花?」

何も言い返さない梨花に、少し不安を覚えた羽入は、下を向いた梨花の顔を覗き込もうとする。



 「――邪魔」

帰ってきたのは短い言葉。


 「あ・・・あぅ」


 「読書の邪魔よ。どこか行って」

彼女の声のトーンは低かった。それだけでも梨花が怒っていることは容易に想像がついた。


  どうやら「対梨花用イラつかせる言葉No.1」はかなりの効き目があるらしい、と羽入は思ったが、
  それと同時に彼女は思う。

 (少しくらいお金をかしてくれなかった梨花が悪いのです。僕はちゃんとかりたら返す主義なのに)


 「・・・・・・そうさせてもらいますです!僕は家出するのですよ!」

羽入は感情を怒りに任せ、何も考えずに飛び出した。その時、誰かとすれ違った気がしたが、彼女にとってはどうでも
よかった。


 
                       *


 「梨花ぁ!・・・羽入さん、何かあったんですの?」

先ほど瞬足の羽入とすれ違ったのは、梨花や羽入と同じく古手家に住む少女、北条沙都子であった。3人は
いろいろな事情で一緒に暮らしているのだ。


 「・・・・・どうせすぐに帰ってくるのですよ。心配いらないのです」

梨花は突き放すように言った。・・・もちろん、買い物から帰ってきたばかりの沙都子には、
2人が喧嘩しているということしかわからなかった。

13:ユリカ マヤ:2013/11/04(月) 14:48 ID:LZw

梨花と羽入!喧嘩しないで!
本当にすごく面白いです!

7さん、すみません。気をつけます。

14:水梨:2013/11/05(火) 18:37 ID:zVQ

ユリカさん、マジで本当に恐縮です!!続きいきます!

 

 「・・・勢いで飛び出してしまったけれど、これからどうしようなのです」

梨花たちの家が豆粒のように見える場所まで走ってきてしまった羽入は、さっそく後悔の念に明け暮れていた。



 「家出っていっても、食べ物もお金も、何にも持ってきてなかったのです。あぅ〜」

準備してから家出すればよかった、とため息をつく―が、何かを思いついたように羽入は手をたたく。


 「・・・・・・そうだ!魅音の家に行けば、何かおすそ分けしてくれるかも!」

羽入は決めると、彼女の仲間の一人である、園崎魅音の家に向かっていった――。

 
                       *

 「おっ、羽入じゃん!珍しいね、あんたがここにくるなんて。てか今日は巫女服なんだね」

玄関で、彼女は羽入を快く迎え入れてくれる。魅音の片手には漫画があった。


 ――勉強はしてるのだろうか、と羽入は思ったのだった。

すると、魅音は羽入の視線は自分の持つ漫画だと気づいたらしく、

 
 「ん?これ読みたいの?何冊かかしてあげるよ。これとっても面白いんだよ!ま、あがってあがって」

羽入の考えていたこととは違う風に解釈した魅音は、羽入の背中を軽く押して、園崎家の中に入れた。


 「あ、ありがとうございますです」



魅音の部屋の中に入った羽入は、二人分のジュースがのったお盆を持った彼女に尋ねる。

 「ねえ魅音」

 「ん?」

机にジュースを置き終わって、魅音は振り返った。


 「唐突かもしれないのですけど・・・・・・ここに、シュークリームはありますですか?」



 「・・・シュークリーム・・・はあるけど」


 「本当なのですか!?」

それを聞いて羽入は目を輝かせる。

 
 「なんで?」


魅音に尋ねられて、羽入はバツが悪そうに顔を伏せた。

 
 「まあ言いたくないなら、聞かないけどさ」


 「・・・ありがとう。魅音」

羽入は魅音の心遣いに感謝する。時々空気が読めない時もあるとは思うが、この時は純粋にそう思った。
 

15:ユリカ マヤ:2013/11/06(水) 22:17 ID:OIg

衝突なんですが、ひぐらしで一番、何編が好きですか?
私は『礼』とその後の話が一番好きです!

アニメ無料動画で見てるんですが、
『礼』編での叔父とかの、
やつける話?の時の、
詩音の優しさや部活メンバーの優しさが良かった!
とにかく大好きです!w

そんな、恐縮だなんて…!
こちらこそ、
こんな所に来て貰って恐縮です!w(使い方合ってる?)
これからもお願いします!(*^∀^*)

16:水梨:2013/11/08(金) 16:20 ID:zVQ

 私的にはまず罪滅し編が好きです。圭一が鬼隠し編でのことを思い出して魅音たちにそれをいう
ところとか、レナと屋上で乱闘して、最後の最後でレナが罪に気付いたところとか・・・。「ひぐらしのなく頃に誓」も
すきです。

 あと、皆殺し編では沙都子をみんなで助けようとしてるところとかが好きです!

礼では羞晒し編とかが面白かったです。圭一がナルシストになるのをとめるために奮闘する部活メンバ−
たちとか、知恵先生とか山狗総動員させた鷹野とか・・・。ソウルブラザーズのやりとりもおもしろかった
です。賽殺しではどの世界がいちばんよかったのか・・・と考えに対して、レナが「それは神様が決めることだ」
っていってたのがなんか心に残りました。昼壊しではとにかくレナがうけました。

ひぐらしの煌の「妖戦し編」では魔法少女の梨花と沙都子がかわいかったです。最後の「夢現し編」では
ちっちゃい梨花かわいかったです!梨花と羽入の絆的(?)物語でよかったです!

17:水梨:2013/11/08(金) 19:20 ID:zVQ

 続きいきます。

 「お待たせ。持ってきたよ」

羽入に頼まれ、台所からシュークリームを用意して袋に包んで3個ほど持って部屋に入る魅音。


 「わあ・・・!おいしそうなのです・・・」

今にもよだれが出そうな勢いで羽入はそれらを見つめる。


 「これは詩音がエンジェルモートの店長からもらってきたものなんだよ」

魅音の双子の妹、園崎詩音は「エンジェルモート」という、特にオタク達に大人気の店のバイトをしている
のだ。

 「へぇ〜・・・。うらやましいのです〜」

言いながら羽入は、シュークリームを口の中に入れた。その途端、口に何とも言えない甘い甘い味が広がる。




 「・・・・・・んっ!ものすごい美味なのです!素晴らしいのですよこれ!!」


何か興奮している羽入は、残っているシュークリームを指さして魅音に宣言した。彼女にとって、こんな
甘い――いや、シュークリームというものを食べたのは2週間ぶりであった。

分校での部活で、ビリになった羽入は、見事優勝した梨花に罰ゲームを与えられたのである。

その中のひとつが、「シュークリーム禁止令」であった。

これは1ヶ月シュークリームを口にしてはいけないという、シュークリーム狂の彼女にとって、死刑宣告の
ような罰ゲームであった。


・・・もちろん、これは罰ゲームの「ひとつ」であり、ほかにどんな罰ゲームが羽入を襲ったかはまた別の話
である。

 
 「・・・あ、そういえば羽入は梨花ちゃんにシュークリーム禁止されてたんだっけ。まあ、シュークリーム大好きな
  羽入には辛い仕打ちだよねえ・・・」

そこまで感激するほどであろうか、と思った彼女は、つい先日の罰ゲームのことを思い出した。


 「そうなのです!せめてもう少し他の罰ゲームにしてくれたらよかったのに・・・」

お酒を飲みながら愚痴るおっさんのごとく、羽入はジュースを一口口にすると、ガタンと音を立ててコップを
置いた。

 「それに最近金欠でエンジェルモ−トに行けないし、梨花は梨花で、お金かしてくれないし・・・」



ここまでにします。

18:ユリカ マヤ:2013/11/08(金) 21:41 ID:J.E

どの『編』も面白いよね!

圭一が野球の仲間を集める
時に(集める時だよね?)自分の事を『K』って名乗った時の話とか、面白い!
後、感動したのは
『目明し編』と『礼』です!
さとこ(漢字が出て来ない!)と叔父の虐待をどうにかしよう?
というのに、圭一達が立ち上がった話もよかったです!
詩音がどれだけ悟史の事を心の底から好きなんだな〜
とか…。
どれも良い話ですよね!
ちなみに、梨花が運命に勝った後の
プールの話も好きですよ!あれ、
面白い!

梨花〜ちょっとだけでもお金貸して上げて〜!!
続きがすごい気になってきます!

19:水梨:2013/11/08(金) 23:14 ID:zVQ

続きです。

 「・・・ああ、それで家に・・・」

何となく、彼女がここに来た理由が少しだけわかった気がした。

魅音が軽くうなずくと、羽入はところで魅音、ときりだした。


 「僕の服、どう思いますですか」


 「――え?えーと・・・」

羽入の質問の意味。普通に考えればかわいいかどうかということだろう。

巫女服は彼女の中ではけっこうかわいい部類に入っていた。

 「うん、かわ・・・」


 「僕ってこの巫女服か、ピンクのワンピースか、雛見沢分校に着ていく服かのどれかしかないと
  思うのです」


 ・・・あ、そっちか。

 
 そう聞いたところで、結局羽入が言いたいことは何なのか、魅音にはよくわからない。






 「だから魅音!!何かいい服もってないですか!?」


 「へ?」

 

 「ほしいとは言いません。ちょっと一味違う服を着てみたいのです!」


 「・・・う〜ん・・・。いいけど、おじさんそんなにもってないよ?」


 「いいのです!お願いなのです!!」


羽入の渾身な願いに魅音は承諾し、いったん部屋を出ていった。



約10分後。

魅音はシャーロック・ホームズが着ていたような服を持ってきて、どさっと床に置いた。

 
 「あぅ〜・・・」


 「こんなんだけど、いい?」

遠慮がちに尋ねられた羽入は、もちろんと言うしかなかった。自分が今までに着なかったような服
なのだが、いまどきこれを着ている人は雛見沢にはいないのではないのだろうか。


 続きます。

20:ユリカ マヤ:2013/11/08(金) 23:47 ID:VoM

面白い!!
シャーロックホームズって…w
魅音が何、持ってんだ?

やっぱり、書き方すごく上手!
習いたいぐらいです!!!!

21:ユリカ マヤ:2013/11/08(金) 23:50 ID:VoM

2とは違う小説を書こうと思うんだけど良いですか?
ちなみに日常的な…。

22:水梨:2013/11/09(土) 11:30 ID:zVQ

書き方上手だなんて・・・。私のは駄文ですよマジで。語彙力全然ないので・・・。

習いたいっておっしゃってくれて本当に恐縮しまくりです。

それと、ユリカさんのひぐらしの話も見てみたいです!日常的な話は好きです!

続きかきます。


 5分後。

すっかりシャーロック・ホームズになった羽入はあぅあぅ、と戸惑っていた。


 「似合ってるよ羽入!!」

グッジョブ、とばかりに親指を突き立てる魅音。


 「そ、そうなのですか?」


 「ほかにもあるよ。ル●ンの服とか、怪盗キ●ドの服とか・・・」


なぜそんなに特定のキャラの服があるのだろうか。そして怪盗キ●ドはまだ昭和58年にはいな(r

・・・と羽入は内心思ったが、突っ込まないことにした。


  

 ――と、その時!!



 「私に任せてください羽入さん!!」


声とともに、詩音が天井から、スタッと降りてきたのである!


 
 「し、詩音!?あんたなんでそんなとこから・・・」


 「私、葛西に特訓うけてますから♪」

目を見張る魅音に、テへペロ的なノリでvサインをして答える詩音。


 
 (何の特訓!?)

羽入と魅音は心の中で叫んだ。

ちなみに葛西とは、詩音のボディ−ガードのような存在である。



 「あ、そうだ。羽入さん。さっき梨花ちゃまとけんかしてましたよね?」

2人の心のツッコミなど知るはずもない彼女は、羽入に向き直る。


 「な、なんで知って・・・」


 「え?やっぱそうだったの?」


なぜそのことを知っているのだろうか。羽入が梨花に対してさんざん文句を言い並べているのを聞いていた
魅音はそう思ってもおかしくはないのだが、詩音がそれを言い当てる理由がわからない。




 「だって私、沙都子を待つためにずっと梨花ちゃまの家の天井裏に張り付いてたんですから。会話も
  全部聞いてましたよ。なんか梨花ちゃまの口調がいつもと違ってたけど」


 「そうだったのですか〜」


 「なるほどね〜」

羽入と魅音は納得したように首を縦に振る。




 (・・・・・・・・・って、あれ?)


羽入は何かおかしなことを聞いたような気もしないではないが、とりあえずつっこむのはやめた。

「今日はつっこんではいけない日」だと彼女は自負しているのだ。


 「お姉なんかに頼るからダメなんですよ。事情は大体わかってますから私に任せてください!」

そして詩音は高らかに言った。
 
  





 「

23:水梨:2013/11/09(土) 15:01 ID:zVQ

なんか 「 が最後に入ってました。すみません。

24:水梨:2013/11/09(土) 23:15 ID:zVQ

続きかきます。

 
 「そもそも、服がほしいなら、服屋に買いに行けばいいんですよ。興宮とかなら結構そういう系のとこ
  あるんですから」

 「・・・・・・僕と梨花の話を聞いたなら、詩音はわかってるはずですよ。

  僕にはお金が一銭もないと」


うなだれる羽入に、詩音は慌てて、ああ、そうでしたっけと笑うと、すぐそばの押入れの襖を開けた。


 「そこになんかあったっけ?」

自分の部屋には服など置いていなかったはずだと思った魅音は首をかしげる。


 「私の部屋はもう服がいっぱいだから、お姉のとこにも置かせてもらってるんです」

ガサゴソと押入れを探る詩音に、魅音は、あんたね・・・とため息をつく。


 「・・・あ、ありました。これですこれ」


そして詩音が出してきたのは、



 ピンク色のフリフリレースの、ふわふわ感を感じさせるドレスであった。肩の部分はパフスリーブになっていて、
 袖の部分にはレースがついていた。裾の部分にもとにかくレースがついていた。そして胸の真ん中には、
 ラブリーさを強調させるハートマーク。そしてその部分には、ラブを感じさせる「love forever」の文字。



 「・・・こ、これを着るのですか?」


 なんてこったい。罰ゲーム並の衣装じゃねえか。

・・・と、変な口調で話しそうになる羽入である。こんな服を着て村を歩いた日には、皆の笑い者であろう。

特に梨花に知られたら、どんなことになろうか。

 羽入は魅音をチラ見すると、彼女も些か目を開いていて、驚いているようだった。




「・・・あ、間違えた」



 あ、ですよね。もちろんパ−ティ−用とかなのですよね、と羽入は安心する。





 「これは悟史くんに着せるものでした」



 「・・・・・・・・・・・・」



 哀れ悟史、と羽入は心の中でつぶやく。きっと魅音もそう思っているに違いないと彼女は思った。


 「まあ、それだったら服屋に行って、試着してみたらいいんじゃないですか?」

話題を切り替えるように詩音は提案する。


 「試着?」


 「はい。それだったら別にお金もかかりませんし。試着なら何着だってできますし。


  でも店員さんとかには、試着するなら買えって思われるかもしれませんけどねー」


 「なら1着は買ったほうがいいってことなのでしょうか・・・。あぅ」


 「別にそうってわけでもないですよ。店員がどう思うなんて気にすることなくバンバン試着だけ
  する人っていると思います」


不安げにつぶやく羽入に、安心させよう(?)と詩音はつけたす。



それでも羽入は、昔のこともあって、人にどう思われるか気になることが多いのだ。
やはり何着も試着するなら1着くらいは買っておいたほうがいいのではないかと思った羽入は、おどおどときりだす。


 「・・・・・・え、えーと詩音。少しだけお金をかし」


 「いいですけど10倍の利子がつきますよ」


 「なんでもないです」


羽入の心は折れやすかった。



 




 

25:ユリカ マヤ:2013/11/10(日) 08:52 ID:5GU

『おぉ!普通の服が来た!』と思ってたら……
悟史…ドンマイ…;;
詩音!悟史は一応『男』だよ!

私が次に書くやつを『読みたい』と言ってくれて
ありがとうございます!
じゃ、なるべく早く書かせて
もらいます!
ちょっとの間待っててください!

26:水梨:2013/11/10(日) 12:41 ID:zVQ

 ユリカさんの小説、楽しみにしながらかきます!


 「・・・まあどっちにしろ、少しくらい試着してみたらどうですか?」

 
 「変に思われない程度にならしてみたいのです」

 「それなら決まりです!さ、行きましょう!」

詩音は早速出かけの準備をしようと棚の上にあるバッグを取る。


 「え?もうですか?」


 「決めたらすぐに行動!あ、お姉も一緒にどう?」


 「なんで?」

服屋に特に用事はないんだけど、と魅音がいうと、バッグを持ったまま詩音は彼女に近づき、耳元で囁く。


 「なんかいい服見つけて、圭ちゃんへの勝負服にでもしたらいいじゃないですか」


ぼっと、魅音の顔が赤くなる。

 そして、何言ってんのさ詩音ー!と慌てふためく。

 圭ちゃん―前原圭一とは魅音の想い人である。彼はだいぶ変態な部分があるが、いざというときはとても頼りに
 なる部活メンバ−のかかせない一員だ。そんな圭一に、好きという感情をもちあわせる魅音は、今までは特に
 気にしていなかったおしゃれも、少しだけ気にするようになってきている。


 距離の遠い羽入には2人が何を話しているのかは聞こえなかったが、魅音の表情から見て大体は読みとれた。



 そして3人は、興宮の服屋に向かったのである。




 さすが興宮だ、と羽入は改めて思った。いろいろな店、コンビニがあり、人もけっこういてにぎわっている。

 羽入が通うエンジェルモ−トも、いろいろな店のひとつである。



 「さあ、どこに行きます?」


 「あぅあぅ。僕はカジュアルなのが売ってるとこに行ってみたいのです」


 「カジュアル・・・ですか。その辺の部類だったらあっちのほうだと思います」

詩音が指をさした方向は――なぜか人が大勢いる。入ったらぎゅうぎゅう詰めになりそうなくらいの。


 「あるぇ?なんであんなに人が集まってるんだろうね?」

魅音は不思議そうに眺める。

 「バーゲンセールかなんかやってんじゃないですか。チャンスですよ羽入さん!
  バーゲンなら、多少安く買えます!」


 「だから僕はお金を持ってないのです!あるのは10円だけなのです!うまい棒1本しか買えないのです!」


あぅあぅあぅ!と羽入は悲痛な声をあげる。

ここまでにします。
 

27:ユリカ マヤ:2013/11/10(日) 20:00 ID:4uI

いゃ〜やっぱり上手すぎです!
もう、習いたいです!今すぐにでも!w

えっと、小説書かせて貰います!いきなり始まります!
ぶちゃっけ本番ですが…
一応、圭一が主役で!w

ある日の事だった…by圭一
魅音「圭ちゃん、お望みの服選びだよ?
短いフリフリのメイド服かミニスカ+ヒラヒラのついているTシャツ、どっちがいい?」
梨花「早く選ぶのです〜!」
さとこ「圭一さん、お約束ですわよ?」
レナ「どっちがいいかな かな?」
そう言って皆は俺に近づいて来る。
そして俺は今、絶賛、違う意味でのハーレム中だ。そうある意味地獄の…。
全ては数分前の事。
〜数分前〜
圭一「部活だぁ!」
レナ「今日は何のゲームかな?」
さとこ「今日も罰ゲームは圭一さんで決まりですけど」
梨花「楽しみなのですよ!にぱー☆」
レナ「はうぅ〜今日も梨花ちゃんかわいいよぉ〜」
圭一「いや、まだ俺が罰ゲームとは決まっていないぜ?
それとレナ、お持ち帰りはダメだぞ?」
魅音「それはそうと、皆たまにはしりとりしない?」
魅音がやっと喋り出した。
魅音以外「しりとり?」
魅音「うん、ルールはちょっと変えてやらない?」
さとこ「ルールはもう、考えているんですの?」
魅音「もちろん!皆、ルールは分かっているよね?」
レナ「もちろん!言葉の最後に『ん』つけちゃダメなんだよね?」
魅音「そう、それをすこ〜しだけ変えただけ!ルールは簡単!
あ!その前に皆!自分の名前から自分以外の皆が引っ掛かりそうな一文字出して!」
梨花「一文字ですか?」
魅音「うん、梨花ちゃんなら…そうだな『りか』の『か』だとしたら、
言葉の最後に『か』を付けてはいけない。みたいな感じで。
例えば圭ちゃんが『理科』と言ってしまえば
圭ちゃんの負け。最後に『か』など付けなければ良いって事!
やってみれば分かるよ!じゃ、皆、自分の名前から選らんで!」

一旦、切ります!

28:ユリカ マヤ:2013/11/10(日) 20:17 ID:4uI

続き!
圭一「何で俺が『例の対象?』なんだよ…」
魅音「だって、圭ちゃんいつも負けてるから、言いやすいんだよ〜」ヘヘ!
圭一「…だったら、今日は勝ってやる!!」ゴゴゴゴ
レナ「いつにましても、強気だね!」
圭一「さっきだって、俺を小バカ?にされたからな!絶対、勝ってお前ら全員、
スク水で町を歩かしてやる!!!!」
さとこ「圭一さんが負けたら、圭一さんはどうなるんですの?」
圭一「ミニスカ等を履いて町を歩いてやる!
あ、でも、服は俺に選ばせろよ?」
レナ「いいね!面白そう!レナはその罰ゲームでいいと思う!」
梨花「私もそれでいいのです!」
さとこ「私も賛成ですわ!」
魅音「じゃ、罰ゲームは決まりだね!」

すみません!また切ります!
短かくてすみません!

29:水梨:2013/11/10(日) 21:21 ID:zVQ

ユリカさんの小説見ました!部活の話、なんかおもしろくなりそうです!

 ていうか習いたいって言ってくれて本当にありがとうございます!

 ところで、ユリカさんの話の時系列はいつごろでしょうか?


 では私も頑張ります。


 「まあとにかく行ってみることが先決です!!」

詩音は羽入と魅音の手をひいて、人が群がる店へと突進していく。


 「バーゲンだったら混んでて試着室とかあんまりあいてなかったりして・・・」


 「もう!行く気をなくすようなこと言わないでくださいお姉!あ、大丈夫ですよ羽入さん。あそこが
  無理でも、ほかにいろんなカジュアル系の店はありますから」


 「は、はいなのです・・・」


 

そんなことを言っている間に、3人の足は客の群がる店へと到着していた。


 「って、何これええええええええ!!」


魅音は入口の横に貼ってある紙を見て驚いた。



 そこには「前原圭一女装披露大会」とあった。



 「け、圭ちゃんがなんでこんなとこに・・・!?」

気になって仕方がない魅音は、ほかの客を押しのける勢いで中に入っていった。

 
 「あらら〜。圭ちゃんもなんでこんなバカなことやってるんですかね〜・・・・・・あれ、
 主催者『入江京介』・・・監督!?」


詩音は入江の名が出ていることに驚いた。入江は雛見沢村にある入江診療所の所長である。


 確か今日は診療所は休みの日ではなかったはず――

 所長が病院を放って何をしているのだろうか、と思う詩音と羽入。


 「とにかく私たちも行ってみましょう、羽入さん!」


 「は、はい!」

詩音に手を引かれ、羽入たちも客を押しのけ、店内に入っていった。

30:ユリカ マヤ:2013/11/10(日) 21:49 ID:4uI

私の小説の時係列は、
運命の昭和58年の夏を無事勝ち抜いた後の話です!
なので、ある意味平和?な方です!

入江さ〜ん…何てものを…w
水梨さんの小説、次から次へとハプニング?があって物すごく面白いです!
読んてまいても全く、飽きないです!
更新頑張ってください!
私も頑張ります!

31:水梨:2013/11/10(日) 23:24 ID:zVQ

 コメントをありがとうございます!更新がんばってください!

 今日は時間がないので、tipsをかきます。


 tips「降り立ったストーカー」

羽入が出ていったと同時に、沙都子が羽入を心配した様子で帰ってきた。

 羽入なら心配いらないと沙都子に言った梨花であったが、自身も結構心配していたのだった。


 「梨花・・・。何があったんですの?」

買い物袋を床に置いて、沙都子は尋ねる。



沙都子に今までの経緯を話し始める梨花。


 
 「・・・少しくらいかしてあげてもよかったんじゃありませんこと?」

沙都子とて、決して梨花を責めるつもりはなかった。しかし話を聞いていると羽入も少しかわいそうになってくる。



 「だって羽入には――」



 

 「とおっ!」


梨花が何かを言う前に、天井から誰かが降り立ってきた!



もわもわと埃があがり、梨花と沙都子は咳き込む。



 「ゲホゲホッ!・・・な、なんですの!?」


 「みぃー・・・」


その埃の中から姿を現したのは、詩音であった。



 「し、詩音さん!?」





 「会いたかった沙都子!!」


むぎゅ、と詩音は沙都子に抱きつき、彼女はきゃ、と短く悲鳴をあげる。


 「・・・し、詩ぃ。詩ぃはどこからはいってきたのですか?」


 「何って、上からですけど?」




尋ねる梨花に、詩音は沙都子から向き直ってへらっと言った。


 「ああー!私のトラップを使いましたのね!!」


天井裏に細工をして、そこから部屋を見渡せるというのは沙都子お得意のトラップのひとつであった。


何のためにそんなことをしたかといえば、圭一が来た時などに金属タライを落としたりするためである。



 「沙都子お〜。今までどこに行ってたんですか?私、昼からずっとここで待機してたんですよ!」


 「何って買い物ですわ!・・・ていうか今はそれどころじゃないんでしてよ!」

沙都子は詩音の手から逃れて言った。すると詩音は気づいたようにああ、と小さく声を漏らす。



 「さっき、梨花ちゃまと羽入さんがけんかしてたことですか?」


先ほどの会話をすべて聞かれてたのか、と梨花はため息をついた。


 「・・・はいなのです」


 


 「・・・羽入さん、探します?」


 「も、もちろんですわ!」

真っ先に沙都子は立った。


 
 「梨花ちゃまは?」


 「・・・僕は、いいのです」

小さく梨花が答えると、詩音はため息をついて沙都子に向き直る。


 ・・・意地っ張りだ、と詩音は思った。梨花が羽入を心配しているのは彼女だってわかっている。

 それを自分が提案までしたのにあえて乗らなかった――。

 
 それを思えば、詩音は、まだ古手梨花という人間をよくわからない時がある。子供なのに子供らしくないというか。


 東京という組織から狙われて、ずっと一人で抱え込んでいた梨花は、6月を乗り越えてだんだんと子供らしい
 無邪気な表情になっていっているのは詩音だって知っていた。

 けれどやはりどこか――。

仲間なのにこういう感情を抱くのはおかしいだろうか。

・・・いや、仲間だって、すべてをわかっているわけじゃない。仲間だって、隠したいこともある。


 だから今は。


 「それじゃ、一緒に探しましょう、沙都子」




 「はいですわ。・・・では私は、羽入さんの行きそうなエンジェルモ−トから探してみますわ」


 「じゃあ私は園崎本家に一回戻ってみます」


そして詩音と沙都子は、羽入捜索に向かった。

32:ユリカ マヤ:2013/11/11(月) 18:27 ID:es2

はい!私も更新頑張ります!

梨花も本当に意地っ張りですね〜w
そうゆう梨花も私、好きです!
でも梨花も梨花で羽入を探しそう…

続きが楽しみです!
楽しみに待ってますね!頑張ってください!

33:水梨:2013/11/12(火) 22:07 ID:zVQ

ちなみに、ユリカさんはひぐらしキャラで誰が好きですか?

34:水梨:2013/11/12(火) 22:39 ID:zVQ

 続きかきます!

 2人が店の中に入った途端、歓声が響く。


 「さあさあ始まりました!雛見沢の名物、前原圭一による女装披露大会いいいい!!
  主催及び司会はこの私、入江京介です!!」

 入江はどこから用意されたかわからないステージの上にいた。そこにはカーテンが
あり、おそらく圭一だろう影が見える。

 そして詩音は目を凝らして姉を探す。羽入も魅音を見つけるため、辺りを見回していた。もちろん魅音の
ことだから、前の方にいるとは予測していたのでなるべく前の方を探すようにしている。


 客たちはにぎわっていた。雛見沢でも興宮でも有名になりつつある圭一が出るからか、客たちは皆楽しみに
しているらしい。

 すごい人気だ、と羽入は魅音を探しながら思う。

 さすが圭一なのです。


 「それでは、さっそく行きましょう! No1は――

 エンジェルモ−トの店員です!!」

35:ユリカ マヤ:2013/11/13(水) 14:18 ID:Xx6

私の好きなキャラは『梨花』と『レナ』です!
どっちか一人といったら『梨花』です!

ごめんなさい最近、更新してませんね…;
私。もうすぐ…というより明日、期末テスト…だっけ…。←
とにかく、テスト勉強しないといけないんで、
明日と明後日は無理そうです。ごめんなさい。
(『そろそろ勉強しろ!』と母に言われたんで…)
って事で一旦、今日何回か来て、明明後日にまた来ます!
勝手ながらすみません…

水梨さんの小説を楽しみに、しながら
テストやって来ます!

36:ユリカ マヤ:2013/11/13(水) 14:38 ID:Xx6

テスト前、最後の小説を書きます!

罰ゲームも決まった所で魅音が言い初めた。
魅音「一つ言い忘れだけど、最後に「り」付けるのはダメだけど、最後以外ならアリだからね?
まぁとにかく、皆!名前から一つ平仮名を抜き取ってね!」
魅音以外「わかったよ!/おぅ!/はいなのです!/分かりましたわ!」
〜数十秒後〜
梨花「私は『り』なのです!」
さとこ「私は『と』ですわ」
レナ「私は『な』だよ!」
圭一「俺は『け』だ!」
魅音「おじさんは『お』で!」
そしてケームが始まった。

ごめんなさい!出来たら後で書きます!

37:水梨:2013/11/13(水) 16:21 ID:zVQ

ユリカさん、テストなんですね!私は今週の土曜に入塾テストがあって、25日には定期テストがあります。
ここではそれを忘れて話書きます。ユリカさんの話を楽しみにしています。ところで私はいちばんレナと梨花と羽入が
好きです!


 入江の合図とともにカーテンが開かれた。そこには、エンジェルモ−トの服を着た圭一の姿が。

 そしてうおおおおお、と歓声が沸きおこった。


 「ご注文は何になさいますかお客様?」

少し上目づかいで店員になりきる圭一は、男なのに女らしさを思わせた。


 再び、先ほどよりも大きな歓声が響き渡る。



 しかし羽入たちは部活の罰ゲームで圭一がエンジェルモ−トの店員として(詩音の代役という設定で)接客を
しているのを何度も目にしているので、そこまで興奮はしなかったのだが・・・。

38:水梨:2013/11/13(水) 16:29 ID:zVQ


羽入がそんなことを思っていると、魅音の姿が目に入った。

 「・・・あ、もうお姉!探しましたよ!」


 「遅いよ2人とも!せっかくの圭ちゃんの晴れ姿なのに!」


 「晴れ姿って・・・。こんなのいつも見てるのですよ?」


 「これからだよ、これから!」

そういう魅音の声はどこかたかぶっていて、興奮しているようだ。もちろんその理由が、自分の部活の部員が
出場しているからというだけではないことを2人はわかっていた。


 そして圭一はカーテンの中に隠れ、何かに着替える準備をしている。そんな中、司会は続く。



 「それではNo.2!!バレリ−ナ!!」


再びカーテンが開くと、そこにはもじもじするバレリ−ナの圭一がいた。


 今度はエンジェルモ−トの店員の時よりも大きな歓声であった。そんな中、魅音が声を上げた!


 「こら−ッ!圭ちゃん、ちゃんとバレリ−ナになりきらなきゃ!!」


 「みっ、魅音!?」



 

39:水梨:2013/11/13(水) 17:03 ID:zVQ


圭一は驚いていた。それもそうである。まさかこんなところに魅音がいるとは思うまい。そして客たちも
魅音に少し注目する。


 「な、なんでいるんだよ!?」

そこまで言って、何かに気づいたように焦り始める。

 「・・・ま、まさか詩音とか沙都子とか梨花ちゃんとか羽入とか来てないだろうな!?」


 「さあどうだろうねー。それよりさっさとバレリ−ナになってよ!!」

くくくっと笑いながら言う魅音は、楽しんでいるのが目に見えた。


――とその時!



 
 「Kえええええええ!」

雄叫びが響いた。


 客の視線は魅音から一気にその声がした方へと注がれる。

 その声はエンジェルモ−トに集う変態オタク達であった。圭一はKと呼ばれ、彼らのリーダー的存在になりつつ
ある。


 「お前ら!なんでここに!?」


 「拙者たちもKの勇姿をこの目に焼き付けておきたかったでござるよ!」


 「今日のことはばっちりカメラにおさけておくにゃりんこ!!」

オタク達はK、Kと圭一を応援?する。


 「やめろ!カメラはやめてくれ!!」

圭一はあああ、と半泣きで懇願するが、オタク達は準備万端であった。

40:水梨:2013/11/13(水) 17:14 ID:zVQ

すみません。初めに訂正します。オタクのセリフで、「カメラにおさけて・・・」とありましたが、

「カメラにおさめて・・・」でした。すいません。

 「ほらほら圭ちゃーんっ!早くバレリ−ナにならないと!!」

今度は詩音が声を上げる。


 「げっ!詩音!・・・に羽入まで!!なんでこんな日に限って部活メンバ−が集まるんだよ!」


 「がんばれなのです圭一−っ!」

羽入も続けて応援する。

しぶしぶ圭一は客の手前、バレリ−ナを演じることにした。・・・といっても、たいしたことはできないので、


 圭一は軽く2回転ほどくるくる回り、お辞儀をした。




 そしてその時の圭一の表情は・・・、オタク達がとった写真によると、


 爽やかに笑っていたという。




 そして圭一は再びカーテンの中に行き、新しい服に着替える準備をする。


 この後も羽入たちはいろいろな圭一を見ることになる。


ある時はチャイナ服の少女、ある時は幼女の服、ある時はお相撲さん、ある時はプ●キュア、
ある時は魔法少女、ある時はセー●ーム−ンに、彼はなったのである。そのたびに客たちは大笑いし、
もちろん魅音や詩音、そして羽入も盛大にふきまくったのである。



 羽入はうらやましいと思った。

 ――僕も、圭一みたいにたくさん服を着たいのです。




 

41:水梨:2013/11/13(水) 17:29 ID:zVQ


 その時、羽入はふとトイレに行きたくなった。圭一の女装に1時間ほど見入ってしまったのだが、
体のはたらきには逆らえない。

 羽入は魅音たちにトイレに行くと言おうとしたが、いつの間にか2人は姿を消していた。


 「あれ・・・?」


 2人を探そうかとも思ったが、2人ならまだずっと圭一に見入っているだろうし、トイレは3分もあればすむとふんだ
羽入は、とりあえずトイレの方を探すことにした。



 

 「あ!あったのです!」

羽入があまり目立たないトイレを見つけたのは10分後であった。



 羽入は用を足し、手を洗う。


 「それにしても・・・、圭一のことで忘れてたけれど、本当は僕は服の試着をしたかったのです・・・」

手を洗い終わり、ハンカチでふき、扉を開ける。


 
 「あれ?羽入ちゃん?」


 「・・・レナ!?」 

42:ユリカ マヤ:2013/11/13(水) 19:06 ID:.Kk

おぉ!レナ初登場!!!
この後どうなるか楽しみです!!

今日はコメントとかは短いかもしれない…そうだったらすみません…

43:水梨:2013/11/13(水) 23:54 ID:zVQ

ユリカさん、コメントありがとうございます!テストがんばってください。


 「なぜレナがここに?もしかしてレナも圭一の女装大会を見に来たのですか?」


 「え?・・・んとね、レナも一応この大会の関係者なんだよ。だよ」

どういうことだろうか。もしかしてこの企画はレナが・・・?と思った羽入に、レナの説明が入る。


 「あのね、昨日のことなんだけど・・・」


                       *



 「はぅー!あれだよ圭一くん!」

レナは圭一とともにゴミ山・・・もとい、宝の山に来ていた。かぁいいもの大好きなレナは結構ここに来ては
宝を掘り当てるのだ。今回のように圭一に発掘を手伝ってもらうときもある。


 「今日のレナのお宝はなんだ?」


 「あのねっ、今日はね!」

ここまでにします。

44:水梨:2013/11/14(木) 17:16 ID:zVQ

続きです。


 「カ−●ルサンダースを昨日見つけたから、これの発掘を圭一くんに手伝ってもらいたいの!」


ケンタくん以外にそんなものまで・・・、と圭一は思う。ゴミ山にはそんなものがたくさんあるが、どこの
誰が捨てているのだろうか。


 「よし!カー●ルか・・・。どこにあった?」


 「うんとね・・・、ここに・・・」




 「前原さああああああん!!」

レナが場所を伝えようとしたとき、声が響き渡る。


 「ん?あの声・・・」

圭一たちが声のした方向を向くと、そこには入江がいた。


 「監督!!どうしたんですか、こんなところで」


 「実はですね。私、ある企画をしているんです」


 「企画?」


 「それは――





  前原圭一女装披露大会です!!」





 「・・・で、レナ。宝はどこだって?」

圭一は見事スルーし、レナに向き直る。


 「うん。ここなんだけど――」



 「ちょ、前原さん、無視しないでください!!」

入江がつっこむと、今度はレナが言った。


 「監督。圭一くんの女装もかぁいいと思うけど、圭一くんはレナのカー●ルくんを発掘するのを手伝ってくれる約束なんだよ!

  だから後にしてほしいかな、かな」


いいぞ、レナと心の中で思う圭一。


 
 「心配には及びませんよ、竜宮さん。『前原圭一女装披露大会』の主催は私ですが、竜宮さんがその
  副主催になることができます」

入江は眼鏡をくいっとあげてみせる。


 「・・・副主催にはどんな権利があるのかな、かな?」


 「それはもちろん、前原さんに着てほしい服を全部選ぶことができます」



 「それなら圭一くんを女装大会に!!」

レナは自分が服を選べると聞いて、とりあえずはカー●ルをあきらめたようだ。というより、レナが着てほしい
服を着た圭一の方がカー●ルより魅力的らしいのである。


 「交渉成立です!!」

レナと入江は、タッグを組む。


そして一人、唖然とその光景を見つめ、モノローグを語る。


 (どうしてこんなことになったのかわかりません。これをあなたが知った時、私は女装をしているでしょう。
 嬉しそうな顔をしているか、悲しそうな顔をしているかの違いはあるでしょうが。
 これを知ったあなた。どうか私を助けてください。それだけが私の望みです。


 前原圭一)


 
 

45:水梨:2013/11/14(木) 18:32 ID:zVQ



 「・・・というわけなの」

レナは一通り説明をし終えた。2人はトイレを出て歩く。レナがどこに向かっているか羽入はわからなかったが、
とりあえずついていくことにした。


 「レナは副主催になったのですね」

 「うん。レナが、圭一くんがね、着る服を半分は選んだんだよ。だよ」

 

 「・・・じゃあ、途中に出てた魔法少女とかプ●キュアやセーラー●−ンはレナが選んだのですか?」

ううん、とレナは首を横に振る。


 「それは監督が選んだんだよ。ゆくゆくは沙都子ちゃんに着せようと日々日々つくっておいてあったらしい
  よ。でも、お相撲さんや小さな女の子用の服とかはレナが選んだの。はぅぅ〜!圭一くん、かぁいかったな!
  お持ち帰りしたかったよぉぉ」


 あれ、と羽入は思う。

 「そういえば、レナはどこで圭一を見てたのですか?」


 「今から行く裏方の部屋の方だよ。穴が少し開いててね、そこから覗けるの!」

はぅはぅ、とレナは言いながら進んでいく。気分上々らしい。


 「・・・・・・」

とりあえず何をつっこめばいいのか、羽入にはわからなかった。



 「そういえば羽入ちゃん」

 「?」


 「レナが外で女装大会の看板をたてかけてる時にね、梨花ちゃんを見たんだよ」


 ・・・梨花を?

 もしかして、僕を探し回ってくれてるのだろうか・・・?と羽入は少しだけ梨花に悪い気持ちになる。


 



 

46:水梨:2013/11/14(木) 20:15 ID:zVQ

 

 tips「来訪」


 羽入が梨花とけんかしていたころ、1人の男が雛見沢村にはるばるやってきていた。

 彼の名前は赤坂衛。東京の警視庁公安部に勤務する刑事である。
なぜ彼が東京から雛見沢村までやってきたかというと、別に雛見沢村で事件が起こったわけではない。

 昭和53年に起こった建設大臣の孫誘拐の事件で雛見沢村に行った赤坂は、大石蔵人という刑事と出会い、麻雀を
する仲になったのである。だから久しぶりに大石と、麻雀勝負をしたくなったのだ。

それに――久しぶりにあの少女にも会える。

 ちなみに妻の雪絵と娘の美雪は2人で外食に行っている。



 「久しぶりだな・・・この村も」 

赤坂は大きく息を吸うと、足を踏み出した。

47:水梨:2013/11/14(木) 20:45 ID:zVQ



 「そういえば羽入ちゃんは梨花ちゃんと一緒に来たのかな?かな?」


 「・・・いいえ、魅音と詩音と来たのです」

羽入が答えると、レナがわあっ、と声を明るくさせる。

 「魅ぃちゃんや詩ぃちゃんも来てるんだ!今頃、圭一くんの姿見てかぁいいって思ってるよ!」



 あ、と羽入は思い出した。そういえば魅音と詩音を待たせているかもしれないのだ。


 どうしよう。


 思っていたら、裏方の部屋についたらしく、ここだよ、とレナが手招きする。

一応入った羽入はつい叫んでしまう。



 「あ・・・あぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」


信じられない光景が広がっていた。


 裏方の部屋にある机に、信じられないほどの量の服があったのだ。


 「やっぱり驚くよね。レナも最初監督にここを案内されたとき、びっくりしたもん。これよりは
  少なかったけど。途中でレナもいっぱい服持ってきたから」

レナが笑っているとき、羽入はぶるぶると震えていた。どうしたのかな、とレナが聞くと、くわっと
彼女に向き直ってくる羽入。


 
 「レナ・・・。僕は・・・僕は・・・、

 

  ここにある服を着たいのです!!」

48:水梨:2013/11/14(木) 23:21 ID:zVQ



 意気込んだ羽入に、レナは多少驚いたようだったが、すぐにはぅ!と手を合わせる。



 「それなら羽入ちゃんも、圭一くんと同じように大会に出ればいいんだよ!エントリーNo2として!」



 「えっ!?」

 「羽入ちゃんなら圭一くんに対抗できるよ!きっとかぁいいよ羽入ちゃん!」



 「で、でも・・・。大会名は『前原圭一女装披露大会』だから、圭一しか出られないんじゃ・・・」


不安げに言う羽入に、大丈夫だよとレナは笑った。


 「看板を『かぁいい服披露大会』にしちゃえばいいんだよ!だよ!じゃ、さっそくそこらへんにある服に
  着替えてみてほしいな!レナは監督に、羽入ちゃんも出るって言っとくね!」

そう言うとレナは、会場の方に行ってしまった。


 「あぅぅ・・・」

1人残された羽入。

 とりあえず、机に置いてある服――上はいたって馬の絵のかかれたTシャツに、下のズボンからは馬の頭から首
が出てきているものをとった。


 ・・・てかもうこれ、女装じゃないのです。さっきもお相撲さんとかあったし・・・。


羽入はとりあえずこれに着替えることにした。

                     *




 梨花は興宮内を歩いていた。買い物を終わらせた彼女は少し早足で、帰路につこうとしている。


――ただ、それが間違いだった。エンジェルモ−トのあたりを通ったところで、バイクを倒してしまった。


 「・・・あ」

今までの世界の経験から、彼女は悟った。これは少しやばい、と。



 

 そしてすぐに彼らはやってきた。



 「俺らのバイクにンにしてくれんだよおおおおおこのやろおおお!!」


目明し編、皆殺し編にも出てきた不良三人組であった。

49:水梨:2013/11/15(金) 20:10 ID:zVQ



 ・・・思いかけた羽入は、自分がこのような服を着て公衆の面前にさらされるのは少しばかり抵抗があると
考え、はじめは普通のメイド服+おしゃぶりをつけることにした。
 それを言えば女装を公衆の面前でさらしまくっている圭一はどうなのだろうか。


 羽入は着替え終わり、裏方の部屋を出て、会場に戻ろうとすると、レナに呼び止められる。


 「あ、羽入ちゃん!メイド服にしたんだね〜!やっぱりかぁいいよぉ羽入ちゃん!そのおしゃぶりは
  ドツボにきたよ!!


 ・・・あ、大会でね、『ばぶ〜』って言ったらきっと萌えるよみんな!!」




 「・・・そ、そうなのですか」


なぜこんなものを選んだのだろう、と羽入は少し後悔する。


 「あ、出場者はね、こっちの方で待機するんだよ」

レナが指さした方向は、羽入が行こうとしていた方向と全くの逆であった。



                       *

 一方、会場では圭一がセーラー服を着ていた。


 「いやんっ。スカートがめくれちゃうわ」

圭一の振る舞いは、振る舞いだけなら本物の女子高生のようだった。

彼はあまりに多く女装をして演じすぎてしまったため、今では抵抗というものを忘れてしまっていた。


それでもまだ圭一への歓声は止まることを知らなかった。さすが雛見沢の名物だ、とそばで入江は思う。

そこにレナが監督、と呼びかける。


 「竜宮さん。準備はOKですか?」

 「はい。羽入ちゃん、待機してます」

それを聞いた入江は、司会を続ける。


 
 「――と、ここで新たな参加者だああああ!」


客たちは驚いた顔をすると誰、誰?と辺りを見回し始めた。圭一もえ?とつぶやいた。


 「エントリーNo2、雛見沢でちょっと不思議な少女――


  古手羽入!!」



とたんに、歓声が上がる!



 「な・・・、なんで羽入が・・・?」

圭一は驚くしかなかった。

50:水梨:2013/11/15(金) 23:16 ID:zVQ



 「それでは――早速羽入さんに登場していただきましょう!!」




入江が手をかざすと、カーテンからメイド服+おしゃぶりの羽入が出てきた。






 「・・・ば、ばぶ〜〜なのです」



沈黙した。これ以上ないくらいの静けさだったのを羽入は覚えている。



 そして客のうちの1人(男)が、萌ええええ、と拍手をしだす。


 「も、萌ええええええええええええええええええ!!」


1人の男に続いて、客たちが拍手喝采する。



 羽入は自然と顔がほころんだ。少し恥ずかしかったが、何よりも嬉し
かった。


 昔、神として崇められたことよりも、今ここでこうして萌えだのなんだの言われる方が羽入にとっては
とても気持ちのいいものだったのだ。



 笑みをこぼす羽入を見て、これはやばい、と圭一は感じた。


 (今までは俺の方に注目してくれてたけど、このままじゃ羽入に注目がいく!!同じ部活メンバ−として、
  負けられねえ!!)

圭一がしているのは女装なのだが、彼はそんなことはもうどうでもよかった。

 部活メンバ−と戦うことになったならば、それは彼らにとって、「部活」なのだ。


 「・・・よし羽入!次はどっちが注目を集められるか勝負だ!!」


 「はいなのです!!僕も負けませんですよ!」

羽入の場合、もともといろんな服を着てみたいというだけの理由であったのだが・・・、彼女の中の主旨は
変わっていた。


 ・・・と、2人が闘志を燃やし始めた時だった。





 「羽入さん!!見つけましたわ!!」



会場に、響いた声は沙都子のものだった。

51:水梨:2013/11/16(土) 00:00 ID:zVQ



 客の視線が、羽入たちから一気に沙都子の方へと注がれる。


 ――よく見ると、沙都子の後ろに魅音と詩音がいる。


 「あれ?沙都子ちゃんに魅ぃちゃんと詩ぃちゃんだ」

レナも裏方担当の立場を忘れ、足を前にやる。圭一もなんだなんだと動きを止める。



 「羽入さん!何してるんですの、こんなところで!!」

沙都子が羽入に近づくと、入江が前に出てきた。


 「こんなところとは・・・。そうだ、せっかくだから沙都子ちゃんもこの大会に」


 「今はそんな場合じゃないんですわよ!」

入江の提案を聞いている暇などない。沙都子は、羽入に言わなければならないのだから。


 
 「羽入さん」


 「は、はい・・・」



 「きっと梨花は今、羽入さんを心配してますわよ!」


 「―――!!」


 ―レナが外で女装大会の看板をたてかけてる時にね、梨花ちゃんを見たんだよ。


羽入はレナの言葉を思い出した。



 (・・・そうか。やっぱり梨花は僕を探し回ってたのです。僕を心配して・・・)



その時、圭一は事態があまりのみこめていないようだったが、のみこみの早いレナが、推測を圭一に説明した。

 そしてその推測は、あたっていたのである。



 (それなのに僕はこんなところで・・・)

羽入の中に罪悪感が生まれる。



 「・・・僕は」



 「僕は梨花を探しますのです!!」


おしゃぶりを放り出して、羽入はメイド服のまま服屋を出て行ってしまった。




 「あ・・・ちょ、羽入さん!」


 梨花なら家にいるのに、と言おうとした沙都子だったが、間に合わなかった。圭一やレナ、魅音、詩音は
 沙都子と一緒に羽入を追いかけようとしたが、羽入の姿を見失ってしまった。

52:ユリカ マヤ:2013/11/16(土) 10:55 ID:2Ws

水梨さん、3日?ぶりです!!
小説一通り読ませてもらいました!

まさか羽入まで大会でるとは…w
予想がつかなかったです!
本当に水梨さんの小説、飽きないです!
続き楽しみにしてます!


テスト、数学あまり書けなかった…;w
↑関係ないですね;

53:水梨:2013/11/16(土) 12:43 ID:zVQ



 「・・・あれ?そういや魅音たちはどこ行ってたんだ?急に会場から消えたけど」

羽入を探しながら圭一の質問に、詩音が答えた。


 「羽入さんの目を盗んで、沙都子に羽入さんの居場所を教えようとエンジェルモ−トまで行ってたんです。
  たぶん羽入さんを一緒に連れて行ったら、梨花ちゃまに会いたくないとか言いそうだし」

うんうん、と魅音もうなずく。


 「・・・思ったけど、やっぱり梨花ちゃんと羽入ちゃんは喧嘩中なのかな?かな?」


 「はい。羽入さん、服買いたかったらしいんですけど、梨花ちゃまにお金はかさないって言われてて・・・」



 「とりあえず、羽入さんを探して、家に連れ戻しますわよ!梨花が家で待ってますわ!」


 「家?」

沙都子の言葉に反応したのはレナだった。



 「レナ、梨花ちゃんがさっき興宮を歩いてるのを見たよ」



 「えっ!?じゃあ、梨花はあの後羽入さんを探しに出たってことですの!?」

それなら最初から自分たちと一緒にいけばよかったのに、と沙都子は思った。意地張ってないで―。


 
 「う〜ん・・・。でも、なんか誰かを探してるって感じじゃなかったんだよね」

レナの言葉は嘘ではなかった。確かにレナは看板を立てているとき梨花を見たが、焦っている感じでも
なかった。辺りを見回しているわけでもなく、ただ歩いていただけだったのだ。


 「じゃあ、梨花ちゃまはいったい何をしに・・・?」

詩音が言いかけたところで、魅音は部長として指示をする。



 「こんなところで話してたって何もわからないよ。とりあえず二手に分かれて、梨花ちゃんと羽入を
  探そう!圭ちゃんとレナとあたしは梨花ちゃんを、沙都子と詩音は羽入を探して!」


 「わかった!!」

魅音の指示に、皆はそれぞれ二手に分かれた。



 おまけ。その頃の入江。


 (誰もいなくなってしまった・・・。どうしよう)

客の目がだんだんつまらなさそうになってきている。これはまずいと感じた入江は、最後の一手に出る。



 「・・・み、みなさん!エントリーした方々がおられなくなってしまたたので、ここからは司会者である
  この私がコスプレをいたしましょう!!」


 この入江の一手に、客の反応は五分五分であった。


 「へえ、入江先生が・・・」


 「面白そうじゃの」


 「けーいち兄ちゃんや羽入ちゃんの方が可愛かった!」


 「もう帰りたくなったよ、ママー。家でドラえもん見ようよ」


 「ドラえもんは今日やってないよ、ももりん」

54:水梨:2013/11/16(土) 13:29 ID:zVQ

 久しぶりですね、ユリカさん!数学難しかったですか?私は数学苦手です。てか全部苦手です。そして入江の
セリフ、「しまたたので」になってました。「しまったので

」です。すみません。

 この話はだいぶ終盤に差し掛かっています。


 羽入は、梨花を探していた。そして心の中でごめんなさいと謝り続けていた。

 (一言謝らなきゃなのですっ!)

けれど――探しても探しても、興宮内に梨花の姿は見当たらなかった。もしかしたら運悪くすれ違い続けて
いるのかもしれないが。

―いや、もしかしたら、雛見沢村に戻っている可能性もある。


 そう考えた羽入は、雛見沢村に向かって、走り出した。




                        *


 「羽入さんいました?」

 「いませんわね・・・」

興宮で、詩音と沙都子は羽入を探していた。


 「・・・あ、もしかしたら村に戻ってるとかはないでしょうか?」


 「その線は否定できませんわね。行ってみましょうですわ!!」

2人も、羽入を追った。




 ところでユリカさんに梨花と羽入について、聞いてみてもいいでしょうか。

 「ひぐらしのなかせ方」で、竜騎士07さんが梨花にとってループ生活は苦痛ですが、梨花すらいない一人ぼっちの苦しみを
知っていて、梨花以外とコミュニケーションのとれない羽入にとって、梨花さえいればループ生活でもいい
みたいなことをおっしゃられていたようなのですが、やっぱりそうなのでしょうか?


 








 

55:ユリカ マヤ:2013/11/16(土) 14:36 ID:7tY

残念です…そろそろ終わるんですか…。
でも、続きを楽しみにしています!

質問の方なのですが、
詳しくは分からないですが、そうだと思います。
羽入は梨花しか話せなくて、『一人』で寂しいんだと思います。
でも、梨花は苦痛でも『一人』の羽入は話す人は一応、
梨花ただ一人なので、気持ち?も和らいで、ずっと一緒にいて、
まぁ、一言で言うと『好き』なんだと思います。
だから、梨花さえいればいいんじゃないですか?
ただ単に羽入と梨花は、気づいてないんだと思います。
と言っても、私の『勝手な解釈』です。
私から考えさせて貰うとそうだと思います。
(間違ってるかも…)
間違ってたらすみません…

56:ユリカ マヤ:2013/11/16(土) 14:37 ID:7tY

↑長くてすみません…

57:水梨:2013/11/16(土) 15:01 ID:zVQ


 そうでしたか!そういうことだったんですね!羽入も1000年、ずっと寂しかったんですよね。

 ユリカさん、どうもありがとうございました。この旅回り編はもう少しで終わりますが、また「善戦し編」という
話をかこうと思っています。今度は梨花が主人公で、またひと騒動おきます。時間軸的には煌の夢現しの前の
話です。

58:水梨:2013/11/16(土) 16:10 ID:zVQ


 続きです。


 一方、圭一たちも梨花の捜索中である。


 「なあ、レナ。梨花ちゃんがどこに行ったかわかるか?」

 
 「残念ながら・・・。検討はつかないかな・・・」

しょんぼりとするレナに、大丈夫だよと魅音は彼女の肩に手を置く。


 「きっともう家に帰ってる頃じゃないかな。一回梨花ちゃん家に戻ってみようよ」


 「そうだな!」


こうして、圭一、レナ、魅音も梨花の家に向かうことにした。






 やっと着いた。興宮から走って30分。息を切らせながら羽入は、古手家を見上げた。


 
 ――梨花は、いるだろうか。

 いたら、何て言おうか。


 ごめんなさい?

 僕が悪かったのです?

 
 でも梨花がお金をかしてくれなかったから・・・。


こういう時、何かうまくいかないものだ、と羽入は思う。

何を言えばいいかとか、それでも少し納得がいかないとか、そういうことを考えてしまう。


 けれどもう、答えは決まっている。

 梨花を心配させたのは、明らかに羽入なのだから。


 それは謝らなくてはならないのだ。




 羽入は意を決して、古手家の扉を開けようと、ドアノブに手をかける――。



 「・・・あれ?君は・・・」




 
 「・・・あか、さか・・・?」


後ろから聞こえた声は赤坂のものだった。赤坂がなぜここにいるのだろうかとか、遊びに来たのだろうかとか、
そういうことも頭の隅にはあったのだが、それよりも羽入にとって驚いたことがあった。




 「梨花・・・?」



羽入が今ずっと探していた梨花は、赤坂に背負われてぐっすりと寝ていた。

 梨花の寝顔は穏やかで、笑っていた。

 

59:水梨:2013/11/16(土) 16:34 ID:zVQ


 「赤坂が、どうしてここに・・・?」


 「大石さんと久しぶりに麻雀勝負でもしようと思ってここを訪れたんだ。それで、興宮の方に行ったら、
  路地裏の方で、梨花ちゃんを見てね。なんか見るからに不良みたいな男たちにからまれていたんだ」


 「え・・・っ?梨花が・・・!?」


 「その不良たちは、梨花ちゃんが持ってた紙袋を奪い取っていて、バイクの請求を求めてたよ。
  全然壊れてなかったけど。金がないならこれで払えって。どうせいいもん持ってんだろう
  みたいなことを言っていた。



  それで梨花ちゃんは、返して、と必死に紙袋を取り返そうとしていた。とても大事なもの
  だったんだろうね」


 そう言って、赤坂は梨花が持っている紙袋に目を向けた。紙袋は結構大きかった。


 (あの袋に、そんなに梨花の大切なものが・・・?)
 

 「だから見ていられなくなって、何とか梨花ちゃんを助けて、紙袋を取り返したんだけど――。


  安心したのか、梨花ちゃん、眠ってしまって。それで背負って帰ってきたんだ」



 そういえば、と羽入は思う。思い出した。朝の5時くらいにヤモリが出たのです、と騒ぎ立て、
まだ眠い梨花を起こしてやっつけてもらったことを。



 「・・・きっと、僕のせいで眠たかったのです」


 「え?」


どういうことだい?と赤坂が問うた時、梨花が、ん・・・、と目をこすり始めた。


 「あ、起きた?梨花ちゃん」




 「あ・・・、え・・・?あ、あああああああ、あか、あかっ、

 
  赤坂っ!!!?????」

寝起きでまだよく事態が呑み込めなかった梨花は、赤坂に背負われているということに気づいて
だいぶ動揺している。



 「な、ななななな、なんで赤坂の背中に・・・っ!?」


 「眠ってたんだよ」



 「お、おおおお、おろしてほしいのです!ありがとうなのですにぱああああ!!」

あまりの動揺に梨花は少しおかしなことになっていたが、笑いながら赤坂はゆっくりと彼女を
おろした。



 
 「それじゃ、私はもう行くけど大丈夫?梨花ちゃん」


 「は、はははははいなのです」

コクコクと何度もうなずく梨花。それを見てまた赤坂は小さく笑うと、それじゃ、と手を振って
行ってしまった。




 そして、羽入と梨花の2人になり、沈黙が続く。





 (あ・・・あぅあぅあぅ。こういう時は何て言ったらいいのですかっ?)


羽入が焦っていると、やっと梨花が口を開いた。


 
 「・・・もう家出は終わったの?」



 

 「り、梨花が、僕を探してくれてるってきいたから、謝ろうと思ったのです」







 
 
 

60:水梨:2013/11/16(土) 18:58 ID:zVQ



 「・・・・・・ふーん。まあ、別にあんたを探してたわけじゃなかったんだけど」


 「えっ!?違ったのですか!?」

あれだけ奔走したのに、別に自分を探していたわけではなかったのだと思うとすこし残念に思う。


 ―あれ?じゃあ・・・。



 「梨花は、今までどこに行ってたのですか?」


梨花にとって大事らしいその紙袋。どうせ大量のキムチでも入っているのかと思うと、気分がなえてくる。




 すると、梨花は少しうつむいて、黙ってしまった。

 そうされると羽入もどう続けたらいいのかわからなくなる。



 
 「・・・・・・・・・たのよ」



 「え?」

今、梨花は何と言ったのだろう。あまり聞こえなくて、耳を梨花に近づけた。






 「買ってたのよ!羽入の誕生日プレゼント!!」

そう言って、梨花は紙袋を羽入につきつけた。



 「・・・・・・・・・・・・え?」

61:水梨:2013/11/16(土) 19:45 ID:zVQ



 ・・・誕生日?


 とりあえず羽入は、梨花の言葉をもう一度再構築する。


 ――買ってたのよ!羽入の誕生日プレゼント!


 (えーと・・・。今日から8月で、僕の誕生日は8月1日で・・・)



 「あ・・・」



 「まさか忘れてたの?自分の誕生日」


 「・・・すっかり、忘れてたのです」


笑う羽入に、はあ、と梨花はため息をつく。



 「・・・はい」


梨花は羽入に、紙袋を渡し、羽入はしっかり受け取った。



 「これ・・・、僕のために・・・?」

梨花は少し恥ずかしそうにうつむいた。


 ―梨花ちゃんは、返して、と必死に紙袋を取り返そうとしていた。


 
 とても大事なものだったんだろうね。



 赤坂の言葉を、羽入は思い出した。


 
 ・・・梨花の大事なものは、僕への誕生日プレゼント――。







 
 「・・・梨花っ、梨花ああああああああ!!」

羽入は、紙袋を持ったまま、梨花に抱きついた。


 「わっ」



 「ありがとうなのです梨花!!」


羽入は、目が少し濡れているのを感じていた。

それはどこか、暖かかった。



 「礼はいいから、開けてみて、それ」


 「は、はいなのです」

羽入は言われたとおりに紙袋を開いた。見えたのは―――



 シュークリームの絵柄がついた、薄ピンク色の半袖と、少しカジュアルさの混じったズボン。




 「あ・・・あぅぅぅ・・・!!」



 「最近売ってたのを見たから、気にいるかと思って買ってみたけど・・・



  気に入った?」



 
 梨花に尋ねられ、羽入は満面の笑みで答えた。


 
 「最高の、誕生日プレゼントなのです!!」

62:水梨:2013/11/16(土) 20:16 ID:zVQ



 
 「はぅぅぅぅぅぅ〜!!」

いきなりそばの草の茂みから、レナが出てきた。驚いた2人は小さく悲鳴を上げる。


 
 「梨花ちゃんと羽入ちゃん、かぁいいいいいいいいい!!


  



 

63:水梨:2013/11/16(土) 20:20 ID:zVQ

 」を忘れてました。すみません。


 「みぃ!?」

 「あぅ!?レナ、どうしてここに?」


 「はぅ、レナだけじゃないよぉ」

レナが言うと、そばの草の茂みから圭一、魅音、詩音、沙都子が出てきた。


 「いや〜。まさか梨花ちゃんがプレゼント買ってたとはな〜。母さんが推理小説家の俺でも想像できな
  かったぜ」


 「感動的な再会だね!めでたいめでたい!」


 「仲直りして、ハッピーエンドですね」

圭一と魅音と詩音が納得顔でうなずく中で、沙都子が声を上げる。

 
 「てか羽入さん、今日誕生日だったんですの!?」

64:水梨:2013/11/16(土) 20:22 ID:zVQ


 「あぅあぅ。言い忘れてたのです」

笑う羽入に、まあ本人も忘れてるぐらいだからと梨花は言った。



 「・・・それなら、今から羽入の誕生日会開こうぜ!」


 「賛成だよ!だよ!」

勢いよく言う圭一に、レナが続く。


 「えっ・・・?」

お、いいねいいねと続く部活メンバ−に、羽入は目を見開く。


 「・・・あ、でもケーキがないよ?」

困り顔の魅音に、大丈夫なのですよと声がかかる。

65:水梨:2013/11/16(土) 20:26 ID:zVQ


 「ボクが朝の3時くらいにエンジェルモ−トで、ケーキとシュークリームを買っておいたのです!」


 「お、準備早いですね梨花ちゃま」


 「ていうか梨花、そんな時間に外出してましたの!?」


笑う部活メンバ−を見ながら、羽入は思う。

 
 本当に、最高の誕生日会だ、と。


 今までの誕生日よりずっとずっと、楽しい誕生日会だ。惨劇を越えなければ、こんな日はやって
 こなかっただろう。


 みんなが笑いあえるこの世界、これより価値のあるものがどこにあろうか。


 みんな、ありがとう。梨花、ありがとう。


 私は今、幸せです―――。

66:水梨:2013/11/16(土) 20:30 ID:zVQ

やっと旅回り編が終わりました。

 めっちゃ長かった・・・。今回は「平和な雛見沢でちょっとした騒動」をめざしてみました。


 次の話はは多少オリキャラ入りますが、時間軸は夢現し編の前の話です。


 簡単に言うと、羽入が戦隊を結成します。でも梨花が主人公です。

 ギャグ?もシリアスもあります。

67:水梨:2013/11/16(土) 20:35 ID:zVQ

「は」が二回重なってました。すみません。

68:ユリカ マヤ:2013/11/16(土) 20:42 ID:3yw

おぉ!梨花は誕生日プレゼントを買っていたのか!
優しいな〜梨花。こんな子が欲しい!w
とても面白いです!次回作も楽しみにしていますね!

それと申し訳ないんですが、
明日は、おじいちゃんの友達?とかの家に、
朝から夜ぐらいまで遊びに行くので疲れて来れそうにないです…
すみません。
でも終わったら小説書かせて貰います!待っててください!

69:水梨:2013/11/17(日) 16:19 ID:zVQ

 テスト勉強が忙しいです。

それでは善戦し編、始めます。


 昭和58年夏――。雛見沢村での一つの騒動は、またしてもこの村の神様によって始まるのであった。



 「ああああああ〜。宿題がぁぁぁ〜、わからないぃぃぃ〜」

きれいな青紫の髪をぐしゃぐしゃとかきまわしながら、古手梨花はつぶやいた。


 「こんなのをあと30枚だなんて無理よ無理!!」

目の前に山のようにある算数の宿題を見上げた。――そう、見上げたのである。


 それほど宿題はたんまりと出されたのであった。


何て残酷なのだろう、と梨花は思う。まあ殺されるよりかはとてもとてもとてもましなのだが、


幸せになればなったで、少しずつ欲も出てくるものであった。

 でもそれも仕方のないことである。梨花たちは今までの分を幸せに過ごすのだから。



 「・・・・・・誰か私の代わりにやってくれないかしらマジで。


  ・・・・・・・・・羽入ー!」


梨花は冗談で、軽い気持ちで、今頃はシュークリームにでも買いに行っているだろう同居人を呼んだ。


 
 そのとたんであった。



 ジャジャジャジャーン!と壮大にBGMがなり始めたのである!


 ジャジャジャーン!


 確かこれは有名な音楽家の(名前は忘れたけど)「運命」とかいう曲ではなかったか。

梨花はそんなことを思いながら、耳をふさぐ。

 何せ大音量である。


 「あーもう!うるさい!!いったいどこからなってんのよ!?」

梨花が辺りを見回すと、少し大きなラジカセが少し自分から離れた机にあり、そこから鳴り響いている
のがわかった。


 「勉強中なのに・・・」

梨花は立ち上がって音を止めようとする。



 
 「止めてはだめなのです!!」

70:水梨:2013/11/17(日) 17:25 ID:zVQ



 「!??この声・・・」


 ドォォォーン!と曲が奏でたとき、タイミングよく、シュークリームを買いに行っていたと思われていた
 羽入が現れた。


 しかし彼女は、グラサンのようなものをかけ、どこかの戦隊ヒーロー達が着ているような服を着ているでは
ないか。


 「僕は困っている人を助けるのです!梨花、あなたは僕を呼びましたね!

  そんな声を聞いて、僕ら――



  『ケチラッション隊』はやってくるのです!!」




 
 
 「・・・何、それ」


最初からもう唖然唖然唖然。何から突っ込んでいいのやらわからない。


 「だから言ったのです!我が『ケチラッション隊』は、困っている人々を助けるのですよ!」


羽入は生き生きとしゃべりだす。そんな彼女に、ひとつ、突っ込むことにした。



 「・・・まず聞くけど、『ケチラッション隊』って何?くしゃみばっかしてるの?くしゃみを
  必殺技にでもするの?」


そう聞くと、羽入は失礼なのです!と憤慨し、いいですか梨花、と指をたてる。


 「そもそも『ケチラッション』というのはですね・・・。悩みを『蹴散らす』という部分からきてる
  のです」


 「ネーミングセンス悪っ!かっこよくもないわね」


 

 「・・・まあ僕も、ちょっと、本当にちょっと、いやあの、本当にちょっとだけですよ?

  本当に本当にちょっとだけ、くしゃみばっかりしてるイメージが浮かんだことがあるのです」


 

71:水梨:2013/11/17(日) 22:04 ID:zVQ



 あんたもあるんかい、とつっこみそうになった梨花はそれをおさえ、羽入に尋ねる。


 「てゆーかなんでいきなりそんなふざけたことするようになったのよ?」

すると羽入はよくぞ聞いてくれたとでもいうように胸を張る。



 「実は僕、ハマってしまったのです」


 「何に」


 「戦隊モノのアニメに」




 「・・・・・・・・・はぁぁぁぁぁぁ!?ふざけてんのあんた!?」

梨花は彼女の答えを聞いただけで腹立ってきた。自分はまじめに宿題について考えていたというのに、
羽入はアニメに夢中になり、あろうことかその真似事までしだしたのだから。


 いまだなり続けている「運命」が、梨花のいらだちに拍車をかける。


 梨花は懐にしのばせてあるキムチ瓶をとりだして、一つ口の中に入れる。




 「辛ァァブワァァァァ!辛辛辛辛いのですぅぅううぅぅううぅうぅぅ!!」


羽入は転げまわってもだえだした。


 「あんたがどれだけ戦隊ヒーローの真似事をしても、キムチ嫌いだけはなおせないみたいね」

梨花は食べながら続ける。



 「ヒーローにだって、弱点の一つや二つないと面白くな・・・辛い辛い辛い辛い辛い辛い辛いいいいいい!!」


羽入は負けじと言い返すが、あまりの辛さに苦しげに転げまわるしかなかった。


 

 「こんなんじゃヒーローも形無しね。・・・いや、ヒロイン?」

梨花はキムチを食べるのをやめ、今度こそ鳴り響く煩わしいBGMを止めようとする―――


 
 が。


 「ちょーーーーーっと、お待ちなさいませぇ!!」

72:ユリカ マヤ:2013/11/18(月) 16:06 ID:BfE

羽入…ヒーローに…w

水梨さん、こんにちは!
今回も小説面白いです!

テスト勉強大変ですよね…。分かります(私も大変だった…)
でも、頑張ってください!応援してます!

73:水梨:2013/11/18(月) 22:32 ID:zVQ

 テスト勉が忙しい・・・。来週は地獄です。応援してくださってありがとうございます。励みに
 なったので頑張って続きかきます。ユリカさんの部活の話、楽しみにしています。


 

 「ま、まさか・・・」

声、そして口調を聞いた梨花はもう嫌な予感しかしなかった。そしてその予感は的中することになる。



 とらっぷさとこがあらわれた!〈LV54〉



 「あぅ!我が隊の第一のメンバー、トラップサトコ!ちなみに隊長は僕なのです」

羽入は解説しながら表情を明るくさせる。


 「お待たせしましたわ!ハニュウ隊長!」

北条沙都子・・・いや、トラップサトコはすっと羽入の前に降り立った。

 そして、その様子を見守っていた梨花は口を開く。


 「・・・え?さ、沙都子?これはどういうことなのですか?」

こんなバカな遊びをやっているのは羽入だけで十分だと思っていたのに。まさか最愛の親友沙都子までが
戦隊ヒーローにはまってしまったなんて。梨花は頭を抱えた。



 「ああ、まだ梨花にはお話していませんでしたわね。実は私たち、その・・・

 戦隊もののアニメにはまってしまいましたの。それで羽入さんと2人で、困っている人を助ける
 隊をつくることに決めましたのよ。


 それで私が『ケチラッション隊』となづけ、羽入さんが隊長に、私が隊員になったのですわ!」


ぺらぺらと話していく沙都子に、梨花は思う。

 
 あ、沙都子が名前つけたんだ、それ・・・。



 「サトコぉぉ〜!聞いてほしいのです!ヘルプが聞こえたので出動したら、その本人の梨花が、僕の
  仕事の邪魔をしてくるのですぅぅ!!」



 邪魔なのはあんただ!と、梨花は、サトコに泣きつく羽入―ハニュウをにらみつける。


 (確かに呼んだけど、変なBGMまで流されて、勉強に集中できないったらないわ!)

74:水梨:2013/11/19(火) 00:11 ID:zVQ



 「まあ、いったい何をされたんですの!?」


 「梨花にキムチを食べられたのですぅ〜!!」

あうあう、とサトコにすがりつくハニュウ。

 「・・・そういえば、羽入さんはキムチとか嫌いらしいですけど・・・。なぜ嫌いなものを食べられたら
  仕事の妨害になるんですの?」

ナイス沙都子、と梨花は心の中でグッジョブした。沙都子は、梨花と羽入が感覚リンクしていることを
しらないのだ。


 (これで私が悪者に思われなくて済むわ。てか私はもともと宿題を邪魔されただけの被害者なんだし)



 「・・・とにかく梨花が仕事の妨害をしてくるのですぅ〜!」

 

 「そうなんですの・・・。梨花!私たちの仕事の邪魔をしないでくださいませ!」


・・・サトコは安易にもハニュウに騙された。ハニュウが隊長だからだろうか?


 (てかさっきの羽入の説明で納得しないでよ沙都子!)


梨花がおろおろしている間に話は進んでいた。


 「今回の我々の仕事は終わりなのです!」


 (いや何もしてないでしょーが)


 「礼!」

ハニュウは号令をかけ、



 
 「ファッション、クッション、ケチラッション!!」

・・・と、サトコと声を合わせ、敬礼した。





 ・・・あ、もうだめだ。わけわかんねぇ。


 ケチラッションはまだ意味が分かる。隊の名前と聞かされたからだ。けれどファッションとクッションに
何の接点があるのか梨花には皆目理解不可能だった。

羽入も沙都子もいなくなり、「運命」が響き渡る部屋に、梨花は一人、取り残されたのであった。  

75:ユリカ マヤ:2013/11/19(火) 11:58 ID:Pbg

さ、さとこが名前をつけたんだ…w
梨花、ドンマイ!

面白いです!後で小説を書きます!
すみません、更新が遅くて…

76:ユリカ マヤ:2013/11/19(火) 14:37 ID:Pbg

続き行きます!

順調にゲームは進んでいる、
ちなみに順番は、
魅音→梨花→さとこ→レナ→圭一
となっている。
圭一「『鮎』だから…ゆ、『床』だ!」
魅音「じゃ、『柿』だよ!」
梨花「じゃ、『菊』なのです!」
さとこ「次は私ですわね…えっと…」
圭一「なんだ?さとこ、リタイアか?」
さとこ「まだまだですわ!それじゃ『靴』ですわ!」
圭一「続いた…」
びっくりした目でさとこを見た。
さとこ「なんですの?!圭一さん、その目は!」
レナ「ハハッ!次は、『月』だよ だよ!」
圭一「次は俺だな!『キズナ』だ!」
圭一以外「あ……」
圭一「な、何だよ……」
魅音「やっぱり、けいちゃん面白いよ!」
圭一「え?……あ〜!!!!」
さとこ「圭一さんの負けですわね」
梨花「かわいそ、かわいそ、なのですよ!にぱ〜☆」
レナ「罰ゲームだね!」
圭一「くっそ〜!!」
魅音「約束だよね?けいちゃん」
ここからが本当の地獄だ……。


一旦、終わります!

77:ユリカ マヤ:2013/11/19(火) 18:15 ID:1bQ

続きです!

魅音「けいちゃん、お望みの服選びだよ?短いフリフリのメイド服か、
ミニスカ+ヒラヒラのついているTシャツどっちがいい?」
梨花「早く選ぶのです〜!」
さとこ「圭一さん、お約束ですわよ?」
レナ「どっちがいいかな かな?」
    という事になった。
圭一「わ、わかった…自分で言ったオレに責任がある!!着てやろうじゃないか!」
魅音「さっすが!けいちゃん!そう来なくちゃ!」
レナ「じゃ、どっちにする?」
くっそー!本当は今日は皆が、スク水きるはずだったのに!
さとこ「やっぱり、圭一さんが罰ゲームになるんですのね」
梨花「いつもの事なのですよ!にぱ〜☆」
圭一「こ、ここは…メイド服にしてらる〜!!」
魅音「け、けいちゃん、噛んだよ。『してやる〜!!』が
『してらる〜!!』に…。でも、けいちゃん本当に面白いなぁ〜!ハハ!」
梨花「じゃ、早くきてくださいなのです!」
圭一「……なぁ、本当に着るのか?」
レナ「もっちろん!、楽しみだな〜圭一君の、ミニ・メイド服」
圭一「と、とにかく着てやる!待ってろ!」
梨花「はいなのです!」
そしてオレは着る事になった…。

78:水梨:2013/11/19(火) 18:45 ID:zVQ

 やっぱり圭一は負けちゃうんですねwwww


 続きいきます。


 沙都子まで羽入の仲間になってしまうとは。これ以上ケチラッション隊のメンバーを増やせば
また変なことになってしまうに違いない。

BGMをとりあえず消した梨花は思う。その時、嫌な考えが頭に浮かぶ。


 沙都子がケチラッション隊入り→沙都子ラブな詩音もケチラッション隊入り→なんやかんやで魅音も
ケチラッション隊入り・・・。




 「まずい・・・!このままじゃ、あんな戦隊にどんどんみんながとりこまれていく・・・!」

今からでも遅くない、と梨花は園崎家に向かって走り出した。





 園崎家へ3分で着いた梨花の息はあがっていた。


 「み、魅ぃ〜。詩ぃ〜。いますですか〜」

瞬足で走ったせいでかすれ声になっていたので梨花は声が届くが心配であったが、


 「梨花ちゃん」


 「どうしたんですか?」

2人にはしっかり届いていた。

 これが仲間の絆というやつであろうか。


魅音と詩音は3秒くらいして、玄関の扉を開けた。


 梨花が見たところ、彼女たちに特に変わった様子は見られなかった。サングラスみたいなものをかけたり、
戦闘服を着たりしていない。


 「・・・みぃ。よかったのです」

 「何が良かったんですか?」



 「何でもないのですよ。にぱー☆」

すっかり余裕のできた梨花はいつもの愛くるしい笑顔で返す。


 「あ、それとですね梨花ちゃま」


 「みぃ?どうしたのですか?」


 

 「さっき沙都子と羽入さんが家にきたんですよ」





 (・・・・・・・・・・・・は?)



 「それでー。『サングラスマン』ってアニメ知ってるかって聞かれて、私もお姉も知らないって
  答えたら、いきなり沙都子たちの仲間にならないかって言われたんで――


  お姉を引き連れて、入っちゃいました☆」



ズガァァァァァァァァァァァァン!!

派手な音を立て、梨花は大爆発した。


 な、なんてことだ・・・!もう魔の手は伸びていたのかこんちきしょう。


梨花ちゃん、大丈夫!?と魅音は慌てて駆け寄る。倒れた梨花は弱弱しく魅音に手を伸ばす。


 「ボ・・・、ボクは、だいじょうぶ、なのです・・・。それより二人とも沙都子たちの仲間って
  どんな仲間かわかってますか?」



 「え〜?よくわかんないよ。詩音に入れって言われちゃったから」
  
  
 
 「沙都子の仲間ならなんでもいいじゃないですか〜」


詩音は完全に手遅れだと梨花は判断する。もうこうなれば手の施しようがない。


 とりあえず退散するとしよう。


 「・・・魅ぃ。頑張るのですよ」

79:ユリカ マヤ:2013/11/19(火) 19:44 ID:dOA

魅音も詩音も…。大変だね、梨花!頑張って!色々…w
質問です!
部活メンバーで一番、ボケな人は誰だと思いますか?

80:水梨:2013/11/19(火) 19:57 ID:zVQ

 ところでユリカさんにいきなり変な質問です。ニコついで「ひぐらしの哭く頃に雀PRドラマ第3回」で、

梨花と羽入がめちゃくちゃ漫才じみたことをやっていたのですが、羽入がかなりボケまくっていました。

 羽入はボケ倒しまくってたので、ツッコミはしないのかなあと考えていました。


 ・・・もし、全裸の男が屋根を突き破って上から落ちてきたら、羽入はどうつっこむと思いますか?

81:水梨:2013/11/19(火) 19:59 ID:zVQ

あ、それとユリカさんの質問の答えは、


 私はやっぱり羽入だと思います。


 なんか羽入がつっこんでる声って聞いたことないのでww

一回堀江さんにやってもらいたいなーとか思っちゃいます(笑)

82:水梨:2013/11/19(火) 20:01 ID:zVQ

・・・あ、もう一つ質問していいですか?

 ひぐらしがほかの漫画作品(アニメでも)とコラボするとしたら、何とコラボしてほしいと思いますか?

83:ユリカ マヤ:2013/11/20(水) 08:57 ID:aZo

質問の答えありがとうございます!

次は私が答えますね!
最初の答えですが、ツッコミになってないかもですが、
こうだと思います!
『どうやって空から裸で落ちて来たのですか?!
あなたは圭一さんなのですか!?』
  だと…思います、ツッコミになってないですねw

次の質問ですが、コラボしてほしいのは、『とある科学の超電磁砲』です!
知ってますか?
黒子(超、変態w女です)とか圭一と合いそう!w

84:水梨:2013/11/20(水) 17:24 ID:zVQ

マジですか。やっぱり羽入でもそう言うんですね。ちなみに33の男です。おっさんです。
ネタバレするとギ●グマ●ガ日●にでてくる600年代頃の偉人です。

それと「とある科学の超電磁砲」知ってます!父の部屋から5巻まで強奪してきました!
確かに黒子ちょっと変態ですよね。美琴ラブですし。

コラボしたら面白いことになりそうですね!そして本編はさらにおかしく加速します。


 「もうさっそく2人はとりこまれていた・・・。あとは圭一とレナね・・・」

その時、考えながら歩く梨花の少し前方に、戦闘服を着た羽入と沙都子を発見した!


 とっさに梨花は頭の思考をフル回転させる。

 あの2人が向かうあの方角は・・・・・・



 レナの家!!


 (あの2人より先回りして、レナを止めないと!!)




 そして・・・。なぜか2人に見つかることなく先回りできた梨花は、竜宮家のインターホン(この時代に
 あったのかわかりません)を押す。しばらくしてレナがは−い、とドアを開けて出てきた。


 「あれっ?梨花ちゃん。どうしたのかな、かな?」

 「レナッ!沙都子とか羽入に、仲間になれとか言われてないですか!?」

服を着ていないというだけの判断ではとりこまれていることはわからなかった。
今度はド直球に聞くのみだ。



 「・・・仲間?ううん、言われてないよ。それにしても梨花ちゃんどうしたの?焦ってるみたいだけど
  ・・・」


 「何でもないのですよ。にぱー☆」

笑いながら、梨花はある考えにたどり着く。


 レナの家に行ってなかったってことは、つまり羽入たちはどこに行ったのか。
 考えられる場所は、1つしかなかった。



 「・・・レナ!!ついてきてほしいのです!」

 「えっ!?う、うん」

レナはよくわからないまま、梨花に手をひかれ、ついていくことにしたのである。

85:水梨:2013/11/20(水) 17:31 ID:zVQ



 一方、歩いていたハニュウはぴた、と足を止めた。


 「・・・トラップサトコ。梨花は僕らに負けましたのです」

え?とサトコも同じように足を止めた。

 「どういうことですの?」

ハニュウは何が言いたいのだろうか。問うと、彼女はサトコに厳しい目を向ける。


 「あなたは気が付かなかったのですかサトコ。さっきまで梨花が僕らの仕事を妨害しようと
  後をつけてきていました。

  ・・・まあ、あっちは勝手に違う方向へ行きましたが・・・。サトコ、まだまだあなたも半人前
  なのです。気配くらい察知できなくては」

ハニュウの長ったらしい説明を、サトコは尊敬のまなざしで時折「はい」とうなずきながら聞いていた。

 さすが隊長だ、としみじみ思う。


 「わかりましたわ。・・・ところで、私たちはこれからどこへ?」


 「・・・・・・圭一の家なのです」

ハニュウは少し口角をあげ、しっかりとした足取りで目的地へ進む。

86:水梨:2013/11/20(水) 17:44 ID:zVQ


 「梨花ちゃん。どういうことなのかな?かな?レナにはさっぱりわかんないよぉ〜」

一方、状況が読めず、レナは困り顔だ。


 「ケチラッション隊の魔の手から圭一を守るのです!」


梨花が宣言すると、レナは、はぅっと両手を合わせる。

 「ケチラッション隊ー!なんだかドキドキする響きだね、だね!」

頬を染めて言うレナに、趣味も相当変わってたわね、と梨花は感じるのだった。





 前原圭一の朝は、特にやることがなければ昼の1時から始まる。東京にいたときは、休日でもゆっくり
寝られることが少なかった。しかし雛見沢村に引っ越した今、彼はのんびりとしたときを過ごしている。

 
 「今日も晴れてるな〜」

今起きたばかりの圭一は、窓からさしこんでくる光を手でさえぎりながら笑う。

 
 「こんな日は部活日和だよな。久しぶりにみんなに会いたいぜ・・・」

部活で、いや、部活でなくとも、仲間たちと会って遊んだりするのは楽しい。本当にこの村に来てよかったと
圭一は日々思う。


  その時であった。ピンポーン、と誰かが来たことを知らせる音が響き渡る。


 「・・・誰だ?もしかして部活をやるとか――」

圭一は期待をまじらせながら、走って玄関の扉を開ける。



 「ええええッ!?」


そこにいたのは、どこかのアニメにありがちな戦闘服を着た沙都子と羽入。

 つい圭一は叫んでしまう。

 
 「・・・沙都子に羽入。それは新手のトラップか?」


 「なっ!失礼でしてよ圭一さん!私たちは・・・」

沙都子はそこまで言って、羽入に目くばせする。

そしてうなずいた羽入は、沙都子と一緒にポーズ(グリコのあれです)をつけて――


 「ケチラッション隊!!」



   唖然。唖然唖然唖然唖然。



 「・・・・・・そうか。元気でやれよ。じゃあ」

圭一はそのままドアを閉める。



 「・・・・・・あっ!ちょっと!まだ話は終わってませんですわよ!」



 

87:水梨:2013/11/20(水) 19:23 ID:zVQ

あの・・・、もしユリカさんがよかったらなんですが、話を書き終えたら、ひぐらしでリレー小説しませんか?

88:ユリカ マヤ:2013/11/20(水) 20:34 ID:aZo

とある科学を知ってるんですね!!

リレーですが、いいですよ!!!
やりましょう!話をなるべく早く終わらせますね!

とある科学、一巻のシャワーシーン、ヤバイですよね…;
黒子、美琴の胸を…w

89:水梨:2013/11/20(水) 21:15 ID:zVQ

あ、全然早く終わらせていただかなくても大丈夫です!部活の話楽しみにしていますので・・・。

 とある科学のやつは漫画しか見てないのでそのうちアニメとかも見ていきたいと思っています。
でも禁書目録のほうを先に見た方がいいのでしょうか・・・?

でも一応本編です。

 憤慨する沙都子を羽入が制した。

 「サトコ。ここは隊長である僕に任すのです」

 さすが隊長、と沙都子は目を輝かせる。


 「しまったドアを、鍵のかかったドアを開ける方法は・・・」



 「・・・方法は?」

緊張が走った。沙都子は自分の喉がごくん、となったのを感じた。



 
 「蹴破るのです!!」


ズガァァァァァァァァァン!!

羽入の華麗なる蹴りが圭一の家のドアに炸裂し、それはたやすくはずれた。一応「前原屋敷」とまで
言われる値段の高い家なのだが・・・。

羽入の蹴りの前に鮮やかに?散ったのである。


 「・・・・・・」

沙都子は何を言えばいいのかわからなくなったその時、圭一がうおおおお、と叫ぶ声が聞こえる。


 「ドアがー!俺の家のドアがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

叫びながらこちらに近づく圭一から逃げるように、羽入と沙都子はこの場を去ったのである。




 「・・・た、隊長。確か、ケチラッション隊は困っている人を助ける隊ではなかったでしょうか?」

沙都子は恐る恐る尋ねる。羽入はもちろんなのです、と何をあたりまえのことをというように自信満々に
言った。


 
 「圭一さん、隊長の行動で困ってるみたいですけど・・・」


そのとたん、羽入は冷たいまなざしで沙都子を射抜く。



 「・・・悩みをなくすためには、何かしらの犠牲も必要なのです。わかりましたか、サトコ」



 「・・・・・・はい」

あまり納得のいく論理ではないが、とりあえず沙都子は口をつぐんだ。

90:ユリカ マヤ:2013/11/20(水) 22:19 ID:aZo

羽入ぅ〜!!ダメだから!家を壊しちゃ!

部活の話を楽しみにしてくれてありがとうございます!
更新頑張ります!
なので水梨さんも頑張ってください!

禁書目録の方が一応、先だったので超電磁砲は後の方が後で
いいんじゃないですか?
といっても個人的な感想?です!
あ、ちなみにアニメの方が絵
綺麗ですよ!

91:水梨:2013/11/21(木) 18:30 ID:zVQ

 禁書目録見てみようと思います!

 時間がないのでtipsにします。

 tips「男の呟き」


 ああ、なんでこうなっちまったのか。

俺は後悔する。

―いや、毎日が後悔だらけの人生だ。


 思えば、小さいころから、俺は臆病な奴だった。虫とかそういうものも苦手で、つかむことも
できなかった。同級生に蝉の死骸を顔につきつけられ、気持ち悪くて吐いたことがある。


 死んでいるモノを見るのは、誰だって気持ちのよくないものだろう。だから、
ホラー映画とかの出血シーンも、怖くて思わず目をふさいでいた。

そんなことはあまり関係ないのかもしれないけど。


 人の心が、怖かった。

 

92:水梨:2013/11/21(木) 18:45 ID:zVQ

tips続きです。

 人にどう思われてるかとか、そういうことを気にしていた俺は、学校に行くとき、誰かが
笑っていると、俺のことを笑ってるんじゃないかって、そんな気分になって、この場から逃げ出したくなった。


 実際、虫の死骸の件で吐いた俺を、気持ち悪い気持ち悪いと周りの生徒たちはそう続けていて、
どうしようもなくなった俺は家へ逃げるように帰った。


 両親は、活発的で、喧嘩は売られれば買うタイプだった。だからそんな親からこんな臆病な俺が生まれた
のは不思議だと、近所から遠まわしに言われたり、あるいは直接言われたこともあった。

逃げ帰った俺を、両親は叱った。

 なんでそんなことで吐くの、汚いだとか、男なら反対に虫を掴んでそいつの顔にぶつけてやれとか。


 そんなこと、俺には無理な話だった。

 虫の件をきっかけに、俺はいじめを受けるようになった。

 ―いや、その前からからかわれたりすることはあったけれど、明確になったのはこの時からだ。


 

93:水梨:2013/11/21(木) 19:00 ID:zVQ


 殴られるのは日常茶飯事だった。顔に痣をつけて帰ってきても、両親は俺をいたわってくれることは
なかった。

 そのうち、体力が強くないなら、勉強で上をとれ、と親はまた無理なことをつきつけてくる。

 人間は万能じゃないんだから、と自分に言い訳するように言い聞かせていた。

 

 俺には、学力も、体力も、何にもなかった。


 

  
 からっぽだった。


もちろん、うれしいとか悲しいとか思う心はあるけど、悲しいときの方が多い気がする。



でも、一度だけ、うれしくて泣いたときがあった。 



 それはまさかの、学校のトイレ。




 

94:水梨:2013/11/21(木) 19:13 ID:zVQ



 特に何も変わらぬまま、とりあえず勉強を頑張った俺は、受験に合格し、高校生になった。

 その時にはもう両親とは疎遠状態だった。

というか、いつの間にか家に帰らなくなっていた。だから俺は1人暮らしだった。


 高校生になろうとも、クラスの誰とも仲良くなれることなく、惰性に日々を過ごしていた。

 もちろん女の子にもモテなかった。


 ある日の登校中、俺は小さい子供が、両親に手を握られながら、無邪気にはしゃいでいるのが目に入った。


 ―これが仲睦まじき家族ってやつか。

その時はそう思っただけであったが、学校についた途端、自分の頬に何かが伝わり落ちるのを感じた。


 そのとき思った。


 ああ。俺も、あんなふうになりたかったんだなって。

95:水梨:2013/11/21(木) 19:34 ID:zVQ

学校内で泣くのはまずいと思った俺は、トイレに駆け込んだ。


 トイレに駆け込んでも、涙は止まらなくて情けないけど、しばらく俺はずっと泣いていた。


  

 すると。


 「・・・そろそろ出てもいい?俺」

後ろで声が聞こえたのだ。


 「!?」

もちろん俺は驚いて後ろを向いた。そこには、トイレのドアから1人の男子生徒。もちろん女子はあり得ないのだが。


 まさか人がいるとは思わなかった。そういえばしまっているドアがあるとか、確かめなかった。

大きい方のことは完全に考えてなかった俺は、恥ずかしくて穴があったら入りたい気分に陥る。



 「出ようと思ったらお前がなんか泣きながらやってくるからさ・・・。出るにも出れねえし・・・」


 あっけにとられた俺は、何を言えばいいのかわからなかった。ていうか泣いているのを聞かれたことが
恥ずかしい。


 黙っていると、そいつは質問してきた。


 「・・・なあ、なんで泣いてたんだ?母さんにケツぶったたかれたとか?」


・・・そんな理由じゃ俺は泣かないと答えると、さらに相手は変な考えに至りそうなので理由を言おうとして
とどまった。


 ・・・言っていいのか?初対面のやつに。



一応これひぐらしですよ!ひぐらしキャラ出てないけどtipsですよ!でもこのtips、結構後々重要になります。     

96:ユリカ マヤ:2013/11/21(木) 21:01 ID:h.g

え!そうなんですか!?
何かめちゃくちゃ上手です!!

あの、ひぐらしとは、めちゃくちゃ関係ないんですが、
質問いいでせか?
部活の事です。
体調不良で学校もずっと休んでいるので、
部活を辞めようと退部届けを貰ったんですが、
理由の欄に何て書けばいいのか分からなくてアドバイスが欲しいんですが、
これでいいでせかね?↓
『夏休み中からずっと体調不良で、部活もずっと休んでいて、
自分の体調もいつ治るのかも分からない上体です。
これだと皆さんに迷惑をかけたくないので部活を辞めさせて貰います』
で、いいと思いますか?
いいか悪いか出来れば教えて下さい。
関係無いことをすみません。

97:ユリカ マヤ:2013/11/21(木) 21:18 ID:h.g

水梨さん、すみません、
『いいですかね?』の『です』が『でせかね』になちゃっいました。
すみません。

98:水梨:2013/11/21(木) 22:26 ID:zVQ

そのままの理由をありのままに書けばいいと思いますよ。ユリカさんが考えたので全然いいと思います。
私は帰宅部なのでたいしたアドバイスはできないのですが・・・。(すみません)

 

99:水梨:2013/11/21(木) 22:44 ID:zVQ

 続きかきます。まだtipsです。ひぐらしキャラ全然出てきませんが、ひぐらしのtipsです!!

 俺は少し躊躇していたが、一応答えることにした。


 「・・・・・・羨ましかったから」


 「何が?」




 「・・・仲のいい家族が」


呟くように答えた俺に、そいつはこう言った。


 親が離婚でもしたのかと。離婚というよりは――。どうこたえるべきか迷っていたら、そいつはバツが悪そうに

言いたくなかったら聞かない、と稀にみる気遣いをしてくれた。



 ――てか、なんでこんな話を会ったばかりのやつに?

俺は思ったが、それは、そいつが他のやつとはなんか違うから。


 どこがどう違うって言われたらわからないけれど、とにかく何かが違ったから。



 「サンキュ」

俺は短く礼を言うと、この場を去った。



 あいつは別に追いかけてくることはなかった。そのあと俺は普通に授業をして、昼食をとり、

 部活は特に入っていなかったので帰ろうと思ったが、ふとトイレに行きたくなり、トイレに向かったのだ。



 そこにあいつはいた。トイレでまた同じ奴と会うとは・・・と、何かあるんじゃないかと思うぐらいの偶然。

 今度は大きい方ではなく小さい方だったようだ。

 よっ、とそいつは用を足すと、俺に歩み寄ってきた。


 「また会ったな!」


 ・・・会ったなって言われても、どう返せば?

今までずっと人とのコミュニケーションを怠ってきた俺には、他人との接し方というものがいまいちわからない。
俺がだまっているとそいつは、無視かよー、と小さく文句を言ってくる。


 

 無視かよ、という言葉は、小学生の時も、中学生の時もよく言われた。俺をいじめていた奴らが俺に
話しかけ、何を言えばいいかわからなかった俺に言いながらよく殴っていた。

そんなトラウマが少しよみがえり、俺は何としてでも何か言うべきだと感じた。



 



 



 

100:水梨:2013/11/21(木) 22:58 ID:zVQ



 「・・・よっ」

とりあえず先ほどそいつが言ったことをおうむ返ししてみる。

するとそいつは少し驚いたように目を開いて、そしてははっ、と笑ったのだ。


 純粋な笑みだった。今まで俺が見てきた笑みは―俺をいじめていた奴らの笑みは――

 人を見下す笑い。蔑む笑い。全部胸糞悪かった。

 両親は笑ってすらなかったけれど。


 「そーやって、簡単でもいいから、何か返した方がいい」


 「?」

何を言い出すんだろうかこいつは。


 「会話ってのは、言わば言葉のキャッチボール。キャッチボールは、相手が返してくれなきゃ続かねえんだ。
  返されることがなけりゃ、それはそこで終わっちまう。――なんて、全部父さんからのうけうり
  だけど」

やっぱりそいつは笑った。俺にとって、そいつが言っていることはどこか新鮮だった。



 「・・・親父とは、仲良かった?」


 「ん?・・・ああ、よかった。今のは俺が小さいころに教えてもらった話でさ」


俺が尋ねると、そいつは少しだけ悲しそうな顔をしながら?笑った。

こいつにも何かあるのだろうかと思ったが、こいつが俺の事情をきかなかったのだから俺も聞かない。
それでいい。そもそも親友じゃないのだし、家庭の事情をそうやすやすと話せるものではないだろう。

101:水梨:2013/11/21(木) 23:11 ID:zVQ


 また俺はだんまりになってしまう。

 
 するとそいつが、信じられないことを言い出した。



 「・・・じゃ、俺が教えてやる!!」


 ぐいっと、そいつは俺の手を引っ張った。何を?と俺は目で問うた。そいつは俺の意図を理解したのか、
だから、と続けた。


 「コミュニケーション指南!!」


 「・・・は?」

 
 「見たところ友達もあんまりいなさそうだし」

・・・なっ。いきなり決めつけるとは。失礼な。まあ実際にそうだけど。
俺が頬を膨らませると、そいつは自信満々に言ったのだ。


 「まずは・・・・・・・・・


 俺が友達になる!!」





 こいつバカなんじゃないだろうか、と本気で思った。他人に対してそんなことを思ったのはこれが
初めてかもしれない。どこの世界にあったばかりのやつに友達宣言するやつがいるのだろうか。


 少なくとも俺の知る世界に、そんなへんてこりんはいない。

102:水梨:2013/11/21(木) 23:35 ID:zVQ



 一応問いただしてみる。


 「・・・・・な、何言ってんだよ、お前」



 「何って、そのままの意味だよ。お前、もしかして勉強関係も学んできてねぇの?」


 「んなわけあるか!」

勉強してないとここに来れてねぇよ、と俺が突っ込むと、そうだったっけと今思い出したというように
そいつは頭を掻いた。


 
 「・・・だってさ、寂しくないか?」



 
 「・・・・・・・・・は?」

やっぱりこいつはわけがわからない。何が言いたいのだろうか?


 
 「家族って言ったら、たぶんいちばん心の休まるところだろ?人それぞれあるかもしんないけど、
  今んとこ俺はそうだ。なのにそこでも喧嘩ばっかりしてたら、心が休めない。
  

  心が悲鳴をあげる。場所がなくなっちまう」




 ・・・場所か。確かに俺は、自分の居場所というものがないと感じていた。学校ではいじめられ、家では
親に文句を垂れられ・・・。



 俺が本当の俺になれるのは、どこなのだろうと常々思っていた。



 「・・・それに、心の休まる場所ってのは、もうひとつある」



 「なんだよ」


 


 
 「仲間」



 それは、聞きなれない言葉。友達とか、彼氏とか彼女とかそんなのじゃなくて、仲間。




 
 「信頼できるもう1つの安らぎの場所。仲間という名の家族って感じか?・・・あ、結局家族と
  似たようなもんか」

103:ユリカ マヤ:2013/11/21(木) 23:52 ID:h.g

質問の答えありがとうございます!!
そのまま書く事にします!
水梨さんは帰宅部なんですね!

小説本当に面白いです!
確かにそうですよね!仲間がいる所が一番、
心暖まりますよね!
仲間はいいですよね!

後、初めて、100にいきました!
ありがとうございます!

104:水梨:2013/11/21(木) 23:52 ID:zVQ



 「仲間?安らぎの場所?なんだよそれ。信じろってことか?他人を?」

――気づいたら俺は口に出してしまっていた。無理だ。そんなことは。今まで人の心におびえて暮らしてきた
俺に、信じろというのは。それは、他人の心を信じることにつながるのかもしれない。

 するとそいつは俺を一瞥すると、少し上を見上げる。


 「・・・・・・お前がそこまで言うってことは、お前にそういわせる『何か』があったんだよな。


  でも、信じるってことはいいことだと俺は思う。時には裏切られることもあるかもしれないけど。


  でも本当の仲間は絶対に裏切らないし、それに、信じ続ければ――


  何かきっと得られるものがあるから」


何かってなんだよ、と尋ねようとしたけれど、まだ今の俺にはわからない答えが返ってくるに違いないと
思ってやめた。




 「・・・だから、まず友達から始めてみねーか。・・・俺と」


愛の告白じゃねーんだから、と少しだけ笑いそうになるが、


 ・・・・・・・・・それでも俺は、たぶん・・・・・・。



 うれしかった。誰かにそんなことを言われたことなどなかった。もちろんそれだけが理由ではない。

 語彙力のない俺にはうまいことは言えないが、うれしかった。


 するとまた俺の頬をぽたぽたと流れ落ちるものがあった。



 「・・・ま、また泣いてんのかよお前!!」

さすがに驚いたようで俺が泣かしたみたいになるじゃんか、とそいつは焦っていた。



 今度の涙は暖かかった。



それから俺は、そいつ――宮原真一と友達から始めることにした。

宮原は本当に俺に人との付き合いについていろいろ教えてくれた。

だんだん時を過ごしていくうちに、俺たちはたぶん、お前の言う「仲間」になってたんじゃないかって思う。


 
 そして大人になった俺は――、

   1人だ。

 もうたぶん1人じゃ壊れてしまうんじゃないか。


 おかしくなってきたから、俺はこんなところに入ってしまったのだろうか。


 考えていると、サングラスをかけた無精ひげの男が、俺に威圧をかけるように話しかける。



 「・・・次はうまくやれよ。沢田」


 「はい」


あのころに、戻りたい。

 

105:水梨:2013/11/21(木) 23:56 ID:zVQ

次からやっと梨花たちの出番です。tipsめっちゃ長かった。でも私としてはこのtips、伏線その1的な感じとして
とらえています。本編はまだ結構ギャグ(のつもり)ですが、だんだんシリアスになります。

 でも今日は遅いから寝ます。

106:水梨:2013/11/22(金) 19:50 ID:zVQ

 やっと本編です。


 「・・・どうやら圭一はとりこまれなかったようなのです」

一部始終を見ていた梨花はため息をつく。


 「戦隊モノの服着る沙都子ちゃんと羽入ちゃん、かぁいいよぉ〜」

一方レナは、お持ち帰りしたいぃ、ともだえきっている。

梨花はてっきり圭一のことだから、女の子の戦闘服が萌えるとかいう理由でケチラッション隊入りして
しまうのではないかと懸念していたが、それは杞憂だった。


 「・・・そういえば、なんで梨花ちゃんは沙都子ちゃんたちを止めようとしてるのかな?かな?」

それはもちろん決まっている。

 「みんながあんな隊に入っておかしくなるのは嫌なのです」




 「・・・なんか、奔走してる梨花ちゃんかぁいいよ」


いきなり何を言い出すのかと思えば。会話があんまりつながってない。


 「でもね、レナは別にいいと思うの。だって人の趣味はそれぞれだし、人に迷惑がかからなければ
  いいと思う」


・・・レナは先ほどの圭一の家のドアの件を見ていなかったのかと疑いたくなる。

 いや、レナのことだから、2人に目が行ってしまって、圭一の家など眼中になかったのかもしれない。

107:水梨:2013/11/23(土) 10:28 ID:zVQ


 ・・・その前に、自分に迷惑がかかっているのに、と梨花は思い、ため息をついた。


 「・・・かぁいいから、かぁいいからね・・・。レナはね」

嫌な予感がした。まさか、と思って梨花はレナに近づく。




 


 

108:水梨:2013/11/23(土) 17:53 ID:zVQ


 「ケチラッション隊に入って、2人をおっもちかえりぃぃぃぃ!!」

レナは走り出した。それも瞬足。ただでさえかぁいいモードのレナにはかなわないのに!と梨花は思う。


 ああ、終わった・・・。

梨花はため息をついて、その場に立ち尽くすのみであった。

109:水梨:2013/11/23(土) 17:59 ID:zVQ



 その夜、梨花は項垂れていた。そして、きゃあきゃあと無邪気な声が外から聞こえてくる。

 ―沙都子と羽入だ。


 「ぶはぁー!今日も働いたのです。それにしてもレナまで入ってくれるとは思わなかったのです♪」


 「そうですわねー。これで仲間が増えましたわ。・・・あ、ただいまですわ梨花」

 

 「・・・おかえりなさいなのです」

そしてまたきゃあきゃあと騒ぎ出す2人を横目で見る梨花。


 ・・・なんか、輪の中に、入れない・・・。

梨花の中にある感情。認めたくなかった。だから、その考えを否定するように首を横に振る。

110:ユリカ マヤ:2013/11/23(土) 18:08 ID:oXw

あぁ…、梨花ドンマイ…;
レナまで…;;


どうしよ…;ネタが…w
っという訳で!(どいうこと!?)明日までに
続き考えてまた投稿?します!
待っててください!

今日、友達と家用の禁書目録の
映画を見ました!&コミックのひぐらし買いました!
どうでもいいですね…w

111:水梨:2013/11/23(土) 18:10 ID:zVQ


すると、羽入がにやにやして梨花に向き直った。

何なのですか、羽入?と梨花がにらめ返すと、それでも彼女は不敵な笑みをする。

 「もしかして・・・、梨花も僕らのケチラッション隊に入りたいのですか?」


 「だ・・・っ、誰が!!そんなのこっちから願い下げよ!」

梨花は沙都子もいるのにいつもの猫かぶりをするのを忘れていた。それだけ気持ちがたかぶっていたのだ。

そんな彼女に、沙都子はおずおずときりだす。


 「梨花。入りたいならそうおっしゃってくれていいのですわよ?」


それに便乗するように羽入も続ける。

 
 「そうなのです、そうなのです!まあその意地っ張りをやめて素直になれ・・・・・・

 
  辛いのですぼおおおおあうあああああぶああああ!!」

あの味が羽入の口の中に広がっていく。


 
 な、なぜだぁ・・・。いったい、どういうことなんだってばよ!

口を押えながらゆっくりと梨花を見ると、

これ以上ないくらいの嫌な笑みで何かをムッシャムッシャとほおばっている。

112:水梨:2013/11/23(土) 18:54 ID:zVQ

部活の話、楽しみにしてます!私もひぐらしのアンソロとか禁書目録の7巻買いたいです・・・。 

 間違いない、と羽入は悟った。

 この口の中に嫌なくらいに広がる辛みは・・・。


 キムチだ!!

今この場において、対羽入用の武器が降臨したのである!羽入は口を押え、その場に転げまわる。
大丈夫ですの、羽入さん!と沙都子は心配しているが、羽入はもだえつづけている。


 「私はそんな子供みたいなことはやらないのよ」

キムチを食べながら梨花はその場を離れるようにさっさと部屋に戻ってしまった。

そんな彼女を沙都子は心配そうな目で見つめていた。


羽入は辛い辛いと走り回っていた。




次の日。梨花が目を覚ましても、羽入たちはいなかった。


 また戦隊ごっこでもやってるのかしら、と誰に聞こえるわけでもなくつぶやく。

梨花は戦隊ごっこなど興味はないと言った。―いや、今もそう思っている―はずだ。


また梨花は、昨日感じた変な感情をまたしても思い出してしまった。

それを振り払うように彼女は勢いよく玄関のドアを開けた。


 
 「ファッション、クッション、ケチラッション!!」

とたんにあの妙に不愉快になりそうな掛け声が梨花の耳を貫いた。


 (・・・ああ、やっぱりやってたか)

なんだか少しばかり悩んでいたのがばからしくなってくる。

113:水梨:2013/11/23(土) 19:03 ID:zVQ


 羽入に向かって敬礼しているのは、沙都子に・・・・・・レナ、魅音、詩音がいた。

とりあえず梨花は自分の家の角に隠れ、羽入たちをしばらく見物することにする。
一応どんな活動をやっているかも少しは興味があったのだ。


 「魅ぃちゃんや詩ぃちゃんたちも入ってたんだね!かぁいいよ2人とも!あ、もちろん沙都子ちゃんや
  羽入ちゃんもかぁいいよ!」

鼻血をドボドボ出しながら親指を突き立てるレナ。

 「いや〜。おじさんも驚きだよ。レナまで入るなんて・・・。圭ちゃんがいないのは不思議だけど」

 「圭ちゃんのとこにも行ったんですか?沙都子に羽入さん」



 「もちろん誘ってみたのですが、断られてしまったのです」

詩音の問いに、羽入は残念そうに言った。


 「へぇ珍しいね、圭ちゃんが。圭ちゃんなら萌ええええ、とか言って入ってきそうなのに」


 被害にあってたからですわよ・・・、と沙都子は心の中でつっこみたくなった。

そして羽入はこの流れを一蹴するかのように元気よく言った。


 「それでは今日も困っている人を探しますですよー!!」

114:水梨:2013/11/23(土) 22:18 ID:zVQ


 どうやって探すつもりなのだろうか。村には2000人もいるのに。まさか、2000人全員に悩みがないかを
聞き出すつもりだろうか。・・・いや、そんなことをしていてはきりがない。

 どうやって探す気よ?

梨花がもんもんとしていると―――ピンッと何かが跳ね上がった。


 「――!?」

梨花は目を瞬かせた。

 なんと、羽入はあの鬼●郎よろしく妖怪・・・もとい悩み反応アンテナを頭から出した。


 ・・・あれは「昼壊し編」と名付けたカケラで羽入が出したものだ。


 (あのアンテナで探す気!?)


 「はぅ〜!!なんか羽入ちゃんの頭がかぁいいいいい!」


 「へぇ〜!すごいね!どこでそんな能力身につけてきたの?」


 「なんかの手品ですか?」

レナと魅音と詩音は興味津々であった。元から隊員であった沙都子は何度も見てきているからなのか、あまり
驚いた表情を見せていない。


元からなのです☆と軽く言ってのける羽入。

ちょうどそのとき、羽入の「悩み反応アンテナ」が右の方角をさした。

115:水梨:2013/11/23(土) 22:26 ID:zVQ


 「あうっ、さっそく困っている人がいるみたいなのです!


  ・・・ところで、梨花はそこで何をしているのですか?」

ギックゥゥゥゥ!

梨花は自分の肩が跳ね上がるのを感じた。同時にレナ達もえっ?と驚いている。

 (なんで!?私の隠れ身の術が見破られるなんて!―てかその変なアンテナ、
 人の気配とかも察知できるの!?)

そして、彼女はまた不敵な笑みをこぼす。


 「僕を甘くて見てはいけないのですよ梨花。・・・今の僕は、ただの羽入ではないのです」

そう言って、羽入はグリコのポーズでキメた。


 「我はケチラッション隊の隊長!!我々は困っている人を助けるために在る!!」


・・・ああ、なんてあほらしい。


 「・・・どうやら、隠れても無駄みたいね」


ばれた今、観念して姿を現すしかなかった。


 「アルェ、梨花ちゃんいたの!?おじさんまだまだ気づかなかったよ」


 

116:水梨:2013/11/23(土) 22:31 ID:zVQ


 「梨花ちゃまも、もしかして入りたいんですか?沙都子もいることだし」

詩音は少し皮肉気に行った。

 「り、梨花・・・」

沙都子は昨日の梨花の態度を思い出して、呟くように彼女の名を呼ぶ。そんな沙都子を梨花は
軽く一瞥して、羽入に向き直る。



 「・・・羽入」

ああもう、仕方ない。梨花は思う。このもやもや感をなくすためには――。


 「ボクも隊に入って、みんなの活躍を見届けてやるのです」

 
これには全員が驚いた顔をした。特にレナと沙都子と羽入は。

昨日あれほど拒んでいたのに―やっぱり寂しかったのだろうか?


 「梨花!あなたもやっと、ケチラッション隊に・・・!」


 「でも――」

そして梨花は一口、キムチを中に入れた。

羽入は口の中で辛さを感じ、短く悲鳴を上げる。


 「1週間以内にろくな活躍がなかったら、ケチラッション隊は解散してもらうのですよ」

117:水梨:2013/11/23(土) 22:54 ID:zVQ

 時間がないのでtipsいきます。ちなみにこの話、ひぐらしの「bellflower」というBGMをかけながらかきました。←関係ないですね。

 tips「男の呟き2」


 俺の友達になってくれると言ったあいつは、いつも笑っていた気がする。

むしろ泣いていたところなんてみたことがなかった。


 「よし、まずはあいつからだ!!」

人を見つけると、そう言って、いつも俺の腕を引っ張っていく。


 「まずは・・・。んーと・・・そーだな、挨拶からしてみたらいいんじゃねぇか?」

 
 「挨拶って・・・。いきなり知らないやつがそんなのしてきたら、ひかれると思うけど・・・」


 「でもそれじゃ、知り合いになることすらままならねーぞ?

  とにかくそのあとは、そのままあたって砕ければいい!!」

握り拳をつくる宮原に、俺はため息をついた。

 
 「砕けたらだめだから、俺は考えてんのに・・・」


 
 とりあえず俺は、宮原の言う通り、他人に話しかけてみる。

まずはあいさつから。そこからさりげなく話題を出す。共通の話題が偶然にもあったから、
意外に盛り上がれた。

 新鮮な感じがした。人とこれほどしゃべったことはなかったかもしれない。

 そいつとは親友とまではいかなかったが、顔を合わせればあいさつしたり、宿題のレポ−トを見せ合ったりも
した。



俺はその方法で、知り合いとか、友達とか呼べる奴らが3,4人はできた。
他のやつらに比べたら少ないかもしれないが、中学生まではずっと友達などいなかったわけだから、
それに比べればだいぶ進歩していると言える。


 そして、時を過ごすうちに、宮原とは「親友」になっていっていたと思う。


 ある日、あいつはこんなことを言っていた。


 「沢田。俺な、大人になって、結婚したらさ。できた子供絶対大事にしようと思ってる」


少し気が早いんじゃないか、と俺が笑うと、そうでもねーぞ、と宮原は言う。


 「時なんて、あっという間に過ぎてくからなー。この前まで中学生だったのに、気づいたら
  いつの間にか高校生だ」




 

118:水梨:2013/11/23(土) 23:02 ID:zVQ

tips続きです。


 「嫌でも変わってくのを実感させられるよ。そのうち、俺が大人になったらどうなるんだろうなー、とか
  考えるようになった。

  もしかしたら・・・犯罪の片棒かついだりとか、・・・自殺してるとか」


いつもお気楽そうな宮原にしては、えらくネガティブな考え方だったから、その言葉を覚えていた。

 「んなわけねーだろ。どーしたんだよ。いつもポジティブシンキングなお前がさ」



 「・・・そーだよな。俺、やっぱどーかしてるな、今日。

  疲れてんのかなー。はは、ははは・・・」

妙に乾いた笑いだった。

その時の俺は――いや、今でも――あいつに何て声をかければいいのかわからなかった。


 
 そして俺の隣にはやっぱり誰もいなくて。


 元気にしてるかな、あいつ。


 可愛い子と結婚して、子供産んで、今頃は、


 幸せに暮らしてるといいと願ってしまう―。 

119:ユリカ マヤ:2013/11/25(月) 14:26 ID:gqQ

ごめんなさい!全く来てなかったですね!

とうとう、梨花は入ったんですね!
梨花は皆の活躍を邪魔しちゃいそう…w

小説がまだ書けそうにないです…。
もう少し待っててください!

120:水梨:2013/11/25(月) 16:22 ID:zVQ

テスト1日目・・・。明日もテストです。

続き行きます。

 「・・・なっ!いくら梨花でも許せない発言なのです!」

ぷんすかと憤慨する羽入。

 「それに隊の権限は隊長の僕にあって、梨花に決める権利はないのですよ!」


当然、隊員たちも首をかしげる。


 「やっぱり梨花ちゃんはこの隊が嫌なのかな・・・。かな」


 「急にどうしちゃったのさ」


 「いきなり何言ってんですか。今日の梨花ちゃま、ちょっと生意気じゃありません?」


 「わ、私も、隊を解散させたくはありませんわ!」

皆の意見を聞いて、羽入は笑う。


 「・・・ということです。僕も仲間も、隊を解散させる気はありません」

彼女は高らかに言い放つが、梨花は羽入の余裕をも上回った。



 「もちろんボクだって、すぐに了解してもらえるなんて、甘い考えは持ち合わせてないのです。
  
  にぱー☆」

121:水梨:2013/11/25(月) 16:27 ID:zVQ

 

 「・・・でも羽入。ボクにはこれがあることを、忘れてはいけないのです」

梨花は笑顔で、怪しく目を光らせると、懐から対羽入死刑用のキムチ瓶をとりだし、口に入れる。



 「あ、あぅぅぅッ!卑怯なのです梨花!最近ずっとキムチばっかり!」

やはり羽入にはもがくことしかできなかった。レナたちにはなぜ彼女がそんなことになるのか、微塵にも
理解できないのであったが――。


 それにしても対照的だ。とても爽やかな笑みをする梨花と、辛味に顔を歪める羽入。



 ・・・ああ、このままではだめだ。羽入は決心する。

122:水梨:2013/11/25(月) 16:35 ID:zVQ



 「・・・わかりました、梨花」


 「僕は、その条件にうけてたつのですよ!!」

 
 「は、羽入さん!?何言って・・・」

沙都子が反論の声を上げようとするが、羽入にさえぎられる。


 
 「ケチラッション隊は、絶対村人の役にたつはずです。

  それに・・・、この1週間以内に活躍すれば梨花にこの隊の良さをわかってもらえますのです!

  つまりこれは、僕らに与えられた試練なのです!!」

後ろでドーン!と効果音がなりそうな勢いで、羽入は宣言した。


隊員たちはおおお・・・、と感嘆の声を上げる。


 「羽入ちゃん、本物の隊長みたいだよ!」

 「隊長、さすがですわ。そのお言葉・・・!」


 「おじさん・・・感動したよ・・・!」

 「いいこと言いますね・・・!」

そしてなぜかみんな、涙ぐんでいる。


 (・・・今の話のどこに泣ける要素があるのか全くわからない・・・)

そして梨花はまたため息をつくのであった。

123:水梨:2013/11/25(月) 16:42 ID:zVQ



 「これを着るのです」

梨花の目の前に出されたそれは、羽入たちが着ている戦闘服。あとグラサンのようなもの。


 「そんな趣味の悪い服着て村を歩くのですか?」


 「梨花。ケチラッション隊だということを示すには、これを装着しなければならないのです」

 「けど・・・」

梨花は言いかけて言葉をのどにひっこめた。羽入たちも自分の条件をのんだのだ。ならば一応ルールには
従わなければ。


仕方なく梨花は装着する。




 「・・・・・・」


 「はぅ!梨花ちゃんかぁいいよ!おっ持ち帰りいい!!」

ケチラッション隊の戦闘服にグラサンを装着した梨花は、さっそくレナにお持ち帰りされる。

 「梨花!とても似合ってますわ!」

沙都子も親指を立て、GJ、としていくるが、梨花自身、このスタイルにはあまり納得がいっていない。

 ・・・まあ、部活の罰ゲームで着るよりはましなような・・・。

 やっぱよくわかんないわ。



 (なんで入るなんて言っちゃったのかしら、私)

そして羽入を先頭に、レナ、魅音、詩音、沙都子、梨花は悩み反応アンテナがさす方向へ、進むのだった。

124:水梨:2013/11/25(月) 16:46 ID:zVQ



 そしてそれを、影から見守る男―圭一であった。


 「部活メンバーの俺以外全員、あの隊に入ってる・・・」

この前ケチラッション隊により、家のドアに損害をうけた圭一は、何とか両親が帰ってくる前にドアを
直したのだったが・・・。


 ―それにしても、これじゃストーカーにしか見えねーよな、やっぱ。

圭一は木の後ろに隠れ、待つこと30分。

時々は村人に話しかけられ、苦笑いしながら会話したものだった。


 「梨花ちゃんは最初嫌がってたみたいだったけど・・・」

と、その時、羽入を先頭にみんながどこかに向かうのが目に入る。

とりあえず圭一はこのままスト・・・もとい尾行を続けるのであった。

125:水梨:2013/11/25(月) 16:53 ID:zVQ



 「ここなのです!」

羽入を先頭に向かった先は、なんてことない少し古い一軒家。

 「ここに悩みを持つ人がいるの?」

 「はい。僕のアンテナに間違いはないのです」

魅音に自信満々に言う羽入に対し、詩音は尋ねる。


 「でもいきなり家に入って、悩みを解決しに来ましたー、なんて言っても、普通追い出されるんじゃないですか」


 「言われるはずがないのです。僕らは知る人ぞ知るケチラッション隊なのですよ!」

 「知る人ぞ知る・・・って、あくまで沙都子がつけた名前なのです。どうせたいした活躍なんて
  してないのに、名前なんて知れ渡ってるはずないのです」

梨花は言いながら思う。昨日の自分の件と圭一の件。あれでたいしたことをやってるのならば
すごく幸せな勘違いだろう。


 「失礼なのです!」

梨花と羽入の会話を聞いていて、レナが尋ねてくる。

 「そういえば、ケチラッション隊は今までどんな活躍をしてきたのかな?かな?」


そのとたん、羽入の目が光り、変なオーラを放ちながら言った。


 「教えてしんぜよう」

よくぞ聞いてくれたとでもいうように、羽入は雄弁に語りだす。

126:水梨:2013/11/25(月) 16:59 ID:zVQ



 「僕たちが活動しだしたのは4日前・・・。戦隊もののアニメにはまった僕と沙都子は、ケチラッション隊
  を結成しました。そして・・・、悩みアンテナを頼りに行ったのが・・・。


  自分の家の周りにフンがたまりにたまっていくだとか、最近●●●の出る調子が悪いとか、
  最近の萌えが少なくなったとか・・・」


 「だんだんどうでもいいような悩みになってません?」


 「・・・・・・」

詩音のツッコミに、さすがに否定できない羽入。

 「と、とにかく、中に入りましょうなのです!」

話題をそらすように羽入はわざとらしく元気に言って、インターホンを押す。


 ――が。


10秒たっても、誰かが出てくる気配がない。


 「もしかしてお留守なのかしら?」

沙都子は2階の方には誰もいないかを覗き込もうとする。


 ギギギギギィィィ・・・。障子が開いた。




 「きゃあああああああああああ!!」

127:水梨:2013/11/25(月) 17:15 ID:zVQ

沙都子のGJシーンで、「していくるが」となってた部分がありましたが、「してくるが」でした。
すみません。

128:水梨:2013/11/25(月) 19:53 ID:zVQ


いきなり大きく響いた音に、沙都子は驚いて退く。

見ると、ドアの隙間からおびえるように、まだ20代後半ほどの男がこちらを見ていた。

 「・・・もしかして、ケチラッション隊さんですか?」

男の発音を聞いて、皆はあれ、と心の中で感じた。

雛見沢村の大人にはこの村のなまりがあるのだが、この男はなまりはなかった。

 ――たぶん、発音を聞いている限り、圭一と同じ東京から引っ越してきたのではないだろうか。

そういえば、魅音の祖母、お魎が雛見沢に分譲地を出した話があったような気がする。


 「・・・あ、そうなのです!そうなのです!」

返事を忘れていた羽入は首をぶんぶんと何回も振る。まさか男がケチラッション隊のことを知っていたことに
嬉しさを感じ、声が跳ね上がる。


 反対に梨花は知ってるやついたのね・・・、と少し残念な気分になる。


 「どうして私たちのことを・・・?」

レナが問うた。


 「最近、村で噂になってまして・・・。悩みを解決してくれる、ケチラッション隊がいるって・・・」

男の言葉を聞いたとたん、羽入は得意げに言った。(特に梨花に)


 「ほら!ケチラッション隊は微妙にこの村に広まりつつあるのです!」


 梨花はやっぱり納得がいかなかった。



 「――それで、悩みってのは?」

魅音がきりだした。

それを合図にするかのように男の表情は曇る。


 またどうせおかしな悩みなのだろう、と梨花は内心笑っていた。
これが1週間続けば、約束通り羽入たちはケチラッション隊をやめなくてはならないのだから。



 「実は・・・・・・




  娘が、帰ってこないんです」

129:水梨:2013/11/25(月) 22:33 ID:zVQ


 ・・・この男、過保護なのだろうか。梨花たちは思った。・・・そう思いたかった。

 一瞬浮かんだ嫌な考えなどただのカンであればよかったのに。


 「昨日、友達の家に遊びに行くと出ていったっきり」


 カンではなかった。それでも、沙都子は思いつく限りの考えをあげる。

 「あ、あなたに内緒で友達の家に泊まってらっしゃるだけかも・・・」

 
 「―その友達の家に電話してみたんですが、その友達の子は来てないって言って・・・」


 「じゃ、じゃあ!その友達もグルになって、あなたを騙してるんじゃないですか!?」

沙都子に助け船を出すように、詩音も考えを言ってみる。



 「・・・・・・ああ!その可能性は考えてなかった!」

男の返答を聞いて、ひとまずほっとする梨花たち。可能性は1つでもあった方がいい。
1番最悪なパターンでは、少し状況がまずいことになる。


 「そうと決まれば、さっそくその友達の家に案内してほしいのです!」

羽入は元気よく言ってから、思い出したように、あ、とつぶやくと尋ねる。

 「友達の家・・・、知ってますですか?」


 「一応・・・。電話番号も知ってるんで・・・」

羽入たちは男の答えを聞いて安心する。

 
 「それならレッツラゴー!!なのですっ!!」

そして再びケチラッション隊は新たな場所へと赴くのである。


 しかし。

130:ラブ姫 ◆uqvA:2013/11/25(月) 22:58 ID:G0.

えっと、私の小説閲覧ありがとうございます。
私も貴女様の小説を楽しみに拝見させていただいてます

131:水梨:2013/11/25(月) 23:31 ID:zVQ

ラブ姫さんですか!?私のこんな駄文を楽しみにみてくださってありがとうございます!!!

ラブ姫さんの話も楽しみにしています!!!

132:水梨:2013/11/26(火) 12:51 ID:zVQ


 「・・・え?来てませんよ。麻美〈あさみ〉ちゃん」


男の娘、麻美の友達の家に向かい、羽入たちが聞いたのはそんな言葉。


 「――――そうですか」

顔を伏せる男――麻美父に、麻美ちゃんに何かあったんですか、と友達の少女に逆に尋ねられる。

本当に麻美の行方を知らないのだろうか?・・・いや、演技とも考えられる。

そんな思いを抱きながら、羽入は答える。


 「麻美ちゃんは――昨日から行方不明なのです」


 「えっ!?麻美ちゃんが!?どうして!?」

そう言う少女の目には、友達を心配していることが感じられる色だった。

だとすると、この少女は麻美について何も知らないことになる。

 つまり麻美は――


 「・・・・・・!」

先ほども想像した、恐ろしい考え。

もし、これが想像の域を超え、現実になったのなら――。



皆が背中を震わせたとき、急に麻美父が走り出したのだ!


 「――っ!?待ってなのです!」

いち早く気付いた梨花を先頭に、ケチラッション隊は、友達の少女に礼を言った後、麻美父を追いかけた。

133:ユリカ マヤ:2013/11/26(火) 14:32 ID:0xw

今日も面白いです!!!
梨花!頑張って!!色々と!!

水梨さん、テスト頑張ってください!
応援してます!!!

134:水梨:2013/11/26(火) 15:10 ID:zVQ

やっとテスト終わりましたイェーーーイ!でも明日テスト帰ってきますウワァァァァァァァァ!

 よくないハッスルをしてしまいました。まだ続きます。


 「なんかやばい感じだな・・・。俺も麻美ちゃんとやらを探そう・・・」

また圭一も、動き出していたのだった。

                       *

 結局ケチラッション隊は、麻美父に追いついたものの、麻美の家に戻ってきてしまった。


 「・・・家に、帰ってるだろうか」

麻美父は玄関を見ながら、呟く。

 帰ってきているなら、どんなにいいだろう。梨花たちも同じように思う。


何かしていないと不安に駆られそうになるので、麻美父はいつも通りポストをあける。


 (・・・紙?)

ポストの中には折りたたんである1枚の紙切れがはいっていた。
とりあえず彼はその紙に何か書いててあるのかを見ようとする。


 
 パサ。



 二つ折りの紙を広げ、麻美父の動きは止まる。

とたんに彼は、頬から冷汗がしたたり落ちるのを感じる。その顔は青ざめていた。

135:水梨:2013/11/26(火) 15:18 ID:zVQ


 「誰かからの手紙ですか?」

麻美父の後ろにいたレナが尋ね、我に返った彼は何事もなかったかのように表情を明るくさせ、
振り返った。


 「・・・ああ。東京に住んでる妹からのね」


 「そうなんですか・・・」

レナをはじめ、梨花たちは麻美父の後ろにいたので、彼の青ざめた表情を見ることがなく、彼の態度に
不信感を抱くことはなかった。


 ――しかし、彼の真横にいた沙都子だけは、彼の、手紙を見たときの一瞬の青ざめた表情をはっきりと見たのだ。



 何か良くないことでも書いてあったのかと感じる。

 (・・・離婚するだとか?いえ、でも妹さんからの手紙らしいですし、それはないですわね)

考える沙都子をよそに、麻美父は静かに言った。



 「・・・・・・今日は、帰ってくれるかな。日も暮れる」



 「でも・・・麻美ちゃんが――」

羽入は言いかけるが、麻美父にさえぎられる。


 「どうせ心配させようとしてるだけですよ」


・・・先ほどまであんなに麻美を心配していたというのに、その態度の変わりようはなんなのだろう。
梨花たちには理解できなかった。

そんな中、羽入が声をあげた。



 

 「あなたは自分の娘が心配ではないのですかっ!?」



 「お願いです!!」

麻美父も負けず劣らず言い張った。

136:水梨:2013/11/26(火) 15:26 ID:zVQ


 「今日は・・・もう、帰ってください!!そうでないと、俺は・・・!」


皆が戸惑うような表情になる中、沙都子は考える。

 麻美父の態度が明らかに豹変したのはあの手紙を見てからだ。

 あの手紙に、いったい何が――?



 「・・・沙都子?」

もんもんと考える沙都子の様子に気づいた詩音が彼女の名を呼んだ。


 「!!・・・あ、詩音さん。なんですの?」

 「あの人、帰っていいって言ったんで、帰りますよ?」

詩音は多少、麻美父の態度に不満があるらしく、機嫌が悪そうだ。

 
それに梨花たちも、麻美父の家を離れようとしている。


 「・・・はいですわ」

手紙のことが気になりながらも、沙都子は詩音と一緒に羽入たちと麻美の家を離れた。



 ――しかし。気になるものは気になるわけで。さりげなく沙都子は歩く速さを遅くしていき、
皆の1番後ろに行った。



 そして頃合を見計らう――

 ――どうやら梨花たちはおしゃべりに夢中で沙都子のことは気づいていない様子だ。


 これならいける。


  ダッ!


静かに、しかしはやく、沙都子は麻美父の家の方向に走り出したのだった。

137:水梨:2013/11/26(火) 19:15 ID:zVQ


 誰も気づいていない。

 ――さすが私ですわ、と心の中で思う沙都子であった。


そして5分後、再び麻美父の家にやってきた。

 ―先ほどは気づかなかったが、「岡部」という表札があるのに気付く。

 (岡部さんっていうんでしたの・・・)

沙都子は思いながらインターホンを押した。

 先ほどのように、なかなか出てこないと思ったら静かに出てこられて驚くことがないように、
初めから障子だけを見つめておく。


 すると今度は、インターホンがなった瞬間に障子が開いたのである。


少しぼろけた障子から、麻美父―岡部が顔をのぞかせる。

しかし、先ほどの優しそうな顔の面影は消えていて、真剣な表情――いや、どこか狂気を感じさせる
表情だった。そして家の中は電気一つついておらず、それがさらに彼の狂ったような表情を際立たせる。


 「き、君は・・・、ケチラッション隊の・・・」

少し足がすくんだ沙都子だったが、岡部の声は先ほどと変わらないやさしさを感じさせる声だったから
安心した。


 「オヤシロサトコですわ!」


なぜまたここに、と言いたげな岡部の表情を見て続ける。


 「私、あの紙を見た時から様子のおかしい岡部さんが心配で戻ってきましたの。
  ・・・それにしても、なんでこんなに暗いんですの?」

その質問には答えず、逆に岡部は尋ねた。


 「――ほかの子たちはいないのか?」


 「私だけでしてよ。皆さんの目を盗んで抜け出してきましたのよ」


沙都子の返答を聞くと、岡部はそうか、そうかと安心するように、静かに何度もうなずく。

岡部の態度はやはりまだどこか不自然だ――。







 「・・・岡部さん、いったいど―――――ムグッ!」

どうされたんですの、と続けようとした沙都子の口を、岡部の手によってふさがれた。

138:水梨:2013/11/26(火) 19:16 ID:zVQ

間違えました。オヤシロサトコではなく、トラップサトコです。すいません。

139:ユリカ マヤ:2013/11/26(火) 19:32 ID:yF2

お疲れ様です!水梨さん!!
テストはいい点だといいですね!

質問です!
水梨さんは何の果物が好きですか?
私はみかんが一番好きです!!

140:水梨:2013/11/26(火) 19:42 ID:zVQ

ももが好きです!!でもブドウも結構好きです!

141:水梨:2013/11/26(火) 19:56 ID:zVQ

ところで私もいきなり質問です。圭一やレナや魅音に詩音、沙都子に梨花や羽入や悟史が
逃走中に出ることになったら結果はどのようになると思いますか。

142:ユリカ マヤ:2013/11/26(火) 20:05 ID:yF2

桃良いですよね!
詩音が一番に勝って。
その後に……レナで、
魅音がその次で、圭一5番目で、
梨花が6番目かな〜
で最後にさとこかと…思います!

143:水梨:2013/11/26(火) 21:05 ID:zVQ

本当ですか!まさかの沙都子が最下位・・・。面白くなりそうですね!

144:ユリカ マヤ:2013/11/26(火) 21:31 ID:yF2

智史は圭一の前で!!

145:ユリカ マヤ:2013/11/26(火) 21:32 ID:yF2

あ、忘れてたんですが、羽入はさとこの
前だと思います!!

146:水梨:2013/11/26(火) 21:41 ID:zVQ

まさかの悟史が圭一よりも上位で羽入がぎりぎりビリを免れてますね・・・。

そんなことを考えたりしながら、どシリアスになっていく本編。


 「――んっ、むううんん!!」

沙都子は何するんですの、と叫ぼうとしたがほとんど声にならない。じたばたとどれだけ暴れても
大人の男の力はやはり強く、そう簡単に逃れることはできないのだ。

そして岡部は暴れる沙都子を、意外に筋肉の多い腕で抑え、その手で懐から小さな紙のようなもを出すと、
沙都子の鼻につきつけた。


 ――このにおい。

どこかで、かいだことがあったような気もするが、結局思い出せず、朦朧とする意識に沙都子はおちていった。




 抵抗を失った沙都子をやさしく片手で支えると、岡部の瞳に一瞬切ない色がそよぐ。





 「・・・ごめん」




それだけ静かに言うと、岡部は沙都子を背負い、奥に行こうとする。


 その時、彼は障子が開いていることに気が付いた。


 ―まあここはあまり人通りも少ないし、人に見られることもないだろう。

自分にそう言い聞かせ、不安を拭い去るように岡部はゆっくり障子を閉めた。

147:ユリカ マヤ:2013/11/27(水) 13:47 ID:uzg

さとこ!無事でいて!
早く皆、気づいて!

急展開ですね!続きが気になってきます!
更新頑張ってください!

148:水梨:2013/11/27(水) 16:51 ID:zVQ



 「沙都子、なんか忘れもんでもしたのか?」

とりあえず麻美を探そうにもどんな姿かわからなければ探せないと踏んだ圭一は、羽入についていった。

しかし途中で沙都子が羽入たちと離れ、怪しんだ圭一は沙都子を尾行していた。

そして沙都子にばれないよう、麻美父の家から離れ、遠くから見守っていたのだが。

障子が開いているから、微妙に沙都子ともう1人――たぶん麻美父の影が見える。


 すると、今まで見えていた薄い小さな影が見えなくなり、障子がゆっくり閉められた。


 あいつ、あの男の人にご馳走でももらってんだろうな。

圭一は少しばかり羨ましく感じる――が、先ほど梨花たちは沙都子がいなくなっていることに
気づかなかった。


 (沙都子だけぬけがけしてるってこと教えてやんねーとなっ!)

圭一は梨花たちがいた方向へ走り出す。



 そして沙都子がぬけだしてから約10分後。

梨花は親友の姿がないことにやっと気づく。

 「みぃ?沙都子?」

梨花がその名を呼んだと同時に、会話に夢中になっていた羽入たちも気づいたように、あれ、ほんとだ沙都子がいない、と
辺りを見回す。


 梨花も何度見まわしても沙都子の姿が目に入ることはなかった。

149:水梨:2013/11/27(水) 17:02 ID:zVQ


 みんなが探す中、特に詩音の顔に、焦りの色が帯びていく。


 「沙都子・・・。まさかいきなり麻美ちゃんのように行方不明になったなんてことは・・・
 
  ないですよね」

妹を安心させようと魅音はそんなわけないよ、と明るく言う。

 「きっと何か用事を思い出したとか・・・、トイレに行きたくなったとかで先に帰ったんだよ」

しかし、今の詩音には逆効果だった。


彼女は目を見開いて、あらんかぎりの声で叫ぶ。その声には怒りが含まれていた。


 「・・・どうしてそんなことが言いきれるんですか!!」

詩音の怒声に、魅音は少し肩を震わせた。


 「それでもし沙都子が家に帰ってなかったら、確実に、沙都子に何かあったことになるんですよ!?

  もしそんなことになったら、お姉はそんな軽はずみなこと言った責任、とってもらうことに
  なりますから!!」

仮にとってもらったとしても、どうにもならないことは詩音もわかっていた。

 けれど、沙都子が心配だから。

愛する悟史に頼まれた。

 沙都子を頼むと。初めは悟史に頼まれたからという理由だけで沙都子を世話していた。

ずっとずっと彼に甘え続け、彼に重荷を負わせ続けてきた沙都子に、詩音は好感などもてなかった。


 しかし悟史がいなくなってからの彼女は、自分のせいで兄がいなくなったと自責の念に苛まれ、
せめて悟史が帰ってくるまで自分1人で頑張ろうと、強くなろうと努力してきたのを詩音は知ったのだ。

 だからそんな彼女を、いつしか詩音はだんだん好きになっていった。

 本物の妹のような大事な存在に、なっていったのだ。


 だから詩音は沙都子が行方不明となれば心配するのは当たり前。

それにもし沙都子が*されれば、悟史にも顔向けできない。

150:水梨:2013/11/27(水) 17:16 ID:zVQ


 「落ち着くのです、詩音」

静かに、それでいてよく通る声が響く。


 「今は言い合っていても仕方ありません。それより沙都子を探す方が先決です」

 「・・・・・・」

羽入に諭され、詩音はまだどこか不満が残るようだったが、耐えるように下唇を噛み、俯いた。

 危ない危ない。このままでは詩音はまたやばい方向に走りかねないわ。

梨花は心の中でため息をつく。それでも沙都子の行方が心配なのは梨花も同じだ。



 「おーーーい!!」


この場の雰囲気を柔和させた声――。


 「圭一くん!?」


 「圭ちゃん!?」

圭一であった。

圭一は走ってやってくる。


 「・・・圭ちゃんですか。悪いけど今は――」

 
 「さっき沙都子見た――」

んだけど、と続けようとした圭一の腕を、詩音はがっしりつかんだ。


 「沙都子見たんですか!?どこで!??」

彼女の目は血走っていた。圭一は、そこまで心配していたのだろうかと心の中で思う。


 「さっきお前らが行ってた麻美ちゃんてこの家だよ」



それを聞くなり、詩音は圭一の腕を離して走って行った。ちょうどその時彼女が圭一の肩に当たり、
圭一がバランスを崩しそうになったこともおかまいなしに。


 「あっ、詩ぃちゃん!?」

 「ちょ・・・、詩音待ってよ!」


レナと魅音が心配するが、詩音の姿はもうなかった。




 「・・・ねえ羽入」

梨花は少しばかり嫌な予感がして、尋ねる。


 「はい。・・・僕たちも、あの男の家に向かった方がいいかもしれない――」

151:ユリカ マヤ:2013/11/27(水) 21:39 ID:uzg

詩音にとってさとこ大事だもんね…
お願い!さとこ!皆、無事でいて!

本当に面白いです!
書き方を軽く教えて欲しいぐらいです!
更新頑張ってください!

152:水梨:2013/11/27(水) 22:17 ID:zVQ

書き方とは・・・。全然教えれるほどのもんじゃないです。駄文ランクなんで・・・。
そして本編はさらにシリアスです。旅回り編はギャグメインだったのに・・・。


 沙都子沙都子沙都子沙都子沙都子沙都子!

詩音は心の中でその名を呼び続ける。


 「すいません!」

言いながら詩音はインターホンを押した。あの男のことだから、先ほどのように少し時間がかかってから出てくる
のかと思った。





 ・・・が。5分たってもまだ、出てこない。

いくらなんでも遅すぎるのではないか。

詩音は不審に思い、眉をひそめる。


そして――力任せに障子をけ破る!!


 (まさか、沙都子――あの男に何かされてるんじゃ・・・!!)

初めて会ったときは、どこか優柔不断そうでけれどやさしそうだった。


 ・・・けれどあの顔も、自分たちを油断させようと、欺かせようとするために表面だけ繕っていた
笑顔にしか思えなくなる。


 
 ――ナンテイマイマシイ!!


彼女の心の中を、嫌悪感が渦巻いた。

 
 ケガラワシイケガラワシイケガラワシイケガラワシイケガラワシイケガラワシイケガラワシイ!!


詩音はくまなく部屋の襖をあけては閉め、開けては閉め――

狂ったようにその作業を繰り返す。


 いないいないいないいない沙都子いないいないいないこれはどういうことをあらわすかわかってるはずだ
 詩音沙都子がいったいここでどんなことをされどうなったのかあの男が何をしたのか――


 わ か る だ ろ う ?
 

153:ユリカ マヤ:2013/11/28(木) 14:17 ID:9F6

いえいえ、すごく上手ですよ!!
私なんかよりも上手です!!

さとこ、無事だといいんですが…
本当に続きが気になります!

154:水梨:2013/11/28(木) 16:31 ID:zVQ

 
 久しぶりにtipsいきます。ひぐらしのtipsです!!

 tips「男の日記」


 ぼくはきょう、おとうさんとおかあさんとゆうえんちに行くよていでした。

 でもおかあさんが、おなかの調子がわるいと言うのでいけませんでした。

 なんで調子がわるいのと聞くと、おとうさんは

 「お前のいもうとをうむからだよ」って言ってました。

 ぼくにはいもうと、というものがどんなものかわからなかったので、いもうとって何ってきくと、

 おまえの新しい家族だよっていってました。

 家族ができるのはうれしかったので、ぼくはよろこびました。


 おかあさんがびょういんに、にゅういんしてから、ぼくはおとうさんといっしょにいました。

 おとうさんはしごとというものにいくので、ふだんはぼくひとりでした。でも、がっこうにいって
 友だちといっぱいあそんだのでさみしくはなかったです。

 3しゅうかんくらいして、がっこうにいたぼくに、先生がおとうさんからでんわよといいました。

 
 いもうとがうまれるんだぞとおとうさんはいってました。ぼくはたのしみでした。

びょういんにいくと、おかあさんはくるしそうでぼくもくるしくなりました。

でもおぎゃあおぎゃあってなきごえが聞こえたかとおもったら、おとうさんが
小さなはだかの子供を水につけてました。

 あれなにしてるのってきくと、かんごふさんはうぶゆにつけてるのよといってくれましたが、
ぼくには「うぶゆ」というものがなにかわかりませんでした。


 なにはともかくいもうとがうまれてよかったです。おかあさんも3かくらいしたらたいいん
できるそうです。

 たのしみです。

155:水梨:2013/11/28(木) 16:54 ID:zVQ

ナイトオブナイツをききながら更新中です・・・。

 「――とりあえず、麻美の家へ行きましょうなのです」



 「もしも沙都子がいなかったら、まずいことになりますのです」

そう言って梨花に続く羽入の顔はいつになく険しかった。


 「どういうこと?羽入ちゃん」

レナをはじめ、圭一や魅音もあまり意味が分からないようだったが、梨花は内心思う。



 詩音なら――先走った考えにたどり着く可能性がある。

現にさきほどの彼女の態度は、まさにその前兆だったのではないのか。

 「みんなっ!あの男の家に向かうのですよ!」

今度は梨花を先頭に、麻美父の家へ向かう。



 
 「な、なんだよこれ・・・」

麻美父――どうやら表札を見ると岡部らしい―-の家にたどり着いた圭一たちは目を見開いた。
障子の蹴破られた跡があり、建て直されているわけもなく、倒されている。

 ――-ああ、嫌な予感ってあたるのね、と梨花は思う。


 「泥棒でも入ったのかな、かな!?」

焦るレナをよそに、確信したように魅音が言った。



 「・・・・・・これたぶん、詩音だ・・・!!」

魅音も自分の妹がしたであろう所業に、目を見開くしかなかった。先ほど詩音はここに向かって、走って行った。


 魅音の言葉を聞いて、レナも確信して羽入に尋ねる。


 「・・・羽入ちゃん。まずいことになるっていうのは、こういうことなんだね?」

彼女はとりあえず冷静に、事態を分析しようとする。

そんなレナに、羽入も冷静さを失わずに答える。


 「はい。詩音は一度おかしな方向に考えると、おさえられなくなることがあります。



  ――僕たちはそれを、数多の世界で見てきたのですから」


 「?」

梨花や羽入が袋小路にとらわれていたことを知る由もない圭一、レナ、魅音には羽入が何を言いたいのか
さっぱり理解できなかった。


 「とにかく、入りましょうなのです!」

そして梨花を先頭に、急いで中に入るメンバーたち・・・。

156:東方大好き☆ 907:2013/11/28(木) 21:43 ID:PPg

ハイ書きます
罠殺し編

私は一体何をしたの?
人を殺して
梨花を殺した圭一さんを殺して
でもこれしかなかった
神様
ごめんなさい

157:東方大好き☆ 907:2013/11/28(木) 21:49 ID:PPg

「梨花―っ学校へ行きますよ―」
今日も平和ですわ
圭一さんの悲鳴を除いて

「うわああっ」
べシャ
「沙都子ぉ―っ!
ふざけるなああああ」
「なんのことでございましょう」
平和の証拠ですわ
でも・・・
それは夜崩れました
圭一さんの親がいなくなったのです

158:水梨:2013/11/28(木) 21:53 ID:zVQ



 そしてさらに、詩音が暴走したとわかる跡。

家の中はぐちゃぐちゃだ。靴箱の上に置いてあったのだろう花瓶は割られているし、何より部屋の
襖がすべて蹴破られている。


 「・・・これを詩音がやったということは・・・」

羽入は梨花に目くばせした。梨花もそれに応じるように羽入に視線を向ける。



 「・・・・・・・・・・・・沙都子はこの場にいないということ」


 「じゃあ沙都子はどこ行ったんだ?それに詩音もいねえみたいだ・・・」

圭一の言葉で、ハッとした魅音は、とにかく妹の姿を見つけようと走る。

 
 「あ、魅ぃちゃん待って!!」

慌ててレナたちも魅音を追いかけるが・・・。


                         *


 どこにいったんだ、あの男は・・・。

詩音は死に物狂いで探していた。探さなければ沙都子が危ないから早くしないと
沙都子が*されてしまうからそんなことになればきっと悟史くんだって悲しむから私だって悲しいから

 だからだから早く見つけないといけないのに。1分1秒の差で沙都子は*さ


 「うああああああああああああ!!」


 「詩音!!」

詩音の叫び声を聞いて、魅音を先頭に皆が駆け付けた。


・・・しかし、今の彼女には、魅音たちの声は届かなかったのだ。

無意識のうちに詩音は懐から護身用のスタンガンをとりだした。

159:水梨:2013/11/28(木) 21:56 ID:zVQ

東方大好きさんの罠殺し編面白そうですね!

圭一の両親いなくなっちゃったんですか!?

続きが気になります。

160:東方大好き☆ 907:2013/11/28(木) 21:58 ID:PPg

プルルル
「ハイ」
「親が死んだ」
「え?」
「うわあああああっ
川の中にあああああああ」
「圭一さん・・?」
次の日
バリーン
「圭一くんっ」
圭一さんが窓ガラスを壊していたのです。
「圭一く・・あっ」
ガツン
「レナああああっ」
レナさんは病院に運ばれました

161:ユリカ マヤ:2013/11/28(木) 21:58 ID:9F6

やっぱり上手ですね!
羨ましいです!

またまた、質問です!
ひぐらしの中で一番グロイと思う所は、
水梨さんにとって何編だと思いますか?

162:水梨:2013/11/28(木) 22:03 ID:zVQ


ユリカさん〉

 私的には目明し編だと思いますね。梨花が自害するときに、首に包丁を何度も何度も
突き刺してたところとか。ユリカさんはどの編ですか?

 東方大好き☆さん〉

レナがああああ!圭一は早速やばい方向に・・・。梨花たちはこの時どうしてるんでしょう・・・。

163:東方大好き☆ 907:2013/11/28(木) 22:04 ID:PPg

圭一さんは早退する事になりました。
私たちも早く帰りました。


「さあっ勉強しますわよー」
「にぱー」
「や・り・ま・す・わ・よ」
「ハイ・・」
「トイレ行っておきますわ」
トイレを終わらせました
すると
梨花が死んでいました
圭一さんが血だらけのバットを持っていました。
「なんで殺したですの?」

164:東方大好き☆ 907:2013/11/28(木) 22:05 ID:PPg

じゃあ、おちます

165:水梨:2013/11/28(木) 22:38 ID:zVQ

圭一がどんどん仲間を・・・。やばい感じです。

私も本編頑張ります。


 バチッ!

そんな音が響いて、詩音から少し狂気がぬけていく。

そしてすぐに、目に入った。おそらく自分のスタンガンの攻撃を浴び、倒れた魅音の姿が。


 「魅音!」

 「魅ぃちゃん!」

圭一たちが心配し、いったん腰を下ろしている。


詩音の耳に入ってくる、圭一たちが魅音を呼びかけている声に、ザーザーと雑音が入り混じる。

だからただ茫然と、目に入る光景を見ていることしかできなかった。


 「詩ぃちゃん!やりすぎだよ!いったんおちついて」

詩音を窘めようとしているが、レナの声は少し怒っているように感じられた。


それでも反応しない詩音に、今まで黙っていた羽入が近づいた。


 「詩音。暴れているだけでは、沙都子を探すことはできません。
 
 
  ――ケチラッション隊会則の第1055条『如何なる時も冷静に』なのです。


  あなたは今はケチラッション隊の隊員だから、まもらなくてはいけないのです」


こんな時に何を言い出すのかと梨花は思う。そんなふざけたことを言って、とまた詩音に逆切れでも
されたら羽入はどうするつもりだろう?

そしたら案の定、詩音は呆れ、怒りさえ感じられる。


 「はぁ?何言ってんですかあんた。今は約束とかそんなのどうでもいいんです。

  はやく沙都子を探し出さないと、殺されるかもしれないんですよ!!?」


 「それでも、今は落ち着け詩音!!落ち着かねえと、見えるもんも見えなくなっちまう!!」

今度は圭一が声を張り上げて訴える。

 
 「何が見えなくなるってんですか!見えてますよ!わかってますよ!沙都子がいないこの現状を!」


――ああ。わかってない。圭一の言わんとしていることが。


 「・・・詩ぃ。圭一はまず落ち着いて、みんなで考えようと言ってるのです」

 「そうだよ。このまま詩ぃちゃん1人で闇雲に探すよりはまだいいと思う」

梨花に続いてレナも言った。

166:水梨:2013/11/29(金) 14:31 ID:zVQ



 「ということです。まずは落ち着いてください」

代表して、羽入が言った。

それでも、もし殺されてたら――

詩音はどうしてもそんな考えに駆られてしまうのだ。落ち着けるはずもない。


 「・・・詩音」

ため息を一つついて、さらに羽入は続ける。


 「あなたはケチラッション隊の隊員だから、会則はまもらなくてはいけない。

  約束はまもららなければいけない。


  こんなことひとつまもれないようでは―――悟史との約束を果たすことはできない」


 「!??」

なぜ羽入がそのことを知っている?あれは詩音と悟史が電話口で話した約束だったはず。

他には誰もいなかったはずなのに。

詩音が頭に疑問符を浮かべ、もちろん圭一やレナたちはどういうことかすらわからない。

けれど梨花にはわかる。何度も何度も世界を繰り返すうち、詩音が悟史と約束をすることも知った。




 「なんであんたがそんな――」


 「あなたは悟史との約束をまもらなければならないと思っているのでしょう?
  悟史との約束を果たしたければ、落ち着きなさい」


 「・・・っ!」

なぜ羽入が悟史との約束のことを知っているのかはどう考えてもわからない。

でも――確かに、ケチラッション隊なるものに入ってしまった以上、会則はまもらなければならない。

これが、悟史との――沙都子を守ると――約束につながるのならば。



 「・・・わかりましたよ」

167:ユリカ マヤ:2013/11/29(金) 21:21 ID:yCU

二人共すごい上手です!!
羨ましいですね!

水梨さん!
私も目明し編です!
私にとってグロイ思うのは詩音がけじめの為に
爪を三枚、剥ぎとる所が一番グロかったです(3日、
アニメ見たくなくなった…w)

東方大好き☆さん!
よろしくお願いします!

168:ラブ姫 ◆uqvA:2013/11/29(金) 21:25 ID:G0.

やはり、水梨さんは上手ですね
毎度私の駄作を見ていただきありがとうございます

169:水梨:2013/11/29(金) 22:08 ID:zVQ

ユリカさん〉確かに爪剥ぎのシーンは怖かったです・・・。

ラブ姫♦さん〉狂気編面白かったですよ!私こそこんな駄文を見ていただいて感謝の気持ちでいっぱいです!

そして本編へ続く・・・と思ったらいったんtipsかきます。

 tips「男の日記2」

 そういえばしばらく日記を書いていなかった気がする。

妹が生まれてからそれ以来、日記というものにふれることがなかった。今こうして書いているのは、
中学生の俺だ。小さいころはぼく、とか書いてあった気がするが、クラスのやつらがみんな「俺」と
言っているのを聞いて、一人称をかえた。

 
 母さんが美人だったから、妹――美香と名付けられた――も相当の美人になった。

父さんと母さんは俺も美香もとても大事にしてくれた。

そして俺と美香の仲も良好で、毎日遊んであげたりもした。

まあ美香は女だから、男の俺とはやはり趣味の合わない部分もあったのだが。

俺が学校に行っているときなんかは、父さんは妹とすごろくとか、トランプとかで遊んでいた。
決して父さんが二ートというわけではない。たまたまその日は仕事が休みなだけだった。


 ・・・でも最近、美香の様子が暗い。

もう小学生になった美香。4年になって家に帰ってきたあの日。美香の表情はいつもの明るいそれとは
全く違った。

 何かあったのかと俺や父さんや母さんは聞くけど、何でもないと部屋にこもり切ってしまった。

父さんに様子を見てきてくれるかと頼まれ、美香の部屋の前まで来た俺は動きを止めた。


 ・・・なき声が聞こえたからだ。

声を押し殺して、嗚咽している。

今すぐにでもこのドアを開けたら――どうなるだろうかと思った。

なんでないてんだ、とかそんなことを聞いてもたぶん変なところで頑固な美香のことだから
きっと隠し通すに違いなかったのだ。

 ・・・どうせすぐにおさまるだろうと、俺は思っていたのだ。


 でも少し不安だから、今日、美香が学校から帰ってきたら問いただしてみよう。


 

170:水梨:2013/11/29(金) 23:43 ID:zVQ


 梨花は正直驚いたというか信じられなかった。

詩音の狂気をおさえたのはまさかのケチラッション隊の会則の話。

 案外すごいのかもしれない。ケチラッション隊。

 「わかったら詩音!合言葉を!」

 
 「ファッション、クッション、ケチラッション!!」


・・・この言葉だけは理解できないけれど。

梨花が目を細めると、急にレナがくんくん、とあたりの空気をにおっている。


 「レナ?どうかしたのか?」


 「・・・うん。ちょっと、さっきも感じたんだけど・・・このあたり、少しだけ・・・


 
  シンナーのにおいがする」


 「シ、シンナーだって!??」

圭一や詩音や羽入が目を見開いている。




その中でシンナーが何なのかすぐに思い出せない梨花は、シンナー・・・・・・とは何だったかと、
梨花は思考を回転させる。


確か、吸いすぎると体をぼろぼろにしてしまうものだったような気がする。


 「でもなんでそんなにおいがするのですか?」

今度は梨花が問い、レナが答えようとしたが、3人の声に魅音が目を覚ましたらしく、

 うん・・・、と目をこすっている。


 「・・・お姉っ!気づいたんですね!」

真っ先に気づいた詩音が魅音に駆け寄った。


 ――ああ、よかったと本当に思う。

先ほどは感情を怒りに任せ行動していたから、もしかしたらスタンガンを威力最大にしていたかもしれず
魅音が目覚めなかったらどうしようかと詩音は心配していた。


 「しおん・・・」

彼女も、妹の表情からは狂気の色がなくなっているのを確かめるとうっすらとほほえんだ。

 

171:ユリカ マヤ:2013/11/30(土) 07:31 ID:Muk

よかった…詩音元って!

後で私も続き書きます!

172:水梨:2013/11/30(土) 10:30 ID:zVQ

ユリカさんの部活の話、楽しみにしてます!圭一はどうなるんでしょうか・・・。

173:水梨:2013/11/30(土) 13:08 ID:zVQ


続きかきます。

 「よかった・・・」

圭一たちも顔に安堵の色を浮かべるが、それは束の間。

 「それでレナ、シンナーって・・・」

梨花もあたりの空気をにおおうとするが、あまりわからない。


 「うん。・・・この家で何かあったことは確かだよ。警察に連絡した方がいいかもしれないね・・・」





――雛見沢村の隣にある興宮。店員目当てにオタクたちが集うエンジェルモ−トなどがある、活気あふれる
場所だ。

そしてその近くにあるのが、興宮警察署だった。


 そしてそこでは、警察たちが、ある事件に頭を悩ませているのだった。


 「大石さん、どう思いますこれ?」

これは警察の極秘捜査であった。最近雛見沢や興宮で、怪しい風貌の男たちが出入りしているらしい。

変なことをしでかさないのなら問題ないが、子供やまたは年寄りに危害を加える時があるらしい。

警察もその男たちを探しているのだが、何せ神出鬼没らしく、なかなか姿を現さないのだ。

174:水梨:2013/11/30(土) 15:25 ID:zVQ

いきなりtipsです。

 tips「男の呟き3」


 ああ、嫌だよもう。

俺が入った職業。それは、いわばヤクザとか、そういうものを思わせる裏社会のもので。

あいつが急に東京から引っ越していって、やはりまた1人になってしまい、すべてを投げ出した俺に
手をさしのべたのはこいつらだった。


 「今度は金、手に入らねえかなぁ〜」

同じ組のそいつは、ちらりと俺を見ながら言った。そりゃそうだ。

俺のせいで仕事は失敗したのだから。情を捨てきれなかった俺は、誘拐した子供をその親に返したのだ。

本来なら殺されるところだが、前回は甘く見てくれたボスは、「今回失敗したらもう命はない」と
いう条件つきで、俺を生かした。


 俺たちはおもに東京でそういう悪行をやっていたのだが、今度は違う場所でやった方が
効果があがるだろうということで、ここにやってきたのだ。




 この、雛見沢村に。




 新たな人質は女の子だった。お父さんお父さん、と泣き叫び続けている。

今ボスたちは女の子の父親に手紙で脅しをかけ、今そいつを待っているそうだ。

俺はその子が逃げないように見張り役を頼まれたわけだが。


 女の子は、俺が特に何もしないのでまだ優しいやつだと思っているのか助けてほしいと目で懇願している
のがわかる。



 ・・・・・・ごめん。今、あんたを助けたら俺は殺される・・・。

女の子から逃げるように俺は顔をそむけた。



 あいつならどうした?とふと思う。

宮原なら、なんていうだろう。こんな堕ちた俺を見たら、なんていうだろう。

けなすだろうか。ゴミを見るような目で俺を見るだろうか。



 急にボスの声が響き渡る。


 「やっときたか。何分待ったと思ってんだ!」

いよいよこの少女の父親が来たらしい。気の毒だ、と俺は思う。大事な娘を人質に取られるとは。


 「す、すいません・・・・・・!」



・・・・・・あれ。


 どっかで聞いたような。この声。



 あ れ

175:ユリカ マヤ:2013/11/30(土) 17:45 ID:Muk

水梨さん!すごく面白いです!

続きです!
着たはいいが……
「なんじゃ、こりゃ〜!!!」
俺は叫んだ。
ガチャ!!(ドアの開く音)
魅音「どうかしたの!?…
って何やってんの?圭ちゃん…」
レナ「どうかしたの?」
圭一「短すぎんだろ!このスカート!」
この二人はオレのはいているスカートを見て笑った。特に魅音が一番。
魅音「アハハハ!な、何これ!!似合うようで似合ってないよ?!ハハハ!」
レナ「か、かわ、プッ、い、クッ、かわいそ、プッ、うだよ…プップ」
(レナは笑いに堪えてます。分かりにくくてすみません!)
圭一「なぁ!レナ!お前は何やりたいんだ?全然、フォローになってないぞ!」
レナ「クッ、も、もう、無理!アハハ!」
魅音「アハハハ!」
二人が笑っている頃に足音が聞こえてきた
梨花「みぃ〜何を笑っているのです?」
さとこ「声、でかいですわよ?」
そして、この二人は周りを見てオレのはいているスカート見て笑いだした。
梨花「アハハハ!け、けい、いち!、クッ、おも、しろいのです!、アハハハ!」

ごめんなさい、今日はここまでにします!

176:水梨:2013/11/30(土) 18:20 ID:zVQ

圭一かわいそうにwwww

このあとさらに圭一がミニスカをさらけだしたりするんでしょうか・・・。

177:水梨:2013/11/30(土) 19:03 ID:zVQ

また本編戻ります。


 「この事件にも困ったもんですよねぇ熊ちゃん」

興宮警察署の刑事、大石蔵人は同僚の熊谷勝也に笑いかける。


 「こういう芽は早めに摘んでおかないと、後々大変なことになるかもしれませんよ」

こういう時、熊谷はまじめだ、と大石は思う。真剣に対応するのは悪いことではないのだが・・・。


 「だから一応パトロールさせてるでしょう。――でもいまだに見つけられてない。  
  まったく不思議なもんですよ。山狗のごとく、秘密組織とかですかね。んっふっふ」


 「大石さん・・・」

そんな冗談話、している場合じゃ・・・と熊谷が続けようとしたところに、プルルルル、と電話がなる。
それには電話が置いてあるすぐ近くにいた大石が受話器を取った。


 「はい、興宮警察署ですが」


 『あ、大石さんですか!?』

相手が誰なのか名前を言われなくても大石にはわかった。


 「おんやぁ。前原さんじゃないですか。萌え会議第35回の日程が決まったんですか?」

んっふっふ、と大石はまた笑って見せる。しかし、圭一が少し焦っているのが声だけでわかった。


 「・・・て冗談はこのくらいにして、何があったんですか?前原さん」


 『はい。実は・・・・・・沙都子が行方不明になったんです』


まさか、と大石は顔を少し強張らせる。

今極秘捜査中の、怪しい風貌の男たちと関係があるかもしれない。


 「・・・それは、いつ、どこで、どんな経緯で?」


 『今日俺がみんなを尾行してたら――』


そして大石は圭一の今日の出来事をすべて聞いた。

178:水梨:2013/11/30(土) 20:57 ID:zVQ



 「・・・前原さん。これは私の推測ですけどもね」

すべてを聞いて、一呼吸おいた大石は言った。耳を傾けて圭一の言葉を聞いていた熊谷も、険しい顔つき
をしている。


 「北条さんを誘拐したのはその岡部という男だと私はふんでいるんです」


 『・・・そうですか』

圭一にあまり驚いたような様子は見られなかった。彼も大体は感じていたのだろうか。


 「私たちは村人に岡部の目撃者がいないかどうかを聞いてみますので、前原さんたちは
  まず、その場で待機しておいてください。熊ちゃ――刑事を1人そちらに向かわせます」


 『そんな暇はないんです!!』


 「!?」

圭一の声が急に女の声に変わり、大石や耳を傾けていた熊谷も驚く。


 『おい、詩音!!』

電話の向こう口で圭一が注意している声が聞こえる。


 ・・・ああ、園崎詩音か、と2人はため息をついた。


 『私たちがはやく行かないと、沙都子が殺されてしまうかもしれないんですよ!?

  私たちは私たちで、岡部を探しますから!!』

ブツッ!と勢いよく電話がきられた後は、ツーツーツーとむなしく音がなるだけであった。

179:水梨:2013/11/30(土) 23:05 ID:zVQ



 「あ、まだ聞きたいことあったのに・・・」

一方の圭一は、はあ、と小さくため息をついていた。


 「これ以上聞かなくたってあとは私たちがあいつを捕まえればいいだけです」

1人で先に進んでいく詩音にあわせようと皆も小走りになる。

 
 小走りの中で、梨花の目に入ったそれ。

それは床にあった。とても小さいが、取っ手のようなもの。それが最後尾を歩く梨花の足にあたったのだ。


 「これは・・・」


 「何か見つけたの?梨花ちゃん」

魅音たちがゆっくりと近寄ってくる。彼女たちも床の取っ手を目にとめると、何これとそれを見つめた。



 そこでしばらくそれをじっと見ていたレナが呟いた。



 「ここから・・・沙都子ちゃんを連れてあの男の人は逃げたのかも」


 「?なんでわかるんだ?」


 「だって外に出たりしたら、警察沙汰になった時、必ず目撃情報が出る。
  だから人にばれることなく、どこかに逃げれるとしたら、こういうところからでしか行けないよ」

そう言うなりレナは取っ手をぐぐっと引っ張る。


そして姿を現したのは、地下へ続く階段。


 「階段・・・?」



 「降りますよっ!」

また走り出した詩音を先頭に、梨花たちは地下へ行くのだった。

180:ユリカ マヤ:2013/11/30(土) 23:20 ID:Muk

もしかしてそこに、さとこが!?
本当に面白いです!

さっき?の小説の時、少し急いでいたので
、感想と小説可笑しかったですよね?
すみません!
明日は少しでもちゃんと書きます!
暖かく見守っていてください!!

水梨さんが書いたコメント?当たってますww
圭一が一番、罰ゲームに書きやすい!ww

181:水梨:2013/11/30(土) 23:39 ID:zVQ

そうですか!あたってましたか!確かに圭一はよく罰ゲームネタ書きやすいですよね!
続き楽しみにしてひぐらしのamberのBGMをききながらかきます。

 ――岡部は沙都子を連れ去ったあと、正面玄関から出ると目撃率が
高くなるので、地下の階段を使い、外に逃げ出した。

 背負っている少女――確か沙都子、と言っていた気がする――を一瞥して、ほっと溜息をつく。

 大丈夫だ。まだ彼女が起きる様子はない。


 あの紙に書かれていたこと。それは――


 「お前の娘は預かった。返してほしければ古手神社の近くの小屋にこい。
  そばに「×」とかかれた立札がある。

  ――ただし、娘と引き換えに、誰かほかのやつを人質にしろ」


 背筋が震えた。

 娘が誘拐?――だれに?何のために?


 どうしたらいい、どうしたら。

焦った岡部はとりあえずケチラッション隊に帰ってもらうように頼んだ。

 そうでなければ・・・・・・あの子たちの誰かを人質にとろうというバカな考えに至ってしまいそうだったから。


自分の娘を助けるためにほかの子を犠牲にしていいという道理はどこにもないのだ。



 ――なのに。なのに、自分から来るから。

 この小さな少女1人しかこの場にいないと知った岡部は、人質になどするのは間違っているという考えも
あったのだが、行動はそれに反し、

 この少女を、娘の身代わりにすることにした。


 だって、そうでもしないと娘が助からないから。

 岡部は誓った。


 あの日――。



 妹の美香が自殺した。父も母も、もちろん岡部も嘆き悲しんだ。

 ――その時の苗字はまだ宮原だったが。


 特に美香をかわいがっていた父はそれでぐれてしまい、お酒もよく飲むようになったし、
岡部や岡部の母にまで癇癪を起こし、暴力をふるうようになった。




 

182:ユリカ マヤ:2013/11/30(土) 23:46 ID:Muk

なるほど!!あの
宮原さんだったんですね!!
妹の美香さんが自殺だなんて…。
もっともっと、続きが気になってきます!

183:水梨:2013/11/30(土) 23:59 ID:zVQ


 そんな生活が嫌になった岡部を、支えてくれたのは高校で出会った1人の男子生徒だった。

 彼――沢田直之だった。

 沢田も家での自分の居場所がなくて、つらそうにしていた。いじめで自殺をした美香にどこか重なるものを
感じさせた。

だから、今は思わなくなったこと、けれど昔は本当に思っていたことを言ったのだ。

 家族というのは、心の休まる場所であると。


 でもやはり今自分があまりそう思えていないだけに、説得力がないことに気づいた。


だから、岡部自身が願っていたこと――仲間がいる場所が、心の休まる場所だと言った。

それから岡部と沢田は、「仲間」になっていったのだと、岡部は今でも思っている。


 沢田が、確かに岡部の支えだった。

家では父が暴れまわり、憐れむように見る母。

完全に2人の仲は、冷え切っていた。


そう思っていたらいよいよ岡部の母が、父に離婚届を出した。

 母が岡部を引き取り、姓が「宮原」から「岡部」にかわったのだ。

このことは沢田に言う暇もなく、岡部は母とともに、東京を離れることになってしまった。


それからまもなくして妻もできたが、娘―麻美を生んだ時に死んでしまった。


 だから。だから、今岡部の手が届くたった1人の家族、麻美を守ろうと決めた。


 麻美を守るために――何の関係もない沙都子を人質にしようとしている自分に、自己嫌悪する。


 沢田は、こうなってしまった自分をどう思うだろうか。軽蔑するだろうか。


 いや、もう「人」とすら思ってくれないのではないだろうか・・・。


 そう思いながら、小屋を見つけた岡部は扉を見つけ、そこから入った。

 
 「やっときたか。何分待ったと思ってんだ!」

いきなり、野太い声が響く。

無精ひげを生やした、屈強そうな男。


 ――そうか。こいつがボスか。


 「す、すいません・・・!」

ここは謝るしかない。


 ・・・この少女さえさしだせば、麻美は、きっと助かるのだから・・・。

184:水梨:2013/12/01(日) 00:20 ID:zVQ

明日小論文のテストをうけにいかなければならないことに・・・。小論文じゃなくて
ひぐらしの小説書くテストだったらいいと思いました←関係ないでした。すいません。


  視界が暗い。

 ・・・どこだろう、ここは・・・。

沙都子はうっすらと目を開けると同時に、そう思った。


 (あら・・・?体が思うように動きませんわね・・・)

もがいても、もがいても手足が自由にならない。


 ・・・手足が?

違和感を感じた沙都子は、下を向き、目を見開いた。


 「っ!!」


彼女の体はぐるぐる巻きにされていた。気づけば、口にもガムテープが貼られている。


 沙都子は瞬時に理解した。

 自分は誘拐されたのだと。


 ・・・確か、岡部の家に行ったあと、彼に何か変なものをかがされて―――


 くらっとめまいがした。

 (い、痛・・・)

思い出そうとすると、頭がズキズキして、思わず沙都子は目をつぶった。


 
 「目ぇ覚ましたか、嬢ちゃん」


 「はんえでふの!?」(誰ですの!?)

口がふさがれていて、思うように話せない。


 「――ああ。おじさんたちはね。お金をかせぐために、嬢ちゃんたちみたいな小さな子を誘拐して、
  身代金を要求するんだよ」


 じゃあ、あの岡部も、誘拐犯の1人なのだろうか。あんなに娘がいないと騒いでいたのに。


 「恨むならあの岡部とかいう男を恨めばいいよ娘を助けるために君を人質に選んできたのは
  あの男だからな。――まあ、どっちみちあんたも、あの娘も岡部も助からねえけどな。

  ――俺らのことばらされたら困るから」



 「・・・・・・!!」


 (じゃあ岡部さんは、麻美さんを助けるために私を・・・)
 

185:ユリカ マヤ:2013/12/01(日) 15:30 ID:Muk

さとこ!無事でいて!
今回も面白いです!続きを楽しみにしてます!

続きです!
くそ!何でこんなに短いんだ!
魅音「ハア、ハァ、本当に面白いねぇ〜おじさん、笑い疲れたよ、ハァ、ハァ」
レナ「圭一くん、何でスカート後ろ前逆にはいてるの?」
さとこ「しかも、スカートをひっぱていては可笑しいですわよ?」
梨花「後、短いのは当たり前なのです!」
圭一「え!?そうだったのか?このままだと…」
レナ「思っていたのかな かな?」
圭一「うっ…で、でも!何で後ろ前逆だって分かったんだよ!」
さとこ「ポケットが逆ですもの、誰だって分かりますわ」
圭一「あ!」
梨花「今頃、気付いたのですか!?」
魅音「圭ちゃん、バカだねぇ〜ハハハ!」
圭一「勉強はオレの方が上だけどな!」
レナ「関係ないね」
圭一「うっ…」
梨花「皆にけっちょん、けっちょんに言われているのです!」
レナ「スカートを引っ張ってると可笑しいよ?」
圭一「お、おぅ…」
レナ「ねぇ、早くメイド服を気直して、外に出よう!」
さとこ「そうですわね!」
魅音「じゃ、外でまってるね!圭ちゃん!」
梨花「早く来るですよ!」
そして気直す事になってしまった…

186:水梨:2013/12/01(日) 21:14 ID:zVQ

圭一がさらにかわいそうなことに・・・wwwwww


 「・・・沙都子いない」

地下へと続く階段を降りたケチラッション隊たち。そこは何もなくただ暗闇であった。

 てっきりここで沙都子がとらえられていると思った詩音は、ため息をついた。

まあいい。しばらく歩けば何か見えるだろう。


 案の定しばらく歩くと、今度は上に続く階段があった。


 「あれ、あの階段、外に続いてんじゃない!?」

真っ先に気づいた魅音は、人差し指を階段に向けた。


 「じゃあ岡部は外に出たということなのですか?」

 「なんでわざわざ・・・。ほかの人に目撃される可能性があるのに・・・」

考え込む梨花とレナをよそに、圭一があれ、と何かを拾い上げた。


 「なんだ?この紙」


 「何か見つけたのですか?圭一」


羽入に問われ、いや・・・と言葉を濁しながら、圭一は二つ折りにされていた紙をひろげた。


 そこに書かれていたのは、娘を誘拐したので彼女を助けたくば代わりの人質をもってこい――

という脅迫だった。


 「これは・・・!」

皆は目を見開いた。これが岡部の家の地下にあり、岡部がここから逃げたということは――

 
 
 「・・・岡部は、脅されていたのですね」

羽入がそう結論づける。


 「じゃあ、沙都子をさらったのも、すべては岡部さんの娘――麻美ちゃんを助けるためだった・・・
  ってこと?」


 

 「・・・・・・それでも、自分の娘のためにまったく関係ない――それに、麻美さん探しを手伝っていた
  沙都子を人質にするのは、私としては納得がいかない行為ですよ」

魅音は少し納得するが、詩音はやはりそうは思わないのだ。

 だって、たとえ自分の娘が危ないとしても、他人を危険にさらすのはお間違いだ。

 詩音はいつだって思う。



 「――それでも」

そこではじめて、梨花が間に割って入る。


 「岡部にとって麻美は、大事な大事な、1人娘なのです。

  親はとてもとても、子が大事なのです」


それは、梨花が実際に両親にそうしてもらっていたから。

親が生きていた頃はちょっとした気遣いですら面倒くさい、うるさいと感じていたときがあった。そうして、
繰り返す世界のなか、両親がいないことを納得していた。だって同じように死んでしまうから。

けれども彼女は、夢見た。


 ――夢かどうかはわからない。本当にあったことかもしれないけれど。

梨花は、母が、父が、自分を本当に本当に愛してくれていたことを知ったのだ。



 「・・・もしかしたら、ボクが誰かと結婚して、子供を産んで、もし
  その子供が危険な目にあったなら――

  ボクはどんなことをしてでも、その子を助けようとするのです」







 

187:ユリカ マヤ:2013/12/01(日) 22:07 ID:Muk

梨花、やっとわかってくれたのですね!by,羽入
って言いそう…w

とても良いです!梨花も親の気持ちが分かってきたんですね!
続きが気になってきます!

188:水梨:2013/12/01(日) 22:09 ID:zVQ



 「梨花・・・」

・・・もしかして、自分の両親のことを思い出している?

羽入はそう瞬時に悟った。

皆もなぜか梨花の言葉に何かを感じたのか、押し黙っている。


 そういえば――梨花の両親は、もういないのだということを、詩音は、いや、全員が思い出した。


それに、一番に非があるのは、岡部ではなく、彼を脅した人間だ。思えば岡部も元々被害者なわけで。



 「・・・もう1回、ここの電話借りて、大石さんたちに連絡しよう」

このままこうしていても仕方がない。圭一はそう言って、再び受話器を取った。


                      *


 沢田直之は、裏社会に生きるようになって、盗みは日常茶飯事になり、時には直接手は下さずとも、殺人の
加担をするようになっていった。その中で唯一心の支えだったのが、高校時代の親友、宮原真一だった。


 沢田の目の前には、ありえないことがおこっていた。

 聞いたことのある声が彼の耳に入り、まさかと思いながらも足をその場にやった瞬間。



 「え・・・・・・?な、ん・・・・・・で?」


人質になっている少女を助けに来た父親。


 それは、



 


 
 宮原だった。




 「さわ、だ・・・・・・?」

彼も沢田を目にした途端、目を見開いて、名を口にした。




 「宮原・・・・・・。なん、でここに・・・」


どうしてこいつがここにいる?いや、それよりもあの娘の親が宮原だったのか・・・。俺は今
じゃあ、宮原の娘を誘拐して・・・。

彼の頭の中の思考はぐちゃぐちゃになる。

親友と会えた驚きと喜び、そして・・・、堕ちた自分が彼とあってしまったとことに悲しみ、


 親友の娘を誘拐し、そして殺してしまわなければならなくなると罪深く悔やむ思い・・・。


 なんて言えばいい?宮原に、俺は何て――



 「・・・あれえ?知り合いだったんだ、お前ら」

そこに水を差すように声を上げたのは、裏社会の、沢田がはいっている一味のリーダー、

 時雨昌茂<しぐれまさしげ>だった。

189:水梨:2013/12/01(日) 22:24 ID:zVQ

今回の梨花が言っていることは、賽殺し編でのことを思い出している感じです。

賽殺し編での解釈は少しばかり難しいので詳しいことはよくわかりにくいのですが・・・。
賽殺し編にて梨花が決意したことがこの話でかかわる予定です。


 ちなみに、これの話を終えた後の次のネタが思い浮かばないので、ユリカさんに
 話をリクエストしてもらってもよろしいでしょうか?


 

190:水梨:2013/12/01(日) 23:28 ID:zVQ



 「・・・・・・」

沢田も岡部も、時雨をにらみつける。


 「・・・おっと。そんな顔で見んなよ。ああ、怖い怖い」

その態度も何もかも2ひとにとっては気に食わない。


 「ああ・・・、それと、人質用にとってきた娘、こっちよこして」


ここは従うべきだと判断した岡部は、背負っていた沙都子を下ろし、時雨にあずけた。

 しかし、これだけは聞いておかなければならない。


 「・・・・・・これで、麻美は返してくれるんですよね?」

返してくれなければ、何のために、人様の子供を身代わりまでにしたのか後悔するからだ。



 「ああ・・・、そうだったっけ」

そう静かに言った時雨は、沙都子を抱えると、奥の方に行ってしまった。




 何を話せばいいのか、お互いわからなかった。沢田は、堕ちた自分を知られ、岡部は、自分の娘を
助けるために人の子供を生贄にしたところを知られてしまった。


 こいつは、俺をどう思うだろう――。


そんな思いに駆られて、何かを口にすることが怖い。



                       *


 なぜトラップをしかけていなかったのだろう、といまさらながら沙都子は後悔した。自分のトラップさえ
あれば、こんなやつら、こてんぱんにできるのに。最近裏山の方にばかり熱を入れすぎて、
村全体とまでは考えていなかったのが運のツキだったのかもしれない、と彼女は思う。



 (そういえば、梨花たちは今頃・・・)

私を怒っているに違いませんわ、と自分自身に嘲笑する。もうきっと自分がいないことぐらい
気づいているだろう。自分があのとき、彼女たちに隠れて行くような真似をしなければ。
一緒に行っていれば、こんなことにはならなかったのかもしれない。

 
 何も知らなかったなら、岡部を存分に責めてやるところだった。

けれど彼は、自分の娘をまもろうとしたのではないか。

沙都子は自分が誘拐され、危険にさらされている身ではあるのだが、岡部を憎むことはできなかった。

 
 「・・・なんか、あっちの方で言い合ってるような声が聞こえる。・・・お前も来い」

自分は気になったが、いつ沙都子が逃げ出すかわからないと思ったのか、男は
沙都子の頭を無理やり引っ張り、抵抗はさせないということを示唆する。
仕方なく沙都子はその場は従うことにした。

 目的地まで行く途中の道には、この男の仲間らしき人間――ざっと見て2,30人ほどだろうか――が煙草を
吸ったりして座っている。



 「どこ行くんすか時雨さん」

仲間の1人が男――時雨というらしい――に話しかけた。時雨はちょっと見物、と答えると、また
歩き出した。

 

191:水梨:2013/12/02(月) 19:44 ID:zVQ

本編がシリアスなので、私のクラス中がなぜか笑ったエピソードをひぐらしキャラでやってみようと思います。
小ネタ、短編です。

 「漢字連想ゲームするよ!!」

さあ部活をしようと圭一たちが机を動かしたとき、魅音がそんなことを言い出した。


 「あれ?魅ぃちゃん。今日はプールで誰が一番早く泳ぐかを競うんじゃなかったのかな?」

レナをはじめとする部員たちは一様に首をかしげる。

すると魅音はわかってないなあ、と人差し指をあげる。


 「体力はもちろんそうだけど、知識をあげることだって必要なことなんだよ」

確かに・・・、とうなずきながら圭一たちは納得する。


 「それで?どういうルールなんだ?」



 「まず、漢字を提案する出題者を決める。まあ1回目だから、最初はおじさんがするよ」


 「そして――適当でいいから縦に順番に並んでみて」

 言われたとおり、縦に並ぶ。前から羽入、詩音、圭一、梨花、レナ、沙都子の順になった。

 
 「んで、おじさんがまず羽入に、漢字を紙に書いて伝えるから――たとえば、緑という漢字を出したとしたら、
  羽入は思いつく漢字――たとえば、森とかね。で、それを羽入は後ろの詩音に伝えて、詩音はまた
  森という漢字から漢字を連想して、後ろの圭ちゃんにつたえる。そんな感じでいって、

  そして最後尾である沙都子が、最初におじさんが提示した漢字を当てる!


  ってゲーム。当てられなかったら罰ゲームね」


 「ええっ!?いきなり私不運じゃございませんこと!?」

ぶーぶーと文句を言う沙都子に、安心して、と魅音は続ける。


 「1回終わったごとに出題者と回答者を変えるからね!」


 「それなら安心ですね」

 「あ、忘れてたけど、漢字は1字で答えないとだめだよ」


 そうして部活は開始し、――魅音は羽入に、「山」という書かれた紙を提示した。


それを見て羽入はほっとする。

 (あ、なんだ。そこまで漢字難しくないのです)
  
  

そして羽入は詩音に伝え、詩音は圭一、圭一は梨花、梨花はレナ、レナは沙都子――と伝えていった。



 「さて、沙都子!答えは?」



 「―――――答えは、



  人の『髪』

  ですわ!!!」

妙にキメ顔で、沙都子は言い放った。



 「・・・・・・・・・・・・」

あるぇ、と魅音は思わずつぶやいてしまった。

確か自分は「山」と出したのに、どこをどういったら、「髪」になるのだろうか。

一回確かめてみよう。


 「羽入から、どういう漢字を連想したのかそれぞれ言っていって」



 「盛」


 「大」


 「字」

 
 「墨」


 「筆」


 「髪」




 「・・・へぇ〜〜〜」


続きません。

192:ユリカ マヤ:2013/12/02(月) 21:53 ID:81w

短編すごい面白いです!

リレー小説、私が考えますね!
そのリレー何ですが、シリアス係と
ギャグ係どっちがいいですか?

193:水梨:2013/12/02(月) 22:57 ID:zVQ

ギャグもありでシリアスもありでお願いします!!

194:ユリカ マヤ:2013/12/03(火) 20:20 ID:81w

じゃ、少し考えてみます!!
早めに考えます!!!!

195:水梨:2013/12/03(火) 20:35 ID:zVQ

続きを書きます。


 「なんですって?そんな場所が?」

一方、大石は再び圭一たちの連絡をうけていた。


 『はい。それと・・・、岡部さんが沙都子を誘拐した理由がわかりました』


 「理由ですか。ぜひ教えてください前原さん」

動機がわかれば岡部が犯人だというヒント――いや、もう岡部がほぼ犯人で決まりなのだが――がわかる。


 『実は・・・、岡部さんが、ポストに入っていた紙を見てた時があったって言ったでしょう』

そこで大石は、あ、と声を上げた。

 「・・・確か、妹さんからのお手紙ってやつでしたよね?」

圭一にここで言っておくべきかと思った。岡部という人間のことを調べた結果、妹はすでに10年以上前に
他界していたのだ。


 『あれは、妹からの手紙じゃなくて、脅しの手紙だったんです!

  娘を助けたければ、代わりに人質をもってこい――と」


 「!?」

大石は目を見張った。圭一の言ったことが本当ならば、岡部とは全く別の者たちが犯行をおこしている
ということになる。

 ・・・もしかしたら、その手紙をよこした人間が、今極秘捜査中の怪しい風貌の男たちかもしれない。


 「・・・そうですか。わかりました前原さん。それだけきけば十分です。・・・あ、本当に1人刑事が
  向かってますから、待っててくださいよ!」


 『だから私たちはいかなきゃいけないんですよ!!待ってる暇はないんです!』


 「!?」

びっくりした。今まで圭一と話していたのに急に女の声・・・詩音の声が耳に直接響いた。


 (・・・また園崎詩音か)


そう思いながら、大石は、お願いしますよとだけ言って電話を切った。


最近まどマギの二次創作スレばかり見てるので投稿できてませんね・・・。

196:水梨:2013/12/03(火) 20:36 ID:zVQ

早めでなくても全然OKです!考えてくださってありがとうございます!

197:ユリカ マヤ:2013/12/03(火) 22:13 ID:81w

はい!分かりました!

まとマギ面白いですよね!
主人公、まだ魔法少女に…w

更新、頑張ってください!

198:水梨:2013/12/04(水) 21:32 ID:zVQ



 「・・・ひ、久しぶりだな宮原」

言ってしまってああ、と沢田は後悔した。こんなことを言ったって何の意味もないのに。


 「あ・・・・・・ああ」

岡部も、約10年ぶりに再会した仲間に何と言えばいいのかわからない。
けれど今沢田に聞きたいことはたくさんある。なぜここにいるのか、それは沢田も麻美を誘拐したこの犯人たちの
仲間だからなのか――。


 「俺、親が離婚しちまって今は宮原じゃなくて岡部なんだよ」


 「!!」


 両親が離婚?

 そんなことは初耳だ。言おうとして、沢田は、宮原、いや、岡部が自分に何も言わずに転校していってしまった
ことを思い出した。


 「・・・・・・そ、そうか」

沢田にはこれしか言えない。離婚のことを聞くのも岡部の傷心をえぐるだけだろう。




 「・・・なあ。何してんだよお前」


 「―――っ!!」

一番聞かれたくないことだった。何て言えばいい?何て言えば許してもら―――


 (違う!!考えるのはそういうことじゃない!!俺のこの今までの行動は、何をどう言ったってただの
 言い訳にしかならねえし、許されることもない!)


沢田が頭を抱え込むと、さらに岡部は続けた。



 「・・・・・・俺だって、娘を助けるために人様の子を攫ってきた。
 
  これは何をどう言ったって許されねえ。麻美を助けだしたら警察に行く。
  

  お前のことだって本当は責められねえけど―――




  なんでここにいるんだ?あいつらの仲間になったってのか?」


沢田は目をそらしたかった。しかし、岡部の、彼を射抜くような目がそれを許さない。


 
 「・・・・・・・・・っ」




                        *



 (これは・・・・・・どういう状況ですの?) 

時雨に連れられ、沙都子は彼とともに声のする方へと歩いていくと、だんだんとその声が大きくなっていく。

 岡部ともう1人――時雨の仲間?が何かを言い合っている。


 すると時雨が何やってんだ、沢田と声をかける。


 その声に気づいた沢田はゆっくり振り向く。その顔には絶望の色が澱んでいた。


 「お前はあの娘を見張っとけって言っただろうが!さっさと戻れ」


沢田をにらむ時雨に、ちょっと待ってください、と岡部は割って入る。


 「どこにいるんですか、娘は――麻美は!!」

沢田と話していながらも、岡部は娘が心配でならなかった。沙都子を渡せば娘を返してくれるというから。


 しかし今の会話からすると、まだ娘を手放す気はない様子が感じ取られる。



 

 

199:水梨:2013/12/04(水) 22:43 ID:zVQ



 「・・・まあ、俺の仲間が連れてくるから、ちょいと待て」

時雨はそう言うと、近くにいた男に娘を連れてくるように指示した。男は短く返事をするとどこかに向かって
いった。それを一瞥した時雨はふと沙都子に向き直る。


 
 「・・・にしても、かわいそうだよな、お前も」

哀れみのこもった目。

 ・・・人質を連れてくるように指示したのはこの男だ。岡部を皮肉っているのだろうが、
沙都子は岡部が悪いとは思えない。ちら、と沙都子が岡部を一瞥すると、彼は逃れるように
目をそむけた。

ただ・・・、普通の誘拐犯であるならば人質に対し、同情しているような言い回しだが、
内心ただ面白がっているだけと言うことが多いのだが。

この男の場合は、本当に身代わりにされた沙都子を哀れんでいるように思えた。


だから、あえて沙都子は聞いてみたのである。


 「・・・・・・あなたたちはなぜ麻美さんを誘拐して、さらに身代わりを岡部さんに要求したん
  ですの?」



時雨は答えなかった。まあそれが人質への当然の対応だろうから仕方ないと沙都子は心の中でつぶやいた。





 「子供がかわいそうだからだよ」



 ・・・子供がかわいそう?どういう意味だろう。

かわいそうになるのはお前たちが親から子供を奪ったからじゃないかと沙都子は毒づきたくなる。
しかしこのまま何を言わないことで、時雨の言葉の続きを促す。



 「だってそうだろう?親にいじめられて、あんなこと、こんなこともされて・・・・・・


  休まる時がねえよ」



 (・・・何を、言ってるんですの?)


沙都子には――いや、岡部もだろうが――、この男のいう言葉が理解できない。


 
 
 「親ってもんは子供を自分たちのストレスのあてつけにしか思ってねえってことなんだよ。


  だから俺らが、悪い悪い親から子供をまもってあげて――」



 
 「違う!!」

雄弁に語る時雨をさえぎったのは、岡部の声。



 「そんなこと思ったことなんざねぇ!!俺は麻美を大事にしてる!!


  麻美は・・・・・・、俺の大事な1人娘なんだよ!」


 「宮原・・・」


叫ぶ岡部を横で見ていた沢田は、思い出した。



 ――そういえば。


 大人になって、結婚したらさ。できた子供絶対大事にしようと思ってる。


宮原は、高校時代にそんなことを言っていたような気がする。あの時は先のことを考えすぎではないかと
笑いながらも、未来のことをきちんと考えている宮原が、沢田はうらやましかった。



 もし宮原の心があの時のままなら。


 「・・・そうです!!宮原は、子供を大事にするって言ってたんです!」




思わず叫んでしまった沢田を見て、岡部は驚きながらも、内心少しうれしかった。


 もう10年以上も前のことなのに、俺の言ってたことを覚えてたのか・・・。



 

200:ユリカ マヤ:2013/12/04(水) 23:25 ID:po2

良いですね!引き込まれます!話に!!
続き楽しみにしてます!

201:水梨:2013/12/04(水) 23:57 ID:zVQ

 
 5歳になったばかりの岡部麻美は、友達の家に遊びに行こうとした途中に謎の男たちに車に担ぎ込まれ
て、気づけば薄暗い小屋の中にいた。

 父に助けを求めようとも、もちろん父は自分が誘拐されていることなど知る由もないのであったから、
心細くなり、時には泣き出すこともあった。


 途中で1人の男が自分を見張っているとき、彼はほかの男たちとは違うと感じた麻美は助けを求めようと
したが、やはり自分を助けてくれることなどなかった。


 しかし、いきなり父の声が聞こえたかと思うと、急に見張りの男が走り出した。


 今がチャンスだ。この変な場所から逃げられる。

そう思った麻美は窓がないかどうかを確かめようとあたりを見回したが、薄暗いのだから、光が当たっていない
・・・つまり窓などないという結論にたどり着いた。


 (さっき、パパの声がした・・・)

何としてでも父に会いにいかなければ。いつも麻美は思う。父は自分のことを心配しすぎだと。
母がいないからなのかもしれないが、ほかの自分と同い年くらいの子供の親の話を聞いていると、
そこまで心配されているというわけではないことを知った。

だから、父を心配させてはいけないということをまだ子供の身でありながら、深く心に刻んだのである。



 早く。早く逃げなきゃ。


 「嬢ちゃん」


 「っ!?」

麻美が驚いて振り向くと、そこには自分を攫った男の仲間。


 「そんなに怖がんなよ。おとなしくしてりゃ大丈夫だって。今んとこ」

そういいながら近づいてくる男の姿は、まだ幼き麻美には恐怖の対象でしかない。

いや、小学生や中学生の子供でも自分を攫った相手と一緒にいるのは嫌なはずだ。



 男は無理やり麻美の手を引っ張ると、歩き出した。


 (このひと・・・、麻美をどこにつれてくの?パパのとこだったらいいな・・・)



                       *


 「その、×がかいてある立札がある小屋、まだ見当たらねーな」

刑事を待つことはせず、圭一たちは沙都子捜索を開始していた。


 「てゆーか、そんな変な小屋、雛見沢にあったっけ?」


 「きっとアジト用に、犯人たちが急いでつくりあげたのですよ」

魅音の問いに梨花が答えると、急に羽入が声を上げた。


 「見つけたんですか!?羽入さん!」


詩音をはじめ、皆はどこだどこだとくまなくあたりを探す。

 

 「フンを踏んでしまったのですっ!!せっかくのケチラッション隊用の靴が・・・・・・!」



 「・・・・・・」


 「誰なのですか!もう!こんなところに捨てるなんて・・・」


 「羽入さん、あんた緊張感てもんないんですか」

詩音の声に多少怒りが宿っているのを感じた羽入はぶんぶんぶんと何度も首を横に振り、慌てて
小屋を探し―――


 「・・・・・・あっ!今度こそ見つけたのです!」


 「えっ!?どこかな!?」


あそこなのです、と羽入がさした先は、ぼろぼろだが、少しばかり大き目の小屋であった。


 「よし、みんな行くぜ!!」

皆は圭一を先頭に走り出した。

202:水梨:2013/12/05(木) 00:09 ID:zVQ

その頃の熊谷は・・・。


 「大石さん、やっぱあの子たち、もういませんよ」

熊谷は、岡部家にあった電話をとりあえず借りて、大石に電話することにした。


 『あー・・・。やっぱり?』

 「やっぱりって・・・。大石さん、自分はこれからどうしたら・・・」


 『とりあえず、北条沙都子の居場所がわかりました。×とかかれた立札がある小屋だそうです。

  熊ちゃんは至急、そっちに向かって!私も今そっちに向かうところですんで・・・』


 「×がかいてある立札がある小屋ですね!わかりました、大石さん」

そう言って、熊谷は電話を切った。


 ここまで警察が総動員したのは6月のあの時以来だな、と熊谷は思う。

 
 今度も無事に切り抜けられることを願おう。

203:水梨:2013/12/05(木) 19:54 ID:zVQ

麻美が男に連れられ歩き続けていたら、前の方で言い争っている声がした。

 パパの声だ、と麻美は思い、駆け寄りたかったが、隣の男がそれを許さない。


 男とともに足を進める麻美は、聞いた。


 「そんなこと思ったことなんざねぇ!!」


父が怒っていた声を。普段声をあげることのないおとなしい父が、初めて声を荒げたのだ。

何か嫌なことを言われたのだろうかと彼女は感じ、やはり今すぐにでも父を安心させたくなる。



 「俺は麻美を大事にしてる!!」


 「・・・っ!!」


恥ずかしく思って麻美は胸をおさえた。あんなことを、しかも大きな声で叫んでいるとは。

けれど、自分を思う父の声に、安心したのは確かだったのだ。



 「麻美は・・・・・・、俺の大事な1人娘なんだよ!」


 ・・・ああ。もうだめだ。隣で男が自分を見張っているから、なかなか父のもとへ行けなかった。


 やはり今すぐにでも、父を安心させるべきだったのだ。自分は生きていると。


 

 「パパッ!」


自分を呼ぶ娘の声に、誰かをにらんでいるようだった岡部はハッとこちらを振り向いた。


 「・・・麻美?」




 「パパッ!あさみはここにいるよ!!」



 「・・・・っ!麻美!!!」


何かがきれたように、岡部は走り出した。同時に娘も走り出す。

 早く早く、愛しいわが娘を、この手で抱きしめたい。


 
 ・・・この手で?

一瞬ばかり、娘の小さな手に届きそうになった己の手を止めた。


 何の関係もない少女にシンナーをにおわせ、あまつさえ身代わりにした自らの手で・・・。


 

 今更気がついたのか、こんなことに。彼は自嘲した。



 ・・・もう自分には、娘を抱きしめる資格などどこにもないのだ。


思った瞬間、彼と娘の間に、黒いものがとんだ。


 


 

204:ユリカ マヤ:2013/12/05(木) 22:49 ID:H9w

この後どうなるんですか?
すごい気になります!
水梨さん!色々頑張ってください!

205:水梨:2013/12/06(金) 00:19 ID:zVQ

ちなみに、質問していいですか?

 本編では岡部が娘を助けるために沙都子を人質として身代わりにさせたわけですが、
ユリカさんならどうしますか?

本来岡部はそこまで罪の意識に苛まれなくてもいいんでしょうか?

そして本編。


 黒いものは、2人の間を通り抜け、奥の壁にぶち当たる。

 壁の間にめりこんだそれは、弾丸。



 驚いて沙都子達が弾丸が飛んできた方向を見ると、銃口を彼らに向けた時雨がそこにいた。


 「まだ駄目だって。それ以上動くとこの銃から出てきた弾丸をお前らの体はまともに
  くらうことになるぜ」

見ると、いつの間にか麻美は時雨の仲間の1人に羽交い絞めにされている。
パパ・・・と蚊の鳴くような声で自分を呼ぶ娘を助けてやれることもできない岡部は、声を張り上げる
ことしかできなかったのだ。


 「・・・麻美を返してくれるんじゃなかったんですか!」


今の態度では――やはり、返す気などないだろうとは思いながら岡部は問いかける。


 
 
 「ん?もちろん、いいよ。




  


  っていうわけねぇだろぉぉぉぉぉぉぉぉ!?あひゃあああああひゃひゃひゃああぎゃははははは」


ぐにゃりとゆがんだ笑み。狂ったように笑うそいつは、人ではなく化け物だと、岡部は心の中で毒づいた。



 奥歯をかみしめる岡部に、また沢田も罪悪感に苛まれていた。

 

 やっぱり今でも、臆病だ。沢田は拳をかたくかたく、握りしめる。


   自分の保身のためだけに、仲間を捨てている。手をさしのべることだってできやしないのだ。



 死んだ方がいいな、と思った瞬間、今まで口を開くことのなかった沙都子が声を上げた。



 「一つだけ、お答えくださいまし!さきほどあなたがおっしゃっていた、『かわいそう』
  というのはどういう意味なんですの!??」


 「それ以上口きくなってんだ!!ぶっ殺されてぇか!」

時雨の仲間の1人が威嚇するが、彼女はおびえることなく時雨を見据えた。


 ――そういえば、それはどういう意味なのだろうと沢田も内心つぶやいた。この組とは結構な付き合いだが、
なぜ子供ばかりを攫うのか、彼もあまりよく分かっていないのだ。



銃口を彼女たちに向けたまま、時雨は答えた



 「・・・そのままの意味だ。親のもとで縛られ続ける子供がかわいそうだから。だから俺たちが救って
  やってんだよ。


  ・・・まあ、あまりにも文句言って騒ぎ立てる場合には殺すけど」




なんて残酷な話だろう。親から子供を奪った挙句、最後には殺す。

 沙都子は思わず叫んでしまっていた。



 「なんでそんな、惨いこと・・・・・・!」

 
 「惨い?あのなー、嬢ちゃん。わかってなさそうだから言うけど、


  惨いのは親たちなんだよ」

206:ユリカ マヤ:2013/12/06(金) 00:33 ID:H9w

私だったら、娘の為に差し出している訳ですから、
罪には…ならないかと…思いますよ?

ちなみに、さとこを身代わりにした後、麻美さんが、
帰って来た?としたら、さとこを、
助け出しますね…、多分…。
あやふやですが、こんなんでいいでしょうか?
違ったら書き直しますよ?

207:水梨:2013/12/06(金) 07:22 ID:zVQ

質問の答えありがとうございます!!

やっぱり娘を助けようとしただけなので犯罪にはならないんですよね。

208:ユリカ マヤ:2013/12/06(金) 08:47 ID:UwU

犯罪にはならないと思いますよ
といゆより、
さとこと詩音にはわかって欲しいです!ww

209:水梨:2013/12/06(金) 19:18 ID:zVQ

沙都子は、岡部だけのせいではないと思っている感じです。詩音はまだ少し納得いっていない部分も
あると思います。


 「親は子をストレスのあてつけの対象としかみてねえから」


確かに沙都子や悟史も、北条家だからと村八分にされストレスのたまった叔母に虐待され続けていた。

 けれど。


 「そんな方も確かにいますけれど・・・。みんながみんなそういう人たちばかりではないんですのよ!!」

時々親について毒づくこともある圭一たちだが――、最後には親について笑顔で話しているのを
沙都子は知っている。

いつだったか、セブンスマートで会ったことのある圭一の母だって、圭一の健康にいいものを選ぼうとしていたのを
覚えている。


 レナの父親だって、まだあったことはないが、レナの話を聞いていると、娘思いの優しい父親に思える。


 園崎家の頭首のお魎だって、北条家を村八分にするよう直接指示した人だったから、
沙都子は苦手意識をもっていたのだが、以前園崎家に泊まりに行ったときにいざ話してみると、孫思いの
いいおばあちゃんであることもわかったし、その時に会った魅音たちの母親の茜も、厳しそうな人で
あったが、またやはり娘思いの優しい母親であった。


 「あなたの言うその根拠は、どこからくるんですの!?」

そこが、最も沙都子が、沢田が、岡部が、疑問に思っていたところだった。


そしてぎりぎり聞き取れるかというくらいの小さな声で、彼はつぶやいたのだ。


 俺の経験だ、と。


そして彼は、己の幼き過去を、語りだした。


 「・・・俺の親は、どうしようもねえクズだった」


そして彼の口から語られたのは、あまりに悲惨な過去。


彼の両親は、どちらとも何らかの仕事に就いていた。しかしうまくいかないことが多く、時には
うまくいって上司に褒められることもあったが、一進一退――いや、一進五退という状態だった。

そして仕事に失敗した鬱憤を晴らすかのように、彼らは時雨に「虐待」を繰り返し続けた。

それは、幼き頃――時雨がまだ幼稚園に通っていたころくらいから始まった。

 もちろん幼稚園に母親が迎えに来て、家に入った途端にいきなり頬を殴られたものだから、
何か悪いことをしてしまったのかと母に尋ねると、彼女はこう言い放った。


 
 お前の存在そのものが苛立つ原因になるのだと。

まだ幼い時雨にはそれが何を意味するのかははっきりとわからなかったのだが、とにかく母が自分に
怒っているということしかわからなかった。


だから、帰ってきた父に相談してみようと父を待っていたのだが・・・、

その父ですらおかしくなって、自分をことごとく殴りつけ、痛めつけるようになった。


それは「虐待」と言われるものだと知ったのは、小学校に入って「虐待」について教師に教えてもらった
時であった。

その時には、すでに彼は歯を何本か折られるくらいに殴られ続け、遂にはフンの処理を

「口」で、やらされるようになっていた。


はじめにやらされたときには気持ち悪いと吐いたものだ。それ以来そのことを思い出すたびに吐いたりした。


 だから、虐待について相談するところがあると知った時には、家に帰ってすぐに受話器を手に取り、
その場所へかけようとした。

しかし後ろにいた母にばれて、またしてもことごとく殴られた。
それ以来、自分では届かない場所に電話が置かれるようになり、もう電話ができなくなった。




 

210:水梨:2013/12/06(金) 20:09 ID:zVQ



 ――なぜ、俺だけが。

そう思い、さんざん泣いた日もあった。

しかし、1つのことに気づいた。


 みんなも、自分と同じように両親に虐待をされているのだ。

されているように見えないけれど、明るいけれど、実は影ではみんな親から暴力をうけていて、
隠し通すように言われているから、明るくふるまっているだけなのだと。




 だから、耐えなくてはならないのだ。みんなが耐えているのだから、俺も。




 しかし、事件は起こった。


時雨はある日、友達との罰ゲームで、彼らを自分の家に呼ぶことになったのだ。
家は無理だと言い張ったが、罰ゲームだからという理由で、彼らはそれを許さなかった。


仕方なく家にいた母に了解をもらおうとしたが、どうやらいつもよりさらに虫の居所が悪かったのか、
母は時雨の頭を殴った。

 ・・・しかし、場所が場所だったのだ。

 そこは階段の前。頭を殴られ、バランスを崩した時雨は、階段からまっさかさまに落ちてしまった。



 確か母は自分を心配することもせず、逃げ出したのを覚えている。



 目を覚ますと、そこは病院だった。どうやら遊びに来た友達が自分を見つけて救急車を呼んだらしい。

なぜかドアが開いていて、泥棒でも入ったのかと彼らは驚いていたが、母に殴られたせいで階段から
落ちる羽目になったことを時雨は覚えていた。


 そのあと母と父が自分の病室にやってきた。

その時に全治3ヶ月らしい、と、特に母は悪びれる様子もなく言った。

 そして時雨に小さく耳打ちした。


 「ざぁんねん。あんたがいないと、ストレス発散できなくなっちゃうわ」


 「ケガが治って、お前が家に戻って、また殴れるのを楽しみにしてるよ」



その時、時雨の何かがきれた。



 これが、「親」というものなのか?



 時雨はその場にあった花瓶で、両親の頭をかち割った。

夥しいほどの血は流れ、もう死んでいるというのにそれでも彼はまだ殴り続けた。

今までの恨みを晴らすかのように。


 ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ。


 彼は見つからないように窓から逃走し、姿をくらました。

学校にも行くことをやめ、誰もいなくなった静かな部屋で、ずっとずっと閉じこもっていた。


 ある時、新聞には大きく「父母殺害事件」とあったのを見た。もちろん警察が時雨の家にやってくることは
前々から予測していたので、ほとぼりがおさまるまで姿を消していた。


 食事は、主にコンビニ弁当だった。他の家の子供も自分と同じだったらいいと、願ったこともある。



しかし、ここまで辛い目にあった自分だからこそ、そんなことを願ってはいけないのだ。


 親に虐待されている子供たちを助けなくては。



 そうして時雨は、自分と同じような境遇の仲間を集め、親の魔の手からこどもをまもるために、
奪い取る。そして時々身代金も請求する。子供を傷つけた慰謝料だとでも思えばいい。


 しかし、そうしたあと、必ず子供たちは泣き叫ぶ。

 お父さん、お母さん、と。


 何が不満なんだ虐待されてるんだろ辛いんだろだから俺が救ってやっているのになんでなんで泣いてるんだ


 
 うわぁぁぁぁん、わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。


しかしいつまでたっても、彼らのなき声はやむことはなかった。

 


だから、殺した。

211:ユリカ マヤ:2013/12/06(金) 21:58 ID:3Lo

親、酷いですね…。
水梨さんが作る小説は全部、起承転結が出来ていて、
とても面白いし、引き込まれます!


リレーなんですが、こんなのはどうでしょうか。
誰かが(部活メンバーの誰か一人)が前世の過去?とかで、
何かの祟りを起こして、今にひきづかれて、
部活のメンバーでどうにかするというのはどうでしょうか?
何か、変えたい所や、付け加えたい所があったら、
遠慮なく言ってください!

212:水梨:2013/12/06(金) 22:42 ID:zVQ

 

 ・・・そうして、時雨はさからう子供を殺してしまうようになっていったのだ。

時雨は説明を終えると、一息ついて彼女らに向き直る。

 ・・・時雨の過去は、沙都子たちが想像していたよりも壮絶だった。もちろん、沢田も岡部も、
麻美も、彼の仲間でさえ驚いていた。


 彼がここまでゆがんだ考えをもうようになったのは、彼の過去がそうさせたからなのだと、沙都子たちは
理解する。


 けれど、何かが、違う。聞いていて、沙都子は思う。


 時雨の両親は、確かに酷い人間だ。・・・もし自分であったならば、その時の沙都子ならまた兄に頼り
すがっていたに違いない。



 だけど。


 「それじゃあ・・・・・・、



  ただの人殺しでしてよ!!」




 その科白は、彼の逆鱗に触れるには十分だったようだ。




 「・・・・・・何だって?」


時雨の濁った眼が、沙都子を見据え、それと同時に銃口を、彼女に向けた。

 怖い。肩が震える。目をそらしたい。けれど、自分は間違ってないのだと彼女は思う。

 だから、そらさない。


 

 「あなたは子供を救いたいと思ってるのですわよね!!?」


 
 「もちろん虐待されて、かわいそうだからな」





 「じゃあ・・・。じゃあ・・・・・・。



  『殺す』ことは、あなたにとって『救う』ことなんですの!?」



 「――――っ!!」


本当は時雨だって、わかっていた。自身の行動が、自分の信念と相反していることに。

 けれど、認めたくなかった。自分は親に虐待されていたから、他の子供も虐待されているはずで、

だから自分が救わなければならないと。なのに、彼らは救われて喜ぶどころか、目には大粒の涙を
浮かべ、悲壮な声を上げて泣き叫ぶ。


 結局は、自分の思い通りにならないから、彼らを殺した。

 ならばそれは、もう慈善でもなんでもなくて、ただ自分の不満をあてつけているだけ――。

 
 ――違う!!認めたくない。認められない。



 「なあ、時雨さん」



 「・・・沢田」


沢田直之。こいつは、前回子供を親元に返そうとした不届き者だ。


 ・・・なのに、こいつの方が、俺より正しい・・・?


 
 「俺と、あんたは少し似てるのかもしれねえ。親に愛でてもらえなかったところとかさ。



  ・・・だから結局は、俺も、あんたも、



  

 親に愛してもらいたかっただけなんだよ」





 

213:水梨:2013/12/06(金) 22:46 ID:zVQ

ユリカさんが考えていただいた話、とても面白そうですね!!

 そこで質問があるのですが、前世の過去というのは、今まで梨花たちがループしてきた世界での
ことの話ですか?

 それともループしてた間に起こしていたことではなく、本当に前世(たとえば昔は神的力をもった
 ある国の王子とかお姫様とかだった)みたいな感じでしょうか?

214:水梨:2013/12/06(金) 23:00 ID:zVQ

あ、すいません。「ゆがんだ考えをもつ」でした。「もう」になってました。すみません。

215:水梨:2013/12/06(金) 23:24 ID:zVQ


 「な・・・。は・・・?」



 時雨には理解できなかった。何を言っているんだ?こいつは。

 愛してもらいたかった?親に?

 あの腐った親たちに?



 「・・・っなわけねぇ!!俺を、てめえなんかと一緒にすんなよ!」


否定の言葉を吐き出しても、沢田は彼を、哀れむような眼で見ている気がした。

 
 やめろよ。その眼を・・・ッ!!


今すぐにでも逃げ出したくて、苦し紛れに時雨は沙都子に問う。



 「そ、そうだ。嬢ちゃんだって、本当は、親に虐待されてんだよな?

  親を、憎んでんだよな!?」




 「え・・・・・・」


 ・・・・・・親を憎む?

 沙都子がはっきりと思い出せるのは、叔父や叔母。

 自分たちに暴力をふるっていた、悪い悪い叔父や叔母。




 じゃあ・・・・・・お父さんと、お母さんは?


 彼らのことを思い出そうとするたび、厭な記憶が、彼女を蝕んでいく。


 あれ?お父さんとお母さん・・・。そういえば、なんでいないんですの?


 それは・・・、崖から落ちたから。

 沙都子はなぜかそれを知っていた。自分は車に乗っていたと入江から聞かされたはずなのに。


 じャア、なゼ落チた?



 オトシタノハ、ダレ?





 


 ア・・・。ソウカ。



 フタリヲオトシタノハ、ワタクシ―――――――?





 「ア・・・・・・嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 「!??」

目の前の少女の突然の急変に、時雨をはじめ、岡部や沢田や麻美や時雨の仲間たちも、目を見張った。

 

それは沙都子にとって、忘れてはいけないものだけど、忘れていた記憶。

忘れなければ、彼女の精神は崩壊してしまうかもしれなかったから、だから、脳は、この厭な記憶を、
奥底に封じ込めた。



 ああ。ああ。私は、もしかして
 

 両親を*し―――



 
 ゴッシャァァァァァァァァン!!


何かが、ぶっ飛んだ。


 
 「な、なんだ!?」

時雨の仲間たちが埃が立っている方向を見ると、そこには、いくつもの影。


 そして、影は言い放つ。




 「呼ばれて飛び出て、


  ケチラッション隊参上!!」


 「なのですっ!」


現れたのは、年端もいかぬ少年少女だった。


 

216:ユリカ マヤ:2013/12/07(土) 07:20 ID:3Lo

ループではない方です!
どこかの王子と姫みたいな感じです!
そこで、お願いがあるんですが、
誰にするか(部活メンバーの誰か一人)水梨さんが
決めてもらえないでしょうか。

217:水梨:2013/12/07(土) 10:00 ID:zVQ

私が決めていいんですか!?


 えーと、それじゃあレナでもいいですか?

218:ユリカ マヤ:2013/12/07(土) 13:09 ID:3Lo

分かりました!!
ありがとうございます!決めてくれて!

219:水梨:2013/12/07(土) 17:46 ID:zVQ


 目的地の小屋を見つけた梨花たちは、そこへ向かって走っていこうとしたが、魅音の声に制止される。


 「待って。こうしよう。まず小屋に入ったら、あたしと、圭ちゃんとレナと詩音は、直接攻撃を
  しかける。主に攻める方ね。で、その間に梨花ちゃんと羽入は、沙都子と麻美ちゃんを助け出す!」


おー!と皆は了解の合図を出した後、なぜか懐にあったそれぞれの武器をとりだす。
圭一は金属バット、レナは鉈、魅音はモデルガン、詩音はスタンガンを装備し、
そのまま小屋に向かって一直線に突っ走る!!


 そして小屋の扉が見えたとき、羽入が渾身の蹴りをくらわした。


 「ゴッドアぺプチキック!!」


変な技名をつけて。


何その技名は。梨花が呆れたとき、ゴッシャァァァァァァァァン!と、扉はぶっ飛んだ。

圭一の家の扉がぶっ飛んでいったときにも思ったが、なぜかすごいキック力である。神だからだろうか。


 「な、なんだ!?」


男の声が聞こえた。中に誰かがいるのは間違いなかったようだ。


 

 「呼ばれて飛び出て〜」

いきなり羽入、レナ、魅音、詩音がグリコのポーズをはじめた。


またあの変なポーズをする気だろうか。圭一ですら目を見開いているというのに。



 「ケチラッション隊参上!!」


 「なのですっ!」



 これがアニメであれば、後ろで効果音がなっているかもしれない。

しかしこの状況が、アニメなどではないことを、たとえ戦隊の真似事をしていようとも梨花たちは
理解していた。


 

 「・・・・・・ここに、何の用だ?」

静かな声が響き渡る。たぶん、この男がリーダーだ。梨花は瞬時にそう悟る。


 「決まってる!!沙都子と、麻美ちゃんを取り返しにきたのさ!うちあわせ通りに行くよ!みんな!」


魅音を先頭に、圭一やレナ、詩音は武器を持って、梨花は沙都子を探し、羽入は麻美を探すため、走り出した。



 同時に、リーダーの男も行け、と仲間らしき男たちに合図する。


 そして彼らもとげのついた棒を持って、圭一たちに襲い掛かる。


 うおおおおおお!と雄叫びをあげ、まず向かってくる敵に、圭一は金属バットを一閃し、彼らの肩を狙い、

たたきつけた。


 「い・・・っ、てぇぇぇ!」


 「ぎゃあああああ!」


別の方向でも、男たちの悲鳴が聞こえる。梨花たちが見ると、

 レナが容赦なく、鉈で彼らの腹を捻じ曲げる勢いで横からたたきつける。

 
 「峰打ちだよ、だよ!」


どこかの侍が言いそうな台詞である。


 

 そして、別方向では、また男たちがうっ、と呻き声をあげ、次々と倒れていった。



 魅音の必殺技、空気投げ。山狗の隊長、小此木と戦いで見せた彼女の強さは、部活の部長で、
園崎家次期頭首という立場であるだけ、相当なものであった。それが今再び、片鱗を見せたのだ。


 一方、詩音も普段は護衛用として装備しているスタンガンで、向かってくる男たちを攻撃し、
次々に倒していく。


そのおかげで、梨花と羽入が進む道に邪魔が入ることはない。

だから、早く沙都子を、麻美を見つけ、保護しなくてはならないのだ。


 

男たちが倒れる中、梨花や羽入は必死に2人を探す。


その中で、麻美を誘拐したはずの一味であろう男が見えた。しかし彼は、自分たちと戦うことなく、
ただ茫然と目に見える光景を眺めているようにしか見えない。


すると、味方が次々とやられ、形勢がまずいと判断したらしいリーダーの男が彼に気づき、
何やってんだ!沢田!と声を荒げる。

どうやら止まっていた男は沢田というらしい。彼はびくっと肩を震わせるが、他の仲間と同じように
自分たちに攻撃を仕掛けようとしない。


 圭一たちの強さに怖気づいたのだろうか?そうなるのも無理はないわね、と梨花は思う。


彼らはまだ中学生という子供でありながら、大人の男にひるむことなく、攻めていく。

そして普段の部活で鍛えられたこともあり、体力的にも知力的にも、結構なものだろう。



 そしてよく見ると、岡部がいた。彼も、自分たちが来たのをチャンスとしたらしく、娘を取り返そうと
向かってくる敵を殴っている。

会ったときはひ弱そうな男に見えたのに、意外とけんかもできるのか。



 

220:水梨:2013/12/07(土) 18:37 ID:zVQ

明日またテストです・・・。


 まあそのようなことは気にしていても仕方がない。梨花が向かうべきは、彼女の愛しい親友、沙都子なのだ。
ふと隣を見ると、羽入はいなかった。違う方向に麻美を探しに行ったのだろう。

 「沙都子!!沙都子!!」

自分があの時沙都子の存在がなかったことに気がついていれば。

沙都子は人質になど、されなかったかもしれない。

けれども、岡部だって、娘をまもろうとしてやったこと。それがわかっているから、一概に岡部を
責めることはできない。


 そして、必死に彼女を探す梨花の目に入ったのは、蹲って、全身を震わせている沙都子。


 
 「沙都子!!」


 怖いことでもあったのだろうか。いや、人質になどされたら、誰だって恐怖心はあるに違いない。


 「大丈夫なのですか!??」


梨花は駆け寄り、彼女を安心させようと抱きしめる。


 ・・・しかし、沙都子はいまだ震えたままだ。


 「沙都子!大丈夫ですよ!ボクはここにいますですよ!」

抱きしめただけではおびえる彼女に何も伝わらなかったなら、言葉で彼女を安心させよう。


 すると、殺した・・・という穏やかではない言葉が沙都子の唇から紡がれる。


 「!?」


 まさか、誰かが目の前で殺されたのだろうか。・・・麻美が?いや、まさか。

背中に伝わる冷や汗を梨花は感じながら、沙都子をさらに抱きしめる。


 「私が・・・・・・、お父さんと、お母さんを・・・、ころした・・・」


 
 「―――っ沙都子!」

まずい。梨花は懐を探る。雛見沢症候群をL3までに引き戻す薬、C120を出すためだ。

C120は注射器の中に入っているため、優しく刺さなければ沙都子が痛みに叫びだすだろう。

沙都子は雛見沢症候群で両親が自分を殺そうとしていると疑心暗鬼になり、彼らを殺してしまったのだ。

だから、両親のことを思い出せば、それは雛見沢症候群発症につながる。


梨花はC120を出して、沙都子の腕に優しく刺した。



すると彼女は、張りつめていた何かが途切れたように、梨花の腕の中に身を任せた。

 見ると彼女は寝息を立てている。

 ――どうやら、眠ったようだ。


 よかった。沙都子が無事で。

不安だった。ずっと。死んでしまったらどうしようと。

 怖かった。やっと手に入れた皆が幸せなこの世界。崩れていくのは今の梨花にはもう耐えられない。


 (さあ、今度は麻美を探さないとね)

梨花は眠ってしまった沙都子を支えて、ゆっくりと立ち、後ろへ振り返った。




 「梨花ちゃん!!危ない!」



 圭一の声が聞こえたとともに、彼女の目の前に、黒いものが向かってきていた。


 
 それは、弾丸。



あたれば大量出血死するだろう。



 あ・・・。


 
 こわ、い。


 たすけて・・・。

221:黒猫P 907:2013/12/07(土) 21:54 ID:PPg

163の続き書きます

「沙都子っ・・」
「圭一さん・・
 何でこんなことを?」
「こっ・・こいつが悪い
 こいつがいなければ親父は、お母さんは死ななかった―!」
圭一さん
そんなために?
許せない
許セナイ
殺シテヤル
「圭一さん?」
「このこと言うなよっ・・」
「親と同じ所へ連れて行ってあげますわ。」
「え?」
私は包丁を持った

222:水梨:2013/12/07(土) 21:57 ID:zVQ

黒猫Pさん久しぶりですね!もと東方大好き☆さんですよね?


続き見れてよかったです!

でもなぜ圭一は梨花のせいで両親が死んだと言ってるのでしょうか・・・。

そのへん気になります!

223:黒猫P 907:2013/12/07(土) 21:59 ID:PPg

梨花の体からとったもの
「え?」
「しになさい」
「あっ・・」
グチュ
気持ち悪い音が鳴る
「あぐっ・・
 沙都子っ・・」
早く死んだらいいのに
もう一回刺した
グチュ
「げほっ・・
 助け・・て」
ドサリ
圭一が倒れた
隠さなきゃ
梨花も・・

224:黒猫P 907:2013/12/07(土) 22:05 ID:PPg

よく思えば
梨花は、オヤシロ様の生まれ変わり・・
だからですわね・・

私は、川にやってきた
圭一さんの死体と梨花の死体を落とした
これで帰れば・・
『あなたも死になさい』
「え?」
ドン
誰かに押されました
「これが私の罪の償い方ですわね・・。」
私も川の中に入った
(ごめんなさい
圭一さん
にーにー)
私の意識が遠くなっていった。

225:黒猫P 907:2013/12/07(土) 22:10 ID:PPg

次の日
「はうー」
レナの元気な声が聞こえた。
「レナッ、早く治ってよかったね。」
魅音が笑った。
ガラ
「おはようございます
 今日は帰ってください。」
「え?」
「梨花さんと沙都子さんと圭一さんがいなくなりました。」
「圭一君・・」
「圭ちゃん・・。」

226:水梨:2013/12/07(土) 22:37 ID:zVQ

あなたも死になさいって言ったのは羽入ですか?

227:ユリカ マヤ:2013/12/08(日) 09:41 ID:3Lo

黒猫Pさん、面白いです!
二人共、上手です!
水梨さん、テスト頑張ってください!

228:黒猫P 907:2013/12/08(日) 19:06 ID:PPg

226
ハイ!

229:水梨:2013/12/08(日) 20:17 ID:zVQ

テスト終わりましたああああ!続き行きます。


 でも、沙都子だけはまもらなければ。


 けれど、このまま死ぬのは嫌だ―――!




梨花が目をつぶったその瞬間。



弾丸が、梨花の体を貫いた―――






はずであった。



 いつまでたっても痛みは襲ってこなかった。





銃弾が消えてしまったのだろうか?いや、まさかね――

そう思い、おそるおそる彼女は目を開けた。




 そして、彼女の見た光景。







 それは、岡部が、ぐったりと地面に寝転んでいる姿。


 ――いや、ちがう。


 腹から夥しい血を出して、彼は倒れていたのだ。その顔は激痛にゆがんでいる。





 「―――――岡部!!?」


なぜ。どうして。本来なら、今、激痛に苦しみ、蹲るのは自分のはず。


 
・・・まさか、私をかばったというの・・・?


 「宮原!!」

すると、沢田が焦りを含んだ顔で岡部に駆け寄る。


 岡部と沢田は知り合いか何かなのだろうか?そして彼を宮原と呼んだのはどういうことなのか、
今の梨花にはわからない。

しかし、今はそんなことを気にしている場合ではないのだ。


 流れている血を止血するにはどうすればいいんだっけ。

わからないわからないわからない!

こんな時に限ってなぜ頭が回らないのだろう、と梨花は自分自身に苛立つ。



 
 「・・・・・・パ、パパ?」


彼の娘、麻美が目を見開いている。何が起こったのか理解できていないらしい。

しかし、彼の様子がおかしいことだけは感じ取っているようだ。
今すぐにでも沢田のように駆け寄りたいが、自分を拘束する男の力にさえぎられてできない。



その中で、うおおおおおお!!と声をあげて、梨花を撃とうとし、結果的に岡部を撃った人間――
リーダーの男に向かって、金属バットをふりかぶる圭一。


 「!?」

不意を突かれ、男は無抵抗状態になる。


 ガキィィィン!と音をたてたそれは、銃を持っていた男の腕に炸裂した。



 「ギャアアアアアア!イタイイタイィィィィ!」

痛みに男が手放した銃を、圭一はさっと奪い取った。

転げまわる男に、圭一は言い放つ。

 
 「これは岡部さんの痛みだ!!」


そういって、急いで岡部に駆け寄る圭一に、ついていくレナたち。



 「大丈夫ですか、時雨さん!!」


リーダーの男――時雨に、その仲間たちも慌てて駆け寄った。




 さすがに自分を拘束している男もボスのケガに動揺しているらしく、その力が弱まっていることを
知った麻美は、すぐに父のもとへ行こうと振り切って走り出した。


 「・・・っ!このガキ!」

彼女を殴って動きを止めようと、男は拳を振り上げた。



 「・・・・・・!?」

しかし彼が自分の振り上げた右腕に、違和感を感じたのはすぐのこと。


 (なんだ・・・!?



  右腕が・・・、石みてえに動かねえ!!)


驚いて自分の腕を見ようとすると、前に角の生えた少女が立っているのが見えた。

 

230:水梨:2013/12/08(日) 20:19 ID:zVQ

黒猫Pさん、やっぱり羽入でしたか!

羽入の神モードいいですね・・・。

231:黒猫P 907:2013/12/08(日) 20:21 ID:PPg

230
大好きです!

232:水梨:2013/12/08(日) 21:29 ID:zVQ

羽入のオヤシロモードかきたい・・・。

と思った妄想の産物がこれです。



 「まさか・・・・・・てめぇが・・・!?」

年端もいかぬこの小さき少女が、大人の男の腕を、触れることなく止めているというのか。


 「・・・・・・」


麻美が父のもとにいったのを確認した羽入は、視線を地面に落とす。


そのとたん男は、石のような腕が軽くなったのを感じた。



 「・・・!これは・・・、てめえがやったのか!!?」


男の顔が恐怖に歪む。


 これは、自分への「畏れ」だと、羽入は認識してきた。


昔、鬼ヶ淵村にて、頭に角が生えているという異形の姿をした羽入を村人は畏れていた。



 だから彼らは、羽入が古手神社の神主と結婚し、子供を授かった時に、血が流れた罪を許せなかった
のだ。 


そして罪を自らが背負うため、娘の桜花にわが身を討たせたのであったが・・・。



 だから今でも、羽入は人に恐れられることを拒む。



男の問いには、あえて答えない。答えてどうなるというのだ。


 「答えろよ!」


ここで時間を食っていても仕方がない。早く岡部のもとへ行かなければならないのだ。


 羽入は何も答えずに、そのまま行こうとする。



 「答えろよ!バケモノ!」



 「・・・・・・っ!!」


「バケモノ」。それは、羽入が最も人間に言われるのを恐れている言葉。


だってあの時――自分を********と言った人間たちを思い出してしまうからだ。



 けれど、羽入は思い出す。前回のカケラで、圭一たちが言ってくれたこと。



 
 「僕は・・・。僕は、バケモノじゃない。人です。


  この世に生きるみんなと同じ・・・!」


そう言って、羽入は梨花たちのもとへと向かおうと、後ろを振り向き、走り出す。


――が、一瞬振り返る。腕の痛みに倒れる時雨、心配する仲間たち、自分を恐れる男・・・。

彼らを一瞥して、圭一たちにこっぴどく痛めつけられた今なら攻撃はしてできないだろうとふんだ
羽入は、今度こそ梨花たちのもとへ向かう。

233:水梨:2013/12/10(火) 22:36 ID:zVQ



 「パパ!」

麻美が男の拘束を逃れたらしく、よろけそうになりながらも、父のもとに走ってきた。

今、自分の父がどういうことになっているのか。幼い麻美が感じ取ったことは、このままでは
父がいなくなるかもしれないということ。


 「パパ!パパ!」

麻美は必死に呼びかける。まだ撃たれた腹から出続ける岡部の血は、彼の生気を奪っていくよう。




 「あ・・・さみ・・・。ゲホッ!・・・ご、めん・・・。こん、な・・・おやで・・・」

先ほどレナが懐に忍ばせておいたタオルで岡部の血を押さえているが、それでも止まらない。
また、魅音は急いで入江を呼ぶために診療所に駆け込んでいった。


 ――このまま血を流し続けることになれば、岡部は死んでしまうだろう。



 「・・・・・・なんで、ボクたちをかばったのですか」

震えるような小さな声で、梨花は問うた。


なぜわざわざあんなことを。あんなことをしなければ、撃たれることだってなかったし、
娘が悲しまなくてすむのに。


だからと言って、彼がかばってくれなければ梨花がお陀仏になっていたかもしれない。
死にたくなかった。幸せなこの世界を、ずっと生きたいと思っていたから。


けれど自分の代わりに誰かがこんなことになってほしいなんて、全然、思わなかったのに――。






 

 よほど痛むのか、顔をゆがませながら彼は答えた。



 
 「・・・罪、ほろぼ・・・しだよ」



罪滅ぼし。それは――。



 「沙都子・・・ちゃん、だっけ。その子に・・・・・・は、償っ・・・ても、償えない・・・ゲホッ、
  くらい、迷惑を・・・か、けた・・・。



  それ・・・で、あんたらにも・・・、き、けんな目に・・・あわせ、ることに、
  なっちまって・・・」

岡部の息は、だんだん息が荒くなっていく。


 あなたが、そこまで罪を感じることはないはずなのに、と梨花は思う。

人質にされた沙都子本人でないから言えないけれど、きっと彼女だって、岡部がすべての罪を
背負わなければいけないなんてことはないと思っているはずなのだ。

それに、これ以上しゃべったら―――。




 「・・・もう、いいですよ!!」

今まで口を閉ざしていた詩音の声。


詩音はまだ沙都子を人質にしたことを怒っているのだろうか。


 
――そりゃあ、詩音にとって、沙都子は妹のようなものだから、激昂するのもわからないではないけれど。



 詩音、と梨花が声をかけようとしたが、先に彼女にさえぎられた。 
 

234:ユリカ マヤ:2013/12/10(火) 23:17 ID:hhs

感動的な話で、
私こうゆう感じの小説大好きです!
続きを楽しみにしてます!!

235:水梨:2013/12/11(水) 15:32 ID:zVQ

息抜き小説。2chスレ風にかきます。

今日の国語の文法のプリントの接続詞の例文にあったもの。

 知恵「今日は文法の接続詞を勉強します」


 魅音「わけがわからないよ」


 圭一「文法なら勉強したしたぶん覚えてるだろ」


 レナ「接続詞ってわかりやすいよね」


 沙都子「こんなの絶対おかしいですわ!」

 
 梨花「にぱ〜」

 
 羽入「僕はしっかり予習済みなのです♪」

 
 富田「ああこれから僕はどうやって生きていけばいいんだ」

 
 岡村「梨花ちゃんに告白したい」


 


生徒たちのさまざまな思惑が混じる中、プリントは配られた。


 


 そして生徒たちの目に入った、対比・選択の接続詞。

その例となる文章。



 『指輪にしますか?それとも、


  首輪にしますか?』




 生徒全員(・・・・・・・・・・・・)

236:水梨:2013/12/11(水) 17:39 ID:zVQ


 
 「今は・・・。謝らなくたっていいです!!そのかわり・・・っ、




  絶対に死なないでください!!

  生きて・・・、生きて、後で沙都子にちゃんと謝ってくれれば、私も許してあげますから!

  だから・・・、今死なれたら困るんですよ!」



ああ。そうか。詩音はもう、彼のことを怒ってはいない。

先ほどまでは彼が何の関係もない沙都子を人質にしたことに、憎んでいるほど腹をたてていたように
梨花には思えた。

けれど、実際に梨花や沙都子を身を挺して庇い、今なお、謝罪の言葉を綴ろうとしている――。

そんな彼を、詩音だって赦したくなったのかもしれない。そう思うと、自然と笑みがこぼれる。
圭一やレナを見ると、2人も自分と同じらしい。魅音にも詩音が言ったことを伝えれば、きっと、
よかったと笑うに違いない。


岡部はうすく笑って、ごめん、と一言つぶやいた。


 その「ごめん」という言葉には、何の意味が含まれていたのか、その時の梨花には
わからなかった。



 「・・・沢田」

ふと、岡部は仲間に向き直った。


 「・・・みっ、みや、はらあ・・・」


沢田の目は、大粒の涙であふれていた。

男なのになさけねえな、ととぎれとぎれに言って、岡部は笑った。


 「今の・・・お、れは・・・。岡部、だって・・・の、に・・・」

 ――ああ、宮原だ。やっぱり、こいつは、俺を励ましてくれたあのころと、
何も変わっちゃいねえや。

沢田は、思う。時が過ぎても、姿形が変わったとしても、きっと変わらないものがあると。


 ここまで情けなく堕ちてしまった自分だって、宮原が「仲間」だと思えることに、変わりはなかった。
そして、今も、ずっと。



 ・・・やはり、この2人は知り合いなのだろうか?
笑いあう2人を見て、また梨花は思った。

麻美を誘拐した一味の仲間である沢田と、麻美の父である岡部。


・・・学生時代の友人・・・、いや、親友だろうか。



 「・・・でさ、さわ、だ・・・」


 「ん?」



 「俺たち・・・さ。・・・いや、俺だ・・・け、かもしれ・・・ねえけど・・・。


  俺は・・・おま、えを・・・、



  『仲間』だ・・・って思ってる」



 

237:水梨:2013/12/11(水) 18:57 ID:zVQ



 ・・・仲間。宮原が・・・?


また彼に、男なのに情けないと笑われても、それでも沢田は、あふれるあたたかいそれを、
おさえることができなかった。


 ――自分だけだと、思っていた。

 こんなに臆病な自分を、小さいころから何もせず、ただ逃げ出した自分を、

 東京で、保身のためだけに、直接己の手を血で染めてないとはいえ、たくさんたくさん、酷いことをした自分を、
 ―――彼の大事な1人娘の誘拐に加担してしまった自分を、
 

 まだ、宮原は、


 「仲間」だと、言ってくれるのか―――。



 
「仲間」。

それは梨花たちにも通じるものであった。

あの6月の奇跡―――それは、仲間を信じ、協力し合ったからこその結果だった。


 


 
 仲間という名の家族。罪滅し編と名付けた世界で、沙都子が、自分たち部活メンバーのことをそう言っていた。



 そして、圭一がレナを救えたのも、皆殺し編で絶対不可能だと思っていた沙都子救出もはじめて成し遂げた。



 それもこれも、みんな「仲間」を通してのことだ。


梨花が世界(カケラ)たちに思いをはせていると、いつの間にか羽入が横にやってきていた。

彼女もまた、梨花たちと同じように黙って彼らの話を聞いていた。



  
 
 「パパとこのおじさんは、おともだちなの?」



 その中で、彼らの会話の内容から、麻美が疑問を口にした。

自分が助けてほしいと目で訴えても助けてくれることはなかった沢田に、陶然のことなのだが、麻美は、
怖い印象を抱いていた。

 しかし、父を本気で心配し、彼を思って涙を流す彼の姿は、自分の作り上げた像とは違っていた。

238:水梨:2013/12/11(水) 23:18 ID:zVQ

すみません。当然が陶然になってました。


 tips「心配する親」


熊谷と合流した大石たちは、パトカーに乗って、×印の書かれた札がある小屋を探していた。

 それがなかなか見つからないのだ。

 何せ暗い。ぶっちゃけもう夜であった。

 ふと時計を見ると午後8時。


 そろそろ彼らの親に連絡を入れないと、心配するだろう。

なぜもっと早くに入れなかったかというと、小屋捜索の方に夢中で、すっかり頭の中から抜け落ちていた
からである。


 何たる失態だ。大石は頭を抱える。そろそろ興宮警察署に捜索願いが出されているころだろう。



 そのころ、興宮警察署。


 そこに所属している1人の刑事、美作大地<みまさかだいち>(24)が、なり続ける電話の受話器を取った。


 「はい。興宮警察署で――」


 
 『ちょっと大石の旦那ァ!!うちの娘たちをどこにやったんだい!!』


 「!?」


――誰だまったく!美作(独身)は、耳に直接響いた大きな声に心の中で毒づく。


 そして、自分は大石ではない。


 「す、すみません。私は大石ではなく、美作といいまして・・・」


 『あらやだ!大石の旦那じゃなかったのかい?こりゃ失礼だったね』


電話の向こうから聞こえる声は女のようだが・・・。いったい誰なのだろうか。


 『私は園崎茜。あんたも知ってるだろ?』


 ――園崎茜。最近、この村に引っ越して警察署に入ったばかりの美作には、園崎家が御三家のうちで
一番権力をもっているということしか知らなかった。


 「・・・んで、その、園崎さんが何の用ですか?」


 『さっきも言ったさね。うちの娘たちを知らないかって。まだ帰ってきてないんだよ』


 娘たち?美作(最近白髪が見つかった)は頭を巡らせた。確か今大石と熊谷が少女救出に向かっているというが・・・、
その少女のことだろうか?


 「え、え〜と・・・。あの、小屋にいるとか何とか・・・」


 『小屋ァ!?』

 (なんかこの人声でかっ)


 『そんなとこで何やってんのかねぇ、あいつら・・・』

誘拐された、なんて言えばまだまだ自分は電話越しの女に質問攻めにあうかもしれない。


ああ、助けてくれ。大石さん。 

239:水梨:2013/12/12(木) 17:48 ID:zVQ

いきなり質問です!ひぐらし1期のed「why or why not」の歌詞は、誰のことについて歌ってる
ものだと思いますか?

240:ユリカ マヤ:2013/12/13(金) 22:13 ID:zq.

最近、来れなくてすみません!

質問ですが、
opですよね!多分、梨花ではないかと…。
英語を書き解いたんですが、
(日本語で書きます!)
『意味のない惨劇の中で……』や、『幸福になる為に私は出来る限りの事をした』、
とかって『梨花しかいないかな〜』って思ったので。

それと最近、来れない理由何ですか、pcで投稿?していて最近、親に
『pcはもう、禁止!』
と怒られて3DSで投稿してたんですが、
それも親に怒られて使うのが禁止になってしまいました。
今は私以外、皆出かけていて出来るんですが、
見つかると怒られるんで、皆が居ない時しか出来なさそうです、すみません! 
それか禁止令がなくなるか、3DSを返しもらうかのどっちかなので、
皆がまた居なくなるまで出来そうにないんで、
その時、また会いましょう!それまで待っていてください!

241:水梨:2013/12/13(金) 22:39 ID:zVQ

え!?パソコン禁止されっちゃったんですか!?そんなことされたら私もう一日やる気なくなっちゃいますよ
・・・。

 それと、質問の答えありがとうございます!やっぱり梨花っぽいですよね。

最近あの曲の深さにあらためて気づかされました。

242:水梨:2013/12/13(金) 22:40 ID:zVQ

さっそく誤字やってました。されっちゃったとかになってましたね。すみません。

243:水梨:2013/12/15(日) 21:18 ID:zVQ



 「・・・ともだち、じゃないんだ。麻美」


 「・・・?」


 

 「『仲間』・・・・・・な、んだよ」


 「友達」と「仲間」の違い――。それは幼い麻美にはまだ分かり難いことであったが、
とにかく父と沢田は・・・信頼しあっていることだけはわかる。
だから、彼らの思うままに・・・。



 「だから・・・、たの、んで、いい・・・か?・・・ゲホッ、ゲハアア!!」


地面に吹き飛ぶ岡部の吐血。

 ・・・本当に、そろそろまずいわよ。これ。

梨花は見ていて心臓の鼓動がはやくなるのがわかった。

まだ話せるくらいだから、少しは余裕ができたのかと思った自分を情けなく思う。

レナは少しでもタオルで出血を押えているが・・・、彼女によく似合う薄桃色のタオルは、
今やすべては赤く染まりつつある。


 「パパ!」



 「・・・ッ!なんだ?沢田!・・・俺にできることなら、なんだって・・・!」


同じようにだんだん岡部の容態が危うくなっているのを確信すると、少しでも安心させようと、
彼の手をかたく握る。


 
 「・・・・・・あ、さみを・・・。



  俺の、かわ、りに・・・
  
  育て、て・・・やって、くれね・・・えかな」



 「!!」



彼の言った言葉が何をあらわすか・・・もちろん沢田にも、圭一たちにも、梨花にも、わかっていた。

 自分にできることなら何でもすると言った。けれど、これは―――。



 「じゃああなたは麻美ちゃんを捨てるんですか」


レナが言い放ったその一言。それは岡部の胸に深く突き刺さる。麻美自身も、
そういう意味だったのかと思ったらしく、そうなの・・・?と嗚咽の混じった声で尋ねる。



 「・・・捨て、るつも、りは・・・ない!!」

麻美は大事な岡部の娘。彼女をまもることは、自分の父の経験から自ら、そして妻の由美と約束したことだった。

だから、何としてでもまもらなければならないのに。


 それでも俺は、もう―――。




 悩んだ時には仲間に相談する――

その言葉を、レナは反芻していた。

いつかどこかの世界で、今はもう誰かすらもわからない人に言われた言葉。

それは、今でもレナの心に深くしみていた。

だから、岡部が仲間である沢田を信頼して、娘を預けようとしているのはわかる。



 でも―――。



 「でも・・・それじゃあ・・・っ!残された麻美ちゃんはどうなるんですか!!


  たった1人の親を亡くしてしまったら、麻美ちゃんはこれからどうやって生きていけば
  いいんですか!?」


レナ自身、父が間宮リナ――本名は間宮律子だったか――に、カモにされ、彼女に裏切られて後悔することに
なってほしくなかったから、何とか父をまもろうとした。


 母はもういない。いなくなってしまった。


 それに父を悲しませたのはほかでもない自分自身だと、レナは心に刻み付けていた。


 だから、父がこれ以上不幸にならないように。

そして、彼女も父が殺されるようなことがあったなら、幸せではなくなってしまうだろう。
 


  仲間はいる。だけど、自分をここまで育て上げたのは親だ。

彼らを失うことがどれだけ心が引き裂かれるように感じるか。




 「だ・・・から、こう、して・・・沢田に、たの、んでる・・・んだ」

244:ユリカ マヤ:2013/12/23(月) 15:33 ID:6Fs

お久しぶりです!!!
私が真剣に勉強をやっているマネを一週間ぐらい、
したらpcとゲーム機を返してくれました♪
私の親、軽っ!w
って事でまたよろしくお願いします!

245:ユリカ マヤ:2013/12/23(月) 15:35 ID:6Fs

↑半分、親に反抗してましたw

246:水梨:2013/12/23(月) 22:38 ID:zVQ

よかったですね!!私は今までいとこの家に泊まってました。

超久しぶりに明日くらいにひぐらしかきます。最近まどマギばっかですww

247:水梨:2013/12/24(火) 20:53 ID:zVQ



 「・・・あんた自身が生きて、麻美ちゃんの父親でいる気はないんですか」

沈黙する中、言い放ったのは圭一だった。うっすらと開いた眼を、岡部は彼に向けた。


彼の言いたいことも、自分たちと同じだと梨花たちは思う。それはつまり。


 「・・・詩音もレナも、もちろん俺も、あんたに生きててほしいって思ってる」


 「あさ、みの・・・。父であり・・・たい。それ、は・・・。何が、あっても・・・。
  かわ、らねえけど・・・。



  おれ、は・・・。罪を・・・」



――まだ、彼は自分を許せないでいる。

 
 「・・・あのさ、岡部さん。知ってますか。




  罪は、償えることを」


 「・・・?」

岡部は、うっすらと開けていた眼を大きく開けた。




 「罪は、償いをしたらそれで終わりなんです」


いつかどこかで誰かが自分に言ってくれたような気がするそれは、今の圭一にも通じることだ。

雛見沢村に来る前の自分のやったあの出来事は、償えただろうか・・・。


 「岡部さんは確かに麻美ちゃんを助けるためとはいえ、沙都子を犠牲にしようとしました」


 「・・・・・・」




 「・・・でも、守って、くれた。沙都子や、梨花ちゃんを。あんた自身が身を挺して・・・。



  さっき岡部さん、言ってたよな。これは『罪滅ぼし』だって」

いったん言葉を切ると、梨花たちに向き直った。



 「みんなは・・・・・・。岡部さんを許せねえか?」




  


  

248:水梨:2013/12/24(火) 23:17 ID:zVQ




 そんなことは、決まっている。だから梨花は何度でも言う。ずっと先ほどから自ら反芻していた言葉を。


 赦しのコトバを。



 「もちろんなのです。ボクは、岡部を許してあげます。


  十分、ボクたちに――沙都子に、罪を償ったと思いますです」




 「・・・梨花ちゃまの言う通りです。・・・さっきはああ言いましたけど」


 ――沙都子に後でちゃんと謝ってくれれば、私も許してあげますから――



あれはあくまで、生きるための目的を一つでも持たせたいという、詩音なりの思いやりであった。

だから本当は、梨花の話を聞いたときから、そして――沙都子たちを庇って、自分も彼を許そうと思っていた。


 
 「私も、あなたのこと怒ってなんかいませんから・・・」



 「そうです。だから・・・っ、もっと、あなたの父親としての愛情を、もっともっと、
  麻美ちゃんに、あげてください!」


 「あなたはもう、苦しまなくてもいいのですよ」




 (詩音・・・。レナ・・・。羽入・・・)


やはり3人だって、怒っていなかった。それを聞いて安心した圭一は、再び彼に向き直る。



 「・・・だそうだぜ?岡部さん。みんな、あんたを許すって。


  ・・・俺も、別にあんたに怒ってたわけじゃねぇしな。俺も許すよ」




 「・・・・・・っ!!」


何て心の優しい子たちだろうか。とまりかけたと思っていたまたとめどなく流れ続ける。


 こんな自分を、赦すと――。



岡部の表情が少しだけ和らいだのを見た沢田も、肩の力が少し抜けるのを感じる。


 ――ああ、そうだ。宮原は、こんなにも罪を償おうとしている。

 まだやり直せるよ。お前は。


 だから・・・・・・・・・。もうやり直せない俺に、彼女を預けようとするのは、お前の間違いだ。




 やはり宮原は、変わらなかった。沢田の心も、変わらなかった。



 だが――やってしまった罪ですらも、変えることはできなかった。


 なかったことになんて――できなかった。


宮原はまだ、誘拐した女の子が死んだわけではないから、やり直せる。


 でも俺は――もう、たくさんの人間を、見殺しにしてしまった。


 



  

249:ユリカ マヤ:2013/12/25(水) 14:23 ID:ySo

水梨さん!やっぱり、凄い上手です!
感動しました!
私も負けられないです!ww

250:水梨:2013/12/25(水) 17:25 ID:zVQ

ユリカさんありがとうございます!これはもうすぐ終わりますが、私自身どうしたらいいかわからない
展開になります。


 「そ、れ・・・でも。俺、は・・・、麻美を・・・ゲホッ、たす、けるため・・・なら、
  そこの子が、殺されて・・・も、かまわ、な、いって・・・おも、った・・・。


  だから・・・・・・」


まだ・・・この男は自分を責めようとするのか。梨花は歯噛みするような思いになる。


自分や沙都子を助けてくれた。自身でもこんなに沙都子を人質にしたことを悔やんでいる。


圭一たちや、自分も岡部を赦した。


 それなのに・・・。どうして・・・。



 「わかりました」

皆が沈黙する中、羽入が小さいがよく通る声を発した。


彼女は懐に手を入れ、銀色に光るそれをとりだした。



 「・・・・・・!?何するつもりよ羽入!」

梨花や皆が目を見開いたのも無理はなかった。


羽入が取り出したものは――


 ナイフであった。


鋭利なそれは、いともたやすく生きるものの体を傷つける。



 「・・・そこまで自らの罪を悔やんでいるのなら、いっそ死んだ方があなたとしても
  これ以上罪の意識に苛まれなくてもすむでしょう」



そして羽入は、すっと、とがった先を岡部の体につきつける。


 「何やってんだ羽入!」


 「やめて羽入ちゃん!落ち着いて!」


 「あんた正気ですか!これ以上刺したら本当に岡部さんは・・・」


 「バカ羽入っ!」

圭一、レナ、詩音、そして梨花が羽入を取り押さえ、彼女の動きを封じようとする。



 ・・・しかし彼女は神。人間であろうとも昔はそういう存在だった。

 だから、彼女は今彼女の持てる力を使い、自分を取り押さえる梨花たちを振り払った。


羽入から光が放たれ、あっという間に梨花たちは突き飛ばされた。



 そして、岡部をまもれる距離にいるのは・・・彼の娘である麻美と、彼の「仲間」である沢田。


岡部自身は、動く力もなく、抵抗できない。


 ならば・・・。


 「やめてよ!どうしてこんなことするの!パパは悪くないもん!麻美を助けようとしてくれた
  だけだもん!!」



 武器を持った相手に立ち向かうのは、麻美にとって初めてのことだ。もちろん彼女は今すぐ逃げ出したかった。


 それでも、父は少女たちをまもっていた。自分がこんなに血だらけになるとわかっていて。


 「・・・それでも、彼があなたを助けるために、1人の少女を犠牲にしようとしたことは
  事実ですよ。罪は、消えないのです」


 「・・・でもみんな、お兄ちゃんたちは、ゆるしてくれてたよ!おともだちのさわださんだって、
  パパのこと怒ってなんかないよね!?」


 泣きながら訴える少女に、沢田は心打たれた。


自分よりあどけない少女がこうやって立ち向かっているというのに、自分が今ここではっきりさせなければ
いけないことをするべきだ。


 「・・・・・・そうだ。


  宮原は・・・・・・岡部は、悪くない!


  悪いのは俺なんだよ!昔から・・・弱虫で、

  自分のことしか考えれてなかった、俺だよ・・・!」

岡部がまもろうとした麻美を、「仲間」である自分がまもらなければならないのだ。 





 「どきなさい」



ブアッと突風が吹いて、沢田と麻美は、圭一たちと同じく壁に叩きつけられた。

一応時雨たちが倒れているところには叩きつけられなかったようである。
  




 そして、彼にはもうまもってくれる存在がいなくなった。圭一たちでは彼にたどりつくまでの距離が
大きすぎた。



 「・・・これで邪魔者はいません。あなただけです」



 「・・・・・・っ!!」

目の前にナイフをつきつけられるのは初めての経験だな、と岡部はこの場に似合わずなぜか落ち着いてしまう。


 しかし、彼女の言う通りなのだ。

 赦されたからといって、犯した罪が消えるわけではない。


 それにどうせ死ぬ。


ならば自分は今ここで、死を受け入れよう。



  

251:水梨:2013/12/25(水) 17:39 ID:zVQ



 永遠に終わらない。あの頃の、自分には戻れない。


 父さんがいて、母さんがいて、美香がいて・・・。


 岡部の中に、仲睦まじく話している家族がいた。


 そこには自分もいて、父とのろけ話をして、母や美香はあきれながらも笑っていて・・・。



 ああ、そうか。これが、走馬灯って、やつかな・・・。


せめて・・・せめて・・・。




 すると、そこに仲間の沢田と、愛した由美と、まもると決めた麻美があらわれて・・・。


 みんなが、どこに行こうかと話している。

 海に行って、泳ぎたいって、麻美ははしゃいで、沢田は俺も行きたい、とか言って、
麻美と仲良く話していて・・・。由美はくすくす笑っていて、行けたら泳ぐ練習しよっかなんて言って。



 これが本当のセカイなら、どんなにいいだろう。この現実がユメで、この走馬灯が、ゲンジツなら。


 ・・・でも、もう父も、美香も、由美も、もう自分の手の届かないところに行ってしまった。


 母とはもう疎遠状態で、どこにいるのかすらわからない。


今、自分がみえるのは、沢田と、麻美だけ――。


本当に大事な人は2人しかいなくなったけれど。 

でも。だからこそ。



 一緒にいたい。ずっとずっと。



 だから・・・。


 
 「・・・くない」


羽入は、ナイフを持った腕を振り上げて、岡部の腹に突き刺そうとする。



 
 いやだ。本当は、沢田と、麻美と一緒にいたいんだよ。



 俺は・・・っ、俺は・・・・・・!



 
 「死にたくない!!!沢田や麻美と、ずっとずっと一緒に、生きたい!!!」

252:水梨:2013/12/25(水) 18:14 ID:zVQ




 たとえ、ゆるされなくても。我が儘にしかならなくても。


 たった1つの願いを、かなえてほしい。

 沢田と、麻美と一緒にいられる未来が、ほしい。


 「みんなで一緒にいたい!!」


刺される!――-思わず岡部は目をつぶる。思えばついてない人生だった。

 ・・・いや、最期に素晴らしい仲間と子供に出会えたのだから、いい人生だったと思わなければならない。


 「・・・っ!」






羽入は、岡部の腹に届くか届かないかというくらいの数センチほどの距離で、ナイフを持つ手を止めた。



 「・・・?」



 「その言葉が聞きたかったのです」

先ほどの冷酷な表情とは違い、彼女の表情は子供が浮かべる純粋なそれだった。



 「確かに罪は消えない。けれど、それは償ったのなら、自分自身の心に刻んでおけばいい。


  ・・・誰だって幸せに過ごす権利があるのですから」


 「・・・!」

皆はやっと理解した。この羽入の一連の行動を。

それは、罪の意識に苛まれ、本当は自分がどうなりたいかということを忘れている岡部に、
「自分がどうしたいか」を考え、そして「自らの幸せ」を見つけ
させるため。

 

 岡部にだって、幸せになる権利がある。



 「だから・・・・・・。あなたは生きて、幸せになってください」



 「・・・はい・・・!」

嗚咽交じりだけれども新たな決意をあらわすその言葉に、羽入や梨花たちは安心した。

やっと動けるようになった麻美がパパ、と走り近寄ってくる。



 「・・・そっか。そうだったんだね。さすが、ケチラッション隊隊長だよ。羽入ちゃん」


 「自分の幸せを見つける説得をする・・・。まさにケチラッション隊隊長としてすばらしい行動です
  ね・・・」


レナと詩音は感動しているが、この時ばかりは圭一も梨花も、羽入に感動していた。

もちろんレナも詩音も、羽入の思いを、垣間見ることになって、「ケチラッション隊隊長」として、
1人の人である「羽入」に、感動した。



 
気づけば、沢田も駆け出していた。沢田は岡部の患部を持っていた布でおさえている。

 
 岡部を見て気づいたのだが、出血がやはりひどい。


魅音はまだなのだろうか――?



 


 

253:ユリカ マヤ:2013/12/25(水) 22:44 ID:9hA

さすが、羽入です!
ナイフの所のシーン?が気に入りました!ww
続きが気になります!

リレーなんですが、私は自分の小説と同時に、
リレー小説も書きます!

254:水梨:2013/12/25(水) 23:10 ID:zVQ

ありがとうございます!羽入の神モードはのちにも降臨する予定です!

それで、ユリカさんの部活の小説の続きを楽しみにしています!

255:水梨:2013/12/25(水) 23:48 ID:zVQ



 ――その時。


 「みんな!呼んできたよ!」


我らが部長、魅音の声が響く。

彼女の声は、梨花たちを安心させた。これで、岡部は助かる――!


 「怪我人はどこですか!?」

走りながら魅音の後にやってきたのは入江京介。雛見沢村の唯一の診療所の所長である。
彼の医者としての技術は相当なものだ。

入江が来たならもう大丈夫だ。


 「こちらです!」

詩音が声を上げ、場所を示した。



 入江はその場に走ってやってくると、彼は目を見張った。


 「これは・・・っ!」


なんてひどい出血だ。はやく手術をしなければまずいとふんだ入江は、
レナと詩音に手伝ってもらい、運んできた担架に岡部をのせる。


 「急がなければ・・・!」

入江は急ぎすぎて担架から岡部を振り落すことのないように救急車に乗せようとする。




 ――しかし。油断していた。梨花たちは。


まだ、男たちはやられていなかったということに。

ゆらりと立ち上がったその影は、時雨の仲間のものだった。

 「待てよ」


 「まだ俺たちの目的は果たせちゃいねえんだ。悪いがここでおとなしくしてもらうぜ・・・っ!」


この男は、先ほど羽入を「バケモノ」と呼んだ人間であった。
そういうなり、彼は懐に忍ばせてあった銃をとりだした。
時雨のものは先ほど圭一に奪われたから無かったのだ。


 「っ!!」


・・・時雨の銃を奪ったからこれで撃たれる心配はないと思っていたが、迂闊だった。
これ以上誰かが、岡部のようになってはいけない。梨花は瞬時に思ったが、今の自分の力では
男を取り押さえることはできない。


 銃弾だってよけられない。


 まずい――。


そう思った矢先だ。


男の銃の引き金をひこうとした手を、誰かがつかむ。



 「っ!?」

それは男にとって驚愕するものだった。

なぜなら、自分たちのボス、時雨だったからだ。


 「・・・な、何すんすか、時雨さん!こいつらぶっ殺すんじゃないんですか!?」





 「・・・・・・無駄だ。撃つな」




 「・・・?」


 (何・・・?どういうこと?)


梨花には――もちろん全員にも時雨の行動は理解できなかった。


 もしかして梨花たちを助けようとしてくれているのだろうか?罪に気付いて――?

いや、そんなわけはないはずだが・・・。わけがわからない。



 何を考えているの―――?






 その時、んっふっふ、と独特な笑いが聞こえた。

 「!」





そのような笑い方をするのは1人しかいない。


 ・・・興宮警察署の刑事、大石蔵人だけだ。



 「大石さん!」



 「んっふっふ。やっと犯人の尻尾をつかみましたよお。少女誘拐犯と最近巷を騒がせている怪しい
  風貌の男たちを。一網打尽ですねぇ」

大石が笑うなか、熊谷をはじめ、ほかの警察たちが時雨たちを取り押さえにかかる。


 「待っといてくださいって言ったはずですよもう」


大石は圭一たちに視線を向けた。穏やかに笑ってはいるが、目はあまり笑っていない。

静かだが少し怒りが感じられた。


 「す、すみません・・・。そ、それとその、岡部さんのことは・・・」

岡部を逮捕すべきなのか――圭一たちにはわからないが、梨花や沙都子をまもろうとまでしたのだし、
できれば逮捕などされないでほしい。


大石は少し圭一を見据えると、少し口元を緩め、わかってます、と短く答えた。

 「まあ今回は何事もなかったみたいだからいいですけど・・・って、おんやぁ。入江先生じゃない
  ですか!・・・誰か怪我人が出たんですか!?」




 

256:水梨:2013/12/26(木) 10:11 ID:zVQ



 「岡部さんが撃たれたんですよ!それで監督を呼んだんです!」

 「な・・・」

・・・やはり全員無事とまではいかなかったか。娘は取り返せたらしいが、その代わり自分が・・・。



何て皮肉な・・・。大石は後悔する。もう少し早くたどり着いていたら、全員が無事だったかも
しれないのに。



 「・・・とりあえず、何人かほど事情聴取をしますので、私と一緒に来てください。
  麻美さんは・・・、お父さんについてあげてください。それに・・・麻美さん1人では心細いでしょうから、
  誰かついていてあげてください」


これが大石なりの配慮だった。幼き娘に1人で生きるか死ぬかの瀬戸際にいる親を見守らせるのは
あまりに酷だ。



 「・・・じゃあ、ボクが」


 「お姉ちゃん・・・」

名乗り出たのは梨花だった。その時、梨花がおぶっていた寝ている沙都子が揺れて、大石がやっと
彼女に気づいた。


 「もしかして、北条さんも怪我を・・・?」


 「・・・あ、いえ、違うのです。少し気絶しているだけなのです。でもとりあえず麻美ちゃんと
  一緒に診療所に行くときに沙都子も病室に寝かしておいてもらうから大丈夫なのです」

まさか雛見沢症候群を再び発症しかけ、C120を腕にさして、眠らせたことは梨花には言えなかった。


 そうですか・・・と大石は心底ほっとした様子だった。すると彼は、今度は麻美の隣にいた男――
沢田に気が付いた。


 「・・・あんたは?」

麻美の親というわけではないだろう。兄というわけでもなさそうだ。


 「・・・・・・」

自分は時雨たちと同じく捕らえられる。――当然だ。共犯者なのだから。

でも、どこか――心残りがあった。以前なら抵抗なくとらえられてもいいと思っていた。


でも今は違う。なぜ?

 
 「時雨たちの仲間じゃ――」


 「違いますよ刑事さん」

そこに口を挟んだのは時雨だった。

手錠をつけられ、警察たちにパトカーに乗るよう促されている。


 
 「そいつはただの裏切りもんです。決して俺らの仲間なんかじゃありません」
  

それだけ言うと、時雨はまた仲間たちとともにパトカーへと歩みだした。



 「・・・・・・?」


 やはり先ほどから疑問だったのは、時雨の態度。


 (確かに、俺は今回時雨たちを裏切った・・・。でも今までは一緒に、あいつらと行動してたわけで)


自分たちの宮原とのやり取りを聞いていて、何か心をうちつけるものがあったのだろうか?
もちろん時雨の心なんて、沢田にはわかるはずもなかった。


 「・・・なるほど」

言いながらも、大石には沢田についてはよくわからない。


 先に事情聴取をするのが正解だ。


 「あなたにも、来てもらいますよ」


 「はい・・・」

沢田は大石に言われるがままついていくことにした。後から、少年少女が4人ほどついてくる。


 (――こいつらは、俺を何ていうかな)

・・・ただの同じ犯罪者、にしか見えねーだろうなあ・・・。

沢田はこの場には似つかわしくないとわかっていながら、口元を緩めた。

257:水梨:2013/12/26(木) 16:08 ID:zVQ


 
 「・・・羽入?」

魅音は止まっている羽入に気づいて呼びかける。彼女はどこか思いつめた様子で、ある一点を見つめている。


 不思議に思って羽入の視線を追うと・・・。


パトカーに乗ろうとしている時雨たちがいた。

・・・なぜ、彼らはこんなことをしたのだろうか。魅音には、もちろん沙都子を除いた部活メンバ−たちには
わかるはずもなかった。



 「待ってください」

すると羽入はいきなり時雨たちを連行する熊谷たちを制した。


 「・・・私は、時雨と話がしたい」


今更捕まった自分と何を話したいというのだ。時雨はばかばかしく思って言い捨てた。

 「・・・?なんであいつを撃ったかってことだろ?そんなのきま――」



 「私が聞きたいことはそんなことではありません」


 「!?」

時雨を射抜く羽入の眼差しは、怒りでもなければ、もちろん憐れみの情でもなく、
ただ、ただ、自分を機械的な眼で見つめるだけ。彼女の真意は彼には読み取れない。



 


 ――何を言うつもり?羽入。


先ほどの行動もあって、(結果的に岡部を説得できたのだが)少しばかり心配になる梨花。

しかし自分は麻美と一緒に診療所で岡部の無事を祈らなければならない。
握っている小さな手が、震えているのが分かる。

 ――彼女は本来、小さな少女。父があんな目にあえばずっと泣き叫んでいてもおかしくないのに、
ここまで耐えているのは正直感心する強さをもっていると思う。

 だから、今梨花にできることは、少しでも彼女を安心できるようにすること。


羽入がいったい時雨に何を言うつもりなのかはわからないが、とりあえずここは彼女にまかせておく
べきなのかもしれない。

圭一たちもそう思ったらしく、沢田とともに大石のあとに続き、事情聴取をうけるため
小屋の外に出ていた。




 梨花と麻美は救急車に乗って、気を失っている岡部を見守る。


 周りの看護婦たちが岡部の応急処置をしてくれているから、ひとまず大丈夫だろう。


 

258:水梨:2013/12/26(木) 16:31 ID:zVQ


 診療所についた梨花と麻美は、待合室で待つことになった。


重苦しい空気が続くのもなんだから、梨花は岡部の話を振る。


 「・・・そういえば、麻美のお父さんとはいつもどこか行ったりしているのですか?」


 「・・・・・・裏山にいったりしてるよ。なんか落とし穴とかあったりして大変なことになったりしたけど」

梨花の気遣いを感じた麻美は、自分もできるだけ明るく話そうと思う。

・・・たとえ、父が撃たれたのが、梨花をまもるためだったとしても。

目の前の女の子は何も悪くない。悪いのは、自分の父を傷つけたあの男なのだから。






・・・そう。もし父が死ぬようなことがあれば・・・
・・・自分は厭うことなく自らの手を赤色に染めてしまうかもしれない。



 「麻美?」


 「っ!?あ、な、何かな?」


 「なんだかとっても怖い顔をしていたのです。

  ・・・大丈夫ですよ。お父さんは絶対死んだりなんかしないのです」


・・・自分の顔は今ゆがんでいたのか。

自分自身の顔は自分で見ることができないから不便だなあと麻美は最近思っていたのだが、
やはりまた思った。

気を付けなければ。梨花にこれ以上気を使わせるわけにはいかないのだから。



 「・・・うん。パパはだいじょうぶだよ。神様にね、お願いすればきっとかなうから。

  パパ言ってたもん」




 ・・・お願い、ね――。

梨花はふと目を細める。普段はシュークリーム好きで、バカな考えもするけど、
神様らしいことも言ったりするあの少女(実は自分よりもだいぶ年上だが)を思い出す。
 

 (神様だってもちろん万能じゃないけど、あんただって岡部の無事を祈るぐらいしてやれるわよね。
  羽入――)



 ・・・そう。みんなが信じれば、奇跡は起こるのだから。


それが、100年の旅の先にたどり着けた答えの1つ。

そう、全員が奇跡を信じたから、梨花たちは昭和58年6月を超えられたのだから。


 だからそう、今回だってみんな、岡部の無事を祈っている。


 だから、私は信じる。奇跡は起こせるのだということを。

259:ユリカ マヤ:2013/12/26(木) 19:41 ID:qDI

ありがとうございます!
楽しみにしててください!私の小説!
(上手に出来る自信がないですが…)

麻美ちゃん、偉いですね!
泣かないで静かだなんて!

水梨さん!
好きな科目とかありますか?
私は、社会ですね!

260:水梨:2013/12/26(木) 19:47 ID:zVQ

音楽です!5教科は苦手なので・・・www

261:水梨:2013/12/26(木) 22:46 ID:zVQ

  

 ピッ、ピッ、ピッ――


岡部がまだ生きていることをあらわす、機械的な音の中、入江の面持ちは真剣であった。

 なんとしてでもこの人を救わなければ。


ふと見ると、彼の顔はほころんでいて、笑っていた。

 やわらかに。おだやかに。




 羽入は、大石に頼んで自分と時雨の2人だけになれるようにした。

もちろんいつ襲われるかわからないという危険性があるので、影から5人ほど見守っているが・・・。




 「・・・で?何を俺に聞きたいって?」

相手の真意が読み取れない以上、下手に変な言動をすれば危険かもしれない。

そう思った時雨は、多少警戒しながら問う。



 
 

続きは明日にします。

262:水梨:2013/12/27(金) 21:22 ID:zVQ

羽入のセリフがまだ思いつかないので明日にします。

263:水梨:2013/12/28(土) 23:45 ID:zVQ



 「あなたがそこまで親というものを憎む理由はなんですか」


 

 「・・・・・・」


それを話して何になる?先ほどのように、物わかりの悪い少女に理由を話してやった。


 なのに、なのに・・・。



自分を、「人殺し」だと言った。







 ――いや、そのとおりだ。本当に俺は、「人殺し」なのだ。



やはり、自分は逃げていたのだと知る。自分が思っている本当の気持ちから。



 

しかし今更、この少女に言うべきことなど、あるものか。

そもそも自分の過去を話してやる義務なんかないのだから。





 「・・・・・・」

時雨は話す気がないと感じた羽入は、では質問を変えます、と再び問う。


 「あなたはどうしたいのですか?」



 ・・・またしてもおかしな質問を、と時雨は舌打ちする。


 どうしたいか、だって――?

彼は頭の中で考えを巡らせる。


 (これからムショ生活だってのにしたいことなんかしたくてもできねーよ)

264:ユリカ マヤ:2013/12/31(火) 15:36 ID:81g

時雨さん中々、話してくれなさそう
ですね…。

逆に私は、音楽が嫌いです…w
特に笛を吹いたりするのが…←
(音符を読むのが…)
やっぱり、私は社会ですw

265:水梨:2014/01/01(水) 00:31 ID:zVQ

そうですか・・・。音楽嫌いでしたか・・・。ていうか私も音楽がそんなに好きというわけでは
ないんで・・・ww




 
なかなか話し出さない時雨に、羽入は続けた。


 「・・・ここまでやってきたのだから、それ相応の考えがあってのことだったのですよね?」


 

 「そうだ!!」


――気づけば、口に出していた。自らの考えを否定することはできないから。



 

 「親が憎いのも、子をストレスのあてつけとしか見てねえからだ!!

  たくさんの子供を殺してきたのも、俺の思い通りにならなかったからだよ!!



  ・・・・・・俺だけが、あんな目にあって、あいつらだけが、親に愛されてるのが
  むかついたからだ!!


  あいつらも、俺と同じように親にいじめられてたら・・・、
  俺だってこんな思いをしなくても済んだのに・・・!!」


何かが外れたように、時雨は今まで心の奥底に隠してきた思いをぶちまけた。


認めたくなかった自らの醜い感情。



目の前にいる少女はきっと自分を卑下するような眼で見つめているに違いない。

266:ユリカ マヤ:2014/01/01(水) 15:55 ID:LOA

明けましておめでとうございます!
水梨さん!

音楽が嫌いでも歌は好きですよ!私!
ただ単に音符が苦手なのでw

時雨さん、やっと喋ってくれましたね!
更新頑張ってください!

267:ユリカ マヤ:2014/01/01(水) 16:29 ID:LOA

続き書きます!

オレはあの後、服を着直している最中だった…。
くっそぉ〜!!
後々、思ったが、外に出るのかよ!

(((まぁ、いつもの事だろうけど!)))

にしても……
逃げたい!逃げたい!
こんな服で歩けるか!バカヤロ〜!

いつも、スカートはいてるが、これはいくらなんでも、短い。
膝よりも、もっと上だ。
見えるんじゃ…ねぇ〜か?
色々…。

(今の女子高校生や中学生がはいている、スカートの長さ。byユリカ)

考えていると足音がした。遅すぎて皆、きたんじゃ…

梨花「圭一?まだ着替えているのですか?」
圭一「お、おぅ、梨花ちゃんか…。まだ着替えてるぜ?」

まさか、無理矢理連れていかれるんじゃ…。

梨花「早くした方がいいのですよ?」
圭一「何でだ?」
梨花「魅ぃ〜が、着替えている最中でも、
無理矢理連れて行こうとしているのですよ!にぱ〜」

み、魅音の奴!やっぱり窓から逃げるか!
此処は、一階だ!(カーテンっぽいのついてます!)逃げようと、
すれば逃げれる!
よし!逃げて明日…明日…殺されるな…多分…

さとこ「逃げようとは考えてないですわよね?圭一さん?」

さ、さとこぉ〜!お前、いつからサトリを使えるようになった!?
しかも、いつからいた!?

(サトリ:人の心を読み取る事です!)

梨花「声が出ていたのです。後、最初からいたのですよ?
ここから出ると、
さとこのトラップが発動するのです!」

ごめんなさい、一旦切ります!

268:水梨:2014/01/01(水) 23:20 ID:zVQ

あけましておめでとうございますユリカさん!

圭一大ピンチですね!もし逃げ切っても村総動員で捜索されたりして逃げ回ってたりするんでしょうか?

圭一って思ってること全部口に出ちゃってるパターン多いですよね。続きが楽しみです!!

昨日ガキ使の笑ってはいけないやつ見たんですが、部活メンバーでやったらどうなるか考えてますww

本編はシリアスですが、時雨は赦されると思いますか・・・?



 少女の眼が怖く感じられたが、それでも時雨は自分の過去を語りだした。


 親が自分にずっと「虐待」を繰り返してきたこと。

自分がこんな目にあっているのだから、ほかの子供も親にされているに違いないと思って子供を親から引き離し、
言うことを聞かなければ殺したこと。




 話し終えて、ちらりと少女の顔を窺うと――

蔑むでもなく、冷たい無表情。


何を思っているのかこの少女、全く読み取れないだけに恐怖を覚える。


これ以上何かを言う気にもなれなかった時雨だが黙っていると彼女が口を開いた。



 「確かに、両親の虐待はあなたの心に深い傷を残した。

  それは耳をふさぎたくなるほど――。あなたの過去は、悲しく、そして哀れにすら思われる」


彼女は初めて顔を悲しげにゆがめた。


 ・・・そうだ。俺だって、誰かに哀れに思われることくらいできるはずだ。


だから、少しだけ赦された気がした。






 「・・・でも、何の罪もない子供たちは殺された。

  彼らはただ、親から愛情を与えられ、過ごしていただけだった。

  それをお前に邪魔される筋合いなどなかった」


 ドクン、と胸がなった。


 胸の鼓動が急にはげしくなって、呼吸をするのにも苦しい。

 
 やめろ。やめろ。


自然に時雨の手は、首もとへ進んでいた。



 「無残にも子を殺された親たちはこう思ったはず。


  『どうして殺す必要があったの』――『殺すなら、私たちを殺して、子供たちを助けてほしかった』と。


  それをお前は無視して、数多の子を殺戮していった」



 やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ 





  





 「

  



 

269:水梨:2014/01/01(水) 23:26 ID:zVQ

最期に変な「 がついてました。すみません。


そしてつきたてられた爪は、彼の首を容赦なくひっかく。

 ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ。

痛みすら、なぜか感じなかった。

 

 それは、彼らの方が痛かったから?


 何の罪もない子供たちの方が、とてもとても、痛い思いをして、殺されたから?


 

  

 ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ


 ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ。





 「――――お前は、ただの犯罪者です。



  ただの狂った殺人鬼です。


  あなたが死ねば、よかったのです」




 「うあああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

270:ユリカ マヤ:2014/01/02(木) 19:25 ID:.N2

赦されると思います!
少しは反省?とかしてると思うので!

小説は明後日までには書けるようにします!
後、続きを楽しみにしていてくれて、ありがとうございます!
私も、水梨さんの小説を楽しみにしてます!

271:水梨:2014/01/02(木) 22:40 ID:zVQ

赦されるんですね!よかったです!BADENDは苦手なので・・・。

272:ユリカ ユウ:2014/01/03(金) 16:45 ID:E5k

私も、BAD・ENDはニガテなので…w
書きます!

ト、トラップって、どんなトラップだよ……?

梨花「圭一、知りたいのですか?」
さとこ「しょうがないですわね〜……」
圭一「ちょっと待って、何で分かった?
今回はちゃんと声を出してなかったよな?…
まさか!声出てたのか!?俺!?」

さとこと梨花は顔を見合わせて言った。
梨花「確かに今回は声出していなかったのです」
さとこ「顔に出ていたのですわ」

今度から気をつけないとな…。

圭一「んで、どんなトラッブを仕掛けたんだよ?」
さとこ「知りたいのでしたら、窓から出てみればいいですわぁ〜!お〜ほっほっほ!」

最後に甲高い声とニンマリ(?)して笑った。
危険人物だな…さとこは…。
俺はさとこに危険人物の称号を上げた。

さとこ「いらない、称号ですわね…。」
梨花「後、また声が出ているのですよ!にぱ〜☆」

圭一「まぁ、とにかく、ドア閉めてくれないか?そろそろ着替えたいんだが…」
梨花「ごめんなさいなのです、逃げないで、ちゃんとすぐ着替えるのですよ!圭一!」
さとこ「逃げたら、私のトラップでお見合いして差し上げますわ!」
圭一「逃げねぇ〜よ!後、誰がお見合いされるか!」

その後、梨花ちゃんとさとこが笑いながらドアを閉める音がちょっとだけ、
残ったのを見届け、俺はまた着替え出した。

皆、口調が違うので書くのが、大変です!

273:水梨:2014/01/03(金) 21:39 ID:zVQ

ほんとに口調合わせるのって難しいですよね!

このあと圭一に災難がさらにふりかかるのか・・・楽しみです!!

ところで口調で思いついたんですけど、もし悟史が目覚めたとして、いきなり江戸っ子的口調に
なってたら詩音とか何て言うんだろう・・・みたいなネタです。

274:ユリカ マヤ:2014/01/04(土) 19:08 ID:Ft6

おぉ!
面白ろそうですね!
特に一番、悟史の事が好きな、
詩音は何ていうんだろ…
気になります!

もし、恋愛小説でひぐらしを読むなら、(オリキャラなしで)
誰と誰がくっついて欲しいですか?
私は、圭一と魅音がくっついて欲しいです!

275:水梨:2014/01/04(土) 21:53 ID:zVQ

恋愛・・・はあまり考えたことなかったです。

圭一は基本レナとか魅音とかでハーレム状態で考えてましたwwww

でも別に結婚するわけじゃないけど、なんか助けてもらう・・・とかなら赤梨花とかが好きです。
しいていえばCPではサトシオンとか富鷹とかです。

コンビ的には、はにゅりか(りかはにゅ)です!!ときにはりかさとも・・・。

でも今のとこはにゅりかLOVEです。(でも百合ではないですwwww)

だから今回の話(善戦し編)は羽入と梨花の言い合いが最後多くなると思います。


ちなみに考えたネタですが、詩音は毎日診療所に悟史のお見舞いに行ってて、

「悟史くんめざめてほしいな〜。私の愛のキスで♪」
みたいなこと言ってた次の日にいきなり入江から呼び出されて悟史が目覚めたという
情報がはいって瞬足力でいったらなぜか沙都子が先にいて、

少し残念だなあと思うと同時に妹だから当然か、とか思ってたら悟史の口調が江戸っ子で。

でも悟史は沙都子のことすらも忘れてて、自分の名前も忘れてて記憶喪失状態とか。


 「てやんでぃ!」とか言ったりして、悟史が主に詩音を振り回して雛見沢や興宮を歩き回るとか。

でも撫でるくせはそのままとか・・・。その間にあの3人組の不良とかがきて、彼らを
簡単に倒す悟史・・・。

でも実はこれ詩音の夢ってことがわかって、

 「悟史くんと・・・別れたくないよ・・・!このまま・・・ずっと、ここに・・・」

みたいな感じになるけど、江戸っ子悟史(イケメン。喧嘩強し)の説得により、
夢から覚めることを決意して・・・。



それで夢から覚めたらやっぱりまだ悟史は目覚めてなかったけれど、
それでも詩音はこの現実で悟史が目覚めるのを待つ・・・みたいな。

実は羽入が見せた夢だったという設定。そんなほのぼのひぐらし。


後日談で本当に悟史が目覚めるとか。


時間があったらこれをかいてみたいなあとか思ったんですけど、どうでしょうか?

276:水梨:2014/01/04(土) 22:50 ID:zVQ

でも話を終えれてないので続き行きます。



 「――だ、ダメなのです!」

羽入は急いで時雨に駆け寄り、首を掻き切らんとする爪を遠ざけるため、力いっぱい彼の腕を押さえつけた。


 なぜ時雨はいきなり雛見沢症候群の症状を・・・?

羽入には理解できなかった。

時雨の本音を聞いた羽入はこう言った。




 ――親の虐待は、そなたの心に深い傷を残した。

 ――だからこそ、親の愛を与えられた子供たちを、羨ましく思っていた。


 ――そなたは本当は、親の愛を欲していただけ。

 
 ――本当は家族と一緒に遊んだり、笑ったり、ご飯を食べたり、時には怒られたり、
   泣いたり、でも最後には笑いあって・・・。


   そんなごく普通の、あたりまえの生活がほしかっただけ。




 いや、すでに時雨は精神を蝕まれていたのだろう。話を聞いていると、いつ雛見沢症候群に
かかってもおかしくない状態だったのだ。

 迂闊だった。もっとしっかり気を付けていれば・・・。

羽入は何とかもがいている腕を首から遠ざけようとするが、しょせんは少女の力。
大の男の動きを封じるには無理がある。


 

 しかし。




 「古手さん!男の動きを封じればいいんですよね!!」


今まで彼らのやり取りを見守っていた5人の刑事たちが一斉に走り出して時雨の動きを完全に封じようと
時雨を押さえつける。


 やがて抵抗しても無駄とわかったのか、時雨の手の動きがなくなる。

 やはり5人も大人の男がそろえば、1人の男を抑えることは可能らしい。


 「ありがとうございますです」


 「いいえ。あなたの身に何かあっては家族の方に合わせる顔がありませんから」



 「ところで、この男とまだ話しますか?」

尋ねてくる別の刑事に、羽入は小さく首を縦に振る。



 

 「・・・時雨。聞いてください」


 
 「・・・・・・あ、あ・・・」



聞こえているのかいないのかは、わからないけれど。



 

277:水梨:2014/01/04(土) 23:45 ID:zVQ



 「・・・そなたがあの時、沢田は仲間ではないといったのは、彼らのやり取りを聞いていた
  からではないのか。

  岡部を思う麻美、仲間を庇う、沢田。


  そして――娘を大切に思う父親としての岡部を、見ていたから。


  ・・・・・・家族を、仲間を大事にする彼らを見たから、


  そなたの仲間が私たちを撃とうとするのを止めてくれたのだと、私は信じている。



  それは、そなたの、そなたなりの罪滅ぼし――贖罪をしたと言っても過言ではない。

  
  そなたの罪を赦せる者は、この世には――私しかいない。


  だから――私が、そなたの罪を赦そう。

  

  時雨昌茂」

 


  
羽入のオヤシロモードの口調って難しいです!!岡部説得時には「そなた」とか言ってなかった・・・。

でもあらためて祭囃し編8巻を見直してみると鷹野さんに「そなた」って言ってたのに気付きました。

マジで羽入さんの神モードだいすきです。

   


  

278:水梨:2014/01/05(日) 00:03 ID:zVQ


 
  

 それだけ言うと、羽入は立って、その場を去ろうとする。


 「もういいんですか?」

1人の刑事が尋ねるが、羽入は少し振り返って告げる。


 「・・・私が言いたいことは時雨にすべて伝えたのです。

  あとは、時雨の問題です。

 
  彼がこれから何を思い、どんなふうに生きていくか――、


  それは誰にもわからない。だから、時雨本人に任せるのです!!」



にぱっと、彼女が大好きな少女のごとく笑うと、羽入はそのまま小屋を出た――。






 「・・・あの少女のいいたいことは、罪は償えるってことなのか・・・?」


羽入が去ったあと、刑事の1人は小さくつぶやく。


 「――おい、見てみろ。美作」

また別の刑事が、刑事の1人――美作に呼びかける。


 「ん?」


 「この男の顔、なんか笑ってないか?」


 「・・・確かに」


時雨の頬には、一筋の涙が、流れていた――。






 羽入は走っていた。


 ――梨花たちのもとに行くためだ。きっと手術中の岡部の無事を祈りながら、不安に思っているはず。




 (梨花、麻美――)



はやく、はやく、診療所に。






 そしてやっと5分後。羽入は入江診療所についた。

はやくはやく、彼女たちのもとに。



 
 「梨花!」


診療所内を走って、やっと羽入は待合室の椅子に座る梨花の姿を目に捉えた。


 

 ――しかし、いっしょについていたはずの麻美の姿がないことに気づく。



 「――梨花!麻美はどこにいったのですか?トイレですか?」


そして今まで俯いていた梨花の顔がゆっくりあげられる。



 「梨花・・・?」




 「・・・ねえ羽入。


  みんなが信じれば、奇跡は起きるのよね?起こせるのよね?」



彼女の質問が、何を意図するか。それは――――



 「・・・もちろんなのです。みんなが信じたからあの6月を超えることができたのです」



 「じゃあ、なんで




  岡部は死んでしまったの?」

279:ユリカ マヤ:2014/01/05(日) 20:04 ID:VFo

確かに、圭一と魅音、レナはハーレムで、
考えちゃいますよねw
なんとなく、分かりますw

悟史が目覚めるけど、羽入が見せた夢だったってのが、
すごく面白ろそうです!

岡部さん死んじゃったんですか!?
すごく、残念です…。
でも、展開が急(?)だったりして、
面白いです!
続きが気になります!

280:水梨:2014/01/05(日) 21:38 ID:zVQ

面白いって言ってくれてありがとうございます!続きいきます。



 羽入が梨花のもとにかけつける、10分ほど前。


 待っていた梨花と麻美の前の、手術中のランプが消え、入江がすっと出てきた。


 「せ、せんせえ!パパだいじょうぶ!?」

椅子から慌てて立ち上がった麻美が、入江の白衣の裾をつかむ。





 「・・・・・・・・・・・・」



入江は、何も言わない。




 「せんせえ・・・?」

首をかしげる麻美の顔が、少し泣きそうになったのを見た梨花は、彼女に代わってもう一度問う。




 「・・・入江。麻美のお父さんの手術は、成功・・・したのですよね!」






梨花は、入江が笑って、成功です、と言ってくれるのを、待っていた。












 「・・・・・・手術は、


  失敗しました」




 ――みんなが信じれば、奇跡は起こるのだから。



 ――だから、私は信じる。


 ――奇跡は、起こせるのだということを。



先ほど心の中でつぶやいた、あのコトバ。






  ぜんぶ、







  ぜんぶ、








 嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘。

281:水梨:2014/01/05(日) 22:08 ID:zVQ



 人は、信念を曲げられると自らの行く道を失ってしまう。

これからどうすればいいのかわからなくなってしまう。

梨花の信じていたそれは、信念というには大げさすぎたのかもしれないが、
少なくとも信じていたから6月を超えることができたと思っていた。

・・・だから急に力が抜けた梨花は、地面に座り込んでしまった。



 「・・・あなたの、お父さんを救うことができなくて・・・ごめんなさい!!」



入江は、頭を下げた。


1人でも、多くの人を救おうと決意していたのに、今の自分は、なんて無力なんだろう――

情けなくて涙が出そうになるが、本当に泣きたいのは、家族を失ってしまった麻美なのだから。




 また麻美も、父が大好きであったから、父の言うことを何でも信じていた。


父がふざけて言った、店に売っている卵からもひよこが生まれる、なんてことも。


 だから、神様に願えば、それはかなうということだって、信じていた。


 だから、願った。父の手術が、成功しますように、って――



 でも・・・死んじゃった。パパ、死んじゃったよ。


 神様は・・・お願いをききとどけてくれなかったんだ。


 ・・・いや、もともと神なんて、存在しないのかもしれない。
もしそれがいて、簡単に願い事が叶うのなら、世界中の全員が幸せになっているはずだから。

けれどもテレビなどでは殺人事件が起きただとか、有名人が病気で死んだとか、
肉親や友達が聞けば悲しくなる出来事が起こっているのが報道されている。

きっと肉親だって彼らが生きていくことを願っているはずなのに死んでしまうということは、
もともと神などに願っても無駄だったということだ。




 ・・・ならば、この悲しみをいったい誰にぶつければいいのか。

 麻美は考えた。




 (・・・あ。そうだ)


自分はすでに思い至っていたことに気づく。


 父親を殺したあの男を殺して、父の仇をとればいいのだということに。

282:ユリカ マヤ:2014/01/06(月) 21:20 ID:gjo

麻美ちゃん…頑張って後から
『殺してはダメ』
という事に気づいてくれればいいですよね。
水梨さんが作る小説、全て面白いです!
全く飽きないです!読んでて!

283:水梨:2014/01/07(火) 00:11 ID:zVQ

ありがとうございますユリカさん!

ところでこのあとの会話でも私的にはキーワードになる「みんなが信じれば必ず奇跡は起こる」
のことについてなんですけど・・・。

これは祭囃しで梨花や羽入が言ってましたが、ユリカさんは、この考えについてどう思いますか?

この話でひぐらしのこの定義?を覆しちゃったんですけど、そこらへんどう収拾つけたらいいのか
まだ考えていないんです。

でも奇跡が起こること(ひぐらしの中での考え)に対して否定はしたくないので・・・。


 参考にユリカさんの意見が聞きたいです!!

284:水梨:2014/01/07(火) 18:06 ID:zVQ

明日から学校です!

 「・・・麻美、トイレにいきたいな」


――この少女は、1人で泣くつもりなのか。

 思いっきり泣くということを知らないのか・・・、
いや、親の前でしか泣かないことを決めているのか・・・。

どちらにしろ、入江は後悔の念に陥る。

 ――私は医者だろう?雛見沢の、多くの住人を救いたいと思ってここにいるのに・・・。

 

最善を尽くしたなどとは言っても、麻美の前ではただの言い訳の羅列にしか聞こえないだろう。




 「あ、麻美さん・・・」

入江にはかける言葉が見つからない。だから・・・。


 「と、トイレなら・・・そこの角を曲がった、左にあります」


入江に今できるのは、彼女の望む場所で思う存分泣かせてやること。

下手な慰めは逆効果だし、何より父を救えなかったのは己なのだから。



 「・・・ありがとうせんせえ」

そう静かに言うと麻美はたたっと、弱々しい足取りで、入江が示した方向へと向かっていった。





 その場にいるのは、梨花と入江だけになった。



 「・・・大丈夫ですか、梨花さん」

梨花にとっても、友達(だろうと入江は推測している)の親が死ぬのはうれしい話ではないはずだ。

だが・・・、麻美より梨花の方が岡部の死を嘆いているように見えるのはなぜだろう。

 たとえば遊んでもらっていたとか――梨花には本当の父親がいない。

だから、岡部のことを本当の父親のように思っていたのだろうか?
しかし梨花の口から岡部に関する話など聞いたことはない。


梨花の態度は入江には少しわからない部分もあったが、地面で俯いている彼女に手をさしのべる。



 「ありがとう、なのです・・・」

その手につかまって、よろよろと立ち上がる梨花。ぼすん、と椅子の上に座ってまた俯く。




 「・・・梨花さん」


 「?」

長い青紫色の髪から、青い瞳をのぞかせる。・・・しかし、その瞳に、光は宿っていない。

やはり彼女も絶望しているのだ。岡部が死んでしまったことに。

 「梨花さんにも、謝らなければいけません。岡部さんを、救えなかったことを・・・・・・!」


また入江は頭を下げる。


 ――医者というものは案外面倒くさいものかもしれない、と梨花は冷え切った心で見つめた。


 患者を死なせたらそのたびにその家族に謝らなければならないのだから。

入江は、人の命を重んじているからこそ、人の命を救えなかったことに後悔して
謝り続けることを梨花は知っている。そこが彼のいいところの1つだと彼女は思っている。

だから一時期雛見沢症候群の末期にまで至った沙都子をL3の状態にまで引き戻すことができたのだと思う。

 

・・・けれど、今の梨花はどんどん暗い方向に考えを持って行ってしまう。

でも「簡単にあなたはよくやってくれた」なんて責めない人の方が今の世の中珍しいんじゃないか?

それどころか、逆恨みなんてものもあるのだし。

 ――そのうち殺傷事件なんて、起こることもあったりするし。

 
 「ボクは別に怒ってなんかないのです。むしろボクは、入江はとてもよく頑張ったと思いますです」

しかし自分はそんな身勝手な行動には至らない。入江のせいでないことぐらいわかっているのだし、

むしろ・・・・・・あの時、岡部は自分を庇って銃弾をうけたのだから、
誰のせいかと言えば、不注意だった自分のせいなのだ・・・。

285:水梨:2014/01/07(火) 18:07 ID:zVQ

「」の中に「簡単に」という言葉を間違えて入れてしまいました。誤字すみません。

286:ユリカ マヤ:2014/01/07(火) 22:48 ID:a.2

私の考えだと、
本当に運命が起こると思います!
幾つもの世界で、いろんな不幸?があったのに、
最後は、
皆が運命を信じたおかげで、奇跡は起こったので、
本当に信じればあると思いますよ!
(少なくとも私はそう思ってます!)

入江も変態な所はありますが、本当にこうゆう時は本当に、
優しいですよね!
水梨さんの小説のおかげで、ひぐらしの良さも、
思いしらされます!

毎回、こんなスレの為に小説を書いて下さって、
ありがとうございます!
本当に嬉しいです!
これからもよろしくお願いします!

長文すみません!

287:水梨:2014/01/07(火) 23:17 ID:zVQ

そうですよね!今までの世界では、お互いが信じあえなかったから惨劇を回避できなかったけれど、
みんなが信じあえたから6月を超えられたんですよね!

でもこのあと本当にどうしよう・・・。ハッピーエンドにしたい・・・。

それにしても私の小説のおかげでひぐらしの良さがわかると言ってくれてめちゃくちゃ
ありがとうございます!!嬉しすぎですっ!(感涙)

入江って結構好きなキャラクターです!!これからも出していきたい・・・。

ひぐらしってめちゃくちゃ深いですよね!!


私の学校でひぐらしを知っている人が全然いないのが寂しい・・・。
(少しはいるけどみんなカゲプロとか進撃の方にはまってるみたいで)

だからここで小説がかけて、ユリカさんに見てもらえるのがとてもうれしいです!
そしてユリカさんの部活の話の続きもとても楽しみにしています!

そしてこちらこそ、これからもよろしくお願いします!

長文すみませんでした!

288:水梨:2014/01/08(水) 16:33 ID:zVQ

では続きかきます。明日はテストですので、頑張りたいです!


 だから梨花には、入江を責められる権利などない。むしろ感謝すべきなのだ。
瀕死の岡部を手術してくれたことに・・・。しかも金はとらないという。
家族が子供の麻美1人だけという理由もあるが、救えなかったのに金などもらえないと。

 こんなにも彼は優しいから、雛見沢の住人に慕われているのだと思う。

そしてふと、入江が言った。




 「・・・トイレ遅いですね。麻美さん」

かれこれ時間は結構たっていた。

まだ1人で泣いているのかと思うとあまりにも悲しく思えて、麻美の様子を見てくると梨花に
すまなさそうに言い残してその場を去った。



 ・・・そして、梨花は1人になった。

誰もいない。

 ・・・麻美の1人で泣きたいって気持ち、少しわかる気がするわ。


だから、少しだけ、私が泣いたって、いいよね・・・?






 「梨花!」


遠くから聞こえるその声は、羽入のもの。

 

 

 ・・・・・・・・・ああ、そうだ。一回こいつに聞いてみよう。



 「――梨花!麻美はどこにいったのですか?トイレですか?」


当たってるわ。すご――――くもないかな。


いなかったら大体の予想くらいつけられるはずだ。

しかしそんなことはどうでもいい。

梨花はうつむいていた顔をゆっくりあげる。



 「梨花・・・?」

自分の様子がおかしいことを悟ったのか、羽入は梨花の様子をうかがうように1歩近づいた。




 「・・・ねえ羽入。みんなが信じれば、奇跡は起きるのよね?

  起こせるのよね?」



 「・・・もちろんなのです。みんなが信じたからあの6月を超えることができたのです」


・・・やはり岡部のことを知らないのではそういう風に言うか。梨花は落胆の気持ちすら覚えた。

しかし、奇跡など起きないと言われても、同じように落胆するだろう。

じゃあ何と言ってほしいのか?――――わからない。

自分のことながら、人間の心って、案外身勝手にできているのかもしれない。



 しかし真実を伝えれば、彼女だって同じように思うだろう。

もともとは羽入も運命にあらがうことをやめ、奇跡など信じていなかったのだから。

皆殺し編の後にレナにそれを指摘され、もう1度舞台に上がることを決意したのだ。

 だから、言ってやる。


 「じゃあなんで


  岡部は死んでしまったの?」

289:みれん:2014/01/08(水) 17:28 ID:E1M


水梨さぁーーん笑

290:水梨:2014/01/08(水) 17:49 ID:zVQ

見ていただけたんでしょうか?

291:水梨:2014/01/08(水) 18:20 ID:zVQ

とりあえず続きかきます。


 「・・・・・・っ!!?」



 ――岡部が、死んだ?


 「う・・・嘘、ですよね・・・梨花」


 「嘘じゃないわ」

わかっている。こんな冗談を、梨花が言うはずはないとわかっているが、どうしても嘘だと
否定してほしい。

 ということは、岡部の手術は失敗した・・・・・・。


 「だから、嘘なんじゃないかってね、思ったのよ。

  信じれば奇跡を起こせるなんてそんなことを」


 「それは絶対嘘なんかじゃないのです!梨花だって、あの長かった惨劇をようやく超えられたのは、
  みんなが互いを信じ、奇跡を信じたから――!」



 ・・・意外だ。このことを聞いたらこいつはすぐに私に同意するかと思ったのに。


 「じゃあなんで岡部は死んだのかって聞いてるのよ!みんなだって、岡部の無事という奇跡を
  祈ってたはずよ!なのにその奇跡は起こらなかった!


  ・・・それとも、誰かの奇跡を願う思いが、足りなかったとでも言うの?

  誰?言ってみてよ!今すぐに!!」



 「・・・っ」


羽入には言える言葉がなかった。


 ――あの6月のことは、本当に奇跡だと、羽入は今でも思っている。

 信じる力が奇跡を起こす。みんなが教えてくれたこと。

ならばなぜ岡部が助かるという奇跡を信じていたのに彼は死んでしまったのか――。


今の梨花に何を言えば、いいのだろう。



 
 「梨花さん!」


その時、入江の声が診療所内に響き渡る。


 「・・・と、羽入さん!」


いつ羽入はここに来たのだろう――と入江は思ったが、そんなことを気にしている場合ではない。




 
 「大変なんです!」



 「どうしたのですか?」

黙っている梨花のかわりに羽入が問うと、彼は青ざめた顔で言った。



 「麻美さんが、どこにもいないんです!!」




 


 


  

292:みれん:2014/01/08(水) 19:03 ID:E1M


めっちゃ続きみたいー(^-^)/

麻美さん何処に!?

293:水梨:2014/01/08(水) 19:18 ID:zVQ

ありがとうございますみれんさん!

 tips「事情聴取」

興宮警察署。


 「・・・なるほど。大体わかりました」

一息ついて大石は言った。

 
 「それと・・・・・・沢田さん・・・、あんたの件なんですがね」

ぽりぽりと頭を掻いて困ったように言う彼の態度を見て、沢田は確信した。


 (そうだ。・・・俺は、赦されないんだ。



  ごめん、宮原・・・。俺、お前との約束、守れそうにねぇや・・・)




 その時、ドアの開く音がした。



 「?」

沢田も圭一たちも振り向くと、そこにいたのは、



 
 麻美。
 

 「麻美・・・ちゃん?」


どこか変な雰囲気をまとった目の前の少女に、沢田は嫌な予感を感じずにはいられなかった。

294:ユリカ マヤ:2014/01/08(水) 19:31 ID:a.2

麻美ちゃん、殺しちゃうんですか…?
沢田を殺さないで赦して上げて欲しいです!
水梨さん、本当に上手です!続きが気になります!

295:みれん:2014/01/08(水) 20:29 ID:E1M

永瀬勉強会でテスト勉強なぅ(T-T)
勉強してたら眠くなる...(-.-)Zzz・・・・

水梨さんめっちゃ書くの上手い(*^^*)

296:水梨:2014/01/08(水) 23:08 ID:zVQ

ユリカさんありがとうございます!みれんさんもありがとうございます!
私は百人一首を覚えるのが大変でした。


 「・・・え?麻美が?」

一瞬梨花たちの心に不安がよぎったが、すぐに考えられることをあげる。


 「か、勘違いじゃないのですか?ほら、診療所って広いからすれ違うってこともあるのですよ」

 

 「・・・それなら、私がここを離れた間に麻美さんはここを通りましたか?」



 「!!」


通っていない。

そう答えるようともなかなか口が開かない。

 ――まさか麻美は、自殺など考えているのではないか?




入江はどうやら肯定だと悟ったらしく、わかりましたと短く言った。



 「・・・とりあえず、二手に分かれて彼女を探しましょう。梨花さんと羽入さんはそちら、
  私はこちらを探しましょう」



 「・・・わかりましたのです」


羽入が答えた後、入江は来た道を戻って行った。




しかし、梨花はその場を動こうとしない。






 「ほら、行きますよ梨花」



仕方なく羽入が彼女の腕を引っ張り、進んでいく。

梨花もしばらくは従っていたが、ぴたりと足を止める。



 「・・・・・・結局、奇跡を起こせなかったのは私のせいね」



 「え?」


羽入もつい、足を止めてしまう。



 「だってあの時、私がしっかり注意していれば岡部は撃たれることなかった。

  ・・・結局、奇跡を起こすのを阻んでるのは私自身じゃないかって思うのよ。

  結局今までだって惨劇をなかなか越えられなかったのは私が努力を怠るようになってしまった
  から。

  だから奇跡が起こる起こらない云々の前に、私というモノ自体が
  いけなかった」



 「・・・・・・・・・」



 「・・・だから、だから・・・、




  私は、岡部が撃たれる前に――世界を巻き戻す!!」



  私はこの世界を、

  

297:水梨:2014/01/08(水) 23:10 ID:zVQ

最期に変な言葉が入ってました。本当に誤字多くてすみません。

298:水梨:2014/01/08(水) 23:11 ID:zVQ

最後が最期になってましたね。マジですみません。

299:ユリカ マヤ:2014/01/09(木) 16:21 ID:5xU

水梨さん、百人一首やってるんですか?
私も今、学校でやってます!

小説いつ見ても上手ですね!
続きが見たいです!

300:水梨:2014/01/09(木) 20:17 ID:zVQ

上手って言ってくれてありがとうございます!
ユリカさんも学校でやってるんですか!それにしてもやっと今日テスト終わってよかったです!
だんだんネタ切れの続きいきます。



 「――な、

  何言ってるのですか、梨花・・・・・・」

目の前の少女に対して羽入は、ただただ驚くしかない。

だって、だって・・・。









 「そんなこと、できません・・・。僕にはもう、もう一度巻き戻る力は
  残ってないって、言ったのですよ」




 「だったら、私が1人で巻き戻れる方法はないの?」

 

 「ありません」

羽入は容赦なく切り捨てる。本当のことを言っているだけなのだろうが――

じゃあどうやったら、岡部の死ぬ前に巻き戻れるの?



 「・・・梨花。あなたは、100年の魔女としてではなく、みんなと同じ『古手梨花』という
  1人の人間として生きていくと決意しました。

  それなのに梨花はまた、魔女に戻るというのですか」


彼女の言葉は、次々と梨花の心に突き刺さる。


 「それに、梨花が今まで何度も世界をやりなおしてきたのは、大好きな仲間たちと
  一緒に生きるためだった。



  ・・・でも岡部は今日会ったばかりの人間ですよ。

  

  別に彼は梨花の大事な人でも何でもないのだから、あなたが世界を巻き戻そうと思う必要なんて
  ないはずです」





 「――そうかもしれないけどっ!!!」


気づいたら梨花は叫んでいた。あらんかぎりの声で。




 「注意してなかった私をかばったから撃たれたのに・・・」


 


 何度も同じことを繰り返す彼女に、羽入はため息をつくと続けた。



 「・・・確か、麻美は友達の家に行っている途中に行方不明に――攫われたのですね。



  

  つまり彼女が外にさえ出なければ岡部が危険な場に踏み込んで撃たれることもなかったということです。


  だからぜーんぶ麻美が悪いのですよ」 

301:水梨:2014/01/09(木) 22:57 ID:zVQ

羽入が本当にヒーロー?に覚醒しつつある・・・。




 「――何言ってんの!?あんた!」
 

事もなげに言い捨てる目の前の少女の肩をぎゅううっと掴み、手の力を強める。


 悪くない。 麻美は悪くない。

だって友達の家に遊びに行くくらい、普通にすることじゃないか。

自分が攫われるなどど知らなかったのだから。



 「なのに・・・、あんたは・・・っ!」





 「・・・ということですよ。梨花の言ってることは、僕の言ってることとたいして変わらないのです」


 「・・・?」

少し力を弱めた梨花の手を自らの肩から離して、羽入は続ける。



 「麻美は遊びに行っただけ。だから悪くない。


  なら、沙都子を助けようとしただけの梨花だって、全然悪くなんかないです。

  そのことで自分を責めて世界を巻き戻そうと思うなら、なおさらいけないことなのですよ」


 梨花は力をなくしたように押し黙る。確かに、岡部が撃たれたのが自分のせいだという話を
するならば、すべての始まりの、誘拐された麻美までに話が及ぶことになる。


麻美のせいでないことは、梨花にも、そしてもちろん羽入にもわかっていた。

 

 ・・・しかし。彼女が世界を巻き戻したいという一番の理由はそこではなかった。



 梨花がずっとずっと手に入れたいと思っていて、そして100年かけて手に入れたもの。



 それは――敗者なき世界。・・・つまり、皆が幸せになれる世界だ。



 ただそれだけを望み、梨花は羽入といくつもの世界を渡り歩いてきた。


 この世界でやっと、誰も死なせることなく、罪を誰かに押し付けなくてもすむことができたのだ。



 これこそ、完成された、梨花の望んだ世界。



 なのに、岡部は死んだ。


 ということは、少なくとも岡部と麻美は、幸せになれなかったということだ――。



 
 

302:しょーれん:2014/01/10(金) 18:40 ID:j8U

最近、ひぐらしハマって漫画よんでます(^-^)

最初はえー笑グロい笑って思ってたけど、おくが深くて面白いですねー
グロさがハマります笑

ひぐらしって推理系なんですか?

303:水梨:2014/01/10(金) 19:38 ID:zVQ

一応推理ってことになってるとは思いますけど・・・。解の方を見ると、推理モノじゃないと言われる
方々もいるので難しいところですね。

でもひぐらしは感動するし、いろいろ考えさせられる素晴らしい作品だと思います。

304:水梨:2014/01/10(金) 19:47 ID:zVQ

少し視点をかえて・・・。

興宮警察署に、1人の少女が静かにやってきた。

その少女、麻美は自分に向けられている男の顔が、少し強張っていることに気づいた。

 
 ――だいじょうぶだよ。麻美の目的はおじさんじゃないからね。

そう言ってやりたくなって、ふと後ろに回している手の中のメスをぎゅっと握りしめた。

このメスは、入江達医者しか入ることのできない手術用の道具置き場にあったものだ。

麻美はトイレに行くと偽って、父を殺したあの男――確か、時雨とかいったような――を殺すための
道具を探しに行っていた。

途中で自分を探しに来た入江と鉢合わせしそうになったが、何とか姿を隠していた。


 こういう時の機転がきくのは、小さいころ――今もまだ小さいが、彼女の自慢であった。


父とかくれんぼをした時や、友達と鬼ごっこをして遊んだ時なども、
最後の最後まで、父も友達も、麻美を見つけることができなかったのだから。




 「麻美さん?なぜここに?」

麻美は梨花と一緒に岡部の無事を祈って、診療所にいたはず。

いったい何をしに来たのか、大石には予想できなかった。



圭一やレナや魅音、詩音も、彼女が今ここに来た理由が理解できない。

 梨花はいったい何をしているのだろうかという疑問もあったが、今はどうやら麻美の方を優先
するべきなのかもしれない。



 「麻美をゆうかいして、たいほされた人たち、どこにいるのかな〜って思って」



 「・・・会っても、あなたの恐怖心がまたよみがえるだけじゃないんですかね?
  私は会わない方がいいと思いますよ〜。んっふっふ」

彼の言う通りだ、と圭一たちは思う。

麻美にとって、時雨たちと話すことは何のメリットもないはず。


なのになぜわざわざ・・・。


彼らの中で、どんどん疑問は膨れ上がっていく。




 「・・・ただ会いたいだけだよ。会って、もうこの人たちに麻美たちの平和をじゃまされることは
  ないんだ、って思いたいの」



他意はない。そう言いたいらしいが、それでも沢田の嫌な予感は消えてはくれない。

むしろ増す一方だ。




 「・・・ここにはいませんよ。たぶんもうすぐ見張りの人間が鹿骨市内の拘置所の牢屋にぶちこんでると
  思いますけどねぇ」

またんっふっふと奇妙に笑った大石は、

 ――んで、麻美さん、と短く告げる。



 「あんたはそれを知ってどうするつもりですか」

305:ユリカ マヤ:2014/01/10(金) 21:11 ID:eiw

しょーれんさん私も多分、推理系ではないと思いますよ?
多分…。
(もしかするとそうなのかな…?)

ひぐらし面白いですよね!


水梨さん、今回も小説読みました!
麻美ちゃんがこの後、どうなるか楽しみです!

306:水梨:2014/01/10(金) 21:48 ID:zVQ

 
 「・・・・・・・・・」

黙る麻美を見て、大石の疑惑は、確信に変わった。


 間違いない。麻美は・・・彼女は・・・。


 「麻美さん。あんたは・・・」


大石が言いかけた時、麻美は急に出口に走り出した。

その時後ろにやっていた手のメスが、大石たちの目に映ってしまう。



 「・・・くそ!やっぱりか!

  すいません、前原さんたち。私にはもう1つ仕事ができたようです」

大石は歯噛みすると、圭一たちを一瞥した後麻美を追おうと走り出す。


 
 「――待ってください。刑事さん」


それを止めたのは、沢田だった。

彼は、岡部との約束を思い出していた。

岡部が動けない今、自分が彼女を止めるべきだ。純真無垢な彼女は、自分と同じようになってはいけない。

その先に残ったのは結局は後悔だけだったから。


 
 「俺があの子を止めてきますから!」


 「ちょ・・・っ」

大石の止める間もなく、沢田は走り出した。彼の足の速さの方が、大石よりも速かった。

若さのせいもあるだろうが、時雨たちと行動を共にしていた時、何度も何度も逃げた子供を
つかまえるため、走ることが多かった。

そのおかげで、彼の足の速さは普通の男の倍の速さほどになったのだ。


 ――それが、こんな形で役に立つなんてな。


沢田はふとそう思うと、走りながら自嘲した。

307:みれん:2014/01/11(土) 23:10 ID:j8U

今、少しずつ水梨さんの小説読んでます!

めっちゃ面白いです〜(^-^)(^-^)

308:水梨:2014/01/12(日) 00:01 ID:zVQ

ありがとうございますみれんさん!

309:水梨:2014/01/12(日) 23:12 ID:zVQ



 ししぼねしのこうちじょししぼねしのこうちじょししぼねしのこうちじょ・・・。

麻美はそれを何度も反芻しながら走っていた。彼女の目的は、父を殺した時雨をこの世から葬り去ること。

その目的がどこにいようとも探す。もともと自分は決めていた。父がもし死んでしまったのなら、
自分がこの手を汚すと。

だからそいつを殺すまでずっと探す。


気づくとそこは、興宮から雛見沢村に変わっていた。


 (麻美、こんなに歩いたんだ・・・)


たとえ雛見沢村まで来ようとも、鹿骨市の拘置所の場所などわかるわけがなかった。

村人に聞きたかったのだが、何せ今はもう夜。午後10時だったのを30分前くらいに興宮警察署で
確認したからもう10時半頃だろう。そんな時間に村人が歩いているはずもなかったのである。


 こんな時間まで歩いてたらいけないって、パパ言ってたっけ・・・。

 心配するからって・・・。





 でも、もう言われることは二度と、ないんだね。


すると急に頬に冷たいものが伝わった。涙腺が少し緩んでいるのかもしれない。

麻美はごしごしと片腕で目をこすると、顔をパンパンとたたく。





 「・・・どこにっ、ある、のかな〜♪ししぼねしの〜こうちじょは〜♪   

  行く先がっ・・・、決まったら〜・・・♪どんど、ん・・・いこ、うよ〜〜〜♪」



嗚咽交じりに唄われる彼女の好きなアニメの替え歌は、どうしようもないくらいに、悲しさを帯びていた。



 「がんば、って・・・すすめ・・・ば・・・♪だい・・・すきな、


  ひと・・・に・・・っ、



  あえる、から・・・・・・」
  

310:ユリカ マヤ:2014/01/12(日) 23:25 ID:Vdc

こうゆう話好きです!
最後の方、泣きそうになりましたw

311:水梨:2014/01/12(日) 23:36 ID:zVQ

 tips「心配する親、再び」

 ――ああ、やっときれた。

受話器をおいて、美作はふとため息をつく。

園崎家の――確か、昔の通り名が「鹿骨の鬼姫」とかだったっけ―・・・いや、そんなことは
どうでもいいのだが、とにかく彼女を怒らせると怖いことになりそうだから逆らわずにいたら
かれこれ40分は質問攻めやら話やらを聞いていた気がする。


 警察って、こんな大変なことだったっけと改めて思う。

特になりたいというわけでもなく、ただ昔から身体能力は大きい方だったから、
まあ言えば何となくで今年の8月に、興宮の1人の刑事として所属することになった。

いわば、新米である。

だから、なぜ刑事になったのかなんて聞かれればまともな理由など何一つ答えられない。

他の人ならば、自分なりの思いがあって、そういうことをやっていってるのだろう。

美作は、そういう人間が羨ましくならないわけではないが、別に明確な理由などなくとも、
自分が「警察」だと堂々と言えるようになればいいと思う。


 そのとき。またしても、プルルルルルルル、と電話が鳴る。

おいおい、またかよとは思いながらも、出ないわけにはいかないので一応受話器には出ることにした。


 「・・ハイ。こちら興宮警察署で・・・」



 『スイマゼェェェェン!ヒック・・・エグッ・・・』


――今度はなんだ。


 『うちの礼奈を、うちの礼奈を、知りませんかあああああああ!!』

受話器から時々漏れる嗚咽と、その声から、電話の相手は泣いていることがわかる。

しかし、いきなり礼奈などと言われても、だれのことかさっぱりわからない。


 『もう・・・夜、だというのに・・・。全然っ!全然っ!帰ってこないんですうう!

  もう、心配で、心配でえええ!!』


――まさか、その礼奈という子も、大石たちが救出に向かっているという少女と関係があるのか?


先ほどにかかってきた、娘を心配する園崎茜に、「礼奈」という少女の心配をする電話越しの男・・・。


 やはり、関係はあるのだろう。今度こそ確信した美作は、先ほどの長電話にならないように
するためにも言った。



 「大丈夫ですよ。娘さんの場所は大体わかってますから。私たちに任せてください」


 『ほ、本当ですか・・・?』

男の声が、少し安堵の色を帯びている。そしてどうやら我を取り戻したらしく、竜宮保典です、と
やっと名乗った。


 『ありがとうございます。今からそちらに行きますので、よろしくお願いします』


そう言って、竜宮は電話を切った。


 ――よかった。今度は長電話にならずに済んで。



 

312:水梨:2014/01/12(日) 23:38 ID:zVQ

ユリカさんありがとうございます!

泣きそうになったんですか・・・?感動的な話にはしたいと思ってたんですが、泣ける感じでは
ないなと思ってたので、なんか少しうれしいです。

313:水梨:2014/01/13(月) 18:18 ID:zVQ




 「いやだよぅ・・・。ひとりにしないでよぅ・・・。

  なんで、しんじゃったのぉぉぉ・・・・・・」



 ――人間ってものは、いつか必ず死んでしまうんだ。


悲しくなって、歌うのをやめ、地面に座り込む麻美の頭の中に、父の声が響く。

そして彼女の頬に、滴がしたたり落ちた。

目から出たのではなく、空から出てきたのだ、と麻美は理解した。




 ――まだ幼い麻美には、残酷なものかもしれない。


 ――死んでも、生まれ変わって会えるって、えほんにかいてあったよ。

そう言った麻美に、父は少し悲しそうな顔をして、彼女の頭をやさしくなでてくれたことを、覚えている。

父のことを思い出すたびに、自分の顔をうちつける滴の勢いが大きくなっていく。


――残念ながら、一度人は死んでしまうと、二度と会えなくなってしまうんだ。


 ――えっ・・・。・・・やだよ。そんなの、やだよ。ずっと生きたいよ!!

ぽろぽろと涙をこぼす麻美に、父は笑いかける。

 ――これは、何をどうやっても変えられない。人間の節理なんだ。


 ――そんなのじゃ、生きていけないよ・・・。



 ――いつか必ずそうなってしまうのなら。





   それまでを精一杯その人と楽しく過ごせばいいんだよ。




 「・・・・・・そんなの、まだまだ全然、すごせてないよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

麻美はすべての思いをさらけ出して泣き叫んだ。


  ――あのとき、言ってたのに!
 

そう。麻美は覚えていた。沢田と、自分と生きたい、と泣きながら叫んだことを。

泣いてまで言うことだ。それは彼の心からの叫び――本心だ。 


 彼は死ぬことを恐れた。つまり、まだ精一杯生きることができなかったというわけだ。

 ならばまだ父は死んではいけなかったのだ。


 (・・・そうだよ。だから麻美は・・・)

復讐心だけを糧に、麻美は立ち上がる。

地面に座り、しかも雨が降っているので、彼女の足には濡れた砂がへばりついているが、
今の彼女にとってはそんな問題は些細なこと。

彼女がなすべきことは、父の生を奪ったあの男の命も奪ってやること。



 また、愛しい父の声がする。

 ――いいか麻美。何があっても、人を殺してはいけないんだ。


 ――うん。わかってるよ。ころされるひと、かわいそうだもん。きっとからだ、いたいよ。


あの時の自分は甘かったのかもしれないと思う。自分の親が殺されれば、きっとそのような戯言は
言ってられないだろうに。


 ――それだけじゃない。殺された人間の家族や友達が悲しむからな。


 ――うん。あさみだって、そんなのかなしいよ。




悲しいだけでは済まされないのに。本当にあのころは何も知らなかった。

 ・・・いや、知りたくなかった。



 自分の顔に流れていくのが、死んだ父を思う涙なのか、空から降り注ぐ雨なのか、

もう麻美にはわからなかった。




 

 

314:ユリカ マヤ:2014/01/16(木) 21:21 ID:.zY

私って涙脆いのかな…?
水梨さんの小説で色々な事を学びます!
毎回ありがとうございます!
勉強になりました!色々!

私の家、電波とかが悪くてたまに来れない日がありますが、
気にしないでください!

315:水梨:2014/01/16(木) 23:37 ID:zVQ

ユリカさん久しぶりです!

恐縮の感想をありがとうございます!超久しぶりに書きます!シリアスBGMを流しながら・・・。



 麻美を探し出そうと警察署を飛び出して約20分。


 ――どこだ?ここ。

この土地にまだ慣れていない沢田は、麻美を探すどころか自分が探される羽目に
なるかもしれない、と思う。



 それにしても誰ひとりとしていない。東京ならばこの時間――午後10時ごろだろうか――なら、活動している
人間は多い。

田舎ってこういうモノなのかと違和感すら感じる。


 そのとき、ぽた、と何か冷たいものが自分の鼻をうちつけた。


 (なんだ?)


 瞬く間にそれは急激に勢いを増し、鼻だけでなく、顔全体、体、手足にも降り注ぐ。


 ――雨だ。



そう思うと、今頃1人でどこかを歩いているであろう麻美のことが心配になってくる。


彼女はこの雨の中、探し回っているのだ。時雨を。


 ――でも、ひっかかるものがあった。そういえば麻美は、もう1人の少女と一緒に、宮原の様子を診療所で待つと
いうことになっていたはずが、父のことを忘れ、時雨を――たぶん、殺そうとしている。


 彼女の握っていたもの。そのメスは、医療道具としては使えるが、殺傷道具にすらなりえる。


 


 ――早く見つけなければ。手遅れになる前に。


 沢田は後悔していた。

 自分が今までに何人もの子供を見殺しにしてきたことを。


自分の意志の弱さゆえに、誰1人助けられなかったことを。

彼の罪は、だんだんとだんだんとおもしのように積み重なって。



 気づけば、もう戻れなくなっていて。



 だからこそ、自分が唯一家族であり、仲間であると思っている宮原にも、会いたくなかった。

なのに、会ってしまった。

そして託されてしまった。

娘を育ててほしい、と。


 つまり――沢田が、麻美の父親になってほしいということだ。


もちろん、宮原は遺言とか、そういう意味で言ったのではないと思っているが――そう信じたいが――。


 だから、仲間の娘には、自分と同じ過ちを、犯してほしくなどない。


結局人を殺したら、もう二度と普通の生活には帰れない。

 ――時雨だって、そうだった。

彼の話によると、あまりにも子を思わない親たちを、彼は殺してしまった。

そこから、時雨はきっと戻れなくなって、こうやって、何人も子供を殺すようになってしまったのだ。



 だから、麻美だけは――。



 雨が、妙に体の節々までうちつけてくる。まるで、今の人間たちの心情をあらわしているかのように。

大量の滴は、麻美の姿をどこまでもどこまでも覆い隠して、ざあざあと地面に降り立っていく。

それでも、それでも。


 きっといま、彼女の姿を見つけ出せるのは自分だけに違いないから。




 その願望にも似た自尊心は、起こりたりえることだった。

すぐ近くの、土手の前。


今にも倒れそうな、その小さな足で、麻美は立っていた。


 麻美、と沢田は思わず叫んでいた。

こんなところまで来た自分に対して、何をしに来たのか、と追い返されても、とにかく声をかけなければ、
彼女は消えてしまいそうだった。

沢田はすぐさま麻美のそばに駆け寄る。


 息を整えたあと、何やってんだよ、と彼は・・・短く問うた。



 「・・・なにって、ひとやすみだよ?麻美だって、一日中外にいたら、とてもつかれるんだもん」


――責められている気がした。彼女が今日――いや、昨日から家にいられなかったのは、
まぎれもなく彼女を誘拐した自分たちなのだから。



 でも、彼女を止めることだけを、彼は考えることにした。



 「こんな雨の中で傘も差さなかったら風邪ひくぞ絶対」


 「いいよ。そんなものどうだって」


やはり、麻美の態度には違和感しか感じられない。どこかどう違うかっていえば――


 なんか、なげやりって感じだ・・・。




 

316:ユリカ マヤ:2014/01/20(月) 22:51 ID:6OU

ぜんぜん、なげやりじゃないですよ!
もう、上手すぎです!
真似したいくらい!w

317:水梨:2014/01/21(火) 00:14 ID:zVQ

全然うまくないですよ・・・。でもうまいっていってくれてありがとうございます!
久しぶりに行きます。


 「とにかく、さっさとお父さんとこ――診療所に、戻んないとだろ」


なぜそんなにも意固地になっているのかは知れないが、この雨の中1人でいる麻美を放っておける
わけがなかった。彼女の手を無理やり引っ張って、診療所に向かおうとする。

 ――っても、診療所がどこかわかんねーや。



 「パパのところにはもどれないよ」




 「・・・え?」


唐突に麻美が放ったそれの意味。その理解は沢田にはたやすいことではなかった。




 「・・・何言ってんだよ。あんたのお父さんは手術頑張ってんだろ。

  そんな時こそ娘のあんたが近くで見守ってやるべきじゃねーか」


自分だって、宮原が心配だ。今すぐにでもあいつのもとへ行きたい。

けれど、今の俺にそんな資格はない。




 
 
 「しゅじゅつね。パパ、がんばりきれなかったの」



 その言葉の意味は、理解しがたい。


 その意味を、理解したくない。

 
 したら最後、戻れなくなってしまう。


沢田の中で、警報が鳴り響いていた。

 
 ――これ以上きいたら、お前、どうなってもしらねえぞ?

 ――このガキをおいて逃げたっていいじゃねえか。聞くよりはずっとましだ。


 
 ナニモ、シラナクテイイ。


 シルヒツヨウスラ、ナイ。







 ダカラ、サヨナラ――




 「どういうことだよ?」






 

 ・・・アア、アケテシマッタンダネ。


 ソノパンドラノハコヲ。


 モウコレデ、ヒキカエセナイ――。



麻美の口角が、上がった気がする。

 お前が、この箱を開けてくれるのを待っていたよ、とでもいうように。

 

 「パパはね。しんじゃった」
 

318:水梨:2014/01/22(水) 21:19 ID:zVQ

 

 やっとオリキャラなし回です。


 大石は、沢田のあとを追いかけることにした。彼が逃げ出すつもりかもしれないという心配も
あるが、本当に心配なのは彼が追いかけていった麻美の方だった。

 彼女は持っていたメスでいったい何をするつもりなのか――。

そして彼にはもう1つわからないことがあった。

麻美は梨花と一緒に診療所に行ったはずだが・・・梨花はいったい何をしているのだろうか。


時間ないのでいったん切ります。

319:みれん(//_☆):2014/01/24(金) 14:57 ID:NF.


いや〜_(^^;)ゞ2日連続学校休んじゃいましたぁ

撮影の合間にちょこちょこ小説よんでるよ♪

恋愛ばっかやから、きばらしにちょーどいいの笑

めっちゃ水梨さんの小説面白いから楽しみやで♪

そろそろ撮影行ってきます!!

小説がんばってねぇー(//_★)

320:水梨:2014/01/24(金) 16:14 ID:zVQ

みれんさんありがとうございます。久しぶりですね。百人一首ぼろ負けですww

321:みれん(//_☆):2014/01/24(金) 17:05 ID:AJI


学校お疲れさんっ(*^^*)

百人一首したんやぁー笑
うちの班もヤバいよ?笑

絶対優勝無理やね笑

今から家でのシーン撮るねん(T-T)
めっちゃ恥ずかしいで?笑

322:水梨:2014/01/24(金) 17:26 ID:zVQ

頑張ってください!

323:& ◆ZcIA:2014/01/25(土) 14:02 ID:AJI


今は東京なぅやねん(T-T)

3日で疲れがヤバいんやけど...

まぁー泊まるとこが綺麗やからいいけど笑

ちなみにのんさんと廉さんとなりでひぐらしよんでるわぁー笑
読んでる時の二人のリアクションが笑

今からちょっと休憩あるからしげと買い物いくなぁー

水梨さんの小説更新待ってるよぉー♪

324:ユリカ マヤ:2014/01/25(土) 15:29 ID:G1A

水梨さん、久しぶりです!
つい最近、地域内で引っ越しをしたので、
来れませんでした、すみません!!
しかも、前よりも電波が悪いので、前よりも来れなくなったら、
すみません!
後、また来れなくなると思います、
片付けや隣の人に挨拶をしないといけないんで、
落ちついて電波が良かったらきます!
それまで待っててください!
そんなに時間は掛からないと思うんで!

325:水梨:2014/01/25(土) 18:11 ID:zVQ

わかりました!

326:水梨:2014/01/25(土) 23:35 ID:zVQ

続きかきます。まどマギ叛逆に進撃の自由の翼あわせたのがすごすぎるww

 
 そもそも梨花はしっかりと彼女を見ていられなかったのだろうか?

 ・・・よく考えれば、梨花だってまだ一人前の大人というわけでもないのだ。

だからまだまだ子供である彼女に、子供を預けること自体がいけなかったのかもしれない。


 「大石さん!」

背中に少年の声が声がかかる。

大石だけではと心配した圭一たちもついてきてしまったのだ。


 「麻美ちゃんがどこ行ったのかわかるんですか?」


 「――先ほどの麻美さんの質問からして、時雨のいる鹿骨市の拘置所に向かおうとしているはずですが・・・。

  まだ彼女は小さいからそう1人でそんなところに行けるもんじゃないから、どっかで道に迷ってる
  かもしれませんねぇ・・・」



 「ていうかなんであの子がそんなとこに行く必要があるのかなーって、おじさんは思ったんだけど。




  ―――たぶん時雨を殺すつもりだと思う」




 わかっていた。彼女の不可解な行動を動かす理由は。

これは大石のような長年の刑事のカンが働かなくても大体は予想できる。


 麻美が向かおうとした先は時雨がいる場所。そして彼女の手に握られるはメス。

これで条件は揃ったようなもの、だが・・・。


麻美が時雨を殺したいと思う動機がわからない――




 いや、これも推測できる。だからあえてもう、答えを導き出そうじゃないか。



 「私ねぇ・・・。過酷だな、って思うんですよ、運命は」



 「・・・・・・?」


 「・・・」

圭一だけは間の抜けた顔をしていたが、レナや魅音、詩音はさらに深刻な顔つきになる。

空気を読み取り、大石の言っていることはふざけでも何でもないのだと圭一は思った。

 

 
 「あんな小さな子供にでもね、容赦ないんですから」



 「・・・それはつまり?」


詩音は答えを促す。大石の今の言葉の意図を、はっきりと彼自身に告げてもらうために。


だから大石は認めたくなくても答える。言葉を、絞り出す。
 

 「麻美さんのお父さん――たぶんもう、この世にはいないでしょう」






 

 「・・・え?」


沢田は目の前の少女の言葉が、何一つ理解できなかった。


 しんだって?

 だれが?

 パパが?




 だれの?


急にふっと肩の力が抜けて座りこむ沢田を一瞥してから麻美はやはり冷たい目で見下ろすと、
言った。



 「ああ。ごめんなさいおじさん。おじさんはパパのおともだちだったんだもんね。

  いきなりこんな悲しいこと言われても、すぐにはりかいできないよね」


彼女の言葉は虚空に消えていく。沢田の耳に入ることはなかった。

 彼の心は、仲間の死を受け入れられていなかったからだ。

 彼の目から涙がとめどなく流れていく。

出せるのは、せいぜい嗚咽だけだった。


 「でもだからこそ麻美は、ころそうと思った。麻美から大事なものをうばったあの人が
  ゆるせないから。わかるよねおじさん」


麻美の漆黒の瞳が、俯いた沢田の顔を見つめる。


 そしていったん顔を沢田から離れさせて、一呼吸置いた麻美は、手のメスを、自分の顔に向けた。



 「けど、さがしてもさがしてもさがしても、あの人が見つかることはなかった。

  もっとさがせって怒るかもしれないけど――麻美、つかれちゃった。





  だから麻美もね、パパと一緒にいることにするよ」
 

327:水梨:2014/01/26(日) 17:04 ID:zVQ



 そう言って麻美は、メスを自らの顔に刺そうとする。


 「――っ!!」

気がつくと、沢田は彼女の持っていたメスを奪おうと体が勝手に動いていた。

しかしそう簡単に奪えるものではなく、こんな小さな少女の力と互角だとは我ながら情けなく思う。

 
 「何やってんだよ・・・!」


 「じゃましないでよお!おじさんは大人だから、ともだちが死んでも立ち直れるんだろうけれど、
  あさみはそんなかんたんにわりきれないよ・・・!パパがいないなんていやだもん!」

 

 「・・・・・・俺だってっ」

岡部の死を、乗り切れたわけではない。折り合いをつけられたわけでもない。
そんなすぐに割り切れるわけなどないじゃないか。

今にも全身が張り裂けそうなほど心が痛い。

この感情は、悲しいとか、辛いとか、そんな簡単な言葉で言い表せるものではないのだ。



 だから・・・だからこそ。


 

 「俺の前で、誰かが死ぬのは・・・もうたくさんなんだよ・・・」



今まで見殺しにしてきた子供たちの数――何人くらいだっただろうか。
もう数えきれないほどだった。

誰かが、殺されて悲鳴をあげるたびに、耳をふさぎたくなった。

本当は、本当はみんな、助けたかった・・・。



 「・・・何人もの子供を見殺しにしてきた俺が言うのはただのエゴだ!我が儘だ!  

  
  こんな俺に言う資格なんかねぇけどさ・・・、死ぬなよ!」


麻美の抵抗する力が、少し弱まった。


 


  

  

 

328:ユリカ マヤ:2014/01/29(水) 22:09 ID:ZnU

沢田さん、結局いい人ですね!
麻美ちゃんには、まだ生きていて欲しいです!

挨拶を遅れました!
久しぶりです!水梨さん!
だいたい、ご近所さんに挨拶は終わった?ので、
来ました!
自分の場所も片付け終わったので!
後は、他の部屋ぐらいですが。
相変わらず、電波が悪いなかゲーム、pcをやってます!w
(家族の目を盗んでw)
とにかく、挨拶?はこれぐらいにして…。
小説上手ですね!羨ましいです!
更新頑張ってくださいね?
応援してます!

めちゃくちゃですみません!!

329:水梨:2014/01/29(水) 23:37 ID:zVQ

更新がんばります!


 「・・・・・・じゃあ、おじさんのいないところで死ねばいいんだよね?

  そもそもなんでおじさんが悲しむ必要があるの?パパのこと悲しむのは友達だから
  わかるけど、麻美とは何のかんけいもないよ」


 「ある!!・・・俺は、あんたを頼むって、その友達に頼まれたんだよ・・・!!」



 ――ああ、もう。しつこいなあ。


降りやまぬ雨の中、こだまするのは麻美のため息。



 力を振り切って沢田の手を払い、彼と距離をとってから今度こそメスを自らの体に向けて動かす。



 ふと、麻美は目を閉じた。凶器が自らに迫ってくるのを見るのが怖いわけではない。

いつか父が言っていた、「そうまとう」を見るためだ。

 ・・・少しばかりこの場には似つかわしくない表現であろうか?しかしこの際そんなことはどうでもいい。



 
 ――ごめんねパパ。じゃまがはいっちゃったけど、麻美もパパのところにいくよ。


   仇のあの男はころせなかったけど、ころしちゃダメってパパ言ってたもん。


   ゆるしてくれるよね?




 
   これで、麻美は、ひとりぼっちなんかじゃないよ――





 ズブリ、と体にそれを貫通させた。



 内臓をえぐるような感覚と、襲ってくるであろう痛みに




 

 
 ・・・痛みは、やってこなかった。



 ――確かに刺したはずだ。


 感覚はあったのに、どうして・・・!?





嫌な予感がして目を再び開けてみると、


 そこには、沢田がいた。


 
 黒のジャージを着た背中は、黒なのに、赤いとわかるほど真っ赤に染まっていて、

 その背中から、尖った銀色のそれが生えていた。

330:水梨:2014/01/29(水) 23:55 ID:zVQ

久しぶりに梨花たち視点で・・・。


 

 入江診療所では、梨花と羽入が対峙するようにお互いを厳しい目で見つめあっていた。



 「・・・じゃあ、奇跡が起こらなかったのはどうして?


  岡部と麻美はどうして幸せになれなかったの?」





羽入は俯き、彼女の顔に影ができる。


  


 「・・・・・・梨花は、きっと過信しすぎていたのですよ。奇跡を」



 「・・・な、によそれ。どういうこと・・・?」

羽入の言った意味が全然わからなくて、問い返すが、羽入は梨花に背を向けると前に進んでいく。





 「だめです。自分で考えて答えを出さなければ、きっとあなたの納得できる答えにたどり着けませんです。


  だから私に答えを求めるのではなく、自らで進み、成長していかなければなりません」


――そうだ。もう1つの、あったかもしれない世界。

  そこはみんなが幸せで、罪が全くない世界。


  そこで梨花は選択を迫られた。


  罪のある世界を生きるか、罪のない世界を生きるか。



 結局羽入はそのとき梨花に答えを示してくれることはなかったけれど――

  
 「私は、あなたがあなた自身で最良の答えを出せると信じています」


それが正解なんだ。

梨花が選んだ世界は、罪のある世界だったけれど、本当にこちらの世界を
選んでいいのかわからなかったけれど、自分が悩んで悩んで出した答えなら、それでいい。



 「それと梨花、最後に1つだけ」


 「?」



 


 「奇跡は、本当にあるのです。昭和58年6月の運命を打ち破ったことを、奇跡と呼ばずに
  なんと呼ぶのか。いつかの世界で圭一が別の世界のことを思い出せたのも、沙都子を救えたのも、
  全部奇跡があったから・・・」



 「・・・・・・」



 「・・・僕は麻美を探しに行ってきます。梨花も気持ちの整理がついたら探すのを手伝ってください」



それだけ言うと、彼女の姿はだんだん小さくなって、梨花の目の前から消えていった。

331:みれん(^ヮ^=):2014/01/31(金) 23:25 ID:gQk


更新お疲れ様ですー(*^^*)♪

水梨さんの小説待ってますよー♪

332:水梨:2014/02/01(土) 00:04 ID:zVQ

みれんさんありがとうございます。



 早く。早く見つけ出さなければ。

入江は後悔していた。――やはり、一人にしておくべきではなかった。

自殺でもしようと考えているのではないかと思うとぞっとする。

だから彼は走る。

 (これ以上私の前で人は死なせない・・・!!)

村中を走っていると、頬に冷たいものが伝わった。
すぐに雨だとわかる。しかし傘を持ってこなかったことに後悔している暇はない。


 

 「麻美さん!いるなら返事をしてください!!」



 入江の声は虚空にこだました。


 ――私の声は、また届かないのか。


あの時――入江は思い出す。


 いつからか、父は母に暴力を繰り返していた。

入江が医学部に合格した時には2人手を取り合って涙ながらに喜んでいた。
それぐらい仲睦まじい夫婦だったのに。


 ――しかし、自分に暴力をふるい続ける父を、母は憎むようにまでなってしまった。

後に専門家の医者に聞けば父の暴力は、事故による脳疾患によるものだったことがわかった。


仕事先で頭を強打してからだんだんと暴力に溺れるようになったと母も言っていたのだから。

だから、話せば母だって、父のことを赦してくれるかもしれないと思っていた。


 そんな小さな期待もはかなく散っていった。
 母は父を赦すことなく、なくなってしまった。



 だから、これ以上すれ違いで人々が不幸にならなくても済むように。



 入江は走りながら思い出した。






 岡部を担架に乗せて、集中治療室に運んでいた時。


 まだ彼の意識が、少しあった時。



 『入江・・・先生・・・。ひとつ・・・頼み、ごとを・・・ゲホッ、さ、せても・・・らっても、
  いい、ですか・・・?』


 蚊の鳴くような小さな声を、入江は必死に耳を傾けた。


 『なんでも!なんでもおっしゃってください!』


入江の言葉を聞いて、よかった・・・、と岡部は安堵した。


 
 『麻美と・・・、沢田に・・・、伝えたい、ことが・・・ある・・・んです・・・。
  どうか、俺の、かわりに・・・』



 ――そう言って、彼は、2人に伝える内容を入江に話した。


もし麻美が自殺でもしようと考えているのなら、はやく、岡部の言った言葉を彼女に聞かせて
やらなくてはならない。
 

 

 「麻美さん!麻美さん!」








 土手の、ところ。


そこには、傘もささずにずぶぬれになったままの、地べたに座り込んだ少女がいた。

この時間にこんな場所にいる少女と言えば麻美以外に思いつかなかった。



 「麻美さんっ!麻美さんですよね!!大丈夫で・・・・・・」


麻美であろう少女のもとに駆け寄った入江の言葉は止まった。




 なぜなら、男が、赤黒い液体を流して倒れていたから。そして少女――麻美の手には、
 メスが握られている。


 

 「あさ・・・み、さん・・・」



 

333:ユリカ:2014/02/01(土) 20:18 ID:sNw

麻美ちゃん…もしかして殺しちゃったんですか!?
それよりも、入江さん、麻美ちゃんの、お父さんに、
なんて言われたのか気になります!

334:水梨:2014/02/01(土) 22:41 ID:zVQ


 入江は、己の目の前に広がる光景が信じられなかった。


 ――まさか、麻美さんが、沢田さんを・・・!?



 「あ・・・」

彼女からも、やっと絞り出して出たような、そんな小さな声が放たれただけだった。


 
 「麻美さん・・・。これ・・・・・・、あなたが・・・?」



 「・・・・・・っ!!」


麻美は肩を震わせると、よたよたと入江に近寄って、彼の服の袖をつかむ。




 「・・・どう、しよう・・・せんせえ・・・・・・。


  おじさんが・・・おじさんが・・・


  しんじゃったよお・・・・・・」

嗚咽交じりに、泣きながら訴えるその眼は、沢田を助けてほしいと言っていた。


  


そうだ。まだ死なせない。絶対に。




 
 動揺している暇などない。入江は倒れた沢田のもとに近寄り、脈をはかる。



 脈の音は、きこえていた。とても弱々しいけれど、まだ生きていることがわかる。



 「・・・大丈夫です!今度は絶対、死なせたりなんかしません!

  この人だけは、助けますから!」


彼がこのようなことになった原因は後で麻美に聞けばいい。

入江は沢田を抱きかかえて診療所に連れて行こうと走り出す。



 麻美も急いで入江のあとに続いた。



 (まだ、伝えられてない。岡部さんの、沢田さんへの伝言を――!!)



 
                     *



 「岡部さんが、死んだっ・・・・・・て・・・?」




 大石は苦虫をかみつぶしたような顔をして、声に出すのもやっとな圭一に、うなずいた。




 「みんなはもう、わかってたのか・・・?」




 圭一がゆっくり仲間たちの様子を見ると、詩音は目頭を押さえ、魅音は悔やむように俯き、レナは涙を流していた。



 
 皆の態度で、本当に岡部はこの世にいないのだということを実感させられる。



 
 「・・・なんで、だよ・・・。せっかく、沢田さんとも会えたのに・・・。

  また麻美ちゃんと、幸せに暮らせるはずだったのに・・・。


  なんで・・・こんなことに、なっちまうんだよ・・・・・・!!」

335:ユリカ:2014/02/10(月) 21:50 ID:hn6

沢田さんが、とうとう…………
奇跡とかで生き返らないかな?…なんて…。
ありませんよね?多分。
出来ればあって欲しい!

またまたまたまた、来れなくてすみません!

336:水梨:2014/02/10(月) 23:53 ID:zVQ

ユリカさん久しぶりですね!やっと禁書目録4話までみました!

337:J:2014/02/11(火) 21:01 ID:k7Y

水梨さん久しぶりです!
書目録の3・4巻(妹達編)が大好きなんです!私!
おすすめですよ!

でも私、超電磁砲の方が好きなんですが…w

でも、楽しんで読んでね!
私が言える事ではないが…。

338:ユリカ:2014/02/11(火) 21:02 ID:k7Y

↑私です!

339:水梨:2014/02/12(水) 21:40 ID:zVQ

頑張って禁書目録見てから超電磁砲にいきます!でも最近魚の骨をのみこんだので少しアレです・・・。

340:ユリカ:2014/02/13(木) 20:22 ID:w82

私も昔はよく鮭の骨を飲み込んでは吐いてましたよw

341:ユリカ マヤ:2014/02/16(日) 20:16 ID:Qw.

ひぐらしの曲なんですが、この曲知ってますか?

withひぐらしのなく頃に 絆
と、もう一つか三つあるんですが、
絆の方は、部活メンバーのほとんど皆が歌っているやつなんです。
あと三つ?ぐらいは一つの曲ずつに、
レナ・さとこ・梨花などか歌っている曲があって、それがいい曲なんです!
もし、知らなかったら聞いてみてください!
とてもいい曲ですよ!

342:水梨:2014/02/17(月) 19:53 ID:zVQ

骨には気を付けないとですね。それと、ひぐらしのなく頃にwith you絆のことですか?あれめちゃくちゃいい曲
ですよね!最初のイントロから素晴らしさを感じましたよ!

 あと、「dear you cry」と「dear you feel」と「dear you kind」と「dear you hope」、こちらも素晴らしいです!
涙腺崩壊ものですよね!あと二次で圭一とか羽入とか鷹野さんのとかもありますよね。

それと、私が一番好きな曲なんですけど、「こころむすび」知ってますか?youを歌ってらっしゃる癒月さんとか、
そらのむこうを歌ってらっしゃる、結月そらさんとかがオールスターズで歌ってる歌なんです。

「誰もが本当に幸せになる権利を〜」からの部分が個人的にいちばん好きなんですけど・・・。

343:ユリカ }:2014/02/19(水) 23:03 ID:7iw

英語?の方は私も好きですよ!
いいですよね!!!!
(ごめんなさい!いっぺんに英語は無理なんです!見ないと!)
『Dear You-hope-』
なんですけど、個人的に勇気をもらいます!
ちょっとだけ、話変わるんですが、
この曲って結構、歌うのに息づかいが大変そうだな…と思いました…私。
こうゆうところは、声優さんやアーチィストって凄いですよね!

『こころむすび 』は聞いた事ないです、私。
今度、聞いてみます!
オールスターズで歌っているんですね!
聞いてみたいです!
でも、電波が悪いからユーチューブは見れないんです…。
制限?が掛かるので…。
良くなったら聞きます!

後、明日から試験なので頑張ってきます!2日で終わりだけど、
来週は学力状況調査なんで両方頑張ります!

344:水梨:2014/02/20(木) 17:38 ID:zVQ

試験ですか!大変ですね。頑張ってください!私も2週間後にはテストなんで頑張ります!

345:水梨:2014/02/21(金) 20:10 ID:zVQ

超久しぶりに続き行きます!


 「・・・・・・っ」




 岡部は死にたくない、とあらんかぎりの声で叫んでいた。その顔は涙と鼻水にぬれて不格好で
あったが、娘や仲間への思いは本当だったと圭一は思っている。



 その中で、大石はまたつぶやいた。



 「私は・・・自分が情けなくなってきますよ。雛見沢の住人の命を背負っているとか偉そうなことを
  言っておいて、結局まもれなかったんですからね・・・」


彼の言葉にも、圭一たちは返せる言葉を持てなかった。

聞こえるのは、いつの間にか降り出していた雨の音だけ。

その音が、圭一たちを責めているように思えた。


 もしかしたらもう、あの人は――岡部は、わかっていたのかもしれない。

 自分の命がもう長くないことを。


 だから娘の麻美を、仲間の沢田に頼んだに違いない。






 「この雨の中でどうしたんだいあんたたち!」




 「――母さん」


現れたのは、傘を持った園崎茜であった。魅音と詩音は母がそばにいるという安心感に涙腺が緩む。


今日はここまでです!
 



ところで圭一って茜のこと何て呼んでました?


 

346:ユリカ:2014/02/25(火) 21:37 ID:EhU

えっと、確か『魅音のお母さん』か、
『魅音のおばさん』だったような…。

茜さん、出てきましたね!
皆を導いてくれそうです!
続きを楽しみにしてます!

347:水梨:2014/03/02(日) 21:08 ID:zVQ

ありがとうございます!すいませんがそれつかわさせていただきますね!

明日はテストなので頑張りたいです・・・。

そしてまた質問です。ひぐらしで何かいいネタありますか?

348:ユリカ:2014/03/07(金) 19:42 ID:Xkg

どうぞ!使ってください!

いいネタですか?う〜ん…そうですね……。
違う世界に飛んじゃう話とかどうですか?
違う世界じゃなくても、現在とか。(平成です!)

349:水梨:2014/03/07(金) 20:33 ID:zVQ

おぉ!なんかめっちゃ面白そうです!考えただけでわくわくします!
たとえば圭一たちが現代に来たらスマホとか見たりしてうおーってなってそう・・・。
ディズニーとかいったらどうなるだろう・・・。
逆に江戸みたいな昔の時代に来るのも面白いな〜って感じですね!

あと、違う世界というのは違う漫画とかとコラボするってことでしょうか?
クロスオーバーって面白いですよね!スレで銀魂とのクロスがあったんですけど、本当に面白かった
です!

でも前世の話も、今の話が終わったら書きたいなあと思っているので、違う世界の話は前世の話が
終わったら書いてみたいと思います!

ユリカさん、面白いネタを考えてくださってありがとうございます!

350:水梨:2014/03/09(日) 21:38 ID:zVQ

続きかきます。


 
 「母さあああんっ!」

魅音と詩音は茜に抱きついた。雨は冷たいのに、暖かい母のにおいが、より2人を安心させた。



 「おっと」

茜は抱き着かれた反動で倒れそうになるが何とか重心を保つ。


 「・・・魅音の母さん」


なぜここに?――いや、さすがにこの時間まで娘が帰ってこなければ彼女だって心配するだろう。

 それが親というものだと、圭一は思っている。

 父の伊知郎と母の藍子は仕事で東京に出かけていて今、家にはいない。だから彼らは自分がまだ家に
帰っていないということすら知らないのだ。



 「・・・その様子じゃ、美作とかいうやつから聞いたけど、
  沙都子ちゃんが誘拐されて、やっぱり助けに行ってたんだね?」


 「うん・・・。でも、でも・・・。岡部さん・・・死んじゃった・・・」



 「・・・・・・」



 

351:水梨:2014/03/09(日) 21:58 ID:zVQ


魅音の「死んだ」という言葉に、茜は大石に目を向ける。

大石は彼女の意図を読み取ったらしく、頭を下げる。




 「・・・笑ってください。この通り、警察は――私は、何もできなかったんです」




 「何も謝れって言ってるわけじゃないんだよ。あんたらしくない。ほら、顔をあげな」



彼女に言われて、大石はゆっくりと頭を上げる。



 「大体警察だって万能じゃないんだから、全部完璧にできるわけでもない。
  そもそも警察だって、時には刺し違えでもして死ぬかもしれない――そういう危険な仕事なんだろ?


  それなのにこれだけ無事なのはすごいことじゃないかい?

  あんたらがいなかったら、この子たちだっていつ、その誘拐犯にやられていたかわからないんだからね」



 「・・・・・・」


大石は目を伏せた。


 
 「それに――」

茜は圭一たちの方に向き直り、自分の前にある2人の頭を優しくなでる。

 
 「圭一くんも、レナちゃんも、もちろん魅音も詩音も頑張った」


 

352:水梨:2014/03/12(水) 22:17 ID:zVQ


 ――その言葉に、圭一は、いや、魅音もレナも詩音も。そして大石も。どれだけ励まされただろうか。


 「――と、それで、あんたたちは今こんなとこで何やってんだい?」

茜が聞きたい本題に筋を戻す。するとハッと気づいたように圭一が続ける。


 
 「そうだ!俺たち、沢田さんを追いかけてて・・・」


 「沢田?」

初めて聞いた名前に、茜は首をかしげ、それにはレナが付け加えた。



 「誘拐された女の子――麻美ちゃんのお父さんの、仲間の人なんです。
  様子がおかしかった麻美ちゃんを探しに行ったっきり戻ってこなくて・・・」


話し終えるとため息をついて茜はさらに続ける。




 「・・・とりあえず、私たちは病院にでも待機しようじゃないか。美作とかいうやつの話によれば
  そこに梨花ちゃんがいるんだろ?」


 彼女の言いたいことは、わかっていた。こんなに大人数で探しに行ったとして、沢田に会えるとは限らないし、
すれ違うかもしれないのだ。

それに沢田は大人だ。きっと彼女を連れて戻ってこられるはずだ。


 「・・・・・・」

その提案に、大石は少しばかり渋っているようだ。その理由は茜を除く圭一たちには何となく予想はつく。


 「大丈夫じゃないですか?あの人は逃げ出したりなんかしませんって」

茜から離れ、詩音は大石を安心させようと明るく言った。



 「・・・いや、そうじゃないんですよ。麻美さんには梨花さんがついていたはずです。
  さっきからずっと考えてたんですよ。今梨花さんは何をしてるのかな・・・とね」




                        *



 「もうすっかり夜なのです・・・」

梨花と別れ、麻美を探すために診療所を出た羽入の目の前に広がるのは太陽はとっくに沈んだ
静かな夜の景色・・・そして、雨がザアザアと降り注いでいる。


 「傘を持ってくるのを忘れたのです・・・。ケチラッション隊隊長なのに、
  情けないのですよー・・・」

1つ大きくため息をつきながら彼女は思う。

 隊長なのに情けないと。でもそれは、傘を持ってきていなかったからではない。もちろんそれも少しは
あるが、そのようなことは些細な話である。


 彼女がこのような戦隊ごっこを始めたのは、確かに戦闘アニメがきっかけであった。


 しかし主な理由は、やはり困っている人を助けたいという一心だったのだ。

 今までの世界でただ見ているだけであった羽入は、自分から行動を起こし、誰かを助けたいと思うように
なっていた。



 結局、岡部は死んでしまった。・・・麻美は、悲しむだろう。

梨花には奇跡はあるといったが、実は羽入自身自分に納得できていない部分が、確かにあったのだ。


 いわば、「逃げた」のだ。梨花に「答え」を出してくれることを期待して。

 少なくとも羽入はそう思っている。

 だって私じゃわからないから。


 岡部が死んだ理由は、「運の悪さ」だけで片付けてしまっていいものではないと思うけれど、
じゃあ先ほど梨花に言った「奇跡を過信しすぎたから」なのかというと、やはりそれも違うのかもしれない。


 そもそも人の死なんて、だれにも止められないのかもしれない。

 羽入が神様だからと言って、彼を生き返らせることができるわけでもないのだ。



  

353:水梨:2014/03/13(木) 15:01 ID:zVQ

 しばらく歩くと、2つの影が遠くから見えてきた。


 「・・・・・・あれは」


1つは今にも消えそうになりながら向かってくる小さな影。もう1つは地面をしっかり踏みしめ、
前に走り進む大きな影。




 
 その姿はだんだんと少女と1人の男になっていった。


 もしかして。入江と麻美だろうか。
 
 羽入は呼びかけようと走りかけるが、その足を止めた。


 2つの小さな影は確かに入江と麻美だった。しかし、入江の後ろには沢田が背負われていたからだ。


 「入江、麻美!」



 「・・・羽入さん」

そして彼らの面持ちは、少しばかり暗かった。2人とも肩で息をしている。走ってきたからだろう。



 「麻美を見つけたのですね、入江!・・・でも、なんで沢田までいるのですか?
  確か沢田は大石たちと一緒に・・・」


 
 

 「すみません。今は一刻を争うときなんです」

羽入とすれ違いざま入江はそれだけ言うと、走って診療所内に入って行った。



 一刻を争うとき?

何かあったのか?そう思いながら、入江の方に振りかえり、羽入は目を見開く。



 
 入江の、沢田を背負う腕――正確にはその腕を包んだ白衣に、赤黒いものがべっとりとついていた。



 「入江、けがを――っ!!」

そこまで言って気がつく。よくよく見れば、その血は、彼が背負っている沢田から出ていた。

 
 なぜ、沢田が・・・。


 「まさか、自分で・・・?」

 

 「ちがうよ」


沢田が自殺しようとしたのではないか、と考えた羽入に、麻美が答える。



 「麻美・・・?」



 「あのひとを傷つけたのは、麻美だよ」
 

354:水梨:2014/03/13(木) 17:28 ID:zVQ





 羽入の姿が完全に見えなくなってから、梨花は自らを奮い立たせるように、拳を握ってたちあがった。


 気持ちの整理がはっきりとついたわけではないが、今ここで1人で悩んでいても何もならないと思うから。


 本来の目的は麻美を探しに行くことだった。だから彼女もまた、外の方を探してみようと診療所の入口へと
足を進めようとしたとき。



 入江が男を背負ってこちらに走ってくるのが見えた。



 「入江!?」



 「梨花、さん・・・!」

肩で息を整えながら、入江は梨花の姿をとらえる。そしてよく見てみれば入江に背負われているのは
沢田であった。


 「すみません!今は非常事態なんです!!」

そう言うと入江はそのまま走っていった。



 ――――生臭い、鉄のようなにおいがした。


慌てて振り向く。よく見ると入江の方ではなく、沢田から、夥しい血が流れ続け、廊下にぽたぽたと
おちていく。


 
 (・・・どういうこと!?)


梨花の知らない間にいったい何がどうなったのか。なぜ沢田があんな状態になっているのか、彼女には
理解する術がなかった。




 思っている間に、入江の入った場所――手術室の上の「手術中」のランプが、赤く光った。



 
 梨花が呆然としていると、後ろから足音が聞こえてきた。音のリズムは一定ではなかったから、
たぶん2人以上の人間が彼女の後ろからやってきている。


 1つは毎日よく聞く足音だから――



 
 「・・・羽入ね」


振り返ると、そこにいたのはやはり羽入。・・・そして麻美。



 

355:ユリカ:2014/03/13(木) 21:31 ID:pyI

いえいえ、礼には及びませんよ!
ネタとか考えるの好きなんです!
でも、いいですね!他のアニメとかと合わせるのは。
そこまで考えていなかったです
でも、本当に面白ろそうですよね!
圭一達が、ディズニーを見た時の顔はw

今回も小説が上手ですね!
面白ろかったです!
続きが気になってきます!

梨花ちゃんは麻美ちゃんになんて話かけるんでしょうか?
気になります!

どうでもいい話なんですが、今日は卒業式でした!
(私じゃないですよ?)

356:水梨:2014/03/13(木) 22:02 ID:zVQ

私のところは明日が卒業式です!って言っても私じゃないです。

続きかきます。


 「どこに行ってたのですか?麻美。入江、心配してたのですよ」


 「・・・そっか。おねえちゃんにもめいわく、かけちゃったんだね。ごめんね」

困ったように笑う麻美。その横にいる羽入の表情が、どうにも暗い。


 「まあ結果的には見つかってよかったですけど・・・・・・。沢田は、なんで
  怪我してるのですか?」

梨花は問いながらちらりと羽入に視線を向けた。

すると彼女はさらに麻美に目を剥ける。


 
 それを見ていた麻美はそうだよね、と笑う。


 「これは麻美が答えるべきことだもんね。他人に言わせちゃダメなんだよね」

すぅ・・・と深呼吸して、麻美は続ける。




 
 「麻美が、刺しちゃった」




 「!」


言葉が、出なかった。つまり、羽入の表情が暗かったのはそういうわけだったのだ。


 ――しかし、彼女が故意的にそのようなことをするはずがない。拳を握りしめ、問い返す。

きっと、何かの事故だったのだろうと信じて。








 「どうして沢田を刺してしまったのですか?」





 




 「・・・・・・」

麻美は押し黙ったまま、何も言わなかった。









 「本当のことを言ってくれないと、ボクは麻美のことをただの殺人者と見てしまうかもしれないのです。

  理由がないのなら、そういうことだと結果的に思われてしまうのですよ」




 「・・・っ!」


 
 「殺人者」―――。その言葉は、麻美の心に重くのしかかった。彼女は、最初は父を殺した時雨に
仇を討とうと診療所を出ていった。

 だからもちろん、関係のない人に危害を加えるつもりもなかったのだ。



 それなのに・・・。



 ぽろぽろと、とめどなくあふれる涙を抑える術を、麻美は知らなかった。


 けれど少しでも止めようと、麻美は話し出す。




 「麻美・・・・・・。もう、なにもかも、なにもかも、いやになったの・・・。


  パパのいない世界なんて、いやだったんだよ。

  だから死のうとしたのに、おじさんが・・・おじさんが、麻美をとめて・・・」


もちろん自らの死をじゃました沢田を責める気などなかった。




 「おじ・・・さんね・・・。麻美にね、死ぬなって言ってくれたんだよ」 

357:水梨:2014/03/13(木) 23:04 ID:zVQ


 
 「たとえパパに麻美を頼まれたからだったとしても、麻美のことを思ってくれたのはほんとなんだよ・・・。



  なのに麻美・・・。とりかえしのつかないことを・・・」


ぎゅ、と麻美のか細い体を包むようにして梨花は抱きしめる。

彼女の幼き体は震えていた。きっと今まで怖かったに違いないのだ。
これ以上彼女の口から語らせるには酷だと判断した梨花は、大丈夫、と一言告げた。
 




 「大丈夫。これ以上麻美の大事な人は、いなくなったりなんかしないのです」


 
 
 「でも・・・・・・パパは、パパは・・・」

この言葉は言いたくなかったが、これ以上いなくならないなんていう保証はどこにもない。
だから麻美はつい口にしてしまった。



 
 「お父さんは、きっと・・・安心したのですよ」



 「あん・・・しん?」




 「麻美にも会えて、学生時代の仲間にも会えて和解して・・・。

  彼にとって一番うれしかったことはそのことだと思いますです。

  きっと大丈夫って思ったからなのですよ。

  でも沢田は、岡部に頼まれたのです。『麻美を頼む』って。

  だから沢田は生きるのです。


  仲間との約束を守るために」



 


 「・・・ほんと?おじさん、死なない?」



 「本当なのです。今度は絶対、絶対、生きるのです!!」

実際そんな確証は、どこにもなかった。けれども、沢田は大丈夫。

根拠はないけれど自信が、満ち溢れる。だから梨花は言い切る。何度でも。









 「・・・うん。・・・うん!」


麻美は元気にうなずいた。

358:水梨:2014/03/14(金) 19:01 ID:zVQ



 気が抜けたのだろうか。

 
 ふらっと、麻美の体が傾いた。


 「麻美!!」

地面に倒れそうになる彼女の小さな体を梨花は抱きとめた。



 

 「大丈夫なのですか!?」

麻美の顔を覗いて、心なし彼女の顔が赤い気がする。


もしかして、と思った梨花は麻美の額に手をやって熱をはかる。


 ――やっぱりだ。



 「梨花!麻美は・・・」

同時に麻美を心配して座った羽入も、確信して梨花に問うた。


 「熱があるわ。・・・たぶん、雨の中を動き回ってたのかも・・・」



 「とりあえず、そのへんの寝室に寝かせましょうです。僕は濡れたタオルとか探してくるので、梨花が
  連れて行ってあげてください」

そう言って羽入はどこかに行ってしまった。



 それを見届けると、梨花は麻美を背負って、寝室を探そうと歩き出す。



 (・・・こんなに小さいのに。きっと辛かったわよね)


父が死んだだけでも、相当くるものがあるはずだ。
だから彼女は悲しみを復讐心にかえて、それを糧に時雨のもとまで行って彼を殺そうとしたのだろう。
そうでもしなければきっと彼女の心は壊れていただろうから。


それでも、時雨を殺すことは岡部だって望んでいないだろうし、殺したって彼女も罪に問われるだけだ。

だから沢田が彼女をとめようとしたことはきっと麻美自身の救いにつながったのかもしれない。


 それなのに彼まで死んでしまえば、きっと麻美の心は救えなくなるのだ。



 (だからお願い。奇跡があるなら、今度こそ沢田を救って――)



 
 しばらく歩いて見つけた寝室に、沙都子がいた。

彼女は再び雛見沢症候群にかかりかけ、C120の薬で今は眠っていた。その表情は比較的
穏やかで、過去のことにおびえて強張った印象はもうなかった。


 ――あなたにも、怖い思いをさせたわ。

汗と涙で湿った沙都子の髪を、梨花は優しくなでた。


 私があの時ちゃんと、沙都子をみていれば――



 って思うけれど、何もかも自分のせいにしてうじうじしていても何もならない。

だから、沙都子が目覚めたら、私は精一杯のごほうびをあげよう。
それはちょっとした、罪滅ぼし。

359:ユリカ:2014/03/15(土) 09:17 ID:zGY

今回も良い話ですね!
とても良かったです!

水梨さんも卒業式だったんですね!
日にちは違いますけど一緒?ですね!

360:水梨:2014/03/15(土) 22:09 ID:zVQ

この話もやっと終わりそうです。次回は一変して、ユリカさんのネタから少し拝借して、
「みんなが遊園地に行ってご飯を食べたりお風呂に入ったりご飯を食べたり旅館に泊まったり」と、ドタバタ劇を
繰り広げようと思います。本編に支障はありませんがオリキャラも多少登場する予定です。
主人公は圭一にしようと思います。


 

361:水梨:2014/03/16(日) 22:23 ID:zVQ

続きです。


 そして、再び集中治療室。


 
 (今度は、まだけがを負ってから時間はそうたってない――はず。
  しかし安心はできないだろう。そして今度こそ、死なせない)

入江は慎重に慎重に、傷口にメスをあてた――。




 
 

 やっとタオルを見つけた羽入は、水道でそれを濡らしてよくしぼり、麻美のもとまでもっていこうとしていた


 ――のだが、迂闊だった。梨花がどこに麻美を寝かせたのかがわからない。


 いっそ梨花とテレパシーなどで話せたらすぐに居場所がわかるだろうに。


昔は人々の頭に直接話しかける(つまりテレパシー)ようなこともしたのだが、神としての力が
あまりない今、その力は使うことができなかった。



 本日何度目かわからないため息をつく。


 思えば何とハードな一日だったことだろう。昨日の活動の比ではなかった。




 「梨花と麻美はどこなのですか〜?」







 「羽入!」

362:水梨:2014/03/17(月) 22:54 ID:zVQ




 後ろから聞こえた声に羽入はとっさに振り向いた。


 「圭一!みんな!」


彼らを見て、羽入は緊張していた心がふっととけるように軽くなるのを感じた。



 「ここに梨花ちゃんと・・・・・・・・・岡部さんがいるのか?」





 「・・・はいなのです」

たぶんまだ岡部の体は処理されていないはず。それを考えるとまだ手術室にあるものとみていいだろう。


そうか、とだけ圭一は短く答えた。残念だったな、とか、かわいそうだったな、とかいう言葉を言うのは違う
気がして、続ける言葉を圭一は持てなかったのだ。




 


 

363:ユリカ:2014/03/20(木) 23:33 ID:P9w

おぉ!面白そうですね!
圭一が主人公なのですか!
余計に楽しみです!

質問があったはずなんですが、
思い出したらまた書き込みします!

364:水梨:2014/03/21(金) 13:35 ID:zVQ

質問何でも聞いてください!私も次の話書くのが楽しみになってきました!ドタバタギャグ(?)の
つもりですが、部活メンバーなのでまたトラブルも起こるかもしれません・・・。今必死に頭を
練ってますので、とりあえずはやくこのシリアス話を終わらせようと思います。



 梨花はそろそろ沢田のことも気になり始めていた。沙都子や麻美はたぶん眠っているはずだから少しくらい
この場を離れても大丈夫だろう。


 
 彼女たちを一瞥して、梨花は寝室を出ていった。



 手術室に行くと、羽入や、圭一たち部活メンバー、大石や茜までもがその場にいた。



 「圭一・・・。みんな」


 「梨花ちゃん。岡部さんは・・・」


問うたレナに静かに答える。


 「たぶん手術室にいると思いますです。・・・それに、沢田も」



 「沢田さんが?」

反応した詩音に、今度は羽入が答える。


 「沢田は・・・今、怪我を負っています。死ぬか生きるかの瀬戸際です。
  入江は頑張ってます。


  ・・・だから、みんな信じてほしいのです。沢田は生きることを」


 
 「・・・・・・」



今麻美の話をすれば話はややこしくなるだろう。だから梨花たちは伝えたい要点だけを話すことにした。
なぜそんなことになっているのか、そう問いただしたくもあったが、真剣な梨花や羽入の目を見て、
全員、彼の無事という奇跡を祈る。










 



 ・・・一体、どれほどの時間がたっただろうか。



 
 だんだんと、大石や茜を除いたみんなはこっくりこっくりと首を上下に揺らしていた。


 無理もない。今日一日ずっと動き回ったのだから疲れていて当然だ。



 「・・・あんたも、少しくらい休んだらどうです?」

茜に気を使って大石は尋ねるが、茜は茜でいいや、と笑う。


 「私はこの子たちの分まで沢田とかいう男の無事を祈ってなきゃいけないからね。
  奇跡は、信じる奴は1人より2人の方が多いほど起こりやすいだろうから」



 ・・・これは、私も眠れませんねぇ、と大石は思うのだった。





 その時。手術室の扉が開いた。


  

365:水梨:2014/03/21(金) 13:41 ID:zVQ



 「・・・・・・大石さんに、園崎さん」


2人までここにいるのに驚いたらしく少しばかり入江は目を開くが、視線を梨花たちにむけた。


彼女たちも相当疲れていたんだろうなあ、と感じていた入江に、大石は続きを促す。



 「それで・・・どうだったんですか?沢田さん」






その時、ふと梨花の目が開く。沢田という言葉を聞いて、思い出したのだ。彼の無事を祈っていたことを。



 
 (もう手術は、終わったの?)












 「・・・・・・彼は、沢田直之さんは、



















  
  一命を、とりとめました。峠を、こえました!!」




 

366:水梨:2014/03/23(日) 23:11 ID:zVQ




 「・・・!」



 「それじゃあ・・・」


 「はい。もう沢田さんは、大丈夫です!」

顔を明るくさせる大石と茜に、入江も目いっぱいの笑顔で返した。







 「・・・・・・」


梨花は無性に泣きたくなった。そしてすぐに麻美に伝えたくなった。


 
だから彼女のもとに行こうとしたのだが、入江が止めた。


 「梨花さん?どこに行くんですか?」

 
 「麻美のところなのです!沢田のことを言いたくて・・・」


 「そういえば彼女、どこにいるんです?」


 「さっき倒れたので様子を見ると熱があったのです。だから今はその辺の寝室に寝かせてあるのです」


 
 

367:水梨:2014/03/25(火) 23:10 ID:zVQ



 「・・・そうですか」

入江は少し眉を下げる。きっと彼のことだから麻美のことを思ってすまなく思っているに違いない。


 「私も気になりますのでついて行っていいですか?」


だから、麻美は大丈夫なのだと少しでも安心させようとして、いいのですよと梨花は答えた。


 「こっちなのです」


梨花と、彼女に案内されている入江を見送って、大石と茜は、ぐっすりと眠っている圭一たちを見た。



 
 「・・・どうします?」

問うたのは、大石だった。

368:ユリカ:2014/03/29(土) 22:28 ID:XMc

良かった!沢田さん助かって!
次?の話を楽しみにしてます!
急いでこの話を終わらせなくても平気ですよ!
自分のペースで頑張ってください!

質問が2つあるんですが、
ずっと前から気になっていたんですが、
鬼隠し編で最後、圭一は公園で大石さんに、
電話をしながら喉をかきむしって死ぬじゃないですか、
その時、大石さんが電話越しに
『後ろを少しでもいいので誰がいるか教えてくたさい!』
って言った後、圭一が、
『振り向ける訳ないじゃないですか…』
って言い合いながら終わるんですが。
圭一の後ろにいた人って結局、誰なんでしょうか。
もうひとつ、似たような質問なんですが、
綿流し編で、詩音と圭一と三四さんが際具殿に忍び入るじゃないですか、
その時詩音が、
『何か音が聞こえないですか?』
って言った後少し経ってから、冨たけさんも
『何か音がして来たんだけど…』
って言った後、見終わった後、
際具澱を出て詩音が
『あの本当に音が聞こえませんでした?』
圭一が『え?』みたいな顔で、
『いや音なんてしなかったぞ』
詩音が
『ドンドンドン……って音が圭ちゃんには聞こえませんでした?』
って言って終わる?んですが。
結局、誰の仕業なんでしょうか?
分かりにくい質問ばっかりですみません!
もし分かったら教えてください!

長くてすみません!

369:水梨:2014/03/30(日) 19:24 ID:zVQ

質問について・・・たぶん両方羽入なんじゃないかなあと思います。圭一の場合だと、
「自分は何もできなかった」から、「ごめんなさい」って羽入は謝ってるんだと思います。
あと、詩音の祭具殿の話では、鷹野さんが、オヤシロさまの恐怖のこととか話してて、羽入が
「僕はそんなことしないのです!違うのです!」って地団駄踏んでたんだと思います。
皆殺し編でも、梨花が富竹さんと鷹野さんを祭具殿に入れたとき、鷹野さんがオヤシロさまの恐怖とか
語ってて羽入は泣きながら地団駄踏んでましたので。

それと話何とか頑張ります!

370:ユリカ:2014/03/31(月) 15:42 ID:1Vs

なるほど!ありがとうございます!
質問に答えてくれて!
羽入だったんですね!

小説の方頑張ってください!

371:水梨:2014/04/04(金) 23:56 ID:zVQ


茜が何も言わずに先を促すと大石は続けた。たぶん彼女も言いたいことはわかっているはずだ。


 「子供たち・・・もう連れ帰った方がいいんでしょうかね」


 「いつものあんたなら、警察としては補導してるんだろ?何を迷ってるんだい?」


 「ほら、やっぱり前原さんたちだって沢田さんを心配してるわけじゃないですか。このまま何も言わずに
  家へ返させてもいいかどうか・・・」

いつもあまり迷いのなく、何事も素早く判断する大石が、珍しく決めかねている。それが
少しばかり貴重に感じる茜は、ついふっとえみを漏らした。



 「・・・この子たちなら起きた時点ですぐに安否を聞いてくるだろうさ」

どうやら茜の意見としては、「家に返させる」ことらしい。


 「それに母さんや三郎さんだって魅音たちのこと心配してるからね。起きたらたっぷり説教されるだろうね、
  あの子たち」

くくっとまた笑って見せる彼女に、ついつられて大石も口元が緩む。


 「もちろん前原さんや竜宮さんのご両親もさぞ心配してらっしゃるでしょうねぇ。もう捜索願いも
  出されてるかもしれませんよ。んっふっふ」

 
 「・・・そういえば、梨花ちゃんや沙都子ちゃん、羽入ちゃんはどうするんだろうね」


 「あの子たちなら入江先生に任せておけば大丈夫でしょう。彼は雛見沢でも信頼できる医者ですから」



 「それもそうだね。・・・よいしょっと」


茜は魅音と詩音を起こさないように背負う。女1人で中学生の少女2人を軽々と持ち上げるのを見て、大石は
少しばかり感服してしまう。

――さすがは鹿骨の鬼姫。

大石も圭一とレナを背中にやって、茜とともに歩き出す。


 
 


 「・・・あれ。竜宮さん家、どこだったかな」

 
 「ちょっとあんた、警察じゃなかったのかい?それくらい覚えてるもんだと思ってたよ」


 「いよいよ物忘れが激しくなってきましたかねぇ、んっふっふ」

372:ユリカ:2014/04/09(水) 14:19 ID:GP2

大石さんが珍しく迷っているのは貴重ですね!
最近全く来れなくてすみません!
時々ですが、少しでも、
よく来れるように努力しますね!

小説続き楽しみにしてます!

373:水梨:2014/04/09(水) 16:25 ID:zVQ

実力テストがやばすぎる・・・。でも久しぶりに続き行きます。





 「・・・・・・・・・」

羽入は大石と茜の姿が見えなくなった頃から、目を開けた。


 2人は自分のことなどすっかり忘れていたのだろうか。それとも・・・


今まで自分が起きていることに気が付いていたのだろうか。


 後者ならありがたいが前者だとむなしい気持ちになるので後者だと信じることにする。
それに家に連れて帰ってもらったところで、今の古手家には誰もいない。梨花も沙都子も診療所に
いるのだから。

 
 「あの雰囲気じゃ僕も起きるに起きれなかったのです」


椅子から立ち上がって、梨花と入江が進んだであろう方向に足を向ける。もちろん麻美のために用意したタオルも
忘れずにだ。もう入江が処置を施しているだろうが。





 
 「ここなのです」

梨花は入江を案内し終えて、彼とともに麻美のもとへ歩いていく。


 
 「・・・どうなのですか?入江」

梨花の問いに、入江は短く唸ると、麻美の様子を確かめる。


 

 「――この様子なら、大丈夫です。でも一応薬を飲ませておいた方がいいので、向こうから持ってきますね」



そうして部屋を出ていくかと思いきや――入江はぴたと足を止め、振り返った。



 「梨花さん」


 「・・・みぃ?」



 「お願いしたいことがあるんです」


彼の表情はやはり真剣で。だからこそ梨花は彼の願いに答えようと思う。


 

 「麻美さんや、沢田さんが目覚めたら・・・。言ってあげてほしいんです。
 
  岡部さんからの、2人への伝言を」


 「伝・・・言?」

梨花は入江の言葉を反芻した。





 
 入江はうなずくと、ゆっくりと岡部の伝言を口にした。彼は忘れなかった。いや、忘れられなかった。

息絶え絶えになりながらも必死に大切な人に言葉を残そうとした岡部の姿を。彼の表情を。彼の科白を。


自分で話していくうちに、入江はいつの間にか頬に何かが流れていくのを感じていた。




彼女にも流れるそれを見ると、真摯に耳を傾けていてくれていることがわかる。



 入江は言葉を紡ぎ続けた。




 

374:ユリカ:2014/04/12(土) 22:25 ID:M4w

おぉ、入江さん何の伝言頼まれたか気になります!今でも。
でも、水梨さんどうやったらそんな、
感動するような話書けるんですか?
もうすごいです!
何か読んでると涙が出てきます…。
更新頑張ってください!応援してます!

375:水梨:2014/04/12(土) 22:40 ID:zVQ

応援ありがとうございます!感動していただけたのならうれしい限りです!
私自身書いてて飽きてきた感があったので・・・。梨花ちゃん暴走部分は感動を目指したらしつこさすら感じたので
路線変更して主人公らしいことをさせたいと思いましたが立ち直り早すぎたかなとか思ってます。
感動する話を書くときは感動するBGMを聞いて連想したりします。
そろそろこの話も終わりますので、次はギャグメインにしたいです。なるべく。圭一主人公で。

ところで質問してもいいですか?

 もし沙都子がかぼちゃだらけの国に来てしまったらどうすると思いますか?(実は夢オチで)

 

376:ユリカ:2014/04/13(日) 20:11 ID:M4w

ギャグメインですか!面白ろそうです!

質問の答えですが、多分さとこは…
『いやぁ〜!!!一面カボチャだらけですの〜!!見たくありませんわぁ〜!!』
とか言いながら涙目で走りまわって、
その国の人に、
『お嬢ちゃん、どうしたんだい?カボチャ食べたら元気でるよ?』
と言われてまた涙目で走り回って、同じ事を、
繰り返すんだと思います(笑)
そしてずっと走り回ってたら、詩音に合って、
『私がカボチャ嫌いな貴方の為に作ったんです、だから頑張って、
カボチャ嫌いを克服しましょう!』
って言われ、さとこは逃げ回るんですが、それに町中の人達が、
さとこを追っかけるんじゃないですか?(笑)
両手にカボチャを持って…。
多分…。
私、カボチャは好きだけど追っかけ回されたくはないな…(笑)
こうなると思います!

377:水梨:2014/04/14(月) 15:17 ID:zVQ

なんかいっぱい考えてくださってありがとうございます!それであの・・・次の話終わったら、
その話をネタにいろいろ考えていいでしょうか・・・?

378:ユリカ:2014/04/14(月) 23:23 ID:062

いいですよ!どんどん使ってください!
こちらこそ色々ありがとうございます!
こんな物語をネタに使ってもらえるなんて光栄です!
毎回ありがとうございます!

379:水梨:2014/04/15(火) 16:22 ID:zVQ

次の話を書きたくなってきたので早めにこれ終わらせます!



 
 
  
 「・・・・・・ふぁ?」

始めに目に入ったのは、いつもの茶色い天井ではなく、白い――そう、どこかの豪華な家の――



ではなく、診療所の天井だった。


なぜ自分はここで寝ているのだろうか。
そう考えた途端に昨日の出来事が、梨花の頭にどんどんよみがえってきた。



 
 そうだ。思い出した。沙都子も診療所で寝ているし、たぶん羽入もいるだろうということで梨花も
診療所で寝ることにしたのだ。服装はいまだケチラッション隊のものだったが。


それになにより、昨日入江に頼まれた岡部の伝言。

聞いていくうちに、岡部の娘と仲間への信頼と愛を感じるもの。

それを梨花は伝えなくてはならないのだ。まあ沢田と麻美が起きなければ伝えられないのだが。


 
 梨花はベッドから立ち上がり、走り出した。


 せっかくだから麻美と沢田、2人がその場に同時にいる時に伝えたい。

目を覚ましてくれていたらいいと思う。








                       *



 

  どこだっけ。ここ。


2,3度瞬きされた目の焦点は、白い壁に集まった。


 (――ああ、壁か)


 
沢田もまた、なぜ自分がこの場にいるのか理解できなかった。

何があったんだっけ。昨日。


 



 その瞬間、彼の頭に浮かんだのは、涙で顔をくしゃくしゃにした宮原――岡部。

 
 ――麻美を、頼む。


 
 
 その言葉とともにまたよみがえる幼き娘の姿。


 ――パパはね。死んじゃったの。



 「――!!」


沢田はもうすでに、この世にはいない。それを知ってまたあふれる涙。まだまだ、流したりない。



 ――だから麻美も死ぬことにするよ。



 ――だめだ。


   もうこれ以上、誰かが目の前で死ぬのは見たくない――





 「そうだっ!!」


腕に刺さっていた点滴をぶちっとはずして――痛かろうが、今はそんなこと関係ない――
麻美の姿を見つけようと走り出した。




 もしかしたらもう、すでに。

 でも走れ。死にそうになっているなら全身全霊をかけて止めろ。

昨日もそうやって、彼女がナイフを自らの身体に突き刺すのを止めたのだから。 

380:水梨:2014/04/20(日) 19:42 ID:zVQ



 
 腹のあたりが疼くが、そんなことはどうでもいい。
 
 ただ走るのみだ。



 

 「――沢田っ!」


 「!」


急に幼い声が自分の名を呼び、肩がびくっと震えたのを感じた。


 
 「もう大丈夫なのですか!?」


駆け寄ってくる青紫の髪の少女――ああ、昨日の子だ。思い出した。


 「あ、ああ。それよりあの子は――」


 
 
 「麻美なら大丈夫なのです!ぐっすり寝てますです」


 「そうか・・・」


沢田は安堵した。よかった。また自分を傷つけようとしていたなら次はどうやって止めようかと
考えなければならない。

 
 「みぃ、沢田」

少女はこちらを見上げる。彼女の瞳に映る自分の姿が、包帯や絆創膏だらけで(腹以外にも時雨に殴られた傷
とかがあった)どこか滑稽に見える。


 
 「ボクは今から麻美のところに行くのですが、2人に同時に伝えたいことがあるので、
  沢田も来てほしいのです」


 もちろん答えはOKだ。自分も元から麻美に用があるのだからこの少女についていきたいと思っている。

それに・・・その愛らしい表情で言われれば麻美に用がなくてもついていかなかければならないような気分に
なるだろう。


 
 「・・・ああ」


 答えるとその少女は「よかったのです。にぱー☆」と笑った。

またよくわからない擬態語?擬声語?――それは考えなくてもいいか――を使っている。


変わっているなとも思うが、それはこの少女の愛嬌なのだと思うと自然に笑みがこぼれる。



  

 
                      *


 よかった。

沢田を案内する梨花も、またそう思っていた。峠を越したとは入江から聞いていたものの、やはり
目が覚めるまでは不安が残っていたのだ。

 
 麻美は、起きているだろうか。起きてなかったら刺激的な朝を迎えさせようか。
別に変な意味ではなく、驚かせるとかそういう類で。


 足取りが早くなっていくのを梨花は感じていた。それでも所詮小さき少女の身なので、
自分に大人の男である沢田が追いつけないという心配はあまりなかった。


 
 そして見えてくるのは、麻美が眠る場所。


いよいよだ。いよいよ岡部の伝言を2人に話せるときが来るのだ。

梨花は寝る前も必死に入江から伝えられた言葉を頭の中で何度も繰り返していた。

 

381:水梨:2014/04/21(月) 23:04 ID:zVQ

なんかあまりにものシリアスモードに耐えられなくなってきたので1回の更新ごとに交代して
ギャグスト−リ−と今のシリアススト−リ−書くことにします!今の話もあと少しで終わるので。
沙都子のかぼちゃ話にしようと思います!でもユリカさんに提案していただけたネタを少し参考にしますので
よろしくお願いします。

 


 「地獄巡りし編」という題名でいきます。←安易な題名でした。すみません。でも思いつかないんです。
時系列は昭和58年9月ということにします。沙都子視点的な感じのスト−リ−なのでかぼちゃを
悪く言う部分があるかもしれませんが、私自身は結構かぼちゃは好きな方です。


 
 
 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


9月某日、雛見沢分校に少女の悲痛な叫びがあがる。いつもならば聞こえるのは少年の声だが、今日は
少女の声が響くことに分校の生徒たちは驚きを隠せなかった。


 なぜこんなことになったのか。

本日の部活の敗者、北条沙都子は項垂れた。


部長の園崎魅音が、今日の罰ゲームは敗者にとって嫌いなものに関連するものを利用するからとおぞましい
ことを言っていたので絶対に今回は――もちろん毎回だが、そう、特に今回は絶対に負けられないと
沙都子は意気込んでいた。

なぜか。沙都子の嫌いなものは部活メンバ−には周知の事実だから、
負けた暁には大量のかぼちゃを食わされるに違いないのだ。





 沙都子の前に、にひひひ・・・という声が聞こえそうな嫌な笑いで迫ってくるのは同じ部活メンバ−の前原圭一、
竜宮レナ、園崎魅音、古手梨花、古手羽入、
 


 ・・・・・・そして、フォークで突き刺したかぼちゃを私の口に向けてくる魅音の妹の詩音であった。




 なんで・・・なんで・・・こんなことになってしまったんですの・・・・・・。



彼女は後悔の念に明け暮れるが、今更悔やんでも取り返せないのは知っていた。

今になって普段負ける圭一の気持ちが分かった気がする。最近は2位や3位をキープしていたから、
負けた時の悲しみと恐ろしさを忘れていたのかもしれない。



 見ればその圭一は、久しぶりにビリにならずにすんだからか、(本日は4位であった)顔がにやけている。
その顔がいつにもまして憎たらしく感じる。
 
 いつもならば自分が圭一を見下ろし、高らかに笑っていたはずなのに、どうしてこうなった。





 「さーとーこっ♪今日はかぼちゃはいつもの3倍いれてあるんですけど、役に立ってよかったです〜!
  さ、いっぱい食べてくださいね!」

さぁさぁ、と、詩音はぐいぐいとそのおぞましきオレンジ色の物体を口に押し付けてくる。
逃げようにも魅音と梨花が手を押さえていて逃げられないので、何とか食べないように顔を横に動かす。
すると顔にそれが纏わりつく。

なぜか今の自分を見ている圭一の顔がいつにもましてだらしなく――まるで破廉恥なことを考えている
時のような――なっていて、必死に彼をにらみつけるが、何の効果もないようだった。首輪の
つながれた犬に吠えられてもある程度の距離さえ取っていれば怖がる必要はないのだから。

解放されたら得意の罠(トラップ)で仕返ししてやろう。



 「罰ゲームだから絶対に食べないとだめなのです。圭一もこのところずっと健気に
  女装を頑張ってるのですよ」



圭一の場合の方がまだましだ。フリフリのドレスを着て村人の前で恥をかくほうがよっぽどいいと思える。
・・・何せ人体に影響が及ばないのだから。


 あのおぞましい物体を口にしたら最後、体の中のありとあらゆる臓物(器官)が異常をきたし
そして最後にはのどを掻きむし(ry



 「そうだよ。部活メンバ−であるなら掟だって守らないとね」

魅音がもっともなのはわかっているが・・・・・・ああ、もう。仕方ない。


 沙都子は抵抗をやめて、詩音が自らの口にその物体を入れてくるのを待っ――


 
 ズボッ!


 ・・・待つ暇もなかった。悪の根源のそれは抵抗をやめた途端、一瞬で沙都子の口へとドストライクした
のである。




 


 沙都子の意識は失われ、椅子からその小さな体は床にがたんとずり落ちた。

382:水梨:2014/04/22(火) 21:09 ID:zVQ

今度はシリアスモードに交代します。



 扉を開けた途端、ギギィィ、と鈍い音が響き渡った。仮に寝ていても、今の音で起きるような気がする。

こちらとしては起こす手間が省けて好都合なのだが。


 
 「麻美ー。起きてますですか?」

起きていることを想定して声をかけた――が、眠りが深いのか、布団がかぶられていて、起きている様子はない。



 「沢田と一緒に麻美のお父さんの伝言を聞かせたいのです」


沢田の目が見開かれる。麻美の父、つまり岡部のことだ。



 (あいつの・・・・・・伝言?)

なぜ目の前の少女がそれを知っているのかは沢田にはわからなかったが、緊張するのを感じていた。


 梨花が言うと、布団がめくられ、がばりと麻美が跳ね起きた。どうやら狸寝入りだったらしい。



 「おじさんっ!?」



――無事だったのか、彼は。麻美は不安だった。先ほど目が覚めて、昨日自分がしてしまったことを
思い出したのだ。死んだ父の仇を討とうとしたが、見つかることなく結局自分で死のうとしたが沢田が
自分を庇って重傷を負ってしまったことに。


申し訳ないという気持ちと、自分の犯してしまったことに後悔の涙をながしていた。

だから梨花が入ってきても、泣き顔を見られたくなかったから、あえてまだ寝たふりをしていたのだ。




 「だ・・・いじょうぶだったの・・・?麻美、昨日、おじさんを・・・」

言いかけた麻美に近づいて、梨花は自分の指を彼女の口に当てた。


 「それ以上は言わなくてもいいのです。沢田おじさんは回復力だけは男らしく
  無駄にいいのですよ♪にぱー☆」


ちゃらけて梨花は言うが、自分が心配しないように励ましてくれているのだと麻美は思った。

383:ユリカ:2014/05/03(土) 21:01 ID:b5E

ギャグとシリアス両方頑張ってください!

ギャグの方、さとこの反応?などを楽しみにしながら読んでいます!
圭一、いつもやられっぱなしだから、もうたのしんでいますねw

シリアスの方は、岡部が何を伝えたいのかが、すごく気になります!

更新、頑張ってください!

384:水梨:2014/05/05(月) 23:16 ID:zVQ


ギャグモードでいきます。



 「・・・・・・子!」






 「・・・都子!!」









 「沙都子!!」




 
 

 「・・・・・・あら?私・・・」


沙都子の目の前にいるのは梨花や詩音や部活メンバ−たちだった。



 「あ。よかった、沙都子ちゃん!やっと起きたんだね!」


レナやみんなの表情が安心を帯びた色になった。



 「かぼちゃを食べた途端ぶっ倒れてから30分、全然目を覚まさないから焦ったぜ」


 「!?」



30分。自分はそれほど長い時間気絶していたというのか。

こみあげてくる恥ずかしさに沙都子の意識は完全に目覚め、ガバリと起き上がった。



 「大丈夫ですか?沙都子」


いまだにかぼちゃを持っている詩音に悟られないように彼女から少しばかり距離をとって、
大丈夫ですわと答える。それがわかったのか、詩音は謝った。


 「ごめん。まさか倒れるなんて思わなくて・・・」


 「だ、大丈夫でしてよ」


 
何となく雰囲気が明るくなっていないのを感じ取った羽入は言った。


 「今日は沙都子は倒れるくらいに頑張って罰ゲームをうけたし、それにもう遅くなってきたので、
  家に帰りましょうです」



 見れば、もう空は紅かった。夕焼けだ。



 「あ、ほんとだ。んじゃ、今日のところは解散か」


魅音が言って、沙都子に近づいた。



 「今日はお流れになっちゃったけど、明日からはバリバリいくからね〜?」


覚悟しときなよ、とでもいうようににやにやしているが、魅音なりに自分を元気づけたいということを
沙都子は知っていた。


 「もちろんですわ!明日からは、絶対、ぜ〜ったい、負けませんことよ!!」


ならば自分も明るく答えるべきだ。


やっと明るくなってきたところへはさまれる圭一の言葉があった。



 「あの・・・・・・意気込んでるところあれだけど、明日は休みじゃねーか?」


 「そんなの休日でも部活はやろうと思えばできるよ、圭ちゃん」


 「え?あ、そうだよな」


 「それレナたちも参加できるのかな、かな?」



 「もちろんだよ。部活は基本全員でするものだからね」



笑い合う仲間たちの後ろで、1人梨花は意味深に沙都子を見つめていた。


もちろん沙都子には気づく由もなかったわけであったが。
 

385:ユリカ:2014/05/10(土) 07:05 ID:W6U

梨花ちゃんのその意味深な目線に、
すごい気になります!
更新頑張ってくださいね!

386:水梨:2014/05/10(土) 19:43 ID:zVQ

シリアスモードがなかなか思い浮かばないのでいま思いついてるギャグを書きます。


 

 「じゃあね〜!」


 
 「バイバイ!!」


圭一やレナに魅音、詩音とも別れ、沙都子と梨花と羽入は帰路へ着こうとしていた。




 「今日は楽しかったのです〜。沙都子には多少不憫だったかもしれないのですが・・・」

ちらりと自分を一瞥する梨花を見て、沙都子によくわからない対抗心が芽生えた。



 「つ、次こそは梨花や羽入さんを罰ゲームに追い込んでさしあげましてよ!」



 「みぃ〜。怖いのです〜」

言いながらまったく恐怖心を微塵にも感じさせない梨花と、


 「あぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅあぅ」

いつもの口癖を言っているだけだがおびえていることが感じ取れる羽入。


正反対だ、と沙都子は思った。これは本来の性格の表れなのかもしれない。



 ――その時である。






 「おんや。梨花ちゃまに羽入ちゃんに沙都子ちゃんでねぇかい」






 後ろからやってきたのは、50代前半くらいの(推定)男だった。
村を歩いていて時々見たことのある顔だったので、沙都子は彼を覚えていた。


 「こんにちはなのです」

 「こ、こんにちはですわ!」

梨花と羽入が声をそろえて言ったので、慌てて沙都子もあいさつした。


 ――ていうか夕方なのにこんにちはって、おかしくないだろうか?沙都子はそう思ったが
そこはあえてつっこまない。



 「学校は終わったんかね。楽しかったかい?」


 「はいなのです!部活でわーわー盛り上がったのですよ!!」

 「ポーカーゲームをやってたのです!」


屈託なく笑う梨花たちを見て、沙都子は羨ましく感じていた。


 
 ――自分はあんなふうに、心の底から笑いかけられない。


 まだ、村人たちの今までの態度が、沙都子の心に残っていて恐怖心を時々覚えるのだ。



 北条家への村八分の大号令が解かれたのは、かれこれ2ヶ月前ちょっとだ。

もちろん村人は謝罪の言葉を述べ、大号令を出したお魎も、沙都子に優しく接するようになった。


今までのように梨花と沙都子の2人だけで歩いていて、梨花だけが可愛がられ、
沙都子は卑下したような眼で見られて無視されるようなこともなくなった。


 なのに自分がまだおびえているのは彼らに失礼だ。


沙都子はそう思うから、なるべく恐怖を感じていることを村人や、そして梨花たちにも
悟られないように村人と話すときは笑顔をつくっているところがあった。



 「沙都子ちゃんは楽しかったかい?」


今まで梨花たちと楽しそうにしていた男がこちらを向いてきた。



 「は、はい。もちろんですわ」

とっさに答えたが――うまく笑えていただろうか。恐怖感がにじみ出てなかっただろうか。


もう村人たちは自分の脅威にはならないというのに、なぜ今更怖がる必要がある?

 

387:ユリカ:2014/05/11(日) 21:34 ID:ATU

さとこも村の人達に対する恐怖?が早く、
無くなるといいですね…。


関係ない話で質問なんですが、
私、今体育で平均台をやっているんです。
でも、私は高所恐怖症で、高い平均台を見ると、
足がガクガク?してしまいます。
しかももうすぐ体育の中間テストです。
しかも平均台の高さがだいたい、私の身長で151cmで胸ぐらいまで、あるんです。
それをジャンプしないといけないんですが、怖くて、
平均台にも乗れないし、ジャンプも出来ません。
怖く無くなる方法とかってありますか?
それか、もし知ってたら、平均台の上でジャンプする、
方法を教えてください!

関係無いことをすみません!

388:水梨:2014/05/11(日) 23:01 ID:zVQ

体育で平均台ですか!すごいですね!高さが高すぎる・・・。

怖くなくなるかどうかはわかりませんが、まずは家にある机の上に乗ってみるとか、
電球をかえるときに椅子の上に立ってやってみるとか。
できたら、公園などに行って、1m以下の場所(遊具とか)にまずジャンプして、着地するのを何回も練習して、
できるようになったらだんだんと高くしていって、また
ジャンプして着地できるように練習する・・・(できるようになったら幅もだんだんせまくしていく)
といういうふうにしていったらいいんじゃないか
と私は思います・・・。

何せ私は体育は苦手な方なので全然的確なアドバイスに
なってないかもしれません。

怪我とかしないように気を付けてください!

389:水梨:2014/05/11(日) 23:49 ID:zVQ

続き行きます。


 「そうかい。よかった、よかった。

  それじゃあな、みんな」

男は満足そうにうなずくと、しっかりとした足取りで向こうへ歩いて行った。


 ――よかった。怖がっていたことをばれてはいなかったみたいだ。


沙都子は安堵して、ふとため息をつく。





 「――あ!」

しまった、というように口を押さえ、梨花がいきなり声を上げた。



 「どうかしたのですか?梨花」


 「分校に宿題を忘れてきてしまったのです。ボク1人で取りに行きますから、沙都子と
  羽入は先に家に帰ってほしいのです」


珍しいな、と思った。梨花は基本、そういう類のものを学校に置き忘れたりはしないのに。

きっと少しぬけているところもあるかもしれないこの友人は遠慮をしているに違いない。
だから沙都子は自分も行く、と言おうとしたが、梨花はこちらの考えを分かっていたらしい。


 「ボクが帰ってくるまでにご飯でも食べて、宿題やって、沙都子はぐっすりすーぴーしてたらいいのです。

  今日は沙都子は疲れてるはずですから、早めに休息をとるべきなのですよ」


・・・本当に、梨花は自分のことをいつも考えてくれる。そういう家族――と言っていいのかわからない
けれど、家族思いなところは、沙都子が梨花を好きである理由の1つである。



 「ありがとうございますわ、梨花。じゃあ今日は早くに布団に入らせていただきますわね」

梨花と沙都子のやりとりを見守っていた羽入はその場に便乗しようとする。

 「ねぇ、梨花!僕も寝てい」


 「羽入にはお風呂洗いがあるのですよ☆ボクが帰ってくるまでに洗ってなかったら祭具殿用懲罰
  エターナルキムチをお見舞いするのでそのつもりで」


 「・・・・・・あぅ。わかりましたのです」


やはり少し腹黒い部分もあるのかもしれない。自分が休むのだから羽入が可哀想に思えるが、
そういえば今日の風呂洗いの当番は羽入であったので、まあいいか、と沙都子は思う。



 「じゃあ帰ろうなのです、沙都子・・・」

落ち込んだ様子で、とぼとぼと羽入は歩いていく。沙都子は、手を振って笑う梨花を時々振り返り
ながら、羽入についていくのだった。






 古手家に着き、沙都子は最近買った少女漫画「恋の常闇エバー」を読んでいた。
風呂場から羽入がごしごしと壁などをこすっている音が聞こえてくる。


 (・・・・・・それにしても)


お腹がすいた。


そういえば、冷蔵庫にはどれほどの貯蓄があっただろうか。最近は何も買ってないから
食料が少ない状態かもしれない。



 その時、掃除が終わったらしく、羽入が「あうぅ〜」と腕を伸ばして沙都子のもとにやってきた。



 「やっと終わったのですよ、風呂掃除。仕事したあとは楽しい楽しい食事なのです!」

どうやら彼女も腹がすいていたらしい。とりあえず沙都子は羽入とともに冷蔵庫まで足を運んだ。




 冷蔵庫の扉を開く。

 

 絶句した。

390:ユリカ:2014/05/12(月) 20:33 ID:cis

 平均台の事を教えて頂きありがとうございます!
公園の遊具なので練習します!
そして頑張りますね!

梨花ちゃんってどこか抜けてますもんね…(笑)
でも、そうゆうところも可愛らしいです(^∀^)
(梨花ちゃん私の妹になってほしい…)

冷蔵庫の中に何があったのか気になります!
毎度、同じ言葉ばっかで申し訳有りませんが、
更新頑張ってください!応援してます!

391:水梨:2014/05/12(月) 22:29 ID:zVQ




 ――悪夢だ。

後から思えば、この時からたぶん、悪夢は始まっていたのかもしれない。



 「あううううううううああああうぅぅあああああああああ」


 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁ」


羽入も沙都子も、叫びだすタイミングをお互い待っていたらしく沈黙の後に絶叫を響き渡らせた。。


 食料が全くなかったわけではない。むしろ大量にあった。






 かぼちゃとキムチだけが。冷蔵庫の至る所にびっしり。
昨日もう少しほかの具材もあった気がするが、気のせいだろうか。
 

392:水梨:2014/05/12(月) 23:18 ID:zVQ

ありがとうございます!平均台応援してますね。梨花ちゃん可愛いですよね!
にぱにぱ言ってる梨花も黒梨花もどっちも大好きです!続き行きます。



 「ど、どどどどどどういうことなのですか!!地獄なのです!地獄絵図なのですううううう!!」

羽入に至っては取り乱して冷蔵庫に頭を何度もぶつけている。


 
 「おやめなさいませ羽入さん!!そんな・・・、そんな、自分の身を犠牲にしたって、
  この現状が変わるわけではないんですのよ!!」


そう。目の前にある冷蔵庫の半分を埋め尽くしたかぼちゃが消えてくれるわけもない。


 (・・・おのれかぼちゃ。ここまで来て私たちを苦しめますのね・・・!)

ちなみに、羽入が恐れているのはかぼちゃでなくキムチである。10個ほどの瓶の中に余すところなく
ギッチギチに詰まっているそれである。


 「懲罰用キムチ」、「処刑用キムチ」、「拷問用キムチ」、「花畑が見えてくるキムチ」・・・と、
種類はさまざまであった。



 「あ・・・あぅ。ご、ごめんなさいです沙都子衝撃的な絵面に思考回路がショートしてしまったよう
  です。あ、そうなのです。僕はかぼちゃを食べてもよいですかあははは」


 「それなら私はキムチをいただきますわねをほほほ」


どこかおぼつかない足取りで、キムチ瓶を持った沙都子と、サランラップに包んであるかぼちゃの
のった皿を持った羽入はふらふらと台所に向かうのであった。





                        *


 かれこれ2人が帰って30分以上が経過した。


 「・・・それにしても、梨花、少し遅すぎじゃありませんこと?宿題取りに行くだけなのに」

まだ梨花は帰ってきていなかった。あの冷蔵庫の現状について聞きたいことは山ほどあるのに。
そろそろキムチの味に飽きてきた頃合いである。
 
 
 「どうせ梨花のことだから寄り道してるのです。雛見沢じゃ物騒なことなんて基本ありませんから、
  誘拐とかはないと思いますです」

羽入も口の中に広がるかぼちゃだけの味に嫌気がさしてきつつあった。いつもの彼女の
無邪気さは見られず、どことなく雰囲気が暗い。


 「それならいいのですけど・・・」





 

 「ただいまなのです!!」


梨花の声だ。


 「あ、梨花!?もう、何やってたんですの、こんな遅くまで!」

もう時刻は夜の8時半過ぎである。沙都子は階段を駆け下りて尋ねた。



 「みぃ・・・。ちょっと、宿題がどこに置いたかわからなくて・・・ピンチ、だったのです」


 「それで、見つかったんですの?」


 「見つかりましたです・・・」

そういえば、梨花の肩が少し上下に動いている。息も少し上がっていて、走って帰ってきたのだろうと
いうことが想像できた。

393:ユリカ:2014/05/13(火) 19:33 ID:tPg

梨花ちゃん…冷蔵庫になんて事を…w
さとこと羽入の反応がすごく面白いです!
 にしても、本当に梨花ちゃん可愛いですよね!

394:水梨:2014/05/13(火) 20:17 ID:zVQ

梨花はいろんなこと考えてる子だと思います。梨花ちゃん萌えです。


とりあえず梨花は誘拐などされていなかったと安堵する沙都子だが・・・。
そうなればさっさと本題に入らなくては。



 「それはそうと梨花!あの冷蔵庫の中身はどういうことなんですの!!?
  あれはおかしいですわよ!昨日まで食パンもあったのに!」


 「・・・みー?沙都子が何を言いたいのか、ボクはよくわからないのですよ」

あくまで梨花はとぼけるようだ。冷蔵庫の中身がびっしりキムチとかぼちゃだけになるなんてことは
普通ありえない。どう考えてもキムチ嫌いの羽入を除けば犯人は梨花しかいないのだ。
そうわかった時点で猫をかぶる部分のある彼女は何も知らないふりをすることは大体予想できた。

しかし、ここで引き下がる沙都子ではない。



 「とぼけないでくださいまし!冷蔵庫の中身、あれかぼちゃとキムチがぎっしり
  詰まっていたではありませんの!あんなことするの梨花だけしか考えられないですわ!」



 「・・・・・・・・・」


沈黙が続く。さあ、これで「ばれたのなら仕方ないのです」とか言ってにぱーと笑ってくるだろう。


 ・・・しかし。
続いたのは思いがけない言葉。


 「・・・・・・・・・・・・沙都子は・・・ボクがやったと疑うのですか?」


悲しげな梨花の声音に、沙都子は言葉を詰まらせた。


 本当は自分だって、大親友の梨花を疑いたくない。けれども、じゃあ誰が?


 泥棒でも入っていたとでもいうのだろうか。


しかし梨花は、悲しげに笑うだけで。


 「ボクはきっと、悪い夢をみているのですね・・・。きっと、明日になったら
  ボクと沙都子はいつも通りの仲よしこよしなのです・・・。

  というわけでボクはお布団に入ってぐっすりになるのです。

  おやすみなさいです、沙都子・・・」


その弱々しく寝室へと向かう姿が、なぜか儚げで。


どうせ演技だろう、と一蹴することはできなかった。



 これが夢でないことなんて、わかりきったことだけれど――――



 ・・・わかりきった?


 本当に?


初めて沙都子の中で疑いが生まれた。


 自分が今いるこの世界が夢でないなんて、何を根拠にはっきり言える?


 夢かどうかを確かめるにはよく頬をつねるものだが、痛かったら夢、痛くなかったら夢、と
一概には言えないのかもしれないと沙都子は最近思った。


 最近、家に強盗が入ってきた夢を見た。なぜか強盗が勝手にお風呂に入っていて、
沙都子と梨花と羽入で、それぞれ針をもって風呂で心酔しているだろう強盗に突き刺そうとしていた。
(なぜそうしようと思ったかは謎である)というか、そんなことがありえるわけがないので、
夢ではないかと薄々沙都子は感づいていた。実際次の日に梨花に聞いてみたらそんなことは
なかったと言われたのだから。


 夢とわかりながらも、その時になぜか沙都子は、懐にあった小さな針を、自分の太ももに突き刺したのだ。

そんなことをして何の得があるのだろうか、痛いだけじゃないだろうかとは思うがとにかく
深く突き刺したのだ。


 ・・・痛みがあった。ちくりと。しかし血は全く出ていなかった。


つまり夢でも痛いと思うことはあることを沙都子は知った。

「レム睡眠」や「ノンレム睡眠」などという言葉を聞いたことはあるが、意味はよく知らないので
関係があるかどうかわからなかったのだ。



 いったんここまでにします。

395:水梨:2014/05/13(火) 20:18 ID:zVQ

すいません。脱字ありました。「痛かったら夢」ではなく「痛かったら夢ではない」でした。
結構重要なのにすみませんでした。

396:水梨:2014/05/13(火) 23:20 ID:zVQ

つまり・・・今いる自分のこの世界が、夢かもしれない。

それならば、自分も梨花の言う通りさっさと寝てしまった方がいいのかもしれない。

次に起きたらきっと本当に現実という現実に戻っているだろう。
覚めない夢などないのだから。


沙都子は台所に戻り、羽入に声をかける。


 「あの・・・羽入さん。私もそろそろ寝ることにしますわね」


 「そうなのですかぁ〜・・・。おやすみなさいなのですぅぅぅ・・・」

羽入の口ぶりから、すっかり気が抜けていることがわかる。羽入も早く寝た方がいいのではないかと
声をかけたが、「はぁぅぅ〜」と返事しただけだったので、どうせそのうち自分で寝るだろうと
思い、自分から寝かせようとはしないことにする。



 

 「おやすみなさい、羽入さん・・・・・・」




寝室に入ると、電気は消えていた。
梨花を起こさないように電気はつけなかったのであたりは暗いから、沙都子は転ばないように注意して押入れから
布団を取り出し、すっかり寝ている梨花の隣に敷いて、がっぽりと布団をかぶる。


 やはり思い返せば、梨花がかぼちゃやキムチだけを冷蔵庫に置いたのかもしれない。

仮に泥棒が入ってきたとして、キムチとかぼちゃだけをびっしりと冷蔵庫に置いておくなどという
嫌がらせはまずしないだろう。

梨花に問いただせば、彼女は悲しそうな顔をしていたが、もしかしてあれは、
彼女なりの意味があってわざわざあんなことをしていたのではないか――

 沙都子の中にそんな考えが浮かぶ。


 

 (・・・まあいいですわ。明日になればきっと夢だったという話で終わるのですし)




 そして眠りの意識に入ったのは約30分後のことであった。





                      *




 「・・・沙都子ー」 


 誰かが自分を呼んでいる。


 「起きるのですよー」


この声は梨花だ、とまだはっきりしていない意識の中、沙都子は確信した。


 
 「う・・・ん・・・」

そういえば昨日何かあったような気がする。

 何だったっけ・・・と思い出そうとするとだんだんと昨日のことがよみがえってくる。


 部活をして罰ゲームにかぼちゃを食べたこと、男性と話したこと、
冷蔵庫のキムチとかぼちゃのこと、梨花が悲しそうな顔をしていたこと。



 (あ・・・)


思い出した。結局昨日のは夢のことだったのだろうか。もしそうなら随分と長い夢だったな、と思う。



 「・・・おはようございますですわ・・・。梨花・・・・・・・・・・・・・・・」


ぼやけていた視界に見えたのは。



 梨花ではなかった。



 パジャマを着たジャックランタン・・・つまり、かぼちゃである。




 「ああああああああああああああああああああああああああああああ」



悪夢は、始まったばかりだったのだ。

397:水梨:2014/05/14(水) 19:19 ID:zVQ

久しぶりにシリアス行きます。久しぶりなのでいろいろおかしな部分があるかもしれません。


 「・・・ありがとう」

梨花がそう言ってくれている以上、殺人未遂をしたなどとは言っていられないのかもしれないが・・・。



 すると、沢田がつかつかと近づいて、こちらを見下ろしてきた。その顔はどことなく険しく、
怒っているのだと思った。


 当然だ。身体を傷つけたのに、怒らないわけがない。


そして沢田の大きな手が、麻美に向かって伸びてくる。


殴られる、と思わずびくりと身体を過剰に反応させて身を縮こめるが、
・・・衝撃がやってきたのは、額だった。



 「痛っ!」

つい反射的に叫んでしまったが、痛みはあまりなく、沢田は自分の額に指を跳ねて――つまり、「でこぴん」
というものをしたらしい。


それでも、彼はもっともっと痛かったはずだ。これぐらいのことでおびえていてはいけないのに。
だからどうしても、謝りたかった。謝らなくては気が済まなかった。


 
 「・・・あ、あの・・・。ごめんなさい・・・。麻美・・・。

  おじさんに、痛い思いさせて・・・」





 「俺が怒ってるのはそっちじゃないんだよ。あんたが、勝手に死のうとしたことだ」

 
 「だって・・・麻美はもう、パパのいない世界が嫌だったから・・・」




 「・・・・・・じゃあ、そのパパの話を今からきくか。

  待たせて悪かった。きかせてくれ、お嬢さん」

沢田はそう言うと、梨花に向き直った。




 やっと、言えるのか。

梨花も心の中で、再び入江が言っていた言葉を反芻した。


昨日、入江は彼女に言った。



 『本当は、私が言いたいのですが・・・。明日は、診察の予定があって・・・。
  すみません・・・』


梨花は知っていた。

彼は医者だから。多くの人を助けるのが仕事だから。本当にやらなければならないことををさぼる
ことは彼にはできないのだ。

 しかし、入江はもう十分に行動してくれた。岡部や沢田を助けようと必死だった。


そんな彼を責められる人間がどこにいるだろうか。少なくとも梨花はそう思ったのだ。



昨日のやり取りを思い出しながら、梨花は告げる。



 「それでは・・・話しますのです・・・。岡部の伝言を・・・」


 

398:ユリカ:2014/05/14(水) 22:38 ID:gGA

おぉ!久しぶりのシリアスですね!
とても面白いです!
さて、岡部が伝えたかった伝言は、何か気になります!

ギャグの方は、冷蔵庫のいたずら?は誰がやったのか、
気になります!
梨花ちゃんじゃないなら、誰がやったんだろう…。

399:水梨:2014/05/14(水) 22:50 ID:zVQ

ギャグの方で行きます!



 「いやああああああああああ!り、梨花!?梨花ですわよね!?」


目の前のジャックランタンからとっさに後ずさり距離をとる。


 「みぃ。もちろんボクなのですよ?」

ジャックランタンが首をかしげた。その様はかぼちゃ嫌いの沙都子にとっては気味の悪いようにしか思えない。



 「朝からいったいなんなんですの!寿命が縮んだかと思いましたわよ!!」


ああ、また聞きたいことが増えてしまった。

なぜ梨花はそんなものをかぶっているのだろうか。嫌がらせのつもりであろうか。
起きた瞬間に見えたのがかぼちゃだなんて今までで一番最悪の目覚めに違いない。


すると梨花は沙都子の考えを読み取ったらしく、声だけは可愛くにぱー☆と笑った。




 「沙都子は知らないのですか?」



 「何がですの!」


 



 「今日は、村をあげての一世一代の、かぼちゃ祭りなのですよ?」

 「

400:水梨:2014/05/15(木) 22:56 ID:zVQ

なんか「がはいってました。すみません。


 あれ?今日はハロウィンだっただろうか?


だとしたら自分はなぜ今までそのことを忘れていたのだろうか。いつもなら、10月31日になれば毎年の
ようにかぼちゃから身を隠すように布団に縮こまっていたのに。

叔母に買い物を頼まれたときは叔母と村に飾られているだろうかぼちゃにおびえながら布団から出たのを
覚えている。



 とりあえずカレンダーを確認しよう。それがいい。

1人で頷いて、沙都子は梨花に背を向けて歩き出した。


 
 しかし。



 「今日はハロウィンじゃないのですよ。かぼちゃ祭りとハロウィンは別物なのです」



 ・・・なんですと?

 ぴたりと沙都子は足を止めて振り返る。


 
 「・・・去年はなかったような気がするのですけれども、かぼちゃ祭りとやらはいつ
  決まったんですの?」



 「今日なのです」



ああ、なんだ。梨花のお遊びか。

沙都子は瞬時に確信した。仮にかぼちゃ祭りというのが今日始まったとしたら、先ほど言った
「村をあげての」というのは無理があることになる。

今日いきなり決まったことが村で準備できているはずもない。

だからジャックランタンの扮装をしているのは梨花だけだろう。


 
 しかし、一応頷いておこう。


 「まぁ、そうなんですのね。で、いったい何をする祭りなんですの?」

ばからしいとは思いつつ、沙都子は梨花に付き合うことにする。いつもなら梨花に
沙都子は子供だと思われている節があるのを感じていたが、今日は反対だ。

たとえば沙都子が恋愛アニメを見ていたら、梨花はつまらないから男たちの復讐劇が見たいなどと
言い出すことがあった。つまり梨花は自分のことを子供だと思っているのだろう。梨花だって子供なのに。

今日は反対の立場であることが、なぜか沙都子にとっては妙な優越感があった。



 「とにかくかぼちゃでいっぱいにする祭りなのです。部屋も、台所も、水道から出る
  水も、お風呂の湯も、
  トイレも、すべてかぼちゃ関係のものでいっぱいにするのです。
  道を歩けばかぼちゃ、店の中もかぼちゃ、かぼちゃかぼちゃかぼちゃかぼちゃかぼちゃかぼちゃ
  いっぱいのかぼちゃなのですよ」


 



  ・・・なにそれ怖い。


聞いて心の第一声がそれである。


沙都子は絶対認めない。もし村がかぼちゃだらけになれば興宮に逃げるしか道はないことになる。

401:ユリカ:2014/05/19(月) 22:02 ID:hSo

こ、怖っ!!
恐ろしい事を……。
まぁ、私はまだカボチャは食べれるが、
さとこにとっては、地獄ですね…(笑)

そういえば、明日は平均台の中間テストなので、
頑張ってきます!
(早く平均台おわんないかな…)

402:水梨:2014/05/20(火) 00:08 ID:zVQ

平均台のテストがんばってくださいね!私は今週定期テストです・・・。

403:水梨:2014/05/20(火) 20:02 ID:zVQ

 まあもちろんそんな地獄絵図はないと沙都子はわかっている。
なぜか。ありえないからだ。


 それでも結論からすれば、沙都子はわかっているようで、何一つわかっていなかった。




 沙都子は、「そうなんですのね、おほほほ」と梨花の悪ふざけを聞き流す。心の奥で感じている
何かを吹き飛ばすように沙都子は声を上げた。



 「わ、私、羽入さんを起こしてきますわね」



 
 「羽入はいないのですよ」



 「・・・え?」


 「羽入はエンジェルモ−トへシュークリームを食べに行ったのです」


 「・・・・・・」

沙都子は羽入に助け舟を出してもらおうとしていたが、その羽入がいないとなれば気持ちは暗くなる
ばかりだ。もし羽入がこの場にいたなら、梨花は何をばかなことをやっているのですか、と、自分の
味方をしてくれるに違いない


 ――ってあれ?

梨花って案外、嘘が下手なのかもしれない。なぜなら先ほどかぼちゃで村を埋め尽くすと言っていたのに、
エンジェルモ−トでシュークリームなど食べられるはずがないからだ。


いや、エンジェルモ−トは興宮だから、範囲外なのだろうか?


 ああ、もう。考えれば考えるほどにわからない。今日はいつも通りの日常を過ごせると思ったのに。

結局沙都子は、梨花に振り回されているような、そんな感覚を覚えた。



 「そ、それでしたら朝食を・・・」

食べましょう、と言おうとした瞬間に目の前に出されたのは、細かく切り刻まれたかぼちゃである。


 「見た目はフライドポテト風!なかぼちゃなのです!フライドポテトならエンジェルモ−トで
  よく食べるので、このかぼちゃなら食べれると思うのですよ」


 

 


 ・・・家出しよう。



瞬足力で足を動かし、無言で家を飛び出した。


バターン!と耳を劈くような音がしたが、それはもう問題などではない。


 なぜ梨花はここまでするのか。疑った自分への仕返しなのだろうか?


とにかくいったん古手家から離れて、しばらくして戻ればいい。そうしたらきっと梨花もあんな変なことを
やめてくれるはず。




 1人家に残された梨花は小さく笑う。



 「・・・これで第一段階は成功なのです。にぱ〜☆」

404:匿名さん:2014/05/20(火) 20:07 ID:88E

wktk

405:ユリカ:2014/05/20(火) 21:24 ID:qLE

水梨さんも定期テスト頑張ってください!
応援してます!

平均台の中間テストの次は実技テストです…。
どうしよう…。もう不安です…。
実は、中間テストは失敗ばかりしてしまいました。
水梨さんがわざわざ、色々教えてくださったのに、
申し訳ない気持ちでいっぱいです。
すみません。
でも、こうゆう質問に飽きずにこれからも、
色々教えてくれませんか?


ところで、梨花ちゃんは何を企んでいるんでしょうか?
気になります!

406:水梨:2014/05/20(火) 21:57 ID:zVQ

なんか役に立てなくてすみません。
でも私なんかでよければたくさん答えてみます!
実力の方頑張ってください!応援してます!私も定期テストがんばります!

407:水梨:2014/05/21(水) 17:32 ID:zVQ

明日テストだけどいきます!



 家(なか)の世界はかぼちゃだらけだった。

梨花も、梨花が用意してきた食事も、廊下も、壁も、天井も。
ジャックランタンの絵ばかりが描いてあり、壁にはひもでつるされたかぼちゃがぶら下がっていた。
見てはいないが、たぶんトイレも同じようなことになっていると思うとぞっとする。

沙都子が脱兎のごとく家から逃げ出しているときにそれらがすべて目に入った。


 ・・・おかしい。おかしすぎる。そして、



 
 外の世界もかぼちゃだらけだった。




 「キィィィィィィィヤァァァァァァアァァァァァァア!!」


本日絶好調の叫び声である。

のどがかれるのではないかというくらいの。


まだ梨花の家から抜け出せてないのではないかと思ったが、迷宮じゃないのだから、そんなこと
あるわけがない。


・・・それなのに、地面には、凹凸ができていて、それがかたどるのはたくさんのジャックランタン。



 いつもの通学路で通る時に何度も見る木に、ところどころかぼちゃがぶら下がっている。



 なんというZI☆GO☆KU☆


これは裏山のトラップに匹敵する気がする。この精神をえぐる様なあちらこちらから
見えるジャックランタンの顔。




 ああ、梨花の言ったことは本当だったんだ。


 かぼちゃは本当に、あったんだ・・・。


 沙都子は項垂れ、その場に崩れ落ちた。

 


 これでは自分の居場所がない。本当にこれがかぼちゃ祭りだというのなら、終わるまで
 興宮に避難するしかないだろう。


 というか誰がこんな、手間のかかるだろう計画を・・・・・・。


沙都子が考え始めたとき、彼女の心とは全く正反対の、明るい声が聞こえてきた。



 
 「おっ、沙都子ちゃんじゃないかい?」





 時報・・・もとい、富竹ジロウの声に、沙都子は今度こそ自分を引っ張り上げてくれるかもしれない助け船を、
逃すまいと走り寄る。


 「富竹さん!あの・・・・・・」


もともと雛見沢の住人でなかった彼ならば、かぼちゃ祭りなんてものは理解できないはずだ。
富竹もきっと、変わり果てた村の姿に戸惑っていたに違いないのだ。
そう期待して沙都子は続けた。


 

 「見てくださいまし!この大量のかぼちゃやジャックランタン!

  雛見沢でかぼちゃ祭りをやるとか言ってるんですのよ!!」


・・・しかし、である。



 「え?うん。今年からだってね。これでますます雛見沢も面白くなるね」


困惑しているどころか、喜んでいるようにすら感じられる。まあ、村の印象がよくなるのはいいことだと
思うが・・・。



 「って違いますわよ!富竹さんは何とも思わないんですの、この多すぎるかぼちゃ!
  なんか村じゃなくて西洋の国みたいになってるんですのよ!!」



 

408:ユリカ:2014/05/22(木) 21:18 ID:zGA

ありがとうございます!
じゃ、これからも色々お願いいたします!


さとこの願いも虚しく、富竹さんにかわされてしまいましたね…。
本当に地獄なんだろうな…。
なんか可哀想w
でも、こういうさとこも可愛いです!

409:匿名さん:2014/05/23(金) 13:18 ID:zVQ

沙都子の大冒険が始まっていると思いました。続き行きます。


 「・・・西洋の国、って、それはさすがに言いすぎじゃないかな?」

笑いながら言う富竹は、どこか困ったような、訝しげな表情をしていた。


 ・・・だめだ。富竹はすでに手遅れだ。すでにかぼちゃの魔の手に落ちてしまっている。


 
はああ〜と盛大にため息をつくと、沙都子は富竹に背を向けだし、歩き出す。


 
 「あれ!?沙都子ちゃん!?どこ行くんだい?」



 「この状況を打開する策を見つけるんですわ!」


後ろから聞こえる富竹の声に、沙都子は振り返らず答える。この時、沙都子の頭には1つの仮説が
出来上がっていた。


 それは、この世界が夢の世界であること。


だってありえない。村がかぼちゃだらけになるなど。ハロウィンならまだしも、全く違う
別の日にこんなイベントあっていいはずがない。

 それに、昨日梨花は、夢の中(だと仮定する)で言っていた。


 ボクはきっと、悪い夢を見ているのですね・・・と。

他には冷蔵庫内の異常な数のかぼちゃとキムチなどということまで起こっているのだから、
こんな奇想天外を沙都子は知らない。

410:匿名さん:2014/05/24(土) 19:38 ID:zVQ


 ならば沙都子がすることは、先ほど富竹に言った通り、夢から目覚めることだけだ。

方法などもちろんわからないが、頼れそうな人間なら大体わかる。

そういう関係でいけばたぶん―――――入江だ。


 あれは沙都子を自分のメイドにするなどという不快極まりない計画を常日頃から練っている
変態であるが、腕は確かだと思っている。
まあこの世界で彼がどうおかしくなっているかはわからないし、想像もしたくないが。


 沙都子はこの村で、いや、このかぼちゃの国で、入江診療所を見つけようと歩き出す。




 「あ、あんた沙都子ちゃんだろ?」


突然後ろから聞こえた声に、沙都子は驚いて目をやると、昨日会った男だった。
彼の顔は昨日と変わった様子は見られず、今も自分に笑顔を向けて、「やっぱり」とつぶやいている。


 
 「おはようございますですわ」

未だに覚える苦手意識が、振り払われるのを沙都子は感じた。――この男は、昨日と同じようで違うのだ。

ここは夢の世界なのだから。つまり自分たちを村八分にしていた人間ではない。

ならば――何の気兼ねもいらないじゃないか。

 

411:匿名さん:2014/05/27(火) 18:16 ID:zVQ


 
 「あの――この村に入江診療所ってありますかしら?」

ここが夢の中だと分かった今、ここが雛見沢村であるとはいえ、自分が知っている場所が
存在するかどうかわからない。
そもそも、「夢」なんてものは常に曖昧で、きっとどこかで矛盾が生じるものなのだから。


 「診療所?沙都子ちゃん、あんた何回も入江先生に世話になってんじゃねえかい?」


 彼が言い示す答えは、診療所は「在る」。
そうと決まれば早速入江のもとに向かうのみだ。

はやくこの悪夢から抜け出して、元の世界に帰らなくては。

そう思っていた。彼の言葉を聞くまでは。



 「・・・俺も見てもらうべきなのかもなぁ。周りのやつらがおかしくなっちまったように
  思えるんだ」


 「!」

 ――もしかして。沙都子は今度こそ期待を抱いた。先ほどは呆気なく崩れ落ちたが、今度は本当に、
仲間がいるかもしれないと。


 「それって―――どういうことですの?」


 
 「私んとこは、駄菓子屋をやっていてね。毎日のように私が菓子を作って、チヨ――ってのは、
  私の妻なんだが――――チヨが店番をしてんだ。でも今日の朝にいきなり、
  店で売るのはかぼちゃしか認めねぇっていう号令が出たんだ。
  なんでも『かぼちゃ祭り』の日らしくてな。

  この駄菓子屋はひいひいばあちゃんから代々受け継がれてきたものでなあ。

  一日でも菓子売りをさぼったことはないぐれえなのに、そんなかぼちゃばかりのものしか
  売れねえなんて私らにはできんよ」



 仲間だ、と沙都子は喜んで叫びたくなった。自分の本来の仲間たちがかぼちゃ祭りについてどう思っているのかは
わからないが、やっと自分と同意見である人間に巡り合えたのだ。


 ――これは、結託するしかない!!

たとえ夢の中でも、自分と同じ悩みがあるならばなおさら、沙都子は放っておけなかった。

もし自分だけが夢から覚めたら、きっとこの男は永遠にかぼちゃ地獄から抜け出せないのだ。
それはちょっと後味が悪い。





それに・・・それにだ。


かぼちゃ祭りを撤廃できたなら、沙都子はかぼちゃから世界を救ったヒーローになれるのだ!



 さらば〜村よ〜旅立〜つひとは〜


 トラップ〜マスタァァァァ〜 サァ〜トォ〜コォ〜



某ソングで、沙都子を称えた歌が頭の中に響いてくる。

 うん、いける。いけますわよこれ。
 


 「・・・あなたは、大丈夫ですわ」



 「へ?」


 「おかしいのは村人たちでしてよ。正しいのは、私たちですわ。


  ――協力しましょうですわ。

  私たちはかぼちゃの魔の手から村を守るヒーローなんですのよ!」


まさか、村人から村八分にされ、外れ者のような存在になっていた自分が、
村人と結託することになるとは。

内心驚きながらも、沙都子はその小さな手を、男に差し出した。

412:水梨:2014/05/27(火) 18:19 ID:zVQ

いつのまにか水梨から「匿名さん」になっていました。←今気づきました。
409からの匿名さんは全部水梨ということでお願いします。

413:匿名さん:2014/05/27(火) 19:40 ID:zVQ

 tips「裏事情」

 古手家――古手神社の裏手の方の小屋である。

物陰から隠れるようにして出てきたのは、エンジェルモ−トに行っていたはずの羽入だった。


 「沙都子はどうだった?」


玄関から出た梨花に、あぅあぅと羽入は眉毛を八の字に曲げる。


 「とても混乱しているようなのです」



 「ふうん。まあ結果は上々ってとこかしら」

口角をあげて頷く梨花に、羽入は反論したくなる。


 「・・・梨花、ここまでやるなんて沙都子が可哀想なのです。こんなの沙都子には地獄でしか
  ないのですよ。・・・ほかに方法はなかったのですか?」


梨花は羽入を一瞥して、わかってないわねというようにため息をついた。


 「あのね、羽入。私だって、やりすぎと思わないではないけれど、これは沙都子のためなのよ。
  私は沙都子の親友なのよ?嫌がらせなんかしないわ。

  それと、人の心が変わるのにはね。それなりのきっかけが必要なの。
  ちょっとやそっとしたきっかけで簡単には変われない。


  ――つまり、刺激が必要ってこと。わかる?」

我が儘な子供を宥めるような梨花の口調に、羽入は言い返したくなったが、反論できる余地がないので
黙っていた。



 「これは私が4日間、寝る時間を削って考えた計画なんだから、あんたも協力しなさい羽入。
  いいわね?」


 「あぅ〜・・・」


 
 「シュークリーム10個」



 「わかりましたのです♪」


シュークリームは、無敵である。by羽入

414:水梨:2014/05/27(火) 19:45 ID:zVQ

また匿名さんになってた・・・。すみません。

415:水梨:2014/05/30(金) 17:59 ID:zVQ

超久しぶりにシリアスモードの話。

久しぶりすぎてわからなくなる気がするから、ちょっと前回までのまとめを書いておきます。

梨花が伝言を伝えようとしていた。


それでは続き行きます。



 「まずは、麻美。あなたなのですよ」

名を呼ばれて、麻美は、自然と肩に力が入ったのを感じた。




 「麻美へ。パパ自身の口で伝えられなくてごめんな――」


 そうして、梨花は語りだした。岡部なら、どういう言い方をするだろうと考えて。




  麻美には、いっぱい迷惑かけた。父親らしいことを、何もできてなかった。
  逆にパパは――俺は、麻美にいつも元気をもらってたんだ。
  他の子にはママがいるのに、なぜ麻美にはいないのかと聞かれたとき、正直、焦ったんだ。



  まだ幼い麻美には、母が自分を生んで死んだなんて話を聞かせるには残酷すぎたからだよ。

  答えることのできなかった俺に、麻美は何て言ったか覚えてるか?



  『でもね、あさみ、へいきだよ?ママがいなくても、パパがいるから全然さびしくないよ』、って。



  その時に、ああ、この子は何て強い子なんだろうって、そう思った。

 
  でも、正直心配だったんだ。麻美は昔から、何かを抱え込む癖があったからな。
  たとえば、幼稚園で友達とけんかした時も、俺には言わずに部屋で1人で泣いてたりした。
 
  でも俺は、麻美を慰めてやれる相応しい言葉を思いつけなかったんだ。

  泣かないで、とか、大丈夫だ、とかいう言葉も、なぜか無意味な気がして――


  でも今思えば、お前を抱きしめてやるべきだったんだな、って思ってる。

  泣いてすがる胸すら、かせなくてごめん。



  
 
 それと、もうひとつ。



 危険な目にあわせてごめんな。俺はお前に危険が及ぶ前に助けられなかった。

それどころか、お前を助け出すためだけに、何の関係もない女の子を身代わりにしようとしたんだ。


 父親どころか、人間失格だったと思う。



 でも、名前もわからない女の子が、俺を赦すと言ってくれたんだ。
麻美も見てただろ?



 罪は消えないけれど、償ったのなら自分の心に刻んでおけばいいって言ってくれたあの子を。

そしてあの子を取り囲む仲間たちを。


 麻美を残して死ぬなと言ってくれた子や、俺に生きてほしいと言ってくれた子たち。



 姿形は俺よりも小さいのに、俺よりもはるかに強い心をもってると思ったよ。
  
 そして、沢田。


 あいつは、俺の仲間だった。

 何であいつがああいうことをやるようなところにいたのか、俺にはわからないけど。

 それでも何か理由があったんだろうって信じてるから、心は変わってないと思ってる。

 
 だから俺は、あいつにお前を託した。

 もう生きられないことは、何となくわかってたから。
 それで・・・俺は何となくだいぶ安心しているんだ。



 でも1番心配なのは・・・麻美。


 お前が俺が死んだ仇を、あいつに――時雨に、とろうとしてるんじゃないか?


 
 


 

416:匿名さん:2014/05/31(土) 00:05 ID:zVQ

シリアスverのtipsかきます。

 tips「昨日の竜宮家」



 「・・・・・・ん」


 誰かに呼ばれた。お母さん――――であるはずはない。母はもう、いないのだから。

でもなぜか、とても体があたたかいのだ。小さい頃、母に背負われていた、竜宮礼奈がまだ幸せだった頃。
あの時の母の背中はあたたかったのを覚えていた。


 唯一違うのは――


 「レナちゃん」


 「竜宮さん」


背中の大きさと、臭いだけである。




 「・・・ほぇ?」

ついあげた素っ頓狂な声が、眠気を吹き飛ばしてくれた。



 「あ、やっと起きた」

こちらに顔を向けてくるのは、園崎茜だった。彼女は小さく見えるけれど大きな背中に愛娘たちを
背負っていた。


 「あ、魅ぃちゃんのお母さん・・・。おはようございます・・・」


 「んっふっふ。もう夜中ですよ。竜宮さん」

今度はもっと近くから声が聞こえる。

 この独特な笑い方をする男、大石は、いまだ寝ている圭一を担ぎ、レナを背負っていた。


 「あれ、大石さん・・・?2人ともなんでここに・・・・・・・・・・・・」

そうだ。思い出した。沢田の手術が成功するように祈っていたはずが、いつの間にか――


 「レナ、寝ちゃってたのかな・・・かな」






 
 

417:ユリカ:2014/07/15(火) 22:57 ID:KKU

水梨さんお久しぶりです!
またっく来れなくてすみません!

相変わらず水梨さんの小説面白いです!
麻美ちゃんのお父さんとてもいい人ですね!
続き楽しみにしてます!

418:水梨:2014/07/16(水) 18:40 ID:zVQ

パソコンがあれで全くこれませんでした・・・。お久しぶりです。

とりあえずレナのシーンから。


 「まあずっと1日大変だったから、眠たくなるのも無理はないよ。さ、レナちゃんの家についたから。
  だいぶお父さん心配してるよ。

  安心させてあげな」



 
 ――そうだ。お父さん。あの人は、いつも心配性だから。
レナのことを大切に考えてくれている。




 「はい・・・」


レナの返事とともに大石が「よっこらせ」と唸って、腰を下ろし、レナを地面に降ろす。
もちろん圭一はずり落ちないように。


 
 

 「・・・あの、大石さん、魅ぃちゃんのお母さん。ありがとうございました」


 
レナが深々と頭を下げると、大石と茜は口元を綻ばせた。
彼女が障子をあけて、ただいまとかけるその声は、父のためだけに向けられたものだと大石が知ったのは、
ちょうど最近。オヤシロさまの祟りに関係がある可能性のある疑わしき人物の1人――竜宮礼奈のことを調べて、
両親が離婚していることを知った。

 オヤシロさまの祟りなんてものは、どこにも存在しなかったわけだが。



 そういえば、古手梨花や北条沙都子は両親をなくしていた。
 梨花の両親が殺された経緯と、沙都子の両親については悲しい事故だったと入江からその詳細を聞いた時には、
時には、忸怩たる思いだった。
恩人のおやっさんが殺され、今年が定年で躍起になっていたとはいえ、彼女たちの心の傷を抉るようなことを
してしまったのだから。



 「・・・さぁて、そろそろ私は行くけど、あんたは圭一くんとこに行くんだろ?」


茜の声に、「そうですねぇ」と短く答える。長いこと園崎もずっと疑ってきたが、それすらも全く意味のない
ことだった。魅音や詩音にもその頃は嫌悪感を抱かれていたが、今では会えば軽口くらいはたたけるほど穏やかに
なったものだ。

419:水梨:2014/07/16(水) 18:58 ID:zVQ

tipsの続き行きます。


 大石と茜は竜宮家を離れて、彼ら自身も別の道を行った。

 大石は前原家に、茜は園崎家に。

 



 竜宮家に帰ったはいいものの、今度は父がいなくなっていて探しに出たレナが、ちょうどレナを探していた
父に出会うのは、約10分後のことである。





 
 そういえば夏に「ひぐらしのなく頃に奉」が発表されるみたいで、羽入の仲の悪い田村媛命とか、采ちゃんとか
新キャラも登場するらしくて楽しみです!

420:水梨:2014/08/17(日) 23:58 ID:zVQ

本編シリアス続き。


 「・・・・・・!」

父の言葉は図星で、麻美は慙愧の念に堪えずに俯いてしまう。殺さなかったとはいえ、未遂なのは事実――
しかし、それだけ父は自分を理解してくれているということなのだろう。


梨花の言葉は続く。

 
 だとしたら、それは間違ってる。どんな悪人でも殺したら、そいつの親が、友達が、悲しむから。
それに・・・・・・今思えば時雨だって、周りを自分と投影させることで、自分自身を救おうとしただけなんだ。
自分だけが不幸で、周りの人間はみんな幸せそうな顔。

 俺だってそんな状況に置かれたら、きっと人間を、世界を恨んでたかもしれない。





今日ヤモリが部屋を這いずり回りました。
 

421:ユリカ:2014/08/19(火) 14:31 ID:vPs

やっぱり上手です

え?『ひぐらしのなく頃に奉』が発表されるんですか!?
羽入の……!
どうしよ!なんか嬉しいです!
新キャラってどんな子なんでしょうか…
楽しみです!教えてくれてありがとうございます!!

どうでもいい話なんですが、
赤坂って結構、イケメンですよね(笑)
ユーチューブで、『ひぐらしのなく頃に』を、
色々、見てたら赤坂が出て来てよくみたら、
イケメンだと思いました(笑)

422:匿名さん:2014/08/19(火) 15:39 ID:vPs

ちょっと聞きたい事があるんですが、
『ひぐらしのなく頃に礼』の次は何編でしたっけ?

もし、知ってたら教えてください!
お願いします!

423:ユリカ:2014/08/19(火) 17:22 ID:vPs

↑私、ユリカです。すみません…

424:水梨:2014/08/22(金) 00:20 ID:zVQ

「ひぐらし奉」楽しみですよね!ひぐらし熱はまだまだ尽きません。赤坂確かに格好いいですよね!
徹甲弾のとことかが!そういえば梨花ちゃんって赤坂のことどう思ってるんでしょうか?


ちなみに「ひぐらし礼」ってアニメのことですか?アニメのことなら次は「ひぐらしのなく頃に煌(きら)」が
4話あります!ソウルブラザーズたちの激しい妄想があったり、梨花ちゃんたちが魔法少女になったり、
レナ、魅音、詩音の恋愛話だったり、過去の梨花ちゃんが羽入の前に現れたりってめちゃくちゃおもしろい話ですよ!
私的には2話と4話がお気に入りだったりします。


ところでもう一つ・・・。今まで書いてきた話なかったことにしていいですか?
特に戦隊の話や沙都子のかぼちゃ話・・・。なんか続き面白いの思い浮かべられなくなったんで・・・。


圭一たち部活メンバ−一行が旅館に泊まりに行くみたいなそういう話にしていいですか?
圭一主人公で。

425:ユリカ:2014/08/22(金) 23:03 ID:6c2

質問に答えて頂き、ありがとうございます!
私的に梨花ちゃんは赤坂の事を、「東京へ帰れ」って、
いつも?言っているけど本当は、赤坂の事を信頼しているんだと、
思います!

『ひぐらしのなく頃に礼』の次がきら(漢字が…)、
なんですね。私、『礼』からの話は見てないんです…。
残念な事に…。

水梨さんの話を聞いていると、『きら』の話が、
面白ろそうです!
見る機会?があれば絶対みたい…!

あの、『きら』の次って、『拡』ですよね?
確か1話で終わりでしたっけ?
知っていたら教えていただけませんか?

私も全然、ひぐらしが飽きないです!
奥が深いですよね!
なんか、水梨さんとひぐらしの話をしたら、
5時間以上は続けられそうです(笑)

今までの話、なかった事にしてもいいですよ?
続きを読めないのは残念ですが、
次の話を楽しみにしてます!

メンバーで泊まる話も面白ろそうなので。
水梨さんの小説を楽しみにしてます!
頑張ってください!

426:水梨:2014/08/23(土) 16:11 ID:zVQ

やっぱり梨花ちゃんは赤坂信頼してるんですね!「ひぐらし煌」めちゃくちゃ面白いです!
「ひぐらし拡」は2話分だったと思いますよ。見たのが結構前なので記憶があやふやなんですが、
沙都子と梨花が行方不明で、沙都子が生贄にされるとかいう話があったりしました。

うちの学校ひぐらし好きな人あんまりいないので、ここで語れて嬉しいです!
おととい8月21日は梨花の誕生日でしたのでここで祝っておこうと思います。

 梨花ちゃん誕生日おめでとう!

「ひぐらし奉」が漫画化したりアニメ化したりしないかな〜。


 今までのは葬り去って、新たな話から始めようと思います。


 「急忙し編」←相変わらずタイトルセンスないので始めます。基本は圭一主人公で。
 架空?の温泉の話が出てきます。


 



 ガタンゴトン、と揺れるたびに前原圭一の身体も従って揺れる。
この音は雛見沢にいても時々は耳にするのだが、こうして直接聞くのは久しぶりだ。
電車に乗ったのは雛見沢に引越するとき以来だ、と懐かしい気分になる。



 夏休み。今日から4泊5日の旅行なのである。圭一の友人、園崎魅音の祖母、お魎が機転を利かせて、
折角の夏休みなのだから旅館にでも行けばいいと、ちょうど部活メンバ−の人数の予約を取って
くれたのだそうだ。それはお魎本人ではなく茜に聞かされたのだと魅音は言った。


 「たぶん婆っちゃ、こういう風にすること滅多にないからさ、恥ずかしくてお母さんに頼んだんだよ」


雛見沢から駅に向かい、部活メンバ−は電車の中なのであった。


 「へぇ〜・・・。俺あのばあさんなんか怖そうなとこあったんだけど、いい人なんだな」


 「圭ちゃんがそう思うのもわかりますよ。あの鬼婆があんな・・・。
  最初空から槍が降るんじゃないかと思いましたよ、私」

魅音の妹、詩音は悪態をつくが、その口調が弾んでいることを圭一たちは知っていた。


 「その旅館って月見温泉とかいうんでしたわよね?」


 「そうなのです。以前赤坂が雪江と美雪と一緒に家族旅行したとかで、楽しそうに語っていたのです」

北条沙都子や古手梨花も、初めての雛見沢外出に緊張と期待を抱いている。
特に梨花は七月になればみんなで旅行に行きたいと言っていたから、楽しそうだ。
月見温泉は、字面の通り天気が良ければ月見ができるのである。月見といえば9月のイメージがある(?)が、
一応8月でも月見はやるらしい。


 「あぅあぅ。シュークリームが売っていたらお土産に買うのですよ!」


 「羽入ちゃんはほんと好きだねシュークリーム。レナもお父さんにお土産買ってあげなくちゃ」


梨花の家に居候中の羽入と、親孝行な竜宮レナは電車から見える次々と移り変わる景色を窓から
覗いていた。



 

 『新宿ー新宿ー』

駅員の声が響く。電車が止まり、慣性の法則にしたがう圭一たち。


 「あ、着いたみたいですわよ」




 「東京か・・・」


圭一たちは席を立った。出口に向かう。
東京といえば、あのころを思い出す。勉強にストレスがたまり、むしゃくしゃしてモデルガンに愉しみを
見出していたあのころを――圭一にとって、東京はあまりいい思い出など――



 
 「きゃッ!」


悲鳴とともに肌に感じる柔らかい感触。服の生地に包まれた豊満なそれ。



 「ご、ごめんなさい!!」


ドジっ子属性を醸し出している眼鏡のおさげの女性が頭を下げてくる。見た目からして高校生に思える。
電車から急いで外に出ようとしていたら人ごみに押されて圭一に当たってしまったらしい。
その彼女、背が結構高いので女性のあそこがちょうど圭一の顔に当たってしまったという
ToLO●E的ハプニングである。



 東京は人も多いので歩きにくいと圭一は常々思っていたのだが、この時だけは違う。



 圭一は人知れず親指を突き立てる。


 
 ――最高じゃねえか!東京!

427:ユリカ:2014/08/23(土) 16:46 ID:tuk

圭一……(笑)
急に…w

今回の話、本当に面白ろそうです!
続きを楽しみにしてます!

『拡』は2話までなんですか。
さとこが生贄に!?
話がとても面白ろそうです!
見たいな〜…。

私もそんなにひぐらしを知っている人が、
いないので、水梨さんと話せて嬉しいです!


え?梨花ちゃんって、一昨日が誕生日だったんですか!?
知らなかったです。
教えてくれてありがとうございます!

私って、そこまでひぐらしを知らないんですね…。
もう少しひぐらしを勉強?して詳しくなりたい!(笑)

428:水梨:2014/08/23(土) 23:11 ID:zVQ

私もひぐらしをもっともっと知れるようになりたいです!クリアファイルとかポスターとかほしい・・・。
あと、昭和58年代の東京とかよく知らないので、ちょっとというかだいぶ今風の東京になってるかもしれません。
そして私は東京出身ではないので東京っぽくないかもしれませんがよろしくお願いします。

 「ちょっと圭ちゃん。鼻血出してないで行くよ!」

既に圭一以外は電車の外であった。魅音の大声で圭一はやっと我に返る。

 ・・・つーか鼻血出てたのか。いや、これも仕方のないことだ。男の萌えには男にしかわからない。


 「あ、待ってくれよみんな!」


電車の出口を抜けると、レナたちが呆然として圭一を待ってくれている。


 「まさか圭ちゃん、電車で女性の尻にでもさわる妄想してたんですか?」


 「みぃ。圭一ならあり得るのです」

ことを大きくしていく詩音と梨花に圭一は否定の意を込めてと両手を振った。電車を出ようとしたら
女性の胸に顔が埋まっただとか、その胸が魅音や詩音より大きかったことは口にださないようにした。
今日の圭一は少しばかりいつもと違い敏感だった。言えば彼女たちの身につけるホルスターの拳銃とか
スタンガンとかで滅多打ちにされそうな予感がしたのだ。



 「とにかく、1日目は観光してから旅館だったよな?」



 「そうだよ。昼食はそのへんのレストランで」

先頭を魅音に、圭一たちは駅のホームを歩いていく。人ごみに紛れないようにエスカレーターを上り、
歩いていく。

 広がるのはファッションショップやらファ●リーマートなどのコンビニ。

 ああ、懐かしき東京。でも萌えをさらに感じられるんだろうな東京。
 メイド喫茶で女の子にスプーンにプリンとか入れて口で食べさせてもらいたい。
 コスプレとかしてる女の子もいるかもしれない。ま●かとか。


 「かぁいいのないかな、かな!」

折角東京まできたのだから、何か一つはお持ち帰りしたいという所存らしい。アダ●ンを特にお持ち帰り
したいとか。

429:ユリカ:2014/08/24(日) 01:36 ID:tuk

それを言ったら私も全然、東京ぽっくないですよ!
私、生まれも育ちも神奈川なんで!

そういえば、私さっきまで『きら』を、
見てました!
とてもよかったです!
3話と4話がとてもよかったです!

『アウトブレイク~拡~』も1話まで見ました!
レナ達の仲間思いにまた感動?をしてしまいました。
私もあんな仲間が欲しいです(笑)


相変わらず圭一の妄想が…
いつか圭一、自分の妄想で暴れ出しそうです(笑)
そうなったら面白ろそうです(笑)


私、雛見沢みたいな自然が多い所に、
住んでみたいなぁ〜…

430:水梨:2014/08/24(日) 18:52 ID:zVQ

ユリカさん神奈川育ちなんですか!?羨ましいです!私結構遠いんです。
確かに煌の3話と4話もよかったですよね!レナや詩音もそうなんですが、魅音は最後のとことか特に可愛かった
ですよね!アウトブレイクはいろいろ衝撃的でした!

 圭一にはいろいろ活躍させたい。主人公だし。

雛見沢のモデルとなっている白川郷にも行ってみたいです。

さっき一回投稿したんですが文字数の多さで投稿できなかった・・・。

431:水梨:2014/08/24(日) 19:09 ID:zVQ

しばらく歩くと、階段が見える。そこからさしこむ光が眩しくて思わず目を眇める。
階段は120段くらいはあったが、圭一たちは部活で鍛えているので身体能力もそこそこあった。
だから結構容易く登ることができた。
 

 そして広がるのは大都会の町。


 「そういえば都会といえばアイドルの握手会とかやってるんですよね?」


 
 詩音の声を合図に、圭一は俊敏に過敏に首を大きく辺りを見回した。

 アイドルと握手!

その時に自分に向けられるであろうフルーツのような笑顔が圭一の脳裏に浮かぶ。
さくらんぼのようなその手が、圭一の手を握るのだ。
ここぞというとき、圭一の萌え発見センサーは非常によく働くのである。




 「あそこだッ!」


圭一の指さした先には、男たちが蟻のように群がっていた。ハッピ、ハチマキ、ボードなどとライブに
基礎的な持ち物を身に纏う者もいれば、サイン色紙を手にする者もいる。何故か全裸の人間が数人いるが、
人が多いため、一般人にその赤裸々な姿は見えず、また集う男たちが興味があるのはアイドルだけなので、
多少おかしな格好でも突っ込まれない。



 しかしそれほど男たちが集まっているということは、よほど可愛い女性があの場にいるに違いない。
圭一は父から引き継いだ萌え属性には詳しいが、アイドルについてはそこまで博識でもないのだ。

432:水梨:2014/08/24(日) 19:47 ID:zVQ

しかし、だから、だからこそ人は未知の体験にここまで惹かれる。

 それは、いわば夢なのだ。


 「まさか圭一さん、握手会行くつもりなんですの!?っていうか見つけるの早すぎですわよ!」

 「僕たちはこれから『シュークリームの歴史館〜しかとその眼にやきつけよ!シュークリームの起源〜』の
  屋敷に行く予定なのです!」

 「そんな予定は入っていないのです」


圭一の横で沙都子、羽入、梨花が思い思いに言い交わす。
すると突然、圭一は両手を振り上げて、身体を地面に擦り付け――


 「みんなッ!頼む!!」

 土下座。

非常に申し訳ない角度の両手をコンクリートにつけるその無様な姿は、潔くもあった。


 「ちょ、ちょっと圭ちゃん何やってんの!こんな公衆の面前で!」

 「どうしたのかな、かな!?」



 「どうか・・・俺のささやかな男の・・・いや、漢の夢を、叶えちゃあくれねぇか!」


レナたちは困惑した。仲間である圭一の夢を叶えてやりたいが、どうにもいい予感がしないのだ。
というか悪い予感しかしない。妄想大爆発、そんな予感が。
だから圭一に答えを与えられなかったのだ。



 そこへ、圭一のもとに歩み寄るサンダルをはいた小さな足。


羽入だった。
 
 「・・・・・・圭一の気持ちはよくわかるのです」


 「もしかしたら今日を逃せばもう二度とその機会はないかもしれない。
  ならば精一杯楽しく生きるのが正解だと思うのです。
  それに気づくのはとても難しいこと。でも圭一はそれに気付けた。
  それはとても素敵なことだと思うのです。・・・だからその気持ち、大切にしても
  いいと思うのです。だから僕も、シュークリームの大使館に行く気持ち、大切にするのです」


 「は、羽入・・・!」
  

圭一は感涙して、涙ながらに頭を上げる。男のロマンは、男にしか理解できないと思っていた。男と女には
やはり考え方の差があるのだと。しかし、それこそが圭一の勘違いだった。
夢を追い続けるのは皆一緒。そこに男女の違いなどないのだ。

シュークリームは知らねーけど。



 「どこかでその台詞、聞いたことがあるような気がするのは気のせいかな、かな・・・」

 

433:ユリカ:2014/08/24(日) 21:32 ID:tuk

水梨さんは遠いんですか!
でも、私の住んでる所は都会よりも、
町(少しは変わるかな…?)で、何もないですよ(笑)
森林とちょっと歩いた所に川があるだけで…w

でも私、将来は熊本県に住みたいと思ってるんです!
だから今の内にお金を貯めて行きたいです!

4話のちっちゃい梨花ちゃん素直でとても可愛いかったです!
もう、妹にしたい!

梨花ちゃん羽入の扱いがたまに酷いけど、
そうゆうのも可愛いです!

アウトブレイクで、入江さんが自殺?を、
しちゃうのはビックリしました。
2話はまだ見れてないので、
今度見たいです!

白川郷はとてもいいですよね!
白川郷にある家とか、昔に元ったみたいでいいです!

文字数って多くなると投稿ができませんもんね…。
合わせる?のが、大変です…。


圭一の見つける速さにびっくりしました!
そこからのさとこ、羽入、梨花ちゃんの、
会話がとても面白ろかったです!

434:水梨:2014/08/24(日) 22:38 ID:zVQ

熊本県って私も一度は行ってみたいなあと思っています!
そしていろいろと間違えました!すみません。私アウトブレイクはApartとBpartに分かれて(それぞれ25分くらいだったような)
いたので、2話分かと思っちゃったんですけど、私的には入江の自殺はもう2話目の感じでした。
ていうかあそこが一番私にとって衝撃的だったんです。入江の自殺を無表情で見つめる梨花ちゃんとか。
アウトブレイクはなんか部活メンバーたちが山(だったっけ?)から見下ろして終わりです。



  圭一の様子を見かねた魅音は、一つため息をつく。


 「そこまで言うのなら・・・。でも圭ちゃん。本当に握手会に行くんだね?」

それは確認の問いだ。握手会にはすでに人が並んでいて、今から行けば圭一は待たなくてはならない。
待つ時間がどれだけの時間を消費するか。そしてそれは仲間たちと一緒に行動できる時間が減るという
ことだ。それでも、己が夢を突き進む覚悟はあるのか、と魅音は問うているに違いない。
圭一は奥歯をかみしめた。




 「・・・ああ。ごめん。魅音、みんな」



 「いいんだよ。おじさんはそれが聞きたかった」

魅音の表情はどこか寂しげだが、それでも何かをふっと乗り越えるようなそれだった。


 
 「圭一くんにも感じることがあるんだよね。大丈夫。レナはその間にいっぱいお持ち帰りできる
  もの探しておくから!」


レナも圭一への激励の意を示した。
今この時、圭一は彼女たちの存在が自分の背中を後押ししてくれる両親の存在のように思えた。
彼女たちの存在を胸に抱きしめ、前原圭一は漢の聖地へと進む。


 「・・・ありがとな、みんな。俺、行ってくるよ!
  きっと成長して帰ってくるからな!」


 「圭一くーん!頑張れー!」

 「圭ちゃーん!達者でねー!」

 「圭一ー!夢をつかむのですよ!」


レナと魅音は手を左右に大きく振って、小さいようで大きい背中を見送る。
 
 





 
 「え、ちょっと何ですかこのノリ」


 「しーなのです詩ぃ。空気を読むのです」

握手会行くだけでなんだこの茶番劇。あほらしい。げんなりとした詩音の肩に梨花は手をやった。
詩音の思いは梨花だけでなく沙都子も同様らしい。


 「それにしても梨花。羽入さん本当にあの・・・『シュークリームの歴史館〜しかとその眼にやきつけよ!
  シュークリームの起源』の屋敷とやらに行くつもりですの?」


 「よくそんな長ったらしい名前覚えてたのですね。賞賛ものなのですよ」

梨花はそう一息つくと、大丈夫なのですとアタッシュケース(全員持っています)から瓶を取り出した。


 「あれが変な行動したらこいつですぐ抑え込むから心配ご無用なのです。にぱ〜☆」

キムチ瓶であった。ラベルには、『これであなたも今すぐ懲罰行きよ!かつてない地獄が味わえちゃうかも?』
と書かれていた。


 

435:ユリカ:2014/08/24(日) 23:52 ID:GdY

そうだったんですか!?
アウトブレイクって1話で終わりって事なんですね…
いえ、わざわざわ私の為に調べてもらって、
ありがとうございます!

 私、アウトブレイクでまだ好きなシーンがあるんです!
レナが魅音を圭一の家に連れて来た後の戦いの、
シーンが好きです!
後は、最後の方の梨花ちゃんとの、
別れのところの、
『ファイトフォーなのです!』
(↑これ間違ってたらすみません!)
の、所も好きです。
あの時の梨花ちゃんを見てると、
『再会出来るといいな…』なんて思ちゃいます。

水梨さんは今、一番どこの都道府県に行きたいですか?

圭一、握手会にいけましたね!
この後、どうなるか楽しみです!

436:水梨:2014/08/25(月) 17:20 ID:zVQ

戦いのシーンは私も見入ってしまいました!梨花ちゃん、よく「ふぁいと、お〜☆」って
言いますよね。でも最後なんで別れる必要があったのかいまだによくわからないです。
そしてやっぱり私は東京行きたいです。この話は私の願望を込められてます。

437:水梨:2014/08/25(月) 19:07 ID:zVQ


 圭一は漢の夢に向かったが、それがかなうのはもちろんそんな簡単ではない。
目の前に並ぶは約3000人の男たち。障害は多い。
しかも進みが遅いのをみるとどうやらアイドルとの握手に時間をかけているらしい。
時間を計って――ざっと、0.33333・・・・分くらいであろう。


 ――変態じゃねえか!俺なら1500秒以内にすべてを完遂するッ!


 さあ来いアイドル。俺を満足させてみやがれ。



 「おい!いままへなにはへらんらおまえ!」


滑舌悪ッ!

何やら遠くから理解不能な声が聞こえてくるが、圭一には何の関係もないのでとくには気にしない。



 「みてわはらんかもうあふしゅかひははひまってるんらろ!」

しかし、その声の主はだんだんと圭一に近づいてくるようである。よく見るとそれは男で、
かれこれ70代くらいの老人だ。
老人にあんな知り合いいたっけと圭一は頭を巡らせる。密接な関係なのは祖父か公吉くらいである。
うん、やっぱり俺じゃねえな。

 そうこうしているうちに老人は圭一の傍にやってきた。圭一が来てほしいのは可愛いアイドルであって、
男ではない。そして彼は急に腕をつかんだかと思ったらアイドル目当ての男たちの軍勢から引き離した。


 「ちょ、おいおいおいおいおい!何すんだよおっさん!」

せっかく苦労してここまで並んだのだ。老人がどういうつもりか知らないが、ここで夢を邪魔される
わけにはいかないと圭一は必死にもがくが、意外に老人の力は強く、簡単に引き剥がせない。
とりあえずわかるように喋ってくれればこちらにも打開策はあるのだが、何せお酒を飲んだ後の
サラリーマンのごとくだ。日本語はただでさえ複雑だからちょっと聞き逃したことがあるだけでも
言葉の意味は多少違ってくることがあるというのに。





 なす術もなくあきらめた圭一が老人に引っ張られるがままに着いた場所は、ロッカーがそこらじゅうに
置いてあり、ウィッグや女性用のお洒落な服などが机や壁に飾られている白い部屋だった。
しいていえば狭めな控室である。


 「なんだ・・・ここ?」




 「今までどこに行ってたんだ!もう握手会は始まってるんだぞ!  
  見てわからなかったのか!?」


 「急に饒舌になってる!?」


連れてきた老人が急にペラペラと喋りだすものだから圭一はつい突っ込んでしまう。



 「お前も知っておろう!外に出たらわしは滑舌が悪うなってしまうんだ!」


 「いや、知るわけねえだろ!何だそりゃ!」


というか圭一は彼の知己などではない。東京にいたころにも会っていた記憶もない。

438:ユリカ:2014/08/25(月) 22:14 ID:tcg

水梨さんは東京ですか!
いいですね!
私、秋葉原とかに行って、
ひぐらしのCDとかが欲しいな(笑)

私、梨花ちゃんの
『みぃ』とか『にぱ〜☆』が、好きです!

話が変わるんですが、
今日、ひぐらしの夢を見ました。
あまり記憶に残ってないんでが、まだ記憶に残ってるのは、
レナに殺されかける夢見たんです。
私、レナに何したんでしょうね?(笑)
せめて、殺されるんじゃなく、部活に参加したかった…((泣

439:水梨:2014/08/25(月) 23:13 ID:zVQ

ひぐらしのCD私もほしいです!梨花ちゃんのあの田村さんの声がかわいすぎて・・・。
最初ひぐらし1期のアニメの予告の女の子の声が梨花ちゃんだって気づきませんでした。
というかひぐらしの夢見たってなんか羨ましいです・・・。殺されかけるのは勘弁ですが。
私も部活に参加してみたいです!コテンパンにされそうですけれど。
とりあえずひぐらしの皆様方にいろいろ質問したいです。それから、
夢ってその時の心理状態をあらわすなんて言いますけど、そこらへん
実際どうなんでしょう?それから私が一番見たい――たとえばひぐらしが
いいなって思って寝たら、全く関係ない、その日ちょっと見たりしたアニメの夢とか見てしまうんです。
だから私が見る夢って特に考えていなくて頭の隅にちょっと残ってるものなのかなって思います。
でも漫画で見たネタがそのまま夢となって現れることもありました。何故か電線の上を母と走って
忍者みたいなことをしてた夢もありました。

440:ユカ:2014/08/25(月) 23:44 ID:tcg

夢って心理状態を表すんですか?!
じゃ…私って……。


水梨さんは夢で漫画で見たネタが、
そのまま出てきたんですね!
なんか面白ろそうな夢です(笑)

私もひぐらしの皆に質問したい!
例えば圭一や悟(いたら)の恋愛事情とか。
他の皆には人生で1回はやりたい事とかw


ずっと前に兄が言ってたんですが、
『枕の下に自分の好きな漫画を置いて、
右手(もしかしたら左手かも)を枕の上に置くとその漫画の夢を、
見られるらしいよ』
と言われて、やったんですが見れませんでしたけど(笑)

他にも明晰夢(めいせきむ)とかあるらしいですよ。
友達が言ってた事なんで詳しくは分かりませんが…。
その夢を見ると自分の好きなキャラクターに、
会えたり、五感全てが使えたり…とか。
でも簡単には見れないらしんですが、
1度は見たいです!

441:ユリカ:2014/08/25(月) 23:45 ID:tcg

すみません、上ユリカです。

442:水梨:2014/08/26(火) 22:01 ID:zVQ

明晰夢ですか・・・。初めて聞きました!そういうの一回でいいからめちゃくちゃ見たいです。
とりあえずやっぱり「こういう状況に置かれたらどうするか」みたいなインタビューを
部活メンバ−たちや他の好きな漫画やアニメのキャラにしてみたいです。

443:ユリカ:2014/08/26(火) 22:21 ID:5EU

あ、私ひぐらしの世界に行けたら、
皆の家を見て歩きたいです!

でも、一番に行きたいのは、梨花ちゃんとさとこの家かな…
その次に、入江診療所がいいです!

水梨さん分かります!
色んな人にインタビューしたいですよね!
自分が好きなキャクターは尚更!

444:水梨:2014/08/28(木) 18:47 ID:zVQ

入江診療所にはメイド服とかいっぱいおいてありそうですね(笑)
明日は実力テストなので頑張ります。

445:ユリカ:2014/08/29(金) 23:47 ID:VUM

確かに、入江は置いてありそうです(笑)

今日、実力テストだったんですね!
私、来週は期末テストです。
なので、明日はテスト勉強を、頑張ってきます!

水梨さん、良い結果だと良いですね!

446:水梨:2014/08/30(土) 00:13 ID:zVQ

来週期末テストなんですね!ユリカさんも頑張ってください!私はすでにもうやばい感じが
します。それに明日というか8月30日は別のテストがあるし、たぶん一週間前にやったテストもかえって
くるだろうし、明後日には8時間詰め勉強もあって月曜にはテストが帰ってくるという状態なんですが
・・・。

 そこでどうかひぐらしの面白いネタ、教えてください。

447:ユリカ:2014/08/31(日) 22:34 ID:BwA

私も良い点数が取れる気がしないですw


そうですね…面白いネタですか……

魅音がたまたま、雛見沢に観光してきた外国人に、
話かけられて、英語の魅力に気付くみたいな?
そこから、急に魅音が
『英語ってなんか格好いいね!そんで、奥が深い』
みたいな発言をして、人一倍に英語の勉強を頑張る…、
けど、最終的に、
『性に合わないから辞める』
みたいな話はどうですか?
でも、難しいですね。このネタは…。

後は、さとこがたまたま、部屋の掃除をしてたら、
梨花ちゃんの写真を見つけて、
その時にたまたま、買い物から帰って来た梨花ちゃんと、
思い出話…とかはどうですか?

他にも何かいいネタがあったら書き込みします!

448:水梨:2014/09/01(月) 19:06 ID:zVQ

テスト終わって返され始めてきました。地獄です。ネタがすごいです!
魅音の話もりかさとの話も漫画にしてみたいです!!
そういえば魅音って、勉強あまり得意ではなかったですよね?なんかそこから考えていくと
面白くなりそうです!
梨花と沙都子の思い出話ってけっこうたくさんありそうだけどなかなか思いつきにくいですね。


 あれの続きかきます。



 「おっさん、誰かと勘違いしてないか?俺は前原圭一っていう一般市民だぜ?」


 「だから榊山健二だろう?いつもあれほど時間は厳守と言っておろうに・・・」

いや間違えてるし。一文字たりとも合ってねえだろとつっこみたい。耳は結構遠いらしい。
先ほどから思っていたが、本当にこのご老人は誰なのだろうか。

 「違うって。ま・え・ば・ら・け・い・い・ちだよ!」

 
 「松崎し●る?」


 「わざとかそれ」

聞き間違いも甚だしすぎる。圭一は嘆息すると、辺りをぐるりと見回した。
傍の白い机に並ぶのはウィッグ、ウィッグ、ウィッグ、一面ウィッグだ。女性用の鬘である。
鬘売りの店なのかと思ったが、握手会について老人が言っていたことからそれと関係があるらしい。


 握手会に鬘。言葉にしてみると何の接点もなさそうなそれら。


 「なあ、結局何すんだよ」

圭一が問うと、老人は何当たり前のようなことを聞いているんだと至極真面目な顔をして答える。



 「もちろん握手会に――」



 「遅れてすいませんでした!!」

勢いよく開けられた白いドアは壁に叩きつけられ、圭一の耳を劈く。
一瞬何が起こったのか状況把握できなかった圭一の前に現れたのは一人の少年。



 「・・・・・・ってあれ?」

いい顔立ちの少年だった。引き締まった筋肉を持て余していて、圭一より幾分か身長が高い。
少年は圭一の姿を目にとめると戸惑った表情を見せ、圭一の後ろに控えていた老人に視線を移した。




 「宮崎さん!誰ですかこの人?」

宮崎、と呼ばれた老人は少年が現れたことに放心して目を丸くさせていたが、先ほどの荘厳な瞳に
戻る。



 「健二!健二じゃないか!・・・って、健二が2人!?」


 「だから俺は健二じゃねえよ!」

その榊山健二とかいうのは目の前の美青年であるらしい。何はともあれ本物が現れたのだから
これで誤解は解けるだろう。



 「宮崎さん眼鏡忘れてますよ!あれがないと知り合いでも鼻でしか判別できなくなるんでしょう!」


 「いや、実は今日眼鏡実家に忘れて・・・。あ、何かどうもすいません。」

少々羞恥心を感じさせる表情で、ぺこりと宮崎は軽く頭を下げる。
簡単に言うと人違いだったらしい。全く人騒がせな。
お役御免となった(特に役目があったわけではないが)圭一はその場を去ろうと――


 したその横で、脈絡もなく青年がウィッグをかぶりだした。
挙句の果てにはロッカーからアイドルが着るような薄桃色のワンピースを取り出し、
大きな首を無理やり入れて扮装しだした。





 圭一はその突飛な行動の意図をつかめずに、つい立ち止まる。


 
 「じゃあ今日も一日頑張りましょう!」


 




 

 

449:水梨:2014/09/01(月) 20:28 ID:zVQ



 「何を頑張るんだよ!!」

筋肉隆々の拳を固められても可憐さは感じられない。健二は今女装しているわけであるが、
頑張るとは女性になりきるのを頑張るということなのか。


 「だから、アレですよ。握手会。
  この握手会は、女に扮した男と握手する場所なんですよ。
  いや、最初に就職したときは俺も信じられなかったんすけど、これまた意外に客が
  多くて――


  って、あり?」


圭一の姿はもうそこになかった。




                      *



 「あ、圭一くん早かったね!」


レナたちは圭一が握手会の間に思い思いに見て回ると言っていたが、圭一が握手会の群を抜け出した
すぐ近くにいた。どうやら待っていてくれたらしい。持つべきものは仲間である。
ただ、今の圭一には彼女たちを斟酌するほどの心の余裕がなかった。



 「あるぇ、もう握手してきたの?結構な人数並んでたと思うんだけど・・・」

 「まさか圭ちゃん、早く握手したいからって順番ぬかしたんですか?」

不審な目で見つめる詩音に平常なら言い返すが、とにかく心の余裕がなかったので静かに違うと
くぎをさしておいた。


 「圭一、どうしたのですか?元気がないのですよ」

梨花が踵を上げて圭一の頭をなでてくれる。梨花ちゃんマジ天使。

450:ユリカ:2014/09/01(月) 23:04 ID:lSc

テストお疲れ様です!
私は今週なので頑張ってきます!


確かに、梨花ちゃんとかの昔話は難しそうですよね…。
魅音、いつも(ではないかもしれませんが…)圭一とかに勉強を、
教えて貰ってますもんね(笑)

私、さとこと梨花ちゃんってどんな風に、
出会ったんでしょうね?
そうゆう処が気になります。


圭一、握手会お疲れ様ですw
握手会って結構、並ぶのがきつそうです…。
私、行った事がありませんが……。

451:水梨:2014/09/04(木) 23:24 ID:zVQ

友情ものとか結構好きです。私も握手会なんて行ったことないです。続きいきます。


 「握手会ってこんな恐ろしいものだと思わなかった・・・」

あの握手会に並ぶ男たちとはそりが合わなさそうだ。圭一が求めるのは女の手だけである。
新雛見沢症候群の世界で何故か悟史がスプーンを口に咥えてヨーグルトを食べさせてくる光景は
少々トラウマものだというのに(罰恋し編より)、今回でまた新たなトラウマが出来上がってしまった。


 「よくわかんないけどさ、圭ちゃん。今から行くところは圭ちゃんを元気にしてくれると思うよ」


 「今から?」


 「うん。一応本来の予定に組んでたんだけどね」


 「それはもしかしてシュークリームの歴史館なのですか!?」


 「それは違うけど」

魅音は羽入の期待の言葉を一刀両断して続ける。


 「ま、おじさんについてきてよ。みんな」

452:ユリカ:2014/09/06(土) 16:24 ID:J.Y

魅音は、いったい圭一をどこに連れていく気なんでしょうか?


今回の数字が駄目でしたw
やっぱり数字は苦手です。

でも、逆に社会(地理)と家庭科はスラスラと、
解けました!

友情系って結構、いいですよね!
あ、後、シリアスとかギャグとかも好きです!

453:水梨:2014/09/07(日) 19:21 ID:zVQ

数学私も苦手です!今日のテストも英語と数学と小論文が特に難しかったです。

そして私、社会では地理が一番苦手です。家庭科は勉強すればある程度とれるかもしれないけれども・・・。

私もギャグもシリアスも大好きです!

454:ユリカ:2014/09/07(日) 21:29 ID:mxk

そうなんですか?!私、結構、地理が好きです!…だけど、
覚えるのがちょっと…。

歴史も結構、好きですよ!
兄が高校生なんですが、たまに社会で『世界の歴史』の、
教科書を持って帰ってくるんですが、
その教科書が結構、面白いです!^^

数学の試験で連立方程式が出たんですが、
何も書けませんでした(笑)
『え?何これ…あ、もういいや!』
的、状態でしたw
おかげで、時間が15分以上も余りましたよ(笑)

455:水梨:2014/09/26(金) 23:40 ID:zVQ

超久しぶりですね!最近アザゼルさんやあの花にはまってました・・・。
地理は覚えること結構多いから大変ですよね。世界の歴史となると覚えることが
増えて大変・・・っていうか、社会は基本暗記ものみたいな感じに思います。
それと、連立方程式って時々変にややこしい問題ありますよね。
それで解けなかった記憶が私にもあります。

456:ユリカ:2014/09/28(日) 10:45 ID:voY

お久しぶりです!


アザゼルさん面白いですよね!
アニメで1、2話程度しか見てませんが…。
ほとんどがギャグばっかで面白いです!

私、今は『花咲くいろは』にハマってます!


連立方程式は本当にメンドいです。
数学自体、無くなってほしいぐらいです(笑)

457:水梨:2014/09/28(日) 18:16 ID:zVQ

アザゼルさん知ってたんですね。花咲くいろはは聞いたことあります!
最近犬とハサミは使いようを見始めました。
そして以前ユリカさんが出してくれた、魅音が英語にハマるというネタを小説にして
みました。勉強は好きそうにない魅音がどんなふうにして英語を熱心に勉強するのかなと
考えたのですが、するとやっぱりゲームやら圭一やらが関係するんだろうなあと考えました。
何故かそこでちょっとしたサスペンスになるのはなんでなんでしょうね?(笑)

458:ユリカ:2014/10/03(金) 22:11 ID:UAw

アザセルさんは兄と一緒に見た事あります!
少しですが…。

犬とハサミの使いようもアニメで見ました!
皆、キャラが…(笑)


魅音が英語を好きになったら面白ろそうですよね!

何故か、ひぐらしは途中からサスペンスになっちゃいますよね(笑)

でも、水梨さんが書く小説を楽しみにしてます!^^

459:水梨:2014/10/05(日) 18:11 ID:zVQ

私あんまりいいアイデア思い浮かばないんですが、無理やり結びつけるなら、
謎の男から宝箱みたいなものをもらって、そこには異国語がかかれていて、
一週間後に読解できたら箱のカギをわたそうみたいなことを魅音は言われて、答えられなければ罰ゲーム
みたいなことも言われたのでゲーム部の部長魂が燃えて英語(異国語が英語だと思い込んだ)を
勉強し始めるようになって、詩音にも「勉強できるってことも圭ちゃんにちょっとアピール
できるんじゃないですか」みたいなことも言われるようになって本格的に英語を勉強するみたいな
感じなんですけど、やっぱりその謎の男の陰謀に巻き込まれる、みたいな・・・。
そんなめちゃくちゃなストーリーになんですけど、ユリカさん、なんかいいアイデアありませんかね?

460:ユリカ:2014/10/18(土) 23:34 ID:LBI

うーん…、私はそれでいいと思いますよ?

他にアイデアがあるとしたら、

放課後に魅音に勉強を教えてた時に、
圭一が「魅音って勉強、何もできないよな〜」
魅音が「え、英語ぐらい喋れるよ!?おじさんは!」
そこから、『自分だってやれば出来る!』
と、魅音が言って英語を猛勉強。

だけど、ある日に外国人が話かけてきて、
魅音がその外国人に好かれある物を、
渡される。
そこから、何かの事件に巻き込まれる。

とかはどうですか?
めちゃくちゃ短かくして、内容?を書いたんですが…。


分かりにくかったらすみません!
それとお久しぶりです!

461:水梨:2014/10/20(月) 18:44 ID:zVQ

久しぶりです!魅音が外国人に好かれるというパターンは考えてませんでした!
なんか面白そうです!アイデアありがとうございます!
なんか最後の方だけ思い浮かんだので書いてみます。実は箱の文字は魅音の思い込んでいた英語でなく、
ラテン語で、「Buxum non aperire.」と書かれていたというかんじで。
謎の男の口調は当初であったときは外国人らしく片言だった。

最後は、警察から逃げてきて魅音を襲おうとした男に話しかける。

 「あの箱の文字の意味・・・わかったよ。あの言葉の意味は、
  

 『この箱を開けるな』――英語だと思ってたけど、実はラテン語だったんだね。
  実に巧妙な罠だったよ。沙都子もびっくりだわ」


 「・・・別に罠を仕掛けたつもりはないが、こいつは驚いた。まさかラテン語を
  訳せるとは」


 「へぇ、日本語そんな流暢に喋れるんじゃん。なんでわざわざあんな片言で喋ったのさ?」


 「騙す必要があったからだよ。最初から日本語がうまいと分かってりゃ、もっと早くに
  俺が特定させられたかもしれないしな」

最近雛見沢を騒がせた謎の男。その正体はいつしか魅音に挑戦を申し込んだ男だった。


 「ああ・・・。おじさんも詩音に言われるまで全然知らなかったよ。

 
  ――あんたが爆弾を持ち歩く、テロリストだったって」


 

 「てことはあの箱には爆弾が入ってたわけでしょ?わざわざ『開けるな』って書いたのは――」



実は男もゲーム好きであり、同じく思う魅音に多少共感したので、死んでほしくはなかったみたいな話。




 「じゃ、俺急いでっから」


と、逃げる男。彼は油断していた。魅音がただの少女ではないことを。
彼女が、部活の部長だということを。


 「待ちな」


 「罰ゲームを提案したのはあんただよね?おじさんがクイズに答えられたんだから――

  


  あんたはさ、」


魅音は既に男のもとに走り出していて。




 「罰ゲームうけないとねッ!!」



何が起こったのか、男は理解が追いつかなかった。わかるのは、あ、浮いてるなということだけ。


 まさか、俺は・・・こんな少女に。


瞬間、漢の身体は地面に強くたたきつけられる。背中に襲う痛みよりも、素直に驚いた。 
 
 こんな少女に投げ出されたというのか?


――魅音の必殺技、空気投げが炸裂した。

 


・・・みたいななんか最終的に熱血になってしまったんですけど、またまたすいませんユリカさん。
なんか面白いしめ方ないですかね?(笑)

462:ユリカ:2014/10/20(月) 23:07 ID:.tw

水梨さんは話を作るの上手ですよね!
いいな〜…


そうですね、締め…といゆよりもオチは(どっちも変わんない)
魅音が見た”夢”というのは、どうですか?
よく、ありがちなオチですね(笑)

それか、魅音以外の部活メンバーと詩音、葛西やお母さんが、
魅音になんの教科でもいいから、
勉強を好きになってもらう為の作戦というのは、
どうですか?
園崎家、曰く『魅音は園崎家の当主になるんだから、
少しでも勉強を好きになりなさい!』
みたいな?(笑)
だけど、結局は魅音にバレて、
『勉強は大嫌いだぁ!!!!』
という感じで終わるみたいな感じで。

長いですね(笑)

463:水梨:2014/11/10(月) 19:35 ID:zVQ

お久しぶりです!ユリカさんの案、すごくおもしろそうです!
それに触発されて、私も短編思いついたので投下します。


 ――ねぇ、死にたいって思ったことある?


目の前の少女は、少女だというのに不相応な表情でそう切り出すものだから、北条沙都子は
すぐに返事を言えなかった。


 「・・・な、ないですわよ。そんなこと」

一般人が返すような言葉。実質沙都子もそう思ううちの1人だ。死んでしまったら罠を作ることだって、
できなくなる。



 「・・・・・・そうよね」

少女――古手梨花の口調や雰囲気は、いつものそれとは違っていた。どこか寂寥感や、悲憤慷慨の様を
醸し出している。一体梨花は何が言いたいのか、沙都子はわからない。
 


 「私だって、死にたくない。






  でも、そういう運命なのだとしたら、どうする?私が、死ぬ運命なのだとしたら――」



 何を言い出すのかと思えば。沙都子は静かに歩き出す。そして、




                   パン。


梨花の頬を平手打ちした右手もそれなりの痛みをともなかったが、それはどうでもよかった。
梨花は何が起きたのかわからない表情だった。やがて状況を理解すると、静かに目を伏せた。


 


 「運命は変えられることを私に教えてくれたのは梨花たちですことよ。

  本人がそんなこと言ってどうするんですの?」


鉄平に幽閉され、悟史のために決して助けを求めなかった沙都子に手を伸ばしてくれたのは、
梨花たちだったのに。仲間が力を合わせたからこそ、縛られた運命を乗り越え、沙都子は救われたのに。




 「もし梨花が死ぬ運命だというのなら、私は、私たちは――、そんな運命、紙を裏返すように
  軽くひっぺがえしますのよ!」



肩で息を整える沙都子に、梨花はくすりと笑う。

 
 「ありがとうなのです、沙都子。そしてごめんなさい。


  でも大丈夫。ボクは絶対、沙都子を死なせたりなんかしないのですよ」


それは梨花がいつも浮かべる、にぱ〜☆だった。


 「・・・梨花」

いつもの梨花に戻ったのだろうか。彼女は沙都子をまもろうとしてくれている。そんな
小さな身で。


 
 「それではボクは散歩に行ってきますのです」

突然梨花は立ち上がった。沙都子は眉間にしわを寄せる。
散歩。今はもう9時くらいで、子供が歩き出すようなそんな時間ではない。それなのに梨花は
何をしに行こうというのか。

 だから不安だったのだ。


 「そ、それなら私も――」



 「いいえ」

少しでも人は増えた方が、と立ち上がった沙都子を梨花は制した。


 「ボク1人でいきたいのです」


にぱー☆と、笑った。
その笑顔が、あまりに屈託なくて、まるで遠足に行くような、そんな顔で。

だから、沙都子は梨花を引き留められなかった。


 「り・・・か」



                      *


 ――そうだ。私は、沙都子に生きててほしい。

 一番の親友だから、あなただけは。


梨花は背後に気配を感じていた。そう。これで何度目だろう。何度経験しただろう。
この恐怖は。
それでも、沙都子にこんな思いをさせないだけ、ましだ。


 

 ザッ。ザッ。ザッ。ザッ。


早くなる足音。それに比例して梨花の足も自然と早くなった。


 ザッザッザッザッザッ。



 ガサ。



 


梨花の頬から、冷たいものが流れ落ちた。
梨花に逃げ場はなかった。前も後ろも、右も左も囲まれていた。


 ――そう、あなただけは。

464:ユリカ:2014/11/13(木) 00:30 ID:vqk

お久しぶりです!

上手ですね!沙都子ちゃんがちゃんと怒ってあげて、
よかったです!
梨花ちゃんはもっと長く生きてあげられたらいいのに...
なんて思ってしまいます。

そう言えば、話が変わるんですが、来年ぐらいに、
ひぐらしのゲームが出るらしいですよ‼︎
daiさんがつくった新曲やBGMが全部、歌詞付きだそうです!

いいですよね。私、金が無いので買えそうにないですが(苦笑)

465:水梨:2014/11/15(土) 23:54 ID:zVQ

ひぐらしのゲームって新作ですか!?
daiさんの作る曲はどれも最高ですよね!でも私も金欠なのでたぶん買えませんが・・・。
ひぐらしといえばあの部活メンバー東京旅行ネタの続きを思いついたので
明日投下します。

466:ユリカ:2014/11/16(日) 00:09 ID:Pxw

はい!新作です!
お金があったら買いたいです!
しかも、値段がとても高いです。

それはそうと、今日ヤマダ電気の本屋さんを歩いていたら、
ひぐらしの目明かし編のDVDがうってました!
表紙?は梨花ちゃんとさとこちゃんの巫女服姿でした!
とても可愛いかったです!


水梨さんの小説、楽しみにしてますね!


私、前から書いていた小説の続きが書けそうにないので、
新しいの今度、書いてもいいですか?
すみません。

467:水梨:2014/11/18(火) 23:27 ID:zVQ

新作とは神姦し編の続きでしょうか?何よりも楽しみですね!実況動画でとかなら
みれるんでしょうかね・・・?

 梨花ちゃんと沙都子の巫女服、確かに可愛いですよね!
私もゲオに行ったらひぐらしのDVDみるんですけど、無印1期のDVDのカバーは
レナとか魅音とか沙都子とか梨花とかだったりするんですが、なぜか白黒でちょっと
怖い感じがします・・・。

ユリカさんの小説こそ楽しみにしております。自給自足はあんまりできませんね。



 「こ、ここは・・・」

親子、または彼氏彼女、友達同士などでよく連れ立ってくる場所だ。着ぐるみで扮した
人気キャラクターが子供と写真をとったり、風船を配ったりしている。時には高い場所から
叫び声が響くこの場所は。



 「ゆ、遊園地・・・?」

なのであった。


 「ちょっとばかしここで遊んでこうと思ってさ。みんななかなかこういうとここないでしょ?」

その通りだ。雛見沢村はあくまで村で、広いとはお世辞にもいえない。それゆえに閉ざされた村で
生きた住民たちは、村の風潮を変えることは難しくなっていた。
だからこそ空気をかえるため、お魎は分譲地を提供したわけであるが、それはまた別の話。
都会に住んでいたことのある圭一やレナを除けば、村にずっと住んでいた魅音たちは、
遊園地など一度も言ったことがない。



 「確かにありませんわね。まあ一回遊びたいなと思ったことはありましたけど」


 「じゃあ沙都子。ジェットコースター乗れますか〜?」

 「・・・ば、バカにしないでくださいませ!それぐらいへのへの河童ですことよ!」

詩音がにやにやするので沙都子は思わず虚勢を張ってしまった。


 ――実際、叫ばないでいられるかどうかわからないのである。


 「じゃあジェットコースターからレナ乗りたいかな、かな!!」


 「俺も久しぶりだからな・・・」


 「みぃ☆スリル満点ではわはわなのです」

思い思いに言い交していると、魅音が思い立って向こう側へと走っていく。

 「おじさんちょっと券買ってくるからー!」


 「おー!」


                     *




 「みー、なんか比較的すいてるのです」


 「その方が都合いいですけどねー」

この中でも詩音は特に待つことが嫌いだった。世の中ではこれを短気と呼ぶのだろうが、とにかく
嫌いなものは嫌いなのである。以前、セブンスマートで特別限定品の売り出しがあり朝から並んで
いたことがあったのだが、自分の目の前でちょうど売り切れたのだ。その時の悔しさと言ったらもう
筆舌に尽くしがたい。そして店員が「売り切れましたので、さっさと帰っていただいて結構ですよ」と淡々と
述べられた時には本気でぶちまけられてぇか!とか言ってスタンガンぶつけようと思った。


 
 「あれ?羽入ちゃん?どうしたのかな?かな?」


 「・・・・・・」

いつになく羽入が無口なので、レナは彼女の顔を覗き込んだのだが――

表情が笑顔のまま固まっている。


 「どったの羽入?」

魅音にも問われたが、羽入は恐怖心から答えられなかった。

ぶっちゃけ怖いのだ。ジェットコースターが。梨花に知られれば「空中飛行してたやつが
何言ってんのよ」と笑い者にされそうだが。



 「きっと羽入は楽しみすぎて緊張してるのですよ。にぱ〜☆」

 (梨花!?)


 「へぇ、そっか!大丈夫だよ。まだまだ乗れるからさ!このあともっかい乗ろうかおじさんと」

 
 (ちょ、魅音!?)



おろおろしていると、梨花がこちらにゆっくり顔を向けて、にたりと――それはもう、
悪魔もとい魔女のような黒い笑みで。



 goodjobと親指を突き立てていた。

468:ユリカ:2014/11/22(土) 21:31 ID:qUA

本当に巫女服姿の二人は可愛いですよね!

ありがとうございます!
今週の水曜日ぐらいまでには短編か長編になるかは、
わかりませんが、考えてきます!

私もゲオやTSUTAYAなどに行くと、必ず好きなアニメの、
DVDを見に行きます。
だけど、白黒は怖いですよね。分かります。

またまた、話が変わるんですが、水曜日ぐらいに学校で社会のビデオを
見たんですが、白川郷(漢字間違ってたらすみません) ひぐらしの聖地の舞台が出て来て、
嬉しくなりました(笑)

教科書には黒部ダムが載ってますw

長文すみません...

469:水梨:2014/11/25(火) 00:39 ID:zVQ

ユリカさんの話楽しみにしてます!私はもう力尽き果てたので・・・www
ゲオとかに行くと借りることはないので好きなアニメのやつのカバーを見たりするのが唯一の楽しみです。
私も英語の授業で白川郷(感じ合ってると思います)の写真が出て、先生に「ここどこかわかる?」って
聞かれたときに「ひぐらしだー!!」ってなって、手をあげてしまいました。
黒部ダムって結構大きいとこなんですよね?

ところで神姦し編って羽入と田村媛命と采ちゃん全員が神らしいです。
神様オールスターズですね。神の集会とかやってたらいいなあって思います。

470:ユリカ:2014/11/25(火) 22:33 ID:DRo

私、いつも水梨さんの小説を楽しまわせて、
もらってますよ!
私より水梨さんの方が小説面白いです!

黒部ダムが一番、大きいかと聞かれれば、
分かりませんが、私は大きい方だと思います!


私、残念な事に神姦し編の事、最近まで分からなかったんんです。
恥ずかしながら。

でも、羽入達って全員、神なんですね!
もし神の集会があったらちょっと覗いてみたいです(笑)

水曜日までに小説考えてきます!
シリアスで梨花ちゃんがまだ世界を廻っている時の話を書こうと、
思います!
待っていてください!

471:水梨:2014/11/26(水) 00:16 ID:zVQ

ユリカさんの超楽しみです!私のやつ本当最近変な方向生き始めてるんで・・・。
黒部ダム結構大きいんですね!明日は定期テストがあります。公民は覚えることいっぱいで大変です。
私も神姦しっていうの最近知ったんです。姦しってなんて読むんだろうって思ってましたww
ループ時の話とは・・・楽しみです本当に!待ってます!

472:ユリカ:2014/11/26(水) 15:15 ID:zz6

『姦』は先生に聞いてみると「女が騒いでいてやかましい。」
って言う意味らしいです。
先生、それしか教えてくれないから、読み方は『かん』しか、
分かりませんが...(笑)

後で、投稿します!
本編は綿流しの3週間前となってます。

私、ひぐらしでループ中の話は初めてなので、
下手ですw
あまり、期待しない方がいいですよ?(笑)

473:ユリカ:2014/11/26(水) 21:36 ID:zz6

小説書きます!
いきなりになります。
後、プロローグみたいな感じで書きます!


深夜の時間ぐらいだろう。
普通だったらもう子供は皆、寝ている時間だ。
だけど私は違う。

古手梨花は窓の向こう側をワイン片手に持って呟いた。

「ねぇ…、羽入。今回は失敗しないでこの世界で上手くやっていけるかしら?」

梨花は羽入に目を向けないで窓の向こうをただ見つめて言う。

「…………どうでしょう……」

羽入も梨花と一緒に窓を見つめる。

「だけど…」

梨花は立ち上がり、羽入を見つめ少し大きな声で言った。

「今回こそ失敗しないでこの世界で上手くやってみせるわ!」



短いですね。
まだ話がまとまっていないので明日考えて、また更新します。

『プロローグみたいな感じ』とか言いましたが、
プロローグじゃないですね(笑)

474:水梨:2014/11/27(木) 12:25 ID:zVQ

小説見ました!!梨花ちゃんは再びループするかそれとも惨劇にあらがっていくのか・・・
どうなるのか楽しみです!梨花ちゃん頑張れ!!

475:水梨:2014/11/27(木) 12:26 ID:zVQ

あと、姦にそんな意味があったんですね!かんっていうのは知ってたんですけど、かしましいとは
読めませんでした。なんかやかましいと似てますね確かにww

476:ユリカ:2014/11/27(木) 21:56 ID:z56

そうですよね!私も全く知りませんでしたw

続きいきます!


〜朝・梨花目線〜
「りぃかぁ〜、朝ですわよ!起きてくださいまし!」
「みぃ…まだ眠いのです…」

眠い瞼を擦りながら私は起き上がった。
それよりもさとこ起きるの早いわね…

「さとこ、今日は何か行事でもあるのですか?」

え?という表情でさとこはこっちを見た。

「何を言っていますの?今日は学校があるだけで、それ以外は何もありませんことよ」
「え?でも、今日は珍しく起きるのが早いのです」

今までの世界では私より、早く起きた事なんてなかったのに…。
どういうことなの?

「って事は僕よりも、早く起きたのですか?」
「え?まぁ、そういうことになりますわね…って、梨花?ボケるには早すぎましてよ?」
「みぃ♪僕はボケてなんかいませんですよ?」

さとこは枕元に置いてあったタオルを持って私を見た。

「といっても、私はついさっき起きたばっかで顔を洗ってませんの。だから、
今から顔を洗って来ますわ。梨花も早く着替えて顔を洗ってくださいまし」

「後、ご飯の支度を済ましてきますわ!」
と、さとこは言い残し顔を洗いにと洗面所へ軽く走りながら行ってしまった。

「……羽入…」

羽入と言われた彼女は梨花の前へと姿を表した。

「なんなのですか?」
「さとこがいつもと違うわ。だから、今回は上手く行くかもしれないわ!」

羽入は少し顔を曇らせて言った。

「…前にも、そんなことを言って失敗しましたです…。」
「分かっているわ!だけど…羽入、期待し「梨花?」あ…さとこ…」

さとこは「誰かいるんですの?」と言い、僕達が寝ている部屋へと入ってきた。


今日はここまでにします!続きはまた明日書き込みします!

477:水梨:2014/11/27(木) 23:45 ID:zVQ

梨花ちゃんにとっては昭和58年6月は予定調和だから、
それが少しでも違えば運命が変わることを期待してしまうんですね。
確かループ時は結構羽入は悲観的でしたよね。
そういえばユリカさんの話は、皆殺し編の前なんですか?それともまた別のパラレルワールドと
考えた方がいいでしょうか?

478:ユリカ:2014/11/29(土) 11:45 ID:vVw

今、私が書いている小説は別のパラレルワールドと、
考えてください!

今回も悲劇で終わって色々と疑問が残ってしまうかもしれませんが、
そこは水梨さんの好きなようにとらえてください。

479:ユリカ:2014/11/29(土) 15:56 ID:7TY

続き書きます!

「梨花?どうかしたんですの?」

ど、どうしよう…あ!

私は昨日、さとこと遊んでいた紙人形を手に取った。

「みぃ、この紙人形と遊んでいたのですよ!にぱー☆」

まだ納得いかない顔でさとこは言う。

「でも、さっき『羽入』って言いませんでした?」
「みぃ?羽入というのはこの紙人形のことですよ?」
「あら、そうでしたの?」

やっと納得してくれた…。苦しい言い訳ね…。

私は、羽入の顔を見て少しからかってやろうと思いさとこにある事?を言う。

「この羽入は僕と一緒で辛い物が大好きなのです!」

ずっと曇った顔でいた羽入はやっと喋った。

二言だけだが…。

「梨花!?」

さとこはさっきと変わらない表情で、
「そうなんですの?」
と、言うだけだった。

「はいなのです!だから今日の朝ごはんはキムチをいっぱい出してくださいなのです!」

『り、梨花ぁ〜辛いものは…』
(これからは、羽入が喋る時の記号?は『』で表します)

「分かりましたけど、キムチは先週で終わっていますわよ?」

ちっ…残念ね…。

『た、助かったなのですぅ〜』

私は何故か羽入の顔にムカつき、
先週から大事に取って置いた“激辛ふりかけ”を、出すようにさとこに言った。

『意地悪なのです〜!!!梨花の意地悪なのです〜!!!』

羽入は涙目で私を見て言った。

「とにかく、分かりましたわ。じゃあ私はご飯の支度を済ませますわね?」
「はいなのです♪」

さとこは部屋から出て行った。


今日はここまでにします!

480:水梨:2014/11/29(土) 16:09 ID:zVQ

パラレルワールドなんですね!じゃあ結構謎ある話ってことになるんですか?楽しみです!

481:ユリカ:2014/11/29(土) 17:36 ID:7TY

はい、もしかしたらあまり謎がなく終わるかも、しれませんが…(笑)

でも、謎を少しでも残して、終わらそうと思います!

後、綿流し編の3週間前と、前に私が言いましたが、
やっぱり、2週間目にしといてください!

もちろん、もう圭一は引っ越して来てます!

482:水梨:2014/11/29(土) 21:50 ID:zVQ

いろいろと了解いたしました!
案外単純に納得する沙都子ww梨花は安心しただろうな〜。
そういえば羽入は梨花と感覚がつながっているから梨花がキムチ食べると辛さを感じて嫌なんですよね?
じゃあ梨花が腹切り裂かれてる時、羽入は痛覚とか感じてるんでしょうか?

483:ユリカ:2014/11/30(日) 21:00 ID:xjE

確かに…。
私は、梨花と感覚リンクしているので、痛みは感じると思いますよ?
多分…。
でも、あまり「痛い」とか言わないし痛そうな顔しませんよね…。
羽入は本当の処、どうなんでしょう。

梨花ちゃんは毎回、大変ですよね。
腹を切り裂かれて…。

484:水梨:2014/11/30(日) 21:29 ID:zVQ

まさか今回も・・・。

485:ユリカ:2014/12/01(月) 21:34 ID:dh6

……えっと………

そこは梨花ちゃんの為に暖かい目で見守ってください←
(何を見守るんだろう……)


まぁ、とにかく続きを書きます!



あの後、私達は服をきたりなどの支度が終わり、
テーブルの前に座っている。
さとこが両手を合わせた。

「いただきますですわ!」
「いただきますなのです!」

そして、私の前には激辛ふりかけにごはん、味噌汁、魚。

『梨花、ご飯は…ふりかけはご飯にかけるものじゃないのです…』
「何を言っているの?ふりかけはご飯にかけて食べるものよ」

羽入の言葉に私は小さな声で答えた。

『だとしても、激辛、か、かひゃい!かひゃいのでふぅ!』

あまりにもうるさいから激辛ふりかけを食べてやったけど…。
余計にうるさいわね…。

「梨花、激辛ふりかけってどんな味ですの?」
「みぃ?言葉には表せないような味なのです!強いて言えば、
天国に、上がっているような味なのですよ!にぱー☆」
『僕は地獄に落ちような味なの、か、かひゃいのですぅ!』
「よ、よく意味分からないですわ…」

さとこは?マークを浮かべ、羽入は顔を真っ赤にしていた。
私は天国に上がるような気分だ。


そんなこんなで、私達はご飯を食べ終わった。
そして、学校に行く時間になった。

「梨花ぁ!墨汁を持っていませんこと?」
「墨汁ですか?持っていますですよ」

トラップに使うのか…

「だったら、貸してくださいませんこと?」
「いいですよ!」

もしも、ここで墨汁を貸すのを断ったら、少しは変わるのかしら…。

私はそう思いながらもさとこに墨汁を手渡した。

少しでも未来が変わりますようにと願いながら…。



ここまでにします!

486:水梨:2014/12/01(月) 23:26 ID:zVQ

羽入にとってはやっぱり辛いものは地獄なんですね。
未来が少しでも変わることを切実に願う梨花は、これからどうなっていくのか、期待してます。

487:ユリカ:2014/12/03(水) 20:11 ID:HIQ

期待してくださってありがとうございます!
水梨さんの期待通りになるかはわかりませんが、
がんばります!

まだ、続きが考えられていないので明日書き込みします!

488:ユリカ:2014/12/04(木) 21:53 ID:3HQ

続きです!


あの後、ご飯も支度も終わり今、私とさとこは登校中。
色々な話をしながら私達は道を歩いていた。

学校の教室に着いた途端、さとこは鞄を机に投げた。

「まだ誰もいないのです」
「えぇ!当たり前ですことよ!」

続けてさとこは言う。
「梨花!!トラップの準備を致しますわよ!」
「はいなのです!」

元気よく私は返事した。

「よし!梨花はバケツと縄跳びを持って来てくださいまし!」

掃除ロッカーからバケツを取る。そして、自分のロッカーから縄跳びを取った。

「はいなのです。バケツと縄跳びなのですよ」

さとこに手渡した。

(黙々と作業を初めているさとこ!ファイト!なのです!)

急にさとこは手を止めた。

「?どうかしたのですか?」
「いえ、違いますわ。」

立ち上がって私の方に向き直った。

「もう少しで綿流しですわね…圭一さん…よそ者だから…」

そんな事を言われたのは初めてなので私は戸惑った。
今まで、私の目の前でこんな事を言わなかった。

その理由は綿流しの晩に私の両親やさとこの兄が亡くなった(もしくは行方不明)からだ。
私達、二人だけの時にこんな事を言うのは避けてきた。なのに……

「さとこ…」

私はさとこの近くまで歩み寄った。

「圭一は死んだり、いなくたったりなんてしませんですよ?それに圭一はもうよそ者なんかじゃないのです」
「そうですわよね!」

そして、またトラップを仕掛けに戻った。

「………圭一は死んだりなんかしない。綿流しが終わった後は死なない保証なんてないけど…」

私は小さな声で呟いた。

「何か言いました?」
「い〜え!何でもないのですよ!」
「そうなんですの?」


トラップが仕掛け終わる頃にはもう、圭一、魅音、レナ以外は来ていた。
ニヤニヤとした顔でさとこは「遅いですわね…」と呟いた。

「みぃ…さとこいつもよりニコニコ笑顔なのです」
「当たり前ですことよ!今日はいつもより上手く出来ていますのよ!」

そんな事を言っていると、ガラッとドアが開く音がした。

「うぉ!」

圭一達だ。

圭一は縄跳びに足を引っ掻け、その次に頭の上からハゲツが落ちきた。
見事、バケツは圭一の頭にぶつかる。
そして、圭一が落ちる真下には墨汁がある。
だが、最後だけ圭一は腰を無理矢理でも捻って、墨汁の横に転げ落ちた。

「さぁ〜とぉ〜こぉ〜………」
「あらまぁ!圭一さん!どうしたんですの?」

ゆっくりと圭一は起き上がる。
そして、「お前のおでこにデコピンをしてやらぁ!」と、追いかけっこ(?)が初まった。

「あっはは!おじさんはトラップを片付けるかねぇ!」
「みぃ、僕も手伝いますですよ」
「あ!私も手伝うよ!」

レナも駆け寄ってきた。
そこから、だんだん人数が増え、ほとんどの人達と片付けが始まる。
まだ、圭一はさとこを追いかけ、デコピンをしている。

「ひどいですわぁ!」
「は、はぅぅぅ〜!!!さとちゃんかあいいよぉ〜!!!」
「お、おい!お持ち帰りすんなよ?」
リーン、リーン
鈴の音がなると、うるさかったのが静かになり、皆自分の席に戻った。

「皆さん!授業を初めますよ!」

そんなこんなで今日も一日が始まる。


ここまでにします!

489:水梨:2014/12/04(木) 22:07 ID:zVQ

応援してます!

490:水梨:2014/12/05(金) 16:37 ID:zVQ

梨花はすでに沙都子が両親を崖から落としてしまったことと、悟史が叔母を殺してしまったこと、
知ってるんでしょうか?梨花が少しでも運命を変えられることを祈ります。


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