ほむら「フリクリ?」

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1:sio◆Ls:2014/09/11(木) 23:24 ID:W06




 目を覚ますと、見るのもうんざりする程見慣れた病院の天井。それと同時に数えるのも止めた
失敗を確信し顔を顰める。私はまた、彼女を救う事が出来なかった。鹿目まどかを救う事が出来
なかったのだ。巴マミは魔女に食われ、美樹さやかは魔女になり、佐倉杏子を道連れにした。私
はワルプルギスの夜に勝てずまどかは契約。インキュベーターはエネルギーの収集を完了し地球
撤退。
 残ったのは魔女化したまどかと焦土と化した見滝原町。私は時間を越え、また一ヶ月前の
この時間に跳躍・・・・


「どうすれば・・・どうしろって言うのよ・・・」


 正直、限界が近かった。それでも私はもう自分を止める手立てが無かった。それを失えば、瞬時
に私のソウルジェムは黒く染まる事だろう。立ち止まるブレーキ等最初から外している。

「今度こそ・・・絶対に」

 何度目かも分からないその決意を胸に、私は魔法少女に変身する。まずはあの害獣の邪魔と魔女
狩りを並走してやらなければならない。グリフシードは足りないし、まどかへの勧誘も阻止しなけ
れば。

2:sio◆Ls:2014/09/11(木) 23:25 ID:W06





 その日の内に魔女を二体倒し、その内一体がグリフシードを落とす。幸先はまずまずという
感じで街を駆け抜けていると、
「・・・まどか?」

 街中で友人達と下校中のまどかを発見した。しかし可笑しい。彼女の家とは真逆の方向なのだ。

「誰が一緒にいるのかしら?」

 初めて見るシーンなので、注意深く観察してみる。右隣りと左隣りには、美樹さやかと志筑仁美
が居る。それはいつも通りだ。だが美樹さやかの隣にいるあの男は誰?同じ学校のようだけど、あ
んな人間は見た事が無かった。私は魔法で聴覚を上げ、彼女達の話に耳を傾けてみる。


「ごめん、転学して来たばっかで街を案内させたりして、自分の家への道もまだ微妙だったもんでさ」

「ううん、全然良いよそんなこと。私達もこの街の素敵な場所沢山知って欲しいし」

「そうそう、固い事言いっこ無しだよ転校生!このさやかちゃんにど〜んとまかせんしゃい!」

「もう、またそうやって調子に乗って・・・転びますわよ美樹さん」


 私以外に転校してきた人間?説明は付くが、この時期に転校して来た人間なんて今までの時間軸で
は見た事が無い。新しい派生が生まれたということ?時間跳躍によって生まれたイレギュラー?とい
う事なのかしら・・・なんにしても男ならば問題無い。魔法少女にもなれないし、Qべぇも見えない
だろうから、巻き込まれる心配も無いだろう。

 そう思ってその場を後にし、私は周囲にQべぇが居ない事を確認しながら魔女狩りを続けた。

3:sio◆Ls:2014/09/11(木) 23:26 ID:W06




「ふぅ・・・」

 これで五体目、花園の魔女を倒した。今日はこんなところだろう。手元にはこれでグリフシードが
三つ。上場だ。今日はこれまでにして、まどかの家にまどかが居る事を確認して帰ろう。足をまどの
家の方角に定める。その瞬間、後ろからバイクの音が聞こえて来る。

「?」

 ここは路地だ。バイクぐらいなら通れるだろうが、それでも細い。危険極まりない暴走族等この街
には存在しない筈だが。後ろを振り返りバイクを確認しようとすると、それはバイクの音を掻き鳴らし
ながらこちらに猛突進してくる黄色いベスパだった。運転手は女性?なのだろうか。ギターを背中に
背負い、ピンクの髪を靡かせながらこちらを見据えて不適に笑っている。そして



「いただぎ、ま〜ん〜も〜すーーー!!!!!!」



「・・・は?」

 ベスパはいきなりありえない加速をし、女性はギターを振り回しながら襲って来たのだ。

「!!?」

 咄嗟に私は変身し、時間停止をしようとするが、その前に女性の行動の方が早く。



がい〜〜〜〜〜〜ん!!!!!
「!?!?!?!?」

4:sio◆Ls:2014/09/11(木) 23:27 ID:W06



 ギターが正確に額を捉え、私は天高く吹っ飛ばされた。魔法少女になっていなければ、顔が吹き飛んで
いたことだろう。そして魔法少女になってもこの衝撃。意識を辛うじて失わなかったが、思考が滅茶苦茶
に搔き回された気分だった。


「つぅうう、あぐ」

 なんとか着地し、通り過ぎて停止したベスパ女を見据える。不適な笑みが消える事無く、紅に輝く眼は
こちらを食い尽くさんとする程見開いていた。間違いなく普通では無い。しかし見るからに魔法少女の歳
のようにも見えない。何者なのかまったくもって分からない。


「あれ〜っかしいなぁ。今ので大丈夫なんだ。んじゃあもういっぱ」

 言い終わる前に、私は彼女の後ろに回り込み拳銃を頭に押し付けた。

「貴方に攻撃の手番はもう回ってこないわ。私の質問に全て答えてもらう」

「・・・・へぇ」

 ベスパ女は表情を崩さず、顔をこちらに向けて確認するかのような仕草を取る。

「貴方、とてもじゃないけど人間の腕力じゃありえない威力で私を攻撃したわ。魔法少女なのかしら?」

「なにそれ?」

 ふざけたトーンで彼女は答える。拳銃で頭を小突き「真面目に答えて」と促すが。

「知らんもんは知らんも〜ん」

 と態度を変えない。まるで自分が危機的状況に陥っていると思っていないようだ。私はもう片方の拳銃
で地面を打つ。

「玩具じゃないわよ。もう一度聞くわ、貴方は魔法少女なの?」
「違うね」

 女は真面目な口調で答えた。どうやら理解したらしい。
「じゃあ次よ、貴方は何物?この街の人間ではないわね」
「この街じゃなくてこの星ね」

「・・・インキュベーターの仲間なの?」
 その名前を聞いた瞬間、女は心底嫌そうな顔をした。

「うげぇ、あの詐欺師の淫獣知ってんの?」
「何ですって?」

 この女、あいつを知っている?しかし魔法少女じゃない?更に謎が深まった。候補にしては歳がいってるし。



「まったく、これはどういう事なんだい?」
 足元には、いつの間にかあの害獣が居た。片方の拳銃でとりあえず眉間に一発入れようとするが、その
前に女が口を開く。

「うわ、本当に居るよ気持ち悪!!」
 そういって悪態をついた。

「そう言われるなんて心外だな。この星の女の子達には可愛いと人気なのに。そんな事より、何で君がこん
な辺境の星の辺境の地に居るんだい?全宇宙で指名手配中の筈だろ?」

「うっさい。お前何かに教えねぇよば〜〜か」

「意味がわからないよ。それにそっちの君も魔法少女みたいだけれど、僕は君と契約した覚えは無いんだけ
れど、一体何者なんだい?」

「お前に話す事等何もないわ」

 女はギターを、私は拳銃を構えてインキュベーターに詰めよる。

「やれやれ、どうやら今は分が悪いようだ。僕としては、イレギュラー、それも片方は超ド級ときた。君達
を野放しにしたくないけれど、何も出来ないし退散させてもらギュプ!」


「だからうっさい消えろ」


女はバットの容量でインキュベーターをフルスイング、さっきの私のように空高く飛ぶ。私は盾からスナイパー
ライフルを取り出し、害獣を粉微塵に爆散させた。


「へぇ、気が合うじゃん」
「勘違いしないで欲しいのだけれど。貴方も私の邪魔をしようとするなら打ち殺すわよ」
「へいへ〜い」

「とにかく、今日私と会った事は全て無かった事にしましょう。私は貴方を忘れるし、干渉も邪魔にならない
限りはしないわ。それでいいわね?」

 私は一方的に言い終えると、時間停止でその場から離れた。





「・・・面白い事になってんじゃん」

5:sio◆Ls:2014/09/15(月) 01:06 ID:W06




 家に帰って来て、私はベットに倒れ込む。昼間あのベスパ女に殴られた所為で頭が痛かった。しかもこの痛み
一体どういう訳か治癒魔法をかけてもまったく効果が無いときている。インキュベーターも言っていたが、あの
女、どうやら宇宙人らしい。という事は、魔法少女の力の及ばぬ物でこうなっているのだろうかとも思ったが、
如何せん頭がまったく回らない。とりあえず今日はもう寝てしまおう。まどかを狙った場合は速やかに排除すれ
ば問題無いのだから。


頭の痛みとは別に、睡魔が思いのほか安らかにやってきた。

6:sio◆Ls:2014/09/15(月) 01:06 ID:W06




 夢を見た。巨大な何かが見滝原を焦土に化し、一人の女の子が戦っているそんな夢。彼女以外は皆倒れていて、
しかしそれでも諦めず一人戦い続けているそんな夢。何故あの女の子は諦めないのか。何故あの女の子は戦うの
か。逃げ出せば助かるかもしれないのに。目を背ければやり過ごせるかもしれないのに。あまりにも不毛に思える
戦いは終わらない。そんな夢を見た。


「・・・・今のって、なんだろう?」

 とても不思議な夢だった。けれど不明慮で突拍子も無くてファンタジーそのものを頭の中で再現していて、なのに
それはとても絶望的な状況の夢・・・そんな夢をこんな平凡な私が見る事があるのだろうか・・・

「まぁいいや、夢なんだから大丈夫」

 そう言い聞かせて、今日も彼女『鹿目 まどか』は自分を見て生きている

7:sio◆Ls:2014/09/15(月) 01:07 ID:W06


 あれからあのベスパ女とは合わずに、二週間の時が流れた。今日から私は見滝原中学校に転校する事になっている。
此処からが本番だ。最初の接触段階でほぼ全てが決まると言っても過言ではない。改めて私は頭の中で何度も計画を
反復し、目を覚ます。そして気づく。

「頭痛が無くなっている・・・?」

 今日に至るまで、あの頭痛は永遠と私を苦しめていたが、今日になってその痛みが全て引いていたのだ。なんたる
行幸。魔女狩りの際はこれの所為で何度か危険な目に合いかけたが、その苦労も終わる。いつも通り支度をしに顔を
洗いに行く。そして鏡を見て・・・・み・・・て・・・・え?

「な・・なに、これ?」

 頭には、雄々しく聳え立つ棒状の何かが額から生えていた。

「え、ええ?えええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!」


 いつぶりかの悲鳴を上げて私はすっころんだ。










「は〜いでは今日は転校生を紹介しま〜す。こらそこうっさい!ませるな!!」
 

「転校生ってどんなのだろうね、まどか?」

「わからないよそんなの。けど、仲良くなれたらいいなぁ」


 そんな会話を挟んでいるど、その噂の転校生が入ってきた。その瞬間、クラスは一気に静まりかえり、その転校生に
全員が釘づけになった。黒髪ロングの美少女が教壇の隣まで歩いて来て、クラスを一瞥しているようだったのだが。しかし
そんな『些細』な事等誰も気にしていなかった。それ以上に彼女の額に目を引かれていたのだから。


(((((何だあのバッテンは???)))))


(くそ!くそ!くそ!)
 ほむらは頭の中で顔を真っ赤にしていた。なるべく顔には出さないように努め、羞恥心は全て心に追いやってどうにか
保っていた。クールな印象は絶対に崩したくなかった。

「え、え〜と。自己紹介良いかしら?」

「・・・暁美ほむらです」

 若干声が震えていたが、なんとか言葉を言えた。もう教師の声等関係無く、自分の用意された席に座った。視線が耐えられない
のだ。


「あ〜皆、暁美さんは重い病気が治ったばかりだから、色々付いていけないかもしれないけれど、助けてあげてね?」

 最低限のフォローだけされたが、久々に少しだけこの教師に救われた。

8:sio◆Ls:2014/09/15(月) 01:07 ID:W06


無論の事だが、クラスメイトからはこのバッテンについて質問攻めにあった。

「そのバッテンの下ってどうなってるの?」「病気って頭の手術とかあったの?」「向うで流行ってる新しいファッション?」
「三つ目がとおるリスペクト?」と嫌になってくる。

「ごめんなさい、少し気分が優れないので、保健室に行かせて貰えないかしら?」
「あ、そしたら私保険委員だから案内するよ!」

 案の定まどかがそう言って来てくれた。相変わらず貴方は優しいのね。この瞬間だけは安らぎだわ。





「ほむらちゃんって恰好良い名前だよね。燃え上がれ〜って感じでさ」
「そんな、名前負けしてるわよ、こんな名前」
「あ、うんそうだね・・・」


 ああ、ごめんなさい。こんな素っ気ない態度で。けれど許してまどか。これもインキュベーターを近づかせない為だから。


「それよりも、鹿目まどか。貴方は自分の家族や友人が好き?とても大切な存在かしら?」
「え?・・・うん。お父さんもお母さんも弟も、家族は皆大切だし、友達も皆大好きだよ?」


 さぁ。此処で絶対魔法少女にならないよう釘を刺しておかないと。


「なら、その為に自分を・・・・・へ?」


 ふと、通り過ぎた教師が・・・通り過ぎた?この時間軸でこの廊下で教師等通った事は一度も無かった。今は授業中なのだから。
しかも、その教師は絶対にありえない人間の姿に見えていた。

「ん、おや?おやおやおやおやおやおやおぁ〜〜〜?」

 向うも気づいたらしい。が私は即座に顔を背けまどかに向き直る。
「まどか、保健室で質問したい事があるの、早く行きましょう?」
 
 彼女の手を取り促そうとするが、

「ちょい待ちそこのガールズ生徒!!」
 
 いつの間にかまどかの後ろにその女は蛇の様に絡みついていた。私は咄嗟に変身しそうになる衝動を抑えるが、内心は動揺で
パニックになりそうだ。

「何か御用でしょうか?先生」

「忘れちゃったのかにやぁ〜ブラックガール。あんなに濃厚なやつ私があ・げ・た・の・に💛」

「ふぇ!?」

 まどかが誤解するような事を言うその口に銃口を突き付けたかったが、今は嘘を混じりながらでも適当に誤魔化して逃げなければ
ならない。しかしこの女、どうやってこの学校に潜入してきたのか。何が目的だと言うんだ。

「先生。私は気分が悪いのでそこのクラスメイトに保健室へ案内されている途中です。あの時の話はまた後で、もしくは後日聞きます
ので、行かせては頂けませんか?」

「そんな風には全然見えんし〜何か隠してるのかにゃぁ〜?あっれーその額のバッテンどうしたの〜?それも何か隠してんじゃない
のかにゃぁ〜あぶ!!」


 彼女の挑発を言い終える前に、まどかが教師を振りほどき、私の手を引く。

「すいません、失礼します!!!!」



 まどかは私の手を取り、走ってその場を後にする。女はこちらを見るだけど、もう追いかけては来なかった。

9:sio◆Ls:2014/09/15(月) 01:09 ID:W06


「だ、大丈夫ほむらちゃん?顔が真っ青だよ、ベットで横になろ?」
「え、ええ」

 この世界のまどか、何故かは分からないけれど少し積極的だ。ミステリアスな感じを醸し出してあまり近づくなオーラを出していた
のだが。どうにも効いていないようだ。恐る恐るといった様子は見受けられない。少なくとも、初対面の私に対しては違和感を感じ始める。

「鹿目さん。そんな事より。貴方私を不気味だとは思わないの?さっきの得体の知れない女と知り合い風に話していたと言うのに」

「えっと、ね。私のクラスに転校してきた人って今月で二人目なんだ。だから何だか少し慣れちゃったのかもしれないの」
 と、まどかは話す。なるほど、この前一緒に歩いていた男か。

「その人、名前は何て言うのかしら?」

「名前?えっとえっと。すごい珍しいんだけれど、ナンダバ ナオ太君って言うの。この前街を案内してあげたんだけど、もし良かったら
今度ほむらちゃんも案内してあげようか?」

「いえ、大丈夫よ」
「そ、そう」
「ごめんなさいね・・・」
「うん、いいの・・・」



 気まずい空気だ。とりあえず先ほどの言葉を言わなければ。
「鹿目さん、いえまどか。貴方は今の家族、友人が大切だと思うなら、今の自分を代えようとは思わない事よ。貴方はそのままでも十分
魅力の溢れた女の子なのだから。決して自分を無碍に扱おうとは思わないでね?例え欲しい願いがあっても、それを望む必要が無いくらい
貴方は幸せになれるのだから。いいわね?」

「う、うん・・・(どういうことなのかよくわからないけれど・・・)」

「ならいいの。私の話はこれだけ。そろそろ教室に戻りなさいな。授業が始まってしまうでしょうから」
「わ、わかった。それじゃあまた後でね。ほむらちゃん」



 よく理解していない試案顔をしながらまどかは保健室から出ていった。しょうがない。何の事だか、今のあの子には分かる訳が無いのだか
ら。それよりもあの女だ。何故この学校に居るのか問いたださなければならない。

「ハルハラハル・・・か」
「・・・そうだピョン」

 突然聞こえた声の方向を見ると、例の女がドアから顔を半分出してこちらを見ていた。いつでも変身出来るようにソウルジェムに手を添えて
おく。

「怖いウサねぇ」
「その口に鉛玉をぶち込めば言葉が治るのかしら?」
「へいへ〜い、やめりゃあ良いんでそ〜」

 本当にふざけた女だ。

「その頭」

 女は私をズイッと寄り頭にバッテンに手を伸ばそうとする。

「何か出てきてんじゃない?」
「・・・別に、何もないわよ」

 その手をはたき、視線を外す。

「私が聞きたいのは、貴方の目的よ。私の邪魔になりそうなら、魔法で記憶操作させてもらうわ」
「いやん怖いわん」
「殺してもいいのよ?」

「。。。」


「どうしても欲しいのがあってねぇ。あんたの頭にちょこっとチャンネルを、ね」

「チャンネル?」
 それはつまり、私を媒体にして何かと周波数を結び呼び出しているという事?・・・ちょっと待って。それって

「私の頭の中には何があるの?」
「さぁ?何が出てくるか知らんもん」


 頭を抱えたくなってきた。
「戻し方は?」
「教えない。あんたの頭あいつに似てるからやったんだし。戻すつもりはないにゃぁ。それよりも・・・」

 瞬間背筋が凍るような緊張感が走り抜ける。女は何時の間に出したのか。ギターを持って構えていた。


「もう一回・・・・な〜ぐ〜ら〜せ〜ろぉおお!!」
「!?」


 スゴォオンという音と共に、私が座っていたベットがギターのフルスイングでくの字に変形し窓から外で吹っ飛ばされた。魔法少女でも
おそらく首が飛ぶレベルの衝撃だった。

「こんなところで、なんという!?」

 駄目だ。まともな話を期待したのが間違いだった。逃げなければやられる。もしくは殺すしか無い。しかし此処では対処出来ない。学校
で、しかも保健室では魔法少女とバレた時八方塞がりになってしまう。逃げよう。



「いただきま〜・・・あり?」

10:sio◆Ls:2014/09/18(木) 01:05 ID:W06



 教室の前まで戻ってきた。とりあえずあの女は出会っても無視or逃げ以外ありえない。とにかく今日まどか達にインキュベーターが接触
する事になる。それをなんとしても避けなければならない。先回りしないと・・・




「・・・で、何故あの女も居るのかしら?」

 CDショップにまどか達が歩いていくのを確認してからインキュベーター討伐をしようと思って行ったらなんだこれは。何故まどか達と一緒
にあのベスパ女が?意味が分からない。実害の可能性がある分インキュベーターよりヤバい。

「とにかく、せめてインキュベーターと接触しないように討伐をしよう」





「いやぁ、ごめんなさいねぇ。ついてきちゃって」

「い、いえ。先生もこの街に来たばかりなら、案内しようかなって思って」

「ほんとまどかはすっかりこの街のガイドさんだね〜さやかちゃんは毎日まどかとデートしたいのに・・・他の奴とだなんていけず!!」

「何言ってるのさやかちゃん・・・」




『まどか・・・助けて・・・たすけて・・・・』

「え!?な・・なに?」

「あん?何か聞こえたの?」


「どうしたの?」

「な、何か頭の中に直接声が聞こえてきて」

『助けて・・・ここだよ、助けて・・・」

「こ、こっちからだ!!行かないと!!!」

「え、ちょっとどこ行くのよまどか!!!!」」




「・・・・演歌ってのは少女趣味じゃないにゃぁ〜」

11:sio◆Ls:2014/09/18(木) 01:05 ID:W06



「くっ!まどか、そいつを離しなさい。そいつは危険なのよ」

 こいつ、まさかテレパシーでまどかに助けてを求めるとは。死んでも代わりが出る癖に、なんて害獣・・・


「ほむらちゃん、どうしてこの子を傷付けるの?その恰好は?どの手に持ってるのは?ど、どういう事なの?」


「だから、それは今は私が説めっ!!」ぶしゃあぁああああああ


「まどか!今の内逃げて!!」

「さやかちゃん!?」

「美樹さやか・・・貴方はどこまで愚かなの!」

12:sio◆Ls:2014/09/18(木) 01:05 ID:W06



「はぁ、はぁ、はぁ・・・もう平気かな?」

 廃ビルの中を走り回り、ようやく撒けたようだった。まどかとさやかはその場に座り込み息を落ち着かせるが。ふと周りを見ると、そんな
事をしている暇ではないと二人は知る。知っていてもどうしようもできなかったが。

「なぁ、なにこれ!?」

「や、やだよぉ〜気持ち悪い!!」

 周りの景色が歪み、二人を包むように広がった。飲み込まれると、およそ現実的ではない不快極まりない景色が彩と共に襲って来た。

『二人とも、落ち着いて話を聞いてもらえるかい?』


何時の間に怪我を治したのか、白い猫のような生物が腕から飛び降りこちらに向き直る。赤い目と大きな二つの耳が特徴的だ。

『このままだと君達は魔女の使い魔に食べられてしまう可能性がある。だから僕と・・・』



『僕と契約してm!?』ぐしゅっ


 言い終わる前に、後ろから来た使い魔がQべぇを頭から食べた。その光景を目の当たりにした二人は悲鳴と共にへたり込む。もはや立てる
足腰は完全に折れ、心が死の圧に潰れそうだった。

「あ・・あ、ああ」

 ゆっくりと使い魔達が二人の頭を掴み上げ、その大きな顎を開ける。

「い、いやぁああああああああああああああああああ」






 

「せりゃぁあああああああああ!!」

 しかし少女の頭は無くならない。自分と同じピンク色の女が、目の前の使い魔の頭をギターでぶっ飛ばしたのだ。頭は綺麗な放物線を描き
ながら闇の向うに消えていった。残った身体は微動だにせず霧散していく。

「・・・」

 茫然と立ち尽くす二人に、先ほど教師の筈だった女は見向きもせず深淵の奥へと歩いていく。

「な、なんだってのよ一体?」
「わかんないよそんなの・・・」

 日常からかけ離れた体験によって夢を見てるかのような錯覚だったが、それはすぐに確信に変わる。


「あなたたち大丈夫!!??」


 外から聞こえて来たのは見知らぬ声。返事をすると黄色い装飾がされた格好をした女性が現れた。

「大丈夫まどか!?」

 もう反対からは先ほど撒いた暁美ほむらが現れる。





「「・・・・」」

 二人の黄色と紫の少女が、まどか達を挟んで相対する。その空気は氷のように凍てついていた。


「まさかこの街に他の魔法少女が居るだなんて知らなかったわ」

「・・・」
 ほむらは何も答えない。いや、答えられなかった。今の彼女に対して私は敵にしか見えていない。何を言っても聞き入れてはもらえない。


「いいわ。私はこの子達を預かるから、向うに居る魔女は任せてあげる」

「・・・」

「見逃すと言っているのよ?日本語が分から「黙りなさい!!」!」
 我慢出来ず、私は鋭い眼光で彼女を見る。


「・・・私はこの子達を助けたかった。そして、悲しい運命を背負って欲しくないの・・・それだけよ。貴方はその子達に説明をしてあげて。
混乱しているみたいだから。頼んだわよ巴マミ」
「!?」

 マミと呼ばれる魔法少女は動揺した。この紫の魔法少女が何故自分の名前を知っているのか。警戒と共に銃を出して構える。だが相手は何の
構えも見せず、目だけを向けて拳を握っていた。



 ガイィィィイイイイイインンンン!!!!!!!!!!!!


 不意に奧の方から殴ったようなギターの弦音が聞こえて来る。マミは吃驚してもう一丁銃を出してそちらに向けた。ほむらは変わらずマミを
凝視していた。音の主は知っているので問題無い。マミには勝てないだろうし。魔女の結界が音を立てて消えていくと、魔女が居たであろう場所
にベスパ女が立っていた。



「・・・・どゆ感じこり?」

13:sio◆Ls:2014/09/27(土) 03:41 ID:W06



「!?っつ」

 マミは咄嗟に銃を召喚しベスパ女に向けた。女という事で一瞬魔法少女かと疑ったが、恰好から
してそれはなさそうだった。それが余計彼女の思考を混乱させる。ベスパ女の足元にはバラバラに
なった魔女の残骸が転がっている。ギターで粉砕したとしか思えないが、そんな力を普通の女性が
持っているとは到底思えなかった。



「・・・」

 ほむらはその混乱した状況を見逃さなかった。どちらにしろ信用は100%得られないのだから、此処
に長居は出来ない。巴マミがまどか達に魔法少女の事について説明するだろうし、魔女退治についても
同行させるだろうから、それに着いていればとりあえず安心出来る。とある一匹の魔女以外では。出来
れば彼女にベスパ女も排除してもらいたいが、難しいだろうと諦めた。



「え?あれ!?転校生が消えた!!?」

「え!?」

 ほむらが時間停止で逃げた事に気付かず動揺していると、ベスパ女が丸黒い物を拾って不思議そうに
眺めている。

「あん?なにこれ?・・・キモ。あげる」

 とマミに投げて来た。投げられたのがグリフシードと確認して、マミは受け取った。


「貴方も何者なのかしら?人・・・では無いわよね。古参の魔法少女でも無いし」

「彼女は僕等と同じ地球外生命体だよ、マミ」


 まどかの腕の中に居たQべぇが顔を出し、説明し始める。

「ああん?なんだ、お前か」

「相変わらず酷い言い方だ。マミ、彼女は宇宙のお尋ね人なんだ」

「どういう事?」

「指名手配犯なんだよ。超ド級っていうレベルで」

「っ!?」

 マミが銃を構え直すと、まどかとさやかが間に入って止める。


「待って下さい!!この人は私達を助けてくれたんです!」

「そ、そうですよ、それに、この人私達の学校の先生なんです!!」


「え!?貴方達見滝原中よね?私三年生なんだけれど、こんな先生見たこと無いわよ」

「先生はつい最近来たばかりなんです。どういう事情かは知りませんが、ちゃんとクラスで
新しい科目を教えてくれていました!!」


 Qべぇがベスパ女の方に向き、驚愕したような声で言う。

「君に勉学の知識を教える程の教養があったんだね」

「しっつれいにも程があるにゃぁ〜猫もどき」



「と、とにかく明日仕切り直しましょう。明日また集まって、それから説明するわ。私も、貴方達も
混乱しているようだし。良いかしら?」


「はい、もちろんですよ」

「わ、私もそれで大丈夫です」


「貴方・・・先生もそれで良いかしら?」


 ベスパ女は、一度空を仰いだ後一泊置いてマミに向き直り、優しい抑揚で


「いいよ、それで」


 静かに言った。

14:sio◆Ls:2014/09/27(土) 23:50 ID:W06





「はぁ・・・」
 
 お風呂の中で、まどかは一人溜息をつく。一日であまりに理解し難い出来事が立て続けに起こったのだから、
それは当然なのだが。到底受け入れるには時間が足りなさ過ぎる。明日マミさんが説明をしてくれると言うが、
その話を聞いてまた混乱してしまうのではないか?とそんな心配ばかりが頭を過っていた。


「はぁ・・・」

 
 私、鹿目まどかという人間は、そこら辺に所謂凡人よりかは、いくらか下の能力を持ったなんてことのない
ひ弱な女子中学生だ。友達には恵まれているが、皆何かしらの特技があり。少しながらの突出した人間の範囲内
の能力を持っている。それに比べ、私には何も出来なかった。日々を平和に暮らすだけが私に出来る世界の全て
であり、それが私に出来る唯一変わらない筈の、永遠の習慣である筈だったのだ。


 それが、一発で壊れてしまった。壊されてしまった。壊してくれたのだ。

 死の恐怖に怯え、抗えない力に翻弄され、自分の知らぬ間に終わる世界が。目の前にあったのだ。



「はぁ・・・」


 だからこそどうしようも無かった。やはり私は普通の女の子なのだから。私がどうするなんて話には到底出来
ない。ただあの時、あのQべぇと呼ばれる生物は、私に契約を持ち掛けた。咄嗟の事だったが、それはつまり、
私にもマミさんのような魔法少女になれるという事なのだろうか・・・・


「はぁ・・・」


 いや、今はよそう。勝手な考えで物事を進めるべきじゃない。今までそれをして失敗して迷惑を掛けて来たのだ
から。それに・・・私はその尊さをある同級生に聞いたのだ。


『すごいことなんかない、当たり前のことしか起こらない』


 彼の口癖だった。その最近友達になった人は、私と同じく平平凡凡としていた。少し違うのは、彼は非日常に何も知らぬ
まま投げ出され、そして帰って来たと言う。全ては日常だと言うなら、慣れなんてこの世には無いんだろう。


「・・・あがろ」


 少し、のぼせた。

15:sio◆Ls:2014/09/27(土) 23:59 ID:W06



 風呂から上がると、何やらリビングの方が騒がしい。お母さんがまた騒いでいるのだろうか?と思い
向かうともう一人女性の声が聞こえていた。詳しく言えば、とても聞き覚えがあった。

「え、え?」

 急いでリビングの扉を開ければ、そこには阿鼻叫喚の世界が広がっていた。

「ハル子先生!?なんで此処にいるんですか!?」

「ん?うい〜っす」

「お、何だまどか、ハルちゃん知ってたんだ。言ってよハルチャ〜ン」

「めんごめんご、許してじゅんちゃ〜ん」

「ま、まどか。今日はもう寝ておくと良いんじゃないかな?」



 父は二人の下敷きになりながら呻くように言葉を呟いたがすぐに足蹴にされ沈黙した。

「あ〜に言ってんのよ!夜はむぁ〜だまだこれからっしょ!ねぇはるちゃん!!」

「おうよじゅんちゃん!!あげあげで行こうぜ〜〜〜!!!」



「お、おやすみさない!!」

 このままでは巻き込まれると感じたので、父を見捨てるのは忍びないが、ドアを閉めて二階に逃げる
以外の選択を選ばなかった。今回ばかりは自己嫌悪を感じなかったが。

16:sio◆Ls:2014/10/12(日) 06:14 ID:W06


 何故とかどうしてとかという反応に前に、私はとにかく混乱した。理由とか関係無しに。
お母さんなら普通に仲良くなっても可笑しくはないから納得出来てしまうというのもあったが、
あまりに突然で唐突で急過ぎる展開だ。まったくもって整理出来ない。そんな事と思いながら
ベットの布団で丸まっていると、布団越しで頭を撫でられた感触がした。

「こんばんにゃぁー」

 今日最も良く聞いた大人の声だった。


「は、ハル子先生?」

「なんだいまどかちゃん?私の魅惑的不思議ボディの官能的秘密に興味を抱いてしまったのならぁ
残念!同じ星の元なら教えてやれましたが、こればっかりは大人になるまでお・あ・ず・けよー」

「あ、いえそんなんじゃなくて」

 盛大にずっこけていた。

「先生、先生は魔法少女でも無いのにどうしてそんなに強いんですか?」

「え、宇宙人だからだけど?」

「え、え〜・・・」

「それよりもさ、あの暁美だんだっけ?あの子の事教えてよ」

「え?ほむらちゃんですか?そう言われても、私もまだ会ったばかりで・・・」


 布団から出てくると、先生はとても優しい笑みを浮かばて私を見ていた。廊下ですれ違ったような
ギラつくような目でもなく、使い魔を倒した時のような猛獣の目でもなく、慈愛に溢れたそんな優しい
目だった。

「なんでも良いからさ。例えば、今日の様子とか」

「え・・・?」


 あのQべぇと呼ばれる生物を襲おうとしていた時を思い浮かべる。

「なんでかは分からないです。あの子を襲おうとしていて、私には近づくなと怒鳴ってとても怖かった
のは確かなんですけど・・・ハル子先生のと同じ目で私を見ていました」

「ふ〜ん、それで?」

 促すように頭を撫でる。


「はい。だから、何か理由があってしていたんだと思いました。本当はそういう事をするような女の子
じゃなくて、ただ私を心配して・・・心配?」

「あの変な化け物に襲われそうになった時、ほむらちゃんはマミさんに対して怒っていた。初対面の筈
なのに、どうしてあんなに怒っていたのかなって思ったんですけど、あれはマミさんい怒っていたんじゃ
無いんだ・・」


「それで?」

「私達を巻き込みたくなかった・・って言っていた。それを果たせなかった自分に怒ってたんだ・・・・
だからマミさんに守ってもらうように仕向けたんだ。さやかちゃんとマミさんはほむらちゃんを警戒して
いたから・・・」


「なんだ。ちゃんとわかってんじゃん。それじゃあ、それ言ってやんなよ」

「え!?でも」

 言葉を遮るようにして、先生は頭を撫でる。


「言いたいこと言わないと、大人になって苦労するよ〜?良いのかにゃぁ〜??」

「それは・・・嫌です」

「ん」




 なんだか、暖かい気持ちになった。この人、本当に全宇宙の指名手配犯なのかな?・・・・・あ


「そ、そうだ!先生はどうして指名手配なんてされてるんですか!!?」

「秘密〜おやすみばはは〜〜〜い」

「え、っちょ」


 そう言い残して先生は風の如き速さで部屋から出ていった。なにもかも勝手でこちらの意図した事を
全てのらりくらりとかわしてしまったので、なんだか不完全燃焼してしまったが。


 頭はすっきりして、心は少しやすからになった。


「ほむらちゃんにちゃんと謝らないと・・・おやすみなさい」


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