せあらとありす ―双子の絆―

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1:汐莉:2015/04/01(水) 14:23 ID:ZRo

「あっ、ありす……」
私は恐怖で震えている手で、ありすの手をぎゅっと握った。
目の前には、断崖絶壁のがけがある。
私達がどうしてこの状態になっているかというと……。
あれは、30分前―。

私達は、いつも通りに二人で学校から帰っていた。
楽しくおしゃべりをしていると、目の前にいかにも怪しそうな女の子が現れた。
「あなた達……せあらとありすね?」
会ったこともない女の子がどうして私達の名前を知っているのか……。
とてつもなく不気味だった。
「そ、そうだけど……?」
私の代わりに、ありすが答えてくれた。
「……ちょっと、来て」
女の子はマントを翻し、森へと歩いて行った。
崖から少し離れたところで、女の子は立ち止まり……。
「あなた達、頼みがあるの」
それだけ言うと、女の子は白い指で崖の方を指さして……。
「あそこから、飛び降りてちょうだい」
「は……?」
私は、我が耳を疑った。
だって、そんなことを言われても、「はい、そうですか」で済ませられるはずがないから。
「意味わかんないんだけど」
ありすがキレ気味にそういうと、
「あら、自己紹介がまだだったわね。あたしはカノンよ」
「カノンさん……それ、どういうこと?」
私が控えめに尋ねる。
「この世界にはずれがある。だから、あなた達二人に手伝ってもらおうと思っただけ」
「何を手伝えばいいの?」
「まず、あそこから飛び降りて。そして、魔法の世界に行くのよ。
 そうしないと、もう、どうにもならないわ」
魔法の世界とか、世界のずれとか……訳が分からない。
「さぁ、早く!」
カノンさんが私達をせかす。
「ちょ、ちょっと待ってよ!!飛び降りたら死んじゃうじゃん!」
確かに、ありすの言うとおりだ。
こんな崖から飛び降りて、生きていられるはずがないのだから。
「大丈夫よ。時空のひずみを作っておいてあるから。早く!!」
「もしも……離れ離れになったらどうするのよ……?」
ありすが泣きそうな顔で尋ねる。
「大丈夫よ……運命を信じて……。もしも、離れ離れになっても……絶対また会えるから」

そして、今に至る。
「行こう、せあら!」
私達は手をつないだまま飛び降りた。
閉じていた眼をゆっくりとあけると、雲を突き破って地面に落下している光景が広がった。
「あっ、ありす!」
私は必死にありすに問いかけた。
「せあら、私は、運命を信じる……。私はカノンの言ってたことを信じるよ!絶対、また会えるって!」
「ありす……」
私は涙をぬぐって……。
「わ、私もっ!私も信じる!」
その時、強い、一陣の風が私達に容赦なく吹き付ける。
その反動で、私達の手は離れた。
「せあらっ!」
「ありすっ……ありす―――!!」
私が泣き叫ぶ。
ありすの名前を何度も呼んでいるうちに……。
私の意識は遠のいて行った。

2:汐莉:2015/04/01(水) 14:35 ID:ZRo

―ズキッ……ズキンズキンズキン……
足が痛い、腕が痛い、頭が痛い、お腹が痛い……。
私はいろんなところの痛みで目を覚ました。
瞼を開くと、見たことのない光景が広がっていた。
どうやら私は、低木がクッションになって助かったらしい。
起き上がろうとすると、さらにあちこちが痛む。
滑り落ちるようにして起き上がると、今度は立ちくらみが。
それでも我慢して、木の幹につかまりながら歩いてみる。
きょろきょろと辺りを見回すと、辺り一面森……。
上から太陽の日差しが漏れている。
「そぉだ……ぁりす、捜さなきゃ……」
足の痛みを我慢してようやくたどり着いたのは、大きな岩がごろごろ転がる洞窟。

3:汐莉:2015/04/01(水) 14:45 ID:ZRo

ひときわ大きな穴に入ってみようとすると、誰かに呼び止められた。
「お待ちなさい」
「え?」
振り返ってみたものは、黒い髪の毛を肩まで伸ばした、雪のように白い女の子。
「どこに行くつもり?そんな格好で」
その子が差し出した鏡を受け取り、見てみると……。
私は言葉を失った。
傷だらけの顔。ボロボロの、泥のついた制服。血が流れている手足。
結っている意味がないような髪の毛……。
「で、どこに行くの?」
女の子は再び訪ねた。
「あ、姉を探しに……」
「姉?どんな子?私と同じ容姿の子……」
「もしかして、双子?」
「は……い……」
ドサッ……。
ごめんね、ありす。
私、もう無理かもしれない。
ありすを探すの……。
最後に聞いたものは、私に呼びかける、女の子の声だった。

4:汐莉:2015/04/02(木) 21:54 ID:ZRo

「ん……」
どれくらい寝ていたのだろう。
頬にあたった、何か柔らかい布の感触に私は目を開けた。
「あら、起きた?」
声のする方を向くと、そこには優しそうな笑顔を浮かべた女性がいた。
「あ、あの……ここは?」
「ああ、心配しないで。ここはね、私が経営している宿屋なの。大丈夫よ。お金は、取らないから」


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