WT×HQ夢小説

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1:アポロ◆A.:2016/01/17(日) 20:07 ID:eG2

どうも、ろくに完結させずばんばん書いていくアポロです。

今回はワールドトリガーの世界にハイキュー夢主とハイキューメンバーがトリップするお話です。

ワールドトリガー側にも夢主がいます。

ワールドトリガー側の夢主は『ワールドトリガー長編夢小説』のメガネの男前関西弁少女。
名字変更で『霧氷』から『小原(こはら)』へ。
 小原 伊織 ちゃんです。

ハイキュー側から来た夢主は
 日ノ助 朱李(ひのすけ しゅり)
THE女の子なゆるふわ女の子です。


では!


.

2:アポロ◆A.:2016/01/24(日) 18:58 ID:eG2

朱李side


ここは烏野高校排球部が部活をしている第2体育館。

今日も今日とてみんなは青春の汗を流す。まぁ今日はもう終わりなんですけど。

申し遅れました、烏野高校一年日ノ助朱李です。バレー部のマネやらして貰ってます。
谷っちゃんと仲が良いです谷っちゃんてぇーーーーんし! えんじぇぇーーーーる!

そんな中、ぴろりんとケータイがメールを着信した。

スマホの画面をつけメールを見るとありゃびっくり。


『大地さん! 大地さーん! おとーさーん!』
「誰がお父さんだ! なんだ、どうした日ノ助」
『メールでなにやら変なものが…チェンメでしょうか?』
「なんだ?」


ひょいと画面を見せると「悪趣味だな」と告げられる。
それもそうだ、赤い文字で『あなたたちを招待します。メンバーを御告げします』とつらつらと名前が述べられていた。


「何々? 日ノ助清水谷地澤村菅原東峰西谷田中日向影山月島山口……?」
「どうした大地ー?」
「あぁスガ、日ノ助のスマホに変なメールが……」
「ちょっと見せて」
「あぁ……いいな? 日ノ助」
『ダメと言える雰囲気でも無いですし』
「ふぅん、あ、おい大地、これこのしたも有るぞ」
「はぁ!?」


どうやら名前はしたまで続いているらしい、スガさんが読み上げていくとそりゃまぁ見事に他校のバレー部勢でしたわ、まばらだけど。
烏野高校の二年が二人足りないが。
音駒は黒尾さんと研磨さん、夜久さん、灰羽。
青葉城西からはクソ及川、岩泉さん、国見。
最後に梟谷から木兎、赤葦、名前覚えてないけどマネさん二人。

まばらすぎる。

とりあえずこれを部員全員に伝えれば、日向が「研磨もこれと似たようなのもらったって言ってた!」と教えてくれた。仲良いもんね。


まぁイタズラだろうとみんな部室から出るべく扉を開けた。

いつもならそこは辺りは薄暗く、ベランダ的足場なのだが、昼間の様に明るく崩れた民家が多かった。

あれ? と大地さんは呟いて叩き付ける様に扉を閉めた。大地さんきょわい。


「……俺は手違いで異世界への扉を開いてしまったようだ」
「うぇぇえ!!? 大地って手違いで異世界への扉を開けれんの!?」
「東峰、うるさい」
『潔子さんは落ち着いてるなぁ』


と会話をして窓を見てみる。そこにはいつも通り薄暗い体育館しか無い。だが窓を開けると明るく崩れた民家が目立つ場所だった。心なしか爆撃音がするのは気のせいだろうか。


「ど、どどどどどどどどどどうしよう! どうしよう日向!」
「うぇええええええ!? えと、えと……えと、えっでぇえええ!」


ばっちぃぃぃいん、と小うるさく騒ぐ日向の頭を影山が「うるせぇ! ぼけぇ! 日向ぼけぇ!」と激しく叫んだ。うん、うるさい。

そしてうるさいと口にした月島と影山がにらみ合いを始め、西谷先輩が男前に告げる。


「ここに居ても仕方ねぇから外に出て周りを見ようぜ!」


あんたはどこまで男前なんだよチビ。



.

3:アポロ◆A.:2016/01/26(火) 18:55 ID:eG2



その時、外で「うぉぉおおお!? どこだここーーー!」と聞いたことのある声が耳に届いてきた。
慌ててみんなで外に出るとそこには崩れた民家を目の前に騒ぎ立てる木兎さんとそれに「うるさい単細胞!」と叫ぶ雀田さん。側には白福さんと赤葦さんの姿が見えた。
それと同時に私達が居た隣のドアから「うるせぇええ!」と怒鳴りながら出てくる黒尾さん、と研磨。
それを聞き付けたのか、そのまた隣のドアからクソ川と岩泉さんが出てきた。



『あ! 岩泉さん、こんばんは?』
「……今は昼なのか? 夜なのか?」
『知りませんよ』


と二人で今は昼なのか夜なのか討論会を開きかけたその時、岩泉さんのとなりに居たクソ川が声を出した。


「ちょっと!? 俺の朱李ちゃん! 無視しないで!」
『は? 私はいつからクソ川さんの物になったんですかきっしょく悪い。岩泉さんなんかいってくださいよ』
「よしクソ及川、覚悟しろ」
「岩ちゃんやめてぇ!」


そうしてみんなで合流して、ここはどこなのか会議が始まる。


「ここはどこだ?」
「そんなの、俺たちが知りたいよ岩ちゃん!」
「うるせぇ及川!」


と岩泉さんとクソ川の言い合い、そして食えない者同士、大地さんと黒尾さんが話を再び始める。


「そうだ、黒尾。お前の所に変なメール来なかったか?」
「ってことはお前らもか?」
「あぁ」
「なんかありそうだな」


無かったら可笑しいわ! とつっこみはここまでにして、白福さんと雀田さんと潔子さんと谷っちゃんの所に行く。


「こっ、こここ、ここはっ、ど、どこなんでしょうかね!?」
「仁花ちゃん、落ち着いて!?」
『考えるところ、あのメールのせいでこんなことになったんだと思いますけどねぇ』


と私がそこまで言うと、「ぎゃあああああ!」と複数の叫び声が響いてきた。

どうした!?










原作で言うと三雲達がボーダーに入った後、長編で言うといおりちゃんがA級に成り立てぐらいですかね。
あ、出水すでに告白済み設定。


.

4:アポロ◆A.:2016/01/29(金) 22:03 ID:eG2


大地さん達が必死の形相で全力疾走してくる。
いや、あの……顔こえぇっ!

そしてなんで逃げているのか。駆け出してくるみんなの後ろを見て私は何も言わず走り出した。他のマネさんも同じらしく全力疾走。
なんだありゃあああああ!

ずしんずしんと地響く足音、物凄くでかい図体、そして白い。崩れた民家を踏み潰してやって来るソレにみんなして全力疾走。
マジなんだありゃあああああ!

その時、谷っちゃんが転けた。ズベッと。


『谷っちゃん!』


みんなそれぞれに谷っちゃん! と名前を呼ぶ。早く早くと急かす内にソレが谷っちゃんの真上でピタリと止まり、大口をガパァ、と開けた。
谷っちゃん!? と見てみると、ショックと恐怖で気絶している。あぁもう!

私はそこに転がっていた鉄パイプを握って駆け出すが、大地さんに止められた。


『何でですか!』


私が抗議の声を上げると大地さんは「こう言うのは俺達だろ」と私から鉄パイプを奪い、他バレー部と逆方向に駆け出し、鉄パイプを大地さんがブンと目のようなものに向かって投鏑。
だが、想像以上に堅いらしく、カン、と跳ね返った。
でも、意識は谷っちゃんから逸れた。マネちゃんズで谷っちゃんを助け、みんなでいっせいに逃げようとしたときだった。
私達の進行方向に、つり目で眼鏡で巨乳で美人で、身長は170cm強ある赤い布地に黒のラインの入ったジャージを来た女の子。
それと身長の小さい、だが雰囲気は大人びている青と布地に白のライン的なものと黒のラインの入った特徴的な服を来た男の子。その男の子と同じ服を着た彼より数cm身長の高い男の子二人が立っていた。
女の子の方が小さい男の子に何か言い、此方に走ってきた。
そのスピードは凄まじく、風を切るように私達の間を抜け、腰に差してあった鞘から刀身が光った日本刀? を取り出しその大きくて白い怪物を横一線に真っ二つにした。
嘘だ! 女の子何者!?


その女の子は刀を鞘に仕舞うと私達に寄ってきてこう言った。


「……一般市民が何で立ち入り禁止警戒区域にこない大人数おんねん……」


彼女が告げたその言葉に対し、私達にはひたすら首をかしげるしか出来なかった。





.

5:アポロ◆A.:2016/01/30(土) 23:02 ID:eG2


私達が首をかしげるなか、クソ川が眼鏡美人さんに「巨乳ちゃん、立ち入り禁止区域ってどういうこと? なにそれ?」と聞くとその子はそのキリリと整った顔で何か言おうとしたとき、後ろから黒髪で背が小さくて雰囲気が大人で目が赤い少年がそれを制した。



「小原、俺から説明する」
「……小原、了解」



その少年がそのクソ川に「お前達はなんでここにこんなに大勢で居るんだ?」とやけに大人びた声で聞いてきた。

岩泉さんは「俺達は部活を終了して、主将と副主将で鍵の戸締まりをして、外に出たらこの光景だ。」と告げる。各主将連もそれにこくこくと頷く。



「……仕方がないな。ついてこい」



その黒髪の少年は背を向けて歩き出す。そしてその言葉使いにノヤっさん、田中さんが反応してしまった。うるさい……。



「オイ、チビ! 俺達より年下の癖に偉そうだぞ!」
「そうだ! ノヤっさんの言う通りだ! 名前ぐらい名乗れ!」



二人がそういった瞬間、黒髪の少年と同じ服を着た茶髪でストレートの気怠げな子が「あーあ」と心底同情したように呟いたのを私達マネちゃんsは聞き逃さなかった。
私達が聞こうとしたとき、その少年はギロリと田中さんとノヤっさんを睨んでこう言った。



「……風間蒼也、21歳。こんな身なりだが成人している。これで文句は無いだろう」



その発言に「うそだ!」と二人は反論するが、眼鏡の美人さんに「風間さんは正真正銘成人男性だ」と告げたことにより、「「スイマセンデシタッ!」」と勢いよく頭を下げた。

それにしても、驚いた。風間さんは成人していたのか。
その事にはみんな驚いたのか、「……成人、していたのか。人は見かけによらない……」とぶつぶつ私にも聞こえない声量で大地さんが呟いていた。
そばにいた私にすら聞こえなかったその小言を、風間さんの隣にいた先程「あーあ」と言った子が後ろを見て言う。


「そこの女の子の隣にいる黒い服着た主将みたいな人、小うるさいよ」



と言われていた。ここから彼のところまで、最前列と最後尾なのに、よく聞こえたな。


**

風間さんに連れられ、何かの建物に入る。
そこで、眼鏡の美人さんが立ち止まった。



「……すいません、風間さん。煩いのが来たんで逃げます。あと任してまいますけど……」
「構わん。俺達もうるさいのは嫌だ」
「助かります」



そういって眼鏡の美人さんは私の進行方向とは逆に、言えば今来た道を駆け足で戻り始めた。

その時。



「いおりいいいいいいいいい!」



結構な声量での叫び声。そしてすぐそばの曲がり角から金髪の鋭い目付きの黒のコートを着たイケメンが飛び出てきた。
それに比例するようにいおりさんとやらの足もスピードを早めた。だが、その眼鏡の美人さんの腕をクソ川が掴んだ。

なにしてんだてめぇ!



.

6:アポロ◆A.:2016/02/07(日) 11:01 ID:eG2



「! なんで掴むねん……君」



いおり……? さんは自分の腕を掴む及川を睨み付けた。及川はヘラっと笑い「なんで逃げるのかなって思ってさ〜」といった瞬間、及川の背中に飛び蹴りが飛んできた。
ゥグフッと声を漏らした及川に少なからずざまぁと思ってしまった私を許してほしい。



「てめぇ何いおりの腕掴んでんだ!」



金髪さんは及川を睨み付けていおりさんを背中に隠す。
あ、風間さんと茶髪君達溜め息着いた。
風間さんが一歩金髪さんに近付いて肩を叩いた。



「出水、うるさいぞ、静かにしろ」
「風間さんっ、でも」
「いおりが逃げたのはお前のせいだ。見ろ、いおりの顔を」



風間さんが顎で促すのと同じように、私達全員がいおりさんの顔を見る。



その顔は、なんと言うか……「うるせぇな」とでも言いたげな顔で、うん。


これ。出水……さんのせいだよね。



.

7:アポロ◆A.:2016/02/13(土) 16:41 ID:eG2

その出水さんが私達を見て、うるさくして悪いな、と一言謝った。謝ることが出来るだけマシですよ! 大丈夫ですよ!



「俺は出水公平、17歳。ボーダー、A級一位の射手やってる。まぁ、次会う時は覚えてねぇかもしんねーけどよろしく」



にかっと笑うと、隣の影山が「ボーダー? A級? 射手? なんすかそれ」と出水さんに聞き返した。うん、私も気になる。
出水さんは「はぁ?」と顔を歪めた。何でだ。そして、周りの茶髪君達、風間さん、いおりさんも困惑した顔を見せる。



「……お前たち、ボーダーを知らないのか?」
「はい。……ボーダーってなんなんですか? それと、出水君が言ってた次会う時は覚えてねぇかもしんねーけど、とは?」



大地さんが私達バレー部を代表してこう聞いた。そして、風間さんの隣にいたジト目の茶髪君が代わりに告げる。



「君達さ、ホントに知らないの? ボーダー。さっきの白い化け物見たでしょ? あれを倒していく組織がボーダーだよ、界境防衛組織、ボーダー。
あと、出水先輩余計なこと言わないでよ。絶対抵抗するよこの人たち」
「ストップだ、菊地原」
「……すいません、風間さん」



抵抗? なにそれ?



「……どういう意味ですか」



あ、いつかの……影山と日向を叱った一番最初の時のあの顔だ。バレー部みんなギョッとして大地さんを見つめる。風間さん達も少なからず驚いたようでびくんと風間さん以外が肩を揺らした。
風間さんは溜め息をつくと、仕方なしに話してくれた。



「お前たちは俺達ボーダーが戦って居るところを見た。だから記憶措置を施さないといけない決まりなんだ」
「……ちょーっと待ってくれません? それって俺達の合否の元で? デスよね?」
「いや、強制的だ」



その言葉に私達全員は固まった。











.

8:アポロ◆A.:2016/03/03(木) 22:48 ID:eG2




「え、えぇ!?」



 隣の日向が私の背中からジャージを掴んで顔を覗かせた。おい人見知り! 可愛いなもう!



「すいませんが、これは規則なので……」



茶髪のジト目君の隣のオールバックヘアーの茶髪君が申し訳なさそうに告げる。いおりさんは腕を組んで、「それが嫌やったらボーダー入ることくらいしか道はあらへんで」と出水さんをあしらいながら言い放つ。



「すいませーん、記憶処置か入隊か、少しここで考えさせてくれませんカ?」



黒尾さんが一歩前に出てへらりと胡散臭い笑顔を浮かべた。床をこつこつと鳴らしながら軽快に歩いていく姿は黒猫を連想させる。
出水さんが風間さんに「少しぐらいなら良いんじゃないですか?」と真剣な顔で告げる。風間さんはふむと息を飲んだあと、「5分で決めろ」と威圧的に告げた。



「……なら。とりあえず、烏野集合!」
「「うぃーす」」



大地さんが集合をかける。風間さんは「全て同じ学校かと思っていたが……」と口にしていた。



「青葉城西集合ー!」
「っつっても俺達は二人しかいねぇけどなクソ川」
「岩ちゃん酷い! それが親友に言う言葉なのか〜?」
「誰が親友だクソボケ及川死ね!」
「酷い!」



青葉城西、青城は相変わらずだ。音駒は黒猫と研磨くんなので、「どうする? 研磨」「俺別にどっちでもいい」「研磨……話し、するときぐらいゲーム触る手止めろよ」「今イイトコなの」とゲームを奪おうとする黒尾さんに嫌がる研磨くん。



「いや、黒尾……集合掛けろよ! 見ろ! リエーフ烏野のチビちゃん所行ったぞ!?
責任持ってつれ戻してこい!」
「わあってるよ、オカンやっくん」
「誰がだ!!!」



夜久さんの綺麗な回し蹴りが黒尾さんの尻にクリーンヒット。いでえっ! と声をあげる黒尾さんとその威力を見測ったのか、ぷるぷるぷると首を横に振る研磨くん。そしてお母さんにゲーム機を没収されてた。流石。
そして黒尾さんは灰羽の首根っこ掴んで「ごめんネ澤村君。おらリエーフ!! お前の所為で俺が夜久に蹴られたろーが!」「ええっ!? 理不尽!!!」とずるずる引きずってくる。
梟谷は赤葦さんが「良いですね? 木兎さん」とお父さんっぷりを主将にして末っ子のひとつ上の先輩、木兎さんに言い聞かせていた。っていうか、赤葦さんは確か二年生で……木兎さん三年生じゃなかったっけ……?



「五分だ。決まったな?」
「「「「はい」」」」



主将連がそう言い、続けて黒尾さんが周りを見回し、みんなこくんと頷くので代表して言った。



「俺達は、ボーダーに入る」



.

9:アポロ◆A.:2016/03/03(木) 22:48 ID:eG2





「え、えぇ!?」



 隣の日向が私の背中からジャージを掴んで顔を覗かせた。おい人見知り! 可愛いなもう!



「すいませんが、これは規則なので……」



茶髪のジト目君の隣のオールバックヘアーの茶髪君が申し訳なさそうに告げる。いおりさんは腕を組んで、「それが嫌やったらボーダー入ることくらいしか道はあらへんで」と出水さんをあしらいながら言い放つ。



「すいませーん、記憶処置か入隊か、少しここで考えさせてくれませんカ?」



黒尾さんが一歩前に出てへらりと胡散臭い笑顔を浮かべた。床をこつこつと鳴らしながら軽快に歩いていく姿は黒猫を連想させる。
出水さんが風間さんに「少しぐらいなら良いんじゃないですか?」と真剣な顔で告げる。風間さんはふむと息を飲んだあと、「5分で決めろ」と威圧的に告げた。



「……なら。とりあえず、烏野集合!」
「「うぃーす」」



大地さんが集合をかける。風間さんは「全て同じ学校かと思っていたが……」と口にしていた。



「青葉城西集合ー!」
「っつっても俺達は二人しかいねぇけどなクソ川」
「岩ちゃん酷い! それが親友に言う言葉なのか〜?」
「誰が親友だクソボケ及川死ね!」
「酷い!」



青葉城西、青城は相変わらずだ。音駒は黒猫と研磨くんなので、「どうする? 研磨」「俺別にどっちでもいい」「研磨……話し、するときぐらいゲーム触る手止めろよ」「今イイトコなの」とゲームを奪おうとする黒尾さんに嫌がる研磨くん。



「いや、黒尾……集合掛けろよ! 見ろ! リエーフ烏野のチビちゃん所行ったぞ!?
責任持ってつれ戻してこい!」
「わあってるよ、オカンやっくん」
「誰がだ!!!」



夜久さんの綺麗な回し蹴りが黒尾さんの尻にクリーンヒット。いでえっ! と声をあげる黒尾さんとその威力を見測ったのか、ぷるぷるぷると首を横に振る研磨くん。そしてお母さんにゲーム機を没収されてた。流石。
そして黒尾さんは灰羽の首根っこ掴んで「ごめんネ澤村君。おらリエーフ!! お前の所為で俺が夜久に蹴られたろーが!」「ええっ!? 理不尽!!!」とずるずる引きずってくる。
梟谷は赤葦さんが「良いですね? 木兎さん」とお父さんっぷりを主将にして末っ子のひとつ上の先輩、木兎さんに言い聞かせていた。っていうか、赤葦さんは確か二年生で……木兎さん三年生じゃなかったっけ……?



「五分だ。決まったな?」
「「「「はい」」」」



主将連がそう言い、続けて黒尾さんが周りを見回し、みんなこくんと頷くので代表して言った。



「俺達は、ボーダーに入る」



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10:アポロ◆A.:2016/03/05(土) 22:46 ID:eG2


 黒尾さんが言った瞬間、いおり__小原さんが眉をひそめた。「本気か」と言いたいのだろうが、こちとら遊び半分と言うわけじゃない。記憶が掛かっているのだ。
 そして、風間さんが動いた。

「……よし。遊び半分じゃないことは分かった。俺が上と交渉してきてやる。
菊地原、歌川、出水。ホールへ連れていけ、ここでは目立って仕方がない。
小原は俺と来い。これだけの人数を俺だけじゃ捌ききれん」
「歌川、了解」
「うぃっす」
「小原、了解っすわー」

 風間さんの一言にみんな、各々が安堵の息を吐いた。びっくりするぐらいあっさりだ。風間さんは厳しめなイメージが有るが、そうでもないらしい? すたすたと歩いていってしまった。それについていく小原さん。二人の背中は頼もしかった。
 だが。

「え〜……君達ホントに入るの? こんなに軽々決めちゃって。
絶対に途中で怖くなってやめてっちゃうパターンじゃん」

 嫌悪感を隠そうともしない、むしろ丸出しな彼は菊地原らしい。視線が「面倒」と物語っている。なんて堂々とした悪口だ。歌川さんが「菊地原!!」とぺしっと頭を叩いて「そんな失礼な事言うな!!」と怒った。歌川さんは苦労してるんだなぁ。「お前ホントくそ生意気だな」と出水さんがチョークスリーパーを掛ける。そんな出水さんに菊地原君は「ちょっとやめてくださいよ出水先輩」とペシペシと腕を叩いた。
 ようやく離してもらったところで、及川が口を開く。

「アーララ? 菊地原君だっけ?」
「……そうだけど?」
「もし、俺達と戦って負けちゃったらとんでもなく恥ずかしいよ〜? 良いの? そんな事言っちゃってさー」

 及川の飄々とした態度に、岩泉さんの拳骨が飛んでくるかと思ったら、岩泉さんも菊地原君にイラッとキテた。まぁ分からなくもない、だって私もイラッときたもん。菊地原君はキレるでもなく、ムキになるでもなく、呆れた様に溜め息吐いた。

「何? 勝てる気でいるの? 無理無理。無理に決まってるじゃん。仮にC級からB級に上がれたとしても、ランク戦で中位チームか上位チームに叩かれて僕と戦える機会なんて無いだろうし。
そもそも、2年の差は埋まる訳が無いし。
まず剣も狙撃も覚えたての奴に負けるわけないじゃん」

 ふっと言いたいことだけ言い散らかし、「トリガーオフ」と先程の青がメインの服から私服へと戻り、「僕は案内しない。風間さんが来たときだけ居るから、歌川案内してよ。出水先輩も頼みますよ」とポケットに手を突っ込んで行ってしまった。歌川さんは「おい菊地原!!」と背中に言葉を投げた。
 ふぅと溜め息を吐いた歌川さんは私達に向き直ると、苦笑いしてこう言う。

「すいません。アイツホント負けず嫌いで。ただの照れ隠しなんで気にしないでください」
「ぶっは! 照れ隠し!! そうそうそんな表現!!」

 ずいぶんと離れてしまい、遥か前方の曲がり角を曲がっていった菊地原君にフォローを入れる歌川さん。その隣で草を生やしながら爆笑する出水さん。なぁんだ、負けず嫌いの照れ隠しか、とみんな妙にほっこりしたように目線を曲がり角に向けた。すると、菊地原君が不機嫌な顔で曲がり角から顔を出し、叫ぶ。

「照れ隠しとか意味わかんない! なんでそんな思考になるのさ! バカなんじゃないの!?
出水先輩気持ち悪い!」

 そう言い放ち怒ったように行ってしまった。歌川さんは「やっぱり聞こえてたか……」と顔をしかめる。「気持ち悪いってなんだよ菊地原!!」後でランク戦で蜂の巣にしてやる、と物騒な事を言う出水さんにノヤっさんがブッと吹き出す。

「すげぇ、あんな距離で聞こえるとか」
「菊地原は強化聴力のサイドエフェクトを持っていますから」

日向の独り言を丁寧に拾って説明してくれた歌川さん。歌川さんは「自己紹介が遅れてすいません」と一言誤り、自身の自己紹介をしてくれた。

「俺は風間隊アタッカー。歌川亮、16歳の高校一年、さっきのは菊地原士郎、ポジションは俺と同じアタッカーで同い年です。アイツは誰にでもあんな感じなんです」
「歌川!! 同い年!! 同い年!!」

 ぴょんぴょん跳ねながら歌川さんにまとわりつく日向。「日向翔陽!! 烏野高校一年バレー部! よろしく!」と主語のない自己紹介をした。よろしく日向、と笑っていなした歌川君は大人だと思います。
.

11:アポロ◆A.:2016/03/06(日) 17:48 ID:eG2

日向side


 歌川にホールへと連れて行ってもらっている途中、俺はさっきのサイド……フェト……? ってのを何か聞いた。



『なぁなぁ歌川! さっきのサイドフェトって、なんだ!?』
「サイドフェト……? ああ、サイドエフェクトな。
サイドエフェクトってのは日本語に直すと」
「副作用ですよね」



 歌川の、日本語に直すと、を被せて答えを言ったのは大地さんだ。へー、サイドエフェクトって副作用って意味なんだ。でも何の副作用なんだ?



「サイドエフェクトは、トリオン量の多い奴が持つ奴がなる、何かしらの能力なんだ。
菊地原みたいな五感強化、他は特殊体質、超技能、超感覚だ。
超感覚か超技能かは忘れたけど……俺の知ってるうちで一番スゴいのはあれだな。未来視のサイドエフェクト」
「未来視!? なんだべ!? それ!」
「なんかすげぇ!」
「その前にトリオン量ってのに疑問を持たねぇのかお前ら」



 歌川の言葉に上からスガさん、木兎さん、黒尾さんが告げる。サイドエフェクトってのは理解できたけど、また訳の分からないワードが出てきた。



「あなたは……」
「俺は黒尾鉄朗、音駒高校の三年だよ。バレー部キャプテンだ。よろしく歌川君」
「あぁはい。よろしくお願いします。
……トリオン量は……トリオンとは、見えない内臓、トリオン内臓から作られるエネルギーです。その量は人それぞれですが。多い人ほどサイドエフェクトを持ちやすいんです。まぁ、稀ですけど」



 とか話しているうちに、ホールについたらしく、ギィとドアを開く歌川。

 奥には、物静かそうだけど顔にでけぇ傷がある人と、いかつい人と、メガネの人と、風間さん、小原さん。赤いジャージみたいな服を着た人が四人。あとデブな人と菊地原。



「……風間と小原から入隊希望だと聞いた。私は城戸政宗。ボーダーで最高指令をしている」



 城戸さんは腕を組んでそう言った。すっげぇ威圧感……。そしていかつい人は本部長の『忍田 真史』さん、メガネの人がタマコマ?支部の支部長『林藤 匠』さん、デブな人は鬼怒田さんらしい。そして、入隊は。



「許可する」



 城戸さんの言葉。それに俺達は叫びそうになるが、鬼怒田さんの言葉にそれは固まる。



「城戸指令! 本気か!? ボーダーも、ネイバーも知らない得たいの知れない子供を入れる等!」
「危害になる様なことは無いと私は見た」
「そうだ。別に構わないだろう」
「……仕方がない」



 今度こそ俺達は喜んだ。ホールが一斉に沸く。



「朱李ちゃん! やったね!」
「そうだね谷っちゃん! 白福さんは落ち着いてますねぇ」
「そうだねぇ、なんか……木兎を見るとすっごく落ち着いちゃうの。ね、かおりちゃん」
「そうだね。猛禽類単細胞しょぼくれエースを見ると……ねぇ。清水さんも落ち着いてるよね」
「まぁ……ね」



「やったやったぞ影山くーん!」
「うるっせぇなボケェ! 日向ボケェ!」
「王様の罵倒ボキャブラリー……ぷっ」
「ぶふっ」

「うおおおおおお! やったぞノヤっさーん!」
「やったな龍! うおおおおおお!」
「お前らうるさいぞ」
「「縁下は嬉しくないのか!?」」
「お前らが俺の分まで騒ぐからだろ」

「やったなスガ、旭」
「そうだなぁ……俺、やってけるかな……剣とか銃とか……」
「出ぇたーーー! ネガティブ髭ー!」
「えっ、ちょっ、なんかデジャヴ……」
「ネガティブ〜、ファター!」
「おうっふ!」
「元気だなスガ」

「やったやったね岩ちゃん! 国見ちゃん!」
「安心したな、国見」
「そうですね」
「二人とも無視しないで!」

「これで一安心だな研磨」
「クロの顔が怖いんだけど」
「なんか、お前ら気楽だな」
「夜久さん夜久さん! ホールでけぇ!」
「うるっせぇリエーフ! 大人しくしてろ!」

「赤葦赤葦! なんか物騒だな!」
「うるさいですよ木兎さん、静かにしてください」
「赤葦たまには乗ってきて!」

12:アポロ◆A.:2016/03/06(日) 18:30 ID:eG2


いおりside



「……なんなんですか、いおりさん。すごくうるさいんですけど」



 木虎が腕組みをして、怪訝な顔で、大騒ぎするバレー部員達を眺めながらこっちに聞いた。



『……こっちに聞かんといて。こっちも知らん』
「……ですよね」



 木虎の隣の佐鳥は「すっげー騒ぎ様!」と笑っている。



「おーい、少し良いかい!?」



 嵐山さんがバレー部に声をかける。途端にぴたりと動きを止めるバレー部員。



「俺は嵐山准、嵐山隊隊長の19歳だ。よろしくな!」



 おおう、相変わらずの爽やかな笑顔だな。嵐山さんは。
 そしてバレー部員達は、みんなそれぞれ自身の自己紹介をしていった。



**


大地side



俺達ボーダーの入隊が決まったあと、嵐山さん達嵐山隊に促され、俺達のポジションを決めた。
俺はどうやらトリオン量が多いらしく、嵐山さんの薦めでガンナーになった。
旭、月島、縁下はスナイパー、山口はガンナー、スガがシューター。単細胞バカ共はアタッカー。ウチのマネージャーはオペレーターだ。

音駒や青城、梟谷は他の嵐山隊の人に連れて行かれていて、知らない。



「住む場や高校はこちらで用意するから、安心してくれて構わないぞ!」



 爽やかな笑顔を向けてそう言ってくる嵐山さんは裏表がないらしい。そう思っていると、「よーう、嵐山ぁ」とやけに間延びした声が聞こえてきた。
曲がり角からひょいと顔を覗かせたのは、額にサングラスをつけた茶髪の嵐山さんと同じ身長、髪型の人だ。あとぼんち揚げ食べてる。なんだこの人。



「迅! お前が本部に居るなんて珍しいな!」
「いやね、前にお前と会ったときに、この人たちを連れて歩いてる未来が視えたから来たんだ。だから俺は居たの。うん、流石俺、タイミングバッチリ」
「さすがだな!」
「実力派エリートですから」



 どうやら嵐山さんとは知り合いのようだ。隣の日向がきょどってる。なんだコイツ可愛いな。旭もきょどってる。顔こえぇ。



「ああこりゃ失恋」



 ……思ったんだが、飄々としてる奴は胡散臭い奴ばっかりなのか?



「俺は実力派エリートの迅悠一、年は19。よろしくな」
「……ずいぶんな自己紹介デスネ」
「ははっ、そんな目を向けるなよ月島君」
「!?」



 なんでこの人は名前を知ってるんだ!? と見ていると、「澤村君、なんで名前を知ってるんだ、って顔だね」とにやっと笑われた。



「俺は未来視のサイドエフェクトを持ってるからね。君達の仲間全員の名前が視えてるよ」


 この人は、なんだか食えない人だ。

13:アポロ◆A.:2016/03/06(日) 22:21 ID:eG2

及川side



俺達青城はなんか知んないけど、音駒? と梟谷? とは違う、きりりとした美人ちゃんと……茶髪のヘラっとした子と一緒にポジションを決めた。

俺は、なんだかセンスがあるらしく、ヘラリ少年から強くシューターを推されたのでそれにした。
国見ちゃんと岩ちゃんはアタッカーなんだって。どうしよう岩ちゃん想像出来すぎて困る。



『っていうか、俺達君達の名前知らないんだケド!』



俺がそういうと、きりり美人ちゃんが先に口を開く。



「私は嵐山隊アタッカーの木虎 藍、中学三年です」



それに続いてヘラリ少年が隣で俺達に告げる。



「俺は嵐山隊スナイパー、佐鳥賢、高校一年です!」



にっと笑った佐鳥君に木虎ちゃんが「ツインスナイプとか騒がないでくださいね」と釘を刺した。木虎ちゃんの性格は岩ちゃん似だなぁ。うっと表情を歪める佐鳥君。



「……佐鳥、及川さんと同じタイプだな」



国見ちゃんが後ろでボソッと言ったのが聞こえて、「国見ちゃん! 聞こえてっから!」と叫ぶと、「うるせぇ騒ぐなクソ川」と怒られた。



『でも岩ちゃん! 国見ちゃん酷くない!? あ、木虎ちゃん電話番号教えて!』
「うるせぇ! 静かにしろ!
……わりぃな木虎、こう言うこと言い出したら容赦なく叱ってくれて構わん」
「ありがとうございます岩泉さん」



心なしか木虎ちゃんが岩ちゃんを見て「私と同じタイプね……仲良くなれそうだわ」と言ったのは聞こえなかった事にした。
すると、曲がり角から誰か出てきて、「げ」と木虎ちゃんが声をあげた。



「げ、とはなんだげ、とは。俺に出会ってそれとか相変わらず木虎はクソ生意気だな」
「うるさいですよ太刀川さん」
「あ、さとけん居るじゃねぇか。おい佐鳥、ランク戦やろうぜ」
「ちょ、やめてくださいよ! 佐鳥はやりませんからね!」
「そう言うなよ……って、おい木虎。このイケメン三人誰だよ」



太刀川さんと呼ばれたその人は俺達を指差し、自己紹介を求めてきた。



「あの場には出水先輩ですらいたのに太刀川さん何してたんですか」
「何って……忍田さんに『大学のレポートを終わらせるまで隊室から出るな!』って言われてたから静かに隊室でゲームしてた」
「っはぁ……太刀川さん、この人たちが新しく入隊した人たちです」



木虎ちゃんが不機嫌にそういうと、太刀川さんは俺に似たような声で「そうかそうか、あいつらか」と言い、自己紹介。



「俺はA級一位太刀川隊隊長、太刀川慶だ。大学二回生だ」



道理で聞いたことがあると思ったら、出水君所の隊の隊長さんだった。

**
黒尾side



『悪いねー、俺達8人見てもらっちゃって』
「いえ、構いませんよ」



俺達は嵐山隊の時枝充君にポジションを一緒に決めてもらった。梟谷と合同。青城とやらが三人に対し、木虎ちゃんと佐鳥が着いていったのだが、時枝は「佐鳥を一人にすると自分の『ツインスナイプ自慢』しか喋らなくなるので、木虎にストッパーしてもらわないと駄目なんです」と答えた。

とりあえず、俺がアタッカー。リエーフはガンナー。研磨はなぜか「ゲームでもこんなのあったよね」と息巻き、スナイパーになった。夜久はオペレーターにした。だって俺達でチーム組みたいし。



.

14:アポロ◆A.:2016/03/10(木) 23:20 ID:eG2



清水side

私達が知らない世界に来て2日。今日は私達が住む場所へと案内された。
もちろん、女子陣。梟谷も含めて。

案内は小原さん。メガネのイケメン美人さん。



『……なんや、君ら女子美人さんばっかやん。めっちゃ静か。安心したわ』



案内されている途中、小原さんに前を向いたままそう言われ、表情は見えないが、「そうかなぁ」と白福さんがマイペースに答えた。少し振り向いた小原さんの表情があからさまにほっとしていて、「こっち、うるさいん苦手やねん」と少し微笑んだ。



「ねえ小原さん」
『いおりでエエですよ』



雀田さんが問い掛けると、小原さんが下の名前で良いと告げ、雀田さんは笑って再び質問する。



「ねえいおりちゃん」
『なんですか』
「いおりちゃんは戦闘員なんだよね。隊とかどこなの?」
『……こっちは太刀川隊ですわ』
「へー、太刀川隊ってすごいんだよね、確か一位の」
『……そうです、隊長は個人でも総合でも一位。……けど』
「……けど?」
『太刀川さん二十歳で大学生なんですよ、でも任務とか何かと言うてサボって単位がヤバい言うて後輩のこっちらに“レポート助けてくれ!”言うて……。実際こないな人が一位でエエんやろか思てます』
「……なんかすごいね……」
『ホンマ……ありえへん』



少しげんなりした声で前を進むいおりちゃんに、朱李ちゃんが声を掛けた。



「すいません、いおり先輩」
『なんや?』
「私達の通う学校って……」
『あぁ……君らの学力が分からんかったから普通校や』
「いや、バレー部ありますか?」
『……有るけど、何? したいん?』
「……出来れば……」



そういった朱李ちゃんに私達も首をこくんと縦に振る。いおりちゃんは横目でそれを見て、すっぱりと言い放った。



『それは無理っすわ。ボーダー隊員は部活には入れん』
「ええっ!?」




仁花ちゃんが驚き、いおりちゃんは続けて『部活中、もしくは大会中に緊急任務が入ったらどないすんの』と告げる。それもそうだ。と思っていると。



『まあ大丈夫なんちゃいますか? ウチの自他ともに認める実力派エリートが「澤村君達と出会って、ちゃんと帰ってる未来が見えた。安心して、俺のサイドエフェクトがそういっている。ちなみに向こうの時間は止まってるらしいよ、実力派エリートを信じなさい」っちゅーて言うてはったから』
「なっ、なんか……すごい人ですね!!」
『ただのセクハラエリートや。谷地さん……やっけ? そないビビらんといて?』



仁花ちゃんに声を掛けるが、少し難しいのではと思う。彼女の身長は180あるらしい。149cm辺りの仁花ちゃんとはちょっと。

とりあえず、案内された場所は、ボーダーのとある部屋のドアが並ぶ廊下。『ここが清水さん、ここ日ノ助さん、んでここが谷地さん』と扉を指差しながら淡々と告げるいおりちゃんに、いおりちゃんもエリートなんだなと尊敬できた。

15:アポロ◆A.:2016/03/10(木) 23:37 ID:eG2

菅原side


俺達が来てから3日経った。いろんな人とボーダー本部で出会い、高校の説明と住む場所から服まで。

俺が一人でもらった私服を着て、ボーダー内を歩いていると。



『……菊地原、だっけか?』
「……なんですか」



自販機の所で丁度ピッとボタンを押した菊地原と出会した。なんたるタイミングだ。
俺より2つ下、日向達と同い年の子が、俺達より遥かに強く、精鋭舞台に居ることに素直にすごいなと思いしばらく見つめる。



「……菅原さん、だっけ」
『? そうだべ、どうした?』
「じろじろ見るのやめてくれない?」
『ああ、ごめん。俺より二つ下なのにすごいなって』
「……」



俺が笑顔でそういうと、少しげんなりした顔でカシュッと気持ち良い音を立てながら缶を明ける菊地原。どうした? ともう一度聞こうとしたら、廊下の奥から「なんだと影山ぁ! もう一回言ってみろ!」「だから! お前はぎゃんぎゃんうるせぇんだよボケ! 日向ボケ!」と自分の後輩の言い合う声が聞こえてきた。
菊地原は耳をグッと押さえる。俺は「ごめんな」と一言謝る。



『こらぁ! 影山! 日向! 喧嘩するなよー、うるさいぞー』
「スガさん」
「スガさんっ!」
『ほらほら、お前ら静かに静かに』
「……うす」
「スガさぁ〜ん」


**
菊地原side


今しがた、菅原さんがうるさい単細胞バカな後輩をたしなめに、困ったように笑いながら駆け寄っていった。別に聞くつもりは無かったが、菅原さんの信頼の厚さを身に染みてしまった。
そして菅原さんがやって来た方から出てきたのは。



「……菅原、マジ母親みてぇ」
「そうだな。すげー包容力」
「そこはスガの良いところだろ」


影浦さんと荒船さんと村上さん。影浦さんがけらけら笑い、その横で怪しげに笑う荒船さん。そして苦笑いしながらたしなめる村上さん。



「……すご」



もうこの性格の難しい人(影浦)とかと仲良くなってるなんて。
そこだけは少し、ほんの少しだけ敬ってあげるよ。

16:アポロ◆A.:2016/03/11(金) 00:03 ID:eG2

研磨side


クロとボーダー内を歩いていると、クロに「ゲームしながら歩くなよケンメ」と言われた。



『俺、ケンメじゃない』
「研磨だし。ブッフォ!」
『チョット、リズミカルに言わないでよ。あと汚い』



二人で話ながら歩いてると、前から影山に顔が似てるマフラーした目付きの悪い奴と、カチューシャした奴が歩いて来た。咄嗟にクロの背中に身を隠し、影から顔を出す。



「ん? あ、特別入隊の! えーと? 確か、黒尾さん!」
「……」
「当たり〜。俺カチューシャ君とマフラー君の歳とか名前知んないけど」
『クロ、やめてよ。いきなり聞くとか』
「いーだろケンメェ」
『俺ケンメェじゃないし』
「研磨だし」
『……後で翔陽にバレーボール借りてこよ……』
「悪かったよ研磨! だからそんな睨むなって! ぶひゃひゃひゃ!」



クロの笑い方可笑しい。と指摘していたら、向こうのカチューシャが「ブッ」と吹き出して大笑いし出した。ビビった。



「黒尾さんサイコ……っ!
ああ、俺A級七位の三輪隊の米屋陽介高校二年!
で、こっちが我らが三輪隊の隊長、三輪秀次。俺と同級生だぜ!」
「よろしく米屋、三輪」
「……」



三輪がふいと顔を背けた。っていうか、目の下の隈がすごい。俺が徹夜してもなんなのならない……。



「で、そっちの孤爪は……」



米屋が俺を見たから、咄嗟にクロの背中から顔を引っ込めた。「あれ?」と米屋が首をかしげる。それを見かねたクロが溜め息を着いた。



「あー……研磨は極度の人見知りなんだ。まぁ気軽に研磨って呼んで仲良くしてやってくれよいでっ」
『余計な事しなくていい……』



俺がPSPを縦に持って勢い良くクロの頭を叩いた。それを見て米屋が笑う。びっくりするからいきなり笑うのやめて。



「研磨お前すっげぇ人見知りだな! 俺の後輩の小型犬とは全然ちげーわ!」
「小型犬!? なんだそりゃ!」



げらげら笑う米屋とクロを見ていられなくなってふいと視線を背けると、三輪と視線が合った。俺の肩が跳ね上がる。
身を隠そうにも、身長の高いクロは米屋とげらげら笑いながら俺の側には居ない。



『……なに』



とりあえず、目を逸らして声を掛けた。三輪は「ネイバーじゃなければ良い」と告げる。
おれは聞いてみた。



『……三輪は、ネイバーが嫌いなの?』



俺がこう言うと三輪は「嫌いだ。ネイバーは、全て敵だ」と返される。



『……なんで、そこまで嫌うの……?』
「……あいつらは……俺の、姉さんを」



そこまで言って、三輪はハッとした顔をする。その眼光にびっくりしてチラチラ会わせていた視線をバッと離す。



「……」
『……』



二人で無言が続くなか、米屋が後ろに居て、「しんきくせーな!」と平仮名表記、しかも大声で言うもんだから、咄嗟に三輪の背中に隠れた。

きょとんとする米屋とクロ。三輪も少しびっくりしたみたい。



「うっ……そだろ。研磨が会って数分の奴の背中に隠れるとか……研磨!? なんか悪いもんでも喰ったか!? ってあー……お前、会って数分どころか数十秒で友達になった奴いたな。悪い研磨」
『クロは俺をなんだと思ってるの』
「超人見知り超ゲーマー。今もゲーム機手離さねーし」
『……』



事実だからなにも言えない。


.

17:アポロ◆A.:2016/03/12(土) 00:31 ID:eG2

影山side


ボーダー本部通路にて、日向と俺は相変わらず言い合いをしながら歩いていた。目的は模擬戦だ。この世界に来て三日、なんとなく身に分からせるため、切られたときの感覚、攻撃の仕方等を先輩方に教わった。
 実を言うと、日向はトリオン量が多く、SE持ちだと言う。確か超技能の『脚力超強化』だったか。それならあの跳躍力にも納得がいく。
俺も平均より上らしいが、別にサイドエフェクトが羨ましい訳じゃない。
 聞いた話だが、ボーダーに入ると部活はできないとのこと。まぁ、向こうの時間は止まってるらしいし良しとしよう。



「影山に剣で斬りつけられたらまず目付きの悪さで俺はびびる」
『うるっせぇよ』



 そう二人で歩いていると、髪がもさっとした男前とメガネと白髪チビが前から歩いてきた。



「……ああ、特別入隊の」



そういったのはもさもさした男前、名前を烏丸京介と言うらしい、同級生。カラスか、なんて思ってると、「とりまる先輩、この身長の高い人達誰?」と白髪チビが烏丸さんに聞いた。日向とほぼ変わらない身長のメガネもこくりと頷く。



「ああそうか、遊真達一般の入隊日は今日だったし、修は四日前から非番だったから知らないんだな。コイツらは別世界から来て三日前に特別入隊したバレー部の高校一年、日向翔陽と影山飛雄だ」
「ふむ、そうなのか」
「あ、えと、はじめまして、玉狛支部の三雲修、中学三年のフリーB級隊員です」
「俺は空閑遊真、身長は小さいけど修と同じ歳だよ。よろしくね、日向先輩、影山先輩」



先輩と呼ばれて少しそわっとした。日向は「ちっせえええ! 俺よりちっせえ奴ここ来てから二人目!」と騒ぐ。



『おいボケ日向ボケ! 一人目は西谷さんとか言うんじゃないだろうな!』
「!? ちっ、ちげーし! ノヤっさんちげーし!」
『じゃー誰か言ってみろよボケ!』
「えー……っとえーと「呼んだか翔陽っ!!」
『「ぎゃあああああああ!」』



噂をすればなんとやら、曲がり角からにゅっと西谷さんが顔を出した。奥からは東峰さんが「西谷うるさいよー」と続く。それには鳥丸達もびっくりしたようで、肩を揺らした。



「! ハクハツ! すげぇ! なんだそこのチビ! 白い髪! 抜いたのか!?」
「こらこら西谷、つっかからないつっかからない」


来て早々空閑に目をつけた西谷さん。東峰さんに宥められるがスルー。空閑は「違うよ、昔は黒かったんだけど、気づいたら驚きの白さに」とおどけたように言う。
西谷さんと空閑が話を弾ませるなか、東峰さんが「影山助けて」と言うなか、三雲が「あの」と声を掛けてきた。



「皆さんは別世界から来たと聞きましたが、ネイバー……何ですか?」



三雲の発言に東峰さんが返す。



「え、ネイバーあの白いのだけじゃないの!? え!? 人とか居んの!? 回りに潜んでブスッと殺されたりしない!?」



相変わらず見た目はワイルドなのに中身がチキンな東峰さんが俺の背中に身を隠しながら勢いよく周囲を見回す。そんな東峰さんに西谷さんが吠えた。



「旭さん! 情けないっすよ! もっと堂々としてください! エースでしょ!」



エースどうこうは関係無いとは思うものの、放っておく。
とりあえず、鳥丸が空閑はネイバーだと教えてくれたが、危険はないと判断した。



「……なぁなぁ修!」
「!? 日向先輩、どうしたんですか?」
「俺に基本とか教えてくれよ! なんかお前の分かりやすそう!」
「いや、でも……烏丸先輩の方が教え方は上手いから……」
「から、す……ま? とりまる……?」
「とりまるでも烏丸でも呼びやすい方で良いぞ、日向」
「とりまる教えてぇぇえ!」
「俺はそんなに優しくないぞ」
「や、やってやるぞ! よし! とりまるゴウ、ゴウ!」



嵐のように日向は烏丸の服の袖を引っ張って訓練室の方へ行ってしまった。くそっ、出遅れた!

18:アポロ◆A.:2016/03/15(火) 21:48 ID:eG2

朱李side


あれから2週間、特別入隊した私達はC級からB級へと上がり、隊を作った。
烏野第一は澤村隊。隊服は烏野のユニホームカラーのジャージタイプ。
メンバーは大地さん、日向、影山。で、オペレーターが谷地ちゃん。
烏野第二は菅原隊。隊服は烏野の代表的な黒色と、純白を模したやつのジャージタイプ。
メンバー、スガさん、田中さん、西谷さん、オペレーター私。
烏野第三は東峰隊。隊服は大地さんの隊とはデザインが違うが、烏野のユニホームカラーのジャージタイプ。そして旭さん、山口、縁下さん、オペレーター潔子さん。

月島は……どこか、A級の隊に誘われた、どこだっけ……あ! 風間隊に誘われたんだ! ツッキースゴいよね、風間さん直々。

青葉城西は全員フリーだってさ。オペレーター居ないもんね。隊服は青城カラーのジャージタイプだったけどデザインは全員違ってた。
音駒は黒尾隊。隊服は音駒のユニホームの独特なピンクっ気の混ざった赤色のジャージタイプ。映える。っていうかオペレーターが夜久さんって事に驚いた。聞いた話じゃフリーでランク戦には戦闘員として出るけど、チームじゃオペレーターやるんだって。
梟谷は木兎隊。隊服は梟谷のジャージとそっくりかつ戦闘向きのジャージ。

そうしてそれぞれが道を歩み始めた。

私は今、谷っちゃんとボーダー本部を歩いていた。ゆったりとのんびりしながら「今、この世界は一月だからランク戦は無いんだって」「そうなんだ!」とかのんびり会話をしていた。
私の身長は156cm、谷っちゃんの身長は149cm辺り。7cm程差が有るから結構目線が下だが良い。

19:アポロ◆A.:2016/03/16(水) 17:08 ID:eG2


いおりside


ソロの朝の防衛任務、今日のネイバー出現地がこっちの家の付近だった。今日の戦闘で倒壊してしまうかもしれないが、致し方無い。親も兄弟姉妹も居ないこっちには関係無いことだ。

ざくざくと砂利の上をなんともないように歩いていく。
ついでに言うと夜久さん、と言う人物も共同らしい。歳はひとつ上だ。
隊ではオペレーター、ソロは攻撃手、と一風変わったスタイルだが、型にはまらないスタイルは結構好きだったりする。
身長はこちらより十数センチほど低いが。

集合地点に行くと、少しピンクっ気の混ざった独特の赤色、黒バスの赤司の髪の色の様な色の隊服を身に纏う夜久さん。
こっちの姿に気が付くと「小原さん」と朗らかに微笑んで手招きをした。一度ぺこ、と御辞儀をして瓦礫の上に座る。

ふと、夜久さんに声を掛ける。



『……夜久さん』
「なんだ?」
『こっち、さん付けとか要りませんよ』



こっちの発言に目を見開く夜久さん。だがふっと笑って「おう」と返す。



『……夜久さんは、ソロポジション攻撃手なんですよね……何使ってるんですか、武器』
「あー……なんだっけ、レイガスト? っての」
『……!? 夜久さんレイガスト!? レイガストむっちゃ重いっすよ!? 夜久さん小柄やからスコーピオンかとおもとった……』
「なんか、しっくり来るんだよな、レイガスト」
『嘘やろ……夜久さんちっさいのにレイガストとかバランス悪い……』
「ちっさい言うな」



そうこうしているうちにゲートが開く。出てきたトリオン兵はバムスターだ。それが二体。二人で一体ずつ相手すりゃ良いか。
日本刀型の弧月を鞘から抜き出し構えながら夜久さんに指示する。


『夜久さん、一体ずつ相手します、そっち頼みますわ〜』
「おう。小原、ちょっと聞くけど、トリオン体ならトリオン兵殴っても効くか?」
『……(レイジさんせやったし……)大丈夫や思います』
「おー」



二人してドッとそれぞれにめがけて駆け出した。

20:アポロ◆A.:2016/03/16(水) 19:29 ID:eG2



旋空弧月で瞬殺して夜久さんの方を見てみると、バムスターの攻撃をレイガストで受け長し、グラスホッパーで飛び上がった。そして目の様な弱点めがけてレイガストで斬るのかと思いきや綺麗な回し蹴りを炸裂させた。
ずずんと大きな音を立てて倒れるバムスターに、夜久さんはスタッと地面に降り立ちふっとしたり顔をした。



『!?』



流石にそれには目を見開く。あんな小柄な体のどこにそんな技術があるのか、謎である。
……っていうか蹴りの形、綺麗だな……。
呆けていると夜久さんが「回収班呼んだから本部戻るぞー」とひょこひょこやって来た。



『うぃーす』



トリオン体のまま瓦礫を蹴り飛ばした。


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