鋼の錬金術師【緋炎蒼氷の錬金術師】

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1:アポロ◆A.:2016/05/23(月) 21:34 ID:ZJ6



 これまたどうもアポロです。決まり言葉になって参りましたが他の小説もきちんと更新いたしますので悪しからず。

ルール

 一番大事です。【ここは私一人が執筆する場所なので、リレー小説、ましてや自由に小説を書く場ではありません】コメントはオーケー。
 荒らしや中傷、晒し、パクリは厳禁です。


 今回は結構古い作品、あの荒川弘先生の鋼の錬金術師と言うことで、もう好き勝手やります。ホントやります。

 主人公はホント相変わらず巨乳イケメン少女。今回は軍に所属し、日本人です。名前は小原いおり。いつも通りですね。
 このお話は原作のホンの少し前から開始されます。

 設定です。

名前:小原 いおり(中佐、マスタング隊所属)
 黒ぶち眼鏡を掛けたイケメン。髪型は肩までの毛先が外に跳ねた黒髪。それに加えて常に赤と白のアイマスクを着用するかそれを頭に掛けるかしている。常に寝るか気が向いたら仕事をする。無口で無表情。喋り方は江戸っ子。
 国家錬金術師で、二つ名は『緋炎蒼氷の錬金術師』。その名の通り、緋い炎と蒼い氷を操る。炎はロイ・マスタングと同じ発火布の手袋、氷は腰もとに下がっている刀(この刀で空気中の水分を掠め錬金術を行う)。なお、この刀でも空気摩擦を起こして炎の方の錬金術も使える。
 炎氷と限らず基本何でもできる天才。
 錬金術が出来るようになったのは7の時、資格を取ったのは13の時。エドワードがとる前までは最年少だった。


イラストは今後のせます!


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2:アポロ◆A.:2016/05/29(日) 22:56 ID:ZJ6





イーストシティにて。大佐、ロイ・マスタングの執務室。
 そこに備え付けられているソファに一人の女が横になり、長身のせいか肘起きに頭を乗せていても足が反対の肘起きに掛けていて、アイマスクをつけて、代わりに眼鏡を上に掛けている。そのまま彼女はぐうぐうと寝息をたてながら寝ていた。傍らには日本刀らしきものが立て掛けてある。服装を見る限り、日本人だがこの国の軍人らしい。

 この部屋の主、ロイ・マスタングはそんな彼女を咎めるでもなく椅子に座って書類仕事をこなしている。時にちらちらと彼女を気にしているのは気のせいだろうか。

 そんなとき、割りと大きな扉が開いて金髪の一人の女が入ってきた。そしてアイマスクの女が寝ているのに気が付いて溜め息を吐く。中尉のリザ・ホークアイである。



「中佐はまたここで寝ていたんですね。マスタング大佐」
「ああ、ここのソファは寝心地が良いらしい」
「どこでも寝れている様な気がしますが……」



 ホークアイがそういうのも無理はない。以前仕事中に立ったまま寝ていたような人だ。ご丁寧にアイマスクをつけて。これで戦闘になると無双で敵無しとは世界はどうなっているのだろうか。
 仕事をさせようにも寝ている彼女を無理に起こすと国一個破壊しかねない。触らぬ神に祟りなしだ。

 不意に彼女が「ぐ……」と唸り声をあげて、錬成陣の書いてある手袋でアイマスクを外し、眼鏡を掛けた。どうやら目覚めたらしい。
 彼女は小原いおり、29歳と言う歳で中佐の位についているエリートである。彼女は身を起こし、「……ああ、ここロイん所か」と辺りを見渡してそう言った。
 大佐を呼び捨てにしたことにロイが「マスタング大佐だぞ」と付け加えるが『おいおい、同年代にそりゃ今更でぇ。いつからの付き合いだよ、ちいせえ事は気にしなさんな』とあくびをし、その短い髪の毛を雑に掻きながらロイを見た。
 そしてその傍らにリザの姿を見つけ、『おはよう中尉』と手をひらひらと振った。



「おはようございます中佐……と言ってももう昼前ですが」



 小原になついているリザは苦笑いしながらそう告げた。小原は腕時計を確認して『あ、』と短く声をあげる。



『仮眠のつもりだったんだがな』
「仮眠? いおり、昨日の夜何か仕事が入っていたのか?」
『あまり働かねえお前さんの仕事の残りさ』
「……大佐? どういうことですか?」
「待て中尉、誤解だ」
『何が誤解なんでえ。いっつもじゃねえかい。次はハボックに回してくんな』
「……私の未来の嫁が、私からの仕事を断っただと……」
『誰が未来の嫁でえ』



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3:アポロ◆A.:2016/05/30(月) 22:15 ID:ZJ6

いおりさんのイラストです。

http://ha10.net/up/data/img/10967.jpg


間違ってたらすいません

4:アポロ◆A.:2016/05/30(月) 22:33 ID:ZJ6

ホークアイside

 今日も今日とて小原中佐はマスタング大佐の執務室でぐうぐうと寝息をたてて寝ていた。現在午前3時である。
 私は家へと一旦帰った大佐に目を通して貰わねばならない書類を机に置きに来たためやって来たのだが、やはりソファで寝ていた。
 イシュヴァール殲滅戦にも参戦した彼女は緋炎蒼氷の錬金術師、もとい最近は『緋炎の錬金術師』と呼ばれ始めているものとは別に、大佐の様に二つ名がある。
 大佐を『イシュヴァールの英雄』と呼ぼうなら彼女はその相棒で『イシュヴァールの剣聖』と呼ばれている。

 元々彼女は日本軍から特命でこの地へと異動となった。元々錬金術の資格はこの地で取ったのも有るだろうし、大佐とは幼い頃からの付き合い、さらには錬金術の師匠が私の父親ということもある。

 だがしかし、彼女は如何せんどこでも寝るのである。会議中椅子に座って、なんて珍しいことじゃないし、休憩時間が有れば読書か剣の素振り、睡眠である。一日16時間は寝ているような奴だ。猫ですか。

 なんて溜め息を吐いて、毛布を掛ける。

 そこで中佐が唸り、アイマスクをあげて「中尉か……」と鋭い瞳で私を視界にとらえたあと、机の上に散らばる大量の書類をあくびをしながら指差す。



『あれ、俺の一週間分の仕事な、終わったから』



 やはりこの人は寝るがとても優秀だ。たとえこれが一週間楽に寝るためだとしても、今日出された仕事をもうこなし終えた。この人は大佐と違い、仕事に遅れは出さない。



『じゃ、寝る』



 中佐は言うことを言って再び眠りについた。やはりこの人は自由な人だ。



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5:アポロ◆A.:2016/06/23(木) 22:06



「乗っ取られたのはニューオープティン発〇四八四〇便、東部過激派「青の団」による犯行です」



 執務室の前で黙々と書かれた文章を読むホークアイ中尉にマスタング大佐は「声明は?」と問うが、「気合い入ったのが来てますよ、読みますか?」とホークアイに返される。マスタングは「いや、いい」と首を横に振り、続ける。



「どうせ我々の悪口に決まっている」
「ごもっとも」



 それと同時に部屋のドアを開けて二人して険しい顔で入ってきた。第二補佐のホークアイも僅かに呆れたような表情だ。



「要求は現在収監中の彼らの指導者を解放すること」
「ありきたりだな。__で、本当に将軍閣下は乗ってるのか?」



 マスタングはホークアイからの要求を聞いたあと、ファルマン准尉に確認を取る。どうやら本当の様だ。



「困ったな、夕方からいおりとのデートの予定があったのに」



 マスタングは髪を掻きながら呆れ、ちらりと今現在ソファで無防備に寝ている小原中佐に目線をやった。ホークアイはどうせそんな約束を取り付けていないだろうにと心の中で思う。懸命な判断だった。イーストシティ指令部が忙しいと言うのに、いおりはぐうすかとご丁寧にアイマスクまでつけて熟睡している。ハボックは一日に16時間は寝ているんじゃね? 的な事を考えるが、事実だと怖いのでその考えを思考の隅に寄せておいた。「たまには俺達と残業デートしましょうや、不味い茶で」ハボックの同僚がそう言うが、聞く耳を持たないマスタング。



「ここはひとつ将軍閣下には尊い犠牲になって頂いてさっさと事件を片付ける方向で……」
「馬鹿言わないでくださいよ大佐、乗客名簿あがりました」



 フェリー曹長に諭され乗客名簿を覗くハボックとマスタング。そしてマスタングは見つけた。



「みんな、今日は早く帰れそうだ。鋼の錬金術師が乗っている」



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6:もも:2016/07/13(水) 18:22

面白いです(⌒∇⌒)

7:アポロ◆A.:2016/07/24(日) 22:20

ちょっとお話を変えます。主人公の設定は同じですがトリップします。なのでもう一度プロフィール。
 イラストも後で乗せます。

 小原 いおり:29(ロイ落ち主)

 仕事帰り、友人を後ろに乗せバイクを飛ばしていたら真っ白い空間に居り真理に睡眠(眠気に襲われ寝ているあいだ眠気は無いが起きれば徐々に眠気が襲ってくるみたいな)を奪われ、いつの間にかハガレン世界にトリップしていた。武術をたしなんでおり、っょぃ。両手錬成が出来るが炎を好んでぶっぱなつ。身長は大佐とほぼほぼ同じ。
 無能が嫌いなので大佐を毛嫌いするがのちのちほだされると良いな。バイクも一緒に来てるらしい。口調荒い。眼鏡。

 白宮 茜:29

 基本落ちは無し。誰とでも仲良くなるのでそういう対象に見られない。髪が長くポニーテール。バンダナ付き。
 ハガレン世界にトリップしていた経緯はいおりと一緒。両手錬成が出来るが氷を好んでぶっぱなつ。料理の腕は超一流。



尚、どちらもオタク。



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8:アポロ◆A.:2016/08/24(水) 10:24 ID:kGA

続きを書くので前レスの設定は次に持ち越しです。



**



「『や、鋼の』」



 東部の駅にていおりとマスタングの言葉が被る。どうやら列車の件は二人が挨拶した少年、国家錬金術師で『鋼の錬金術師』の二つ名を持つエドワード・エルリックが解決したようだ。
 彼は二人を目にすると明らかに顔をしかめて見せる。大きな鎧の体を持つエドワードの弟のアルフォンスは「あれ、大佐と中佐、こんにちは」と礼儀正しく社交辞令を返答した。



「なんだねその嫌そうな顔は」
『来いエドワード、肩車してやらぁ』
「くあああああ、結構です中佐! 大佐の管轄ならほっときゃよかった」



 遠くでリザ・ホークアイとアルフォンスがのんびりと挨拶をしているなか、マスタングは「まだ元に戻れてないのかね」とエドワードに聞く。恐らくそれは彼の右腕と左足を指すのだろう。彼の右腕と左足は機械鎧(オートメイル)と言う義手であり、それは真理を見た見返りとして奪われたものだった。
 そんな話をしているうちに捕まえた今回のテロ騒動のリーダーが仕込みナイフで憲兵を倒して立ち上がっていた。
 それに対し銃を構えて「大佐、中佐お下がりくだ……」と言葉を発するが二人揃って「これでいい」と手袋を填めた手を構える。
 雄叫びをあげながら襲ってくるリーダーに二人は指に力を入れてパキンと指を鳴らす、そのとたん空気中の塵を伝って男へと爆撃を食らわせた。



『これでも手加減したんでぇな』
「まだ逆らうと言うのなら中佐と共に次はケシ炭にするが?」



 男は地に伏せながら「ど畜生め、てめえら何者だ!」嘆く。マスタングはいおりと目を合わせ、威圧感たっぷりに告げた。



「私はロイ・マスタング、地位は大佐だ」
『俺ぁ小原いおり、地位は中佐でぇ』
「そしてもうひとつ。私は『焔の錬金術師』、彼女が『緋炎の錬金術師』だ。おぼえておきたまえ」
『正確にゃ『緋炎蒼氷の錬金術師』な』



 どかりとマスタングの背を蹴り飛ばしながら眼鏡の奥の切れ長且つ鋭い瞳で彼女は男を射抜く様な視線で一瞥した。



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9:アポロ◆A.:2016/08/24(水) 10:54 ID:kGA




 そのあとすぐに家へと帰宅したいおりはそのまま靴を脱いだところでばたりと倒れた。気絶でもしたのかと思えばぐうすかと寝ている。この家は実はリザ・ホークアイとシェアしているので別に心配は要らないのだが。

 その数時間後リザが帰宅、目の前で荷物も軍服もそのままに寝転けているいおりを発見、
 ずるずると足を引っ張ってリビングまで連れていき、叩き起こす。ここではプライベートなのでリザの敬語は外れる。



「ほら! いおり! 起きて!」
『ああ? あー、リザ……』



 俺また寝落ちしてたのかとアイマスクをつけたままのいおりは髪をがしがしと掻いて手袋を外す。



「ホント不思議ね、いおりは」
『ほっとけ……』



 晩飯たのむわーと自室へ籠るいおりをリザは見送りながら、彼女の右足を心配していた。
 何を言おう彼女の右足は機械鎧なのだ。小さい頃に事故で膝から下を無くしたと言っていた。彼女はそんな風には見えないぐらいスムーズに動いているので彼女の右足が機械鎧だと知らないマスタングも長年共に居ながら気が付かない。それもそうだ、いおりの私服は上着にカッターシャツ、短パンにニーハイソックス、膝上ブーツなのだから。大佐が気の毒だわ、と考えながらリザは台所へと向かった。



**



 部屋にて、いおりは奪われた『眠気を感じない精神』と『右足』の事を考えながら、机をガサガサと何かを探すように漁っていた。机の上はネジや買いだめしている機械鎧の部品。彼女は自分で機械鎧を整備しているのだ。
 そして、次の事を考える。



『……次はタッカーのニーナとアレキサンダー合成のキメラか、その次はなんだったか……確か傷の男(スカー)か……あんま覚えてねえな』



 彼女はこれから起こるであろう先の事をつらつらと述べ始める。一見するとただの頭のおかしな人だが、彼女の場合は違う。
 彼女は実はトリップしてきた人間だ、それも転生。前世の記憶を持ちながらこの世界に生まれてきたのだ。前世の彼女は鋼の錬金術師が好きだった。実際にこの世界に来たときは絶望していたが、とりあえず国家錬金術師になりたかったので適当にその類いの資料を読んで、国家資格を取り、リザの父親にマスタングと共に炎の錬金術の教えを請い、軍に入った。
 彼女が最初に覚えたのは炎の錬金術だった。彼女は所謂天才と言う類いの人間で、適当にやってみたらできたと言うのだ。次に氷の錬金術を覚え、国家資格を取ったのだ。ただ、炎の錬金術はあまりにも御粗末だったのでリザの父親に教えてもらっただけのこと。



『てぇか俺、すげえバカなことしたなぁ』



 彼女の言うバカなこととは、人体錬成である。国家資格をとったのち、優しかった父と母が事故で無くなったのだ。原作を読んで、人体錬成をしたものの末路を知っていたいおりはそれでもいいと人体錬成をしてしまったのである。彼女に取って身近な人が死んだのははじめてだったからだ。
 それの代償として、好きだった寝ることと右足を失った、正確には『眠気を感じない精神』と『右膝から下』だが。
 もちろん両手錬成も出来るが、あれをいおりはあまり好まない。



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10:アポロ◆A.:2016/08/24(水) 18:50 ID:kGA


 しとしとと雨が降る暗い昼間、とある一室で軍服の男女が慌ただしく動いていた。




「おいおいマスタング大佐さんよ。俺ぁ生きてるタッカー氏を引き取りに来たんだが……死体、連れて帰って裁判にかけろってのか?」



 そういったのは中央、セントラルから来たヒューズ中佐。彼の目の前にはビニールに包まれたぐちゃぐちゃ死体のタッカーを親指で指差す。



「こっちの落ち度は分かってるよヒューズ中佐」



 マスタングは額を右手で押さえ苛立ったように目を閉じた。隣で第一補佐であるいおりがビニールを控えめに捲り、「はーん、なかなかえげついじゃねぇか」とじとりとしたいつもの切れ長の目で眼鏡越しに死体をまじまじと見つめている。
 そんな彼女を彼らは止めるでもなく、ヒューズはいおりに聞いた。



「外の憲兵も同じ死に方を?」
『あぁそうでぇ、まるで内側から破壊されたようにバラバラだぜ』



 ふむ、と一通り見終わったのかいおりは立ち上がり、マスタングの隣に戻る。ヒューズはそれを聞き、傍らにいたアームストロング少佐に問い掛けた。



「どうだアームストロング少佐」
「ええ、間違いありませんな。奴です」



 ヒューズ達からスカーが居ることとスカーは国家錬金術師を狙って殺していること、5日前に軍隊格闘の達人『鉄血の錬金術師』、グラン准将もやられてしまったことを聞き、ここで残る有名な国家錬金術師と言えば殺された『タッカー』、いおり、そしてマスタングだけだろと言われ、二人はハッとする。



『まじぃな……』
「ああ、エルリック兄弟がまだ宿に居るか確認しろ、至急だ!」



 いおりとマスタングが顔を見合わせ、憲兵にそう言うが通り掛かったリザにより、エルリック兄弟が大通りの方へ歩いていったのを見たと証言され、いおりは人相悪くチッと威圧感のある舌打ちを一回、そのあとマスタングの「車を出せ! 手の空いている奴は全員大通り方面だ」と言う言葉を聞き、バイクに乗ろうとポケットから鍵を手にするのだが、マスタングが「いおりは私と来い」と言ったので諦めておとなしく着いていくことになった。


 いおり達が現場につくと、半壊のアルフォンス、右腕の機械鎧を破壊されてしまっているエドワード、その目の前に立つスカーが居た。アルフォンスがやめろおおお、と絶叫するのと同時にマスタングが空に向かって銃を発砲する。



「そこまでだ」



 マスタングが自分に注目が集まったことにより言葉を発した。マスタングがスカーにタッカー殺人もスカーかと聞けばスカーは何やら云々と喋りだした。



「錬金術師とは、元来あるべき姿のものを異形のものへと変成する者……それすなわち万物の創造主たる神への冒涜、我は神の代行者として裁きを下す者なり!」
『それがわからん』
「世の中に錬金術師は数多いるが国家資格を持ったものばかり狙うとはどういうことだ?」
「……どうあっても邪魔をすると言うのならば貴様ら二人も排除するのみだ」



 それを聞き、いおりとマスタングの表情が変わる。場違いな事を考えるようで悪いのだが、リザは思う。こういうときの二人の思考回路はびっくりするほど同じだと。二人して面白いとマスタングは銃をリザに投げ渡し、いおりは左側の腰に掛かる刀に手を掛ける。その際リザが二人の名前を呼んでしまったため、二人が国家錬金術師だとバレてしまった。



「マスタング、小原……国家錬金術師の?」
「いかにも! 『焔の錬金術師』ロイ・マスタングだ!」
『あー……なげーから良いや、『緋炎の錬金術師』小原いおりでえ』



 二人の言葉に今日はなんと佳き日よ! と叫んだスカーが両手を構えて猛る。それに対しマスタングは「私を焔の錬金術師と知ってなお戦いを挑むか!」と怒鳴り、指を鳴らす合図をこちらも構えた。



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11:ぜんざい◆A.:2016/09/07(水) 20:32 ID:MfI


 改名しました。


**


 その瞬間いおりとホークアイが有ることに気付き目配せし合いながらホークアイがマスタングに蹴りをかまし、マスタングの態勢を崩させてスカーの攻撃をかわさせた。次の瞬間いおりが目にも止まらぬ、それこそ本当に抜いたのか疑いたくなるほどの速さで刀を抜き、その刀を振った数と同じだけの鋭利な氷をバキンバキンバキンと空から降らせた。
 マスタングは尻餅をつきながらホークアイに声を発す。



「なっ、何をするんだね君は!」
「雨の日は無能なんですから下がっててください大佐!」



 ホークアイの容赦無い『無能』と言う言葉に、そのあとのハボックの「あ、そうか。こんなに湿ってちゃ火花出せないよな」と言う納得した様子にショックを隠しきれないようで地に四つん這いになって無能……? と繰り返す。いおりはそんなマスタングには興味が無いのかアイマスクをホークアイに渡し、こう告げる。



『俺ぁ氷も炎もどっちも使えっから、晴れの日でも雨の日でも有能でえ』



 最後のとどめと言うようにいおりはマスタングを鼻で笑った。蔑笑である。

 その後スカーはまたもなにやら吠えるが後ろから来た『豪腕の錬金術師』、アームストロング少佐により攻撃を受け、そこから二人が戦闘を始める。

 そしてスカーの瞳を隠していたサングラスがカランと地に落ちる。見えた瞳は復讐に燃えるような揺らめく赤色だった。



『……イシュヴァールの生き残りなぁ』



 周囲が驚きに満ちる中、いおりだけが不服そうに顔を歪ませ、剥き出しだった刀身を静かに鞘に戻し、チンとだけいおりの耳に届いた。


 いおりは殺戮が嫌いなわけではなかった。かといって嫌いでもない。どうでもよかった。そう、どうでもよかったのだ。
 真理に眠気に満足する精神を奪われてからいおりはドライになってしまったらしい。前世は警官__警部をやっていた自分が殺戮、いや、殲滅戦と言う体の殺戮に参加することになろうとは。ミイラ取りがミイラに、……ん、これは違うな……本末転倒だ、これがぴったりだ。

 いおりは世界に飽きて厭きて呆きてしまったように……悲哀的で非愛的で被害的で悲害的な目で、悲しいものを哀しいものを可笑しいものを怪しいものを妖しいものを見るような雰囲気で、目の前の紙面上で幾度となく見てきた光景を卑しく賎しく均しく等しく愛しく狂わしく眺めていた。



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12:ぜんざい◆A.:2016/10/19(水) 19:00 ID:jl2


 スカーは地面を崩壊させ、あっけらかんと逃げられてしまった。やれやれ、と溜め息を着けばエドワードがぼろぼろのアルフォンスに駆け寄っていた。
 その二人はいきなり兄弟喧嘩をし始めたが、仲良きことは美しきかな、良しとしよう。


**

 ロイ達がエドワードにイシュヴァール殲滅戦について教えているときに、俺はというとそりゃあもう見ればムカつくほどに爆睡していた。ぐぅぐぅと眠る俺をロイは呆れたように一瞥し、「とにかく」と話を続けた。



「なりふり構ってられないのはこっちも同じだ。我々もまだ死ぬわけにはいかないからな。次に会ったときは問答無用で……」
『潰せェ』
「……お前な、……」



 セリフをとるなと言わんばかりのロイを無視し、無言でエドワードの頭をぐしゃぐしゃと撫で回す。「え、なに?」と唖然とするエドワードに「命があって良かったんでェ」と告げ、部屋を出る。
 暫しキツい言い方をしてしまったが、嫌われていないだろうか。嫌われてたらそれはそれで動きやすいのだが。


 ほぼいつも人通りがない通路の壁に背を預け、膝を押さえながらずるずると座り込む。先程まで雨が降っていたからか、機械鎧の付け根が軋んでいたい。



『……いてえなあ』



 こんな一言は誰も聞いていない、筈だ。



**

 一方同時刻、執務室では辛気臭い話が終わり、エドワードが整備士のところにいくといったのち、みんなが各々いおりにたいして言葉を吐く。



「なんなんすかねえ、小原中佐」
「僕もちょっと言い方がきつかったと思いますが……」
「ハボック少尉、フュリー曹長、いおりは多分そんなつもりで言ったのでは無いよ」
「……俺も、そう思う」



 ロイの次にエドワードがぽつりと呟いた。確かに、キツかった気がするがたいして気にするほどのことでもなかった。
 これまた各々が反応するのを見届け、ロイは不安げに顔を歪めるリザに気がつき声を掛ける。



「どうした、中尉」
「いえ……今日は雨が降っていたので中佐が心配なだけです」
「……はて、いおりは雨が嫌いだったか?」
「そうですね」



 リザの曖昧な言葉にロイは首をかしげるが、気にすることでもないと思考の隅にそれをおいやった。



.

13:ぜんざい◆A.:2016/10/21(金) 20:02 ID:jl2



「俺ぁ仕事が山積みだからすぐ中央に帰らなきゃならん」
「私がここを離れる訳には行かないだろう」
『ロイの面倒だけでも眠てぇのにガキのお守りなんざ俺にゃ肩の荷が重いんでェ、それに諸事情で遠くにゃ行けねえ』
「大佐のお守りが大変なのよ、すぐサボるし」
「あんなヤバイのから守りきる自信無いし」
「以下同文」



 上記の会話はエドワードを無事リゼンブールにいる整備士に届けるための人員の断りである。遠にアームストロング少佐とエドワードが旅立っていた。


**


「マスタング大佐」
「や、これはハクロ将軍」



 指令部内を歩いていると、偶然会ったハクロ将軍にロイが声を掛けられた。コイツは妙に気に入らないのである。キッ、と敵意を無表情のまま剥き出しにしながら、かちゃり、と愛刀に手を掛けた。この刀はあれだ、伊達政宗の使用していたものらしい。確か変な名前だった筈だ、なんだったかな……そうだ、燭台切光忠だ。
 俺の目付きに僅かに怯んだハクロ将軍だが、話を続ける。



「たった一人の人間にここまで掻き回されしかもかなりの人数を動員しているにも関わらず未だ捕まらないとはどういうことだね」
「はっ、引き続き全力で捜査しますので今しばらく時間をいただければと……」
「口先だけではなく成果で示してほしいものだな、このままでは東部全域に警戒を出すハメになるぞ」



 嫌味を言うだけ言って去っていったハクロ将軍の背中に中指を突き立ててがっ、チンっ、がっ、チンっ、と刀を出し入れする。後ろのハボックに引かれたって構わない、イラつく! あいつマジイラつく!



「珍しくニューオプティンの支部から出てきたと思ったら愚痴いいに来ただけっすかあのおっさん。中佐、刀がちゃがちゃするのやめてください」
『るせぇ。ロイみてえな奴が大佐の地位に居る事が気にくわねえのさ、ついでに俺もな。いつ自分の地位に取って代わられるかと恐々としているだけでェ、放っとけや』
「しかしスカーの件を早急に片付けたいのは私も同じだ。将来への不安の芽はさっさと摘んでしまうに限るからな。逆に中央でももてあましていた事件をここで片付ければ私の株も上がると言うものだ」



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14:ミナ:2016/12/04(日) 14:22 ID:N8k

私も鋼の錬金術師好きです。
小説面白いです!頑張ってください!
続きを楽しみにしています。


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