二次創作置き場

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1:ヱノ◆xg:2016/07/03(日) 10:41

私以外レス禁

2:ヱノ◆xg 獣の奏者:2016/07/03(日) 10:42



やや切れ味の悪そうな包丁の音が遠くの家々から響く。
(名前)は軽い欠伸をし、寝台から身を起こした。
昨日の夜にした書き物で軋む肩や首、腕を回しながらも麝香のような甘い匂いを纏う服に袖を通した。
ふと日が何時もよりも高く登っていることにふと気がつき、急がなければ大変な事になる。と思い朝食を食べる事なく身支度を始めた。
大公領では米が主食だが、真王領に生まれ育った(名前)にはまだ慣れない。
大分形が不揃いで所々焦げ付いているファコを日々焼き食べている。
焦りながら靴を履き、闘蛇が住まう岩房へ向かう。
息を乱しながら走っている途中、音無し笛が無い事に気がつき、急いで家に戻った。

獣ノ医術師。それが(名前)の職業。
獣の穢れに触れ、いつ闘蛇や王獣に喰われるかもわからない。
幼い頃は、近所の職人階級の子らと飯事などで遊び、獣に興味を示した事も無かった。
__きっかけは、闘蛇。光をはじいて七色に光る鱗や、麝香のような甘い匂いに惹かれたのだろう。 
獣ノ医術師になることが、こんなにも(名前)の人生を変えたのだろうか。
いつか、どこかで何かを間違えてしまったのだろうか。
それはまだ、誰にも分からないことであった。

3:ヱノ◆xg 奏者:2016/07/03(日) 18:18



___王獣を嫌い、闘蛇を愛した少女。 

やがてその少女は闘蛇に惹かれ、獣ノ医術師になった。 

その少女が歩む道、歩みたかった道。

それはきっと____








 

4:ヱノ◆xg:2016/07/03(日) 18:36


僅かに薄暗く、湿り気を帯びた岩屋に入った。
広間ですれちがった年長の闘蛇衆に声をかけられ、目線だけそちらに向け、嗄れた言葉の続きを待つ。
「お前さんの担当は今日から牙だ。あの小娘が遂に此処まで来るとは……、まぁ、精々頑張ることだな」
深くお辞儀をしたあと(名前)はふわふわと宙に浮くような喜びを感じた。
最初は闘蛇にも触れさせてもらえなかった、特滋水の配合すらわからない小娘だった。
そんな(名前)が牙のでお世話を任される。こんな嬉しさは獣ノ医術師になった時以来だった。
__嬉々として牙の岩房を通りイケに向かう。イケを少し除きこむと、独特の匂いを帯びた闘蛇がゆらり、と水の中で黒い影に変わってゆく。
音無し笛を吹き、餌である魚をイケに投げ込む。冷たい水が飛沫を上げ、(名前)の頬に当たる。
如何なるときも危険を少なく、安全に_____王獣捕獲者だった父が何度も私に言い聞かせた言葉だった。
そんな父が危険を侵すほど美しかった王獣が、憎くて堪らない。


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