イナズマイレブン〜最強少女は感情がない〜

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1:ルナ◆Oo:2016/08/06(土) 15:24

月矢 輝夜(つきや かぐや)

エイリア学園ファイナルランク『ムーンメテオ』のキャプテン。
幼い頃に親を目の前で皆殺しにされ、そのショックで全ての感情を忘れた。
皆からは輝夜姫と呼ばれている。
性格は優しくバーンとガゼルの喧嘩でも微笑ましく見てるぐらい。

容姿
黒髪でお尻が隠れるほどのロングヘア。
雪みたいに肌が白く、目はパッチリで黒。
服は中学校で着ていた制服←ジャージ代わり

一人称
「わたくし」
二人称
「〜君、〜さん」

2:ルナ◆Oo:2016/08/06(土) 15:58

第1話
〜吉良の部屋〜

「そうですか、それで輝夜の様子はどうですか?グラン」

「輝夜姫様なら、今プロミネンスの練習を見ています」

グランはそう言うと、吉良はそうですかと言いグランを見た。

「そろそろ輝夜にも本格的に動いて貰いましょうかね」

〜輝夜の部屋〜

「輝夜姫、失礼します」

グランはそう言い、輝夜の部屋に入って行った。
輝夜は瞳の輝きを失った目で、入って来たグランを見て、ニコリと儚い笑みを浮かべた。

「どうかした?グラン君」

「いえ、そろそろチームを動かした方が良いと、父さんが」

「・・・父上が?そうね、じゃあ他の子達も呼んできて。」

輝夜はそう言って、メンバー表を書いた紙をグランに手渡した。
グランはその紙を素直に受け取り、部屋を後にした。
輝夜はグランの後姿を見て、また窓に目を向けた。

「嬉しいって・・・何?」

そう呟いたが、その呟きは闇夜に吸い込まれていった。
そして、数十分後グランは他の子を引き連れて輝夜の部屋に行ったが、一緒に居た者達も同様に目を見開いた。

「輝夜姫が居ないぞ!」

「この部屋から出てない筈だぞ!」

〜雷門キャラバン(in北海道)〜

「おい、円堂。人が立ってるぞ」

風丸はふと窓に向けた時、人が立っているのを目にした。
円堂は風丸に言われ、窓に目を向けると、そこには確かに吹雪の中、少女が一人立っていたのだ。
それには運転をしていた古株も気が付いたのかキャラバンは、その少女の前で止まった。
円堂は席から立ち上がり、少女の所に行った。

「おい、大丈夫か?」

「?」

「あぁ、まず名前からだったな!俺は円堂守、君は?」

「・・・輝夜。月矢輝夜」

輝夜はそう言って、儚げにまた笑った。
円堂は寒くないのか?と聞くが、輝夜は寒いとは何だ?と不思議そうな顔をして聞いた。

「え?えっと〜〜〜「輝夜姫!」え?」

「あ、ウルビダさん。」

「輝夜姫!どうしたんですか?!急に外に出るなんて」

「え?ここ・・・外?」

ウルビダは輝夜に自分が来ていたジャージを羽織らせると、円堂を一睨みした。
輝夜は円堂をチラッと見て、ウルビダに手を引かれエイリア学園に帰って行った。

〜エイリア学園〜

「輝夜姫!何処に居たのですか?俺達心配してたんですよ!」

バーンは帰ってきた輝夜を見て、安堵の溜息が出た。
輝夜は不思議そうな顔をしながら、ごめんねと言った。

「輝夜姫、外には出てはならないと父さんからあれ程言われた筈ですが・・・」

「ガゼル君、ごめんね。外に出て見たくて・・・。ねえ、ヒート君」

「は・・・はい!」

「円堂守君って・・・誰?」

続く

3:ルナ◆Oo:2016/08/06(土) 16:24

第2話

「輝夜姫・・・まさかお名前教えてしまったんですか!?」

ヒートは慌てた様子で言うと、輝夜はコクッと小さく頷いた。
その頷きにその場にいた者達は、大きな叫び声をあげ、ジェミニストームを呼んだ。
ジェミニストームは、上司の呼出の為、すぐに来ると自分達の上司の慌てようと輝夜を見て自分達が呼び出された理由が瞬時に分かった。

「グラン様、どうかなさいましたか?」

「うん、それがね。俺達のミスで、輝夜姫様が雷門に名前を教えちゃったんだ」

「大変じゃないですか!」

「そうなんだよ、だから雷門を早く潰してきてくれないかな?」

「了解しました」

「レーゼ君、これ」

輝夜はポケットから飴玉を一つ取り出して、ジェミニストーム一人一人に渡して行った。
その言動にレーゼは目を丸くして、輝夜と自分が持っている飴玉と交互に見た。

「え?!え!?」

「いつも頑張ってるから・・・疲れ?はよくないから」

「あ・・・ありがとうございます!!」

レーゼは頭を下げると、チームを引き連れて廊下の先に消えて行った。

「輝夜姫・・・チームの事ですが」

「あぁ、そうだったね。FWは3トップでグラン君とガゼル君とバーン君でいいよ。」

「「「俺/私がですか!?」」」

「MFは、わたくしにウルビダさんにヒート君にドロル君で。DFは、ボンバ君にゴッカ君にクィールさんにウィーズ君。GKはネロ君でお願いね」

「「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」」

〜輝夜の部屋を後にした子達〜

「にしても、輝夜姫って本当に感情がねぇのかよ?グラン」

バーンは輝夜に貰った飴玉を口に運びながらグランを見た。

「確かによく笑顔でいるけど・・・父さんの話じゃ感情はないらしいよ」

「輝夜姫か・・・まるで話に出て来るかぐや姫だな」

「そうですよね、でも、まあ容姿とか見たら本物のかぐや姫ですけどね」

ガゼルの問いにドロルは苦笑いを浮かべながらそう言った。

「輝夜姫って言い方、確か輝夜姫がお日さま園に入って来た時から言ってるよな」

「うん、輝夜姫を預かりに来た人が言ったのを俺達が真似したんじゃない?輝夜姫もあんまりそう言う呼び方
嫌がってるようにも見えるし」

グランはそう言って、先程来た道をチラッと見た。

「でも、いきなり外に出ていたとは思わなかった」

「それも名前も教えてるからな。輝夜姫なんて雷門の連中の前で言ったら、即ばれるぜ?」

「そうだな、今後は目を光らせて見ておかなくては」

「ウルビダって、輝夜姫が好きだね〜本当」

グランはそう言って、自分の部屋に戻って行った。

続く

4:ルナ◆Oo:2016/08/06(土) 19:14

第3話

「あれ?あれって、輝夜姫様じゃない!!」

レアンの声に話していたプロミネンスの子達は驚いた様に目を見開いた。
輝夜は自分の名前を呼ばれ、虚ろとした目をレアンに向けていた。

「え!?何で、輝夜姫様が!!いつもなら部屋に出てないのに!!」

「レアン・・・すっごい失礼な事言ってるわよ?」

「あ、すいません!」

「?気にしてないよ」

輝夜はレアンの所に行き、気にしてない様子でレアンに言った。
だが、輝夜は自分達の上司のせいか他の子達も必死に頭を下げていた。

「ですけど、どうしたんですか?バーン様なら先程お会いした筈ですけど・・・」

「誰かに呼ばれてる気がして、部屋から出ちゃったの」

「そうなんですか!ですが、外に出ちゃいけませんよ?バーン様達すっごい心配してたんですからね」

「うん、ありがとうボニトナさん」

輝夜はそう言って、来た道に戻ってしまった。
プロミネンスの皆は輝夜の様子がおかしい事に気が付き、呼び止めようとした時には、輝夜はもう居なかった。
全員は急いで輝夜の部屋に行くが、輝夜は部屋にも居なかったのだ。

「お・・・おい!これやばいだろ!!」

ネッパーがそう言うと、バーラは偶然通りかかった自分のキャプテンのバーンに輝夜が居なくなった事を話すと、バーンもまた顔を青くした。

「はあ!?お前等、目ぇ離してねぇんだよな!?」

「はい、帰って行くところもボニトナと私が見てたんで」

「一体いつ!!お前等、エイリア学園内全部探せ!!」

「「「「はい!!!!」」」」

〜北海道〜

「ん?あぁ、輝夜ちゃん」

吹雪は自分の教室に入って来た輝夜に声を掛けた。
輝夜は吹雪の姿を見かけて、少し嬉しそうな笑顔で吹雪に近づいた。

「吹雪、知り合いか?」

「ううん、昔、僕の家の隣に住んでいた女の子なんだ」

「そっか・・・。あれ?輝夜は?」

「あれ?輝夜ちゃん・・・さっきまでここに居たのに・・・」

円堂と吹雪は消えてしまった輝夜をキョロキョロと探すが、輝夜の姿は何処にも無かった。
その輝夜と言えば、ある山の一角に居た。
その後ろにはグラン、バーン、ガゼル三人が並んでいた。

「輝夜姫様、あまり外には出ない様に言いましたよ・・・。?輝夜姫様?」

「罪は消えぬものよのぉ、お主らもそう思うじゃろ?」

「は・・・はぁ(何だ、この殺気は)」

ガゼルは急に変わった輝夜の姿に違和感を覚えていた。

「さあ、罪ある者達に制裁を加えないとのぉ・・・」

輝夜は不敵な笑みを浮かべながら瞳を赤くしてそう言った。

続く

5:ルナ◆Oo:2016/08/06(土) 19:26

輝夜の設定パート2

月矢 咲夜(つきや さくや)/(本名)月矢 麟(つきや りん)

輝夜の裏の人格。
輝夜と同じく人格はないが、言い方が古っぽい。
咲夜と言う名前は小さい頃の輝夜に付けて貰った。
実は、輝夜の双子の姉。

容姿
・生前の姿は、輝夜とは見分けが付かない同じ顔立ち。
・表に出て来た時は、ツリ目で瞳の色は赤色になる。
・性格は短気だがとても優しい。

一人称
「妾」
二人称
「お主ら」

6:ルナ◆Oo:2016/08/06(土) 20:12

第4話

「つまり・・・輝夜姫の双子の姉!?」

エイリア学園に連れ戻した3人は、人格が変わった輝夜を見て声を上げた。
人格が変わった輝夜はそうじゃと言うと、輝夜の部屋をぐるりと見渡した。

「そうか・・・妾の妹の感情が無くなってしまったのじゃな。輝夜には申し訳ない事をしてしまった」

「それより・・・あんたの名前聞いてねェんだけど」

「うむ、妾は月矢麟。輝夜には咲夜と呼ばれているがな」

燐はそう呟くと、急に倒れ込んだ。
それには三人共驚き、輝夜の周りに集まった。

「ん・・・あら?どうしたの、グラン君」

「(輝夜姫様だ)あ、いえ!急に倒れてしまったもので・・・」

いつもの口調に三人は燐は居なくなり、いつもの輝夜なのだと理解した。
輝夜はごめんなさいと小さく言って、窓に目を向けた。

「輝夜姫、大丈夫ですか?今日は練習日ですが・・・」

「えぇ、大丈夫です。練習には、参加できるわ」

「輝夜姫、外に出る時は誰かに言ってくださいね」

「はい」

輝夜はニコリと笑うと、いつも座っている椅子に座り、窓に目を向けた。
三人は輝夜の部屋を出ようとした時、輝夜は三人を呼び止めた。

「どうかしましたか?」

「・・・感情って何?」

「・・・・その事は、俺達がいつか教えますから」

「そう・・・」

輝夜は俯き、また窓に目を向けた。
三人はすまなさそうな顔をしながら、輝夜の部屋を後にした。

〜輝夜の部屋を後にした三人〜

「それにしても、輝夜姫ってお姉さんいたんだな」

「そうだな、それにしても教えなくてよかったのかい?感情の大切さを」

「父さんには口止めされてるだろ?今感情が芽生えれば、エイリア学園を裏切るのは確実だって」

三人はそう会話しながら、自分達のチームに戻って行った。

続く

7:ルナ◆Oo:2016/08/07(日) 22:48 ID:4hI

第5話〜輝夜目線(過去)〜

わたくしがお日さま園に来たのは、3歳の頃だった。
その時から、世に言う感情がなかった。
北海道で空き巣に入った人が殺したとか何とかとお爺様とお婆様が言っていた。
お爺様やお婆様、母上や父上、姉上からよく輝夜姫と呼ばれていた。
だけど、そんな日常が壊され、元あった感情は無くなってしまった。

「お婆様・・・お爺様・・・」

「すまないな、輝夜姫。わしらにはもう、寿命が短い。」

「だから、貴方は此処で暮らしてください。きっと、その方が貴方様の感情も・・・」

何故泣くのかさっぱり解らなかった、感情のわたくしには・・・。
後ろからは見知らぬ子の目線が後ろから来ていた、何故わたくしを見ているのか解らない。
何故、笑っているのかも・・・。
何故、怖い顔をしているのかも・・・。
何故、泣いているのかも・・・・。
お日さま園に暮らしてたからそんな疑問が沢山あった。
そんな中、わたくしでも不思議と慕える人が出来た・・・。
それが、父上・・・吉良星二郎様だった。

「・・・・・・「どうしましたか?」

皆と離れて一人で本を読んでいたら、声を掛けてくれた。
もちろんどう接すればいいか解らない、それを知らなかった父上は少し不思議そうな顔をしたが、瞳子姉上のおかげでわたくしがなぜ接しないのか話していた。

「輝夜と言うのですね」

「はい・・・」

「大丈夫ですよ、ここの子達は貴方と同じような子達ばかりです」

だけど、決定的に違うのはここに居る子達は皆・・・感情がある事。
サッカーで遊べばいいが、皆みたいに笑える自信もない。
そして、5年後・・・皆が変わる日。

「輝夜姫〜!」

「・・・どうかしましたか?杏さん」

「お父さんが呼んでるよ?早く早く」

杏さんの手を引かれ、わたくしは父上が居る広間に向かった。
広間には他の子達も居て、わたくしは剣崎さんに指定された場所へ座った。
皆様の方に向けば、何故か列ごとに並ばされていた。
わたくしの後ろを見れば、誰も居なかった。

「父さん、どうかしたの?皆、集めて」

ヒロト君がそう言うと、父上は良い質問ですとヒロト君に言っていた。
この列に意味があるのだろうと皆は瞬時に理解しているだろう、わたくしにはあまり理解出来ていない。

「皆には、エイリア学園に入って貰いたいのです。」

「エイリア学園?聞いた事ないけど・・・」

「それはそうです、リュウジ、治、晴矢、風介、ヒロト、輝夜。貴方達6人はあるチームのキャプテンです」

キャプテン・・・その事を聞いて、この列の意味が分かった。
それより、何故わたくしはヒロト君の後ろなのでしょう?不思議に思っている時、話はドンドン進んで行きもう解散になっていた。

「輝夜・・・こちらに」

「はい」

「貴方にはエイリアネーム入りません。ただし、貴方には私達エイリア学園の脅威になる者が現れた時、チームを引き連れ、そのチームで脅威になる者を叩き潰しなさい」

どうしてそう言うのか解らない。
感情があれば、分かっていただろうな・・・。

〜回想終了〜

「・・・姫、輝夜姫」

「ん・・・、あら?ゴッカ君にボンバ君、どうかしたの?」

目を向ければ、ゴッカ君とボンバ君が居た。
時間を見れば、練習時間をとっくに過ぎていた。
チームの皆に迷惑を掛けたのだと二人が来た事で分かった。

「練習の時間ですが・・・なかなか来なくて、迎えに来ました」

「そう・・・分かったわ。今すぐ行きます」

円堂守・・・彼ならば、私の感情を取り戻してくれるかもしれませんね。

続く

8:ルナ◆Oo:2016/08/07(日) 23:27 ID:4hI

第6話
〜吉良の部屋〜

「父上、お呼びでしょうか?」

輝夜は丁寧な口調で、部屋の奥に居る吉良を見た。
吉良は優しげな笑みをしながら、輝夜に入りなさいと命じた。
輝夜は襖を閉め、奥に居る吉良を虚ろな目で見た。

「ジェミニストームが追放された事は、貴方の耳にも入って居ますね?」

「はい、誠に残念ですね」

「そうですね、そこで少しばかりの腕試しとして輝夜・・・貴方一人で雷門の実力を見て来てくれませんか?」

「はい」

感情が無ければ、ただの人形に過ぎないと輝夜は頭の中でその言葉がループしていた。
その言葉は輝夜が小学校に入って、自分の担任の先生だった一人が呟いた言葉だったのだ。
輝夜は部屋を後にして、真っ黒なサッカーボールである場所に移動したのだ。

〜雷門漫遊寺中〜

「うわ!」

円堂達は、漫遊寺中を探索していると、目の前に真っ黒なサッカーボールが落ちて来た。
円堂達は、新しい刺客イプシロンではないかと思っていたが、そのサッカーボールが落ちた場所には輝夜が一人立っていた。

「輝夜!?」

「私は輝夜、エイリア学園ファイナルランク」

輝夜はか細く小さな声でそう呟いた。
瞳子はその言葉を聞き取って、顔を青ざめた。

「輝夜・・・お前、エイリア学園だったのか!?」

「サッカー・・・しよう?」

輝夜は円堂の問いに答えず、転がって来たサッカーボールを円堂達の前に差し出し、何も映らない虚ろな目で円堂達を見据えた。
円堂は躊躇うが、瞳子はそれに構わず輝夜にこう言った。

「いいわ、あなたの勝負受けましょう」

「監督!」

円堂は瞳子を見るが、瞳子の真っ直ぐ見ている目に円堂はチームに振り返った。
チームはコクッと頷くと、円堂は輝夜の方に振り返った。

「分かった、お前の勝負・・・受けてやるぞ!輝夜」

「・・・・楽しみって何?」

「え?」

輝夜の言い残した言葉に円堂は不思議な顔をするが、スタメン発表をすると瞳子の声に円堂は不思議な思いをしながらチームの所に戻って行った。

〜エイリア学園内〜

「で、大丈夫かよ?輝夜姫、一人で行かせて」

「大丈夫だよ、輝夜姫の実力は俺達ガイアやプロミネンスやダイヤモンドダストを超えるじゃないか」

「雷門なんてすぐに終わるだろう」

グランとガゼルの言葉に、バーンは少し考え込んだがそうだなと納得した。

〜またもや戻って漫遊寺中グラウンド〜

前半のスタートで、皆は輝夜からボールを奪おうとする。

「・・・・月華風来」

輝夜の上から月と華が舞い散り、輝夜の居場所を分からなくした。
鬼道達が気が付いた時には、当に抜かされていた。

「行かせないッス!うおおおお!ザ・ウォール!」

「鳳凰の風」

「ぐわああ」

鳳凰の羽が一気に吹きあられ、壁山のザ・ウォールを破る。
この前半・・・一体何が起こる!?

続く

9:ルナ◆Oo:2016/08/07(日) 23:36 ID:4hI

輝夜の技まとめ

ドリブル技
・月華風来(げっかふうらい)属性・・・林
月と華が敵に舞い散り、居場所を分からなくし相手を抜く

・鳳凰の風(ほうおうのかぜ)属性・・・火
鳳凰の羽が敵に一気に吹きあられ、敵を吹き飛ばす。

シュート技
・メテオブレイク 属性・・・林
無数のメテオが敵のゴールに向かう。

・カオスメテオ(バーン、ガゼルが必要)属性・・・無属性
炎と氷と闇が入り混じったエネルギーがゴールに向かう。

ディフェンス技
・封陣(ふうじん)属性・・・風
相手の足元に札を張り付け、ボールを奪う。

・雷神(らいじん)・・・山
雷を呼び起こし、相手にぶつけボールを奪う。

10:ルナ◆Oo:2016/08/08(月) 09:27 ID:4hI

お知らせ・・・
輝夜のシュート技にフランが使っていた技だと発覚しました。
ので、技名はムーンメテオで連携技の人数は二人としております。
其処の所、お願いします。

11:ルナ◆Oo:2016/08/08(月) 11:20 ID:4hI

第7話

輝夜はディフェンスをも簡単に破り、ゴール前に来ていた。
円堂は今までの敵とは違うと感じ取り、近づいてくる輝夜に気を引き締めた。

(何?この不思議な感覚・・・これが楽しいと言う感情?)

輝夜は自分の胸に秘めているワクワク感に無意識に顔を綻ばせた。

「来い!」

「円堂君・・・これが楽しいって事なのね・・・。メテオブレイク」

輝夜は複数のメテオと化したボールを蹴りあげ、複数のメテオと化したボールは上空高くから円堂の居るゴールに向かう。

「マジン・ザ・ハン!うわぁ!!」

円堂は技を出そうとするが、輝夜の必殺シュートが決まる。
そして、戦況の流れは輝夜の一方的な攻撃となった。
輝夜が最後のシュートを決めると、前半終了の笛が鳴り響く。

「90−0・・・」

「なんて強さなんだ!これが、エイリア学園ファイナルランクの実力か・・・」

「あいつなんて疲れてる顔なんてしてないぞ」

土門がドリンク片手にそう言うと、疲れるって何?と輝夜の顔が目の前にあった。
全員は大きな叫び声をあげ、輝夜から飛び退いた。
輝夜は不思議そうな顔をして、土門を見ていた。

「ねえ、疲れるって何?」

「はあ!?お前そんなもん分からねぇのかよ!?」

染岡は輝夜を指差すが、輝夜は首を傾け、染岡をジッと見た。
すると、輝夜は急に真っ黒なサッカーボールの面を押した。

「逃げるのか?!」

「逃げないよ・・・父上が帰って来てって・・・。またね、円堂君」

輝夜はそう呟くと、真っ黒な光は輝夜の姿を消した。
全員はその眩しさに目を閉じ、光が消えると、円堂達は目を開けた。
そこには、もう輝夜は居なかった。

〜エイリア学園〜

「輝夜姫・・・何か機嫌が良いですね。どうかしましたか?」

ドロルは輝夜の機嫌の良さが不思議に思い、輝夜に聞くと、輝夜は今まで見た事ない様な嬉しそうな顔をしていた。

「楽しい・・・か・・・。」

「?(まさかな)」

ドロルは感情が芽生えたのかと思ったが、自分の気のせいだと思い、輝夜の部屋を後にした。
輝夜と言えば、ゆっくりと瞼を閉じ、自分が感じたワクワク感に浸っていた。

「これが楽しいと言う感情・・・。円堂君・・・、これからいっぱい楽しさを教えてね」

輝夜はそう呟いて、瞳を赤く染めた。
その瞳はまさに燐そのものだった。

〜心の中〜

「咲夜、今日ね少しだけ感情が分かった様な気がするの」

「ほう・・・それは良かったのぅ。輝夜姫」

輝夜は燐に嬉しそうに話していた。
燐は咲夜を演じながら、輝夜の話に耳を傾けていた。

「咲夜も楽しい?」

「うむ、お主と話していると楽しいぞ」

燐は嬉しそうな顔をしながら、輝夜の頭を撫で、早く感情が戻るよう祈ったのだった。

続く

12:ルナ◆Oo:2016/08/08(月) 12:16 ID:4hI

第8話

「え?輝夜姫がおかしい?」

グランは自分達のチームのデータを見ながら、ウルビダの話を聞いていた。
ウルビダはそうなんだと言い、これらのおかしい様子をすべて話した。

「確かにおかしいね・・・いつもの輝夜姫様なら、誰にも興味持たないのに。円堂守・・・一体どんな人物なんだ?」

「それよりも輝夜姫だ!これ以上円堂守に近づけさせれば、貴様も分かっているだろう!!」

「分かってるよ、輝夜姫には厳しく言っておくから」

「そう言って、何度外に行ったと思っているんだ!!やはり、あのボールを輝夜姫に渡したのが、間違いだったのではないのか?」

「それもあり得るね、けど、輝夜姫は俺達の上司だからね。もうちょっと様子を見ようよ」

グランはそう言って、昨日輝夜に渡された雷門のデータ書を手に取り、ペラペラとページを捲って、円堂守と書かれたデータを見つけ、写真に写る円堂をじーっと見つめた。

「輝夜姫を変えるなんて・・・一体どんな奴なんだ?円堂守」

〜真夜中〜

「やっぱり・・・輝夜の今の状況を考えれば、ヒロト達より上のランク。」

瞳子は今日の試合で輝夜のシュート、ドリブルと言った全てを思い出した。
すると、ガサっと茂みから音が聞こえ、瞳子は茂みの奥を見た。
その奥から出て来たのは、眠そうな目をした輝夜だった。

「輝夜!貴方・・・どうして・・・」

「姉さんに逢いたかったんだって、輝夜姫様は」

「ヒロト・・・どうしてあなたが」

「俺は円堂君がどんな子か見に来たのと輝夜姫様の監視ね。」

ヒロトはそう言って、輝夜の隣に行った。
輝夜はコックリコックリとしながら、眠そうな目を擦っていた。

「やっぱり、この時間に起きてはだめですね輝夜姫様。今日はもう帰りましょうか」

「待ちなさい、ヒロト!貴方の上には輝夜が居るの?」

「・・・そうだよ、だからジェネシスを倒しても、エイリア学園ファイナルランク「ムーンメテオ」が居るんだから」

ヒロトはそう言って、白い面をはめた黒いボールを地面に落とし、眩い光に消えて行った。
瞳子は今のヒロトと輝夜を見て、悲しそうにそして何処か胸を痛めた顔をしていた。
その顔に気づいたのは輝夜一人だけだった。

〜ムーンメテオ専用グラウンド〜

「おい、グラン。どうしたんだよ?輝夜姫」

バーンはムーンメテオのユニフォームを着ながら、上の空の輝夜姫の様子がおかしい事をグランに聞いた。
グランもさっぱりだよと呟き、輝夜の様子を見た。
ガゼルは無責任だなと小さく呟きながら、自分の髪の毛を弄った。

「それなら、ガゼルかバーンが輝夜姫の監視をしてよ。これでも、大変だったんだからね」

「そうなのか?それよりも父さんから聞いたが、輝夜姫の感情が少しだけ芽生えていると言っていた」

「何だって!?」

「まあ、全ての感情が今は芽生えなければいい話だ。だが・・・」

ガゼルは輝夜の方を向き、グランとバーンも同じく輝夜の方を向いた。

「これ以上の感情を芽生えさせれば・・・私達の強大な敵になるだろうな」

「へっ、分かってるってんの」

「俺達も目を光らせなきゃね」

グランがそう言うと、ガゼルとバーンは頷いた。
その様子を遠くで見ていた輝夜は、またグラウンドの天井に目を向けた。
そして、か細く誰にも聞こえない声で静かに紡ぐ。

「静や静やの月夜の下で天の者は舞い踊る、罪を犯しながら・・・」

続く

13:ルナ◆Oo:2016/08/09(火) 22:15 ID:4hI

第9話

数日後、円堂達雷門イレブンが大阪でイプシロンと引き分けで終わり、福岡に行くと言う情報はエイリア学園にも入って居た。
デザーム達イプシロンは今さらなる力を付けていた。
輝夜と言えば、その情報は遅く伝わり興味を出していた。
その姿を見たムーンメテオに選ばれたメンバーは目を丸くして、小声で話した。

「あの輝夜姫が興味出してるぞ、どうすんだよ?」

「俺に言われてもどうする事も出来ないよ、けど、輝夜姫様から戦って力は付いてるのかな?円堂君達」

「お前も何処に興味を出している!!」

「まあまあ、落ち着いてくださいガゼル様。」

「どうかした?皆」

輝夜に心配され、皆は何もないと慌てて言った。
輝夜は少し首を傾げたが、ふわっと笑顔を浮かべながら窓に目を向けた。
皆はその様子を見て、これは大丈夫だろうかと言う心配が心の中で芽生えて来たのだった。

〜福岡(陽花戸中から離れた場所)〜

「はい、もしもし」

瞳子は電話を手に取ると、電話を掛けてきた人物響と何か話していた。

「本当なんですか!?」

『あぁ、あの輝夜と言う子を調べて見ると、ある事件の一番の被害者と言った方が良い」

そして、瞳子はどうして輝夜の感情がないのかを響から聞かされた。
とても悲しい事件の話を・・・。
話を聞き終えた瞳子は悲しそうな顔をして、俯きこう言った。

「輝夜・・・貴方は、どれ程悲しい思いをしているの?」

〜次の日のエイリア学園〜

「あれ?」

輝夜はいつもの様にこの時間に来るグランを待っているが、グランは来ない。
輝夜はグランを探す為、部屋に出るが、あまりガイアの部屋に行った事がないせいかキョロキョロと見回して道に迷っていた。
その姿を見つけたアイキューとアイシーは、お互い顔を見合わせ、輝夜の元に行った。

「どうしました?輝夜姫」

「それが、グラン君が来ないの」

「グラン様が?」

「えぇ、だから、グラン君の部屋に行こうと思って・・・」

二人は道が知らないのだと理解すると、輝夜をグランの部屋まで案内した。
グランの部屋に着きノックするが、グランは出て来るどころか他の子達も居ないのだ。
三人は不思議そうな顔をした時、放送が入る。

『輝夜姫、今すぐ旦那様の部屋に来て下さい。繰り返します・・・』

輝夜はアイキューとアイシーにお礼を言いながら、吉良の部屋に向かった。
吉良の部屋に着くと、輝夜は部屋に入り、吉良の話を待っていた。

「輝夜、グラン達を迎えに行ってほしいのですが・・・」

「どうしたのですか?」

「ガイアが許可無く今、雷門と試合をしています。それを止め、連れ戻しに行ってくれますか?」

吉良は優しく輝夜に尋ねると、輝夜はコクッと頷き、吉良の部屋を後にした。

〜陽花戸中〜

「行くよ、円堂君!流星ブレード!」

「来い!」

グランはそう言うと、ボールを蹴った。
円堂は受け止めるが威力はドンドン増し、ゴールに入った。
その時だ、上空から真っ黒なボールが落ちて来たのだ。
それに見覚えのあるガイアと雷門イレブンは目を見開いた。

「「輝夜姫様!/輝夜!」」

「グラン君・・・あの人が呼んでるよ。」

輝夜は円堂を見て微笑むが、グラン達の方を向いて少し低い声でそう言った。
グランは了解と小さく呟き、自分の技に当たった吹雪を見るが、すぐに自分のチームに戻って、エイリア学園に戻って行った。

続く

14:太陽と月◆i6:2016/08/10(水) 08:45 ID:4hI

第10話

「で、輝夜姫怒らせたのかよ?グラン」

バーンはニヤニヤしながら、グランを見た。
グランと言えば、吉良に怒られたのか機嫌が斜めになっていた。

「輝夜姫様には少し注意されただけだよ。」

「だが、怒られた事には変わりないんだろう?で、輝夜姫の姿がないってさっきヒートが言っていたが・・・」

「おいおい、まさか雷門の所に行ったのか?」

バーンの言う通り、輝夜は今福岡の陽花戸中に来ていた。
輝夜は円堂を探しながら、雷門の様子も探っていた。
雷門の様子と言えば、パスミスなど大きな影響も出ていた。
そして、輝夜はどうしてそう落ち込むのかも分かっていなかった。

「・・・・早く探そう」

輝夜はそう言いながら、胸元から感じる切なさに胸を痛めた。
だが、それが悲しみだとは輝夜は気づかない。
そして、屋上に顔を出すと、そこには暗く沈んだ円堂の姿があった。

「・・・輝夜」

「隣・・・座っていい?」

「あぁ・・・」

輝夜は円堂からの承諾を得ると、円堂の隣に腰を掛けた。
二人はただぼんやりと空を眺めたりとしていると、円堂が口を開いた。

「どうして、お前らはサッカーをこんな事に使うんだ?」

「・・・分からない、あの人からお願いされているから」

「あの人・・・?」

輝夜が言った“あの人”と言う単語に円堂は俯いていた顔を上げた。
輝夜は自分の手の平を見て、円堂を見た。

「わたくしの家族・・・居ないの。」

「え?」

「誰かに殺されたってお爺様とお婆様が言っていたの」

「そうなの・・・か?」

「でも、不思議とあまり泣かなかった。代わりに・・・自分が一人だっていう切なさがあった」

「悲しかったのか?」

円堂の言葉に輝夜は不思議な顔をして、え?と驚いた。

「悲しいって何?」

「説明が難しいな・・・、いつか教えてやるよ。あと一つだけ、いいか?」

「?」

「お前は人間なのか?」

円堂の問いに輝夜はソッと円堂の耳元でこう言った。

「皆には秘密・・・だよ?わたくし・・・人間なの」

そう言った時、円堂は目を大きく見開き輝夜を見た。
輝夜は目を細めて、またねと小さく呟いて、屋上を後にした。
輝夜がエイリア学園に帰った時に、グランは何処に行っていたのか尋ねたが、輝夜は儚げな笑顔で嘘を吐いた。

「何処にも行ってないよ」

そう言った。

続く

15:太陽と月◆i6:2016/08/10(水) 10:15 ID:4hI

第11話

「バーン君が居ない?」

輝夜は、たまたまそんな情報を聞いて、少し溜息を吐いた。
その様子を見ていたウルビダは、輝夜と話していたレアンとヒートにバーンは沖縄に行ったと伝えた。
輝夜とレアンとヒートは、沖縄に何の用があるのかと疑問が浮かんだ。

「わたくしが見に行って来るから、練習の準備でもしていて」

「はい」

輝夜はそう言って、部屋の方へ戻って行った。
レアンはグラウンドに向かい、ヒートは少し輝夜の消えた廊下を見てすぐにグラウンドに戻った。

〜沖縄〜

「やっぱり・・・グラン君もバーン君もここに居た。」

「「か・・・輝夜姫!!」」

輝夜の姿を見つけたグランとバーンはお互い喧嘩腰を弱め、輝夜を見た。
その姿を見た雷門イレブンは輝夜の事を何故、輝夜姫と呼んだのか不思議そうな顔をしていた。
ただ二人だけ輝夜をジッと見ている者が居た、それは瞳子と円堂だった。

「輝夜姫様・・・どうして!」

「ウルビダさんの話を聞いて、二人の姿が無かったから・・・」

その言葉を聞いて、バーンは苦々しい顔になった。
輝夜の虚ろとした目は真っ赤の帯びたのを見て、バーンはビクッと震えグランの元に行った。
三人は集まると、グランの持ってきた黒いボールは白い光を放ち、三人の姿を隠した。
光が消えると、雷門イレブンは目を開けた。

「・・・輝夜」

〜エイリア学園(吉良の部屋)〜

「そうですか・・・」

吉良は剣崎からの報告を聞いて、庭園みたいになっている部屋を見た。

「輝夜に双子の姉が・・・」

「はい、輝夜姫はまだ知らないと思うのですが・・・」

「黙っておきましょう、このことを知れば・・・輝夜は間違いなく姉の元に行く筈ですからね」

〜離れた場所(北海道の病院)〜

「燐さ〜ん」

看護師は燐の名前を呼ぶと、そこには酸素マスクを付けた燐が居た。
そう、燐は死んではいなかったのだ。
燐は今でも意識は不明となっていた。

「やはり・・・目覚めませんね。すいません、燐さんはまだ眠って」

「いえ、いいんです。」

そこに居たのは_____________。

続く

16:太陽と月◆i6:2016/08/10(水) 10:20 ID:4hI

月矢燐の設定替え

月矢 燐(つきや りん)中学三年生

輝夜の双子の姉。
今は輝夜の心の中に居て、輝夜の様子を見ている。
空き巣殺人事件で死は免れたものの意識不明となっている。
言い方は古っぽく、輝夜に咲夜と名付けらている(心の中では)。
頭はとても良い。

容姿
・輝夜と見分けが付かない程の顔立ち。
・目はツリ目で瞳の色は赤。
・短気だが優しい性格の持ち主。

一人称
「妾」
二人称
「お主ら」

17:太陽と月◆i6:2016/08/10(水) 14:17 ID:4hI

第12話

円堂達はジェネシスをも倒し、これですべてが終わったと思ったその時だ。
ジェネシス全員が不敵な笑みを浮かべ、グランがその不敵な笑みを教えるかの様に円堂達に向かって言った。

「円堂君・・・残念だけど、俺達ジェネシスでエイリア学園は終わりじゃない」

「何だって!!・・・まさか、輝夜のチームか!」

「そう、輝夜姫はエイリア学園真の最強、ファイナルランク「ムーンメテオ」のキャプテンさ」

そう言った時、グランとウルビダ、ネロとウィーズのユニフォームは一瞬にして変わった。
その後ろからは見覚えのある顔ぶれが揃っていた。
その前に立っていたのは、黒く濁ってしまっている瞳をした輝夜が居た。

「バーン!ガゼル!・・・まさか、あの二人もムーンメテオのチームだとはな」

鬼道はそう言って、苦虫を噛み潰した顔になった。
その顔見たバーンとガゼルは、不敵な笑みを浮かべながら雷門イレブンを見つめていた。
すると、後ろから吉良が映ったモニターが映し出される。

『さあ、どうしますか?ムーンメテオの挑戦を受けますか?』

「円堂・・・」「キャプテン・・・」「円堂さん・・・」

「いいぜ!その勝負、受けてやる!!」

その言葉を聞いた吉良はニヤリと醜い笑顔を出した。
すると、瞳子は円堂達を横切り輝夜の前に立った。
輝夜は驚くが、瞳子はギュッと輝夜の手を優しく握った。

「輝夜・・・あなたの家族の事は聞いたわ・・・。貴方は捨てられたんじゃない、そうでしょ?」

「「「!!」」」

瞳子の言葉にこの場に居た者達は目を見開き、口を大きく開けた。
輝夜はまるで心の無い人間みたいで何の反応も見せなかった。
だが、瞳子は優しい声で言った。

「貴方の家族は・・・北海道で亡くなっている。響さんから聞いたわ」

「姉さん、そこまでだよ。あまり、俺達のキャプテンに変な事を吹き込まないでよ」

瞳子の手をグランは払い除けると、瞳子を睨んだ。
瞳子も負けじとグランを睨んだ、すると、ずっと黙っていた輝夜が口を開いた。

「瞳子姉上、わたくし達ムーンメテオの挑戦受けてくれますか?」

「・・・・それがあなたの答えなのね。いいわ、受けましょう」

そして、お互いそれぞれのベンチに着く。
そして、瞳子は作戦を伝えた。

「貴方達は、ジェネシスとの戦いで体力が消耗しているわ。守る事も重要だけど、責めることも重要!いいわね?」

「「「「はい!!!!」」」」

試合を始める為、円堂達雷門イレブンと輝夜達ムーンメテオはそれぞれのポジションに就いた。

『これで終わりかと思われていたエイリア学園!だが、その後ろにはエイリア学園ファイナルランクムーンメテオ。さあ、これで最終決戦なのでしょうか!?いよいよ運命のキックオフ!!!』

角間の声が響くと前半戦の笛が鳴り響く。
そして、違う場所からスタジアムを眺めている輝夜そっくりの少女が鬼瓦と一緒に立っていた。

「輝夜・・・」

そうポツリと呟いたのだ。

続く

18:太陽と月◆i6:2016/08/11(木) 21:01 ID:4hI

第13話
〜ベンチ〜

「凄いわね、さすがジェネシスを上回る力を持ったチームね」

「えぇ、円堂君達の技を見て来たんだもん。ジ・アースも見られちゃったし」

「奥の手全てを見られてますからね」

「大丈夫よ、彼らは成長してる。それは、輝夜自身もきっと分かっているわ」

〜グラウンド〜

『前半戦は完全にムーンメテオがボールを支配している!雷門、どう攻めるか〜!』

「さすがファイナルランクチームのキャプテンだ、こっちの動きを先読みしている」

鬼道は指示している輝夜を見て顔を苦くさせた。
その輝夜と言えば、表向きは無表情でグラン達に攻撃の指示をしたり、攻撃をしたりとしていたが、内心はかなり焦っていた。

「(さすが、ジェネシスを倒したチーム・・・。円堂君、君達はどこまで進化するの?)月華風来!グラン!」

「(輝夜姫が焦ってる?初めて見た・・・。)円堂君・・・君は輝夜姫を変えたって言うのかい?」

グランは輝夜の姿を見て、円堂の姿を見た。
すると、ピーッと前半戦終了の笛が鳴った。

〜雷門ベンチ〜

「こっちの動きが全部読まれてる・・・」

「シュートも全部輝夜が止めるからな」

豪炎寺の脳裏には自分の爆熱ストームが輝夜の雷神で止められる光景が浮かぶ。
すると、カツカツと音がした。

「お・・・鬼瓦刑事と輝夜!?え?でも、輝夜なら」

「落ち着け、こいつは輝夜の双子の姉だ。」

鬼瓦はそう言うと、輝夜そっくりの少女は円堂達を見た。

「妾は月矢燐、輝夜姫の双子の姉じゃ・・・。お主ら、失礼な奴らじゃな。妾の事をおばさん呼ばわりとは良い度胸じゃ」

「あ、いや、そんな事は思って無いぜ。それより、輝夜の姉ならどうしたら輝夜のサッカーに勝てるんだ?」

円堂は燐に聞くと、燐は悲しそうな表情をしながらムーンメテオのベンチに目をやった。

「輝夜姫のサッカープレイは、妾のプレイその物じゃ。」

「え?燐のプレイその物?」

「そう、妾と感情が無くなる前の輝夜とは、士郎殿とアツヤ殿のプレイと同じく、双子プレイで有名じゃった」

「まさか、双子の輝夜姫とはお前達の事か!」

鬼道は思い出したかのように言うと、燐はさすがじゃと驚きを示した様に言った。
円堂達は鬼道にそれは何かと訊ねると、鬼道はこう説明した。

「あぁ、まだ3歳とされていた双子の女の子が居た。そのサッカー技術と言えば、天才的でプロからのスカウトもあった。その双子が試合に出れば、どんなプロ選手でも敵わないと言われていた。が・・・、ある日を境に双子は試合にも出なくなったと聞いた事がある」

「その双子が妾と輝夜姫じゃ。その境と言うのが、妾が意識不明になって今の状態じゃ」

「そうだったのか・・・」

「じゃが、円堂守。お主なら輝夜の心を開けるかもしれんな」

燐がそう言った時、後半戦が始まると吉良が部屋越しから言った。
燐は吉良の様子を窺うように吉良の部屋を眺めた。

続く

19:太陽と月◆i6:2016/08/11(木) 21:39 ID:4hI

第14話

〜ベンチ〜

「輝夜さん・・・どうして感情が無くなったんですか?」

「それは妾と父上と母上が亡くなったからじゃ、まあ、妾は傷が浅かったから今のように生きておるがな」

燐はそう言って、服を少し捲って怪我をしたところを指差した。

「妾が目覚めた時は、あの古ぼけたコートを着た親父が居た。最初はかなり驚いて、怪我が痛んだが・・・。」

燐の小言に聞こえるような言い方に、鬼瓦はあのな〜と少し溜息を吐いた。
その時だ、ピーと笛が聞こえ、夏未達はグラウンドに目を向けると円堂達が同点に追いついたのだ。

〜グラウンド〜

「やった!やったぞ、豪炎寺!」

「あぁ」

豪炎寺の爆熱ストームがネロの居るゴールに入り、雷門の数字が0から1となった。
得点板を見れば、1−1。
ムーンメテオと並んだのだ、円堂達が喜んでいる余所に輝夜達は目を見開いて声を失っていた。

「どうしますか?輝夜姫」

「少々甘く見ていたわね、これから本気で行くわよ」

「「「「はい!!!!」」」」

グラン達はそう返事すると、自分達にポジションに就いたその時だ。
急に地面が揺れ出したのだ。
それには両チームも驚き、あたふたとし出した。
ベンチに居た燐は、ベンチから立ちあがって、すぐに円堂達の元へ駆け寄った。

「円堂守、早くここを離れろ!ここの自爆スイッチが入ってしまった!」

「「「「「えええええええええ!!!」」」」」

燐の言葉に円堂達は大きな叫び声を上げた。
それを余所にムーンメテオは、ポカーンと口を開けていた。

「お前・・・え?!でも・・・輝夜姫ならここに・・・「姉上・・・」え!?」

輝夜の呟きにムーンメテオの皆は驚きを隠せず、燐と輝夜を交互に見た。
燐は輝夜を見て、涙を薄らと浮かべながら、輝夜に抱き着いた。

「輝夜・・・今日までずっと寂しかったじゃろ?すまなかったな、ずっと迎えに行けなくて」

「あ・・・あね・・・うえ」

「「「「!!」」」」

皆は目の前の光景に驚いた。
何と、輝夜の瞳から沢山の涙が溢れていたのだ。
燐の赤い瞳にも涙をツーッと零れ落ちていた。

「輝夜・・・聞いて欲しいのじゃ。ここはもう姿形さえも保てなくなって、崩れて来る。お主らも早く逃げろ、だから、一緒に逃げてはくれぬか?」

「うん・・・うん・・・!」

輝夜は何度も頷き、ふいに後ろを振り向いた。
そこには吉良が一人いるのだ。
輝夜はすぐに吉良のいる部屋へ行こうと、真っ黒なボールを出して、吉良の元へ向かった。

〜吉良の部屋〜

「父上!」

「輝夜・・・お前」

輝夜は吉良の表情を見て、かなり焦っているのだと分かった。

「早く行きましょう、このままじゃ父上は・・・」

「私の事はいい・・・輝夜、あの子達とお前だけでも・・・」

「そんな!「お前とお前のお姉さんを見て分かった」え?」

「こんな事・・・してはいけない。お前の感情がないのを利用し、結果お前を悲しませることになってしまった。だから、せめてエイリア石の最後を見届ける」

吉良がそう言った瞬間だ。
何言っておるんじゃ!と怒鳴り声が聞こえたのだ。

「姉上・・・」

「お主は確かにこの子達に申し訳ない事をしてしまったかもしれない、じゃがな、それで罪が償えると思うなら大間違いじゃ」

燐はそう言って、後ろから追いかけて来たグラン達を見た。

「この子達はお主を信頼し、お主が好きだからここまでお主に付いて来た。それを・・・お主は裏切る気か?」

続く

20:太陽と月◆i6:2016/08/11(木) 22:30 ID:4hI

第15話

〜外〜

「うわあ!」

「燐!輝夜!ヒロト!」

円堂は自分達の目の前に吉良と燐、輝夜達の姿を見つけて声を掛けた。
燐は頭が痛いと呟きながら、自分の妹の方へ行ってしまった。

「どうやって・・・あそこから」

「まあ、輝夜姫様が黒いボールの最後の力で脱出って所かな?」

ヒロトはそう説明すると、吉良の元へ歩み寄った。
雷門イレブンは吉良の方に目を向けると、吉良はその場に座り込んで、ヒロトや玲名達を見ていた。
鬼瓦が吉良から事情を聞こうとすると、燐はそれを制した。

「その子達なら、吉良からすべて事情を聞いておる。後は、お主ら警察が聞けばいい。」

「そうか、で、お前はどうする?」

「あぁ、大切な姫君をずっとひとりぼっちにさせていたからな。妾もお日さま園でお世話になろうと思ってな、そこで姫君と暮らしていきたいと願っておる」

燐はそう言うと、輝夜に微笑みかけ、煤だらけになってしまった輝夜の頬を触った。
輝夜はそれを嬉しそうに受け入れていた。
そして、吉良は警察へと行った。
皆はそれを見つめ、ムーンメテオとジェネシスの子達は悲しそうな顔をしていたが、鬼瓦は行こうと言った。

「輝夜・・・どうする?」

「・・・「行こう、輝夜」ヒロト君」

輝夜は俯いていると、ヒロトは手を差し伸べた。
輝夜はコクッと頷き、燐の手を握り締めた。

「それじゃあ、ここでお別れじゃな。円堂守」

「おう、だけど、サッカーを続けていればいつか絶対会えるからな!」

その言葉を聞いた燐と輝夜はニコッと笑い、瞳子の元へ歩き出して行った。
だが、この後円堂達にはさらなる脅威があるとはまだ知らなかった。
だけど、この話は別の話。
いつか語ってあげましょう。

脅威の侵略終わり


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