キセキの世代×ナミ【黒バス&ワンピース】

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1:桜◆kk:2017/10/02(月) 01:44 ID:dN.

私の大好きなナミちゃんを取り巻く、キセキの世代や他のみんなのお話。

とりま帝光から書きます

ナミ
二年前の姿(Fカップやな)
帰宅部だが、キセキの世代と仲良し
桃井ちゃんと色違いの白のパーカーを良く着る(高校では色違いの青)

2:桜◆kk:2017/10/02(月) 01:59 ID:dN.

キセキの世代1人目

私が征十郎と出会ったのは
入学式の日

の翌日である

何故翌日かというと、そこんとこは察してほしい。

寝坊して起きたときにはもう学校が終わってたのだ。

「はぁー…やっちゃったわ。なんで昨日寝坊してしまったのよあたし!そして何で起こしてくれなかったのよノジコ!!」

そんな文句を言っても過ぎてしまったものは仕方がない。

ガラガラと教室の後ろのドアを開けて中に入る。

すると何人かがバッとこちらを振り向いた。まだみんなクラスに慣れてないのか教室は静まり返っていた。

なんか居心地悪いわね…ってかあたし、席がわならないわ

「もしかして、昨日来てなかった子?だったら席あそこだよ」

あたしが突っ立ったまま教室をキョロキョロ見回していたから、不思議に思った女の子が気づいて席を教えてくれた。

きちんとその子にお礼を言って教えてもらった席に行った。

窓側から二番目の列の前から二番目

あんまよくない席だわ…

ちょっとむくれながら席に座ると左隣から視線を感じた。

誰だと思い横を見ると赤髪の少年と目が合った。お辞儀をされたので慌ててこちらもお辞儀を返す。

「君、昨日学校来なかったよね」

「昨日は家庭の事情ってやつで…」

ただの遅刻だ、とは情けないと思われたくないので言えない。

「そうか、俺の名前は赤司征十郎だ。よろしく」

「あたしはナミ!よろしく!!」

よっし!友達1人目ゲットォ!!!

あたしを見ながらこの男の子は優しく微笑んだ。なんかすごくいい人そうね…

ーーーーーーーーーーーー

「ナミさん、昼ごはん一緒に食べないか?」

昼休みになって赤司くんに声をかけられた。やっぱりこの人優しい。

ちなみに今日も遅刻ギリギリだったので、朝ごはんは食べてない。だから腹ペコだ。

「もちろん!食堂行きましょう。あとあたしのことは呼び捨てでいいわ」

「分かった、ナミ」

ーーーーーーーーーーーー

「赤司くんって下の名前何だっけ?」

「征十郎だ。」

「そうそう、征十郎征十郎。」

「ナミは意外と食べるんだな」

「…あんたもね、赤司くん」

ーーーーーーーーーーーー

「あ、教科書忘れた」

「最初の授業なのに何してんだお前は」

「最初の授業だから忘れてもいいのよ。教科書見せて赤司くん」

「ああ」

「…下の名前何だっけ」

「征十郎だ!覚えないと見せないぞ」

「悪気はないのよ」

ーーーーーーーーーーーー

「やっと帰れるー…」

「ナミは部活入らないのか?」

「うん。面倒だから入らないわ。赤司くんは?」

「俺はバスケ部に入る」

「へー…がんばってね!!セイジくん!!」

「おい、がんばったのは褒めてやるが合ってないぞ」

「あんたの名前長いのよ!!覚えにくい!!」

「じゃあ呼びやすい名前で呼べばいい。征十郎だから…」

「だから…征ちゃん!!」

「は?」

「征ちゃん、いいじゃない!かわいい!短い!覚えやすい!!」

「…分かった。またな、ナミ」


「うん!バイバイ征ちゃん!また明日!!」

うんうん
やっぱりこの人は優しいわ

ーーーーーーーーーーーー

「くっ、あの日あの時征ちゃんを優しいと思った自分を殴りたいわ」

「なにか文句あるのか?お前が勉強教えてほしいって言ったんだろ」

「スパルタ過ぎるわっ!もっと優しく教えなさいよ!!」

「その問題解けなかったら、この問題集を今日中にやれ」

「征ちゃんのバカーーーー!!!!」

3:桜◆kk:2017/10/02(月) 08:04 ID:dN.

キセキの世代2人目

これは入学式があって数日後の話

学校が終わってすぐに帰宅したあたしは早急に夕飯を食べて、ソファでくつろいでいた。

「ナミー、アイス食べたくない?」

「食べたい!」

「じゃ買ってきて。お金はあたしがだすから」

家にあるんじゃねーのかよ、と怒鳴りたくなったが、余ったお金でお菓子を買っていいと言われれば黙って従うしかない。

私は歩いてコンビニに向かった

「どのアイスにしようかしら…」

アイスを選んでいたが、先にお菓子を買ってしまわないと溶けることに気がつき、お菓子コーナーへ向かった。

辺りを見回すと残り一つの期間限定まいう棒みかん味があった。

「運がいいわっ!あたし!!」

みかん味ときたら買わずにはいられない。


まいう棒みかん味を手に入れようと手を伸ばす。しかしあと少しのところで横から掻っ攫われてしまった。

「っ誰よ!あたしのまいう棒みかん味を取ったやつは!」

そう叫んで、まいう棒みかん味を持っている手をたどって行くと紫色の髪をした男までたどり着いた。

ってか、何こいつ…デカ過ぎィ!!!

なんとまいう棒みかん味を手にしたのは長身の男だった。

しかもこいつ帝光中の制服着てる

いくら長身の男で同じ中学とはいえ、あたしのまいう棒を奪った罪は重い。

キッと睨みつけてやると私の視線に気づいた彼がこっちを見てきた。

「あらら〜…何でそんなに睨んでんの〜」

身体に似合わないおっとりとした喋り方にたいそうイライラする。

「それはあたしが最初に見つけたまいう棒よ!」

「え〜そうなの〜?あんたもまいう棒好き?」

「好きよ!特にそのみかん味は!!」

「ふ〜ん、そっか〜…じゃあこれあげる」

渡さなかったら一発ぶん殴ってやろうとさえ思っていたのに、あさっさりと譲ってくれて拍子抜けした。


「いいの?」

「うん」

「ありがとう!あんた帝光中の人ね。あたしも帝光中一年のナミっていうの!よろしくね!」

「へ〜ナミちんも帝光なんだ〜。俺紫原敦〜」

「じゃあむっくんで呼ばさせてもらうわ」

急いでお菓子とアイスを買って会計を済ませたあと、なんやかんやで一緒に帰ることになった。

しばらく2人でお菓子談義していると、ふと疑問に思ったことを口にした。

「むっくんはこんな時間まで何してたの?」


「部活〜。で、赤ちん達と帰る途中に俺だけコンビニによった〜」

赤ちん!?誰よその人。変なあだ名だな

「ふーん…そうなの。あ、じゃあ私こっちだから」

そう言ってあたしは自分の家のほうへの道を指差す。

「もう暗いし危ないから送る〜」

子供みたいな性格なのに意外と紳士なのね

「大丈夫アルヨ」

「だめだめ。それにもっとお菓子の話したいし〜」

もしかしてそっちが本音?

「じゃあ送ってくれてありがとう。また学校で」


「うん!バイバイ!ナミちーん」

ーーーーーーーーーーーー

「あたしに触ってんじゃないわよッ!!!!」

「「「ぎゃぁぁああああ」」」

「高校生三人を一発で倒すとか…ナミちん強すぎ…」

4:桜◆kk:2017/10/02(月) 15:28 ID:7ZY

謎にアルヨが入ってる…違うヒロインだ!!すみません、誤字です

5:桜◆kk:2017/10/02(月) 15:51 ID:7ZY

キセキの世代3人目

あたしが大ちゃんと出会ったのは…
いや、出会ったっていうのは少し違う。なんせ、大ちゃんはあたしと征ちゃんと同じクラスだったのだから。

あたしと大ちゃんが仲良くなったのは席替えで隣になったのがきっかけである。

「征ちゃんやったわ!あたし1番後ろの席よ!」

「そうか、よかったな」

「うん!」

入学式からしばらくしてようやくみんなが学校生活に慣れてき日、担任の提案で席替えすることになった。

そして運良くあたしは窓側から二番目の一番後ろの席になった。

隣誰かなとワクワクしながら席を移動させる。

「「あ」」

隣の席はなんとガングロくんだった。最初の席ではあたしの斜め前で征ちゃんの前の席だったガングロくんだが、彼は征ちゃんと話すだけであたしはそんなに話したことはなかった。

「よろしく」

「おう」

あたしたちの会話はそれで終わった

つまらないので征ちゃんはどこかな〜と探すと教卓の真ん前で彼を見つけた

かわいそうな征ちゃん…ぷぷっ

なんて思っていると征ちゃんがこちらを振り向いて睨んできた。

え、何あの人怖い

2時間が始まって暫くしたらなんだか暇になってきた。以前の席なら授業中に板書する手を休ませたら、容赦無く隣の席からシャーペンやら消しゴムが飛んできた。

私はチラッとガングロくんを見る。ガングロくんはぼーっとしなが黒板を眺めている。

こいつは面白くないわ、と思い黒板をもう一度見ると、隣のガングロくんの席から紙をめくる音が聞こえてきた。

さっきまでぼーっとしてた奴が、ベタに教科書で隠しながらエロ本を読んでいた。

「何読んでんの?」

「堀北マイちゃんのグラビアこのおっぱいがいいんだよなー…」

「あたしの方がおっきいわね」

「まじかよ。触らせろ」

「いやよ。10万円払いなさい」

「じゃあ揉ませろ」

「10万」

しばらくそんなやり取りをしていたら、先生に気づかれた。

「ちょっと青峰くん、朱崎さん、うるさいです。ってか青峰くん、教科書で隠してもエロ本読んでるのバレバレです。没収します」

「揉ませろ」

「10万」

「揉ませろ」

「10万」

先生に注意されても暫くやめないあたしとガングロくん。あたしは恐いのでガングロくんの足を踏んづけてやった。

何が恐いってそりゃ教卓の真ん前に座っている赤髪のお方に決まってる。あたしから見えるのは彼の後頭部だけなのに絶対怒っていると確信できる。

「あんたのせいでバレたじゃない…後で絶対征ちゃんに怒られる〜」

「悪かったな、ほらお詫びにコレやるよ」

そう言って彼が渡してきたのは、まいう棒だった。

「いやん、ありがとう!ガングロくん!!」

「おい、やめろよそれ」

お礼を言った後、まいう棒を受け取ろうと手を伸ばしたがガングロくんに頭を掴まれて阻止された。

「くれるんじゃないの!?」

「俺の名前は青峰大輝だ」

なるぼどガングロくんっていうのが気に入らなかったのね

「まいう棒ちょうだい、大ちゃん」

「大ちゃん!?」

「うん。可愛いじゃない」

そう言うと大ちゃんは笑ってまいう棒をくれた。

それからあたしは征ちゃんと大ちゃんと一緒に行動するようになった。

ーーーーーーーーーーーー

「おいナミ、青峰、なぜ怒られてるか分かってるよな?」

「「…授業中に騒いだからです」」

「そうだ。分かってるじゃないか。俺もあまり怒りたくない。反省しろよ」

「「はい…」」

授業後、めちゃくちゃ赤司に怒られた2人であった。

6:桜◆kk:2017/10/02(月) 15:52 ID:7ZY

ナミの苗字は朱崎です!しゅざきなみです!

7:桜◆kk:2017/10/02(月) 16:37 ID:7ZY

キセキの世代4人目

あいつを最初にみたのはいつだったか…

只今ここ帝光中はテスト期間。帰って勉強しようと思ってたところにバスケ部の副主将である赤司征十郎から図書室に来いと呼び出しを受けた。

「何の用なのだよ赤司」

図書室に踏み入って目に入ったのは青峰の隣にいる女。誰なのだよこの女。

最初は桃井かと思ったが、髪の毛の長さと色が違う。取り敢えず赤司のもとへ向かう。

「ああ、よく来てくれたな緑間。さあ、こっちに座ってくれ」

そう言って赤司が自分の左隣の席を引いた。左隣というとあの女の前。しかし赤司に言われては仕方がないので、渋々席につく。

すると女は俺と目を合わせたあと、俺の左手に視線を送った。

「何…その可愛い人形」

「これは今日の俺のラッキーアイテムなのだよ」

「へー、可愛いわね。このマツゲ」

「なんなのだよその名前は!これはそんな妙な名前ではないのだよ!カエルのケロ助だ」

「へー、でもマツゲの方が可愛いいからマツゲね!」

「赤司、なんなのだよこの女は」

隣の赤司の方に顔を向けるとたいそう呆れた顔をしていた。その向かいにいる青峰は腹を抱えて笑っている。

「緑間、彼女は俺らと同じクラスのナミだ。ほら、お前も挨拶しろ」

「…緑間真太郎なのだよ」

眼鏡を押し上げながら自己紹介をした。なんというか、女子は苦手だ。

「あたしはナミなのだよ。よろしくなのだよ」

「真似をするな!」

「お前、似合わなすぎだろ!!ぶふっ!!」

「緑間、悪いがナミの勉強見てくれないか?俺は青峰ので手いっぱいなんだ」

何故俺が…と思ったが自分の勉強にもなるだろうと思い、渋々承諾した。

「よろしくお願いします。いろりまくん」

「緑間なのだよ」

「いろりまて…ぶふぉ!」

「おい、とっとと始めるぞ」

赤司の声をきっかけに早速勉強に取り掛かった

「おい、そこはさっき教えたばかりなのだよ」

「青峰、そこはさっき教えた公式を使えと言っただろ」

どうやらこいつらの頭はそんなに悪くはなく、むしろいい方だが、同じところで間違える厄介ものらしい。

「えー、かぶりまくんの言ってること難しくてわかんないのよ」

「緑間なのだよ」

「さっきの公式ってどれだ?」

はぁーと赤司と同時に溜息をつく。この調子じゃ全く進まないのだよ

「あたし国語じゃなくて理科がしたい〜」

「ダメだ。ナミは国語が壊滅的だから、まずは国語からだ」

「征ちゃんの意地悪…」

「…続けるのだよ」

ーーーーーーーーーーーー

「もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか」

赤司がそう呟いて初めて外が暗くなっているのに気がついた。

「「はぁー、疲れた」」

「それはこっちの台詞なのだよ」

「ナミ、家まで送ろうか?」

四人で校門まで行ったところで赤司が彼女にそうきいた。

「大丈夫よ。今日ノジコと外食する約束してるから、もうすぐ迎えに来るわ」

「そうか」

「気ぃつけろよ」

「うん!また明日ね!征ちゃん!大ちゃん!ワトソンくん!」

後ろから大声でそんな声が聞こえてきた。

「…ワトソンくん?」

「ぶふっ!!ギャハハハハ!!!」

「…緑間、明日彼女に会ったら下の名前で呼ぶように言ってみろ」

ーーーーーーーーーーーー

今日のラッキーアイテムはみかん飴なのだが、手に入れることができなかった。

すると後ろから聞いたことのある声がした。

「あー!緑頭眼鏡くん!!」

緑間なのだよ、と言おうとして振り返ったら昨日のナミとかいう女がいた。

が、重要なのはそこではない。なんと彼女の手にはみかん味の袋が握られているではないか。

「お、お前それは…!…そのみかん飴を今日だけ俺に貸してくれないか?」

俺は必死の形相で彼女の肩を掴んだ

「貸すだけなら全然いいけど…」

こうして俺はラッキーアイテムを手に入れた

「お、礼にし、下の名前で呼ばさせてやっても構わないのだよ」

「ほー…じゃあまたね、真太郎!」

「あ、ああ、またな。な、ナミ」

ーーーーーーーーーーーー
「どう?あたしの手作り弁当!うまいでしょ?特別にタダよ」

「…普通なのだよ」

「そこは嘘でもうまいって言いなさいよ!!」

「やめろ!バットを振り回すな!それは俺のラッキーアイテムなのだよおおおおお!!!」

8:桜◆kk:2017/10/02(月) 17:12 ID:7ZY

キセキの世代5人目

これは2年生の春。俺がバスケ部に入る前の話

今日はモデルの仕事があったので午前中は授業を休んで、俺は昼休みの今登校している途中だ

俺の姿を見つけた女達に一応笑顔で手を振る。すると女共は騒ぎ出す。あー、ありがたいけどうるさいっス

心の中ではそんなことを思いながら、笑顔で廊下を歩く。

ガラッ

「じゃあ放課後お菓子持ってくるわね!またブッ」

俺が開ける前にドアが開き女が俺にぶつかってきた。ってか“ブッ”とか女子としてどうなんスか

「いったー!何?誰よ!!」

女が俺のほうを見た

「大丈夫っスか?」

と言いながら女の頭を撫でた。大体の女の子はこれで顔を赤らめる。しかしこの女は違った

「気安く触んないで。誰よ、あんた」

パシッといい音を鳴らせて俺の手を払った。

「俺のこと知らないんスか?」

そう問うとその女は顎に手をあてて考える素振りをした。

「知らない。」

「いや、俺の名前黄瀬涼太ですけど」

「へー」

「……」

なんだコイツ誰だ、とでも言いたげな顔で俺をみてくる女。俺のこと知らないんスね。

「俺モデルやってるから、みんな知ってると思ってたんスけど…あんた流行りとか知らないんスね」

「…なんだ、びっくりした。俺のこと知らないんスか?とか聞いてくるからどっかで会ったことあるのかと思ったわ」

俺の皮肉を全く気にしないでそう言った女は、じゃーね金髪君と言って俺の横を通り過ぎていった。

…変な女

あの変な女に再開したのはそれからすぐのことだった。

あの女に初めて会った日の放課後、特にすることがなくて教室から外を眺めていた。教室には俺1人しかいないのでとても落ち着く。

ガラッ

せっかく心地がよかったのに誰かがドアを開ける音のせいで台無しになった。誰だと思ってドアのほうを振り返るとアイツがいた。

「あれ?むっくんは?」

「むっくん?」

「紫原敦よ」

「あー紫原くんか…もう部活に行ったんじゃないっスか?」

「もー…なんで教室にいないのよ…あれか、体育館まで持ってこいってことか…」

俺のことなんか見向きもしないでブツブツ独り言を言ってる。こんな女初めてだ。

「なぁ、あんた名前なんて言うんスか?」

俺は彼女に近づきながら問う。

「人の名前を聞くときは、自分から名乗るのが礼儀でしょ」

「いや俺昼休み名乗ったスよ!覚えてないんスか!?」

「え?あー、……「黄瀬涼太っス!」

なんなんだこの女

「あーハイハイ。なんか聞いた気がするわ。あたしはナミ!」

くっそイライラする。俺は女の前まできて彼女を見下ろす

「へ〜、ナミちゃんねー。…俺とイイことシないっスか?」

「イイこと?」

可愛い顔してるし、体型だって悪くない。いい遊び相手ぐらいにはなるだろう。俺はナミちゃんの後頭部に手をまわして、ぐいっと引き寄せ、口付けようとした。

「っっ!?いったあああああ!!!!」

もうあと少しで唇が重なるってときに突然男の大事な部分を蹴り上げられた。

「あたしに手を出すなんて100万年早いわ!出直しなさい!」

高笑いしてるナミちゃんを睨みつけたいけど、それどころじゃない。今迄感じたことのない痛みが俺を襲いその場にうずくまる。

「え、そんなに痛かった?ご、ごめん」

ナミちゃんがしゃがみ込んで俺の顔を覗いてきた。かなり焦った顔をしてる。

「はーっ、散々な目にあったっス」

「だからごめんって言ってるじゃない。手加減するの忘れてたわ」

あのあと、罪悪感を感じているのかナミちゃんはシュンっとしてしまった。なんか小動物みたいで可愛い

思わず手がのびてナミちゃんの頭を撫でてしまった。しかし昼休みと違って振り払われることはなかった。

ちょっと嬉しいとか思ってしまった

ナミちゃんの顔をチラッと覗き見ると意地悪が成功したときのように、ニヤリと笑っていた。

…ドキン

胸が高鳴った。これが俺とナミっちの出会い

ーーーーーーー

「ナミっちーー!!!」

「うるさいわよ、駄犬」

「駄犬じゃないっス!!」

「何よ、黄瀬涼太」

「なんでフルネーム!?下の名前で呼んでくださいっス」

「えー…涼太くん?」

「っいいっスねそれ!もぉ、ナミっち可愛い」

「ちょっ、抱きつくなァ!!!」

「グフォッ」

9:桜◆kk:2017/10/02(月) 18:15 ID:dN.

キセキの世代6人目

僕が初めて彼女を見たのは、まだ僕が一年生で青峰くんともまだ仲良くなっていない時

その日帝光中はテスト期間で部活もなかった。参考書を借りようと僕は図書室へ立ち寄った

図書室に入ってすぐに目に入ったのは青峰くんと赤司くん

「征ちゃん!ここわかんない」

すると、女の子の声が聞こえてきた。彼女の方に目を向けると、オレンジの髪が見えた。

「ちょっと待て。今青峰に教えているところだ」

返事をして彼女は疲れたのか伸びをした

そしていきなりこちらを振り返った。一瞬彼女の目が合ったが、彼女は何事もなかったかのように正面に向き直った

これが僕が初めて彼女を見た日だった。僕はあの赤司くんと青峰くと一緒にいた彼女に興味が湧いた

僕が廊下を歩いているとよく赤司くんと青峰くんと並んで歩いている彼女を見かける。どうやら彼女は赤司くんと青峰くんと仲がいいみたいだ

なんて思っているとある時、眼鏡を片手に持って廊下を走っている彼女とすれ違った。その彼女の後を追いかける、これまたバスケ部の緑間くんを見かけた

またある時は、コンビニでこれまたバスケ部の紫原くんとお菓子談義しながらお菓子コーナーに突っ立っている彼女を見かけた

またある時は、我等がバスケ部の主将である虹村先輩にしがみ付いている彼女を見かけた。…先輩に何してるんですか

またまたある時は、不良で喧嘩っ早いと言われている、またまたバスケ部の灰崎くんを引きずりなが廊下を歩く彼女を見かけた

そして二年生になって黄瀬くんがバスケ部に入って、僕がキセキの世代とも仲良くなった時、黄瀬くんに抱きつかれている彼女を見かけた

どうやら彼女はバスケ部の人と仲がいいらしい。でも、マネージャーではないはずだ

ーーーーーーー

ある時僕は具合が悪くなったので、保健室へ向かった

保健室の扉を開けると真ん前に保健室の先生が立っていた。どうやらちょうど保健室を出ようとしてたらしい

「どうした、黒子屋…」

この保健室の先生はロー先生といって、クマが濃くて恐そうな人だ

「具合が悪くて…」

「そうか…悪いが俺は今から用があってここにいられねェんだ」

「たぶん少し寝れば大丈夫だと思うんで気にしないで下さい」

「すまねェ。あ、今ベッド二つ共使われてんだ。けど、二人共仮病だからどっちか叩き起こしてくれて構わねェよ」

そう言ってロー先生は保健室を出て行った。二つあるベッドのうち手前の方にあるベッドのカーテンを開けた

「あ」

なんとそこに寝ていたのは僕が興味を持ったあの彼女だった

「あの」

「うー、ん、もう時間なの?とらおくーん」

取り敢えず肩を揺すったら彼女は目を擦りながら半分寝ぼけて起き上がった

「あれ、トラ男くんじゃない…」

「ロー先生なら用事があるみたいでさっき出て行きました。あと、すみません、ベッドを…」

「あ、もしかして具合悪いの!?ごめん!」

彼女は慌ててベッドから退いて僕の背中を押してベッドに寝かせてくれた

彼女が手を僕の額に乗っけた

「熱はないみたいね。いつまで寝るの?時間になったら起こすわ」

僕は素直に甘えることにして彼女に昼休みが始まる前に起こしてもらうように頼んだ

「時間になったわよ」

「ありがとうございます。だいぶよくなりました」

「いえいえ。元気になって良かったわ」

そう言って彼女は隣にあるもう一つのベッドにむかった

「大ちゃん!起きなさい!!昼休みよっ!!」

「あー、うっせぇな。もうそんな時間かよ…って、テツ!?」

「どうも」

なんともう一つのベッドに寝ていたのは僕の相棒の青峰くんだった

「大ちゃん知り合いなの?」

「まぁな。テツだ。黒子テツヤ」

「テツね。あたしはナミよ。よろしく」

「どうも黒子テツヤです。ナミさん」

「呼び捨てでいいわよ」

「いえ、癖なんで」

ふーん、じゃ!と手を振って彼女は保健室をあとにした

「青峰くん、ナミさんっていい人ですね」

「…ケチで暴力的だけどな」

僕は今日、新しい友達ができました

ーーーーーーー

「テツぅ!!!」

「重いですナミさん。抱きつかないでください」

「レディになんてこと言うのよッ!!!」

「拳を振り回しながら言わないでください」

「黒子っち羨ましいっス」

10:桜◆kk:2017/10/02(月) 18:50 ID:dN.

キセキの世代おまけ1

これはナミが青峰と仲良くなった後、まだ緑間と出会う前の話。

今は放課後。やっと授業が終わって、さぁ帰ろうとしたナミを呼び止めるものがいた。

「ナミ」

「何?征ちゃん」

そう彼女を呼び止めたのはバスケ部副主将の赤司征十郎。

「お前に頼みたいことがあるんだが」

「いやよ」

「まだ何も言ってないだろ」

「絶対面倒くさい」

「引き受けてくれたら昼飯奢ってやる」

「何なりとお申し付けくださいませ、若」

奢られるとなるとすぐに釣られてしまうナミ。そんな彼女の扱いをすでに熟知している彼。

「実はバスケ部の灰崎祥吾という男子を体育館まで連れてきてほしい」

赤司の話によると、その灰崎祥吾という男はサボり癖があってなかなか部活に顔をださないらしい。近々練習試合があるので絶対部活に出させたいということで彼を探して連れて来いということだった。

「俺が連れきてもいいが、その時間が勿体無いから暇そうなナミに頼みたい」

もちろん奢ってもらえるなら、とナミはその頼みを快く引き受けた。

「どこにいんのよ!」

ナミは図書室、保健室、中庭、いろいろまわったが何処にも彼はいなかった。もう放課後だし帰ったのではないかと一瞬考えたが、赤司がたぶんどこかで寝ていると言っていたのでそれはないなと考え直す。

「あっ!屋上!不良といったら屋上よ!」

なんともベタな考えだがあながち間違っていないみたいだ。

「やっぱり!見つけたっ!」

赤司と別れる前に聞いた灰崎の特徴と合致する人が屋上で寝ていた。

「ちょっとー!!起きなさーい!!!」

神楽は灰崎の耳元で大声を出した

「あぁン?うっせーなぁ」

灰崎がガバッと起き上がって耳を押さえる

「誰だテメェ」

そしてナミを睨みつけた

「あんたが…あ、あんたが…っあ!あんたが灰崎祥吾って人ね!」

最初のほうやけにどもっているなと思っていたら、どうやら灰崎の名前を忘れていたらしい。なんなんだ、この女とでも言いたげな顔でナミを見る灰崎。

「あたしはナミ!征ちゃんに頼まれてあんたを迎えに来たのよ」

「はっ、なんだ赤司の差し金か。部活なら行かねーって言っとけ」

そうナミに言って灰崎はまた寝転んだ

「それじゃダメよ!あんたを体育館に連れて行ったらあたし、征ちゃんに昼ごはん奢っってもらえるの!!」

「へ〜……お前赤司の彼女か?」

「違う。クラスメートで友達よ」

「ふ〜ん、その割には結構気に入られてるてェだな」

灰崎がニヤリと笑った

「なぁここ座れや」

灰崎が起き上がって自分の隣を叩く。ナミは警戒せず素直にそこに座った。

その瞬間灰崎に押し倒された

「へ?」

「お前を喰ったら赤司はどんな顔するだろうなァ」

灰崎は片手でナミの両手を頭の上で掴み、もう片方の手でナミの口をふさぐように顔を掴んだ

しかしナミもやられっ放しなわけがない。ガブっと顔を掴んでいる手に噛み付く

「いってェー!!」

そしてその隙に灰崎から抜け出した

「ちっ…」

舌打ちしてナミを睨みつける灰崎

「あたしに手を出そうなんて百年早いわ坊や」

そう言ってファイティングポーズをとるナミ

「テメェ…つーか女がファイティングポーズとるってどういうことだよ」

なぜかドヤ顔のナミに灰崎はなんか自分が馬鹿らしくなった

「はぁー」

「お、部活行く気になった?」

「しょーがねェから行ってやるよ」

「よっしゃ!昼飯代浮いた!!」

早く行くわよ、とはしゃぎながら灰崎の腕を引っ張るナミ

こんな女見たことねェ

そんなナミの様子をみて自然と笑みが浮かぶ

こうしてナミは無事に灰崎を体育館まで連れて行くことができた

「じゃーね、灰崎祥吾!これからはちゃんと部活出るのよ!!」

「呼び捨てしてんじゃねェ!先輩付けろ!!」

「じゃあハサミくん!」

「そんなダッセー名前付けんじゃねェ!」

「うるさいわねぇ…じゃあ崎ピョンね!またね、崎ピョン!」

「変なあだ名つけんじゃねェ!バカナミィ!」

ーーーーーーー

「部活でなさいって何度言えばわかるの!殴るわよ!!」

「もう数発殴られてるわ!つーか俺を引きずんなバカナミ!!」

「口答えしないっ!!」

「もぉー、勘弁してくれ…」

11:桜◆kk:2017/10/02(月) 19:20 ID:dN.

キセキの世代おまけ2

「あー…この学校体育館いっぱいあってわかんないわ」

あたしは今同じクラスの征ちゃんを探している。さっき第二体育館に行ったが、征ちゃんは第一体育館にいると言われた。

そう言えば、今までバスケ部の連中とたくさん絡んできたけど部活しているところを見たことはなかった。

「ま、あたしは見るより自分がする派だから」

見るだけなんてきっと退屈で寝てしまう。

「ここね」

第一体育館に着いて分厚い扉を開ける

「あれ…?まだ部活始まってないの?」

生徒がまばらにいるものの、本格的な練習ではなくて各々好きなようにシュートしたり1on1したりなど自主練のようだ。

「あ?ナミ?」

扉の前に突っ立っていると後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえたので振り返った。

「あー!大ちゃん!!」

そこにいたのは青峰大輝だった。彼は一年生のときに同じクラスだった。

「おー、なんか久しぶりな気ぃすんな」

「クラス離れてからあんま会わないからね」

とは言っても定期的に昼ご飯を一緒に食べることもあれば一緒にサボることもあるのだ。

「てか何してんだ?こんなとこで」

「征ちゃんにノート返しにきたんだけど、いないの?」

征ちゃんから借りたノートを大ちゃんに見せて問う。

「さっきまでレギュラーだけのミーティングがあったからよ、もうすぐ来ると思う」

そう言って大ちゃんはさっき自分が来た方向に目を向けた。つられてあたしもそっちを見たら目当ての人が資料を見ながらこっちに歩いて来てた

「あ、本当だ」

「まぁな」

何故か誇らし気な大ちゃんを一瞥してまた征ちゃんを見る。

「征ちゃん!!」

資料をずっと見ながら歩いているからなのかあたしに気づかないので、頃合いを見て声を掛けた。

「ん?ナミか、どうした?」

声を掛けると資料から顔を上げて少し急いでこっちに来てくれた。

「お前にノート返しに来たんだとよ」

隣りにいた大ちゃんが代わりに言ったのであたしは頷いてノートを差し出す。

「わざわざすまない。ありがとう」

「いやいやお礼を言うのはこっちよ!ノートありがとう!」

それから少しだけ分からない問題を征ちゃんに教えてもらっている(大ちゃんも強制的に教えられている)と聞いたことあるような声があたしを呼んだ。

「ナミっちーーー!!!」

「…ん?誰かに呼ばれた気がするわ」

「ナミっち!!」

「気のせいだな」

「気のせいだね」

「気のせいね」

「ちょっと、酷いっスよ三人共!」

さっきからキャンキャンうるさいこいつは黄瀬涼太。何故知り合いになったかは…忘れた。

「あれ?何であんたここにいんの?」

「なんでって…バスケ部だからっスよ!」

「え、涼太くんバスケ部だったの!?」

「こいつ最近入ったばっかだけどな」

大ちゃんが親指で涼太くんを指差しながらそう言った。

「っていうかナミっち、2人と知り合いなんスね」

「まぁ俺は、今と一年生の時に同じクラスだから。青峰は今は違うが一年生の時にクラスが一緒だったよ」

征ちゃんが丁寧に説明すると涼太くんは納得したみたいに、へーそうなんスかと呟いた。

「お前黄瀬と知り合いだったのか」

「なんで知り合ったかは覚えてないけど」

大ちゃんとヒソヒソ話していたらまたあたしを呼ぶ声が聞こえた。

「神楽ちーーん」

「むっくんんんん!!」

紫色の髪の毛をした長身の彼、紫原敦が手を振ってこっちに来たので、あたしも全力で手を振り返した。

「なんなんスか、この差」

12:桜◆kk:2017/10/02(月) 19:33 ID:dN.

キセキの世代おまけ2ー2

「あ、真太郎とテツもいる!」

「久しぶりなのだよ」

「どうも」

むっくんの後ろにお祭りとかでよくあるりんご飴を持った緑間真太郎と水色の髪の毛をした黒子テツヤがいた。

なにあのりんご飴、おは朝鬼畜かよ…

「ナミっちみんなと知り合いなんスね…」

「まぁね」

そんなことよりもあたしは真太郎が持っているりんご飴の方が気になる。

「ナミ、りんご飴見過ぎだ」

征ちゃんに言われて一瞬テツを見たが、すぐに目は真太郎のりんご飴を捉える。

「ちーっす。遅れましたー」

そう言って現れたのは灰崎祥吾。

なんだかその場の雰囲気が悪くなった気がする。涼太くんの眉間にシワが寄っていた。

「遅刻だ灰崎」

「ワリぃワリ…な、ナミ?」

「よっ、崎ピョン」

「変なあだ名で呼ぶな!あー!俺用事あったわ、帰る」

そう言って彼は逃げるように去った。何なのよあいつ。

「ショーゴ君とも知り合いなんスね」

涼太くんの問い掛けに応えようとしたら、違う人の声に遮られた。

「おいテメェら!!何してんだぁ」

「あー主将だ〜」

むっくんがそう言ったのでバッと声がした方を向く。するとその人と目があった。

「あ?…お、お前「しゅーーーにーーーいーーー!!!!」

勢いよくその人の方に向かって走り、そのまま正面から飛び付いた。

「「「「「え?」」」」」

「…ナミさん、何してるんですか?」

「えー?修兄に抱き付いてる」

「ちょ、お前離れろって!一々抱き付いてんじゃねぇよ!」

グイグイと修兄はあたしを引き剥がそうとするが、必死に食らいつく。

キセキのみんならはポカーんとその光景を見ている。

何分かその攻防戦を繰り広げたが結局修兄が諦めた。

「主将とも知り合いだったんスか!?」

「知り合いっていうか、家が近所なんだよ」

「修兄とがこの中で1番付き合い長いわね。ノジコのことも知ってるし」

そう言いながら降りたら、あー重かったと言われので今度は後ろから飛び付いた。

「ちょっ、首締めんじゃねぇ」

「ナミ、そろそろ降りたらどうだ」

「主将困ってんぞ」

「そうっスよ!」

なんだか若干不機嫌な声になってる気がする。

どうしたのよ、こいつら?

「ナミさん、そろそろ練習始めるみたいなので降りてください」

「ナミちーん、ほら峰ちんの財布あげるから」

「あっ、テメ、紫原!!」

はっっ!!分かった!こいつらも修兄におんぶされたいのね!!!

「くっ…お、お金で釣れるとお、お、お、思わないでよっ!!!」

「思いっきり釣られそうじゃねぇか」

「修兄は黙って!あんたたち、そんなことまでして修兄におんぶされたいの!?」

(((((いや、ちがうわ)))))

(本当に馬鹿なんですねこの子)

(何キモいこと言ってんだナミのやつ、つーかどうでもいいから早く降りろ疲れた)

「訳がわからないことを言うな、先輩に迷惑がかかっているのだよ」

「じゃあ真太郎がりんご飴くれたら降りる」

そう言った瞬間バッとみんなの視線が真太郎にいく。

「ぜ、絶対ダメなのだよ!」

くそ…でもあたしは諦めないわよ。そのりんご飴を取れば真太郎の泣き顔が見れるかもしれないんだから!!!

「はぁー…しょーがねぇ…帰り何か奢ってや「早く練習を始めなさい!!」

奢ってやると聞いて速攻で修兄から降りた。

「まだ最後まで言ってねぇよ。ってか切り替え早ぇし、何で上から目線なんだよ」

13:桜◆kk:2017/10/02(月) 19:39 ID:dN.

キセキの世代おまけ2ー3

「おい、ナミィー」

「う、うぅ?」

あれ…いつのまにか寝てた

「ほら、家ついたぞ」

あたしは修兄におぶられていた。たぶん修兄を待っている間に寝てしまったんだ。

「奢るのはどうなったのよぉ…」

まだ覚醒しきっていない頭でそう尋ねる

「お前が寝てたから適当にお菓子買った。フルーツキャンディでよかったか?」

「にじむーーーー!流石ね!あたしのこと分かってるわ」

「はいはい。あとそのあだ名はやめろ。そして早く降りろ。ノジコがこっち見てる」

今から何処かに出掛けるのか、確かにノジコが玄関の前に突っ立って修造をニヤニヤ顏で見ている。

このままでは修造がかわいそうになってしまうので仕方なく背中から降りる。

「じゃーな、ナミ」


「うん。またね」

ーーーーーーー

「修ちゃぁああああん!」

「おいコラぁ!そのあだ名やめろ!!あと抱き付くな!!!」

赤(別に羨ましくないからな)

青(チッ)

黄(俺にも抱き付いてほしいっス)

紫(俺の神楽ちんが〜…)

緑(あの後結局りんご飴取られたのだよ)

黒(………)

14:桜◆kk:2017/10/03(火) 00:01 ID:dN.

なんか色々、ナミが神楽になってる…笑
ナミさんも好きだけど、神楽も好きなんです。癖でうっちゃうんです。ごめんなさい。

15:桜◆kk:2017/10/03(火) 02:56 ID:dN.

キセキの世代おまけ3

最近、大ちゃんの口から“ナミ”という名前がよく出てくる。

一年生の時に同じクラスで、今も定期的にお昼ごはんを食べたり、一緒にサボっては赤司くんに怒られてるらしい。

これは、大ちゃんの幼馴染として、日頃のお礼を言わないと!

さっそく、昼休みにナミさんのクラスへ行ってみる。

「ナミさんいますか?」

「あ、あたしあたし!どーしたの?」

ナミさんはオレンジの短い髪の毛を二つに結っていて、セーターを着てリボンは付けていなかった。

「桃井じゃないか。どうしんだ?」

「征ちゃん、この子のこと知ってるの?」

「ああ。バスケ部のマネージャーの桃井さつきだ。」

「そうなの…あたしは朱崎ナミ!よろしく!」

赤司くんと仲が良いいというナミさん。だからあの愛想のかけらもない、ただただエロいだけのガングロとも仲良くやれるわけだ。

「ナミさん、いつも青峰くんと仲良くしてくれてありがとうございます。」

「何でさつきがお礼言うの?」

「桃井は青峰の幼馴染なんだ。だからだろう」

「あいつと一緒にお昼ごはんを食べたり、一緒にサボっては赤司くんに怒られたり…迷惑ばっかりかけて、これからもかけると思いますけど、これからもよろしくお願いします。」

深々と頭を下げる。すると、ナミさんは私の頭を撫でてきた。

「さつきって何か可愛い犬みたい…どっかの駄犬とは違う、賢くて可愛い犬」

…きーちゃんだ、駄犬ってきっと。

「それに、お礼言うのはあたしの方だもん!」

頭を上げると、ナミさんはニヒッと笑って赤司くんの肩に腕を置いていた。

「あたし、征ちゃんと大ちゃんはもちろん、むっくんと涼太くんとテツと真太郎と出会って、中学生活すっごく楽しいの!」

涼太くんには調子乗るから言わないけどね、と付け足しながらも、ナミさんは嬉しそうに笑っていた。

「だからあたしは、みんなにお礼を言うの!」

それ以降私は、ナミさんと仲良くなった。

ーーーーーーー

「ナミさん!このパーカーお揃いで買いませんか!?」

「あ、安いし、動きやすそうだしいいわね!」

「じゃあ私、黄色にします!」

「じゃあ、あたしは白!」

「…女の子っていいっスよね、青峰っち」

「あァ?どこに女の子とやらがいるんだよ…ゴフッ」

「何か言ったかしら?」

16:桜◆kk:2017/10/03(火) 17:36 ID:dN.

やばい。かなりやばい。どれくらいってゆーと、すごくやばい。

「ナミっちと校門で会えるなんて珍しいっスねー!」

「あ、ああ、うん。そうね…」

隣でシャララしてんのは、キセキの世代の1人でモデルをしている黄瀬涼太。

周りの女の子の目が痛い。ヒソヒソと悪口を言う子もいれば、わざと聞こえるように言う子もいる。…気付いてないのか、この駄犬は

「ナミっち聞いてるっスか?そこで青峰っちが〜…」

そこへ、車が校内に入って来た。少し反応が遅れた。すると、涼太くんが腕を引いてくれて轢かれずに済んだ。

「大丈夫っスか!?ナミっち!!」

抱き締められている形になってしまったので、周りからは悲鳴が聞こえる。

「ッ大丈夫だから!!」

あたしは急いで涼太くんを押しのけた。そして、置いて行くようにスタスタ歩く。

「ナミっち、どうしたんスか?悩みごと?」

小走りで追いかけて来た涼太くんは、あたしの頭に手を置いた。

「ッ何でもないわよ!」

歩くスピードを更に上げる。…これ走ってるくね?

「ナミっち、俺怒らせるようなことしたっスか?」

すると、女の子たちが涼太くんの周りにたくさん集まって来た。みんなあたしを睨んでいる

「黄瀬くん、朱崎さんなんか放っといて私と教室行こ〜?」

「何か勝手にキレてるし。意味分かんない」

意味分かんないのはこっちよ、という言葉を飲み込んであたしは本気で走った。

「ちょ、ナミっち!!」

涼太くんは女の子たちを振り払ってあたしを追いかけて来た。あたしも頑張って逃げるけど、やっぱりバスケ部には敵わない。あっという間に追い付かれた。

「ナミっち!!どうしたんスか!?俺、何かしてたら謝るっス!!!」

腕を掴まれて、振り払おうにも振り払えない。これが男女の差か

「何でもないって言ってるでしょ!!?あんたのそのしつこいところ、うざいのよ!!」

言い終わってからハッとした。涼太くんの顔を見ると、酷く傷付いた顔をしていた。

「ご、ごめん、涼太く「ごめんっス、ナミっち…俺、うざかったっスよね。…もうしつこくしないっスから…」

そう言うと涼太くんはあたしを置いて教室に向かった。

あたし、友達を傷付けてるだけじゃない…!最低だわ…

17:桜◆kk:2017/10/03(火) 18:09 ID:dN.

「…先生、お腹痛いんで保健室行って来ます」

その日、なかなか気分が上がらないあたしは、保健室へ向かった。

「トラ男くん、ベッド貸して」

「…先客がいる」

は?誰よ!と思ってカーテンを開けると、大ちゃんだった。…つーか隣のベッド空いてんのにカーテン閉めてんじゃないわよ、不良教師!!

「…大ちゃんあたしね、最低なの。涼太くんのこと傷付けちゃった。うざいって言っちゃった…もう…、嫌われたかな…?」

寝てる大ちゃんに、自分の気持ちを言ってみた。最後の方が、鼻声になる。

「あたし本当は涼太くんのこと、大好きなんだよ…?征ちゃんも大ちゃんも、真太郎もむっくんもテツもさつきも…みんな大好きなのに、何で素直になれないのかな…?」

涙が出て来て、あたしは急いで隣のベッドに潜り込む。すると、大ちゃんの声がした。

「その気持ちを伝えたらいいんじゃねぇの?それに、あいつがうざいのは元からだろ」

大ちゃんの方を見ると、目を瞑ったままで。天邪鬼のあたしに気遣ってくれたんだ。

「…何か、気遣いのできる大ちゃんとか…大ちゃんじゃないみたいで正直キモイ…」

「っテメ、ナミ!人がせっかく気遣ってやったのに「でも、ありがとう。何か元気出た!」

お礼を言うと大ちゃんは少し黙ってから、照れ臭そうに笑いながらおう、とだけ返事をした

「あたし、涼太くんにちゃんと言うわ!自分の気持ち!うざいけど、大好きだって!あ、もちろんあんたたちも大好きだからね!」

そう言ってあたしは、保健室を出た。狙うのは、涼太くんが部活に行く前か、帰る前。

18:桜◆kk:2017/10/03(火) 22:37 ID:dN.

ナミっちに、しつこいところがうざいと言われた。我慢、させてたんスかね?

「ナミっちーーー!!!」

「涼太くん!」

姿を見れば駆け寄って、抱きついたり、普通に喋ったり、試合の次の日で活躍を知ってもらってたら頭を撫でてもらってたり…

全部、むりやり笑顔を作ってやってたんスか?ナミっち…

「先生、気分が悪いので保健室に行って来るっス」

先生にそう言って、保健室に向かう。ロー先生に声をかけて、ベッドで寝ようとした。するとナミっちの声が聞こえたから、カーテンを開けようとしていた手を思わず止めた。

「…大ちゃんあたしね、最低なの。涼太くんのこと傷付けちゃった。うざいって言っちゃった…もう…、嫌われたかな…?」

どうやら、青峰っちに話しかけてるようで、彼女の声は最後の方になるに連れて鼻声になった

「あたし本当は涼太くんのこと、大好きなんだよ…?征ちゃんも大ちゃんも、真太郎もむっくんもテツもさつきも…みんな大好きなのに、何で素直になれないのかな…?」

きっと彼女は涙を流している。布団をゴソゴソする音も聞こえた。

良かった…嫌われたんじゃないんだ。そう思うと、気分が良くなって来た。急いで教室に戻る

ナミっち、俺も君が大好きっス

でも、まだ心の準備ができてないから待ってて欲しいっス

19:桜◆kk:2017/10/04(水) 00:01 ID:dN.

授業が終わって、すぐにあたしは教室を出た。体育館の前で涼太くんを待つ。

「っ!涼太くん!!」

「な、ナミっち!?」

声をかけると、逃げられてしまった。あたしはすぐに追いかける。

「涼太くん待って!待ちなさい!!」

中庭に逃げられたけど、それが運の尽きね。女子たちが騒いでるところに黄瀬涼太よ!!

「涼太くん!!」

女子たちをかき分けて必死に涼太くんのところへ行く。それでも涼太くんは逃げる。

「っ涼太くん…」

あーー!!もうっ!怒った!!!!

あたしは急いで中庭を見渡せる階段へ向かう。そして、思い切り叫んでやった。

「黄瀬涼太ーーーー!!!!!逃げてるんじゃないわよっ!!あんたそれでもモデルかーっ!男かーーっ!!!」

あたしの声は中庭の隅々まで聞こえただろう。涼太くんを囲んでた女子たちも、涼太くんも、部活に行く途中だった人も、みんなあたしの方を見る。

すぐに階段を降りて、女子たちをかき分けて涼太くんのところへ行く。

「捕まえたッ!!」

「ナミっち!!俺は男っスよ!女の子たちがいる前でひどいっス〜!!」

「うるさいわよ駄犬!あんたが逃げるのがダメなんでしょーが!」

「だって〜」

あれ?何だかいつもの感じに戻ってない?あたしは何だかおかしくなって、笑いだした。

「どうしたんスか?ナミっち」

「ふふっ!だって、仲直りできたんだもん!」

「っはは!そうっスね!!仲直りっス!」

しばらく2人で笑い合っていると、女の子たちの中からむっくんがやって来た。

「仲直りおめでと〜黄瀬ちん、ナミちんー。でも部活始まるよー」

むっくんの言葉に、涼太くんはハッとして女の子たちをかき分けて体育館へ向かう。

ーーーーーーー

「仲直りしたから、ハグしようよナミっち!」

「は?調子乗るんじゃないわよ、駄犬」

「ナミちん俺は〜?」

「むっくんんんん!!!」

「差別を感じてるっス!!」

「しっしっ、あっちへ行きなさい。駄犬」

「ひどいっスー!!」

20:桜◆kk:2017/10/04(水) 19:23 ID:dN.

今日は卒業式である。ナミやキセキの世代たちがお世話になった虹村や、逆にお世話をしていた灰崎が卒業する。

「修兄ー!!」

「抱き付くなナミ!涙と鼻水が付くじゃねぇか!」

「だって修兄がいなくなるのよ!?寂しいじゃない!」

虹村に抱き付くのが終わったかと思うと、次は灰崎を探すナミ。キセキの世代は虹村や、他の部活の先輩と写真を撮る。

「崎ピョーン?」

「ナミさん」

「ひっ!…って何だテツか」

背後からいきなり黒子に声をかけられ、驚くナミ

「灰崎先輩なら、屋上にいるそうです」

「は?卒業式なのに?まったく…あんの不良は最後まで世話が焼ける…」

ぶつくさ言いながらも、黒子にお礼を言ってから屋上へ向かう。黒子はいつものポーカーフェイスで、ただナミの背中を見つめていた。

「灰崎祥吾ーーー!!!!」

「うるせぇバカナミ!!…んで、何の用だよ」

「あんた卒業生でしょ?みんなと写真撮らないの?」

「…撮らねぇよ。別にもうバスケ部でも何でもねぇし」

「ふーん…じゃああたしが撮ってあげる!」

持っていたケータイのカメラを開いて、無理やり嫌がる隙も与えずに灰崎と肩を組んで、写真を撮る。

「あ!!ブレてる!何で!!?」

「…ったくしょーがねェなぁ…貸せ」

「きゃっ」

ケータイを奪い取り、ナミを押し倒してその隣に自分も寝転ぶ。

「カメラ見ろ」

「あ、はいチーズ!」

カシャッ

2人の手でカメラを持ち、シャッターを押す。

「あ、ブレてない!!」

「へっ、俺が押したからな」

ナミがカメラロールを確認すると、ムフッと笑った。

「おい、俺に送っとけよ。その写メ」

「ぜーったいいや!じゃぁね〜」

「あ、テメ、バカナミィ!!!」

写真の中の2人は、心の底から笑っていた。

21:桜◆kk:2017/10/05(木) 10:42 ID:dN.

「にじむー!!」

「だからそのあだ名やめろ!!」

崎ピョンと写メを撮って、修兄や征ちゃんたちがいるところに戻る。

修兄は中学を卒業したら、アメリカに行っちゃうから本当にお別れだ。

「修兄、一緒に帰りましょ!」

「…ナミ」

みんなと写メを撮り終わってから、家が近い修兄と帰る。何か話そうと思ったけど、口を開けば涙と鼻水が出そうだから話せなかった。

「ね、ねえ修「ナミ…」

それでも話そうと思ったら、修兄があたしの名前を呼んだ。

「どうしたの?修兄…」

「ん、」

修兄はあたしの肩に顔をうずめた。

「…やっぱさー、あいつらと離れるってなったら寂しいんだわ…」

あたしは抱き締めることも、頭に手を置くこともしない。きっと修兄はそれを望んでないから

「緑間はおは朝占い信者だし、青峰はアホでエロいし、黄瀬は何かうざい駄犬だし、紫原はお菓子ばっか食ってるし、黒子は何考えてるか分かんねぇし、赤司は…、いや、何でもねぇ…」

何で征ちゃんのことは言わないのかは謎だけど、要するに修兄は、みんなのことが大好きなのね

「キャラが濃いやつばっかでさ、退屈しねぇですんだしな…」

それは分かる。みんなといたら、それだけで楽しい。さつきも、崎ピョンも同じぐらい楽しいけど

「いざってなるとさー…不安だわ」

「…ったく、何言ってんのよ。」

修兄の肩を押して、顔を上げさせる。そして、真っ直ぐ目を見つめる。

「あんたがしんみりするって柄じゃないでしょ!あいつらのことは…あたしがあんたの分まで面倒見るから!あんたは安心してアメリカに行きなさい!」

「…そうだな。」

修兄の家の前でお別れ。あたしはバシッと背中を叩いてやった。

「不安になったらいつでも帰って来なさいよね!あたしが背中を叩いてあげるから!!」

「おう!ありがとな、ナミ」

ーーーーーーー

「修兄の代わりにあんたたちの世話を見ることになりました。ナミです」

「ナミさんがマネージャーになるなんて、意外ですね」

「あたしは監督も主将もできないから。さつきと一緒にがんばるわ!」

「ナミさん一緒にがんばりましょうね!!」

「ナミっちー!!マネージャーになったって本当スか!?」

「うっさい駄犬!!!」

「ギャインッ!!」

22:桜◆kk:2017/10/05(木) 11:55 ID:dN.

あたしは帝光中学のマネージャーになった。マネージャーといっても、さつきの仕事のサポートが主な仕事だけど。

「ナミっち!!クラス一緒っスね!」

「俺もなのだよ。」

三年になったあたしたちのクラスは変わり、ずっと一緒だった征ちゃんと離れて、涼太くんと真太郎と一緒になった。

「真太郎、ナミのことは頼んだよ。サボったりしてたら止めてくれ。…殴ってでも」

「あたし死ぬわッ!!!」

変わったのはクラスだけじゃない。

征ちゃんもだ。

初めて違和感を感じたときは、部活の新人かと思った。本当に別人になったんだ。

ーーーーーーー

「あなたは征ちゃん?それとも違う人?」

「…僕の存在に気付いたのは君と虹村さんぐらいだよ。」

修兄も気付いてたんだ…ってことはやっぱり征ちゃんじゃないってこと?

「僕は赤司征十郎。もう1人の赤司征十郎だ。もう1人の赤司が、勝つために僕を作り出したんだ。」

背筋が凍りそう。征ちゃんの“勝ち続ける重圧が歪んだ形で姿を現した姿”がこの赤司征十郎なんだ…

「あんたはじゃあ、征ちゃんのことをどう思ってるの?嫌い?」

「何を言ってるんだ。護るべき対象なだけだ」

「あんたはあたしが知ってる征ちゃんじゃない…けど、あんたも征ちゃんよ。だから、征ちゃんがあんたの中から出てくるまで、あたしはあんたを征十郎って呼ぶわ。」

「ああ。ありがとう。僕は君に嫌われたくないからね。」

全くの別人を作り出した征ちゃん。征ちゃんと征十郎は、どういう関係?征ちゃんは征十郎を知ってるの?

分からないことだらけだけど、唯一分かったことがある。

それは、どっちもあたしの好きな赤司征十郎ってことは、変わりないってこと。

ーーーーーーー

「ナミ、僕のタオルを取ってくれないか。」

「ああ、これ?はい」

「ありがとう。」

「征十郎!」

「?」

「いいプレイ、できてんじゃん!」

「…当たり前だろう。僕は勝者にふさわしい」

23:桜◆kk:2017/10/06(金) 16:31 ID:dN.

今日は部活がないから早急に家に帰って、コンビニに行くと、高校生ぐらいの人が黒飴を買っていた。背はむっくんより少し低いぐらいかな

…にしても黒飴ってチョイス渋すぎでしょ

まあ、いいわ。私はまいう棒の新しい味、黒飴味を食すのだから!!

すると、黒飴チョイスくんもまいう棒に手を伸ばした。しかもそれは、私のお目当の黒飴味。こいつ…できる!!

「あなたもこの味が気になるの?」

「ああ、俺は黒飴が好きでさ。発売初日から気になってたんだ」

「私も!ねえ、ちょっと話さない?」

「いいよ。俺は木吉鉄平」

「私は朱崎ナミよ!よろしくね!!」

木吉鉄平…?どこかで聞いたことがある、ような…あ!むっくんが「木吉鉄平うぜー」的なことを一時期言ってたわね…この人か

「木吉さん、あなたって誠凛の人よね?そこってバスケ部新しくできたんでしょ?どんな感じなの?」

「鉄平でいいよ。んー、監督がすごく怖いかな。でも、俺たち選手のことを考えてくれてるから頑張れるんだ」

「きゃー!監督愛されてるー!!」

監督が女なのか男なのかはさておき、ウチの監督はおっさんだし、髪白いし、あんまり指導しないと思ったらすごい練習ねじ込んでくるし…

「そうだ、ナミさん。さっき黒飴買ったから食べるか?」

「頂くわ!あと、私もナミでいいわよ!あんた先輩だし!」

鉄平さんと黒飴を食べる。黒飴は渋くて大人の味。うん、美味しい。

「ナミは中学生か?」

「ええ、そうよ。もう受験生!」

「そうか。もう高校は決まってるのか?」

「海賊高校行きたいけど、心配なやつが2、3人いるからそっち付いてくかも。でも誠凛も何だか気になって来たわ!」

心配なやつってゆうのは、涼太くんと大ちゃんと征十郎。

涼太くんは女の子に手ェ出しそうだし、大ちゃんは最近不良化してるし、征十郎は二重人格。

でも、涼太くんもさすがにゴミクズじゃないだろうし、大ちゃんにはさつきがいるし、征十郎も何とかやっていけるだろう。

むっくんとテツと真太郎は特に心配はないけど…そいつらも心配っちゃぁ心配

「ま、ナミが最終的に行きたいと思ったところに行けばいいんじゃないか?誠凛はナミを歓迎するよ」

鉄平は私の頭をポンポンと叩いた。この人優しい。

ーーーーーーー

「鉄平さん、あんた掃除してから帰るのよ」

「難しいんだ、これ」

「だからって辺り一面が飴まみれになるまで挑戦しなくてもいいわよっ!!」

「口に入れるまでやりたかったんだ」

「知るかァッ!!!」

24:桜◆kk:2017/10/06(金) 16:34 ID:dN.

「真太郎ー!」

ドスッと緑間の前の席にナミが座る。緑間はハァ、と溜息を吐いた。

「ちょっと聞いてよ!今日校門で涼太くんと会ったから一緒に教室行ってたら、女子に囲まれたのよ!」

「それが何なのだよ」

「囲まれるのは慣れたからいいんだけど、一部の女子に紙とか投げられたのよッ!!おかげで髪の毛がボサボサだわ!!」

チラリと視線を髪の毛に変えると、確かにいつも彼女の髪の毛はキレイに揃えられ、結われているが今日はボサボサで、下ろしていた。

「だいたいねぇ、紙投げるくらいなら石投げなさいよっ!石投げられてこっちが血ぃ出したら反撃できるじゃない!!」

「何がしたいのだよお前は」

「反撃」

「真顔で言うな」

「冗談よ。今日部活オフでしょ?」

「ハァ…お前が言うと冗談に聞こえないのだよ」

「ちょっと手伝いなさい」

「なぜ俺だ?黄瀬に近付くなとでも言えばいいのだよ」

「涼太くんにそれが言えたら楽よ!でも、ぜーーったい傷付くわ!!だから手伝いなさい!」

「ハァ…分かったのだよ。何をすればいい?」

「取り敢えず、涼太くんがあたしに近付いて来たら追い払って。それでも紙投げられたら、容赦しないわ!!」

緑間は今日何度目になるか分からない溜息を吐いた。

25:桜◆kk:2017/10/06(金) 17:20 ID:dN.

授業が終わって帰る準備をして、ナミっちの席の前に急いで行く。

「ナミっち!一緒に帰ろうっス!」

「あ、ごめん涼太くん。今日は真太郎と帰るのよ。」

「え、じゃあ俺も緑間っちと帰るっス!」

「行くのだよ、ナミ。じゃあな、黄瀬」

「あ、はーい!また明日ね!涼太くん」

…は、ハブられたーーーー!!!!!!なんで!?緑間っちはともかくナミっちまで!!ひどい!超ひどいっス!!

「黄瀬くん!一緒に帰らない?」

「今日朱崎さんいないの?」

「ご、ごめん。今日は1人で帰る…」

テンション下がりまくりで、帰り道はずっと下を向いていた。前を見るとナミっちが緑間っちと紫原っちに挟まれて帰っていた。

…紫原っち!?俺は断られたのに紫原っちはいいんスか!!?やばい、まじでハブられてる…

ーーーーーーー

「おい、さすがに黄瀬が可哀想なのだよ」

「今日は何で周りに女子がいないのよ!石でも何でも投げに来なさいっての!!」

「ナミちん鬼みたいだよ〜」

「なんですって!?」

「落ち着くのだよ。紫原もこいつをキレさすようなことを言うな」

すると、路地から紙が投げられた。その紙はナミの頭に当たる。

「っ、また紙!?ってか、涼太くんの周りの女の子が投げてるんじゃないの?」

紫原と緑間はその紙を見てあることに気がついた。その紙は、ぐちゃぐちゃでよく分からないが、紙飛行機らしき形をしていたのだ。

「ナミちんその紙貸して〜」

ゴソゴソと紙飛行機を開くと、中には文章が書いてあった。

「…あなたはこの世に舞い降りた天使です。僕は君の笑顔にハートを撃ち抜かれました。この汚い世界の中で輝くあなたは、まるで僕を助ける為に現れた…」

「君を幸せにする為の計画を立てました。一緒に愛を紡ぎませんか。お返事待ってます…ってこれ、ラブレターじゃない?」

「宗教の誘いじゃないのか?」

「みどちん、宗教が愛を紡ぎませんかとか言う訳ないし。まじ恋愛には鈍いね〜」

「うるさいのだよ紫原!!…これは返事をするしかないのだよ。はっきり断れ」

「えー、でも、この人がお金持ちだったら私が幸せにするわ。」

「金で人を決めるな!!…とにかく、断るのだよ。」

「…ナミちん、これ俺も断った方がいいと思う〜。これ、ぜってー後々ストーカーとかになるタイプだし」

「そこまで言われるのなら…名前書いてないの?」

「汚すぎて読めないのだよ。明日、返事を書いた手紙を紙が飛んで来た方に投げるのだよ」

「分かった。」

26:桜◆kk:2017/10/07(土) 00:03 ID:dN.

「真太郎、おはよう」

「遅いのだよ、ナミ」

朝、校門で涼太くんと会ってもいいように真太郎に家まで迎えに来てもらった。ニヤニヤして彼氏?彼氏?と言っているノジコは無視しよう

「返事は書いたのか?」

「うん。読むわよ。…お手紙ありがとうございます。私はあなたのことを知らないので、お付き合いはできません。さよなら。…どう?」

「いいと思うのだよ。後は今日も手紙が投げられた方に投げるだけか…」

校門につくと、女の子たちが集まっていた。これはきっと涼太くんね

「ナミっちー!緑間っちー!」

「くそ、駄犬が…!行くわよ真太郎!!」

「おい、俺を引っ張るな!」

私は涼太くんを無視して、真太郎の手を引っ張って教室へと向かう。

「っ、紙だわ」

「ッ見せるのだよ」

すると、また紙が投げられた。桜の木の後ろ辺りからだ。真太郎に見せると、これは昨日のものと同じだと言われた。

「早く返事の手紙を投げるのだよ」

「え、ええ」

真太郎に言われた通り、桜の木の後ろ目掛けて紙を投げる。その紙はすぐに拾われた。

「ひとまず、これで大丈夫なのだよ」

「うん!ま、次紙投げて来たら殴るだけだけどね」

私は上機嫌で真太郎と教室に行く。

ーーーーーーー

「すいません、朱崎ナミ先輩いますか?」

「ナミならいるよ。おーい!ナミー!!」

「ん?なに?」

「一年の子が呼んでるー!!」

昼休み中、ナミが緑間と黄瀬と弁当を食べていると、友達に呼ばれた。

「どうしたの?あんたは?」

「あ、あの、僕は佐藤実です!あなたへ書いてた男です!」

「ああ、あなたが。それで?」

「その、話があるんで来てもらっていいですか?」

ナミは直接告白でもされる、と思い緑間と黄瀬に適当に理由を告げてから佐藤実の後を付いて行った。

「…にしてもナミも罪だね〜」

「どうしたんスか?」

「ああ、ナミが一年に告られんの。あの子顔可愛かったし」

「ナミっちは俺の彼女なのに!!」

「別にお前の彼女ではないのだよ。…しかし、嫌な予感がするのは気のせいか…」

緑間は深刻な顔でメガネをカチャッと上げた。

27:桜◆kk:2017/10/07(土) 00:58 ID:dN.

「佐藤くん…だっけ?私に何の用なの?」

「僕、先輩の手紙読みました。ちゃんと返事書いてくれて嬉しかったです。」

佐藤くんにつれて来られたのは、教室から少し離れたもう使われてない教室。告白の場所ではベタっちゃぁベタね

「先輩は僕のことを知らないとおっしゃってましたよね?」

「え、うん。私あんたのこと知らない。」

「今から教えてあげます」

「え、」

ガシッと肩を掴まれた。力が入ってるのだろう。すごく痛い。

「僕が先輩の体に僕を教えてあげます」

「ちょ、何言ってんの?」

そのまま押し倒されてしまった。逃げ出そうにも、力が強くてなかなか逃げられない。

(何コレ…最近の一年生ってこんなに力強いの?逃げられないじゃない…!)

足で股間を蹴ってやろうと思っても、足も固定されて両手も固定される。

(やだ、助けて…誰か…!!)

「僕が先輩に触れる日が来るなんて思ってませんでしだ」

佐藤くんの手が制服に伸びて、第三ボタンまで開けられる。私は力を振り絞って口で髪の毛を引っ張る

「誰か助けて!!お願いっ!」

「来るわけないじゃないですか。今は授業中で、鍵もしてますし。」

もうダメだ、と覚悟を決めた時、ドアが吹っ飛んだ。

「ナミを返せ!」

「…ヒネリ潰すよ」

「ナミっち!無事っスか!?」

「大丈夫ですか?ナミさん」

「やはり、嫌な予感が当たったのだよ…」

「待たせてしまったね、ナミ。」

「…本当、遅すぎよッ!」

我慢していた涙が溢れて来た。

この人たちは、こんなに頼もしいのか。

「大ちゃん…むっくん…涼太くん…テツ…真太郎…征十郎…っ」

助けに来てくれて…、ありがとう

28:桜◆kk:2017/10/07(土) 13:08 ID:dN.

ナミが授業が始まっても戻って来ない。さすがに、チャイムが鳴れば戻って来ると思ったんだが…

「緑間っち、ナミっち遅くないっスか?」

黄瀬も心配している。確かナミは、三年になってから行きたい高校があるからと、サボるのはやめていたはずだ

『ーーーーー、て!』

「黄瀬、今何か聞こえなかったか?」

「俺には何にも聞こえなかったかスけど…」

たーーけ、て

助けて?この声はナミ?まさか、ナミの身に何かあったのか!?

「先生、お腹が痛いので保健室に行ってきます。行くのだよ黄瀬」

「りょ、了解っス!」

1組を通り過ぎた突き当たりには、使われてない教室がある。そこが怪しいと思った俺は、5組の教室からそこへ向かう。

途中、窓から俺たちを見て付いて来たのだろう他のキセキの世代も俺たちと一緒に来る。

「真太郎、必死な顔をしているが何があった」

「ナミが危ないのだよ。かすかにナミが助けてと言った声が聞こえた…細かい説明は後でするのだよ」

「あの声はナミちんだったんだね〜」

「このドア、鍵がかかってます!」

「どいて黒ちん!」

「どけテツ!!」

紫原と青峰がドアに体当たりをして、ドアが吹っ飛んだ。そこには、昼休みナミを呼んでいた一年と、第三ボタンまで開けられたナミがいた

「ナミを返せ!」

「…ヒネリ潰すよ」

「ナミっち!無事っスか!?」

「大丈夫ですか?ナミさん」

「やはり。嫌な予感が当たったのだよ…」

「待たせてしまったね、ナミ」

「…本当、遅すぎよッ!」

我慢していたのだろう涙がナミの目から溢れ出した。一年は怯えた顔をする。

「僕たちのナミに手を出した罪は重い…。覚悟するんだな」

「お前がナミっちに手を…!!!」

黄瀬が殴ろうと一年の胸ぐらを掴むと、ナミが慌てて後ろから黄瀬に抱き付いて止める。

「待って涼太くん!みんな!!」

「ナミっち!止めないで!こいつがナミっちに…!」

「私まだ、何もされてない!!みんなが何かされる前に助けに来てくれたから!だから殴ったりしなくてもいいじゃないっ!!!」

29:桜◆kk:2017/10/07(土) 19:25 ID:dN.

ナミっちの頼みで今回は一年の男を見逃すことにした。一年の男は腰が抜けてるのか、立ち上がらない。…俺は許せないっスよナミっち…

「ナミさん、早くボタンを閉めてください」

「え、もうちょい開けとけよ」

バカなことを言う青峰っちに、黒子っちが何バカなこと言ってるんですか、とイグナイトをかます。

「それにしても、本当にいいの?ナミちん。俺たちがこいつを見逃しても〜」

「あんたたちはいいわよ、何もしなくても。私に手を出したことは、私が後悔させてあ・げ・る♡」

あ、さっきの言葉は撤回するっス。一年の男がかわいそうっスよ、ナミっち。黒い笑みを浮かべながら、一年の男に向かうナミっち。もう気絶してるじゃん

「次、私はもちろん他の子にも同じことしたら…殴るわよ」

「もう充分殴ってるのだよ」

精神的に来る言葉と、たんこぶを何個も作られて一年はもうノックダウン。

「…これ、俺たち来なくても良かったんじゃねぇの?」

「そんな訳ないでしょう!?手足拘束されてたんだから!」

「それより…早く授業に戻るぞ。真太郎と涼太は知らないが、僕たちは何も告げずに教室を出てしまった。」

「え、うそ!私のために?」

「そうっスよ、ナミっち!」

俺が手を広げると、嬉しそうに俺の腕の中に…

飛び込まず、黒子っちに抱き付くナミっち。羨ましいっス、黒子っち…

「ありがとう!みんな!!」

ナミっちの笑顔を見るとやっぱり、この笑顔が奪われる前に助けることができて良かった、と思う。

「そろそろ戻るか。」

赤司っちの声で教室に戻る。俺たちは少し説教を受けたけど、ナミっちはいつの間にか青峰っちとサボりに言ったから、部活前に赤司っちに怒られていた。

ーーーーーーー

「何故叱られているか分かっているな?」

「「…サボったからです」」

「一年の時にも言ったが、授業中騒ぐこととサボることはやめろと、命令したはずだが」

「だ、大ちゃんに心の傷を癒してもらおうと「言い訳は聞きたくない。僕の命令は絶対だぞ。次はないと思え」

「「はい…」」

30:桜◆kk:2017/10/07(土) 23:42 ID:dN.

「テツ、あなたはどうして変わったの?」

「…ナミさん、僕はもうみんなとバスケをすることができません。でも…あなたと出会えて良かったです」

ーーーーーーーーーーーーーー

「ナミ〜、今日も学校行かないの?」

「行かない。お腹痛い」

「…」

テツが部活をやめた。学校にも来なくなった。バスケ部のみんなも変わった。

征十郎が現れて、帝光中学のバスケ部は常勝が当たり前となった。そして、相手を見下したようなプレーをして、勝っても冷めたような顔。

「ナミ、何があったかは知らないけど、今のあんたは逃げてるだけだよ。」

「…分かってるわよ、そんなこと…」

「今日途中からでもいいから学校行きな。寿司食べに連れてってあげるから」

ーーーーーーーーーーーーーー

私は結局、昼休みが終わったぐらいから学校に行くことにした。3日ぶりの学校だ。

「ナミっちー!!久しぶりっス!大丈夫だったっスか!?」

「何をしてたのだよ、ナミ」

涼太くんと真太郎が声をかけて来る。2人とも、普通の時は前と一緒なのに、バスケに入った途端冷たくなる。

「…別に何もないわよ。心配してくれてありがと」

真太郎が別に心配などしてないのだよ!とメガネを上げながら言う。お前はツンデレか

「もうちょっとで卒業ね、私たちも」

「いきなり何を言い出すのかと思えば…」

「ナミっちはどこの高校行くんスか?」

「さあ…まだ分からないわ。」

まだ、ね。私はもう付いて行くやつは決まってるの。そいつからまだ行く高校を聞いてないだけ。

「あんたたちは?」

「俺は海常高校っス!神奈川にあるところっスよ」

「俺は秀徳なのだよ。そして、青峰は桐皇、紫原は秋田の陽泉、赤司は京都の洛山、黒子は…まだ知らないのだよ。」

さつきはきっと、テツか大ちゃんと同じ高校に行くわね。それにしてもこいつらが行く高校って全部、バスケの強豪校じゃない。誠凛も気になるし…

「…鉄平さん」

「何か言ったスか?ナミっち」

「え、あ、ううん、別に!」

ちょっと誠凛まで行って、鉄平さんに会いに行こうかな…?でも、鉄平さんにとってそれが迷惑だったら…ええい!知らないわよっ!今日の放課後、行ってやる!!!

31:桜◆kk:2017/10/08(日) 15:01 ID:TV.

「……」

「とりあえずどこかで喋るか」

今日、部活終わりに誠凛高校に行く前にコンビニに寄ると鉄平さんに会った。あちらも部活終わりっぽい

「で?どうしたんだ?ナミ。」

「うーん、ちょっとね…相談みたいな、?」

「何でも聞くぞ」

ああ、これが大人ってやつなのね…一つしか学年が違うはずなのに

「私、バスケ部のマネージャーなの。だけど、帝光のみんなは勝って当たり前…勝っても冷めた顔…」

鉄平さんは黙って私の話を聞いてくれる。…鉄平さんがいるなら私、あいつに付いて行くのやめて誠凛行こうかな…

「私は相手を見下したようなプレーをするみんなは、見たくない。今のみんなと戦う相手チームを見たくない。だって、本気でやってる人に申し訳ない気持ちになるから…」

これが今の私の本音。誰にも、さつきにも言えなかった本音。

鉄平さんは優しく微笑んで、わたしの頭に手を置いた。そして、少し荒く頭を撫でる。

「ナミの気持ちはよく分かるよ。俺もバスケで色々あってやめようと思ってたんだ。」

…ちょっと違うと思うけど…。でも、鉄平さんもバスケやめようと思ってたんだ…

「でも、仲間のおかげで立ち直ることができたんだ。まあ、これからしばらくは入院だけどな」

「え、入院するの!?」

「そ。一年ぐらい。その間、誠凛バスケ部がどれだけ強くなるか楽しみなんだ!」

鉄平さんはずっと前を向いている。立ち止まったこともあったかもしれないけど、また歩き出している。なら、私もそうしなきゃ

「…ありがとう、鉄平さん。色々話せて良かったわ!」

「お、もう元気になったのか。」

「ええ!私、もう行く高校決まったわ!!」

「そうか。どこに行くんだ?」

「ふふっ、それはねーーーー。」

32:桜◆kk:2017/10/08(日) 16:32 ID:TV.

今日は卒業式。結局、テツが部活に戻ることはなかったけど、学校に来てるからよしとする。

「ナミっちは結局どこの高校行くんスか?」

「秘密よ。すぐに分かるわ。」

バスケ部のみんなと写真を撮って、テツとも撮って、先生と撮ろうと思ったら説教くらって…

「楽しかったな〜、この3年間」

特にバスケ部のみんなといた時間は、楽しかった。

「修兄もいたし、崎ピョンもいた…征ちゃん、大ちゃん、真太郎、涼太くん、むっくん、テツ、さつき…濃かったな、中学生活」

鉄平さんにも出会って、私はみんなのおかげで変わった。いい方に。

最後はバラバラになっちゃったけど、いつかはみんなが笑顔でバスケしてるところを一緒に見ようねって、さつきと約束もした。

「涼太くんと真太郎とテツと大ちゃんはいつでも会えるけど、むっくんと征十郎は会える回数減るなぁ…」

でも、大丈夫。卒業式の時に見た赤司征十郎は、征ちゃんだったもん。優しくて、悲しい笑顔でみんなを見ていた。

「ナミ、卒業式おめでとう。」

「母さんに報告しなきゃ!」

「それにしても、あんた髪伸びたね。切ろうか?」

母さんの仏壇に手を供えようと座布団に座ると、ノジコが鎖骨下まで伸びた髪の毛に触れてきた。少し毛先に癖がある。

「…いい!私、切らない!」

二年生の三学期ぐらいから切ってない髪の毛。このままいけば、私は伸びるのが早いから高校までには肩甲骨下まで伸びるかしら

「へえ…恋でもしてんの?」

「違うわよッ!!」

いつかみんなが笑顔でバスケができるようになったら、切るの。

「胸も育ったね。今何カップ?」

「Iカップ。ノジコはFだっけ?もう大きくならないでしょ」

「育ち盛りだからまだまだ育つね。さ、肉行こうか、肉」

「うん!!」

33:桜◆kk:2017/10/08(日) 17:24 ID:TV.

ナミっちがどこの高校行くか知らずに、入学式の日になった。俺の周りにはたくさんの女の子がいる。

「黄瀬くんがこの高校って知らなかった〜!」

「これからよろしくね!!」

女の子の大群で全然前に進めない。キョロキョロしてると、オレンジの髪の毛の子を見つけた

「……!」

肩甲骨の下まで伸びた髪の毛には、ウェーブがかかっていて、高校生とは思えぬ体型。

その子が桜を見上げると、強い風が吹いて来た。ポニーテールの、あのオレンジの髪の毛が揺れる。

その子はこっちを見て、微笑んだ。

それは、とてもキレイだった。

「…って、ナミっち!?」

何とその子は、中学が一緒でどこの高校に行ったか分からない、ナミっちだったのだ。昔からキレイだったけど、髪型も体型も変わっていて、全然分からなかった。

「ナミっち!待って!!」

歩き出したナミっちを、女の子たちを押し退けて追い掛ける。そして、手首を掴んま

「ナミっち…」

「涼太くん、久しぶり。」

「なんで教えてくれなかったんスか〜!」

「いいじゃない。サプライズよサプライズ」

「…にしても、髪の毛も体型も変わりすぎっスよ〜!全然分からなかったっス!」

「髪の毛は二つに結んでたし、セーター着てたら体型もそんなに分かんないから…ってか、ちょっと来なさい」

俺の手を引っ張って歩いて行くナミっち。後ろの方から、俺を探す女の子の声が聞こえる。そして、体育館裏で座り込む

「何なの?あの女の子たちは」

「俺のファンの子たちっス」

「うっさいデルモ。…このままじゃ式の時間が延びるわ…どうにかして帰らないと!」

「今日何かあるんスか?」

「引っ越し業者がアパートに来んのよ…東京から引っ越して来たし」

「あー…じゃ、ちょっと来て!」

ナミっちの手を引いて、女の子たちの前に行く

「ちょ!」

「みんな、俺はこっちっスよー!」

そして、走って体育館の中に行く。もう座っていた男たちの中から自分の席を探し、ナミっちを席に送ってから、自分もその席に座る。

「続きは式が終わってからっス!」

無事に式が終わった。ナミっちが1人で帰って行く。その後を急いで追う。

「あら、女の子たちの相手は?」

「必死で逃げて来たっス…それにしてもナミっちと一緒の高校って…嬉しいっス!何でここを選んだんスか?」

「…涼太くんが心配でね〜。本当はすごく迷ったのよ?」

ナミっちが小悪魔のような顔をすると、俺の胸がドキッと鳴った。

「でも、大ちゃんにはさつきがいて、真太郎とテツはあまり心配してないし、むっくんと征十郎は遠すぎてムリ。」

「じゃ、じゃあ俺を心配して…?」

「ま、そうなるわね。私がいるから、ファンの子には手出しできないわよ。」

「出さないっスよ!!」

「私に最初会った時はキスしようとした癖に」

「ちょ!それ言わないで!!」

今はナミっちしか興味ないっス!!

34:桜◆kk:2017/10/09(月) 00:02 ID:TV.

「ナミっち!今年もバスケ部のマネージャーしないっスか!?」

「しない。ここのマネージャーしたら、あいつらの敵になるじゃない」

むっ、と頬を膨らませる涼太くん。私はそいつの頬を指でチョンッと潰してやる。

「じゃあ俺だけのマネージャーになって!」

「いやよ。あっちへいきなさい、駄犬」

何を言い出すのか分からないわ、こいつは…しっしっと追い払うと、女の子たちが大量に駆け寄ってくる。

「私が黄瀬くんだけのマネージャーになる!」

「私よ!何でもするわ!!」

「ちょ、ナミっち〜〜!!!!」

女の子の波に連れて行かれる涼太くんを笑顔で見送る。これで静かに本が読めるわ

「ナミっち!!ひどい目に合ったっス!」

「ちっ、もう撒いてきたか…」

5分ぐらいしたら戻って来た。くそ、こいつ最近女を撒くのうまくなったわね…

「とにかく!バスケ部の見学だけでも来て欲しいっス!!」

「だから!いやって言ってるでしょ!この調子なら、あんたの顔ズタズタにするわよ…?」

「いででで!痛いっス!!」

片頬をつねる。思いっきりつねる。赤くなるまでつねる。

「じゃあ、久しぶりに一緒に帰ろう。」

「…それぐらいなら、いいけど…」

「やった!じゃ、帰るついでに俺んチおいでよ!今日姉ちゃんたちいないし!」

「んー、じゃあお世話になるわ。…ん?」

待って。こいつ、バスケ部だから部活が終わるまで待っとかなきゃダメじゃない!!

「騙したわね!駄犬の癖に!!」

「だって!こうでもしないとナミっち、バスケ部に来てくれないじゃないっスか!」

まったく…なんで私にそんなにバスケ部に来て欲しいんだか…

「…見学だけよ」

「ッナミっち大好きっス〜〜!!!」

「ちょ!抱き付くなァッ!!!」

「ギャンッ」

周りの女の子の視線が痛い。私は急いで教室を出た。もちろん、黄瀬涼太を殴ってから。そして、授業開始のチャイムが鳴る。私は屋上でケータイを開いた。

『もしもし大ちゃん?』

『なんだナミか…授業サボんなよ。赤司に怒られんぞ』

『あんたもサボリでしょ。共犯よ共犯。…さつきは?一緒じゃないの?』

『さつきは授業。お前、結局高校どこ行ったんだ?』

『海常。涼太くんと同じところ』

『黄瀬に付いてったのかよ…。…敵になるな』

『私はバスケ部のマネージャーにはならないわよ。あんたたちと敵対したくないし』

『へえ…やっぱおもしれェな、お前』

『あら、お褒めに預かり光栄だわ。…んじゃ、切るわよ』

『ちょっと待て』

『何よぉ』

『あー…今度一緒にマジバ行くか』

『っうん!行く!!』

『また日程決めようぜ。じゃあな』

『うん。またね』

電話を切ると、少し胸があたたかった。

35:桜◆kk:2017/10/09(月) 01:44 ID:TV.

涼太くんと一緒に帰って、涼太くんの家に寄るため体育館の扉の前で練習が終わるのを待つ

中からは女の子達の歓声が聞こえる

ほとんど涼太くんに向けてだろうけど

「はぁー…黄瀬くんカッコ良かった〜」

「ホントホント」

「黄瀬くんと話したぁい」

「そういえば黄瀬くんと同じクラスのナミっていう子、黄瀬くんと仲良いらしいよ」

「は?まじ!?何それずりー」

「黄瀬くんに色目使ってんじゃない!?」

「どんぐらいのブスか今度見てみよーよ」

「いいねそれ」

練習が終わったのか、体育館の中にいた女の子達がゾロゾロ帰って行った。

ってか隠れてて良かったわ。私すごく悪口言われてるし。確かにあの女たちより、可愛いし男子から人気もあるし胸もあるし性格もいいけど♡

別に気にしてなんかないわ。中学からだし。

「ナミっちー!!」

「涼太くん」

お待たせと言って手をブンブン振りながら、走ってきた。そんなに走らなくても逃げないわよ

「あ、あれが黄瀬の彼女?」

「超かわいい…」

「そうでしょ!俺の彼女まじ可愛いんスよ!」

「誰があんたの彼女よっ!!くだらない冗談言ってんじゃないわよ!!」

「ブフッ!」

涼太くんをぶん殴る。すると、1人の先輩が私の肩を抱いてきた。

「これからは君のためにバスケで勝利するよ。 美しいお嬢さん。」

「あら、ありがとうございます」

「森山由孝だよ。よろしく」

「私はナミです。森山…さん?」

「由孝でいいよ。敬語もなし」

バスケ部の人は変人が多いと再認識したわ。そして、涼太くんの紹介でレギュラーの人と仲良くなった。これまた、全員一癖も二癖もある。

ーーーーーーーーーーーーーー

「ナミっち、どうかしたんスか?」

なんか元気ないッスよと私の顔を覗き込んでくる

「な、何でもないわ!」

悪口言われたこと気にしてるわけじゃないけど…なんだか胸に引っかかる。

「嘘」

「へ?」

「ナミっち嘘ついてるっス」

なんでこいつはこういうときだけ勘がいいのよ

「何があったか言わなくてもいいっスから、溜め込まないでよ」

ほら、と言って左手を差し出す涼太くん。これは手を繋げと…?でも、私はその手をパチンと払った。そして、笑顔を浮かべる。

「大丈夫よ。私ってそんなに弱くないから。」

「……」

涼太くんは不満そうな顔をしていたけど、これは本当だから。

私の悪口が言ったやつは、みんな私が何らかの制裁を喰らわすわ。うふふ、楽しみ♡

36:桜◆kk:2017/10/09(月) 02:33 ID:TV.

「おじゃましま〜す」

ナミっちが俺の家に寄る。何度か来ているこの家に、ナミっちはもう慣れただろう。料理を作るために冷蔵庫を開く。

「…涼太くん、スーパー行かない?」

「いいっスけど、何で?食材なかったスか?」

「あるけど、賞味期限切れかけだわ」

姉ちゃんたちのせいだ。いつか料理で使うからと、取ってた食材だろう。

「お金は私が「俺が出すっスよ。ナミっちの手料理をタダで食べれるんスから」

ナミっちをチャリの後ろに乗せて、この辺で1番近いスーパーに向かう。

「このコロッケ食べたいっス!」

「ダメよ。今日はハンバーグなの」

「ナミっちのごはんは何でも美味いっスよ!」

「はいはい、ありがと」

他の人たちから見たら、俺たちはどう見られてるんだろう…?恋人?兄妹?はっ!まさか高校生夫婦!?

「さ、帰るわよ。涼太くん」

「はいよっス」

荷物をカゴに入れて、ナミっちを後ろに乗せて再びチャリを漕ぐ。ナミっちは俺にもたれかかって来た。

「涼太くん」

「何スか?」

「私、海常に来て良かったかもしれない。バスケ部の人たちはみんな優しいし、面白いし」

「じゃ、じゃあ、マネージャーやってくれるんスね!!?」

「それはやらない。」

「何でっスか!!これやる流れっスよ〜!」

「でも…合宿の時なら臨時マネージャーとして出張してあげるわ!」

臨時マネージャー…合宿…よし、笠松先輩に合宿たくさんやるようにと頼んでみよう。

ーーーーーーーーーーーーーー

「笠松先輩!!」

「うおっ!ナミ!いちいち抱き付くな!シバくぞ!!」

「とか言いつつ、顔真っ赤じゃない。先輩」

「うるっせぇ!!」

「羨ましいっス、笠松先輩…」

「同感だ…」

37:桜◆kk:2017/10/09(月) 02:55 ID:TV.

「えっと…体育館どこだろ」

「ちょっと涼太くん」

「こっちっスかね」

「ちょっと!聞いてんの?」

「なんスか?ナミっち?」

私と涼太くんは今、誠凛高校にきている。誠凛高校に用事があるのは私じゃない。この駄犬。私は無理矢理連れてこられた。

「なんスか?じゃないわよ!なんで私を連れて来たのよ!こんなとこに用事はないわ!!
…ちょっと、呑気にファンに手振ってないで私の質問に答えないよっ!」

繋がれている手を振り払おうとしたが、意外に強い力で握られていて解けない。

ムカついたので足でふくらはぎを思いっきり蹴ってやる。

「ちょ、スポーツ選手の足!」

「なによ?だったら顔面にグーパンチプレゼントするわよ」

「モデルの顏!そんなこと言わないでナミっち〜!…じゃなくて、誠凛高校って聞き覚えないっスか?」

そうだ、テツの高校!!

そうと分かれば早く会いたい。涼太くん早く、と言って手を引っ張る。

「あ、ちょ、たぶんそっち体育館じゃないっスよ」

そう言うと涼ちゃんは私の手を引いて歩き出す。

確か誠凛って、鉄平さんもいるところじゃない!でも、今は入院中で会えないかぁ…

ーーーーーーーーーーーーーー

「ねぇ涼太さん涼太さん」

「ちょ、涼太さんとか、なんか照れるっスね」

「うっさい駄犬。そうじゃなくて…」

体育館に入ったはいいものの、涼太くんのファンに囲まれてサイン会が始まってしまった。

涼太くんの隣りにいた私も囲まれてしまって身動きが取れない。すぐそこにテツがいるのに近寄れない。

「何!?なんでこんなにギャラリーができてんのよ」

バスケ部のマネージャーさんだと思われる人物が声を上げた。うちの駄犬が迷惑掛けて申し訳ないわ

「あーもー…こんなつもりじゃなかったんだけど…」

隣りに座りながらサインを書いている涼太くんがボソッと呟いた。

「あいつは…黄瀬涼太!」

誰かが発した声に涼太くんと2人でそちらを見た。

「…お久しぶりです」

テツと目が合って挨拶された。

「ひさしぶ「テツ!!久しぶりィ!!!!」

「ちょ、俺の声遮らないでよナミっち!」

文句を言っている涼太くんを華麗に無視して、テツに手を振る。

「すいません。マジであの…え〜と…てゆーか5分待ってもらっていいスか?」

「早くしなさいよ」

あんたが早くしないと私も動けないでしょーが

サインを書き終えて、よっと体育館のステージから涼太くんが降りる。そして私に手を差し伸べてきたので素直に握り、私もステージから降りた。

「いやー、次の試合の相手誠凛って聞いて、黒子っちに挨拶に来たんスよ…ね、ナミっち」

「私、無理矢理連れてこられたのよ!テツ!」

そう言って抱き着くと頭をよしよし撫でられた。そして、ナミさんは黄瀬くんと同じ高校に行ったんですね、と言われた。

「俺達中学の時一番仲良かったしね!」

テツから離れて2人の会話を聞く。

「フツーでしたけど」

「ヒドッ!」

ナミっち〜、と泣き付かれたけど無視を決め込む。

「というかそこのナミちゃんっていう子は海常のマネージャーさん?」

「違うっス!ナミっちは俺の彼女っス!」

「僕の中学時代の同級生で、今は海常に通っています。帰宅部です」

私もテツも、ふざけたことを言っている涼太くんを無視したら、また泣き付かれた。

「ふーん…」

女の人は私に近付くと、ガシッと私の胸を掴んだ。

「ひゃッ」

咄嗟に変な声が出てしまった。

「くそ、デカイ…IかHってところか…」

な、何なの?あの人…!ってゆーか、顔真っ赤にするな男共ォ!!

するといきなりシュッと音がしてバスケットボールが私と涼太くんの方に飛んできた。

「っと!?」

涼太くんは私を抱き締めてボールを片手で防いだ。バチィと音がした。

「った〜。ちょ…何?ナミっちに当たったらどうするんスか?」

「せっかくの再開中ワリーな。けど、ちょっと相手してくれよイケメン君」

「「火神!?」」

どうやらさっきのボールは彼が投げたみたいだった。

「血気盛んね〜」

涼太くんは文句言ってたけどなんだか、やる気になってブレザーとネクタイを脱いで私に渡してきた。

「これお願いナミっち」

「……」

私は無言でそれをテツに渡そうとしたけど押し返されたので、仕方なく持っててやることにした。

38:桜◆kk:2017/10/09(月) 03:09 ID:TV.

涼太くんと火神ちゃんの勝負はあっさり涼太くんが勝った。

「ん〜…これは…ちょっとな〜。こんなんじゃやっぱ…挨拶だけじゃ帰れないっスわ。…やっぱ黒子っちください」

何言ってんのこいつ。と思いながら退屈過ぎて欠伸がでた

「海常おいでよ。また一緒にバスケやろう」

涼太くんの言葉に体育館が静まる

「とても光栄です。丁重にお断りさせて頂きます」

「文脈おかしくねえ!?」

2人のやり取りに思わずふっと笑みが溢れてしまう。それから2人の会話を聞き流しながら、今日の晩御飯のことを考える。

「冗談苦手なのは変わってません。本気です」

ハッと我に返ったとき、なんだか険悪なムードになりそうだったので急いで2人のもとに駆け寄る。

「涼太くん!そろそろ帰るわよ。誠凛の皆さんこいつが迷惑掛けてごめんなさい!」

そう言って片手に涼太くんのブレザーとネクタイを持ったまま、もう片方の手で涼太くんの腕を掴んで連行する。

「あ、テツ!また今度会いましょう!」

そう言って微笑めばテッちゃんがはい、と言って微笑み返してくれた。

ーーーーーーーーーーーーーー

「ねぇねぇナミっちー」

「なに?」

涼太くんがブレザーを着てネクタイを結びながら声を掛けてきた

「さっきの黒子っちの言葉聞いたっスか?」

「え、いや全く」

「えー…。俺たちキセキの世代を倒すらしいっス。無謀なこと言うねー、黒子っち」

「そんな余裕かましてたら負けるわよ。寧ろあんたたちのその余裕な態度がムカつくから倒して欲しいわ」

そう言うとまた涼太くんが泣き付いてきたのでうんざりした。

「あ、海常で試合あるから見にきてよナミっち」

「いやよ。面倒くさい」

「そんなこと言わないで、夜ご飯奢るからさ」

「んー、考えとくわ」

私はそんな晩ごはん代が浮く方がいいか、朝から学校へ行くかですごく迷った。

誠凛のことは気になってたし、テツがどれぐらい成長したのか見てみたい。よし、行こう

39:桜◆kk:2017/10/09(月) 03:56 ID:TV.

練習試合当日。私と涼太くんで、誠凛さんたちを迎えに行く。

「火神くん、ナミさんです」

「よろしく!火神ちゃん!」

「ちゃん!!?」

ーーーーーーーーーーーーーー

誠凛さんは体育館に入って驚いた。当たり前か。半面しか使わないのだから。これは本当にウチを倒して欲しい。監督イラつくし。あと黄瀬涼太も

そして、試合が始まった。

笠松先輩のボールを一瞬で奪うテツ。さすがね。ここは変わってないわ。そして、テツからのパスを受けて火神ちゃんがゴールを決めた…ってか!!

『ゴールぶっ壊しやがったぁ!!?』

軽くゴールを壊した火神ちゃん。…へえ、面白いじゃない。しかも何か大ちゃんに似てるし

呆然としてる監督をよそにコート全面を使うことになった。

そして、我らがキセキの世代の黄瀬涼太が試合に参加…どうなるのかしら…あら、誠凛の監督さんは気付いたようね。黄瀬涼太のすごさを

女の子に手を振る涼太くんを、笠松先輩がシバく。もっとやってもいい。

次は涼太くんがゴールを決める。さっきの火神ちゃんを模倣して。

ーーーーーーーーーーーーーー

始まってまだ3分なのに、ハイペース。これはノーガードで戦ってるもんだわ。

火神ちゃんがムキになって挑めば挑む程、涼太くんはそれ以上の力で返してくる。今のままじゃ、火神ちゃんは追いすがるのが精一杯ね…

監督さんも同じことを思ったのか、誠凛がTOを取った。

監督がキレる。その顔を見てると、カマキリが餌を食べているところを見る気分になる。おえ

「彼には弱点がある。」

テツー!がんばってよー!

私は手を合わせて祈った。

40:桜◆kk:2017/10/09(月) 10:50 ID:TV.

監督さんがテツを締める。あの人と気が合いそう…っじゃなかった!!

TOが終了し、試合が再開される。すると、いきなり笠松先輩が3Pを決めた。やだ、かっこいい

「笠松先輩かっこいいー!!」

「うっせぇ!!バカナミ!!!」

巨乳好きのくせに

テツのミスディレクションに慣れたのか、だんだんパスを取られなくなった海常。ジワジワ差は開いて行く。

すると、火神ちゃんが大声で笑いだした。どうやら、涼太くんが何か言ったらしい。でも、火神ちゃんは、とても嬉しそうな笑顔だった。何か、強敵と出会えて嬉しい、みたいな。大ちゃんみたいね…

ーーーーーーーーーーーーーー

休憩に入り、誠凛さんの方は、火神ちゃんの作戦で行くみたいだ。

休憩が終了し、両者コートに戻る。何か変わったっぽいけど…分からない

「ッテツと連携でゴールを!?」

こんなの、並技じゃないわよ!!!涼太くんも動揺してる…

次はテツはメガネの人にパスを投げた。そのメガネの人は、涼太くんが防ぐ前に受け取り、3Pを打つ。

「ま、どうせ黄瀬には勝てねーって」

「…1人でならね。2人なら、勝てるわ。」

あの2人なら、ね…!

すると、テツが涼太くんのマークについた。これにはさすがに、誰も予想だにしてなかったらしい…もちろん私も

さて、どうなるのかしら…

41:桜◆kk:2017/10/09(月) 11:57 ID:TV.

「黄瀬についてんのって…すげーパスしてたやつだろ?」

「え、うそ。見てねー」

「ってゆーか…」

『相手に…なるわけねえーーーッ!!!』

初めて見た…!テツと涼太くんがこんな風に向き合ってるところなんて!!

涼太くんはドリブルでテツを抜く。すると前に火神ちゃんが現れた。そして、テツが背後からボールを取る。

「止めるんじゃない…!獲るんだ…!!」

そして、一気にゴールを決める。笠松先輩たちも厄介そうな顔をしている。次は3Pを打と
うとした涼太くんを、火神ちゃんが抑え込む。

なるほど。つまり平面はテツが、高さでは火神ちゃんがカバーするってことね…!!

すると、涼太くんの手がテツに当たった。テツの頭からは、血が流れる。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「ッテツ!!」

急いでテツの元に駆け寄る。

「監督さん!早く手当てを!!」

「ナミさん、大丈夫です。まだまだ試合はこれから…でしょう…」

「黒子ォーーー!!!/テツゥーーー!!!」

何倒れながら言ってんのよ!!

「…どうする」

「黒子くんはもう出せないわ。残りのメンバーでやれることやるしかないでしょ!」

私は誠凛さんの作戦会議を黙って聞いとく。だってテツが心配だもの。私はバスケ部じゃないから監督に怒られても無視無視。

「早いけど“勝負所”よ、日向くん!」

3P決めてた人って、日向くんってゆーのね。ってゆーか、“勝負所”ってなに?

「黄瀬くんに返されるから、火神くんOF禁止!DFに専念して。全神経注いで黄瀬くんの得点を少しでも抑えて!!」

「そんな…それで大丈夫なんで…すか?」

確かに。テツがいないのに火神ちゃんをDFにまわしていいの?

「大丈夫だって。ちっとは信じろ!」

「でも…」

「大丈夫だっつってんだろダアホ。たまには先輩の言うこと聞けやころすぞ!」

笑顔でそう言う日向くんには、赤髪のあのお方を思い出させられる。ってゆーか何?怖いんだけど…

「ったく、今時の一年はどいつもこいつも…もっと敬え!センパイを!そしてひれふせ!!」

「スイッチ入って本音漏れてるよ、主将」

え、あの人主将なの!?うそ、こわっ!日向くんの変わりように、火神ちゃんがすごく驚く。すると、火神ちゃんにイケメンな人が近付く。

「あー、気にすんな。クラッチタイムはあーなんの」

「……?」

それでも分かってないみたいな火神ちゃん。うん、私もよ

「とりあえず、本音漏れてる間はシュートそう落とさないから。OFは任せて、お前はDF死にものぐるいでいけ」

か、かっこいい…!笠松先輩とはまた違うかっこよさ!誰だろ、あの人…!

「…監督さん、あの人たちって?」

「あいつらは…って何で膝枕してんの!?」

「いい機会だったんで」

「ハァ…あいにくウチは一人残らず…諦め悪いのよ」

そう言う監督さんの顔は、すごくかっこよかった。何?誠凛ってかっこいい人多くない?

「優しい時は並の人!スイッチ入るとすごい!でも怖い!!二重人格クラッチシューター日向順平!!」

に、二重人格…?ああ、赤髪のお方が脳裏に…

「沈着冷静慌てません!クールな司令塔!かと思いきやまさかのダジャレ好き!伊月俊!!」

し、司令塔…?赤髪のお方がはっきりと脳裏に…!ってゆーかこの人、伊月さんってゆーのね

「仕事キッチリ縁の下の力持ち!でも声誰も聞いたことない!!水戸部凛之助!!」

誰も声を聞いたことがないって…相当な無口じゃない!!会話とかどーしてんのっ!?

「なんでもできるけど、なんにもできない!Mr.器用貧乏!小金井慎二!!」

最後の人、扱いひどくない?まー、かわいいからコガって呼ぼう。

これが誠凛ね。おもしろいわ、やっぱり!

42:桜◆kk:2017/10/09(月) 14:41 ID:TV.

「…ナミさん、約束します。」

「え?」

「僕はキセキの世代に勝ちます。そしたらまた、バスケしましょう。みんなと、一緒に。」

そう言いながら私の手を握るテツ。そして、コートへ向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーー

慣れたのにもう戻ってやがる、って顔ね。20分試合に出てないのよ。当たり前じゃない。

そしてついに、同点まで並んだ。

涼太くんのフインキも変わる。そして、一気にシュートを決めた。ここからは、ランガン勝負ね

残り15秒で同点…!どうすんのよ!

残り7秒の時、笠松先輩のシュートを火神ちゃんが抑えてボールを取る。そして、テツにパスをまわす。

テツはシュートなんてできないはず…!

「っ、パスミス…?」

ううん、違う!!火神ちゃんが取った!でも、涼太くんが防ごうと飛ぶ。

だけど、飛んでる時間は火神ちゃんの方が長い

「これで終わりだからな!!!」

試合終了と同時に火神ちゃんが決めた。

点数は100対98…ってことは

『うおおおお!誠凛が!?勝ったぁぁ!!!』

テツが、火神ちゃんが、誠凛が勝ったんだ!!監督さんが私に抱き付いてくる。私は涼太くんの方を見た。

初めて感じる敗北に、涙を流していた。

「え、黄瀬泣いてね?」

「いや、悔しいのは分かっけど…たかが練習試合だろ」

私は敢えて涼太くんを励まさない。だって、今励ますのは私の役目じゃないから。

つーかうっさいのよ。あんたたち試合出てないじゃない。涼太くんの気持ちも分からない癖に。…まあ、私もあんまり分かんないけど。でも、あの人たちなら分かるわよね

「っのボケ!メソメソしてんじゃねーよ!!」

「いでっ!」

「つーか今まで負けたことねーって方がナメてんだよ!!シバくぞ!!!」

笠松先輩が涼太くんの背中を蹴る。

「そのスッカスカの辞書に、ちゃんと“リベンジ”って単語追加しとけ!!」

「整列!!100対98で誠凛高校の勝ち!!」

『ありがとうございました!!!』

ーーーーーーーーーーーーーーー

「次はI.Hね!がんばりなさいよ!」

「あんた、ウチのこと応援してもいいのか?」

「さっき黒子のこと膝枕して、海常の監督に怒鳴られてたしな」

「いいのよ。私はバスケ部じゃないもん。日向くん、俊くん」

「ひゅ、日向くん!?」

「俊くん…」

何でお前だけ下の名前呼び!?ってゆーツッコミは無視して、私は監督さんに頭を下げる。

「お疲れ様でした。では」

「待ってナミちゃん!私は相田リコ。よろしくね」

「っ、はい!!」

私に新しい友達がたくさん増えた。

「テツ、火神ちゃん、涼太くんに勝ってくれてありがとう。」

それだけ言って私は、涼太くんを探しに行った。

43:桜◆kk:2017/10/09(月) 15:50 ID:TV.

涼太くんを探しに中庭に行くと、水道のところで黄色頭がしゃがみ込んでいるのを見つけた。

私はその黄色頭に駆け寄る

「涼太くん」

声を掛けると俯いてた涼太くん顔を上げる。

「ナミっち…」

目が赤くなってて、さっきまで泣いてたことが分かる。

でもあんたは、弱ってるところを人に触れられたくない男だから、触れないであげるわ。

水道に腰掛けて、しゃがみ込んでいる涼太くんの頭をぽんぽんと撫でた。

すると涼太くんがガバッと立ち上がり、私もつられて立ち上がる。

そして、私の胸に顔を埋めた。

普段は女の子の目を気にしてぶん殴るけど、今日は何も言わず、されるがままにしておいた。

「もうちょっと、このままでいさせて」

「…うん」

涼太くんが私の胸の中で弱々しく呟いた。

「俺、かっこ悪ぃっスよね…余裕こいて、本気出して負けたんスもん…」

「私は、本気を出して負けたことはかっこ悪いとは思わないけど。」

私は弱々しく喋る涼太くんの背中をぽんぽんと叩く。

「大丈夫。本気のあんた、かっこ良かったわ。次はI.Hでしょ?誠凛さんにも言ったけど、がんばりなさい」

「ナミっち…」

「それに…私は今の涼太くん、好きよ。」

本気で、勝つために、お遊びなしで頑張るあんたは、すごくかっこ良かった。

「だから、いつまでも下を向かない!私の知ってる黄瀬涼太は…「ナミっち〜!!」

「…は?」

涼太くんが私を抱き締める。ってゆーかさっきのシリアスは!?

「やっと俺と付き合ってくれるんスねー!!」

「アホかァ!!私が言ってんのは試合中の涼太くんが好きってこと!!一言も付き合うとか言ってないでしょ!!!」

涼太くんを引っぺがして、殴る。再起不能にしてやろうか

「だいたいねぇ、あんたと付き合うくらいなら、どこぞの御曹司か医者の息子と付き合うわよっ!」

「ひどいっ!俺だって結構稼いでるっスよ?モデルで」

「うっさい!!」

もう2発げんこつをお見舞いする。でも、いつもの調子が戻って良かったわ。

「…そろそろイチャつくのもやめるのだよ」

「え…」

嘘でしょ、この声と喋り方は…

「しん、たろー…?」

「久しぶりなのだよ、ナミ。それより黄瀬、何ださっきの試合は「真太郎!!嘘、本物!?何で神奈川にいるの!!?」

真太郎に抱き付いて、頬をペチペチ叩く。ナミっちーと泣いてる駄犬は無視だ。

44:桜◆kk:2017/10/09(月) 20:31 ID:TV.

涼太くんを探しに中庭に行くと、水道のところで黄色頭がしゃがみ込んでいるのを見つけた。

私はその黄色頭に駆け寄る

「涼太くん」

声を掛けると俯いてた涼太くん顔を上げる。

「ナミっち…」

目が赤くなってて、さっきまで泣いてたことが分かる。

でもあんたは、弱ってるところを人に触れられたくない男だから、触れないであげるわ。

水道に腰掛けて、しゃがみ込んでいる涼太くんの頭をぽんぽんと撫でた。

すると涼太くんがガバッと立ち上がり、私もつられて立ち上がる。

そして、私の胸に顔を埋めた。

普段は女の子の目を気にしてぶん殴るけど、今日は何も言わず、されるがままにしておいた。

「もうちょっと、このままでいさせて」

「…うん」

涼太くんが私の胸の中で弱々しく呟いた。

「俺、かっこ悪ぃっスよね…余裕こいて、本気出して負けたんスもん…」

「私は、本気を出して負けたことはかっこ悪いとは思わないけど。」

私は弱々しく喋る涼太くんの背中をぽんぽんと叩く。

「大丈夫。本気のあんた、かっこ良かったわ。次はI.Hでしょ?誠凛さんにも言ったけど、がんばりなさい」

「ナミっち…」

「それに…私は今の涼太くん、好きよ。」

本気で、勝つために、お遊びなしで頑張るあんたは、すごくかっこ良かった。

「だから、いつまでも下を向かない!私の知ってる黄瀬涼太は…「ナミっち〜!!」

「…は?」

涼太くんが私を抱き締める。ってゆーかさっきのシリアスは!?

「やっと俺と付き合ってくれるんスねー!!」

「アホかァ!!私が言ってんのは試合中の涼太くんが好きってこと!!一言も付き合うとか言ってないでしょ!!!」

涼太くんを引っぺがして、殴る。再起不能にしてやろうか

「だいたいねぇ、あんたと付き合うくらいなら、どこぞの御曹司か医者の息子と付き合うわよっ!」

「ひどいっ!俺だって結構稼いでるっスよ?モデルで」

「うっさい!!」

もう2発げんこつをお見舞いする。でも、いつもの調子が戻って良かったわ。

「…そろそろイチャつくのもやめるのだよ」

「え…」

嘘でしょ、この声と喋り方は…

「しん、たろー…?」

「久しぶりなのだよ、ナミ。それより黄瀬、何ださっきの試合は「真太郎!!嘘、本物!?何で神奈川にいるの!!?」

真太郎に抱き付いて、頬をペチペチ叩く。ナミっちーと泣いてる駄犬は無視だ。

45:桜◆kk:2017/10/09(月) 22:50 ID:dN.

「触るな!…黄瀬、さっきの試合は何だ?まあ…どちらが勝っても不快な試合だったが」

メガネをカチャッと上げる仕草は相変わらず癖のようだ。ナミっちの手を払って俺の方を見る緑間っち。…ナミっちのことは引き離さないんスね…

「サルでもできるダンクの応酬。運命に選ばれるはずもない」

「帝光以来っスね。つか別にダンクでも何でもいーじゃないスか。入れば」

ぶーっと頬を膨らますと、緑間っちから離れたナミっちが頬袋を潰してくれる。…指グリグリすんのやめて!痛いっス!!

「だからお前はダメなのだよ。近くからは入れて当然。シュートはより遠くから決めてこそ、価値があるのだ」

ってゆーか、この人の指のテーピングは相変わらずだな…

「俺は人事を尽くしている。そして、おは朝占いのラッキーアイテムは必ず身につけている。だから俺のシュートは落ちん!!!」

毎回思うんスけど…最後の意味が分からん!!これがキセキの世代No. 1シューター…

「真太郎、メガネ貸して!…だから俺のシュートは落ちん!!!…ブッ、あははは!!」

「返すのだよ!!」

「ブフッ、ギャハハ!似てるっス!!」

ナミっちが緑間っちのメガネを取ってかける。そして、低い声で先ほどの緑間っちの真似をする。ついつい吹き出してしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「あ、真ちゃんいたいたー」

「え、あんた真ちゃんって呼ばれてんの?ぷぷっ、かわいいじゃない」

「うるさいのだよ。」

「しかも友達できたの?これは大ちゃんに報告ね!」

「うるさいのだよ!あいつは下僕だ」

「照れなさんな」

「うるさいのだよ!!」

46:桜◆kk:2017/10/09(月) 23:13 ID:dN.

真太郎と別れて、涼太くんと2人で並んで帰っているとステーキボンバーという店からテツが出てきた。

「テツ!」

「あ、ナミさん。…と黄瀬くん」

「…黒子っち。ちょっと…話さねぇスか」

「……?」

テツに会えたことに嬉かったけど、今の私はそれよりも違うことに興味がいった。

超ボリューム4kgステーキ
30分以内にたべきれたら無料

これ、たべれる人いんの?すっごく気になる…それにお腹も空いたし

「ここじゃあれなんで場所移動しよ。行くっスよ、ナミっち。…あれ?」

「ナミさんならワクワクしながら、そこの店に入って行きましたけど」

「ハァ…ナミっち〜…」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ステーキボンバーに入ると誠凛さんが勢揃いだった。

邪魔にならないように端のほうに座って取り敢えず普通サイズのステーキを注文する。

店の人は誠凛さんの方を見て涙を流していた。私も見てみると、火神ちゃんがぱくぱくとボリュームステーキを完食していた。

り、リスみたいに食うとる…

財布を見ると、お金が少し足りなかった。…仕方ない。お店の人を読んで、潤んだ目で少しシャツのボタンを開けて話す。

「お金が少し足りないんですけど…」

「お、おまけします!おまけ!!」

「やだ!ありがとうございます!!」

ガバッとお店の人に抱き付く。チョロいもんよ、男なんて

店の人にヒラヒラと手を振って外にでると誠凛さん達が慌てていた。

「どうしたの?リコさん」

「あら、ナミちゃん!黒子くん見てない?」

「あー、なんかさっき黄瀬涼太と話をするって…」

最後まで言い終わるうちに、何だってー!?と叫んで誠凛の人達はテツを捜しにいった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

涼太くんどこに行ったんだろ、と思って携帯を開くと、ストバスが出来る公園に黒子っちといるから、というメールがきていた。

そちらに向かおうとしたら火神ちゃんを見つけた。

「火神ちゃん、テツの居場所分かったわよ」

「まじで?案内してくれ」

ストバスの公園につくと涼太くんとテツが深刻そうな話をしていた。だから火神ちゃんと2人でこっそり話を聞いていた。

といっても私には何のことだかさっぱり分からなかったので、早々飽きていた。

ボーっとしているといつの間にか隣りに居たはずの火神ちゃんがいなかった。

あれ?と思い涼太くんたちほうを見ると、涼太くんと火神ちゃんが居た。

「テツがいない」

キョロキョロと辺りを見るとストバスのコートでテツが不良相手に喧嘩売っていた。私は思わず駆け出す。

「はぁ?いきなりなんだてめぇ」

不良がテツの胸倉を掴んだところでようやく辿り着いた

「ちょっと!そいつを離しなさいよ!」

「ナミさん?」

「あ?んだこの女…お、可愛い顔してんじゃねぇか」

そう言って不良どもの手が顔に触れたのでパシッと振り払う。

「触んないで」

「気の強ぇ女も嫌いじゃねえぜ」

と不良どもが近づいてきたと思ったら私と不良どもの間にテツが割って入った。

「ナミさんに近づかないでください」

「あ?なんだこら…そうだ、バスケで勝負してやる。負けたらこの女は貰うぞ」

は?何言ってんのよ。見るからに貧乏そうな癖に、と言ってやろうと思ったらなんだかテツがやる気になっていて言い出せなかった。

「あのー…俺らも混ざっていいっスか?」

背後から声がしたので振り返ると涼太くん火神ちゃんがいた。

「ったく、何やってんだテメーら。まぁいい、5対3でいーぜ。かかってこいよ」

火神ちゃんが啖呵を切ると相手の不良どもは怯えていた。

涼太くんにブレザーとネクタイを渡され、またかと思いながら受け取る。するとテツと火神ちゃんがこれもお願いとジャージを渡してきたので涼太くんのブレザーを地面に落として2人のジャージを受け取った。

「ナミっち酷い!」

と抗議を受けたので仕方なく拾ってやる。そしてブレザーを羽織った。

47:桜◆kk:2017/10/09(月) 23:36 ID:dN.

勝負は瞬殺だった。

もちろんテツたちの勝ち。

「おまえは!何を考えてたんだ!!あのまま喧嘩とかになってたら勝てるつもりだったのかよ!?」

「いや100パーボコボコにされてました」

テツが力こぶを見せるも、全くない。私のほうがあるんじゃないの?

私は羽織っていたブレザーを脱いで、ネクタイと一緒に涼太くんに渡しに行った。

「ナミっちも、自分が女の子ってこと自覚して欲しいっス。まじで俺心臓止まるかと思ったんスから」

「でも「でもじゃない。いくら強くても男が本気出したらナミっちだって勝てないかもしれないんスから」

涼太くんにそう言われて、むぅ…とむくれる。

「黄瀬くんの言う通りですよ、ナミさん」

テツにまで言われて眉根を下げる。そしたら火神ちゃんに頭をガシガシ撫でられた。

「あんま無茶すんなよ」

「お父さん!!」

「誰がお父さんだ!!…ってうおっ!!」

抱き付くと、不器用ながらも受け止めてくれた

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「じゃ、俺達はそろそろ行くっスわ…最後に黒子っちと一緒にプレーもできたしね!」

そう言って綺麗な顔で笑った涼太くんに無意識に見惚れてて、柄にもなく心臓がドキドキした。

すぐに我に返ってテツと火神ちゃんにジャージを渡した。

「あと火神っちにもリベンジ忘れてねぇっスよ!」

「火神っち!?」

「良かったわね。認められた証拠よ」

「良くねぇよ!」

「じゃあね。テツ、火神ちゃん」

「はい」

「おう、またな」

そして私は待っててくれた涼太くんの隣りに並ぶ。

「そういえばナミっち、なんでシャツのボタン開いてるんスか?」

「げっ!!こ、これは…熱くて…」

「また男誘惑して、おまけしてもらったんスね!?危ないからやめてって言ってたじゃないっスか!!」

「ご、ごめんごめん!…きゃっ」

走り出そうとすると、こけそうになって涼太くんが腕を咄嗟に掴んでくれた。

そのまま涼太くんの手は私の手をがっしり繋いだけど、今日はこのままにしておこう

「涼太くん…元気出しなさいよね」

やっぱ。負けた後だからか、どこと無く元気がなかった涼太くん。なんだかこっちが調子狂う。

「もう、だいぶ元気出たっスよ」

涼太くんの言葉に、自然と笑みが浮かぶ。

「…ありがとう、ナミっち。ナミっちが居てくれたから元気出たっス。…出来れば、これからもずっと側にいて欲しいかなー、なーんて…」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「…あ、この音楽好きだわ」

「あれ!?いつの間にイヤフォンしてたの!?今俺ちょー重要なこと言ったのに!」

(何よこれ、何でこんなにドキドキするのよ!何でこんなに駄犬がかっこ良く見えんのよ!)

48:桜◆kk:2017/10/10(火) 01:50 ID:dN.

「俊くーん!」

私はよく誠凛さんにお邪魔している。目的は伊月俊くん。あとテツとか

「ナミ、また来たのか」

「火神ちゃん!だって俊くんに会いたくて!」

「君の瞳に人見知り!!キタコレ!」

「うっせえよダアホ!ナミも物好きだよな…コレがいいとか」

「このちょっと残念な感じがいいんですー!…あ、そうそう…リコさんいる?」

とうとう大ちゃんたちにも勝ったらしい誠凛さん。だから、海常、桐皇、秀徳の監督が話し合って決めたのだ。

この3つの学校の、合同合宿を。

「カントクならもうすぐ来ると思うぞ」

鉄平さんと一緒に、リコさんが来た。私は俊さんから離れて、2人に近付く。

「リコさん!少しいいですか?」

リコさんを呼び止めて、合同合宿の話をする。リコさんはその話を聞いて、嬉しそうだった。

「みんな!集合して!!」

リコさんの声で、みんなが集合する。

「来月、誠凛、桐皇、秀徳の合同合宿が行われることになったわ。各自気合い入れて行きましょう!」

「でも、どこで合宿なんかするんだ…です?」

火神ちゃんが、みんな思ったであろう疑問をぶつけて来た。

「みんなは最近、スポーツ選手の為の新施設がオープンしたのは知ってるわよね?」

「そこはジムやプール、様々なスポーツのコートがあるの。それだけじゃない!」

「ホテルも付いてるの。そこに、私たち三校が貸し切りで合宿するの。ま、そこの館長さんが特別に貸してくれたんだけどね」

「とにかく、バスケをするには充分な場所ってことだな!…です」

リコさんと交互で説明をする。そろそろ部活が始まりそうだから、私は言いたかったことをテツと火神ちゃん、誠凛の皆さんに伝える。

「大ちゃんの笑顔を見せてくれてありがとう!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「俊くん!合宿の間、ずっとそばにいられるわね!」

「そばにいたら蕎麦のびる!キタコレ!」

「黙れ伊月!!そして羨ましい!!!」

「テツー!火神ちゃん!!」

「俺にも抱き付いてっス〜!ナミっちー!!」

「どっから湧いて来たデルモ!!」

49:桜◆kk:2017/10/10(火) 02:20 ID:dN.

ついに来た合同合宿の日。私はバス停に涼太くんと行く。もちろんバスも専用のバスだ。

「大ちゃん!!」

「ナミ!でかくなったじゃねぇか」

「触るなっ!!!」

大ちゃんに駆け寄ると胸を揉まれた。あとであいつの財布から5000円ほど抜いておこう…

「ナミさんもマネージャーでしたっけ?」

「臨時マネージャーっスよ、桃っち!」

「どうせ晩メシ奢るとか言われたんだろ」

「違うわよっ!!」

失礼極まりない大ちゃんのふくらはぎを思いっきり蹴る。痛がる大ちゃんを他所に、私はテツや俊くん、火神ちゃんを探す。

「遅くなってすみません!」

リコさんが来た。…ということは、誠凛が来たんだ!!

「テーツーくん!!!」

「俊くーん!!」

私は俊くんに、さつきはテツに抱き付く。その後を涼太くんと大ちゃんが追って来た。

「ナミっち!今すぐ離れて!!それか俺にもやって!」

「んー!むんー!んん!」

「おい、お前のおっぱいで埋もれて死にかけてんぞ」

「いやーっ!!俊くーん!!」

「だから羨ましいっス!!!」

駄犬がうるさいので、俊くんから離れた。すると即座に駄犬と大ちゃんが私にくっ付く。

「…熱いし重い!!」

「えー!じゃあこうっスか?」

涼太くんのせいで、私は大ちゃんと涼太くんと手を繋ぐことになった。ったく、今からバスに乗るってゆーのに

「緑間たちは?」

「もう!大ちゃんってば聞いてなかったの?ミドリンたちは現地集合だよ!」

バスは学校ごとに違うから、私は涼太くんの隣に座る。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミっち最近冷たくないっスか〜!?」

「うっさい!デルモが調子乗るんじゃないわよ」

「いだだだだ!頭蓋骨割れるっス!!」

(あんたの顔見てたらドキドキすんのよ!そして!ハラハラもする!!はっきり言うと疲れるのっ!)

50:桜◆kk:2017/10/10(火) 15:57 ID:dN.

ついたそこはすごく綺麗で、広かった。

「ナミっち!見学行くっスよ!」

「うん!」

涼太くんに手を引っ張られながら走る。そこは本当に綺麗で、もう学校に戻りたくないと思うほどだった。

「プールもあるっスね!あとで行こう!」

「いいわよ!あ、このプールの隣がジムなのね…」

すると、私の携帯が鳴った。笠松先輩からだ。

『笠松先輩?』

『2人共戻れ。もうすぐ合同の練習試合が始まるぞ』

『分かったわ。』

「涼太くん、戻るわよ。もうすぐ合同の練習試合が始まるって」

「練習試合っスか!?早く行くっスよ、ナミっち!」

急いで海常高校のミーティング室へ向かう。入ると、監督に遅いとこっぴどく叱られた。

「朱崎は選手のドリンクの用意とタオル、救急箱の用意をしとけ」

私が監督に言われたことをしている間、みんなは試合の作戦を考える。今回は、75点マッチらしい

ーーーーーーーーーーーーーーーー

みんなにドリンクを渡して、試合を見る。途中、監督に言われて次の特訓の準備をする。

「あら、ナミちゃんじゃない」

「リコさん!」

「私もいますよ、リコさん!ナミさん!」

「げっ!」

筋トレ道具を準備し終わると、リコさんとさつきに会った。リコさんはさつきが苦手なのね…

「ナミさん、どうせ試合終わるまで時間ありますし、プール行きませんか?」

「いいわね!リコさんは?」

「私も行こうかしら。プールの下見したいし」

三人で、更衣室に向かった。一応お互いの主将と監督に告げてから。

51:桜◆kk:2017/10/10(火) 16:28 ID:dN.

三人で更衣室に向かい、水着に着替える。

桃井は相変わらずデカイ…!ナミちゃんの方をチラッと見ると、前よりも大きくなっていた。小娘がFなら、この娘はJってところかしら…どうせ私はギリギリBよっ!!

「ナミさんの水着かわいいですね〜」

「ありがとう。あんた中学ん時より大きくなってない?」

「そうですか?」

ナミちゃんは縞柄の虹色の水着、私と桃井は前と同じ水着。…ってゆーか、胸の話はやめてくれる!?

「きもちいー…」

プールに飛び込み、ぷかぷかと浮くナミちゃん。私と桃井も後に続く。

「そうだ、ちょっと競争しない?」

「いいですよ。リコさん、審判お願いします」

25Mクロールでナミちゃんと桃井が競争する。ナミちゃんの泳ぎはすごく綺麗で、速かった。

「やっぱり速いですね、相変わらず」

「まあね。」

笑い合う私たち。しばらく泳いだ後は、お互いのチームのキセキの世代について話す。

「黒子くんのあの影の薄さは、試合の時はいいんだけど、普通の時はちょっと困るのよ…」

「ウチは試合するってなったらギャラリーが湧いて来て…タダとかありえないんだけど…」

「私はもう少し真面目に練習して欲しい…堀北マイちゃんの写真集燃やそうかな…」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

あっという間に時は過ぎて、そろそろあがらないといけない時間になった。

「そろそろあがらないと…あんたたちもよね?」

「そうですね…早くあがりましょう」

プールから出て、私は誠凛の、桃井は桐皇の、ナミちゃんは海常のそれぞれミーティング室へ向かった。

コート上なら敵だけど、たまにはいいわね…こんなことも

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミっちー!!プールに行くなら呼んでよ!俺も行きたかったっス!!」

「ごめんごめん…って、あれ俊くんだ!!俊くーん!!!」

「ナミか。…はっ!水着の人を見すぎ!キタコレ」

「ナミちゃんは早く水着から着替える!ってゆかー、伊月くんから離れる!!伊月くんと黄瀬くんは早くミーティング室に行きなさい!」

「じゃあね!リコさん、俊くん!」

「あ、待ってっス〜!」

(相当揺れてるわね、ナミちゃん…黄瀬くんももう少し押せば行けるんじゃない?)

52:桜◆kk:2017/10/11(水) 07:35 ID:dN.

きつい特訓も夕食も終えて、今は7時。10時までは自由時間だ。

だから私と涼太くん、テツと火神ちゃん、桜井と大ちゃん、真太郎と高尾くんはプールへ向かう。この時間は誰も使ってないはずだ

「すげー!めっちゃ広いじゃん!!」

「誠凛は確かもう使ったのよね?」

「はい。思い出しただけで吐きそうです」

テツがそこまで言うってことは、本当にハードだったってことが分かる。火神ちゃんも顔色が悪い。

「お前…やっぱ成長しただろ」

むにゅっ、と私の胸を揉む大ちゃんを私と火神ちゃんで殴る

「何揉んでんだよ!!」

「触るなッ!!」

「いっでぇ!!」

高尾くんは笑い転げて、テツと真太郎は冷たい目で見て、桜井は謎にすいません、と謝る。

「あのねぇ、この胸は俊くんの為にあるの!」

「違う!俺の為っス!……そうだと言って!」

泣きながら言う涼太くんを無視すると、もっと泣くので適当にはいはい、と相槌を打つ。

「んだよ、減るもんじゃねぇし」

「屁理屈言ってんじゃないわよッ!…ったく、あんたの財布から1万円抜いとくから」

「てめ、ふざけんな!!」

涼太くんが羽織っていたパーカーを借りて、みんなが泳いでるところをイスに座って見る。

「…テツ、あんたもっと頑張りなさいよ…」

「……」

「黒子ォーー!!寝るなー!!」

疲れ果ててバテたテツをプールから引き上げる。テツを寝かせて私はプールに入った

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「次はあんたたちの足腰を鍛えるわよ。ペアになって、肩車しなさい」

私は涼太くんに、桜井は大ちゃんに肩車をしてもらう。やはり、すいませんと謝る。復活したテツは火神ちゃんに、高尾くんは真太郎に。

「今から私と涼太くん、真太郎と高尾くんペア対桜井と大ちゃん、テツと火神ちゃんペアで水上バスケをしてもらいます!」

さっき、用意した水上バスケ用のゴールとビーチボール。ルールはさほど普通のバスケとは変わらない。

「だけど、肩車が崩れることと、下の人がシュートを決めるのはダメ。分かった?」

「そうだナミちゃん!罰ゲーム付けよ、罰ゲーム!」

「さすが高尾くん!冴えてるー!!」

「負けたチームは誠凛の監督に頼んで特別特訓メニューを作ってもらうのだよ」

「いいわね!それにしましょ!」

高尾くん真太郎と盛り上がっていると、火神ちゃんが待て!と言ってきた

「黒子がシュートとか無理だろ!!」

「じゃあシュートは高尾くんに頼みなさいよ。それか、テツに肩車してもらう?」

「絶対いやです。下には行きません」

「はえーよっ!!俺の意見無視かっ!」

「無視です。」

始めるわよ、と声をかければぶーぶー文句言いながらも整列する火神ちゃん。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「うちが負けても私は罰ゲームないから」

「「は!?」」

「お前だけずるいのだよ!!」

「だって私選手じゃないし」

「「「はーーっ!!?」」」

「ぎゃはっ!さっすがナミちゃ〜ん!!」

53:桜◆kk:2017/10/12(木) 09:46 ID:dN.

ナミが考えた肩車水上バスケに、最初は余裕をかましていた下の男たちだっが、人が上に乗っていて、更に水の中を走るというペナルティに余裕がなくなったようだ。

「またボール落とした!しっかりしなさいよ!このままだと0対0で引き分けよ?」

「ちなみに…引き分けん時はどーなんだよ…罰ゲームって…」

「バテバテね、大ちゃん…。…そうね…引き分けの時はリコさんとさつきの料理の試食係」

「火神くん、絶対勝ちましょう」

「桃井は知らねーけど、監督はやばいからな」

「桜井、本気出すぞ…」

「スイマセン、自分も桃井さんの料理は…スイマセン!」

「高尾、シュートを決めろ。死ぬのだよ」

「分かってる!さすがに俺でも分かる!!」

「あ、勝ったらナミっちの手料理ってのは?」

「っ何バカなこと言ってんのよ!!」

「いだだだだだ!!モデルの顔!!!」

ナミが足で黄瀬の顔を挟む。黒子と青峰がもっとやれ、と言うので更に力を入れるナミ。

「とにかく!食べたくないから勝ちなさい!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミって…バスケ意外とできるんだな…」

「あら、その辺の小娘とは一緒にされちゃ、たまんないわ」

桜井からのパスを受け取り、ナミが華麗にシュートを決めた。そんな彼女を、火神が意外そうな顔をして見る。

「ナミさんは運動神経が良くて、中学の時はなんだかんだ言って体育で5を取ってました。」

「体育だけなのだよ、こいつの取り柄は」

「あんたたち、気ィ抜いてたら点取るわよ」

そう言って、またシュートを決めるナミ。今は5対3でナミと黄瀬、桜井と青峰が勝っている。引き分けの時の罰ゲームにより、下の男たちにヤル気が出てきたのだ

「くそっ!なんで黒子はあのパスが使えねーんだよ!」

「火神の存在感がでかいのだよ」

「ぶっ!それ言っちゃダメでしょ真ちゃん!」

とは言いつつも、黒子からのパスを受けてシュートを決める高尾。

「あ、黄瀬ェ!テメェちゃんとDFしとけよ!」

「青峰っちの方が近かったっス!!」

「お前が乗っけてんのはナミだろ!俺が乗っけてんのは桜井!!男だ!」

「でもあんまり体重は変わらないと思うっス!だから青峰っちが行くべきだったっスよ!」

「喧嘩するなッ!!」

喧嘩を始めた黄瀬と青峰の顔を蹴るナミ。喧嘩してる最中も点は決められ、同点となった。

「分かってんの?罰ゲームのこと。このままだと負けるわよ」

「だってナミっち!!青峰っちがDF行かないから!」

「はァ!?お前だって行けただろ!」

「だ〜か〜ら〜…喧嘩しないでって言ってるでしょッ!!!」

またまた、ナミの蹴りが黄瀬と青峰の顔に入る。その衝動でバランスを崩してしまった青峰は黄瀬にぶつかり、黄瀬もバランスを崩した。

「え、嘘でしょ…?」

「青峰さん…?」

バシャーン、と音を立てて崩れるナミと黄瀬、桜井と青峰。

「っ何バランス崩して…んのよ…」

ナミの視線は胸へ行く。なんと、青峰がナミの胸に顔を埋めていたのだ。

「んだァ?これ…」

「ひゃっ」

青峰の手は、ナミのそれを揉む。顔を真っ赤にした火神と緑間が、青峰をナミから引き離し、黄瀬と黒子がナミをガードし、高尾は笑い転げ、桜井は謝る。

「何やってんだアホ峰ーーーーッッ!!!!」

「さ、最低なのだよ!!」

「ナミさん、青峰くんから離れましょう」

「事故だとしても美味しすぎる展開っス!!」

「ギャハハ!!やっぱおもしれぇ!!」

「スイマセン!本当スイマセン!!」

54:桜◆kk:2017/10/12(木) 11:32 ID:dN.

結局、勝負は高尾くんと真太郎、テツと火神ちゃんチームの勝ちとなった。罰ゲームは、明日受けることになっている。

「私お風呂行ってくるわね」

「え、でもナミっち、今9時半っスよ?間に合うんスか?」

「大丈夫よ、10分であがるわ」

自分の部屋に戻って着替えを持って風呂場へ向かう。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「んーーっ…疲れたぁ」

浴槽は銭湯のように大きくて、更に誰もいないので貸し切り状態だ。

「リコさんにお願いしてから、涼太くんたちには罰ゲームを受けてもらお…」

アホ峰には私が必ずや報いを受けさせてやる…

「…涼太くん、かっこよくなったな…」

中学の時の涼太くんはもっと犬っぽくて、子供っぽかったのに、今の涼太くんは男のヒトって感じがする。

「いやいや、私には俊くんが…!」

俊くんは試合中でも1人だけ冷静で、みんなに指示をして点を取る、すごくかっこいい男のヒトだ。ダジャレも最初は戸惑ってたけど、今となっては可愛く感じる。

(涼太くんがかっこよくなったってだけで、私の心はいつでも俊くんよ!!!)

俊くんのことは本当に好きだし、できるならそばにいたいし、他の誰かに取られるのも嫌だ。そして、一緒にいるとドキドキする。

涼太くんは…好きだし、そばにいたいってゆーか支えてあげたい。私がいないとダメだって…そして、一緒にいるとポカポカする。

(これが恋なのか、どれが恋なのかは分かんないけど…2人のことが大好きってことには変わらないのよね…好きな人はいっぱいいるケド…)

大好きに種類があることも知ってる。でも、違いが分からない。

色々考えているうちに、10分経っていた。いつの間にか頭や体を洗い終えていて、自分の器用さにびっくりした。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミか」

「あ、笠松先輩。先輩もお風呂?」

「まあな。はやく寝ろよ」

「…今は笠松先輩ってことでいいや」

「は?」

55:桜◆kk:2017/10/12(木) 12:16 ID:dN.

「ナミっちー!おはようっス!一緒に食堂行こうゴファッ!!」

「女子の部屋に勝手に入ってくんな!!!」

枕を投げられたはずなのに、ドンッて音がした…本当に枕投げられたのか?

「着替えるからちょっと外で待ってて」

「了解っス!」

最近ナミっちは、誠凛の伊月サンが気になっていて、アプローチをかけている。中学から片想いしてる俺からしたら、もちろん面白くない。

「涼太くん、おまたせ」

「全然っスよ?さ、はやく行こう!!」

俺は練習着だけど、ナミっちは制服の上からパーカーを着ていて、ポニーテールしててとにかく可愛い。

「あ、あんた、今日罰ゲームって覚えてる?」

「げっ!!」

そうだ、今日は罰ゲームを受ける日だ…ってゆーか昨日の青峰っちまじ羨ましいっス!!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「うわっ、もう結構人いるっスね」

「そうね…あ、俊くんだわ!テツたちもいる!行きましょ!」

俺の手を引くナミっち。完全に桃っちと同じ顔をしている彼女に、胸がチクチクと痛む。

「俊くーん!!」

「ゴフッ…な、ナミか。おはよう」

「おはよー!」

伊月さんに後ろから抱き付くナミっち。俺は頬を膨らませながら黒子っちの隣に座った。

「黄瀬くん、罰ゲーム頑張ってください」

「監督張り切ってたぞ」

ああ、終わったかも…なんて考えてると、ナミっちが俺の前に座った。隣は誠凛の監督さんだ

「リコさん、夜遅くにすみませんでした」

「いいのよ。むしろ、キセキの世代の特訓メニューを考えられるなんて嬉しいわ!!」

監督さんの張り切りを見ると、もっと怖くなった。

「ナミさん、僕たちのことも忘れてません?」

「え、あんたたち勝ったでしょ?特訓メニューしたいの?」

「いえ。ナミさんの手料理が食べたいです。」

ハッとなって黒子っちを見る。この人…たまにものすごい爆弾落とすよな…!

「ダメですか?」

「うっ…そ、それぐらいなら別にいいけど…」

く、首を傾げるなんてあざといっス!!ナミっちもキュンとしないで!!

「じゃあ、夜ごはん楽しみにしておきますね」

「そうだな。緑間たちも呼ぶか!」

黒子っちと火神っちが去る。ナミっちはずっと顔が赤かった。

たまに俺もナミっちの料理は食べるけど…なんか複雑っス!!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミの手料理か…俺たちも食べてみたいな。なあ?伊月、日向」

「そうだな。今度作ってくれよ」

「いつでもいいから作ってくれ」

「鉄平さん…日向くん、俊くん…」

「誠凛の人ってなんなんスか!?人のことキュンキュンさせて嬉しいっスか!!?」

56:桜◆kk:2017/10/12(木) 12:44 ID:dN.

今のちゃんとした設定

朱崎ナミ
海常高校1年。合宿の間だけ臨時マネージャー
二年後の姿(Jカップ、ポニーテール)
桃井とお揃いの青のパーカーをよく着る
伊月俊に猛烈アタック中だが

57:桜◆kk:2017/10/12(木) 16:53 ID:dN.

「朱崎さん」

「えっと…あなたは確か…」

「桐皇バスケ部監督の原澤克徳です。」

大ちゃんたちのチームの監督さんが、私に話しかけて来た。

「そうそう、原澤監督!」

「いえ、原澤で結構です。」

「じゃあ、原澤さん…?」

いったい、私みたいな凡人に何の用だろう…リコさんやさつきならまだ分かるけど…

「…で、何の御用ですか?原澤さん」

「…あなたは…何者なんです?」

「へ?」

いきなり何者なんです?って言われても…私は私だし、宇宙人とかじゃなくて普通の人間だし

「桃井さんのように優れたマネジャーの能力がある訳ではない…相田さんのように監督の技量が高い訳でもない…」

原澤さんは、私のことを無視して話していく。…いや、確かにそうなんだけど、はっきり言われたら傷付くわよ!!

「何故、うちの青峰くんや海常高校の黄瀬くん、誠凛高校の黒子くんなどのキセキの世代は、君に一目置いているのでしょう」

何故って聞かれても…みんな中学からの友達だから、みたいな感じじゃないの?

「キセキの世代だけじゃありません。無冠の五将と呼ばれていた木吉くん、誠凛高校や海常高校、うちの桐皇高校のみんなも、君に一目置いている…」

だから、友達だからじゃないの?鉄平さんも、日向くんや俊くんや火神ちゃんも、笠松先輩や由孝も、今吉さんや桜井も、全員友達だから私を気にかけてくれるんじゃないの?

「…原澤さん、私にも分かんないわ、そんなこと」

「?」

「まず、鉄平さんが無冠の何とかって呼ばれてたことも知らないし、みんな友達なだけだし。キセキのみんなも中学からの友達ってだけなんです。」

「…実に興味深いですね…」

そう言うと原澤さんは、私に近づいて来た。何されるかは分からないから、ぼーっと見ていると、頬に唇が…

当たらなかった。

「何してんだよ、あんた…」

「…青峰くんですか…」

大ちゃんの大きくて、黒い手が原澤さんの唇を抑えていた。…つーか、練習サボってるわね?

「こいつは俺らの友達ってだけだ」

「……」

「強いて言うなら…勝利の女神ってやつだな」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミが応援に来た日は嬉しくて楽に勝てるよ、ありがとう」

「なんか、元気が出てくるっス!!」

「はい。勝たなければ、となりますよね」

「べ、別に嬉しい訳ではないのだよ!!」

「緑間ツンデレお疲れ。ま、ナミが来てる日はヤル気がちげーんだよな〜…」

「…ナミちんは俺らの勝利の女神様だねー」

『は!?』

「だって、俺たちを勝たせてくれるし、みんな大好きだしさ〜ピッタリじゃない?」

「…勝利の女神か…納得っス!」

「女神にしちゃぁ、暴力的だけどな」

「僕も納得です」

「納得しない訳ではないのだよ」

「帝光バスケ部の勝利の女神ー」

「これからも俺たちの応援をよろしく。ナミ」

「…何バカなこと言ってんのよ!」

呆れたように、嬉しそうに笑うナミ。そして、キセキの世代。それを優しい目で見守る虹村。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「わ、私は…ーーー」

何も言えなくなって、原澤さんと大ちゃんを置いて走り出してしまった。

(私は勝利の女神なんかじゃないわ…!)

女神、なんて私には似合わない。

「おいナ「朱崎さん!!」

女神はみんなをバラバラにしたりなんかしない

58:桜◆kk:2017/10/12(木) 21:26 ID:dN.

「朱崎さん!!」

「は、原澤さん!!?イヤーーー!!!来ないでーー!!!」

走ってると、原澤さんが追いかけて来た。スピードを上げるけど、すぐに追い付かれた。

「何なんですか!?話は終わったはずよ!!」

「…先ほどは失礼しました。あなたの気持ちも考えずに、頬にキスなど…」

いや、されてないけど。…にしても、この人って紳士的ねぇ…さつきが言ってた独身って情報、本当かしら?

「あなたは魅力的だ。」

「…は!?」

突然そんなことを言われて、驚かない女はいないだろう。確かに私は魅力的かもしれないけど

「私はあなたに対して、ものすごく魅力を感じました。」

「ど、どうも…」

手の甲に口づけをされ、つい顔が火照ってしまう。

「…たくさんのライバルがいるみたいですが…私はあなたを譲る気はないです。」

「…っ、」

お、大人の余裕がかっこいい…!原澤さんは、私の額にキスをして去って行った。その後に走ってきた大ちゃんが私を抱き締める

「ナミ!お前あの人に何もされてねぇか!?」

「なっ…何もされてない、わ…」

「あの人はこえーからな…もう誰にも取られたくねぇんだよ…」

「へ?何を?」

「ッ、うるせぇ!さっさと戻るぞ!!」

「わっ」

大ちゃんに頭を軽く揺らされる。髪の毛がボサボサになったので、後ろから飛び付いてやる。

「ちょ、テメ、苦しい…」

何だってゆーのよ、本当…でも、心臓がずっとバクバクしてる。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミ」

「は、原澤さん…その、名前…」

「ああ、これからは私もあなたとの仲を深めようと思いまして…よろしくお願いしますね、ナミ」

「あ、う…」

「あんた犯罪だろ!!やめろ!ナミに近づくんじゃねーよっ!」

「男の嫉妬は見苦しいですよ、青峰くん」

「くそっ…!」

(余裕あるとこが余計ムカつくんだよ…!ナミももっと危機感持て!!)

59:桜◆kk:2017/10/13(金) 18:35 ID:dN.

長かった合宿も今日で終わり。色々あったけど、なかなか良かった合宿だと思う

「ナミ、いつでも連絡してくださいね」

「は、はい…」

「桐皇の監督!!俺のナミっちを誘惑しないでくださいっス!早くバス乗ってくださいよ!」

「おい早くしろ!黄瀬、ナミを死守しろよ!」

と、桐皇の監督とも仲良くなれたし…りょ、涼太くんと大ちゃんのコンビ(?)もなんかできたし…俊くんを落とすことはできなかったんだけど…

「ナミ、また会おうな。手料理も楽しみにしてるぞ。」

「しゅ、俊くん…!」

でも、俊くんに手料理を食べさせてあげる口実もできたし、リコさんやさつきとももっと仲良くなれたと思う。

「次会う時はお互い敵同士ですね。ウチが勝ちますけど。」

「ちょっと、誠凛が優勝をもらうんだからね!勝手に決めないで」

「あら、ウチの男共のことナメないでよ?本気出したらスゴイんだから!」

お互い自分のチームに誇りを持ってる。だから私たちは相性がいいのかもしれない。…秀徳が俺らも女子マネ欲しー、と言ってたのは無視しよう

「行くぞ、ナミ」

「はーい!じゃあね、リコさん、さつき!」

「ええ。また今度、ゆっくり話しましょ」

「ナミちゃん、誠凛にはいつでも来てね」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

笠松先輩に呼ばれて、バスに乗る。隣の涼太くんはブスッとしている。癖で頬袋を潰すと、こっちを向いた。

「ナミっち」

「な、何…?」

「マネージャー、本当に今日で終わるんスか」

「…そうよ?そうゆう約束だったじゃない」

「…何でっスかー!!さっき、誠凛の監督と桃っちと張り合ってたじゃないスか!!」

「それはそれ、これはこれよ!とにかく、合宿中だけの約束だからもうおしまい!!」

ギャーギャー喚く駄犬を笠松先輩が蹴る。もっと蹴ればいいのに

「ナミが元から決めてたことだろ!うるせーんだよお前は!!」

「だって〜!!笠松先輩も寂しいでしょ?ナミっちは他の学校も応援するんスよ!?」

「知るか!!ナミの勝手だろ!!」

すると、笠松先輩の隣に座っていた由孝も一緒に言ってきた。

「笠松の言う通りだぞ。ナミの勝手だ。まぁ、俺はナミの為に勝つよ」

「笠松先輩…!由孝…!成長したじゃない」

「でも俺はやっぱり寂しいっス!!」

「あ、じゃあこうしよう。俺たちが優勝したら、ナミに言うことを1人一個聞いてもらえる」

由孝の案に、涼太くんは目を輝かせた。

「俺、今から考えとくっスね!」

「考えんでいいわ!!」

…これで涼太くんが納得してくれるなら、みんなのヤル気が出るなら、いっか!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「もちろん俺はナミと付き合ってもらうよ?」

「あ、そうゆう系のお願いはムリです」

60:桜◆kk:2017/10/13(金) 23:00 ID:dN.

「ねえ君!海常の子でしょ? 良かったら連絡先教えてよ」

またコイツらか。 朝の満員電車に揺られながら私は心の中で悪態をついた。 この電車に乗っている人はサラリーマンよりも学生が多い。

恋にお多感な世代が沢山乗り合わせている車内では、遠慮なく興味津々の眼差しが注がれる。
本当、一度きっぱり断ってんだから諦めなさいよ。

精一杯に迷惑な表情を浮かべて席を立つ。 そしてそのまま人の流れに乗って電車から降りる。
後ろからは、えー、シカトー?と大声で叫ぶ声が聞こえる。

周りの乗客から何事かとチラチラ様子を伺う視線が飛び交う。

「…ったく、ほんとに朝から気分悪っ。」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「おい朱崎ぃ。お前何で今日はいつもより不機嫌なんだよ。」

放課後、帰り仕度をしていると、友達が恐る恐る話しかけてきた。 手には何やら美味しそうなお菓子が握られている。

「別に不機嫌なんかじゃないわよ。ただ気分が悪くなることがあっただけ。」

「それを不機嫌って言うんじゃないのか?」

苦笑しながらあたしの前の席に座りながら話を聞く体勢を作る友達。

あんなナンパ野郎のことを相談するつもりはないが、鬱憤晴らしに愚痴をこぼす。

「ここ最近しつこい奴等がいてムカつくのよ」

「しつこい奴?ああっ!!」

引っ手繰るように友達の手からお菓子を奪うと、食べながらここ最近朝の電車の中で毎朝しつこくナンパしてくる奴等のことを愚痴った。

「別にナンパなんて私みたいに可愛いければしょっちゅうあるけど、あいつ等ほんっとしつこいんだもん!おまけに朝の電車の中で!! もうちょっとマシなとこでナンパしろっつーの。」

「美人なのも大変だなー。黄瀬にでも頼んで絞めてもらったらどうだ?」

「それも考えたけど、それはそれで面倒臭いし。 ま、このままずっと相手にしなければ向こうも諦めるでしょ。むしろ諦めずに手でも出してきたらその時こそこっちのもんよ!」

「そうですか…まあ、気をつけろよ。」

肩肘を突きながら溜息をもらす友達。なかなか美味しいわねこのお菓子、と友達とお菓子の評論をしていると掃除当番を終えた涼太くんがやってきた。

「お待たせっス、ナミっち」

今日は学校全体で部活がないから、2人でカラオケに行く約束をしていた。 だから朝から気分が悪かった分今日は思い切り遊ぼうと思っていた

「ううん、大丈夫よ。お菓子ありがとう、美味しかったわ。 また明日ね」

友達に礼を言ってから、2人で廊下を歩く。そこへ、黄瀬くーん!!と声高に呼ぶ声。

もしやと思って振り向けば、廊下の奥から駆けてくるのは最近付きまとってくるファンの女の子だ。

「黄瀬くん、一緒にボーリング行かなぁい?」

「あぁ、悪いっスけど今日は…」

涼太くんが断ろうとすると、すかさず後ろからガバリと抱きつくその子。

「行こうよ?ボーリング」

頬を赤らめギュッと涼太くんに抱きつくその子の体からは魅惑的な香水の香りが漂ってくる。

「ごめん、今日は私が涼太くんと約束してるから…また違う日にしてくれない?」

せっかくの気分転換の楽しみを潰されては堪らないと私は咄嗟に涼太くんの腕を掴む。

「あーもー!!うるさいこのブス!!」

パシンと廊下に響く音。 一瞬何が起きたか分からなくて、

「ナミっち!!!」

と言う涼太くんの声に遅れてじんわり掴んでいた腕に痛みが広がる。

咄嗟のことになかなか声が出ないでいると、横からあまり声を荒げない涼太くんが珍しく声を荒げた。

「おい!ナミっちを叩くなんてやり過ぎだ!!謝れよ!!!」

「ふん、あなた黄瀬くんを私に渡したくなくて必死にすがり付いてるんでしょう?しつこく毎日まとわりついて、見苦しくて敵わないわ」

不気味な程不敵に微笑む。 抱きつかれたままの涼太くんが体を捩っる。

「おい!ナミっちは…」

「帰る。」

もう聞いているのも沢山だ。きっと今日は最低の一日なんだ。

朝から気分の悪いことをされたと思ってたら、逆に自分も涼太くんにしつこく付きまとっていると言われる…腹ただしさにカッと体中が熱くなる。

「ナミっち!!」

後ろから涼太くん呼ぶ声を無視して私は走り出した。

61:桜◆kk:2017/10/13(金) 23:11 ID:dN.

『ふん、あなた黄瀬くんを私に渡したくなくて必死にすがり付いているんでしょう?』

電車で揺られる中、頭の中では何度もさっきの言葉が頭を回る。

何なのよ…ファンだからと思っていて、ろくに気にも留めていなかった“女”に本気で心の内を踏み込まれ見下された。

涼太くんに必死にすがり付いている…そんなことは一切思っていない。

そう思うと同時に涼太くんが離れていくことも許せない自分が居る。 腹立だしさや困惑や色んな気持ちがない交ぜになって胸の辺りがモヤモヤする。

「…もう、何だって言うのよ。」

思わず愚痴が口を突いて出た所で聞き覚えのある声に話しかけられた。

「あれー?もしかして君、朝の子だよね?」

パッと顔を上げれば、まさに最悪のタイミングとはこのことだ。 毎朝しつこく電車の中でナンパをしてくる他の学校の生徒が居た。 おまけになんともガラの悪い友達三人も一緒だ。

「ヒュー!こりゃーマジで美人だなぁ」

「だろ?だから嘘じゃないんだって」

「あんまりにも聞いた感じが出来すぎてるからお前の見栄っ張りだと思ってたけど… 本当にこんな別嬪さんが居るとはな…ね、君今帰り?俺たちと遊ぼうよ。」

「おい、抜け駆けすんなよ!大体俺が最初に目をつけてたんだぞ!」

勝手にギャーギャーと盛り上がって、気付けば完全に取り囲まれていた。 他の乗客も遠目に見ている。 どうしてこうも悪いことは重なるわけ?

せめてもの救いか、電車は丁度駅に止まった。 まだ目的の駅まで2個手前だけど、こいつ等に絡まれるくらいなら降りて巻いてしまおう。

無理矢理男たちの間をこじ開け、ドアが閉まる前にと急いで出ようとする。

「ちょっと待ってよ。ねえ、君ほんと冷たいよね…今日の朝もシカトだし。ちょっとはかまってくれたっていいんじゃん?」

「離して。」

「いや〜、怒った顔もやっぱ可愛いー!俺こう言う子はすッげー泣かしたくなるタイプ!!」

「ちょっと!!」

何キモいこと言ってんのよ! 体中の血が一気に沸騰したように熱くなる。

思いっきり腕をひねり上げようとした所で後ろからもう一方の腕も他の男に掴まれてしまった

その間に電車のドアも閉まり、ガタンと大きく揺れて走り出す。 踏みとどまろうと思いながらも咄嗟の揺れに思わず腕を掴まれている男の方へ倒れ掛かった。

すると意味も分からずヒューヒューとはやし立てられ、 その瞬間泣きたくもないのに涙が出そうになった。

何で…何でこんな思いしなくちゃいけないのよッ!!

「ちょっとすみませんっス」

「おわっっ!!!」

「え…」

いきなり横に立っていた男が尻餅を着いたかと思うと、掴まれていた腕が引き剥がされる。

何?と思う間もなく今度は私が勢いよく引き寄せられてぶつかった。

「……涼太くん」

「俺の女に手ェ出してんなよ、お前ら」

シンとなる車内。 横に立っていた男が手を出そうとするのをもう一人の男が止めつつ、そっと耳元でモデルの…と囁いている。 それを聞くや素早く私たちから離れて行く。

涼太くんは逃げていく男たちを一睨みをすると、肩を引き寄せ手で私の顔を涼太くんの胸に押し付ける様な体勢で歩きだす。

私もされるがままの体勢でよっかかるようにして隣の車両へと向かった。

62:桜◆kk:2017/10/13(金) 23:40 ID:dN.

ドアにもたれて立つ私の前に、他の乗客から私を隠すように立つ涼太くん。肩はまだ引き寄せたまま、大きな手の平も私の頭の上に乗ったままだ。

駅に着いてゆっくりと降りる私たち。ホームの端にあるベンチに腰掛ける。

「もう泣いてもいいんじゃないっスか?」

「ッ泣いてなんか…ないわよバカぁぁ!!」

ボロボロと零れてくる涙。涼太くんは頭を掻きながら泣いてんじゃないスか、とこぼす。

「本当にナミっちは他人の前では泣こうとしないっスよね」

「うっさい!大体…あんたが…!」

あの子にと、続きを言おうとして喉がしゃっくりを上げて言葉が続かない。

『ふん、あなた黄瀬くんを私に渡したくなくて必死にすがり付いているんでしょう?』

また頭の中に響く声。違う!必死にすがり付いてなんかいない!

いつだって、困った時に必ず涼太くんから助けに現れてくれるのだ。

嘘なんかじゃない。そんなことも知らないくせに…知らないくせに涼太くんを、我が物顔で独り占めしないでッ!!!

あの場で叫び倒してやりたかった気持ちと、本人の前で言えるわけがない気持ちと、鈍感にせよ涼太くんの前であんなことを言われた気持ちが今更こみ上げる。

完全に混乱しながら更に目の前にいる涼太くん当たり出すと言う最も子供な態度にで出た。

「…あんな奴等っ…しかも何よ!!あの俺の女ってセリフは!!」

「うっ…!」

「何が…」

『俺の女に手ェ出してんなよ、お前ら。』

言おうと思ったところで言葉が続かなかった。こいつ…何であんなセリフをずけずけと言えた訳…?

八つ当たりをしておきながら完全に自分が当たる方向を間違えたと気付く

泣いたせいもあるが、いきなりそれとは別の意味で体が火照ってきた。更に少し落ち着くとこうして泣いていることも、意味なく涼太くんに当たったことも急に恥ずかしくなって、今更ながら顔を見られまいと俯く

それでも涙はボロボロと目から零れ落ち、ぼたぼた垂れて手に落ちる。さっき叩かれた場所は薄っすらと赤くなっていて、そこに涙が当たるとヒリヒリした

「ナミっちー、まだ怒ってんスか?」

困り果てた顔で覗いてくる来た涼太くんと目が合う。 なんとなく気まずくて私は涼太くんから目を反らす。

「手は?」

「え?」

「さっき叩かれた手は痛くないっスか?」

そう聞きながらそっと手を取って見始める涼太くん。手から伝わってくる温もりと、大きくてごつごつした涼太くんの手。

別に痛くないわよ、と手を引っ込める。なら良かった、と笑って使いなよ、とタオルを差し出す涼太くん。

「…あんたの女になった覚えはないからね。」

「えーー!!ダメっスか?さっきのアレじゃぁ…」

スパコン!と効果音がしそうな程強く、間髪いれず涼太くんの頭を叩く。

「そんな適当にするんじゃないの!あんたからの告白待ってる子はたくさんいるんだから!」

「あだァッ!!! …俺が告白するのはナミっちがだけっスよ」

「はいはい。」

また適当なことを…と思いタオルを丸めて投げつける。投げたタオルは見事に涼太くんの顔に命中した。

「ブッ!…へへっ!」

「何がおかしいのよ」

「いや、いつものナミっちに戻ったっスね!」

「え?」

「やっぱりナミっちはそうでなくちゃ。少しは落ち着いたっスか?さっきあの子にヒドイこと言われたから…大丈夫かなと思って。ナミっちのこと何も知らないくせにあんな言い方してさ!それにナミっち、あんな変な奴等に絡まれてんなら、すぐに俺でもバスケ部の人でもいいから呼ぶんスよ!!」

今度は涼太くんが子供のように頬を膨らませて愚痴を漏らす。そんな涼太を見ていたら自然と笑顔になった。

駅構内に電車が来るアナウンスが流れ始める。
パッと立ち上がると、それと同時に電車が来る

電車によって巻き起こる風、ふわりと膨らむ制服のスカート。風でポニーテールが激しく揺れる。髪を押さえながら、そっと私は呟く。

「……………」

「ん?ナミっち、なんて言ったんスか?」

「さぁーね。」

乗車を促すアナウンス。発車前の電車に駆け込む。 怪訝な顔をした涼太くんも、急いで着いて来る。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

いつだって颯爽と助けに来てくれるスーパーヒーロー。

『かっこよかったわよ、あんた』

63:桜◆kk:2017/10/14(土) 23:47 ID:dN.

今日はいつもより気合が違う。

いつもよりエッチでレース多めの下着、ムダ毛の処理、適量の香水、髪の毛はいつもより念入りにといて来た。

全てはそう、この日の為に!!

今日はテツや火神ちゃんをはじめとする誠凛のみんながうちに私の手料理を食べに来るのだ。

もちろん、みんなの中には私の好きな人である俊くんも入っている。だから気合を入れてるのだ。

『ナミ…手料理は美味しかったけど…お前はどうなんだ?味見、させてくれないか』

『しゅ、俊くんになら…私、いいわよ…?』

なーんて感じでR18指定のオイシイ展開があるかもしれないじゃない!!?だから、全てにおいて完璧にしとくの〜!!!

「ナミっち、現実に戻ってっス。」

「うっさい駄犬!!」

妄想に浸ってると、呆れた目で見て来る駄犬。なんでこいつこんなに不機嫌な訳?

「ナミっちの料理の味は、俺だけが知ってればいいのに!!」

「イヤよ。私あんたの妹でも姉でも彼女でも、ましてや奥さんでもないのよ?本来ならお金取るわよ」

まったく…別に初めて手料理を食べさせる相手って訳でもないのに…中学の頃から飽きる程食べてたでしょーが

チャイムが鳴り、帰る時間となる。私はカバンを掴んで走って家へ帰った。そして、家にカバンを置いてスーパーへ向かう。誠凛のみんなが来たのは、夜7時をまわった頃だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「お久しぶりです、ナミさん」

「テツ!それにみんなもいらっしゃい!」

みんなを家に入れて、狭いけど座って待っててもらう。適当にテレビを見てもらってる最中に、私はシチューを作った。

『いただきまーす!!!』

「おかわりあるから、どんどん食べてちょーだい!」

火神ちゃんがいるから、いつもより多めに作った。でも、火神ちゃんは人の家だからか、少し食べる量を減らしてるみたいだ。

みんなが食べてる間に、サラダを作る。火神ちゃんは本気を出して、どんどんおかわりしてくる。うん、嬉しい。

「リコさん、どう?おいしいですか?」

「おいしいわ!料理上手ね、ナミちゃんって」

そりゃそうよ!!母が他界してからは私が家で料理してるし、中学の時はキセキのみんなにお弁当作ってたし、今でも涼太くんの家に行って作って一緒に食べてるんだから!!!

「俊くん、おいしい?」

「ああ、うまいぞ。はっ!!五穀米、五個食うまい!!」

「伊月黙れ!」

ああ、俊くんに褒めてもらえて幸せ〜♡

ーーーーーーーーーーーーーーーー

みんなでワイワイしてると、時間はあっという間に過ぎてしまった。もう帰る時間だ。

「ナミさん、ありがとうございました。」

「ううん。みんな遠いのにわざわざ来てくれてありがとう。また、来てね?」

「はい。必ずまた来ます。次は誠凛のみんなと、帝光のみんなで。」

「テツ…。ありがとう。」

みんなが帰るのを見送る。すると、俊くんが走って戻って来た。

「どうしたの?俊くん」

「……ナミ」

「へ?」

俊くんに抱き締められる。俊くんは私の耳元で小さくささやいた。

「ナミ…W.Cが終わるまで待っててくれ…」

「しゅ、俊くん…?」

「お前の気持ちが…W.Cが終わっても変わってないのなら…」

「伊月ー!!何やってんだ!!新幹線乗り遅れんだろダァホ!!」

「悪い!!すぐ行く!!…じゃあな、ナミ」

「っ、俊くん!!」

俊くんは振り返らずに、手を振るだけだった。

俊くん、あなたは最後、何を言おうとしたの?

期待して、いいの?

でも、胸が熱くて焦げそうなのはなんでだろう

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミっち、何かぼーっとしてるっスよ?」

「涼太くん、どうしよう…!」

「ちょ、泣かないで!!」

(何でこんなに胸が熱くて、痛いのかな…?何で涙が止まらないのかな…?何で…)

64:桜◆kk:2017/10/15(日) 18:43 ID:dN.

原澤さん:今日、一緒に夕食でもいかがですか?

ケータイを見ると、原澤さんからLINEが来ていた。今日は何の予定もないので、快くOKする。

原澤さん:海常高校に待ち合わせでいいですか?
迎えに行きます。
駅前に新しくできたレストラン
なんてどうかな?

駅前に新しくできたレストランって…有名シェフの超高級レストランじゃない!!神奈川のレストランなのに、東京の人が知ってるって…相当有名なのね、あそこ…

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミ、お待たせしました」

「い、いえ!全然!!」

高級レストランということで、一応ちゃんとした服を着て来た。

真ん中に黒いリボンがある、丈の短い白いドレス。髪もいつものポニーテールではなく、ちゃんとキレイにして来た。

「久しぶりに会いますね。連絡が来ないので忘れられたのかと思いましたよ」

「す、すみません…」

め、滅相もございません!!何度か連絡しようとは思ったけど、相手は教師でしかも桐皇の監督だから迷惑だと思われたらどうしよう、的な感じだったんです!!

「だから、すごく楽しみだったんです」

「は、原澤さん…」

「今日のそのドレスも、すごくお似合いですよ。キレイです。」

ドキッ

あ、今胸がドキッとした。…って違う違う!!私には俊くんという心から想う人がいるじゃない!!あー、危なかった…大人の魅力にやられそうだった…

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ん!おいしい!」

「お口に合って良かったです」

ステーキを口の中に入れると、舌の上でほろほろと溶ける。うん、うまい。

「原澤さんは、お酒苦手なんですか?」

「好きですが、車を運転しなければならないので…」

「あ、なんかすいません…」

「いえ。あなたと食事ができるんです。そのくらい軽いですよ。」

ニコッと微笑む原澤さんはいつもよりかっこよかった。…いやだから、私には俊くんが…!

「そ、そういえば、大ちゃん元気ですか?あとさつきも!」

「2人とも元気ですよ。まあ、青峰くんのサボリ癖に桃井さんが手を焼いてますけどね」

「あんッのガングロアホ峰…!今度会ったら、ちゃんと部活に行くように言っときますね」

「ははっ、よろしくお願いしますね」

おほほ、と笑うと面白そうに笑う原澤さん。この人も、こうやって笑うんだ…何か意外…

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「もう帰る時間ですか…」

「明日もお仕事なのにすみません…」

レストランのあとは適当に近くの公園に寄った。ベンチに座って話したりして、あっという間に時間が過ぎた。

「送りますよ」

原澤さんに甘えることにして、家まで送ってもらった。

「それじゃあ、また…」

「ナミ」

チュウ

車を降りようとしたら、腕を掴まれて頬にキスをされた。一瞬、理解ができなかった。

「W.Cが終わった時、私の気持ちを聞いてくれませんか?」

「原澤さん…」

「それでは…」

原澤さんに俊くん…私の恋ってどうなるの?

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミっちー!!あのおっさんに何もされなかったっスか!?」

「………何もされてない、デス」

「何スか今の間は!!」

「何もないってば!しつこい!この駄犬が!」

「ギャインッ!!」

65:匿名さん:2017/10/16(月) 01:13 ID:dN.

「ナミっちー!今日一緒に帰ろうっス!」

「いいわよ」

いつも通り涼太くんに誘われて、体育館で待つ。もうちょっとでW.Cだから、練習はいつもよりキツイそうだ。

「ナミっち!お待たせっス!!」

「別にそんなに待ってないわよ。練習おつかれ様!」

もう寒い時期だから、私はブレザーの下にセーターを着て、靴下もいつもは短いけど、今日は黒のタイツだ。

それに比べて涼太くんは、セーターは着ずにブレザーだけだ。こいつはナメてんのか、この寒さを、今年の冬を

「あんた、寒くないの?」

「寒いっス」

「じゃあもっと防寒しなさいよ」

「えー、でも俺って、あんまり重ね着しない方がかっこよくないっスか?」

「重ね着をかっこよく着こなせてやっと、真のかっこよさに辿りつけるのよ。」

適当なこと言うと、なぜか納得するモデル。誰よこんな適当なやつ業界に入れたのは

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「もうちょっとでW.Cねー…練習、キツイ?」

「キツイっスけど…勝ったらナミっちにワガママ聞いてもらえるんで、がんばれるっス!!」

「……もう決まってるの?その聞いてもらうワガママって」

「んー、内緒っスね!!W.Cが終わったら言うっス!!」

「…ねえ、涼太くん」

私は笑いながら歩く涼太くんの裾を掴んだ。こんなことを言うのは初めてだから、涼太くんの顔を見れない…

「っ私が、その、W.Cであ、あんたががんばったなって思ったら……」

「思ったら?」

がんばって顔を上げた。顔に熱が集中してるのが分かる。

「……ゆ、優勝しなくても…聞いてあげないこともないわよ、ワガママ…」

やっぱり口にすると恥ずかしくなって慌てて、優勝した時より制限はかかるけどね!!と付け足す。でも、涼太くんからの反応はない。反応が気になって、涼太くんの顔を見てみる。

「ーーーっ、」

涼太くんは、顔を片手で覆っていた。わずかな隙間から見える涼太くんの顔は真っ赤で、つられてこっちも赤くなる。

「ーー…ナミっち!!」

「ひゃいっ!!」

いきなり肩をガシッと掴まれて、変な声で返事をしてしまう。相変わらずお互いの顔は赤い。

「それ、絶対に他のみんなには言っちゃダメっスよ!!」

「なっ…なんでよ!あんただけとか不公平じゃない!」

「ダメなものはダメっス!!」

「じゃあ、優勝しなかったらもう聞かないわよ!」

「うぐっ…!でも、今のナミっちすっごくかわいかったから、惚れちゃうかもしれないっス!みんな惚れたらどうすんスか!!」

「なんの心配してんのよあんたはッ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「じゃあ、あんたからみんなに伝えるってことで。」

「それならいいっスよ。伝えとくっス」

そのあともずっと、しばらく言い合いを続けてやっとこの意見になった。

「ナミっち、今日家来ないっスか?姉ちゃんいないし」

「ええ。行かせてもらうわ。」

涼太くんの家につくと、人がドアの前に座り込んでいた。金髪の女性だ。

「誰?あの人。あんたのファン?」

「な、なんであの人が…!」

涼太くんを見るととても驚いたような顔をしていた。はっ!もしかして、年上の元カノ!?ヤバイ!面倒なことにならない内に逃げなきゃ!

「やっぱり用事思い出したし帰るね、私…」

「ま、待ってナミっち!!」

ちょっと!!声が大きいわよ!!!女の人は涼太くんの声に反応して、こっちを見た。すると、嬉しそうに駆け寄って抱き付く。

「涼太ーーッ!!!」

「ちょ、ばか!抱き付くな!!」

あれ?この人の顔、どっかで見たことあるわ…どこだっけ?すごく身近な存在な気が…

「やめろ涼香!!」

「あんた実の姉に向かってなんて口の利き方すんのよ!!」

「実の…姉…?…っはーーーーー!!!??」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「確かにちょっとシャララってる…!」

「 シャララってる?面白いこと言うっスね、あなた!」

「…弟がチワワなら、姉はパピヨンってとこね…」

66:匿名さん:2017/10/16(月) 01:16 ID:dN.

オリキャラ

黄瀬涼香(きせ りょうか)
黄瀬家の次女
合コンが趣味のチャラい女
でも本命には一途
黄瀬涼太がチワワなら、こいつはパピヨン

67:桜◆kk:2017/10/16(月) 21:26 ID:dN.

「何で家にいるんスか!!聞いてないっス!」

「自分の家にいちゃダメっスか?あぁん?」

「今日お前合コンって言ってたっスよ!!」

「…涼太ぁ〜!!」

家に入ると、さっそく喧嘩を始める黄瀬姉弟。喧嘩を眺めていたら、いきなり泣き始めて涼太くんにお姉さんが抱き付く。

「今日は合コンの予定だったのに…男全員が来れないってさっき連絡が〜!!!」

「はぁ!?ってか、抱き付くな!!!」

なるほど、だから家の前に座り込んでいたのか。うん、もう帰っていいかな?涼太くん

「そういえば、誰っスか?この可愛い女の子」

「ナミっち。今日はお前がいないと思ったから連れて来たんスよ」

どうも、と頭を下げるとお姉さんにものすごい力で、二の腕を掴まれた。

「無理矢理連れて来られたっスね!!」

「「……は!?」」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「いやー、ごめんごめん。中学の時、涼太はヤンチャしてたから…てへっ」

「てへっ、じゃねーっス!!まず、中学ん時も無理矢理女の子連れて来たことねーし!!!」

「……へえー…」

「ナミっち!!?」

別に涼太くんが女の子と遊んでたとか知ってたし。初対面の人にキスしようとした人だし。

「じゃあ、この娘はあんたの友達っスね。」

「まあ…一応そうですね!」

笑顔で答えると、涼太くんが一応ってなに!?と泣き付いて来た。邪魔、うっとうしい

「なるほど。私は黄瀬涼香っス!近所の大学に通ってるから、こいつの家に住んでるっス」

「私はナミです!涼太くんと同じ海常高校に通ってます!」

お姉さんは私をジッと見ると、強く抱き締めて来た。少しビックリする。

「ナミちゃん可愛いっス!!私と付き合わないっスか?」

「お、お姉さん!私、あなたと同性です!」

「お姉さん、なんてダメっス!涼香って呼んでっス」

「何言ってんだクソアネキ!!!」

涼太くんのおかげで、お姉さん…涼香さんから解放された私。

「恋に性別なんて関係ないっス!どう?ナミちゃん」

お姉さんが私の顎をクイッと上げると、涼太くんが私の手を掴んで顔を真っ赤にして言い放った。

「ダメっス!!この人は、ナミっちは、俺がW.Cで優勝したらお付き合いする人なんスから!!」

……へ?

何?ちょっと、分かんない

68:桜◆kk:2017/10/17(火) 22:48 ID:dN.

俺が掴んでいたナミっちの手は、彼女によって振り払われた。

「はっ!!ご、ごめんナミっち!!これW.Cが終わった後に聞いてもらおうとしてたワガママだったんスけど…ナミっち?」

ナミっちから拳が来ると思い慌てて謝るが、中々来ない。彼女を見ると、顔を真っ赤にして目を回していた。涼香も驚いたように見る。

「あっ…あんたとはただの友達だし…これからもそのつもりだし…その、えっと…」

そうだ、ナミっちには好きな人がいるじゃないか。いきなり言われても、困ってるだろう。

「な、なんて冗談っス!!ナミっちは好きな人がいるから涼香、お前は諦めろっス!ざまぁみろ!」

「……そうっスね、可愛いナミちゃんの好きな人っスもん!私が敵うわけないっス!!」

俺が明るく言うと、涼香も明るく返して来た。少しホッとしてると、ナミっちが背中に頭を預けて来た。涼香は謎の空気を読んで、自分の部屋に戻る。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「涼太くんは…」

「……」

「涼太くんは私のヒーローで、いつも感謝してる。」

「……ッ!」

ナミっちの言葉に、嬉しさが込み上げてくる。嬉しさに浸っていると、ナミっちは俺の方に回り込んで、俺の目を真っ直ぐ見つめる。

「だから、ちゃんと告白して。」

「え?」

「さっきの告白って、本気だったんでしょ?あんたの嘘付く時の癖ぐらい、知ってるわよ。」

自分の髪の毛いじり過ぎなのよ、というナミっちの言葉にハッとする。そして、俺を真っ直ぐ見つめる瞳に、俺も真っ直ぐ見つめ返した。

ゆっくりと口を開く。

「ナミっち、俺は君が好きっス。付き合って欲しいっス。」

「…うん、ありがとう。ごめんなさい。」

「ぐはっ!!や、やっぱり直接言われたら心に来るっス…」

涙目になりながら、ナミっちを見ると少し笑っていた。でも、耳は赤い。可愛い、なんて思ってしまう。

「でも、真剣に考えさせて?」

「ナミっち…?で、でも伊月さんは?」

「俊くんの気持ちも、W.Cが終わってから聞く予定なのよ。あと原澤さんも。」

「そ、そんな!俺すっげーかっこ悪いっス!俺もW.C終わってからにすれば良かったー!!」

ナミっちに泣き付くと、すぐに引き剥がされる。ってゆーか、伊月さん告白したら俺勝ち目ねーし!

「そんなことないわよ。気持ちを伝えるのに勇気が必要って私、知ってるのよ?だから私はかっこ悪いとは思わない!!」

ニカッと笑うナミっちは太陽のようにキレイだった。

彼女を狙うのは俺だけではない。

伊月さんや桐皇の監督をはじめ、俺や青峰っち、赤司っちなどのキセキの世代。

そして、もう1人の大きなライバル。

俺は、決めた。

「ナミっち、また告白するっス!!」

「……?」

ナミっちは意味が分かってないようだけど、いいんだ。

次に告白する時は、もっとナミっちは悩む。

それでも君を諦めない。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「久しぶりだな、日本…」

まさか、こんなにはやくに帰って来るなんて

「ナミ…」

もう1人の、大きなライバルが

69:桜◆kk:2017/10/18(水) 00:54 ID:dN.

涼太くんと涼香さんとごはんを食べていると、私のケータイが鳴った。

『もしもし?』

『俺だ…』

『あ、あんた…!』

電話の相手は、私の義理の兄であった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ナミ!ノジコ!新しい家族だよ!」

「…ローだ」

「ロシナンテだ。よろしくな」

母さんに言われて紹介されたのは、黒髪でクマのひどい男の子と、金髪の男の人だった。

「ナミよ」

「私はノジコ」

最初はなかなか打ち解けられなかったけど、新しいお父さんのドジ振りや、それにツッコミを入れる兄と、仲良くなることができた

ーーーーーーーーーーーーーーーー

『ナミ、お前の学校での就職が決まった。明日の夜には、神奈川につく』

『え、そうなの!?家とか大丈夫?』

『お前の家に住む』

『何言ってんのよ!!』

『文句あんのか?』

『………分かったわよ』

電話を切ると、涼太くんに誰だったか聞かれたので兄だと答えると、嫌そうな顔をした。

「あの人、ナミっちのことには厳しかったっスよね〜…他は不良教師の癖に」

「アメリカでの留学が終わったから、こっちに戻って来るらしいの」

兄は医療に関しては勉強熱心で、私たちの卒業と一緒にアメリカへ留学に行った。他はなんッにも興味のない、ただの不良の保健室の先生だった。

「じゃあ、帰るわね。部屋の片付けしなきゃ」

「また来てっス!ナミちゃん!!」

「送るっスよ、ナミっち」

涼太くんの自転車に乗って、家へ向かう。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

告白する時、こいつは何を考えていたんだろう

私は俊くんが好きだけど、なんか最近違うのよね。いや、好きなんだけども

「送ってくれてありがとう。」

「じゃ、また明日っス!」

涼太くんの広い背中を見ていると、1人脳裏に浮かぶ黒い奴がいる。

成長したなぁ…涼太くん

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「へぶしっ!」

「ちょっと大ちゃん!風邪?」

「誰かが俺の噂してんだろ」

70:桜◆kk:2017/10/19(木) 22:08 ID:dN.

「今日からテメェらのことを診る、朱崎ローだ。ロー先生とでもトラ男とでもなんとでも呼べ」

ほ、本当に先生になるのね…周りの女子はかっこいい、と盛り上がる。だけど私は彼をかっこいいとは思わない。

なぜなら、彼はとんでもない過保護だからだ。

血の繋がっていない私の兄は、どういう訳か私に甘い。がんばれば自家用ヨットを買ってもらえるんじゃないか?と思えるほど甘い

「朱崎ローって…おい朱崎」

「私の…兄、デス…」

友達は面白そうに笑う。しかし、対照的に涼太くんはぶすっとしていた。

「あの人、普段は優しいけどナミっちのことになると、別人になるから独り占めできないっス!あと怖いし、厳しい!!」

涼太くんに目を向ける。確かに、運動部の人はウチの兄にはお世話になっているだろう。

キセキの世代のみんなも、修兄も崎ピョンもお世話になっていた。いや、ウチの兄が迷惑をかけた回数の方が多かったかもしれない…

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「トラ男センセー」

「…黄瀬屋か。なんだ、部活でケガでもしたか」

トラ男先生は、俺のことを覚えているみたいだ。まあ、そうだろう。自分の可愛い妹が神奈川に行ったのは、俺のせいなのだから

「ちょっと擦りむいたんスよ。消毒してっス」

先生のデスクの隣にあるイスに座る。デスクにはたくさんの医薬品がある。

「特にひどくもなんともねぇ…練習に戻れ」

「ひでーのは相変わらずっスね」

先生は俺に目を向けた後、すぐにデスクの上にあるパソコンに目を向けた。相変わらずのその人に、苦笑する。

「消毒だけでもしてくださいっスよ〜」

「……チッ」

舌打ちをされて、消毒をしてもらう。

この先生は、態度は悪いが学校医としての腕は確かだ。それと、なんだかんだでちゃんと診てくれる。

「テメェらのことは…許してねぇからな」

彼が言っているのは、中学の時のことだろう。確かに俺たちは、勝手にバラバラになって、ナミっちを悲しませた。

それでも彼女は、俺たちを、黒子っちを、黄瀬涼太を信じてくれている。

みんなが笑顔でバスケができる日を信じて。

「トラ男先生、俺はナミっちをもう泣かせないっスよ。」

「……」

「告白もしたっス。…ま、フラれたっスけど。でも、W.Cで優勝したらまたするっスよ、告白」

「あァ?」

トラ男先生の鋭い、クマの濃い目が俺をとらえる。

「俺はナミっちが好きっス。今、彼女は俺の方を向いてないけど、いつかは俺に向いてもらうっス。」

俺も負けじとトラ男先生を見た。

「先生、妹さんは俺が守るっス。」

「……消毒は終わりだ。練習に戻れ」

もっと言いたいことはあったが、俺はおとなしく保健室を出た。先生から、殺気が出ていたからだ。このままだと、殺気で殺されそう

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「黄瀬屋、俺はナミのことは恋愛対象として見てないぞ…」

「知ってるっスよ!!……って、え!!?」

「可愛い妹なだけだ。ただ、泣かせる奴はころすす」

71:桜◆kk:2017/10/20(金) 16:05 ID:dN.

今日はW.C予選の前日だ。神奈川から出る高校を決めるのだ。海常高校は、ホテルへ向かう。

「ナミっち、ついたっスよ」

「んぁ?あー…」

黄瀬が隣で寝ているナミを起こす。すると、携帯が鳴った。開いて見ると、かつての自分の主将である赤司征十郎からLINEが来ていた。

赤司っち:涼太、W.C当日にキセキの世代で集まろう

後から来たLINEには、集合場所が書かれている。黄瀬は頭を悩ませた。

(ナミっちが知ったら行きたがりそうだな〜…いいのかな?ナミっちも連れてって)

「あー…ナミっち、キセキの世代がW.C当日に集合するんスけど…」

「キセキの世代ってことは、テツたちはもちろん、征十郎とむっくんにも会えるのよね?私も行く!」

やっぱり…と思いながら、一応赤司に聞いてみると、快くOKしてくれた。

「おい、2人とももう降りろ!!」

「笠松先輩!ちょっと待ってよ!!!」

今日のナミは、マネージャーではない。

ただの一般人として、試合を見る。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「予選は明日だ。近くの体育館を借りて、練習する。1時間後、またロビーに集まれ」

監督の声で、各自が自分たちの部屋へ荷物を運ぶ。ナミは、何度も黄瀬の家に泊まっているということで、黄瀬と同室になった。

「涼太くん、この荷物どこに置くの?」

「ああ、それは…」

黄瀬が振り返ると、ナミと顔の距離が近かった。黄瀬は顔を真っ赤にして、慌てて少し体を引いた。

心臓の音が、ナミに聞こえてないか心配だった。

「ちょっと涼太くん?」

「そ、それは机の上でいいっスよ!!あ、喉乾いたんで下の購買で買って来てっス!」

「お金は出さない「これ俺の財布っス!」

無理矢理、財布を押し付けられてナミは渋々購買へ行った。

(こ、告白してから更に意識しちゃって…ど、ドキドキするっス…!)

ナミが戻ってくるまでに、終わらせようと荷物を運ぶ。

(W.Cが終わったら…)

自分の気持ちをもう一度伝える、それを胸に黄瀬は練習へ向かった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「な、ナミっち…俺の財布の中が空っぽなんスけど…」

「ああ、みんなのドリンク買ってたら無くなっちゃったのよね」

「そ、そんなー!!」

72:桜◆kk:2017/10/20(金) 22:39 ID:dN.

予選をなんとか勝ち抜き、今日はW.Cの開会式。ナミは黄瀬と共に、キセキの世代の元へ向かった。

2人は集合場所である会場前の階段のところに、カラフルな髪の色を見つけた。即座にナミが走り出す。

「むっくん!!」

「うわっ!ナミちん!?」

階段に突っ立っていた紫頭の男にナミは飛び付く。慌てて黄瀬も追いかけた。

「つーかなんでナミちんがいんの〜?」

「涼太くんに連れて来てもらったのよ!みんなに会いたくて!」

ニコリと笑ったナミを見て、紫原も微笑んでナミの頭を撫でた。

「まだむっくんと私たちしか来てないの?」

「そうみた〜い。ナミちんチョコ食べる?」

「食べる!」

紫原は自分が手に持っていたチョコレートをナミにあーんと食べさせてあげた。黄瀬が羨ましい、と涙を流す。

おいしい!とナミが言ったとき、ナミと黄瀬と紫原の背後から声がした。

「あ?まだ紫原しか来てねぇのか?」

その声にナミと黄瀬と紫原は同時に振り返った。2人の目には黒くて体格のいい男が映る。

「やっほ〜峰ちん」

「久しぶり、大ちゃん!」

「久しぶりっスね!青峰っち!!」

青峰は紫原の隣にいた人物に目を見開く。

「は?お前っ、ナミ!?」

ナミはピョンピョンと階段を上って青峰の真ん前に立つ。

「久しぶりね。合同合宿以来かぁ…」

「おー…お前も来てたのか」

「俺達に会いたかったんだって〜」

紫原がそう説明すると青峰がニヤニヤしながらへーナミちゃんは寂しかったのかァ、と言ったので、ムカついたナミは青峰の腹に一発拳をお見舞いしてやった。

「大丈夫〜?峰ちん」

「くそ…ナミのやつ思いっきり殴りやがって」

「だってなんかムカついたし」

「青峰っちに心の底から同情するっス…」

いつも殴られる黄瀬が、青峰の身を案じているとナミに殴られた。

「ちょっと!!なんで殴るんスか!!!」

「ノリよ」

「ノリっスか」

73:桜◆kk:2017/10/20(金) 22:58 ID:dN.

「つーか他の奴ら遅くねぇ?赤司はどうしたんだよ」


「さあ…きっと部員に指示出してから来るんじゃない?たぶん他の人はちゃんと先輩に説明してから来るわ」

「「………」」

ナミの言葉に紫原と青峰は無言になる。たぶん2人は先輩に無断でここに来たのだろう。今頃先輩達が必死で探しているはずだ。

「なんだ赤司はまだ来てないのか」

「緑間」

「あ、ミドチン」

「真太郎!!!!」

ナミは青峰と黄瀬を押し退けて緑間の元へ駆け寄る。

「ナミ?なぜここにいるのだよ」

「俺達に会いにきたらしいぜ」

「大ちゃん以外だけど」

「なんでだよ!!」

緑間はラッキーアイテムのハサミを持ちながら眼鏡をクイッとあげる。

「そ、そうか」

「ミドチン照れてる〜」

「照れてないのだよ!!」

「相ッ変わらず可愛いわね、あんた」

ナミと紫原が緑間をからかうと、緑間は拗ねてしまった。

「そうだナミっちー」

「空が青いわね〜」

「あれ?ナミっち!」

「本当だー綺麗な空だね」

「ちょっと、あれ?ナミっち聞こえてるっスよね!?」

「あー…眠くなりそうだぜ」

「え?みんなも?みんなも無視っスか!?」

「お前ら、さすがに黄瀬が可哀想なのだよ」

先程からずっと黄瀬を無視するナミと紫原と青峰の三人。黄瀬は涙目になっていた。ナミは鬱陶しそうに返事をした。

「何?涼太くん」

「やっと返事したっスね!!」

「早く話せや」

青峰の蹴りが黄瀬に入る。黄瀬はよろめきながら、ナミに後ろから抱きついた。

「笠松先輩たちに言ってくるの忘れたっス」

「……何を?」

「キセキのみんなで集まるのグハッ」

黄瀬が言い終わる前に、ナミの肘が黄瀬の溝うちに入った。そして、黄瀬の腕の中からするりと抜け出し、胸ぐらを掴んでブンブンと揺さぶる。

「あんた何してんのよッ!!!笠松先輩たちに迷惑かけてんじゃないわよ!バカッ!殴るわよ!!」

「もう殴ってるのだよ」

目を吊り上げながら怒鳴るナミに、静かにツッコミを入れる緑間。

紫原と青峰は、相変わらずのナミに冷や汗をかいた。アレが自分だと思うと、ゾッとする。

「あとはテツと赤司か」

「遅いね〜」

「あっ、来た!!」

ボコボコの黄瀬を足元に、ナミは手を振った。

74:桜◆kk:2017/10/20(金) 23:19 ID:dN.

「なんだァ、テツ…お守り付きかよ」

「峰ちんと黄瀬ちんにも、さっちんとナミちんがいるじゃん。お守り」

「さつきはカンケーねぇだろがコラ」

「そうよ!私はみんなのお守りよ!!」

「つーか緑間っち、なんでハサミとか持ってんスか?」

「ラッキーアイテムに決まっているだろう。バカめ」

「いや、とりあえず危ないから、むき出しで持ち歩くのやめてほしいっス」

「お待たせしました」

ナミたちのところへやって来たのは、キセキの世代幻の6人目 黒子テツヤ。しかし、彼の後ろには同じチームと思われる部員がついて来ていた

「テツ…久しぶり。」

「ナミさん…どうしてここに?」

「みんなに会いに来たの。そっちの人は誠凛の人よね?」

ナミが黒子のところまで階段を下りて、黒子の隣にいる男子の顔をジッと見つめる。

「彼は降旗くんといいます。チームメイトです」

「よろしくね、降旗くん!」

「ど、どうも」

ナミが降旗を見つめていると、急に降旗の頬が赤く染まった。その様子にナミは首を傾げた。

「つーかナミ!!」

青峰から呼ばれてナミは振り返った。

「何よ」

「赤司遅ぇ」

「知らないわよ。むっくんそれ貸して」

青峰にそう告げてから、ナミはお菓子の袋を開けようとして中々開けれない紫原に声を掛けた。紫原は素直にお菓子を渡す。ナミが開けると、中のお菓子が飛んだ。

「「……」」

「拾って食うな!!!」

「「さ、3秒までなら…」」

「なんなのだよ、そのルールは!!」

ナミと紫原がヒョイヒョイお菓子を拾うと、ツッコミをしていた緑間が、疲れたように壁にもたれた。

お菓子を全て食べ終わったとき

「すまない。待たせたね」

やっと彼、赤司征十郎がやって来た。

「…赤司君」

黒子がそう呟く隣で降旗は赤司を見て怯えているようだった。

「大輝。涼太。真太郎。敦。そして…テツヤとナミ…また会えて嬉しいよ。こうやって全員揃うことができたのは実に感慨深いね」

その場の空気が重々しくなる。

ナミはヤバイと感じて、降旗にそっと逃げたほうがいいと告げた。しかし、彼は足がすくんで動けない。

「…ただ、場違いな人が混じってるね。悪いが君は帰ってもらっていいかな?」

赤司が降旗にそう言うが、彼は赤司にヒビって中々動けない。

「なんだよつれねーな。仲間外れにすんなよ」

そんな緊迫した空気を破るかのように1人の男が現れた。

「火神!!」

「火神ちゃん!!」

「話はアトだ。とりあえず、あんたが赤司か。会えて嬉しいぜ」

「………」

(うっわ…最悪な状況…どうするのよこれ〜…!)

赤司はゆっくりと階段を下りて、緑間にハサミを借りた。

「火神くん、だよね?」

「征、十郎…?」

赤司がこれからすることが分からないナミは、ただ2人を見つめるだけだった。

するといきなり、ビュッと赤司が火神にハサミを突き付け、ギリギリのところで火神はそれを避けた。

「火神君!」

「火神ちゃん!!!」

黒子と降旗、ナミが火神に駆け寄る。その光景を残りのキセキ達はボーッと眺めていた。

75:桜◆kk:2017/10/20(金) 23:39 ID:dN.

「僕が帰れと言ったら帰れ」

赤司がそう言ったとき、紫原が大きな手でナミの耳を塞いだ。

「この世は勝利がすべてだ。勝者はすべてが肯定され、敗者はすべてが否定される。僕は今まであらゆることで負けたことがないしこの先もない。すべてに勝つ僕はすべて正しい。




僕に逆らう奴は親でもころす」

赤司がハサミで自分の前髪を切りながらそう言った。しかし、ナミは耳を塞がれているので赤司がなんと言ったか分からなかった。

紫原はホッと一息ついてナミの耳から手を離す。

「じゃあ僕はそろそろ行くよ。今日のところは挨拶だけだ」

「はぁ!?ふざけんな赤司。それだけのためにわざわざ呼んだのか?」

「いや、本当は確認するつもりだったけど、みんなの顔を見て必要ないと分かった。全員あの時の誓いは忘れていないようだからな」

ナミは話についていけなくて困惑する。キョロキョロとみんなの顔を見渡すが、訳が分からない。

「次は戦う時に会おう。」

「待って征十郎!!」

「ちょ!ナミっち!?」

「ごめん涼太くん!私、戻るの遅れるって先輩たちに言っといて!!」

ナミが赤司を追いかけようとする。しかし、その前に火神に近づいた。そして、そっと火神の切れた頬に手を添える。

「火神ちゃん、大丈夫?征十郎がごめんね!」

「い、いや大丈夫」

「良かった…W.Cがんばってね!応援してるから!!」

火神が少し顔を赤くした。しかし、ナミはそれに気付かず、赤司を追いかけた。

「…惚れましたか?」

「ほれっ…!?ばっ、おま、!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ナミは赤司に追いつくと、手を掴んだ。やっと赤司は振り向いた。

「征十郎、久しぶり。」

「久しぶりだね、ナミ。」

「あんた、何してんのよ。人にハサミを向けるななんて…火神ちゃんが避けてなかったら、どうなってたか…」

赤司はナミに目を向けると。また歩き出した。

今度は、ナミは追いかけなかった。

「怖かった…」

ナミの出した声は、掠れていて、赤司に聞こえるかどうか分からないぐらいの、ボリュームだった。

「火神ちゃんがケガするのも…みんなが険しい顔をしてるのも…」

ナミの目から、ツーッと涙が伝う。

「あんたが…犯罪者になるかもしれないって…思ったのも…」

ピタリと赤司の足が止まった。ナミの声は、聞こえていた。ゆっくりと赤司が近付いて来る。

「ナミ…」

そして、彼は先程とは違う優しい笑みを浮かべて、ナミを抱き締めた。

ナミは背中に手を回して、更に泣き出す。

「だいたい何よ、誓いって…ッ聞いて、ないわよ…!みんな分かってるのに、私だけ1人みたいじゃないのよ…!ばかぁ!」

「すまない。…ナミ、待っていてくれ。」

声が少し、穏やかになった。ナミはハッとして、上を向く。

「彼らが…“キセキの世代”がオレを倒すまで。」

「征ちゃん…」

それは、勝利に執着する赤司征十郎の顔ではなかった。ナミはそれに、すぐ気が付いた。

「そしたらまた…そうだね、バスケでもできたらいいな」

ーナミも桃井も、みんなが笑っているバスケを

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「じゃあな、ナミ」

「ええ。さよなら、征十郎。」

ナミは何にさよならと言ったのだろうか。

ただの別れの挨拶か、それとも…

未来を読んだのだろうか。

76:桜◆kk:2017/10/21(土) 01:08 ID:dN.

番外編【青峰とナミ、あと誠凛】

せっかくの休日だから、東京に帰ってゴロゴロしながら、テレビでも観ようと思いソファに寝転んだところで、玄関のチャイムを連打する音がした。

居留守をしようと思ったがあまりにもインターホンを連打されたので煩くてそれは出来なかった。

「誰よ!迷惑ねっ!」

ノジコが居たらぶっ飛ばされてるわよ、と思いながらガチャっと玄関を開ける。

目の前に居たのは見知ったガングロ。

静かに玄関のドアを閉めようとしたら、ガシッとドアを掴まれてしまった。

「おい、閉めんじゃねぇよ」

「何よ、休日にまであんたの顔なんか見たくないんだけど」

そう言って力に任せてドアを閉めようとしたが大ちゃんも踏ん張る。

「おい、話ぐらい聞けよ……さつきが!」

さつき!?

ガンッッ

さつき、という名前を聞いた瞬間勢いよく玄関を開けたので、大ちゃんの顔面に玄関のドアがぶつかった。

「いってぇな…いきなり開けんなよ」

そんなことはどうでもいいのよ、と言えばよくねぇよ、と言い返された。

「さつきがどうしたの!?」

「いや、あのー…喧嘩して、さつきのやつどっかいっちまったんだよ。見つかんねぇから、一緒に捜してくんねぇか?」

「バカアホ峰!!!!」

と叫んでアホ峰の顎にアッパーを決め込んだ。

グハッと言って激痛に悶え苦しんでいたけど無視した。

幸いなことに服はちゃんと私服を着ていたので、家の中から携帯と鍵を取って、玄関の鍵を締めたことを確認してから未だに悶えているバカを放置して走り出した。

後ろからアホ峰の私を呼ぶ声が聞こえたが、聞こえていない振りをして、さつきを捜しに行く。

さつきはきっと、あそこにいる…!!

77:桜◆kk:2017/10/21(土) 01:18 ID:dN.

番外編2【青峰とナミ、あと誠凛】

さつきがいるであろう場所に向かって走っていると、急に雨が降り出してきた。透けない服着てきて良かった。

誠凛高校と書いてある校門の中を突っ切る。

そして体育館に向かう。

バンっと勢いよく体育館の扉を開けると、体育館の中にいた人達の注目を一気に集めたのが分かった。

「さつき!!」

「ナミさん!?」

「ナミさん?」

「ナミ!!」

「ナミちゃん?なんで!?」


私は髪から水滴が滴り落ちるのも気にしないでさつきたちの方へ向かう。

「ナミちゃん、このタオル使って」

リコさんと日向くんから差し出されたタオルをお礼を言って受け取った。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

誠凛のみんなに、一応挨拶とお礼を言う。

そして、イスに座っているさつきに近付いて

パシンッ

思い切り頬を叩いた。

「ッ、?」

「ナミさん…」

「ナミ…?」

そして、さつきに抱き付く。

「心配させないでよ…バカッ…!」

「っ、ごめん、なさい…!ごめんなさい…!」

さつきがいなくなったら、どうしようと思った。あのガングロのそばにいてあげられるのは、さつきだけだから。

私の、大切な友達だから。

さつきと私の目からポロポロと涙が溢れる。

しばらく2人で静かに泣いていると、不器用に火神ちゃんが私の頭を撫でてくれた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「それで、2人共どうしたんですか?」

なんだ、まだ大ちゃんと喧嘩したことテツたちに言ってなかったのね…

「私…っ青峰くんに嫌われちゃったかもしれない」

せっかく、目が乾いたのにまた、涙を瞳に溜めながらさつきがテッちゃんに泣き付く。

そして、さつきが大ちゃんとの喧嘩の理由を話し出した。

私にはよくわからない話だったので、ボーッとしててちゃんと聞いてなかったけど。

78:桜◆kk:2017/10/21(土) 01:43 ID:dN.

番外編3【青峰とナミ、あと誠凛】

「大丈夫ですよ桃井さん」

そう言って話し終わったさつきの頭を、テツが撫でる。

いいなーさつき、テツに頭撫でてもらえるとか貴重なことよ、なんて思ってると心を読まれたのか火神ちゃんにまた、頭を撫でてもらった。

「青峰くんもちょっとカッとなって言い過ぎただけです」

「そうよ!だからあいつ、私にさつき捜すの手伝ってって頼んできたんだから!」

「そうなんだ…」

「うん。それと、さつき泣かせた分まで私が大ちゃん殴ってきたから大丈夫よ!」

そう言って拳を突き出す。

(((何が大丈夫なの⁉)))

すると、ちょうど拳をおろした時に携帯が鳴った。

「あ、ごめん。ちょっと失礼するわ」

ちょっとだけみんなのとこから離れて通話ボタンを押す。

『もしもし?大ちゃん?」

『おう、さつき居たか?』

『うん、誠凛高校にいたわ』

『テツのとこか。門の前で待っとけって伝えてくれ』

『分かった。ちゃんと謝りなさいよ』

『あぁ、それとさつき家まで送ったら飯食いに行こうぜ』

『もちろんあんたの奢りでね。じゃあ、それまで私誠凛高校にいるわ。さつき送ったら連絡して』

『分かった』

ピッ

「さつき!大ちゃんが迎えに来てくれるって!校門の前で待っとけって」

「分かった。ナミさん、ありがとう」

「いえいえ。礼には及ばないわ。ちゃんと仲直りしてきなさい』

さつきは誠凛の皆さんにお辞儀をして、私とテツに手を振ってから、体育館をあとにした。

「あら?ナミちゃんは一緒に帰らなくていいの?」

「うん!大ちゃんがさつきを家まで送ったらご飯食べに行こうって。それまでここにお邪魔してていいですか?リコさん、みんな」

そうみんなにに言うと大歓迎だと言われた。

「なんだナミって青峰の彼女だったのか?」

火神ちゃんが変なことを聞いてきたので、足を思い切り蹴ってやった。

「んなわけないでしょーが!!!」

「火神くん、変なこと言わないで下さい」

「な、なんだよ」

「私には俊くんがいるもん!ねー、俊くん♡」

「伊右衛門がいるもん!やべキタ!」

「伊月黙れ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「そう言えば黒子。I.Hに青峰が出なかった理由は分かったが、残りの2人はどうしてだ?」

「それなら僕より、ナミさんの方が詳しいと思います」

いきなり話を振られて、何のことか分からず困惑した。

「紫原くんと赤司くんがこの前の試合に出なかった理由です」

あーハイハイ

そう言えば試合のことについていろいろ聞いた気がする…


「むっくん…紫原は、征…赤司と戦うのが嫌だし、赤司に出るなって言われたらしいわ」

「紫原君は赤司君とだけは戦うことを拒むんです」

「赤司って奴は…?」

「青峰が出られないって聞いて、それじゃ簡単に勝ってつまらないから出なかったって言ってた」

「なんだ?それ!」

「まぁ結局は化物ぞろいってことだろ、キセキの世代」

そんなにすごいの?あいつら…火神ちゃんは目をギラギラさせていて、少しドキッとした。…何に!?

「それにしてもナミって、バスケ部じゃないのにキセキの世代と仲良いんだな」

鉄平さんが私にそう問い掛けた。

「うん!」

元気よく頷いて笑った

(((かわいいなー)))

「バスケやってる人たちからは、よく妬まれたりしてるけど、本当はすっごくいい人達なのよ?」

と言うとそうか、と言って鉄平さんが久しぶりに頭を撫でてくれた。

79:桜◆kk:2017/10/21(土) 01:55 ID:dN.

番外編4【青峰とナミ、あと誠凛】

私の携帯が鳴った。あっ、大ちゃんからかも!

『もしもしー』

『あー…俺だ』

『今どこ?』

『誠凛に向かってる』

『じゃあ駅前のとこで待ち合わせしましょ。私も今から向かうわ』

『おう、危ねぇから誰かに送ってもらえよ』

『分かった。ありがとう』

ピッ

あ、もう外暗くなってる。いつの間にか雨もやんでるし、服もだいぶ乾いてきたわね…

「じゃあリコさん、みんな、お世話になりました」

「え、もう帰んのか?」

「大ちゃんと駅前で待ち合わせしてんのよ」

誠凛の皆さんは私が帰るときいて少しガッカリしていた。なんていい人たちなんだろう。最後に、俊くんに抱き付く。

「途中まで送って行こうか?」

火神ちゃんにそう言われ、お願いしようとしたらテツが、僕が送りますと言ったのでテツにお願いした。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

テツと並んで歩いているとあることを思い出した。

「そうだわ、このタオル今度洗って返すってリコさんに言っといて」

「はい。その時また一緒にご飯でも食べましょう」

「うん!また家に来て!ごちそうするから!」

嬉しくてニヤニヤしていたら、テツに頭を撫でられた。そんなことされたら、もっとニヤニヤしてしまう。

「あ、そう言えば今日紫原くんに会いました」

「うそ!!」

今テツは、私にとって聞き捨てならないことを言った。

「ストバスの大会で会ったんです。まあ、雨で中止になってしまったんですけど」

「いいなぁ…ってなんでテツとは会って私とは会ってくれないのよ!」

「今日会ったのは偶然ですけどね」

よし、今日の夜電話してやろう。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

テツと話してたら、いつの間にか待ち合わせ付近に来ていた。

信号を渡ったところに大ちゃんらしき人が見えた。

「ここまででいいわ。ありがとう。」

「気をつけて下さい」

「テツ」

「なんですか?」

「またいつか、バスケしてよね。みんなで!」

「……」

「そしてその時は。私も誘ってよね?あんたたちが全員で笑ってるとこ見たいから。」

少し驚いたように目を開けたテツだったが、すぐにいつもの顔に戻った。

「…はい。約束します」

拳を突き出されたのでコツン、と拳を合わせた

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「だーいちゃん!」

「お、来たか」

「あんた…暗いとこにいたら背景と一体化して分かんないんだけど。肌が黒いから」

「ぶん殴るぞてめぇ!!」

80:桜◆kk:2017/10/21(土) 16:58 ID:dN.

番外編2【桃井と朱崎とキセキの世代】

今、帝光中学の文化祭にみんな夢中で、部活の合間を縫ってクラスの子に呼び出される人もいる。

もちろん私も、二度目の文化祭に張り切っていた。

「さつき、一緒にまわんない?」

「もちろんいいですよ!」

今年はさつきとまわることにした。さつきのクラスはクレープ屋さんをするらしく、さつきは裏方らしい。たぶん当日に追い出されるか、ウェイトレスになるわね、うん

ーーーーーーーーーーーーーーーー

さつき:クラスのみんなに追い出されたので、今からナミさんのクラスに行きますね…

ほらね。さつきには悪いけど、すっごく予想できてた。

「ナミさーん」

「あ、さつきだ。征ちゃん、出てもいいかしら?」

「ああ。俺も後から出る。」

征ちゃんに一言かけてから、教室を出てさつきと歩き出す。

「んじゃ、どこ行く?」

「バスケ部のみんなのところ行きます?」

「確かみんなは…「桃井さん、ナミさん」

地図を見ると、前から声をかけられた。見てみると、燕尾服姿のテツだった。横にいるさつきが蒸発しかける。

「テツ!あんた、なんで燕尾服なの?」

「おかしいですか?」

「お、おかしくなんかないよ!似合ってる!」

さつき、がんばった!がんばったじゃない!!さつきの勇姿に感動した。

「テツのクラスはエレガントde curryね。そのセンスはどうかと思うけど…行きましょ」

「て、ててて、テツくんの燕尾服…」

やはり蒸発しそうなさつきの手を引っ張って、テツにエスコートしてもらう。

カレーはなかなかおいしかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

歩いていると、占星術研究会の占い相談コーナーと書いている看板を見つけた。

「あ、確かここって、ミドリンがいるところですよ」

「へ、真太郎が?」

「はい。たぶん、おは朝占いを生活の基準に置いてる人だから、占星術研に目を付けられたんだと思いますよ」

…さすが真太郎。類は友を呼ぶ、ってこーゆーことなのね。

「面白そうだし、行ってみましょう!ナミさん」

入ると真太郎に会ってしまった。こいつが正しく占える訳がないのに…

「私、会長に見てもらって来ます!」

「ちょ、さつき!」

嬉しそうに走り出して行くさつきに、少しだけ嫉妬した。あぁ…私もできることなら会長に占ってもらいたいわよ!!

「見てやるのだよ、ナミ」

しょーがないから、真太郎の前に座る。水晶やタロットで見てもらえるのかな、と思っていると机の上にはホラ貝とガラス製ランプが置いてある。

「こんなんで占える訳あるかーーッ!!!」

怒りでホラ貝とガラス製ランプを拳で壊してしまった。真太郎が叫ぶ。

「あああああ!!何をするのだよ、ナミ!!これでおは朝グッズがもらえたのだよ!!!」

「知るか!詐欺よ詐欺!!ったく…行くわよさつき!」

さつきを引っ張って教室を出る。ここら辺は、征ちゃんの好きな将棋部やチェス部の出し物をしていた。いるかもー、なんて思って覗いてみると、赤いよく知っている頭がいた。

赤司様だ。

赤司様は、将棋部の部長に圧勝した。

(あ、赤司無双を私はこの目で見た…)

少しびっくりしながら歩いていると、何かにぶつかった。

81:桜◆kk:2017/10/22(日) 00:42 ID:dN.

番外編2【桃井と朱崎とキセキの世代】

ぶつかったのは、変な格好をした涼太くんだった。周りの女子がキャーキャー言いながら、列を作っている。

「あ、ナミっち、桃っち、おはようっス」

「きーちゃん!」

「涼太くん!…何?その変な格好」

ガーンッと効果音付きで膝をつく、フランス王朝の青年将校姿の涼太くん。でもすぐ復活した

「うち、縁日やってんスよ。だからこれはその衣装…」

看板には、艶仁知〜艶やかなる新しき愛と知性をあなたに〜と書いてあった。

「…もうどっから突っ込んでいいのか、分からないんだけど」

そう言うと、涼太くんも苦笑した。

「ナミっちの気持ちも分かるっス。俺も教室の飾り付けしてて、あれ?と思ったし」

いやもっと前から気付くでしょ、と思う。これには、経緯を見てると気付かなかったらしい。

涼太くんの話によると、初めはアフタヌーンティーの喫茶室を希望してたらしいけど、調理室の関係で飲食店のクラスは数が限られてて涼太くんのクラスは抽選に外れた。

だけど、一部の女子はアフタヌーンティーの準備を既に準備をしていた。せっかく用意したものを無駄にはできない、と用意した衣装で縁日をやろうということになった、らしい。

「でも人がいっぱい入って良かったじゃない」

「まあ、そうっスね。なんか物珍しさで人が集まってるらしくて」

「物珍しさ、ねぇ…」

涼太くんと話し始めてから、やたらと背中に視線を感じる…たぶん間違いなく、涼太くん目当てに並んでる女子たち…

それはさつきも感じ取っていたらしく、2人で顔を見合わせて、あはは…と笑う。

「あ、そうだ2人とも!紫原っちのも見た方がいいっスよ絶対!待ってて!呼んでくるから!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「あ、ナミちんにさっちんだー」

「むっく…ん!?」

むっくんは、お姫様の格好をしていた。デカイ分、迫力もある。

「驚くっしょ?」

涼太くんの言葉に、こくこくと頷く私とさつき。すると、涼太くんはむっくんに声をかけた

「紫原っち、アレやってよ」

「えーうん。まあいいよ」

「アレって?」

「まあ、見てて」

黙って見てると、ゴホンッとむっくんは咳払いをすると腰に手を当てて、人差し指を突き出す

「ごはんがないなら、お菓子を食べればいいじゃなぁい!!」

「「…え?」」

私とさつきが驚いていると、周りの女子がキャーキャー言い始めた。

「似合うー!すてきー!」

「もっとやってー!」

な、なんてむっくんにぴったりなセリフ…

そのまま私たちは、縁日を後にした。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「あ、もうちょっとでスタンプラリーね」

「スタンプラリー?」

「そう。その大会に男女ペアで出場して優勝すると、そのペアは幸せなカップルになるんだって」

さつきの目の色が変わり、肩を掴まれる

「まさかナミさん…!」

「そのまさかよ…!」

ガシッと私とさつきは手を組んだ。そして、勢い良く走り出す。

「がんばりなさいよ、さつき!テツにはこのこと言ってあるから!!」

「ありがとうナミさん!私、がんばります!」

そう。テツとさつきにペアを組ませるのだ。

82:桜◆kk:2017/10/22(日) 01:38 ID:dN.

受付会場に向かうと、たくさんの人が集まっていた。

(この中からテツを見つけるとか、砂浜に落ちたコンタクトレンズを拾うのに等しいじゃない…!)

ショックで2人でうなだれていると、大声で声をかけられた。

「ナミー!さつきー!」

「ナミさん、桃井さん」

ハッとして声をかけられた方を見ると、テツと大ちゃんがいた。私とさつきはテツに駆け寄る

「テツ!!」

「テツくん!!」

「おい、俺は無視かよ」

大ちゃんにデコピンされる。

「だってテツしか目に入らなかったもん」

「そうだよ!無視じゃないもん!」

「それを無視っつーんだよ!!」

大ちゃんを無視して、テツにはさつきと組むように言う。テツはそれに分かりました、と頷く

「おい、なんの話してんだよ」

「このスタンプラリーの話よ。あんたもこれに参加すんの?」

「しねぇよ。俺はテツに付いて来ただけだ」

「呆れた…このスタンプラリーの優勝景品は、レブロンモデルだから、ついあんたもかと…」

「マジかよそれ!!俺も欲しかったんだよそのバッシュ!!!」

すると、大ちゃんはガシッと私の肩を掴んだ。やだ、イヤな予感…!

「ナミ!俺と参加しろ!!」

あぁ…イヤな予感、的中…

「イヤよ!私はさつきの味方なの!!」

「なんでそこでさつきが出てくんだよ!」

「いいからイヤなの!!出たいなら他の女を誘いなさいよ!それか男!!」

「めんどくせぇ!!参加しろ!」

「2人とも、受付終了しますよ?」

ギャーギャー言い争ってると、いつの間にか人が私たちを避けていた。

「…しかたない…あとで焼きそば奢ってよ!」

「分かったよ」

受付を済ませて、会場へ進む。まずは二人三脚で第2ゲームへ進む、というものだった。

「勝つぞ、ナミ!」

「はいはい。ってゆーか、あんまりくっ付かないでくれるかしら?セクハラよ」

「どういうことだよ!!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

スタートの音と共に、大ちゃんに引っ張られて私は走り出す。

「はやッ!速すぎ!!止まれなーーいッ!!」

「止まる訳ねーだろ!!…ッ!曲がるぞ」

「え?」

すると、勢い良く大ちゃんはカーブした。ゴールから少し離れる。

「ちょっと!なんで曲がるのよ!?」

「なんつーか、イヤな感じがしたんだよ」

「はあ!?」

「いいからっ!もう一回曲がってコースに戻るぞ!!」

コースに戻って走ってると、後ろからバゴォッと音がした。振り返ると、地面には大きな穴があいている。

「後ろの、ゴールを一直線に目指してた集団が消えてる!?なにあの穴!!」

確かあの場所は、大ちゃんがちょうど曲がったところ…すると、アナウンスが流れた。

《えー、クイズ研からのお知らせです。落とし穴に落ちた人は、その場で“失格”となるのでご注意ください》

「落とし穴って…あとだしもいいとこよ…」

てか良く見たら、ところどころ掘り返したあとのような…どことなく土の色が違う気が…!

「グラウンドに落とし穴って…本格的すぎ…」

「いいじゃねぇか。これぐらいスリルがある方がおもしれぇよ。」

うわ、楽しげな笑み…因縁のライバルと出会ったかのような…

すると大ちゃんは、私の肩に回している手に力を込めた。

「ナミ、突っ走るぞ!」

「えっ!?いや、少し慎重に行かないと私たちも穴に落ちるわよ!?」

「俺の勘を信じろ!!」

自信満々な大ちゃんを見る。

「…本当に信じて大丈夫なんでしょうね?」

「大丈夫じゃねー時は…なんとかしろ!」

「んな滅茶苦茶な!!」

「グダグタ言うな!行くぞ!!」

もう一度、私と大ちゃんは走り出した。

83:桜◆kk:2017/10/22(日) 01:38 ID:dN.

↑番外編2【桃井と朱崎とキセキの世代】

84:桜◆kk:2017/10/23(月) 17:09 ID:7ZY

小話まとめ1(会話文のみ)

帝光中学3年生時代のナミのセーター事情(黄瀬×ナミ)#なんか2人でやらかして廊下に立たされてます

「ね、ナミっちのそのセーターって男もんっスよね?つーか帝光のやつじゃないっスよね?」

「兄ちゃんの友達の花宮真から奪っ…もらったのよ」

「え、今奪ったって言おうとした?……姉ちゃんのお古あるからあげようか?」

「……ううん、いい!これマコの匂いして好きなの!」

「………あ、そっすか…」

「ちょっとー、何泣いてんのよ?」

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ナミの交友関係が広かった件について(キセキ×ナミ)

「えー、ナミちんって木吉鉄平と友達だったのー?聞いてねーし」

「コンビニでよく会うようになって…」

「そのセーターも花宮真のっしょ?なんなんスか!!」

「いや兄ちゃんの友達…」

「虹村さんと知り合いだったということも、聞いてないぞ」

「昔からの知り合いだったし?言わなくていいかな〜、みたいな?」

「灰崎をどうやって下僕にしたのだよ」

「崎ピョン友達だし…」

「トラ男と兄妹って聞いてねーんだけど?」

「朱崎ローだし、むしろ気付くでしょ…」

「桃井さんともいつの間に仲良くなったんですか?」

「さつきとは大ちゃん絡みで…ってゆーかなんなのよみんな!ちょっとうざいんだけど!!」

「待てナミ!話はまだ終わってないぞ」

「いーーーーやーーーーー!!!!!!」

85:桜◆kk:2017/10/23(月) 18:32 ID:7ZY

一応の設定。
ほんと、ちゃんとしたやつ。後付けとかじゃなくて、I.Hのこと忘れてたから書けなかっただけだから。合同合宿とか正直なところW.C後の話だから。いつかI.Hの話も書くから。合同合宿の話は今だけ忘れて。またするかもだけどさ。

花宮真はローの友達
ノジコとローは帝光中学じゃない
ノジコとナミは二歳差、ローとナミは六歳差
花宮とローはローが六年生、花宮が二年生の時に出会った。
結構、朱崎宅にお邪魔していてナミたちの過去を唯一知っている。
セーターをナミに奪われ…あげた

86:桜◆kk:2017/10/23(月) 18:44 ID:7ZY

なんかねー、色々ごちゃごちゃだから新しくスレ作り直します。
変えたい設定もあるし…少ないとは思いますが(つーかいないと思うけど)読んでくださった皆様、ありがとうございました。違うスレで作り直しした際は、もう一度足を運んでください。


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