ラビリンスプリキュア!

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1:リカ:2018/02/20(火) 19:53 ID:Y4I

プリキュアの二次創作を書いていきます!!( ・∇・)
感想やアドバイスなどを書き込んでもらえると嬉しいです!!
誹謗中傷、荒らし、なりすましは絶対にやめて下さい!

2:リカ:2018/02/20(火) 20:27 ID:Y4I

◯序章◯

少女はショーウィンドーを見つめていた。
凍えるような夜の冷たい風が、少女の艶やかな黒髪を揺らした。赤くなった鼻が、彼女の大人っぽい雰囲気に、幼さを添えている。少女が寒がっていることは明らかだった。しかし、彼女は一歩もその場から動こうとしなかった。まるで、ショーウィンドーに並んだ品物に引き付けられているかのように。

「……どうして、こうなったんだろう」

重たい声とは裏腹に、少女の顔に表情は無かった。涙を流すこともせず、ただただショーウィンドー一点を見ている。

「結局『仲間』なんて、こんなものか……」

そう言うと、少女は拳を強く握り締めた。
ーーここにあるショーウィンドーの品物なら、今すぐに手に入る。お金はそこそこ持ってる。それに、ガラスをこの拳で割ることだって出来る。だけど、そんなことをしても手に入らないものもあるんだ。

「……信じること、心を開くこと、仲間を作ることは愚かなこと。だったら、自分の殻に閉じこもってしまえばいい」

いつの間にか、雪が降っていた。だが、歓声が上がることはなかった。このショーウィンドーのお店の周辺は、閑散としているのだ。昼間は賑わっていた街も、夜になると静寂をまとっている。しかし、少女にとって、それがちょうど良い気がした。

3:リカ :2018/02/20(火) 21:04 ID:Y4I

第一話 予測出来ない未来を見たい!キュアシリウス誕生

「小泉杏です。よろしくお願いします」

淡々と簡単な自己紹介を済ませる。好奇の視線を私に向けるクラスメイトを一瞥した。比較的愛嬌のある人が多いが、仲良くなりたいという思いはなかった。むしろ、心の中で溜め息をついてしまう。
先生に促され、窓際の一番後ろの席に私は足を進めた。その間も、私はクラスメイト達に注目されていた。しかし、会釈をすることも微笑むこともしなかった。
転校生って、なにかとめんどくさい。

「隣よろしくね!」

席に着いた瞬間、隣の人がにこりと笑みを向けてきた。背中辺りまでの茶髪を耳と同じ高さで一つに結んだ彼女は、私に顔を近付ける。反射的に私は、彼女から引いた。

「私、杉崎菜子っていうの。仲良くしよ!」

「……私は仲良くする気ないから」

表情を変えずに、私はそう言った。彼女の反応には見向きもせず、黒板の方に向き直る。だが、先生の話を真面目に聞く気にもなれなかった。
ふいに、私は空に視線を移動させた。元気な朝を象徴する清々しい青空は、前の学校とはどこか違うように思えた。

4:リカ :2018/02/26(月) 21:24 ID:Y4I

父親の転勤で、高校二年生のゴールデンウィーク後という中途半端な時期の転校に、私は多少のストレスを感じていた。ここ、桜川女学院への編入も、別に私は好きで試験を受けたわけではない。ただ、特に入りたい高校がなく、自宅から一番近いところを選んだからだった。成績も悪い方ではないため、編入試験もそれなりに余裕だった。しかし、環境の変化にはなかなか慣れなかった。 だけど、学校生活はあまり変化しないだろう。せいぜい生徒が女子しかいないくらいだ。
ホームルームが終わり、授業の準備をすると、私の前に複数の壁ができた。徐に私はそれを見上げる。
「小泉さんって編入試験受けて入ってきたんでしょ?頭良いんだね!」
そう言って笑顔を浮かべたのは、群青色のポニーテールが特徴的な人だった。陶器のような白い肌とほどよい色合いの赤い唇に、大抵の男子なら惹かれるだろう。可愛いというよりは美人系に近い彼女だが、やや吊り上がった目が彼女にキツい印象を与えている。
「私、二宮江奈っていうの。よろしくね!」
二宮さんは握手を交わそうと手を差し出すが、私はそれに応えることはしなかった。私の無愛想な反応に苛立ちを感じたのか、二宮さんは眉をぴくりと動かした。
こういうの、めんどくさい。
「こ、小泉さんも緊張してるんでしょ!ね?江奈」
「そうだよ!良かったら、後で学校案内しよっか?」
そこでやっと私は、二宮さんの左右にいる二人の女子の存在に気付いた。二人とも可愛い部類ではあるが、二宮さんほどには及ばない。なるほど。取り巻きってやつか。明らかに不機嫌になっている二宮さんのご機嫌を取ろうと、必死になっているのがバレバレだ。そんな二人は『空気読めよ』と言わんばかりか、私に冷ややかな視線を送っている。
「大丈夫。前に学校見学に行って、あらかた校舎は見たから」
「じゃあ、部活見学にでも……」
「部活はする気ないから」
二宮さんの誘いをきっぱり断ると、私は席から立ち上がり教室から出た。二宮さん達が鬼のような形相で私を見ていたことは、容易に想像出来る。そのせいか、教室を出る時に少しばかり寒気がした。
「小泉さん!」
後ろから名前を呼ばれ、反射的に振り向く。そこいたのは、杉崎さんだった。まためんどくさいのがきた。
「……何」
自分の声が自然と低くなる。しかし、そんな私に彼女は挑むような表情で、口を開いた。
「仲良くする気ないってどういうこと!?意味わかんないんだけど」
「そんなの私の勝手でしょ」
「私は小泉さんと仲良くなりたい!」
「私は仲良くしたくない」
不毛な会話だ。付き合っていられず、私は杉崎さんに背を向けた。
「ちょっと待ってよ!小泉さん!」
廊下に彼女の声が響いた。だが、ここで振り返ったらいけない。絶対に。
諦めたのだろうか、杉崎さんの声は聞こえなくなった。その諦めの良さに、私はいつものことだと自分を納得させる。その瞬間、窓から入り込んできた初夏の風が私の頬を撫でた。桃色の癖っ毛のポニーテールも同時に揺れた。

5:リカ :2018/02/26(月) 22:01 ID:Y4I

腕時計の針が十五時を差し始めた頃、河川敷にはどこかの野球部のランニングが行われていた。汗を流しながらも、キラキラと輝いている彼等が私の横を通り過ぎる。私は彼等の掛け声が聞こえなくなるまで、そこで立ち止まった。
人には一つくらい夢中になれるものがあるだろう。実際、私もそうだったのだから。だけど、そうやって夢を見ていられるのは、瞬きをするのと同じくらい一瞬だ。そして、その先にあるのは絶望。それを知った時、私は自ら自分の夢を放棄した。そうすれば楽だから。私は私の世界にしかいないのだから。一度汚れてしまった人間は、もう二度と純粋な昔に戻れないから。
いつの間にか、野球部の掛け声は聞こえなくなっていた。再び私は歩き出したその瞬間だった。
「ねえ、ウサギのぬいぐるみ見なかった?」
突如、背後から聞こえてきたハスキーボイスに私は勢いよく振り返った。ハスキーボイスの持ち主は、シルクハットとタキシードを身にまとった男性だった。ブルーの整った髪と綺麗な顔立ちは、タキシードとよく似合っていた。見たところ成人くらいに見えるが、口元の小さなほくろが彼に可愛らしさを添えている。しかし容姿端麗とはいえど、こんな初夏でのタキシード姿は違和感しかなかった。自然と警戒心が強まる。
「……見てませんけど」
「そっか。残念だなぁ」
彼が軽く溜め息をつくと、私は早くこの場から去るために、身をひるがえそうした。しかし、彼の瞳が私を動かさなかった。夏の澄んだ青空のような瞳の底には、計り知れないどす黒さがあったからだ。
「ごめんね、プリキュアを呼び寄せるためにもこうしなきゃいけないんだよ」

6:リカ:2018/02/27(火) 22:23 ID:Y4I

「なんなんだよ!仲良くなりたいのにさ!」
校門を通り過ぎると、私は愚痴をこぼした。それを橘美空は、大好物のメロンパンをかじったまま頷いてくれる。ほんと、どんだけメロンパン好きなんだよ。
「でも、何でまた転校生にこだわるの?」
「だって、新しい出会いじゃん!せっかく席も隣だし、仲良くしたいじゃん!わかるっしょ!?」
私の言葉に、美空は曖昧に唸るだけだったが、彼女ののんびりとした声は私を落ち着かせてくれた。再びメロンパンを頬張る美空の頭を、私は犬を相手するように撫でた。
「やめてよ〜」
「その緩い感じ、やめて欲しそうには聞こえないんだけど」
肩より少し下にあった髪質の良いブラウンの美空の髪は、すっかりくしゃくしゃだった。流石にやり過ぎたわ。
「今日はこのまんま塾だから。バイバイ」
住宅街の曲がり角に差し掛かると、美空は私に手を振った。乱れた髪を直してあげようかと思ったが、美空はそんな隙も与えずに私の前から去った。なんかごめんよ、美空。そう心の中で謝罪したその瞬間だった。
頭上から叫び声のようなものが聞こえてきた。青空を見上げると同時に、私の視界は真っ暗に染まる。顔の上に何かが覆い被さっていると理解するのに、あまり時間はかからなかった。慌てて、それを顔から引き剥がす。
「な、何これ……」
私は思わず首を傾げた。無理もない。それはウサギのぬいぐるみだったのだから。白くてふわふわな毛並みは無駄にリアルで、金色の首輪をつけている。可愛いなぁ。
「飼ってるのが逃げ出したんかな……」
「違うよ!!」
……は?私はぬいぐるみの顔をじっと見つめる。それは可愛らしかった先ほどの笑顔は崩れていて、怒りを露にしていた。信じ難い現象に、私の手はプルプルと震えた。
「ぬいぐるみが喋ったぁ!?」


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