キセキの世代×ナミ【黒バス×ONE PIECE】

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1:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 00:03 ID:yMo

私の大好きなナミさんを取り巻く、キセキの世代や他のみんなの話。

朱崎ナミ
帝光中学
2年前の姿(Fカップ)
帰宅部だが、キセキの世代と仲良し
変なあだ名で呼ぶ(ネーミングセンスはない)

2:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 00:16 ID:yMo

キセキの世代1人目

あたしが征ちゃんと出会ったのは
入学式の日

の翌日である

何故翌日かというと、そこんとこは察してほしい。 寝坊して起きたときにはもう学校が終わってたのだ

「はぁ…やっちゃったわ。なんで目覚ましかけ忘れてんのよあたし!」

そんな文句を言っても過ぎてしまったものは仕方がない。 ガラガラと教室の後ろのドアを開けて中に入る。
すると何人かがバッとこちらを振り向いた。まだみんなクラスに慣れてないのか教室は静まり返っていた。

なんか居心地悪いわね…っていうかあたし、席が分かんないんだけど…

「もしかして、昨日来てなかった子?だったら席あそこだよ」

あたしが突っ立ったまま教室をキョロキョロ見回していたから、不思議に思った女の子が気づいて席を教えてくれた。

きちんとその子にお礼を言って教えてもらった席に行った。
窓側から二番目の列の前から二番目

あんまりよくない席ね…

ちょっとむくれながら席に座ると左隣から視線を感じた。
誰だと思い横を見ると赤髪の少年と目が合った。お辞儀をされたので慌ててこちらもお辞儀を返す。

「君、昨日学校来なかったよね」

「昨日は家庭の事情ってやつで…」

ただの遅刻だ、とは情けないと思われたくないので言えない。

「そうか、俺の名前は赤司征十郎だ。よろしく」

「あたしはナミ!よろしくね、赤司くん」

よっし!友達1人目ゲット!
あたしを見ながらこの男の子は優しく微笑んだ。なんかすごくいい人そうね…



「ナミさん、昼ごはん一緒に食べないか?」

昼休みになって赤司くんに声をかけられた。やっぱりこの人優しい。
ちなみに今日も遅刻ギリギリだったので、朝ごはんは食べてない。だから腹ペコだ。

「ええ、食堂に行きましょう!あとあたしのことは呼び捨てでいいわ」

「分かった、ナミ」



簡単な授業を終え、やっと帰れる時間となった。あたしは思い切り伸びをする。

「やっと帰れるー」

「ナミは部活入らないのか?」

「うん。面倒だから入らないの。赤司くんは?」

「俺はバスケ部に入る」

「そうなの…がんばりなさいよ!赤司くん!」

「…俺はナミと呼ぶのに、君は赤司くんってなんだか他人行儀だな」

「え、何よ急に…」

「よし。ナミ、君も俺を下の名前で呼べ」

「はあ!?あ、あたしあんたの下の名前なんて長くて覚えてないわよ!」

「じゃあ、呼びやすい名前で呼べばいいじゃないか。征十郎だから…」

「征十郎…征…征ちゃん…征ちゃん!征ちゃんは?」

「は?」

「征ちゃん、いいじゃない!かわいい!短い!覚えやすい!」

「…分かった。またな、ナミ」

「うん!バイバイ征ちゃん!また明日!」

うんうん
やっぱりこの人は優しいわ

ーーーー

「くっ、あの日あの時征ちゃんを優しいと思った自分を殴りたいわ」

「なにか文句あるのか?お前が勉強教えてほしいって言ったんだろ」

「スパルタ過ぎるわ!もっと優しく教えなさいよ!!」

「その問題解けなかったら、この問題集を今日中にやれ」

「いやあぁ!!」

3:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 00:18 ID:yMo

キセキの世代2人目

これは入学式があって数日後の話

学校が終わってすぐに帰宅したあたしは早急に夕飯を食べて、ソファでくつろいでいた。 すると、姉であるノジコに声をかけられた。

「ナミー、アイス食べたくない?」

「いいわね。食べたい!」

「じゃ買ってきて。お金はあたしがだすから」

家にないのかよ、と怒鳴りたくなったが、余ったお金でお菓子を買っていいと言われれば黙って従うしかない。

あたしは歩いてコンビニに向かった

「どのアイスにしようかしら…」

アイスを選んでいたが、先にお菓子を買ってしまわないと溶けることに気がつき、お菓子コーナーへ向かった。

辺りを見回すと残り一つの期間限定まいう棒みかん味があった。

「あたし運がいいわ!」

みかん味ときたら買わずにはいられない。

まいう棒みかん味を手に入れようと手を伸ばす。しかしあと少しのところで横から掻っ攫われてしまった。

「っ誰よ!あたしのまいう棒みかん味を取った奴は!」

そう叫んで、まいう棒みかん味を持っている手をたどって行くと紫色の髪をした男までたどり着いた。

ってか、何こいつ…デカ過ぎィ!!

なんとまいう棒みかん味を手にしたのは長身の男だった。

しかもこいつ、帝光中の制服着てる

いくら長身の男で同じ中学とはいえ、あたしのまいう棒を奪った罪は重い。
キッと睨みつけてやると、あたしの視線に気づいた彼がこっちを見てきた。

「あらら〜…何でそんなに睨んでんの〜」

身体に似合わないおっとりとした喋り方にたいそうイライラする。

「それはあたしが最初に見つけたまいう棒よ!」

「え〜そうなの〜?あんたもまいう棒好き?」

「好きよ!特にそのみかん味は!!」

「ふ〜ん、そっか〜…じゃあこれあげる」

渡さなかったら一発ぶん殴ってやろうとさえ思っていたのに、あさっさりと譲ってくれて拍子抜けした。

「いいの?」

「うん」

「ありがとう!あんた帝光の人よね?あたしも帝光一年のナミっていうの!よろしくね!」

「へ〜ナミちんも帝光なんだ〜オレ紫原敦〜」

「じゃあ、あーくんって呼ばさせてもらうわ」

急いでお菓子とアイスを買って会計を済ませたあと、なんやかんやで一緒に帰ることになった。

しばらく2人でお菓子談義していると、ふと疑問に思ったことを口にした。

「あーくんはこんな時間まで何してたの?」

「部活〜。で、赤ちん達と帰る途中に俺だけコンビニによった〜」

赤ちん!?誰よその人。変なあだ名だな

「ふーん…そうなの。あ、じゃああたしこっちだから」

そう言ってあたしは自分の家のほうへの道を指差す。

「もう暗いし危ないから送る〜」

子供みたいな性格なのに意外と紳士なのね

「大丈夫よ」

「だめだめ。それにもっとお菓子の話したいし〜」

もしかしてそっちが本音?

「じゃあ送ってくれてありがとう。また学校で」

「うん!バイバイ!ナミちーん」

ーーーー

「あたしに触ってんじゃないわよ!!!!」

「「「ぎゃぁぁああああ」」」

「高校生三人を一発で倒すとか…ナミちん強すぎ…」

4:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 00:24 ID:yMo

追加設定

朱崎ノジコ
ナミの姉、ナミゾウの双子の姉
キセキたちの1つ上の学年
ある意味1番強い
キセキはみんな弟

朱崎ナミゾウ
ナミの姉、ノジコの双子の弟
キセキたちの1つ上の学年
モデルをやっていて、黄瀬の先輩

5:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 01:45 ID:yMo

キセキの世代3人目

あたしが大ちゃんと出会ったのは…
いや、出会ったっていうのは少し違う。なんせ、大ちゃんはあたしと征ちゃんと同じクラスだったのだから。

あたしと大ちゃんが仲良くなったのは席替えで隣になったのがきっかけである。

「征ちゃんやったわ!あたし1番後ろの席よ!」

「そうか、よかったな」

「うん!」

入学式からしばらくしてようやくみんなが学校生活に慣れてき日、担任の提案で席替えすることになった。
そして運良くあたしは窓側から二番目の一番後ろの席になった。

隣誰かなとワクワクしながら席を移動させる。

「「あ」」

隣の席はなんとガングロくんだった。最初の席ではあたしの斜め前で征ちゃんの前の席だったガングロくんだが、彼は征ちゃんと話すだけであたしはそんなに話したことはなかった。

「よろしく」

「おう」

あたしたちの会話はそれで終わった

つまらないので征ちゃんはどこかな〜、と探すと教卓の真ん前で彼を見つけた

かわいそうな征ちゃん…ぷぷっ

なんて思っていると征ちゃんがこちらを振り向いて睨んできた。

え、何あの人怖い

2時間が始まって暫くしたらなんだか暇になってきた。以前の席なら授業中に板書する手を休ませたら、容赦無く隣の席からシャーペンやら消しゴムが飛んできた。

私はチラッとガングロくんを見る。ガングロくんはぼーっとしなが黒板を眺めている。

こいつは面白くないわ、と思い黒板をもう一度見ると、隣のガングロくんの席から紙をめくる音が聞こえてきた。

さっきまでぼーっとしてた奴が、ベタに教科書で隠しながらエロ本を読んでいた。

「何読んでんの?」

「堀北マイちゃんのグラビアこのおっぱいがいいんだよなー…」

「あたしの方がおっきいわね」

「まじかよ。触らせろ」

「いやよ。10万円払いなさい」

「揉ませろ」

「10万」

しばらくそんなやり取りをしていたら、先生に気づかれた。

「ちょっと青峰くん、朱崎さん、うるさいですよ!それと青峰くん、授業に関係のないものは仕舞うように!」

先生に注意されてしまった。あたしは恐いのでガングロくんの足を踏んづけてやった。

何が恐いってそりゃ教卓の真ん前に座っている赤髪のお方に決まってる。あたしから見えるのは彼の後頭部だけなのに絶対怒っていると確信できる。

「あんたのせいでバレたじゃない…後で絶対征ちゃんに怒られるわ…」

「悪かったな、ほらお詫びにコレやるよ」

そう言って彼が渡してきたのは、まいう棒だった。

「いやん、ありがとう!ガングロくん」

「おい、やめろよそれ」

お礼を言った後、まいう棒を受け取ろうと手を伸ばしたがガングロくんに頭を掴まれて阻止された。

「くれるんじゃないの!?」

「俺の名前は青峰大輝だ」

なるぼどガングロくんっていうのが気に入らなかったのね

「まいう棒ちょうだい、大ちゃん」

「大ちゃん!?」

「うん。可愛いじゃない」

そう言うと大ちゃんは笑ってまいう棒をくれた。

それからあたしは征ちゃんと大ちゃんと一緒に行動するようになった。

ーーーー

「おいナミ、青峰、なぜ怒られてるか分かってるよな?」

「「…授業中に騒いだからです」」

「そうだ。分かってるじゃないか。俺もあまり怒りたくない。反省しろよ」

「「はい…」」

授業後、めちゃくちゃ赤司に怒られた2人であった。

6:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 01:56 ID:yMo

キセキの世代4人目

あいつを最初にみたのはいつだったか…

只今ここ帝光中はテスト期間。帰って勉強しようと思ってたところにバスケ部の副主将である赤司征十郎から図書室に来いと呼び出しを受けた。

「何の用なのだよ赤司」

図書室に踏み入って目に入ったのは青峰の隣にいる女。誰なのだよ、この女。
最初は桃井かと思ったが、髪の毛の長さと色が違う。取り敢えず赤司のもとへ向かう。

「ああ、よく来てくれたな緑間。さあ、こっちに座ってくれ」

そう言って赤司が自分の左隣の席を引いた。左隣というとあの女の前。しかし赤司に言われては仕方がないので、渋々席につく。
すると女は俺と目を合わせたあと、俺の左手に視線を送った。

「何…その可愛い人形」

「これは今日の俺のラッキーアイテムなのだよ」

「へー、可愛いわね。このマツゲ」

「なんなのだよその名前は!これはそんな妙な名前ではないのだよ!カエルのケロ助だ」

「いやケロ助ってまんまじゃない。アンタ結構バカでしょ」

「赤司、なんなのだよこの女は」

隣の赤司の方に顔を向けると、たいそう呆れた顔をしていた。その向かいにいる青峰は腹を抱えて笑っている。

「緑間、彼女は俺らと同じクラスのナミだ。ほら、お前も挨拶しろ」

「…緑間真太郎なのだよ」

眼鏡を押し上げながら自己紹介をした。なんというか、女子は苦手だ。

「あたしはナミ。よろしくお願いします」

「緑間、悪いがナミの勉強見てくれないか?俺は青峰ので手いっぱいなんだ」

何故俺が…と思ったが自分の勉強にもなるだろうと思い、渋々承諾した。

「よろしくお願いします。いろりまくん」

「緑間なのだよ」

「いろりまて…ぶふぉ!」

「おい、とっとと始めるぞ」

赤司の声をきっかけに早速勉強に取り掛かった

「おい、そこはさっき教えたばかりなのだよ」

「青峰、そこはさっき教えた公式を使えと言っただろ」

どうやらこいつらの頭はそんなに悪くはなく、むしろいい方だが、同じところで間違える厄介ものらしい。

「えー、アンタの言ってること難しくてわかんないのよ」

「緑間なのだよ」

「さっきの公式ってどれだ?」

はぁーと赤司と同時に溜息をつく。この調子じゃ全く進まないのだよ



「もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか」

赤司がそう呟いて初めて外が暗くなっているのに気がついた。

「ナミ、家まで送ろうか?」

4人で校門まで行ったところで赤司が彼女にそうきいた。

「大丈夫よ。今日ノジコとナミゾウと外食する約束してるから、もうすぐ迎えに来るわ」

「そうか」

「気ぃつけろよ」

「うん!また明日ね!征ちゃん!大ちゃん!ミドリムシくん!」

後ろから大声でそんな声が聞こえてきた。

「…ミドリムシ?」

「ぶふっ!!ギャハハハハ!!!」

「緑間、明日彼女に会ったらいいあだ名を付けてもらうことだな」

青峰が腹を抱えて笑い、赤司もクスクスと笑っている。俺はそんな2人に呆れながら、メガネを上げた。



今日のラッキーアイテムはみかん飴なのだが、手に入れることができなかった。
すると後ろから聞いたことのある声がした。

「あー!アンタ昨日の!」

緑間なのだよ、と言おうとして振り返ったら昨日のナミとかいう女がいた。
が、重要なのはそこではない。なんと彼女の手にはみかん飴が握られているではないか。

「お、お前それは…!…そのみかん飴を今日だけ俺に貸してくれないか?」

俺は必死の形相で彼女の肩を掴んだ

「貸すだけなら全然いいけど…」

こうして俺はラッキーアイテムを手に入れた。そして昨日、赤司が言っていたことを思い出す

「お、礼にし、下の名前で呼ばさせてやっても構わないのだよ」

あだ名なんて思い付かず、とりあえずメガネを上げながら下の名前で呼ぶように言ってみる。するとこいつはジロジロと俺を見た。

「ふーん…じゃあまたね、真太郎!」

「あ、ああ、またな。な、ナミ」

ーーーー

「どう?あたしの手作り弁当。美味しいでしょ?特別にタダよ」

「…普通なのだよ」

「そこは嘘でもうまいって言いなさいよ!!」

「やめろ!バットを振り回すな!それは俺のラッキーアイテムなのだよおおおおお!!!」

7:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 02:01 ID:yMo

キセキの世代5人目

これは2年生の春。オレがバスケ部に入る前の話

今日はモデルの仕事があったので午前中は授業を休んで、オレは昼休みの今登校している途中だ

オレの姿を見つけた女子たちに一応笑顔で手を振る。すると女子たちは騒ぎ出す。あー、ありがたいけどちょっとうるさいっス

心の中ではそんなことを思いながら、笑顔で廊下を歩く。

ガラッ

「じゃあ放課後お菓子持ってくるわね!またブッ」

オレが開ける前にドアが開き女がオレにぶつかってきた。ってか“ブッ”とか女子としてどうなんスか

「いったー!何?誰よ!」

女子が俺のほうを見た

「大丈夫っスか?」

と言いながら女の頭を撫でる。大体の女の子はこれで顔を赤らめのに、この女は違った

「気安く触んないで。誰よ、あんた」

パシッといい音を鳴らせて俺の手を払ったのだ。

「オレのこと知らないんスか?」

そう問うとその女は顎に手をあてて考える素振りをした。

「知らない」

「いや、俺の名前黄瀬涼太ですけど」

「へー」

「……」

コイツは誰なんだ、とでも言いたげな顔でオレをみてくる女。オレのこと知らないんスね。

「オレ、モデルやってるからみんな知ってると思ってたんスけど…あんた流行りとか知らないんスね」

「…なんだ、びっくりした。オレのこと知らないんスか?とか聞いてくるからどっかで会ったことあるのかと思ったわ」

オレの皮肉を全く気にしないでそう言った女は、じゃあね金髪君と言ってオレの横を通り過ぎていった。

…変な女

あの変な女に再開したのはそれからすぐのことだった。

あの女に初めて会った日の放課後、特にすることがなくて教室から外を眺めていた。教室にはオレ1人しかいないのでとても落ち着く。

ガラッ

せっかく心地がよかったのに誰かがドアを開ける音のせいで台無しになった。誰だと思ってドアのほうを振り返るとアイツがいた。

「あれ?あーくんは?」

「あーくん?」

「紫原敦よ」

「あー、紫原くんか…もう部活に行ったんじゃないっスか?」

「もー…なんで教室にいないのよ…あれか、体育館まで持ってこいってことか…」

オレのことなんか見向きもしないでブツブツ独り言を言ってる。こんな女子は初めてだ。

「ねえ、あんた名前なんて言うんスか?」

オレは彼女に近づきながら問う。

「人の名前を聞くときは、自分から名乗るのが礼儀でしょ」

「いや俺昼休み名乗ったスよ!覚えてないんスか!?」

「え?あー、……「黄瀬涼太っス!」

なんなんだこの女

「あーハイハイ。なんか聞いた気がするわ。あたしはナミ」

くっそイライラする。オレは可彼女の前まできて見下ろす

「へ〜、ナミちゃんねー。…オレとイイことシないっスか?」

「イイこと?」

可愛い顔してるし、体型だって悪くない。いい遊び相手ぐらいにはなるだろう。オレはナミちゃんの後頭部に手をまわして、ぐいっと引き寄せ、口付けようとした。

「っっ!?いったあああああ!!!!」

もうあと少しで唇が重なるってときに突然男の大事な部分を蹴り上げられた。

「あたしに手を出すなんて100万年早いわ!出直しなさい!」

高笑いしてるナミちゃんを睨みつけたいけど、それどころじゃない。今迄感じたことのない痛みがオレを襲いその場にうずくまる。

「え、そんなに痛かった?ご、ごめん」

ナミちゃんがしゃがみ込んでオレの顔を覗いてきた。かなり焦った顔をしてる。

ーーーー

「はーっ、散々な目にあったっス」

「だからごめんって言ってるじゃない。手加減するの忘れてたわ」

あのあと、罪悪感を感じているのかナミちゃんはシュンっとしてしまった。なんか小動物みたいで可愛い。
思わず手がのびてナミちゃんの頭を撫でてしまった。しかし昼休みと違って振り払われることはなかった。

ちょっと嬉しいとか思ってしまった

ナミちゃんの顔をチラッと覗き見ると意地悪が成功したときのように、ニヤリと笑っていた。

…ドキン

胸が高鳴った。これがオレとナミっちの出会い

ーーーー

「ナミっちーー!!!」

「なによ、黄瀬涼太」

「なんでフルネーム!?下の名前で呼んでくださいっス」

「えー…涼太くん?」

「っいいっスねそれ!もぉ、ナミっち可愛い 」

「ちょっ、抱きつくな!!!」

「グフォッ」

8:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 02:04 ID:yMo

幻の六人目

僕が初めて彼女を見たのは、まだ僕が一年生で青峰くんともまだ仲良くなっていないとき。

その日帝光中はテスト期間で部活もなかった。参考書を借りようと僕は図書室へ立ち寄った。
図書室に入ってすぐに目に入ったのは青峰くんと赤司くん。

「征ちゃん、ここ分かんない…」

すると、女の子の声が聞こえてきた。彼女の方に目を向けると、オレンジの髪が見えた

「ちょっと待て。今青峰に教えているところだ」

返事をして彼女は疲れたのか伸びをした

そしていきなりこちらを振り返った。一瞬彼女の目が合ったが、彼女は何事もなかったかのように正面に向き直った

これが僕が初めて彼女を見た日だった。僕はあの赤司くんと青峰くと一緒にいた彼女に興味が湧いた

ーーーー

僕が廊下を歩いているとよく赤司くんと青峰くんと並んで歩いている彼女を見かける。どうやら彼女は赤司くんと青峰くんと仲がいいみたいだ。

なんて思っているとある時、眼鏡を片手に持って廊下を走っている彼女とすれ違った。その彼女の後を追いかける、これまたバスケ部の緑間くんを見かけた。

またある時は、コンビニでこれまたバスケ部の紫原くんとお菓子談義しながらお菓子コーナーに突っ立っている彼女を見かけた。

またある時は、我等がバスケ部の主将である虹村先輩にジュースを奢ってもらっている彼女を見かけた。

またまたある時は、不良で喧嘩っ早いと言われている、またまたバスケ部の灰崎くんを引きずりなが廊下を歩く彼女を見かけた。

そして二年生になって黄瀬くんがバスケ部に入って、僕がキセキの世代とも仲良くなった時、黄瀬くんに抱きつかれている彼女を見かけた。

どうやら彼女はバスケ部の人と仲がいいらしい。でも、マネージャーではないはずだ

ーーーー

ある時僕は具合が悪くなったので、保健室へ向かった。
保健室の扉を開けると真ん前に保健室の先生が立っていた。どうやらちょうど保健室を出ようとしてたらしい

「どうした、黒子屋…」

この保健室の先生はロー先生といって、クマが濃くて恐そうな人だ

「具合が悪くて…」

「そうか…俺は今から用があってここにいられねェんだ。悪ィな…」

「たぶん少し寝れば大丈夫だと思うんで気にしないで下さい」

「すまねェ。あ、今ベッド使われてんだけど、2人共仮病だからどっちか叩き起こしてくれて構わねェよ」

そう言ってロー先生は保健室を出て行った。二つあるベッドのうち手前の方にあるベッドのカーテンを開けた

「あ」

なんとそこに寝ていたのは僕が興味を持ったあの彼女だった

「あの」

「うーん…もう時間なの?トラ男くーん」

取り敢えず肩を揺すったら彼女は目を擦りながら半分寝ぼけて起き上がった

「あれ、トラ男くんじゃない…」

「ロー先生なら用事があるみたいでさっき出て行きました。あとすみません、ベッドを…」

「あ、もしかして具合悪い?ごめん!」

彼女は慌ててベッドから退いて、僕の背中を押してベッドに寝かせてくれた。
彼女が手を僕の額に乗せる。

「熱はないみたいね。いつまで寝るの?時間になったら起こすわ」

僕は素直に甘えることにして彼女に昼休みが始まる前に起こしてもらうように頼んだ。

「時間になったわよ」

「ありがとうございます。だいぶよくなりました」

「いえいえ。元気になって良かったわ」

そう言って彼女は隣にあるもう一つのベッドに向かって怒鳴った、

「大ちゃん起きて!昼休みよ!」

「あー、うっせぇな。もうそんな時間かよ…って、テツ!?」

「どうも」

なんともう一つのベッドに寝ていたのは僕の相棒の青峰くんだった。

「大ちゃん、知り合いなの?」

「まぁな。テツだ、黒子テツヤ」

「テツね。あたしはナミよ、よろしく」

「どうも黒子テツヤです。ナミさん」

「呼び捨てでいいわよ」

「いえ、癖なんで」

彼女は僕たちをおいて保健室をあとにした

「青峰くん、ナミさんっていい人ですね」

「ケチで暴力的だけどな」

僕は今日、新しい友達ができました

ーーーー

「テツー!!」

「重いですナミさん。抱きつかないでください」

「……」

「上目遣いでもダメです」

「黒子っち羨ましいっス」

9:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 02:09 ID:yMo

キセキの世代おまけ1

これはナミが青峰と仲良くなった後、まだ緑間と出会う前の話。

今は放課後。やっと授業が終わって、さぁ帰ろうとしたナミを呼び止めるものがいた。

「ナミ」

「何?征ちゃん」

そう、彼女を呼び止めたのはバスケ部副主将の赤司征十郎。

「お前に頼みたいことがあるんだが」

「イヤよ」

「まだ何も言ってないだろ」

「絶対面倒くさい」

「引き受けてくれたら昼飯奢ってやる」

「何なりとお申し付けくださいませ、若」

奢られるとなるとすぐに釣られてしまうナミと、そんな彼女の扱いをすでに熟知している彼。

「実はバスケ部の灰崎祥吾という男子を体育館まで連れてきてほしい」

赤司の話によると、その灰崎祥吾という男はサボり癖があってなかなか部活に顔をださないらしい。
近々練習試合があるので絶対部活に出させたいということで、彼を探して連れて来いということだった。

「俺が連れきてもいいが、その時間が勿体無いから暇そうなナミに頼みたい」

もちろん奢ってもらえるなら、とナミはその頼みを快く引き受けた。

「どこにいんのよ!」

ナミは図書室、保健室、中庭、いろいろまわったが何処にも彼はいなかった。もう放課後だし帰ったのではないかと一瞬考えたが、赤司がたぶんどこかで寝ていると言っていたのでそれはないなと考え直す。

「あっ、屋上!不良といったら屋上よ!」

なんともベタな考えだがあながち間違っていないみたいだ。

「やっぱり!見つけた!」

赤司と別れる前に聞いた灰崎の特徴と合致する人が屋上で寝ていた。

「ちょっと!起きて!!」

ナミが灰崎の耳元で大声を出す。

「あぁン?うっせーなぁ」

灰崎がガバッと起き上がって耳を押さえる。

「誰だテメェ」

そしてナミを睨みつけた。

「あんたが灰崎祥吾って男よね?」

なんなんだ、この女とでも言いたげな顔でナミを見る灰崎。

「あたしはナミ!征ちゃんに頼まれてあんたを迎えに来たのよ」

「はっ、なんだ赤司の差し金か。部活なら行かねーって言っとけ」

そうナミに言って灰崎はまた寝転んだ。

「それじゃダメよ!あんたを体育館に連れて行ったらあたし、征ちゃんに昼ごはん奢っってもらえるの!!」

「へえ…お前赤司の彼女か?」

「違う。クラスメートで友達よ」

「ふ〜ん、その割には結構気に入られてるてェだな」

灰崎がニヤリと笑った。

「なぁ、ここ座れや」

灰崎が起き上がって自分の隣を叩く。ナミは警戒せず素直にそこに座った。
その瞬間、灰崎に押し倒された

「へ?」

「お前を喰ったら赤司はどんな顔するだろうなァ」

灰崎は片手でナミの両手を頭の上で掴み、もう片方の手でナミの口をふさぐように顔を掴んだ。
しかしナミもやられっ放しなわけがない。ガブっと顔を掴んでいる手に噛み付く

「いってェー!!」

そしてその隙に灰崎から抜け出した。

「ちっ…」

舌打ちしてナミを睨みつける灰崎。

「あたしに手を出そうなんて百年早いわ!坊や!」

「テメェ…つーか女がファイティングポーズとるってどういうことだよ」

なぜかドヤ顔のナミに灰崎はなんか自分が馬鹿らしくなった。

「ハァ…」

「あら、部活行く気になったかしら?」

「しょーがねェから行ってやるよ」

「やった!昼飯代浮いた!」

早く行くわよ、とはしゃぎながら灰崎の腕を引っ張るナミ。

こんな女見たことねェ

そんなナミの様子をみて自然と笑みが浮かぶ。
こうしてナミは無事に灰崎を体育館まで連れて行くことができた。

「じゃあね、翔悟。これからはちゃんと部活出るのよ!」

「気軽に呼ぶな!!」

ーーーー

「部活でなさいって何度言えばわかるの!殴るわよ!!」

「もう数発殴られてるわ!つーか俺を引きずんなバカナミ!!」

「口答えしない!」

「もぉー、勘弁してくれ…」

10:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 02:14 ID:yMo

キセキの世代おまけ2–1

「もうっ、この学校体育館いっぱいあってわかんないっつーの」

あたしは今同じクラスの征ちゃんを探している。さっき第二体育館に行ったが、征ちゃんは第一体育館にいると言われた。
そう言えば、今までバスケ部の連中とたくさん絡んできたけど部活しているところを見たことはなかった。

「ま、あたしは見るより自分がする派だから」

見るだけなんてきっと退屈で寝てしまう。

「ここね」

第一体育館に着いて分厚い扉を開ける。

「あれ…?まだ部活始まってないの?」

生徒がまばらにいるものの、本格的な練習ではなくて各々好きなようにシュートしたり1on1したりなど自主練のようだ。

「あ?ナミ?」

扉の前に突っ立っていると後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえたので振り返った。

「あーっ!大ちゃん!」

そこにいたのは青峰大輝だった。彼は1年生のときに同じクラスだった。

「おー、なんか久しぶりな気ぃすんな」

「クラス離れてからあんま会ってないから」

とは言っても定期的に昼ご飯を一緒に食べることもあれば一緒にサボることもあるのだ。

「つーか何してんだ?こんなとこで」

「征ちゃんにノート返しにきたんだけど、いないの?」

征ちゃんから借りたノートを大ちゃんに見せて問う。

「さっきまでレギュラーだけのミーティングがあったからよ、もうすぐ来ると思う」

そう言って大ちゃんはさっき自分が来た方向に目を向けた。つられてあたしもそっちを見たら目当ての人が資料を見ながらこっちに歩いて来てた。

「あ、本当だ」

「まぁな」

何故か誇らし気な大ちゃんを一瞥してまた征ちゃんを見る。

「征ちゃん!」

資料をずっと見ながら歩いているからなのかあたしに気づかないので、頃合いを見て声を掛けた。

「ん?ナミか、どうした?」

声を掛けると資料から顔を上げて少し急いでこっちに来てくれた。

「お前にノート返しに来たんだとよ」

隣りにいた大ちゃんが代わりに言ったのであたしは頷いてノートを差し出す。

「わざわざすまない。ありがとう」

「お礼を言うのはこっちの方よ。ノートありがとう!」

それから少しだけ分からない問題を征ちゃんに教えてもらっている(大ちゃんも強制的に教えられている)と聞いたことあるような声があたしを呼んだ。

「ナミっちーーー!!!」

「…ん?誰かに呼ばれた気がするわ」

「ナミっち!!」

「気のせいだな」

「気のせいだね」

「気のせいだわ」

「ちょっと、酷いっスよ3人共!」

さっきからキャンキャンうるさいこいつは黄瀬涼太。何故知り合いになったかは…忘れた

「あれ?何でアンタここにいんの?」

「なんでって…バスケ部だからっスよ!」

「え、涼太くんバスケ部だったの!?」

「こいつ最近入ったばっかだけどな」

大ちゃんが親指で涼太くんを指差しながらそう言った。

「っていうかナミっち、2人と知り合いなんスね」

「まぁオレは、今と1年生の時に同じクラスだから。青峰は今は違うが1年生の時にクラスが一緒だったよ」

征ちゃんが丁寧に説明すると涼太くんは納得したみたいに「へー、そうなんスか」と呟いた。

「お前、黄瀬と知り合いだったのか」

「なんで知り合ったかは覚えてないけどね」

大ちゃんとヒソヒソ話していたらまたあたしを呼ぶ声が聞こえた。

「ナミちーーん」

「あーくん!!」

紫色の髪の毛をした長身の彼、紫原敦が手を振ってこっちに来たので、あたしも全力で手を振り返した。

「なんなんスか、この差」

11:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 12:13 ID:Eus

キセキの世代おまけ2–2

「あ、真太郎とテツもいるじゃない!」

「久しぶりなのだよ」

「どうも」

あーくんの後ろにお祭りとかでよくあるみかん飴を持った緑間真太郎と、水色の髪の毛をした黒子テツヤがいた。

なにあのみかん飴、おは朝鬼畜かよ…

「ナミっちみんなと知り合いなんスね…」

「まぁね」

そんなことよりもあたしは真太郎が持っているみかん飴の方が気になる。

「ナミ、みかん飴見過ぎだ」

征ちゃんに言われて一瞬テツを見たが、すぐに目は真太郎のりんご飴を捉える。

「ちーっす。遅れましたー」

そう言って現れたのは灰崎祥吾

なんだかその場の雰囲気が悪くなった気がする。涼太くんの眉間にシワが寄っていた。

「遅刻だ灰崎」

「ワリぃワリ…な、ナミ?」

「よっ。祥吾」

「だから気安く呼ぶな!あー!オレ用事あったわ、帰る」

そう言って彼は逃げるように去った。何なのよあいつ!

「ショーゴ君とも知り合いなんスね」

涼太くんの問い掛けに応えようとしたら、違う人の声に遮られた!

「おいテメェら!!何してんだぁ」

「あー主将だ〜」

あーくんがそう言ったのでバッと声がした方を向く。するとその人と目があった!

「あ?…お、お前「修造さん!」

勢いよくその人の方に向かって走り、その大きな手で荒々しく頭を撫でてもらう。

『え?』

「…ナミさん、何してるんですか?」

「え、修造さんに頭撫でてもらってる」

キセキのみんならはポカーんとその光景を見ていた。
修造さんの手が私の頭から離れると、涼太くんが声を出した。

「主将とも知り合いだったんスか!?」

「知り合いっていうか、こいつの姉貴と友達なんだよ」

「なんだかんだで修造さんが付き合い長いかもね。ナミゾウも修造さんのこと知ってるし」

ねっ、と言えばおう、と返ってくる。

「そうだ!修造さん、部活終わったらノジコとナミゾウも誘ってご飯行きましょうよ」

「え、嫌だわお前らそう言いながら結局俺んチで食おうとするじゃねぇか」

「そんなことないわよ!」

失礼なことを言われたので、後ろから抱き付き力を込める。

「ちょっ、離せ、なんか出る」

「ナミ、そろそろ離すのだよ」

「主将困ってんぞ」

「そうっスよ!」

なんだか若干不機嫌な声になってる気がする。

どうしたのよ、こいつら?

「ナミさん、そろそろ練習始めるみたいなので降りてください」

「ナミちーん、ほら峰ちんの財布あげるから」

「あっ、テメ、紫原!!」

はっ!分かった!こいつら修造のことが大好きなのね!これだからホモは…

「くっ…お、お金で釣れると思わないで!」

「思いっきり釣られそうじゃねぇか」

「うるさい。あんたたち、そんなことまでして修造さんに抱き付きたいのね!」

(((((いや、ちがうわ)))))

(少しおバカなんですねこの子)

(何キモいこと言ってんだナミのやつ…つーかどうでもいいから早く降りろ疲れた)

「訳がわからないことを言うな、先輩に迷惑がかかっているのだよ」

「じゃあ真太郎がみかん飴くれたら降りる」

そう言った瞬間バッとみんなの視線が真太郎にいく。

「ぜ、絶対ダメなのだよ!」

くそ…でもあたしは諦めないわよ。そのみかん飴を見た時から、私の脳内はみかん飴一色なんだから!

「はぁ…しょーがねぇ…帰り何か奢ってやるし俺んチでメシも「早く練習を始めなさい!!」

別に修造さんの言葉に釣られたわけではないが、仕方なく抱き付くのをやめてやった。

「まだ最後まで言ってねぇよ。つーか切り替え早ぇし、何で上から目線なんだよ」

12:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 12:46 ID:Eus

キセキの世代おまけ3

最近、青峰くんの口から“ナミ”という名前がよく出てくる。

彼女は朱崎ナミさんといって、1年生の時に同じクラスで、今も定期的にお昼ごはんを食べたり、一緒にサボっては赤司くんに怒られてるらしい…

これは、大ちゃんの幼馴染として、日頃のお礼を言わないと!!
というわけでさっそく、昼休みに朱崎さんのクラスへ行ってみる。

「朱崎さんいますか?」

「あ、あたしあたし!どーしたの?」

朱崎さんはオレンジの短い髪の毛を二つに結っていて、帝光中学のものではない黒いセーターを着ていた。

「桃井じゃないか。どうしんだ?」

「征ちゃん、この子のこと知ってるの?」

「ああ。バスケ部のマネージャーの桃井さつきだ。」

「そうなんだ…よろしくね、さつき!あたしはナミでいいわよ」

赤司くんと仲が良いいというナミさん。だからあの愛想のかけらもない、ただただエロいだけのガングロとも仲良くやれるわけだ。

「ナミさん、いつも青峰くんと仲良くしてくれてありがとうございます。」

「何でさつきがお礼言うの?」

「桃井は青峰の幼馴染なんだ。だからだろう」

「あいつと一緒にお昼ごはんを食べたり、一緒にサボっては赤司くんに怒られたり…迷惑ばっかりかけて、これからもかけると思いますけど、これからもよろしくお願いします。」

深々と頭を下げる。すると、ナミさんは私の頭を撫でてきた。

「さつきって何か可愛い犬みたい…どっかの駄犬とは違う、賢くて可愛い犬」

…きーちゃんだ、駄犬ってきっと。

「それに、お礼言うのはあたしの方だもん!」

頭を上げると、ナミさんはニヒッと笑って赤司くんの肩に腕をまわした。

「あたし、征ちゃんと大ちゃんはもちろん、あーくんと涼太くんとテツと真太郎と出会って、中学生活すっごく楽しいの!」

涼太くんや大ちゃんには調子乗るから言わないけどね、と付け足しながらも、ナミさんは嬉しそうに笑っていた。 赤司くんもふ、と微笑む。

「だからあたしは、みんなにお礼を言うの!」

それ以降私は、ナミさん…ナッちゃんと仲良くなった。

ーーーー

「ナッちゃん!この服おそろいで買おうよ!」

「あ、安いし、動きやすそうだしいいわね!」

「じゃあ私、黄色にします!」

「じゃあ、あたしは白!」

「…女の子っていいっスよね、青峰っち」

「あァ?どこに女の子とやらがいるんだよ…ゴフッ」

「何か言ったかしら?」

13:ピン子◆/Q:2019/02/03(日) 22:30 ID:Eus

「そういえば、ナッちゃんのお姉さんって虹村さんの友達なんだよね?どんな人なの?」

ことの発端は、さつきの一言だった。
2年生になってしばらく経ったある日、あたしはたまたまバスケ部の見学に来ていた。

「それ、俺も興味あるっス!」

涼太くんが喰い付き、みんなも気になるということで今度あたしが連れて来ることになった。

「期待しないでよ?ただの姉貴なんだから」

「それでもいいの!」

ーーーー

ついにノジコを呼ぶ日になってしまった。あたしは仕方なく3年のフロアへ向かった。
そしてノジコの教室を覗くと、クラスの真ん中で何人かの先輩に囲まれたノジコがいた。その中に修造さんもいる。

とりあえず、ドアの近くにいた先輩に声をかけ、ノジコを呼んでもらう。ついでに修造さんも一緒に来た。

「ナミー、どうしたの?アンタが来るなんて珍しいじゃない」

「今日の放課後って空いてる?」

「空いてるけど…どうした?」

「その、あたしの友達が部活にアンタ呼んでほしいって…バスケ部なんだけど…」

「へえ、おもしろいね。あたしも行っていい?修造」

「おう。じゃあ俺と一緒に行くか」

話はまとまった。ノジコも修造さんも納得してくれた。あたしはスキップしながら教室へ戻った。

そして、部活の時間。

「ナミのお姉さんには俺も興味があったんだ。だから楽しみだ」

「だから、普通の姉貴だって!」

同じクラスの征ちゃんと体育館へ向かう。コイツらはノジコになんの期待や興味を持ってるのかは知らないけど、それを裏切りそうなのであまり期待はしないで欲しい。

「ナッちゃん!お姉さんは?」

あたしと征ちゃんが体育館に入ると、すでに来ていた人たちがシュート練習などの自主練をしていた。さつきが駆け寄ってくる。

「修造さんと一緒に行くって言ってたから、たぶんもうちょっとで来るわよ」

「…噂をすればなんとやら、みたいだぞ」

征ちゃんの声で、体育館の入口を見る。すると長い髪を揺らしながらノジコが修造さんと体育館に入ってきた。

「アンタ進路決まった?あたしまだなのよね」

「あー、俺もハッキリとは決まってねぇ」

修造さんが入ると、一気に体育館の中の空気に緊張が走った。さつきも背を伸ばす。

「虹村さん、今日もよろしくお願いします」

「おー、赤司。…そうだ、コイツがナミの姉貴のノジコな」

「どうも。アンタが赤司くんね?」

「征十郎でいいですよ、ノジコさん」

せ、征ちゃんが礼儀正しい…!

修造さんが着替えている間、ノジコは征ちゃんやさつきたちに囲まれていた。

「あんまり顔は似てないんだな」

「まぁね。でも性格は似てると思うわ」

「ノジコさんも何か部活やってるんスか?」

「特に何もしてないわ。勉強に集中したいの」

大ちゃんと涼太くんがノジコに質問をする。ノジコは嫌な顔1つせず答えた。そして彼の号令がかかり、部活が始まった。

部活が終わり、外を見れば薄暗かった。もうすぐ夏なのだ。あたしとノジコ、そして修造さんで並びながら帰る。

「どうだった?ノジコ」

「いい子ばっかで楽しかったわ。また行こうかしら」

「いやもう来んな。練習にならねぇ」

「ナミは良くてあたしはダメなわけぇ?」

「そ、そういうわけじゃねぇよ!」

ノジコが修造さんをジト目で睨み付けると、修造さんは唇を突き出した。それがなんだかおかしくて、ノジコと顔を見合わせて笑った。

「あれ?ノジコとナミじゃねぇか。それに修造も」

「ナミゾウ!」

すると、兄であるナミゾウに声をかけられ、3人から4人になった。

「ナミゾウ、今日はもう仕事ねぇのか?」

「おう。久しぶりにメシでも行くか」

「本当!?」

「あたしフルーツパフェがあるあそこに行きたい!」

「じゃあそこにするか。修造は?」

「行くに決まってんだろ」

ーーーー

「結局俺の家で食うことになんのかよ!!」

「だってお前んチの母ちゃんが誘ってくれたんだもん。いいじゃねぇか、たまには」

「テメェらとメシ行くってなったら毎回だろうが!」

14:ピン子◆/Q:2019/02/04(月) 00:59 ID:Eus

あたしは今日も、バスケ部を見学していた。

変わりない日常

変わりないアイツら

だけど1人、全然違う人がある日紛れ込んでいた 。

ーーーー

「誰よ、アンタ」

「…僕の存在に気付いたのは君と虹村さんぐらいだよ。」

修造さんも気付いてたんだ…ってことは、やっぱりこの人は征ちゃんではない他の誰かってこと?

「僕は赤司征十郎。もう1人の赤司征十郎だ。赤司征十郎が、勝者を必要とする赤司から自分を守る為に僕は作り出された。」

「……どういうこと?」

「負けてはいけない、負けると赤司じゃない、という赤司征十郎の思いが“僕”ということさ。」

目を見開いて笑う彼を見て、背筋が凍りそうになった。金色に光る目が、あたしを捕らえる。

「征ちゃんは病院に行ったの!?」

首を横に降るもう1人の征ちゃんにあたしは、なぜか自分が泣きたくなった。

「赤司の家がそれを許さない。赤司の家の人間が、精神病院に行っていたら示しがつかないからね。」

「征ちゃんは…いつも、自分より他人を優先しすぎなのよ」

彼はふ、と笑った。少し、ドキッとする。

「ありがとう。けれど、これは赤司の家に生まれた運命なんだ。」

彼の笑顔は、儚かった。すべてを諦め、今にでも消えそうであたしは怖くなってしまった。

「ねえ、アンタは征ちゃんの副人格…なのよね?アンタが出てる間、征ちゃんの主人格はどうなってるの?」

そう言うと彼は、ニコリと笑った。その笑顔は笑っているはずなのに、冷たかった。

「いつ、僕が副人格だと言った。」

彼の言葉に、ハッとした。

そうだ、彼は自分が副人格だとは言ってない。あたしが、あたしがよく知る征ちゃんを主人格だと勝手に思い込んでるだけで、彼が主人格ということも普通にあり得てしまうのだ。

「ふっ、安心しろ。副人格は僕だ。」

「ハッ倒すわよアンタ!!」

少しあたしをバカにして彼に腹が立ったが、同時にホッとしてしまった。
やっぱり、あたしがよく知る征ちゃんが主人格なのだ。

「副人格が出ていても、記憶はリンクしている。さすがに、気持ちまでとはいかないがな。」

「そ、そうなんだ…」

「それに、彼が望めば僕はいつだって消えることができる。もう1人の人格を消しても、罪にはならないならね。」

「消すなんて言わないでよ!」

自分が死んでもいいと言う彼にカッとなってしまった。これは征ちゃんと彼の問題で、あたしが口出しすることじゃないのに…

「赤司征十郎をこれ以上泣かせないで…!!」

赤司という名前の重圧で潰されてしまう前に、自分を守る盾を作った赤司征十郎がこれ以上苦しまないように。

「君はおかしなことを言うんだね。泣いているのは僕でも彼でもなく、君じゃないか。」

「うっさいわね…!泣きたくて泣いてるんじゃないわよ!」

そう。これは勝手に出てきた水なのだ。

「彼は僕の守る対象だ。安心しろ、危害は加えないよ」

「ありがとう…“征十郎”」

彼の、征十郎の言葉を、今は信じよう。

ーーーー

「ナミ、俺は泣いてないぞ」

「知ってるわ!!今主人格出てくんな!!」

「相変わらず怖いな…」

「赤司様に怖いとか言われたくないんですけど…?」

15:ピン子◆/Q:2019/02/04(月) 17:07 ID:bEg

今日は卒業式である。ナミやキセキの世代たちがお世話になった虹村、そしてナミの姉であるノジコが卒業する。

「修造さん!!」

「抱き付くなナミ!涙と鼻水が付くじゃねぇか!」

「だって修造さんがいなくなるのよ!?寂しいじゃない!」

「おいコラ修造!!ナミにくっ付くんじゃねーよ!!!」

「うっさいよナミゾウ。修造、お互いにおめでとう」

「おう。おめでとう」

ノジコの双子の弟で、虹村とも仲が良いナミゾウも卒業式を見に来た。ちなみに、ナミは2年生なので必ず来なければならない。

「ノジコも修造さんも本当におめでとう!!」

「ありがとね、ナミ」

「お前もがんばれよ」

そして次は灰崎を探すナミ。 その間にナミゾウはキセキの世代へ警告をしておく。

「テメェらァ!!ナミにちょっとでも触れんじゃねェぞ!ナミはオレのだ!!」

「ノジコさん、ご卒業おめでとうございます」

「ありがと、征十郎」

「無視すんなコラァ!!」

「俺たちも妹さんの存在には感謝しています。これからも、よろしくお願いします。」

赤司の完璧な挨拶にナミゾウはうっ、と何かが詰まった。

「必要以上に近付くなよ…」

「…? ハイ。肝に命じておきます」

「言ったからな!」

ーーーー

「祥吾ー?」

「ナミさん」

「ひっ!…ってなんだテツか」

背後からいきなり黒子に声をかけられ、驚くナミ

「灰崎くんなら、屋上にいるそうです」

「は?卒業式なのに?まったく…あんの不良は本当に世話が焼けるわね…」

ぶつくさ言いながらも、黒子にお礼を言ってから屋上へ向かう。黒子はいつものポーカーフェイスで、ただナミの背中を見つめていた。

「灰崎祥吾ーー!!」

「うるせぇバカナミ!!…んで、何の用だよ」

「あんたも2年生でしょ?みんなと写真撮らないの?」

「…撮らねぇよ。別に先輩たちに思い出でもあるわけじゃねぇし」

「ふーん…じゃああたしと撮ってあげる!」

「なんでだよ!!」

持っていたケータイのカメラを開いて、無理やり嫌がる隙も与えずに灰崎と肩を組んで、写真を撮る。

「あっ、ブレてる!なんで!?」

「…ったくしょーがねェなぁ…貸せ」

「きゃっ」

ケータイを奪い取り、ナミを押し倒してその隣に自分も寝転ぶ。

「カメラ見ろ」

「あ、う、うん!」

カシャッ

2人の手でケータイを持ち、シャッターを押す。

「あ、ブレてない!」

「へっ、俺が押したからな」

ナミがカメラロールを確認すると、ムフッと笑った。

「おい、俺に送っとけよ。その写真」

「じゃあね祥吾」

「あ、おい聞いてんのかバカナミ!」

写真の中の2人は、心の底から笑っていた。

16:ピン子◆/Q:2019/02/04(月) 17:59 ID:bEg

「じゃあ俺とナミは先に帰ってるから」

そう言ってナミとナミゾウは帰って行った。あたしはクラスメイトたちと写真を撮ってから、修造と一緒に帰る。

「修造はアメリカだっけ?進路」

「おー。お前は?」

修造はお父さんの病気を治す為にアメリカへ行く。あたしは最後まで修造に自分の進路を教えなかった。

「すぐに分かるよ。」

「…お前の夢ってなんだっけ」

「あたしの夢は、世界中の植物を守ること。家でもミカンの木ぃ育ててたしね。」

「立派な夢じゃねぇか」

「まあね。これでも、いろんな大学に論文送り付けてたから推薦もらえたのよ?」

赤く燃える夕日が、あたしたちの影を伸ばす。2人でこの道を歩くのも、今日で最後だ。

「で、お前の進路は?」

「だからすぐ分かるってば」

ーーーー

「Hey!」
(ねえ!)

親父の病気を治す為に行ったアメリカかで、俺は1人だった。もちろん、こっちでも友達はできた。だけど、アイツらがいねぇとやっぱり何か物足りない。

「What's wrong?」
(どうしました?)

1人で街を歩いていると、サングラスをかけた1人の女性に声をかけられた。青くて長い髪は、どこか見覚えがある。

「I want to go to this university.」
(この大学に行きたいの)

彼女が持つ地図を覗き込む。彼女は植物の研究をしている大学で有名な大学を指差した。

ある友達を1人、思い出した。

「I will show you around there because it is nearby.」
(そこなら近くにあるので、案内しますよ)

「Really?Thank you!」
(本当に?ありがとう!)

彼女は嬉しそうに笑った。俺は自分の名前を名乗る。

「My name is shuzo」
(俺は修造です)

「Yes.I know you.And you know me too.」
(ええ、あたしはあなたを知ってるわ。そしてあなたもあたしを知っている)

俺が首をかしげると、彼女はクスクス笑いながらサングラスを取った。

「あたしだよ、修造。」

「ノジ、コ…」

ニカッと笑う彼女は、俺のよく知る人物だった。最後まで進路が分からず、メールを送っても返してこない彼女。

「サプライズ成功みたいね」

「ばっ、かお前!アメリカに来てたのかよ!」

「そうよ?だから言ったじゃない、すぐ分かるって」

いたずらが成功して子供のように、ノジコが笑う。俺は呆れながらも、内心喜んでしまっていた。

「お前、メールは?」

「メールで言っちゃったら意味ないじゃない」

そう言いながらノジコはサングラスを胸元にかけた。

「これからもよろしくね、修造」

「…こちらこそ」

俺とノジコは、拳を突き合わせた。

ーーーー

「赤司お前知ってたなら言えよな!」

『すみません。ノジコさんに虹村さんには秘密にするよう頼まれてたんで』

「共犯かよ!!」

17:ピン子◆/Q:2019/02/04(月) 18:24 ID:bEg

3年に進級してしばらく経った頃、家に帰って、コンビニに行くと、高校生ぐらいの人が黒飴を買っていた。背はあーくんより少し低いぐらいかな。

…にしても黒飴って、チョイス渋すぎでしょ

まあ、いいわ。あたしはまいう棒の新しい味、いちごキャラメル味を食すのだから。

すると、黒飴チョイスくんもまいう棒に手を伸ばした。しかもそれは、あたしのお目当のいちごキャラメル味。こいつ…できる!

「あなたもこの味が気になるの?」

「ああ、俺もまいう棒好きでさ。発売初日から気になってたんだ」

「あたしも!ねえ、ちょっと話さない?」

「いいよ。俺は木吉鉄平」

「あたしはナミ!よろしくね!!」

木吉鉄平…?どこかで聞いたことがある、ような…あ、あーくんが「木吉鉄平うぜー」的なことを一時期言ってたわね…この人か

「木吉さん、あなたって誠凛の人よね?そこってバスケ部新しくできたんでしょ?どんな感じなの?」

「鉄平でいいよ。んー、監督がすごく怖いかな。でも、俺たち選手のことを考えてくれてるから頑張れるんだ」

「きゃー!監督愛されてるー!」

監督が女なのか男なのかはさておき、ウチの監督はおっさんだし、髪白いし、あんまり指導しないと思ったらすごい練習ねじ込んでくるし…

「そうだ、ナミさん。さっき黒飴買ったから食べるか?」

「頂くわ。あと、あたしもナミでいいわよ。あなた先輩だし!」

鉄平さんと黒飴を食べる。黒飴は渋くて大人の味。うん、美味しい。

「ナミは中学生か?」

「ええ、そうよ。もう受験生」

「そうか。もう高校は決まってるのか?」

「グラウンドライン学園に行きたいけど、心配な奴が2、3人いるからそっちに付いてくかも。でも、誠凛もなんだか気になってきたわ」

心配な奴っていうのは、涼太くんと大ちゃんと征ちゃん。

涼太くんは女の子に手ぇ出しそうだし、大ちゃんは最近不良化してるし、征ちゃんは征十郎。

でも、涼太くんもさすがにゴミクズじゃないだろうし、大ちゃんにはさつきがいるし、征ちゃんもなんだかんだ上手くやっていけるだろう。

あーくんとテツと真太郎は特に心配はないけど…そいつらも心配っちゃぁ心配。

「ま、ナミが最終的に行きたいと思ったところに行けばいいんじゃないか?誠凛はナミを歓迎するよ」

鉄平は私の頭をポンポンと叩いた。誠凛かぁ…気になるな…

ーーーー

「鉄平さん、あんた掃除してから帰るのよ」

「難しいんだ、これ」

「だからって辺り一面が飴まみれになるまで挑戦しなくてもいいわよっ!!」

「口に入れるまでやりたかったんだ」

「知るかぁっ!!!」

18:ピン子◆/Q:2019/02/04(月) 19:32 ID:bEg

「真太郎!」

ドスッと緑間の前の席にナミが座る。緑間はハァ、と溜息を吐いた。

「ちょっと聞いてよ!今日校門で涼太くんと会ったから一緒に教室行ってたら、女子に囲まれたのよ!」

「……」

「ちょっと!!聞いてんの!?」

「ハァ…それが何なのだよ」

読んでいた本を取られて、緑間は二度目の溜息を吐いた。

「囲まれるのは慣れたからいいんだけど、一部の女子がわざとぶつかってきて転んだのよ!おかげで髪の毛がボサボサだわ!!」

チラリと視線を髪の毛に変えると、確かにいつも彼女の長く少し癖のある髪の毛はキレイに揃えられ、二つに結われているが今日はボサボサで、下ろしていた。

「だいたいねぇ、ぶつかって来るくらいなら石でも投げてこいっつーの!」

ナミはすぐそばに会ったバットを投げた。緑間が慌ててバットを取りに行く。

「このバットは俺の今日のラッキーアイテムなのだよ!!迂闊に触るな!!」

「触ったんじゃないわ。投げたのよ」

「屁理屈言うんじゃないのだよ!!はぁ…」

後ろを向いて、バットに傷一つ付いていないことを確認した緑間は、ナミに向き直る。

「何がしたいのだよお前は」

「反撃」

「真顔で言うな」

「冗談よ」

「お前が言うと冗談に聞こえないのだよ」

「今日部活オフでしょ。ちょっと手伝って」

「黄瀬に近付くなとでも言えばいいのだよ」

「涼太くんにそれが言えたら楽よ!でも絶対傷付くわ。だから手伝いなさい!」

「ハァ…分かったのだよ。何をすればいい?」

「取り敢えず、涼太くんがあたしに近付いて来たら追い払って。それでもなんか投げられたら、容赦しないわ!」

緑間は今日何度目になるか分からない溜息を吐いた。

ーーーー

授業が終わって帰る準備をして、黄瀬がナミの席の前に急いで行く。

「ナミっち!一緒に帰ろうっス!」

「ごめん涼太くん。今日は真太郎と帰るの」

「え、じゃあ俺も緑間っちと帰るっス!」

「行くのだよ、ナミ。じゃあな、黄瀬」

「あ、はーい!また明日ね!涼太くん」

(…は、ハブられた!?緑間っちはともかくナミっちまで!)

テンションを下げながら黄瀬が1人で歩く。前を見るとナミが緑間と紫原に挟まれて帰っていた

(オレは断られたのに紫原っちはいいんスか!?)

「おい、さすがに黄瀬が可哀想なのだよ」

「今日は何で周りに女子がいないのよ!石でも何でも投げに来なさいっての!!」

「ナミちん鬼みたいだよ〜」

「なんですって!!?」

「落ち着くのだよ。紫原もこいつをキレさすようなことを言うな」

すると、路地からペットボトルが投げられた。そのペットボトルはナミの頭に当たる

「っ、なに?っていうか、涼太くんの周りの女子はいないわよね?」

紫原と緑間はそのペットボトルを見てあることに気がついた。その中には、巻いた手紙が入っていたのだ

「ナミちんそれ貸して〜」

ゴソゴソと手紙を取り出すと、中には文章が書いてあった

「…あなたはこの世に舞い降りた天使です。僕は君の笑顔にハートを撃ち抜かれました。この汚い世界の中で輝くあなたは、まるで僕を助ける為に現れた天使。汚れなき僕の愛しい天使…はぁ?何なのだよ、この迷惑な手紙は」

「続きあるよー。君を幸せにする為の計画を立てました。一緒に愛を紡ぎませんか。お返事待ってます…ってこれ、ラブレターじゃない?」

「ム、宗教の誘いじゃないのか?」

「ミドチン、宗教が愛を紡ぎませんかとか言う訳ないし。まじ恋愛には鈍いねー」

「うるさいのだよ紫原!…これは返事をするしかないのだよ。はっきり断れ」

「えー、でも、この人がお金持ちだったらあたしが幸せにするわ」

「金で人を決めるな!!…とにかく、断るのだよ。」

「…ナミちん、これオレもちゃんと断った方がいいと思うよー。これ、ぜってー後からストーカーとかになるタイプだしー」

「そこまで2人が言うなら…名前書いてないの?」

「汚すぎて読めないのだよ。明日、返事を書いた手紙を紙が飛んで来た方に投げるのだよ」

「分かった」

ーーーー

「まあ、ウチのポストに入ってたラブレターは、ナミゾウが燃やすんだけだね」

「これも渡し方が違ったら燃やされてたのかもねー」

「いや燃やすな」

19:ピン子◆/Q:2019/02/04(月) 19:44 ID:bEg

「真太郎、おはよう」

「遅いのだよ、ナミ」

朝、校門で涼太くんと会ってもいいように真太郎に家まで迎えに来てもらった。

「おい緑頭!ナミに手ェ出すんじゃねェぞ!ナミの彼氏はまず俺に挨拶しろや!」

「うっさいナミゾウ!!コイツはそんなんじゃないから!」

「どうも、緑間真太郎です。妹さんとお姉さんにはお世話になってます。」

「行くわよ真太郎」

後ろでガヤガヤと騒ぐナミゾウを放って、あたしと真太郎は学校へ向かう。

「返事は書いたのか?」

「うん。…お手紙ありがとうございます。あたしはあなたのことを知らないので、お付き合いはできません。さよなら。…どう?」

「いいと思うのだよ。」

校門につくと、女の子たちが集まっていた。これはきっと涼太くんね。

「ナミっちー!緑間っちー!」

「くそ、駄犬が…!行くわよ真太郎!!」

「おい!オレを引っ張るな!」

あたしは涼太くんを無視して、真太郎の手を引っ張って教室へと向かう。

「った…あ、ペットボトルだわ」

「見せるのだよ」

すると、またペットボトルが投げられた。桜の木の後ろ辺りからだ。中の手紙を真太郎に見せると、これは昨日のものと同じだと言われた。

「早く返事の手紙を投げるのだよ」

「待って、桜の後ろに誰かいる!」

「!!」

あたしは走り出した2年生らしき男の子の腕を掴んだ。

「待って!!あなたよね?この手紙くれたの」

「は、はい!」

「これ、その返事。それにと書いてるけど、あなたとは付き合えないわ。ごめんなさい。」

それだけ言って、真太郎に視線を送る。真太郎は軽く頷いた。そして2人で教室へと向かった。

「すいません、朱崎ナミ先輩いますか?」

「ナミちんならいるよ。ナミちーん!」

「なにー?ケイミー」

「2年生の子が呼んでるー!!」

昼休み、ナミが緑間と黄瀬と弁当を食べていると、友達のケイミーに呼ばれた。

「アンタ朝の!」

「先輩の手紙、読みました。
その、話があるんで来てもらっていいですか?もう一度、あなたに告白したいです。」

ナミは頷き、緑間と黄瀬に適当に理由を告げてから2年の男の後を付いて行った。

「…にしてもナミちんも罪だね〜」

「どうしたんスか?」

「黄瀬ちん、緑間ちん!あのね、ナミちんが2年生に告白されちゃうの!あの子顔可愛かったよ!!お似合いだと思うな〜」

「ナミっちは俺の彼女なのに!!」

「別にお前の彼女ではないのだよ。…しかし、嫌な予感がするのは気のせいか…」

緑間は深刻な顔でメガネをカチャッと上げた。

ーーーー

“ナミっちは俺の彼女なのに!!”

「ちょ!なに録音してんスか!」

「これはナミのお兄さんに報告しとくのだよ」

「俺死んじゃう!!」

20:ピン子◆/Q:2019/02/04(月) 23:09 ID:bEg

「僕、やっぱり先輩が好きです。」

「うん、ありがとう。でもやっぱり付き合えないわ。ごめんなさい。」

2年生の男の子につれて来られたのは、あたしの5組から少し離れたもう使われてない教室。告白の場所にはベタなところだ。

「先輩は僕のことを知らないとおっしゃってましたよね?」

「え、うん。」

「大丈夫ですよ。安心してください」

「本当?良かった」

「今から教えてあげます」

「え、」

ガシッと肩を掴まれた。力が入ってるのだろう。すごく痛い。

「僕が先輩の身体に僕を教えてあげます」

「ちょっと、何言ってんよ!」

そのまま机に押し倒されてしまった。逃げ出そうにも、力が強くてなかなか逃げられない。

(何コレ…最近の一年生ってこんなに力強いの?逃げられないじゃない…!)

足で股間を蹴ってやろうと思っても、足の間に体を入れられて腕も頭の上で押さえつけられている。

(やだ、助けて…誰か…!!)

「僕が先輩に触れる日が来るなんて、思ってもみませんでしたよ」

1年生の男の手が制服に伸びて、ボタンを開けられて、シャツを脱がされて下着があらわになる。あたしは力を振り絞って口で髪の毛を引っ張る。

「誰か助けて!お願い!!」

「来るわけないじゃないですか。今は授業中で、鍵もしてますし。」

そのとき、ガコンッと音がした。偶然あたしのスカートのポケットの中に、ケータイが入っていたのだ。あたしはハッとして、大声を出した。

「ティリー!!」

ティリーとは、そのケータイの中に入っているAI機能だった。CMで声だけで反応するそれに憧れ、そうなるように設定したのだ。しかし、ティリーからの反応はない。

「先輩、諦めてくださいよ」

「ティリー!!涼太くんに電話して!!」

『はい、かしこまりました』

機械的な声が返ってきた。そして、あたしのスカートのポケットの中で、スマホがブブブと鳴りながら小さく揺れる。
涼太くんは今日、モデルの仕事があるのでスマホを持ってきているはずだ。

「チッ…いい加減にしろよな」

そう、低い声で目の前の男は言った。そしてあたしのスマホを取り、赤の終了ボタンを押した。

「反抗すんなよ。今すぐ犯すぞ。」

「ッ…!」

もうダメだ、と覚悟を決めた。目をつむり、下唇をギュッと噛む。

すると、ドアが吹っ飛んだ。

「ナミを返せ!!」

「ヒネリ潰すよ」

「ナミっち!無事っスか!?」

「大丈夫ですか?ナミさん」

「ナッちゃんを離して!!」

「やはり、嫌な予感が当たったのだよ…」

「待たせてしまったね、ナミ。」

「…本当、遅すぎよ!!」

我慢していた涙が溢れて来た。

この人たちは、こんなに頼もしいのか。

「大ちゃん…あーくん…涼太くん…テツ…さつき…真太郎…征ちゃん…」

助けに来てくれて、ありがとう

「助けて…」

「当たり前だ。
オレたちのナミを傷付けた罪は重いぞ、2年生」

2年生は、みんなの気迫に押されて顔が青ざめていた。

21:ピン子◆/Q:2019/02/05(火) 00:48 ID:bEg

ナミが何分経っても帰ってこない。10分ほど経てば戻ってくると思ったが、もう少しで授業開始のチャイムが鳴ってしまう。

「緑間っち、ナミっち遅くないっスか?」

黄瀬も心配している。確かナミは、3年になってから受験があるからと、サボるのはやめていたはずだ。

すると、黄瀬のスマホが鳴った。画面には、朱崎ナミと表示されている。

「あっれー?ナミっちだ」

しかし、その画面はすぐに消えてしまった。

「…黄瀬、嫌な予感がするのだよ。」

ナミに何かないといいのだが…

そう思っていると、青峰に呼ばれた。ドアの方を見れば、青峰の他に赤司、紫原、黒子、桃井もいた。赤司の手には、プリントがある。

「緑間、黄瀬。悪いがこのプリントを…そういえば、ナミはいないのか?」

「ああ。ナミなら2年生に告白されているのだよ」

「えーあの2年生?」

紫原の言葉に頷く。赤司は黄瀬から話を聞いているようだ。そして、少し考え込む。

「彼はあまり良い噂を聞かない2年生だ。ナミに何かあったのかもしれない。黄瀬に電話をかけてすぐに切れた、というのも気になる」

赤司の言葉で、ピリッとその場の空気が変わった。お互いの顔を見合わせて頷く。

そして勢いよく走り出した。途中、廊下を走るなと怒鳴る教師の声もきこえたが、お構いなしに走る。

「緑間、ナミが向かった教室は」

「この廊下の突き当たりにある教室なのだよ」

「紫原っちはなんで2年のことを知ってたんスか?」

「んー、また今度説明するー」

「ナッちゃん、ケガしてなければいいんだけど…」

「このドア、鍵がかかってます!」

「どいて黒ちん!」

「どけテツ!!」

紫原と青峰がドアに体当たりをして、ドアが吹っ飛んだ。そこには、昼休みナミを呼んでいた2年と、下着があらわになったナミがいた

「ナミを返せ!!」

「…ヒネリ潰すよ」

「ナミっち!無事っスか!?」

「大丈夫ですか?ナミさん」

「ナッちゃんを離して!!」

「やはり。嫌な予感が当たったのだよ…」

「待たせてしまったね、ナミ」

「…本当、遅すぎよ!!」

我慢していたのだろう涙がナミの目から溢れ出した。2年は怯えた顔をする。

「大ちゃん…あーくん…涼太くん…テツ…さつき…真太郎…征ちゃん…
助けて…」

「当たり前だ。
オレたちのナミに手を出した罪は重いぞ、一年生」

「テメェがナミに…!!」

「ダメだよ青峰くん!」

青峰が殴ろうと2年の胸ぐらを掴む。桃井が止めても無駄だった。ナミも慌てて後ろから青峰に抱き付く。

「待って大ちゃん!!!」

「ナミ!!止めんじゃねぇよ!!!こいつがお前に…!」

「あたしまだ、何もされてない!!
みんなが何かされる前に助けに来てくれたから!だから殴ったりしなくてもいいじゃない!!」

22:ピン子◆/Q:2019/02/05(火) 01:05 ID:bEg

ナミの頼みで今回は2年の男を見逃すことになった。2年腰が抜けてるのか、立ち上がらない。

「あのね、大ちゃん。あたしの為に怒ってくれるのは嬉しいけど、その手は人を殴る為にあるんじゃなくて、バスケをする為にあるんだから。
アンタが手を痛める必要はないの。」

「うっせぇよ」

(それでも俺は許せねぇよ、ナミ… )

「な、ななな、ナミ!!はやくシャツを着るのだよ!!!」

「そうだね。冷えると大変だからな。」

「ええ。お腹冷えたら辛いから」

「え、もうちょい下着でいろよ。むしろ下も脱げ」

俺がそう言うと、テツに何バカなこと言ってるんですか、とイグナイトをかまされた。

「それにしても、本当にいいの?ナミちん。俺たちがこいつを見逃してもー」

「あんたたちはいいわよ、何もしなくても。」

「へ?」

「あたしに手を出したことは、あたしが後悔させてあ・げ・る♡」

(あ、さっきの言葉は撤回するわ。2年の男がかわいそうだ、ナミ)

黒い笑みを浮かべながら、向かうナミにビビって2年の男は気絶した。

ーーーー

「次、あたしはもちろん他の子にも同じことしたら…これ以上に殴るから。」

「もう充分殴ってるのだよ」

精神的に来る言葉と、たんこぶを何個も作られて2年はもうノックダウン。
当分、女子と話すことはできないだろう。もちろんナミがトラウマで。

「…これ、俺たち来なくても良かったんじゃないんスか?」

「そんな訳ないでしょ!手足拘束されてたんだから!」

「それより…はやく授業に戻るぞ。俺たちは先生に何も告げずに教室を出てしまった。」

「え、うそ!あたしのために?」

「そうっスよ、ナミっち!」

黄瀬が手を広げると、嬉しそうに黄瀬の腕の中に…

飛び込まず、テツに抱き付くナミ。羨ましいっス、黒子っち!!と駄犬が騒ぐ。

「ありがとう!みんな!!」

ナミの笑顔を見るとやっぱり、この笑顔が奪われる前に助けることができて良かった、と思う。

「そろそろ戻るか。」

赤司の声と同時にチャイムが鳴った。

「わっ、俺ら5組ッスよ緑間っち!」

「はやく戻るのだよ!」

黄瀬と緑間を筆頭に、教室が遠い順から戻って行く。俺とさつきは1組なので、少し余裕があった。

「青峰くん、私たちも行こうか」

「おう。…いや、ちょっと待て」

「…? うん」

俺はまだ床に座り込む1年の髪の毛を掴み、顔を上げさせた。

「青峰くん、暴力はダメだよ!」

「わーってるよ」

震える1年を睨み付ける。

「次はねェからな。」

ーーーー

「青峰くん、あの2年生学校に来なくなっちゃったんだって」

「…あっそ」

「何か知らない?彼のこと」

「知らねぇよ。アイツのことはお前も忘れろ」

23:ピン子◆/Q:2019/02/05(火) 01:57 ID:bEg

「もしもし、大ちゃん?」

『お前なんでさっき出なかったんだよ』

スマホの向こう側から聞こえる、少しぶすっとした声。

「ごめんごめん!…で、何?」

『今度のオフ、テツたちも誘ってランド行こうぜ。さつきがチケットもらったってよ。』

「……うそ」

ランドとは、色々な動物がキャラクターとなった世界中にあるテーマパークだ。お姫様の城をシンボルに作られたそれは、いくつかのテーマに分かれている。

『じゃねぇよ。テツたちはもうOK出してんだ。あとはお前だけだ』

「いっ、行く!!」

『おう。オフはランドで決まりだな。泊まり込みらしいぜ』

「ホテル!?やった!オフっていつなの? 」

『来週。準備しとけよ、楽しむぞ!』

「もちろんよ!」

通話を終了した後も、喜びに浸る。

何度かさつきや涼太くん、あーくんとは出かけたことはあるけどあいつら全員で出かけるのは初めてだった。

(やばい!なに着て行こう?いやいや、変にオシャレしたらかえってバカに見えるわよ!)

ーーーー

「「やって来ました!!夢の国!!」」

さつきと手を繋いで走り出そうとすると、あーくんの大きな手で止められた。

「ちょっと落ち着いてよ2人ともー」

「まずはカチューシャ買おうっス!!」

「黄瀬、はしゃぐな。」

ついに来た、みんなとのランドの日。さつきがもらったチケットなので、チケット代もかからずあたしは上機嫌だった。

「あたしミッチーにするから征ちゃんはミリーね!」

「ミリーか…」

自分の頭にミッチーのカチューシャを付けて、征ちゃんにはミリーのカチューシャを付ける。

「紫原っちはグーヒーっスね!」

「じゃあ黄瀬ちんはフルートだねー」

「緑間はドナルディーな!」

「お前がデイシーか…ランドに謝るのだよ」

「なんでだよ!!テツはラッフィだな」

「じゃ、じゃあ私、シェリーレイにする!」

「一緒に付けましょう、桃井さん」

テツの言葉に蒸発しかけるさつきを支えて、あたしたちはアトラクションへ向かう。

「征ちゃんはランド初めて?」

「いや何回も来てるだろ」

「初めてだ」

「うそだろ!?」

「ああ。日本のランドは初めてだ」

「「ふざけんなッ!!!」」

「あ、これ乗ろうっス!!」

「マウンテンか…いいな!乗ろうぜ!」

「え!!高いし速いし怖いんだけど…」

「わ、私も…」

怖がっていると、大ちゃんがポン、とあたしの頭に手をおいた。テツはさつきの手を握る。

「桃井さん、大丈夫です。僕も少し怖いですから隣に座りましょう。」

「て、テツくん…!」

「お前は俺の隣に座ってろ!」

「励ましになってないから、それ…」

大ちゃんの言葉に苦笑しながら、順番を待つ。50分くらいしてから乗れた。

もちろんその後はテツが吐いて、さつきとあたしが半泣きになった。逆に大ちゃんと涼太くんはピンピンしてる。

「少し休もうか」

「えー、なんでっスか?まだ始まったばっかっスよ!」

「そうだぜ!たまにはいいこと言うじゃねぇか、黄瀬!」

「バカめ。今の黒子と桃井とナミを連れては、動けないのだよ」

「あ、こうしたらー?峰ちんと黄瀬ちんは並んで、オレたちは休憩しよー。峰ちんと黄瀬ちん、乗れそうになったら連絡してよ」

あーくんの言葉に、考える振りをする2人。2人のことだから何か考えているわけがない。

「んー、そうっスね。そっちの方が効率がいいかもしれないっス」

「じゃあオレら並んでくるわ。次どこ行きてぇ?」

すかさずあたしとさつきは手を上げた。

「「小さな世界の国に行きたいです!!!」」

「分かった。んじゃ、行ってくるわ。お前らは休んでろよ」

「またあとでっス!」

大ちゃんと涼太くんに手を振る。その後、30分くらいしてからテツが回復して、大ちゃんと涼太くんから連絡が来た。あたしたちは、次の乗り物へと向かった。

24:ピン子◆/Q:2019/02/05(火) 02:02 ID:bEg

「あー…遊んだわねぇ」

「そろそろショーの時間だ。行くぞ」

征ちゃんの声で、あたしたちは夜のショーを観れる場所へ向かった。

お姫様のお城に、いろんなランドキャラクターの映像が映される。花火や水のショーもあって、幻想的な世界だった。

「きれい…」

「うん…」

あたしとさつきはショーに見入ってしまった。キラキラしてて、全てを忘れることができる。

これでみんなと旅行に行くのは最後だろう。

少し、しんみりしてると頭をわしわしと荒く撫でられた。この大きな手はあーくんだ。

「ナミちんってば何しんみりしてんのー?」

「あ、そうだ!夏休みは海行こうよ!!」

「なら、俺の海を貸そうか?」

「プライベートビーチ持ってんスか!?」

「プライベートビーチはダメだ。水着のねーちゃんがいねぇからな」

「最低ですよ、青峰くん」

「普通の海でいいのだよ」

……ったく、こいつらは…

なんでこんなにキラキラしてるんだろう。

「行くでしょ?ナッちゃん!」

「うん!」

最後の最後に、大きな花火が上がった。

ーーーー

「うわっ!!ひろ!!」

「ナッちゃん見て!ベッドも大きい!」

ショーが終わってから、ホテルでみんなと別れた。あたしはさつきと一緒で、隣には征ちゃんとあーくんと涼太くん、その隣には真太郎とテツと大ちゃんがいる。

「あとでお風呂行こっか」

「うん!」

まずは荷物を整理する。ナミゾウにお小遣いを少しもらったとはいえ、やっぱり限界はあった。それでも、なんとか値引きしてもらって買うことができたお土産。

「ランドで値引き交渉をする人ってきっとナッちゃんだけだよ」

「だってあんなのぼったくりじゃない!」

「夢の国から現実に戻された気分だったよ」

荷物の整理を終えて、お風呂へ向かう。もう時間が遅いからか、人がいなくて貸し切り状態だった。

「貸し切りサイコー!」

「私も結構大きい方だけど…ナッちゃんの方が大きいよね、胸」

「そうねぇ…さつきって何カップだっけ?」

「Eカップ、かな…?ナッちゃんはFぐらい?」

「そんな感じ。」

「それに、ナッちゃんの髪の毛の色ってキレイだよね。なんかおひさまみたい…」

「そう?あたしはさつきの髪の毛も羨ましいけど…なんか女の子って感じの色だし。それに、あたしは癖毛だからさつきのストレートが羨ましい」

「本当?ナッちゃんに言われると、なんか自信付いちゃうな〜」

いろいろさつきと話して、女の子同士でしか話せないことも話した。

「ナッちゃんと私って…なんだろうね」

「どういうこと?」

「同じ恋する乙女同士ってわけでも、ライバルってわけでもない…ただの友達っていうのも、なんだか軽くてしっくり来ないし…」

「それって…」

「「親友」」

さつきと声がかぶって、2人で顔を見合わせて笑った。

親友、かぁ…

あたしには縁のないものだと思ってたな…

いつか、さつきに言うから

あたしという人間の話を。

ーーーー

「ナミー!さつきー!遊びに来たぞー!!」

「ナミっちー!桃っちー!」

「勝手に入ってくんな!!」

25:ピン子◆/Q:2019/02/05(火) 17:42 ID:oiA

「ナッちゃんおはよ〜」

「おはよ、さつき」

朝起きて、急いで朝食を食べる支度をする。さつきがもらった券は招待券だから、ホテルの朝食まで付いているのだ。

「バイキングなんだって。ここのごはん」

「え、本当!?」

「うん!それに美味しいって有名だって」

「あんた、すごい強運の持ち主ね…」

ボサボサの髪にクシを通して整える。オレンジを基調とした花柄のTシャツと短パンに着替え、上からパーカーを羽織って部屋を出る。

「桃井さん、ナミさん、おはようございます」

「テツくーん!おはよう!」

「おはよう。遅くなっちゃってごめんね」

「気にするな。さあ、行こうか」

みんなと一階のロビーで待ち合わせをして、雑談をしながらレストランのエリアへ向かう。

「今日は何乗るっスか?」

「今日はメルヘン系乗ろー」

「確かにその辺は行ってないのだよ」

「決まりね」

朝食を取った後は、チェックアウトを済ませて荷物をランドのロッカーに入れた。

そして昨日買ったカチューシャを付ける。真太郎が恥ずかしがってなかなか付けなかったので、無理矢理あたしが付けてやった。

「朝なのに混んでるわね…」

「最初に何を乗るか決めておいた方がいいな」

「りんご姫とピーターピンが人気らしいっスよ」

「じゃあそこにするのだよ」

「そのあとはルーさんね!」

「お姫様のお城もまだですね」

「あ、そろそろ開園っぽいよー」

「走るぞ!お前ら!!」

走って、並んで、乗って、笑って、また走る。

今日もこれの繰り返し。だけど楽しかった。パレードもすごくて、たくさん笑った。

ーーーー

「あー…楽しかったな」

「帰る時はなんかしんみりしちゃうね」

「次は海っスね」

「映画とかも行きたいねー」

「夏休みといっても、そんなに休みはないのだよ」

「赤司くんが特別に休みを増やす、なんてないですからね」

「まあ、ないだろうね。だけど…またこのメンバーでどこかに行けるといいな」

「そうね。海でも映画でもどこでも…このメンバーなら絶対楽しいから」

あたしたちは知らなかった。

次の約束は、果たされないことを、

みんながバラバラになってしまうことを。

なにも…






























5人の天才たちは、

それぞれお互い歩むべき道を

違っていった。

26:ピン子◆/Q:2019/02/05(火) 23:21 ID:oiA

「さつき」

「ナッちゃん?」

今日、あたしはさつきに全てを話す。

「さつきがね、この前ランドであたしのことを親友だって言ってくれたの、あたしすごく嬉しかったわ。
だから、あたしをアンタに知って欲しい。」

さつきは静かに俯いた。でもあたしは、とめる気はない。さつきにだけは、全てを話したかった。

あたしがアンタの隣に、ちゃんと立てるように。

「あたしに親がいないのは知ってるわよね?」

「でもたしか、お兄さんとお姉さんが…」

「そう。でも、大切な人を失う苦しみをあたしは幼い頃に知っちゃったのよね。」

「……」

「でも今、正に大切な奴らを失いそうになってる。」

あたしが言い終わる前に、さつきは私を抱き締めた。涙を流しながら。

「ナッちゃん、話して。」

鼻声だけど、強い声で言うさつき。あたしは覚悟を決めた。

ーーーー

母の名前はベルメール。元警察官である。強くてかっこいい、あたしの憧れの人。

父の名前はゲンゾウ。厳しくて、あたしはこの人が大嫌いだった。

どちらも本当の親ではなくて、お互い結婚しているわけでもない。けれど、本当の家族のように育てられてきた。

あたしが8歳、ナミゾウとノジコが10歳のとき、学校でキャンプがあった。それは親の承諾が必要なものだった。

「ベルメールさん!サインちょうだい!」

「分かった分かった。プリント貸して」

「ダメだ!!学校のキャンプなんか、どこに何がいるか分からんところに連れて行かれるに決まってる!」

「ちょっとゲンさん!そんな言い方しなくても…」

「とにかくダメだ!!分かったら、風呂に入ってはやく寝ろ!」

友達に誘われた海も、キャンプも、プールも全て行くのを禁じられた。

幼いあたしは、この人が大嫌いだった。

「ベルメールさん…あたし、ゲンさんが嫌い」

「そんなこと言わないで。ゲンさんはアンタたちを思って厳しく言ってるんだから」

たとえベルメールさんにそう言われても、ゲンさんを好きにはなれなかった。あたしとノジコはまだゲンさんの言うことを聞いていたけど、ナミゾウは反抗し、殴り合いの喧嘩だってしていた。

あたしたちは、ベルメールさんがガンで倒れても、お見舞いには行かせてもらえなかった。

「ゲンさん!!ベルメールさんのお見舞いに行かせてよ!ノジコとナミゾウと行かせて!」

「ゲンのおっさん!!行かせろよ!俺らの母親のところに!」

「あたし知ってるよ!ベルメールさんって今夜で死んじゃうんでしょ!!?」

それでもゲンさんは、首を縦には振ってくれなかった。

最後にベルメールさんの顔を見たのは、お葬式のときの棺桶の中だった。

そのあと、ノジコとナミゾウ中学になってからがヒドかった。
ゲンさんの稼ぎで生活はできるものの、ノジコは勉強に明け暮れ、ナミゾウはグレて家出。あたしとノジコとナミゾウの間に、会話はなかった。もちろんゲンさんとも。

一気に家族の仲は、冷えていった。

そして、ゲンさんもガンに侵された。

27:ピン子◆/Q:2019/02/06(水) 00:16 ID:5w2

形だけのお見舞いへ行くと、ゲンさんはベッドで寝ながらあたしに話しかけた。

「ナミ…」

「……」

「ノジコとナミゾウ、そしてお前をバラバラにしたのは私だったな…」

体は窓の方を向いていて、どんな顔をしているのかは分からなかった。

「お前たちにダメだ、やめろ、するな、と言うたびにお前たちを傷付けていた…しかし、お前たちが嫌いだったわけではない」

黙って聞いていると、ゲンさんはこちらに顔を向けた。

「愛していたんだ。すまなかったな。」

嫌いな人は、あたしに哀しそうな顔を見せてから、息を引き取った。

流れるはずのない、涙が流れた。

葬式はしんみりしてて、あたしとノジコとナミゾウしかいなかった。写真の中のベルメールさんは笑っていて、ああ、天国で会えたのかな、なんて思ってしまった。

あの人たちは、不器用ながらもあたしたちの親であろうとしたのだ。
そして、その愛は彼らがいなくなってから、あたしたちには伝わった。

「ナミ」

「…ノジコ」

ゲンさんのお葬式が終わってからしばらく経った頃、久しぶりにノジコが話しかけてきた。葬儀中も特に話さなかったので、少しだけ緊張した。

「これ見て」

ノジコが持っていたのは今、女子中高生に人気の雑誌だった。パラパラとめくっていると、しばらく姿を見ていない兄の写真が写っていた。

そうか、アイツはモデルになったのか、とこのとき初めて知った。

「ナミゾウね、ウチに戻って来るって…!また3人で…やり直そうって…!」

ノジコは泣いていた。そして、あたしの小学校生活最後の冬休みに、また3人に戻った。

ナミゾウのモデルで稼ぐお金で食べていき、住む場所はナミゾウの事務所が所持するアパートでタダで住めることになった。

だけど、そこに住むには引っ越しも必要で。

あたしたちは、そこに1人の幼馴染をおいて帝光地区へと引っ越した。

そしてあたしは帝光中学へ入学、ノジコは転校した。

『俺はコイツんとこに通う。帝光地区からでも早起きしたら行けるし、何より1人にしたらどうなるか危ねぇからな。』

しかしナミゾウだけは、幼馴染のいる中学に通った。

ーーーー

「そんなことが…」

「やっとできた友達がアイツらだから…離れるのが怖い…たとえ、どんなに離れていても…」

「自分のことは忘れないで欲しい…」

さつきはあたしをもう一度、優しく抱き締めた。

「ナッちゃん…どうして話してくれなかったの…?」

ズキリ、と胸が痛んだ。ボロボロと涙も出てくる。

「ごめん、ごめんね…さつき…!」

「私も大切な友達の…親友のことを何も知らなかった…!」

話さなかったのはあたしなのに、なんでさつきは泣いてくれるんだろう。
あたしは小さく震えている背中に、手を回した。

ああ、人ってあったかい。

「あの人たちがバラバラになっても…私はナッちゃんから離れなんかしないよ」

ベルメールさん、ゲンさん。あたし、新しい繋がりを見つけたわ。
もう、繋がりを作ることは怖くない。

「行こう、みんなのところに」

でも、たとえあたしと繋がっていても、みんなの繋がりは消えてしまった。

キセキの世代は、崩壊への道を辿り始めていた。

この崩壊に気付いていたのは、あたしとさつきの他に幻の六人目だけだった。

いや、他のキセキも気付いていたのかもしれない。

でも、

とめようとしても、とめられない崩壊

ーーーー

「お兄さんは今でもゲンさんのことが嫌いなのかな…」

「…きっとアイツもゲンさんの愛が通じたと思うわ。」

28:ピン子◆/Q:2019/02/06(水) 00:49 ID:5w2

「テツ…!アイツらを止めて…っ!」

「…僕にはもう、止められません。止まらないんです、彼らが、…彼が。」

「イヤよ…だってこのままじゃ、アイツらが…!」

「…ナミさん、僕はもうみんなとバスケをすることができません。
僕のバスケが分からないんです。僕はバスケが好きなはずなのに、バスケをしてて楽しいはずなのに、プレーをしていても楽しくないんです。
でも、あなたと出会えて良かったです。」

「テツ!待って、お願い…!!」

幻の六人目も、もうお手上げなのね。

彼らは崩壊への道を歩み進める。

ーーーー

「ナミ、今日も学校行かないのか?」

「行かない。お腹痛い」

「…」

テツが部活をやめた。学校にも来なくなった。バスケ部のみんなも変わった。

征十郎に牛耳られてる帝光中学のバスケ部は、勝つことが当たり前となった。そして、相手を見下したようなプレーをして、勝っても冷めたような顔。

勝つのが当たり前だから。

「ナミ、何があったかは知らないけどよ、今のお前は逃げてるだけだ。」

「…分かってるわよ、そんなこと…」

「途中からでもいいから学校行け。夜は寿司食いに連れてってやるから」

あたしは結局、昼休みが終わったぐらいから学校に行くことにした。3日ぶりの学校だ。

「ナミっちー!久しぶりっス!大丈夫だったっスか?」

「何をしてたのだよ、ナミ」

涼太くんと真太郎が声をかけて来る。2人とも、普通の時は前と一緒なのに、バスケに入った途端冷たくなる。

「…別に何もないわよ。心配してくれてありがと」

真太郎が別に心配などしてないのだよ!とメガネを上げながら言う。お前はツンデレか。

「もうちょっとで卒業ね、あたしたちも」

「いきなり何を言い出すのかと思えば…」

「ナミっちはどこの高校行くんスか?」

「さあ…まだ分からないわ。」

まだ、ね。私はもう付いて行くやつは決まってるの。そいつからまだ行く高校を聞いてないだけ。

「あんたたちは?」

「俺は海常高校っス!神奈川にあるところっスよ!ナミっちも一緒に行こうよ!」

「うるさいのだよ黄瀬。俺は秀徳、青峰は桐皇、紫原は秋田の陽泉、赤司は京都の洛山、黒子は…知らんのだよ」

さつきはきっと、テツか大ちゃんと同じ高校に行くわね。それにしても、コイツらが行く高校って全部バスケの強豪校じゃない。誠凛も気になるし…

「ねえ、祥吾は?」

「…ショーゴくんならバスケ部やめたっスよ」

あたしの質問に、少し低い声で涼太くんが答えた。眉を寄せ、思い切り不機嫌そうな顔だ。

「え、そうなの?」

「ああ。細かいことは知らんが、どうやら赤司が辞めさせたらしい」

「……うそ、」

征十郎が、そんなことをするなんて考えられなかった。征ちゃんは祥吾の素行の悪さに手を焼いていたものの、実力を理解してたし必要としていたはずだ。

「本当だ。黄瀬と灰崎の能力は良く似ている。あまり言いたくはないが、黄瀬より灰崎の方が劣っていただけなのだよ。」

「そうなんだ…」

征十郎は、どんな考えで祥吾を退部させたんだろう。例え涼太くんより祥吾の方が劣ってたとしても、さすがに退部まではさせないだろう。やはり、素行の悪さに嫌気がさしたのだろうか。

「でも赤司っちのことだから、何か考えはありそうっスよね」

涼太くんの言葉にハッとした。
そうだ。赤司征十郎という男は、普通の人の斜め上の発想をしている。だからこっちが想像だにしないことを、赤司征十郎という男は軽々しくするのだ。

「そうね。征十郎だもん」

ーーーー

「…ナミっちもしかして、さりげなく赤司っちのことディスった?」

「バカ!あたしがあの神様仏様赤司様をディスるわけないじゃない!!」

29:ピン子◆/Q:2019/02/06(水) 01:59 ID:5w2

「……」

「とりあえず、どこかで喋るか」

今日、みんなの部活が終わってさつきと少し話してからコンビニに寄ると、鉄平さんに会った。あちらも部活終わりっぽい。

「どうしたんだ?ナミ。話って?」

「うーん、ちょっとね…相談みたいな?」

「なんでも聞くぞ」

ああ、これが大人ってやつなのね…1つしか学年が違うはずなのに…

「あたし、バスケ部のキセキの世代ってやつらと友達なの。…だけど、みんなは勝つのが当たり前だから、勝っても冷めた顔しかしない…」

鉄平さんは黙ってあたしの話を聞いてくれる。…鉄平さんがいるならあたし、アイツに付いて行くのやめて誠凛に行こうかな…

「あたしは相手を見下したようなプレーをするみんなは、見たくない。今のみんなと戦う相手チームを見たくない。だって、本気でやってる人に申し訳ない気持ちになるから…」

これが今のあたしの本音。誰にも言ったことがない、あたしの本当の気持ち。
鉄平さんは優しく微笑んで、あたしの頭に大きな手を置いた。そして、少し荒く頭を撫でる。

「ナミの気持ちはよく分かるよ。俺もバスケで色々あってやめようと思ってたんだ。」

…ちょっと違うと思うけど…。でも、鉄平さんもバスケやめようと思ってたんだ…

「でも、仲間のおかげで立ち直ることができたんだ。まあ、これからしばらくは入院だけどな」

「え、入院するの!?」

「そ。ちょっとな。でも、その間、誠凛バスケ部がどれだけ強くなるか楽しみなんだ!」

鉄平さんはずっと前を向いている。立ち止まったこともあったかもしれないけど、また歩き出している。

なら、あたしもそうしなきゃ

「…ありがとう、鉄平さん。色々話せて良かったわ!」

「お、もう元気になったのか。」

「ええ!あたし、もう行く高校決まった!!」

「そうか。どこに行くんだ?」

「ふふっ、それはね–––。」

「そうか。楽しみだな、ナミの制服姿」

ーーーー

見て

あたしはこんなに繋がりをもってるのよ。

離れても、きっとあたしを探しに来てくれるぐらい濃い繋がりを。

だからあたしは、みんなからもらった繋がりをもう一度作り直すの。

今度は何があっても切れない、固い繋がりを。

30: hoge:2019/02/06(水) 21:08 ID:rl2

あの、ピクシブか占いツクールの方で投下されたほうがよろしいかと……黒バスが本当に好きな人から見たらナミが主様が自己投影されてるオリキャラにしか思えません……言い方が少しきつくなってしまいましたが、文章の構成などはしっかりしてるし、読みやすいです、乱入すいませんでした、今後の判断は主様にお任せいたします

31:ピン子◆/Q:2019/02/06(水) 23:08 ID:xIY

「ナミっちー!!!」

「なによ涼太くん」

黄色頭があたしの元に走ってきた。手には雑誌が握られている。

「こ、これ!!これってナミっちのお兄さんっスよね!?」

「え?あー…そうね。それが何?」

雑誌を見ると、うちの兄のナミゾウが特集されていた。テレビでも映画でも大活躍♡ナミゾウくんに迫る!!と言ったインタビュー記事だ。

「こ、今度俺ナミゾウくんと一緒に撮影するんスよ!」

「で?」

「差し入れ何がいいかな!!?」

「……」

ハァ…と溜息が出てしまった。

「呆れた…そんなこと気にしてたの?別に差し入れとかいらないわよ。挨拶さえしとけば大丈夫」

ナミゾウはキセキの奴らを結構知っている。同業者でもある涼太くんのことは特に知っているだろう。そういう意味も込めて言うと、涼太くんはクワッと顔を寄せてきた。

「ナミゾウくんに憧れて俺、モデルになったんスよ!?」

「近いわ!!」

「ナミっち理不尽ゴファッ!!」

顔が近かったので一発顔に拳を入れてやる。周りの女子の目はだいぶ柔らかくなったものの、しつこい奴はしつこいのだ。

「ナミっち!今日部活ないから買い物付いてきて!」

「え、いやよ。なんであたしが」

「何か奢るから!!」

「行きましょう」

何か奢ると言われたら行くしかない。

ーーーー

「いやー、ここら辺に来んの久しぶりっスわ」

「何?そのメガネ。賢く見られたいの?」

「ちげーっスよ!これは変装っス」

涼太くんとやって来たのは、都内のいろんな店が並ぶ大通り。あいつ、結構ここにいるしね。

「そういえばナミゾウくんは、どこの高校なんスか?」

「霧崎第一。そこに幼馴染と行ってるわ」

「えーナミゾウくんがいるなら、俺も行こっかな、霧崎第一」

「あー、行っても無駄よ。あいつ幼馴染としかつるまないから。」

涼太くんがちぇー、と頬を膨らませる。

「それにあんたは海常に行くんじゃなかったの?」

「それとこれは別っス!」

「いや意味分からんわ」

涼太くんの腕を引っ張って少し大通りとは外れた、小さなケーキ屋さんに入る。

「ここのみかんケーキ、アイツ好きだからいいんじゃない?」

「そうなんスか?」

じゃあついでに、とあたしとそしてさつきのみかんケーキも買ってくれた。ナミゾウの分はその撮影の日に買うらしい。

「これで買い物は終わったわよね?」

「そうっスね!ありがとうっス、ナミっち!」

「んじゃ、付いて来なさい」

涼太くんの腕を掴んで、とあるスポーツ用品店に向かう。

「男の人ってどんなタオルもらったら嬉しいの?」

「も、もしかしてナミっち…俺にプレゼントを…?」

「違う!!」

「じゃあ誰っスか!!…はっ!!もしかして彼氏とか!?誰っスかそいつ!!」

「落ち着けぇっ!!!」

「ゴベェッ!!」

本日2回目のあたしのストレートパンチが、キレイに涼太くんの顔に決まる。

「友達に感謝の気持ちとして渡すのよ!!」

「それをはやく言って欲しかったっス!!」

とりあえず、その店に入る。すると、渡したい友達が自分の兄といた。

32:ピン子◆/Q:2019/02/06(水) 23:10 ID:xIY

>>30
まじですか!自己投影してるつもりは全くなかったのですが、そういうことならpixivで描いた方が良さそうですね。ちなみに私も黒バス本当に好きです(笑)
ご指摘、ありがとうございます!!

33:ピン子◆/Q:2019/02/06(水) 23:55 ID:xIY

>>30
けれど、ここは二次創作の板ということで、このままここで描かせていただきます。すみません。hoge付けますし、それなりの配慮はします。
また、自己投影していると勘違いされないようにもナミのキャラをもう少しちゃんと出せるようにします。
P.S.私は赤司様が好きですが、あなたは誰が好きですか?あ、ほんと喧嘩売ってるとか思わないでください。私はここでのトラブルはちょっとだいぶ勘弁なんですすみません、本当に。

34: hoge:2019/02/07(木) 18:18 ID:rl2

主様がそうご判断されたのなら私からこれと言っていう事はございません、何となく逆ハー状態なので出来ればワンピースのキャラでナミ以外の女子キャラも絡めて欲しk……((ry

私は基本的に皆好きですね、キセキの世代もそれぞれの高校のメンバーも勿論桃井ちゃんも、監督も、監督かわ((ry

今後とも主様の活躍をお祈りいたします、たまーに顔を覗かせるかもしれませんが、嫌だったらいつでも言って下さい。素直に消えます

35:ピン子◆/Q:2019/02/07(木) 23:23 ID:c8I

>>34
私もナミ以外の女の子キャラ好きです(真顔)
もちろんナミ以外の女の子、野郎どもも出すつもりです!黒バス&ONE PIECEなんで(笑)
あ、私も監督も桃井ちゃんも大好きです。特におっぱ((
また感想などくれると嬉しいです!!嫌とかないです!むしろほんっっっとに嬉しいのでいつでも来てください!

36:ピン子◆/Q:2019/02/08(金) 02:12 ID:c8I

「ナミゾウ!真! 」

「ナミと涼太か」

「よぉ、ナミ」

「ナミゾウくん!?と花宮真!」

霧崎第一も今日は部活が休みらしく、この店に2人で来ていたらしい。

「涼太、今度の撮影よろしくな。」

「はいっス!」

笑顔で涼太くんに言うナミゾウと、それに嬉しそうに返事をする涼太くん。あたしは自然と真と話す。

「真はナミゾウと何買いに来たの?」

「アイツのシャツ。俺は付き添いだ」

ふーん、と相槌を打つ。あたしが買いたいものと被ってなくて良かった。

「真ー!」

「ナミっちー!」

あたしは涼太くんに、真はナミゾウに呼ばれた。どうやら2人の話は終わったようだ。

「…お互いバカな友達を持つと大変ね」

「アレは友達じゃねぇよバァカ」

「ああ、旦那だっけ?」

「アホか」

真にチョップを打ち込まれた。
あたしとノジコは昔から2人のことを夫婦と呼んでからかっていた。まあナミゾウはまんざらでもなさそうだったけど。

「真、これとこれならどっちが俺に似合う?」

「知るか」

「まあ結局なんでも似合っちゃうんだけどな」

「聞けよ人の話」

ナミゾウが自分にシャツを押し当てながら真に聞く。あたしは涼太くんとタオルコーナーへと向かった。

「タオル渡したい友達って花宮真?」

「ええ、そうだけど…なんで分かったの?」

「ナミゾウくんにいろいろ聞いたっス」

「ふーん。…あ、これなんてどう?」

「いいじゃないんスか?きっと花宮真も喜ぶっスよ!」

そう言われるとその気になってしまう。あたしは手に取った黒と白のストライプ柄のタオルを手に、レジへ向かった。

「ナミゾウ、真ー」

「おー、ナミ。買い物は終わったのか?」

「ええ。それより、まだ迷ってんの?」

「今真にどちらにしようかなで決めてもらってる」

「子供か!!」

「よし。ナミゾウ、右だ」

「分かった」

「アンタも本気でやるんスね!!?」

「ありがとなぁ、マコっちゃん」

「誰がマコっちゃんだ!」

ハァ…とあたしと涼太くんの溜息が重なった。この頭が良いのにバカな奴らは何故こんなにも多いのだろう。例えばウチの緑頭真太郎とか

ーーーー

とりあえず、買ったタオルを真に渡した。そのままナミゾウは雑誌の撮影があるから、と真とどこかに行った。あたしは涼太くんと帰る。

「そういえば涼太くん、ナミゾウが憧れって言ってたわよね?」

「うん。それがどうかしたっスか?」

「あいつのどこに憧れてんの?」

あいつは、シスコンだし、真がいないとちゃんとやっていけないし、頭はあたしよりいいのに行動がバカだし…憧れる要素なんてないのに

「そうっスね〜…俺が初めてナミゾウくんのことを見たのが、たしかドラマの番宣として出てたインタビュー番組なんスよね」

涼太くんはキラキラした笑顔で話し始めた。

「最初は暇つぶし程度に見てたんだけどさ、だんだん夢中になってたんスよねぇ…歳もほぼ一緒なのに、俺もこんな男になりたいって思ったんスよ!」

あたしの兄は、こんなに人をキラキラした顔にできるのだと今初めて、身近に感じた。

「特に、俺は逃げ出したから大切な姉と妹をおいてきた。だから、今度は向き合うんだって言葉が好きっスね!」

「……え?」

「ナミゾウくん、ノジコさんとナミっちのことめっちゃ心配してたんスよ!!」

あ、やばい…目が熱い。鼻が痛い。

「ナミゾウくんの昔は知らないけど、今を見たら分かるっスよ。ナミっちとお姉さんをどれだけ大切にしてるかって。」

あたしは、母さんが死んでナミゾウが出て行った時、ナミゾウを恨んだ。

なんであたしとノジコをおいていくんだって。もう兄ちゃんはあたしたちのことが嫌いなんだって。

でも、離れていてもアイツはあたしたちのことを考えてくれていたんだ。

「……ッ、…」

「ナミっち?」

涙がとまらない。悲しくもないのに、涙がずっと溢れてしまう。

「涼太くん…ナミゾウのこと、これからも好きでいてね…っ」

「当たり前っスよ!!」

今日、家に帰ったら少し、ほんの少しだけナミゾウに甘えよう

ーーーー

「ナミゾウ。今度、真誘ってごはん食べたい」

「お、いいなそれ。俺の奢りで行くかあ」

「そ、それと…もう少し一緒にいる時間が欲しい…!」

「…おう!」

37:ピン子◆/Q:2019/02/08(金) 23:33 ID:oYw

今日は卒業式。結局、テツが部活に戻ることはなかったけど、高校でテツのバスケを探すみたいだ。

「ナミっちは結局どこの高校行くんスか?」

「秘密よ。すぐに分かるわ。」

バスケ部のみんなと写真を撮って、テツとも撮って、先生と撮ろうと思ったら説教くらって…

「さつき!あたしたち離れても親友よね!?」

「当たり前よ!!ナッちゃんこそ私のこと忘れないでよね!」

「忘れないわよバカー!!」

「私もだよぉ!!」

さつきと涙のお別れもした。

「祥吾!あんた高校行ってもしっかりしなさいよ?」

「分かってるっつの!お前はオカンか!」

ーーーー

「楽しかったな〜、この3年間」

特にバスケ部のみんなといた時間は、楽しかった。

「修造さんもいたし、祥吾もいた…征ちゃん、大ちゃん、真太郎、涼太くん、あーくん、テツ、さつき、征十郎…濃かったな、中学生活」

鉄平さんにも出会って、あたしはみんなのおかげで変わった。いい方に。

最後はバラバラになっちゃったけど、いつかはみんなが笑顔でバスケしてるところを一緒に見ようねって、さつきと約束もした。

「涼太くんと真太郎とテツと大ちゃんはいつでも会えるけど、あーくんと征十郎は会える回数減るなぁ…」

でも、大丈夫。卒業式の時に見た赤司征十郎は、征ちゃんだったもん。

哀しそうな笑顔でみんなを見ていた。その笑顔は今すぐにでも消えそうなぐらい儚くて、あたしは胸がギリッと痛んだ。

いつか、貴方を呼び戻す。そう決めた。

「ナミ、卒業式おめでとう。」

「おめでとさん」

「ベルメールさんとゲンさんに報告しなきゃ!」

「それにしても、あんた髪伸びたね。切ろうか?」

ベルメールさんとゲンさんの仏壇に手を供えようと座布団に座ると、ノジコが鎖骨下まで伸びた癖が付いている髪の毛に触れてきた。

「……ううん、いい!」

「あら、なんでよ」

「願掛けよ」

3年生の2学期ぐらいから切ってない髪の毛。あたしはみんなが笑顔でバスケができる日が来るまで、まあ…願掛けってことで切らない!

「へえ…彼氏?」

「違うわよ!!」

「涼太か?赤司か?青峰か?」

「だから違うっつの!!!」

「そういえばナミ…」

「何?ノジコ」

ナミゾウに卍固めを喰らわせてると、ノジコは真面目な顔になった。

「あんた、本当にあそこ行くの?」

「…うん!あたしもう、決めたから!!」

「ま、俺とノジコの妹なら簡単にはくたばらねェよ」

ナミゾウがあたしの頭に手を乗せ、わしゃわしゃと撫でる。
ノジコはそんな光景を見てふ、と微笑み、ベルメールさんとゲンさんの仏壇に手を添えた。

「ナミも立派に成長したわ。ベルメールさん、ゲンさん。」

ーーーー

「ほら、ナミゾウも仏壇に手ェ添えといて!」

「はあ!?なんで俺がゲンのおっさんなんかに!」

「とか言ってナミゾウ、ゲンさんのこと好きなんでしょ?」

38:ピン子◆/Q:2019/02/09(土) 16:32 ID:V1.

ナミっちがどこの高校行くか知らずに、入学式の日になった。
俺の周りにはたくさんの女の子がいる。

「黄瀬くんがこの高校って知らなかった〜!」

「これからよろしくね!!」

女の子の大群で全然前に進めない。キョロキョロしてると、オレンジの髪の毛の子を見つけた

「……!」

ロングで少し癖のあるのオレンジ髪の毛は、高い位置で一つにまとめられていて、高校生とは思えぬ体型。

その子が桜を見上げると、強い風が吹いて来た。まとめられている、あのオレンジの髪の毛が揺れる。

その子はこっちを見て、微笑んだ。

それは、とてもキレイだった。

「…って、ナミっち!?」

なんととその子は、中学が一緒でどこの高校に行ったか分からないナミっちだったのだ。昔からキレイだったけど、春休みの間にまた一段とキレイになっていて全然分からなかった。

「ナミっち!待って!!」

歩き出したナミっちを、女の子たちを押し退けて追い掛ける。そして、彼女の白くて細い手首を掴んだ。

「ナミっち…」

「涼太くん、久しぶり。」

「なんで教えてくれなかったんスか!」

「いいじゃない。サプライズよサプライズ 」

「…にしても、二つ結びやめたんスね。ポニーテールも似合ってるっス!つーか雰囲気変わってて全然分からなかったっスよ!」

「イメチェンよ。…それよりも、ちょっと来なさい」

俺の手を引っ張って歩いて行くナミっち。後ろの方から、俺を探す女の子の声が聞こえる。そして、体育館裏で座り込む。

「何なの?あの女の子たちは」

「俺のファンの子たちっス」

「うっさいデルモ。…このままじゃ式の時間が延びるわ…どうにかして帰らないと!」

「今日何かあるんスか?」

「引っ越し業者がアパートに来んのよ…東京から引っ越して来たし」

「あー…」

「あー、じゃないわよ!さっさと行って、どうにかしてきて!!」

ドンッと背中を押され、女の子たちの元へ返された。それと同時にキャーーッという歓声が上がる。

「えっと…にゅ、入学式…しませんか?」

そう言うと、女の子たちはそのことを思い出したのか、一目散に体育館へ向かった。ちょっと寂しいっス!

「涼太くん、アンタも入学式するのよ」

「わかってるっスよ!」

ーーーー

無事に式が終わった。ナミっちが1人で帰って行く。その後を急いで追う。

「あら、女の子たちの相手は?」

「必死で逃げて来たっス…それにしてもナミっちと一緒の高校って…嬉しいっス!何でここを選んだんスか?」

「…本当はすごく迷ったのよ?」

ナミっちが小悪魔のような顔をすると、俺の胸はドキッと小さく鳴る。

「でも、大ちゃんにはさつきがいて、真太郎とテツもきっと大丈夫だと思うし、むっくんと征十郎はさすがに遠すぎてムリ。」

「じゃ、じゃあ俺を心配して…?」

「ま、そうなるわね。あたしがいるから、ファンの子には手出しできないわよ。」

「出さないっスよ!!」

「あたしに初めて会った時はキスしようとした癖に」

「ちょ!それ言わないで!!」

39:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 00:51 ID:CHI

休み時間、メールが来たので開いてみると秋田に行ったあーくんからだった。

敦:マネージャーのカヤちんだよー

そういうメッセージと共に添えられたツーショット写真。涼太くんよりは色素の薄い金色の髪の毛の女の子と、相変わらずまいう棒を口にしているあーくんが写っている。

かわいい2人の様子に思わずふふっ、と笑みがこぼれてしまった。

「ナミっち!今年こそバスケ部のマネージャーしないっスか!?」

しかし癒しの時間も束の間、我らが残念なイケメン黄瀬涼太に声をかけられてしまった。

ナミ:カヤっていうのね!かわいい〜

そう返信してから、黄瀬涼太に向き合う。

「あたしの癒しの時間を邪魔した罪は重いわよ」

ドスの効いた声を出す。すると涼太くんはヒッと変な声を出した。

「そういえばケータイ見てたッスね。何見てたんスか?」

「あーくんのとこのマネージャーさんよ」

そう言って、先ほど送られてきたツーショット写真を見せてやる。

「ほえ〜…かわいいッスねこの子。なんて名前なんスか?」

「カヤだって。あたし、この子と友達になりたいわ」

「じゃあマネージャーしようよ!それなら試合で会えるッスよ!」

涼太くんの案は一理ある。

「…今すぐには決められないわ。とりあえず部活見学だけは行ってみる」

そう言うと涼太くんはぶうっと頬を膨らませた。なんとも言えないおブス顔である。

「それじゃあ遅いッスよ!」

「なによ文句?」

「じゃあオレだけのマネージャーになって!」

「イヤよ。あっちへいきなさい、駄犬」

じゃあの使い方間違ってるし、意味が分からない。しっしっと追い払うと、女の子たちが大量に駆け寄ってくる。

「私が黄瀬くんだけのマネージャーになる! 」

「私よ!何でもするわ!!」

「ちょ、ナミっち〜〜!!!!」

「さよなら〜」

女の子の波に連れて行かれる涼太くんを、笑顔で手を振って見送る。これでゆっくりカヤを見れるわ。

ーーーー

「ナミっち!!ひどい目に合ったっス!」

「ちっ、もう撒いてきたか…」

5分ぐらいしたら戻って来た。くそ、こいつ最近女を撒くのうまくなったわね…

「とにかく!今すぐに決めて欲しいッス!」

「だから!待ってって言ってるでしょ!この調子なら、あんたの顔ズタズタにするわよ…?」

「いででで!痛いっス!!」

涼太くんの顔を掴み、力を込める。これはあーくん直伝の技だ。痛くないはずがない。

「今日うちにおいでよ、涼太くん」

「え?」

「ごはん食べにこない?」

「ッナミっち大好きっス〜〜!!!」

「ちょ!抱き付くなァッ!!!」

「ギャンッ」

周りの女の子の視線が痛い。あたしは急いで教室を出た。もちろん、黄瀬涼太を殴ってから。そして、授業開始のチャイムが鳴る。私は屋上でスマホを開いた。

「あ、もしもし真太郎?」

『なんだナミか…授業をサボるんじゃないのだよ』

「じゃあアンタもこんな時間に電話してくんな」

『お前、結局どこの高校に行ったのだよ』

「海常。涼太くんと同じところ」

『黄瀬に付いて行ったのか。…敵になるな』

「まあね。でも、アンタたちのこと応援してるわ。」

『フン…』

「照れんなって」

『照れてなどいないのだよ!!』

「アンタは秀徳だっけ?マネージャーいないの?」

『いるのだよ。砂国ビビという女だ。』

「へえー。後で写真ちょうだい!アンタとのツーショットで!」

『めんどくさいのだよ』

ブチッと通話を切られた。少し…いやすごくイラッと来たけど、後でちゃんとツーショットが来たから許してやろう。

40:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 01:00 ID:CHI

【ウソカヤとコザビビがちょっと入ります。たぶん他のカプも(笑)】

野原カヤ
陽泉高校バスケ部のマネージャー
お嬢様で、美術部の彼氏(ウソップ)がいる

砂国ビビ
秀徳高校バスケ部のマネージャー
砂国財閥の一人娘で、剣道部の彼氏(コーザ)がいる

41:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 01:11 ID:CHI

部活見学のため、体育館の中で練習の様子を見る。体育館の中に女の子の悲鳴が響く。
ほとんど涼太くんに向けてだろうけど 。

「はぁー…黄瀬くんカッコ良かった〜」

「ホントホント」

「黄瀬くんと話したぁい」

「そういえば黄瀬くんと同じクラスのナミっていう子、黄瀬くんと仲良いらしいよ」

「は?まじ!?何それずりー」

「黄瀬くんに色目使ってんじゃない!?」

「どんぐらいのブスか今度見てみよーよ」

「いいねそれ」

『ギャハハハハ』

あたしがトイレに行ってる間に練習が終わったのか、体育館の中にいた女の子達がゾロゾロ帰って行った。

あー、隠れてて良かった。あたしの悪口すごく言われてるし。確かにあの女たちより、可愛いし男子から人気もあるし胸もあるし性格もいいけど♡

別に気にしてなんかないわ。中学からだし。

「ナミっちー!!」

「涼太くん」

お待たせと言って手をブンブン振りながら、走ってきた。そんなに走らなくても逃げないわよ

「こ、この子が黄瀬の彼女?」

「超かわいい…」

「そうでしょ!俺の彼女まじ可愛いんスよ!」

「誰があんたの彼女よっ!!くだらない冗談言ってんじゃないわよ!!」

「ブフッ」

涼太くんをぶん殴る。すると、1人の先輩が私の肩を抱いてきた。

「これからは君のためにバスケで勝利するよ。 美しいお嬢さん。」

「あら、ありがとうございます」

「森山由孝だよ。よろしく」

「あたしはナミです。森山…さん?」

「由孝でいいよ。敬語もなし」

バスケ部の人は変人が多いと再認識したわ。そして、涼太くんの紹介でレギュラーの人と仲良くなった。これまた、全員一癖も二癖もある。

ーー

「ナミっち、どうかしたんスか?」

なんか元気ないッスよ、とあたしの顔を覗き込んでくる

「な、何でもないわ!」

悪口言われたこと気にしてるわけじゃないけど…なんだか胸に引っかかる。

「嘘」

「へ?」

「ナミっち嘘ついてるっス」

なんでこいつはこういうときだけ勘がいいのよ

「何があったか言わなくてもいいっスから、溜め込まないでよ」

ほら、と言って左手を差し出す涼太くん。これは手を繋げと…?でも、あたしはその手を握らなかった。そして、笑顔を浮かべる。

「大丈夫よ。あたしってそんなに弱くないから。」

「……」

涼太くんは不満そうな顔をしていたけど、これは本当だから。

あたしの悪口が言ったやつは、全員あたしが何らかの制裁を喰らわすわ。

「涼太くん」

「何スか?」

「あたし、海常に来て良かったかもしれない。バスケ部の人たちはみんな優しいし、面白いし」

「じゃ、じゃあ、マネージャーやってくれるんスね!!?」

「うん。あたし、マネージャーする。力になれることは少ないかもしれないけど。」

アンタのバスケをサポートしたいと思った。ここでアンタがするバスケを、1番近くで見ていたい。

「それに、カヤやビビと会ってみたいしね。あーくんと真太郎のおかげで、ケータイの番号は交換できたの」

「やっぱすごいッスね、ナミっちの行動力…」

「2人ともテツみたいに、ナミさんって呼ぶタイプだったわ」

「黒子っちねぇ…」

ーーーーー

「笠松先輩!!」

「うおっ!ナミ!いちいち抱き付くな!シバくぞ!!」

「とか言いつつ、顔真っ赤じゃない。先輩」

「うるっせぇ!!」

42:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 01:17 ID:CHI

「えっと…体育館どこだろ」

「ちょっと涼太くん」

「こっちっスかね」

「ちょっと!聞いてんの?」

「なんスか?ナミっち?」

あたしと涼太くんは今、誠凛高校にきている。誠凛高校に用事があるのはあたしじゃなく、この駄犬。あたしは無理矢理連れて来られた

「なんスか?じゃないわよ!なんであたしを連れて来たのよ!…ちょっと、呑気にファンに手振ってないであたしの質問に答えなさいよ!」

繋がれている手を振り払おうとしたが、意外に強い力で握られていて解けない。 ムカついたので足でふくらはぎを思いっきり蹴ってやる。

「ちょ、スポーツ選手の足!」

「なによ?だったら顔面にグーパンチプレゼントするわよ」

「モデルの顏!そんなこと言わないでナミっち〜!…じゃなくて、誠凛高校って聞き覚えないっスか?」

……そうだ、テツと鉄平さんの高校!!

そうと分かれば鉄平さんは無理だけど、テツに早く会いたい。涼太くん早く、と言って手を引っ張る。

「あ、ちょ、たぶんそっち体育館じゃないっスよ」

そう言うと涼ちゃんは私の手を引いて歩き出す。

ーーーー

「ねぇ涼太さん涼太さん」

「ちょ、涼太さんとか、なんか照れるっスね」

「うっさい駄犬。そうじゃなくて…」

体育館に入ったはいいものの、涼太くんのファンに囲まれてサイン会が始まってしまった。

涼太くんの隣りにいたあたしも囲まれてしまって身動きが取れない。すぐそこにテツがいるのに近寄れない。

「何!?なんでこんなにギャラリーができてんのよ」

バスケ部のマネージャーさんだと思われる人物が声を上げた。うちの駄犬が迷惑掛けてめんぼくない…

「あーもー…こんなつもりじゃなかったんだけど…」

隣りに座りながらサインを書いている涼太くんがボソッと呟いた

「あいつは…黄瀬涼太!」

誰かが発した声に涼太くんと二人でそちらを見た

「…お久しぶりです」

テツと目が合って挨拶された

「ひさしぶ「テツ!!久しぶり!」

「ちょ、俺の声遮らないでよナミっち!」

文句を言っている涼太くんを華麗に無視して、テツに手を振る

「すいません。マジであの…え〜と…てゆーか5分待ってもらっていいスか?」

「早くしなさいよ」

あんたが早くしないとあたしも動けないでしょーが

サインを書き終えて、よっと体育館のステージから涼太くんが降りる。そしてあたしに手を差し伸べてきたので素直に握り、あたしもステージから降りた

「いやー、次の試合の相手誠凛って聞いて、黒子っちに挨拶に来たんスよ…ね、ナミっち」

「無理矢理連れて来られたのよ!テツ!」

そう言って抱き着くと頭をよしよし撫でられた。そして、ナミさんは黄瀬くんと同じ高校に行ったんですね、と言われた

「オレたち中学の時、一番仲良かったしね!」

テツから離れて2人の会話を聞く

「フツーでしたけど」

「ヒドッ!」

ナミっち〜、と泣き付かれたけど無視を決め込む

「というか、そこのナミちゃんっていう子は海常のマネージャーさん?」

「マネージャーであり、俺の彼女ッス!」

「朱崎ナミです。テツがお世話になってます」

「僕の中学時代の同級生です」

あたしもテツも、ふざけたことを言っている涼太くんを無視したら、また泣き付かれた。

「ふーん…」

女の人は私に近付くと、ガシッとあたしの胸を掴んだ

「ぁ、」

咄嗟に変な声が出てしまった

「くそ、デカイ…IかHってところか…」

な、なんなの?あの人…!っていうか、顔真っ赤にするな男共!

するといきなりシュッと音がしてバスケットボールがあたしと涼太くんの方に飛んできた

「っと!?」

涼太くんはあたしを抱き締めてボールを片手で防いだ。バチィと音がする。

「った〜。ちょ…何?ナミっちに当たったらどうするんスか?」

「せっかくの再開中ワリーな。けど、ちょっと相手してくれよイケメン君」

『火神!?』

どうやらさっきのボールは彼が投げたみたいだった

「血気盛んね〜」

涼太くんは文句言いながら、やる気になってブレザーとネクタイを脱いであたしに渡してきた

「これお願いナミっち」

「……」

あたしは無言でそれをテツに渡そうとしたけど押し返されたので、仕方なく持っててやることにした。

43:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 08:26 ID:Ouc

涼太くんと火神くんの勝負はあっさり涼太くんが勝った。

「ん〜…これは…ちょっとな〜。こんなんじゃやっぱ…挨拶だけじゃ帰れないっスわ。
…やっぱ黒子っちください」

何言ってんのコイツ、と思いながら退屈過ぎて欠伸がでた。

「海常おいでよ。また一緒にバスケやろう」

涼太くんの言葉に体育館が静まる。

「とても光栄です。丁重にお断りさせて頂きます」

「文脈おかしくねえ!?」

2人のやり取りに思わずふっと笑みが溢れてしまう。それから2人の会話を聞き流しながら、今日の晩ごはんのことを考える。

「冗談苦手なのは変わってません。本気です」

ハッと我に返ったとき、なんだか険悪なムードになりそうだったので急いで2人のもとに駆け寄る。

「涼太くん!そろそろ帰るわよ。誠凛の皆さんコイツが迷惑掛けてごめんなさい!」

そう言って片手に涼太くんのブレザーとネクタイを持ったまま、もう片方の手で涼太くんの腕を掴んで連行する。

「あ、テツ!また今度会いましょう」

そう言って微笑めばテツがはい、と言って微笑み返してくれた。

ーーーー

「ねぇねぇナミっちー」

「なによ」

涼太くんがブレザーを着てネクタイを結びながら声を掛けてきた。

「さっきの黒子っちの言葉聞いたっスか?」

「え、いや全く」

「えー…。オレたちキセキの世代を倒すらしいっス。無謀なこと言うねー、黒子っち」

「そんな余裕かましてたら負けるわよ。寧ろアンタたちのその余裕な態度がムカつくから倒して欲しいわ」

そう言うとまた涼太くんが泣き付いてきたのでうんざりした。

「なんならアンタ、帰り道にケガして試合出れなくなってあの試合した子に笑われたらいいのよ!」

「ちょっ、ナミっち海常のマネージャーッスよね!?」

「そうよ?でもアンタはムカつくからムリ」

「ムリってなんスか!?」

たわいない会話をしながら、駅のホームへ入る。すると、誰かが前から走ってきて肩がぶつかった。

「待って高尾さん!…わっ」

「った、」

「ご、ごめんなさい!ケガはないかしら?」

「大丈夫よ。アンタも大丈夫?」

「ええ、大丈夫」

長くて、大ちゃんより色素の薄い青色の髪の毛を揺らす彼女は、どこかで見覚えがあった。

「ナミっちー!行くッスよー」

「あ、うん!待ってー!」

「……ナミさん?」

「…アンタはビビ?」

そう、真太郎のとこのマネージャーのビビだ。メールや電話でしか話してなかったので、分からなかった。

「ナミさんなのね!緑間さんから話は聞いてたし、メールや電話も何度かしてるから会いたかったわ!」

「あたしもよ。会えて嬉しいわ、ビビ!」

このままどこか話せるとこに行きたいところだが、お互い今は時間がない。

「また会いましょう。今度はカヤも」

「ええ!じゃあまた」

そう言ってあたしたちはお互い、逆の方向へ進んだ。

44:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 13:29 ID:7bg

練習試合当日。あたしと涼太くんで、誠凛さんたちを迎えに行く。

「火神くん。僕の友達で、海常のマネージャーであるナミさんです」

「おう。よろしくな、ナミ!俺は火神大我だ」

「よろしく!火神ちゃん」

「ちゃん!?」

誠凛さんは体育館に入って驚いた。当たり前か。練習試合にコートを半面しか使わないのだから。これは本当にウチを倒して欲しい。監督イラつくし。あと黄瀬涼太も。

そして、試合が始まった。

ーーーー

笠松先輩のボールを一瞬で奪うテツ。さすがね。ここは変わってないわ。そして、テツからのパスを受けて火神ちゃんがゴールを決めた…ってか!

『ゴールぶっ壊しやがったぁ!!?』

軽くゴールを壊した火神ちゃん。…へえ、面白いじゃない。しかもなんか大ちゃんに似てるし

呆然としてる監督をよそにコート全面を使うことになった。

そして、我らがキセキの世代の黄瀬涼太が試合に参加する。どうなるのかしら…
あら、誠凛のカントクさんは気付いたようね。黄瀬涼太のすごさを

女の子に手を振る涼太くんを、笠松先輩がシバく。もっとやってもいい。

次は涼太くんがゴールを決める。
さっきの火神ちゃんを模倣(コピー)して。

始まってまだ3分なのに、ハイペース。これはノーガードで戦ってるようなものだ。

でも、

火神ちゃんがムキになって挑めば挑む程、涼太くんはそれ以上の力で返してくる。今のままじゃ、火神ちゃんは追いすがるのが精一杯…!!

カントクさんも同じことを思ったのか、誠凛がT.Oを取った。

ウチの監督があまり点差が付いてないことに怒鳴る。あたしは選手たちに飲み物とタオルを渡す。

すると、涼太くんが不敵に微笑んだ。

「彼には弱点がある。」

海常高校に入ってから、涼太くんは成長した。でも、それはテツも同じ。

どっちの方が成長したのか、それともまだ実力が分かってない彼の方が強いのか。

さて、どうなるのかしら。

45:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 16:27 ID:7bg

「黄瀬についてんのって…すげーパスしてたやつだろ?」

「え、うそ。見てねー」

「ってゆーか…」

『相手に…なるわけねえーーーッ!!!』

初めて見た…!テツと涼太くんがこんな風に向き合ってるところなんて!

涼太くんはドリブルでテツを抜く。すると前に火神ちゃんが現れた。そして、テツが背後からボールを取る。

「止めるんじゃない…!“獲る”んだ…!!」

そして、一気にゴールを決める。笠松先輩たちも厄介そうな顔をしている。次は3Pを打とうとした涼太くんを、火神ちゃんが抑え込む。

なるほど。つまり平面はテツが、高さでは火神ちゃんがカバーするってことね…!

すると、涼太くんが誤ってテツを殴ってしまった。テツの頭からは、血が流れる。

「テツ!!」

急いでテツの元に駆け寄る。監督が怒鳴っているが、友達がケガしたのだ。そんなことに構っていられない。

「カントクさん!早く手当てを!!」

「ナミさん、大丈夫です。まだまだ試合はこれから…でしょう…」

「黒子ォーーー!!!」

「倒れながら何言ってんのよ!!」

パタリ、と弱々しい音を立てながらテツが倒れてしまった。

「…どうする」

「黒子くんはもう出せないわ。残りのメンバーでやれることやるしかないでしょ!」

あたしは誠凛さんの作戦会議を黙って聞いとく。だってテツが心配だもの。
あたしはマネージャーだけど、彼女とは違って別に彼らに口出しできるほど特殊な能力は持っていない。

「早いけど“勝負所”よ、日向くん!」

3P決めてた人って、日向さんって名前なのね。っていうか、“勝負所”ってなんなの?

「黄瀬くんに返されるから、火神くんOF禁止!DFに専念して。全神経注いで黄瀬くんの得点を少しでも抑えて!!」

「そんな…それで大丈夫なんで…すか?」

確かに。テツがいないのに火神ちゃんをDFにまわしていいの?

「大丈夫だって。ちっとは信じろ!」

「でも…」

「大丈夫だっつってんだろダァホ。たまには先輩の言うこと聞けや殺◯すぞ!」

笑顔でそう言うメガネの人に、赤髪のあのお方を思い出させられる。っていうかなに?怖いんだけど…

「ったく、今時の1年はどいつもこいつも…もっと敬え!センパイを!そしてひれ伏せ!!」

「スイッチ入って本音漏れてるよ、主将」

え、あの人主将なの!?うそ、こわっ!
日向くんの変わりように、火神ちゃんがすごく驚いていると彼にイケメンな人が近付く。

「あー、気にすんな。クラッチタイムはあーなんの」

「……?」

それでも分かってないみたいな火神ちゃん。うん、あたしもよ。

「とりあえず、本音漏れてる間はシュートそう落とさないから。OFは任せて、お前はDF死にものぐるいでいけ」

か、かっこいい…!やばい、不意にもキュンとした!誰だろう、あの人…

「…カントクさん、あの人たちって?」

「あいつらは…って何で膝枕してんの!?」

「いい機会だったんで、頼んだらしてもらえました」

「はあ…
あいにくウチは一人残らず…諦め悪いのよ」

そう言うカントクさんの顔は、すごくかっこよかった。何?誠凛ってかっこいい人多くない?

「優しい時は並の人!スイッチ入るとすごい!でも怖い!!二重人格クラッチシューター日向順平!!」

に、二重人格…?ああ、赤髪のお方が脳裏に…

「沈着冷静慌てません!クールな司令塔!かと思いきやまさかのダジャレ好き!伊月俊!!」

し、司令塔…?赤髪のお方がはっきりと脳裏に…!っていうかこの人、伊月さんって名前なのね。俊くんって呼ぼう…

「仕事キッチリ縁の下の力持ち!でも声誰も聞いたことない!!水戸部凛之助!!」

誰も声を聞いたことがないって…相当な無口じゃない!!会話とかどーしてんの?!

「なんでもできるけど、なんにもできない!Mr.器用貧乏!小金井慎二!!」

最後の人、扱いひどくない?まー、かわいいからコガって呼ぼう。

これが誠凛ね。鉄平さんの言う通り、おもしろい!

46:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 16:37 ID:7bg

「…ナミさん、約束します。」

「え?」

「僕はキセキの世代に勝ちます。そしたらまた、バスケしましょう。
みんなと、一緒に。」

テツはあたしの手を握りながら言った。

「テツ…」

そして、コートに立った。

あたしは敵であるベンチに戻った。

ここがあたしの、今のあたしのいるべき場所だ。

ーーーー

笠松先輩が慣れたのにもう戻ってやがる、という顔をしている。。テツは20分試合に出てないのだ。見えなくなっていて当たり前だろう。

そしてついに、同点まで並んだ。

涼太くんのフインキも変わる。そして、一気にシュートを決めた。ここからは、ランガン勝負だ。

(残り15秒で同点…!どうすんのよ!)

残り7秒のになったとき、笠松先輩のシュートを火神ちゃんが抑えてボールを取る。
そして、テツにパスをまわす。

テツはシュートなんてできないはずだ。

「っ、パスミス…?」

違った。
テツは火神ちゃんにボールを回し、火神ちゃんがボールを取った。シュートだ。
でも、涼太くんが防ごうと飛ぶ。

だけど、飛んでる時間は火神ちゃんの方が長かった。

「これで終わりだからな!!!」

試合終了と同時に火神ちゃんが決めた。

点数は100対98…ってことは

『うおおおお!誠凛が!?勝ったぁぁ!!!』

テツが、火神ちゃんが、誠凛が勝ったんだ!!

監督がチッと大きく舌打ちをした。あたしは静かに持っていたボードに、100対98で誠凛の勝利、と書いた。

涼太くんの方を見ると、初めて感じる敗北に彼は涙を流していた。

「え、黄瀬泣いてね?」

「いや、悔しいのは分かっけど…」

「たかが練習試合だろ」

あたしは敢えて涼太くんを励まさない。だって、今励ますのはあたしの役目じゃないから。

つーかうっさいのよ。アンタたち試合出てないじゃない。涼太くんの気持ちも分からない癖に。
まあでも、あの人たちは分かるわよね 。

「っのボケ!メソメソしてんじゃねーよ!!」

「いでっ!」

「つーか今まで負けたことねーって方がナメてんだよ!!シバくぞ!!!」

笠松先輩が涼太くんの背中を蹴る。

「そのスッカスカの辞書に、ちゃんと“リベンジ”って単語追加しとけ!!」

「整列!!
100対98で誠凛高校の勝ち!!」

『ありがとうございました!!!』

ーーーー

「次はIHね!がんばりなさいよ!」

「アンタ、ウチのこと応援してもいいのか?」

「さっき黒子のこと膝枕して、海常の監督に怒鳴られてたしな」

「いいのよ。海常のマネージャーでも、友達の方が大事だから。ね、日向さん、俊くん」

「「俊くん!?」

何でお前だけ下の名前呼び!?と日向さんが俊くんに突っかかる。あたしはカントクさんに頭を下げた。

「お疲れ様でした、カントクさん」

「待ってナミちゃん!私は相田リコ。よろしくね!」

「っ、ハイ!」

あたしに新しい友達がたくさん増えた。

「テツ、火神ちゃん。
涼太くんに勝ってくれてありがとう。」

それだけ言ってあたしは、涼太くんを探しに行った。

47:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 17:00 ID:7bg

涼太くんを探しに中庭に行くと、水道のところで黄色頭がしゃがみ込んでいるのを見つけた。

あたしはその黄色頭に駆け寄る。

「涼太くん」

声を掛けると俯いてた涼太くんが顔を上げる。

「ナミっち…」

目が赤くなってて、さっきまで泣いてたことが分かる。

でもアンタは、弱ってるところを人に触れられたくない男だから、触れないであげるわ。

しゃがみ込んでいる涼太くんの頭を少しかがんで、優しく撫でる。
すると涼太くんがガバッと立ち上がり、あたしもつられて背筋を伸ばす。

そして、あたしの胸に顔を埋めた。

普段は女の子の目を気にしてぶん殴るけど、今日は何も言わず、されるがままにしておく。

「もうちょっと、このままでいさせて…」

「うん」

涼太くんがあたしの胸の中で弱々しく呟いた。

ーーー

「オレ、かっこ悪ィっスよね…余裕こいて、本気出して負けたんスもん…」

「あたしは、本気を出して負けたことはかっこ悪いとは思わないけど。」

弱々しく喋る涼太くんの背中をぽんぽんと叩く。

「大丈夫。本気のアンタ、かっこ良かったわ。次はIHでしょ?誠凛さんにも言ったけど、がんばりなさい」

「ナミっち…」

「それに…あたしは今の涼太くん、好きよ。」

本気で、勝つために、お遊びなしで頑張るあんたは、すごくかっこ良かった。

「だから、いつまでも下を向かない!あたしの知ってる黄瀬涼太は…「ナミっち〜〜!!」

「…は?」

涼太くんがあたしを抱き締める。
っていうかさっきのシリアスは!?

「今のは愛の告白ッスね!?」

「アホかァ!!あたしが言ってんのは試合中の涼太くんが好きってこと!!一言も通常時の涼太くんが好きとか言ってないでしょ!!!」

涼太くんを引っぺがして、殴る。再起不能にしてやろうか。

「だいたいねぇ、あんたと付き合うくらいなら、どこぞの御曹司とでも結婚してるわよ!」

「ひどいっ!オレだって結構稼いでるっスよ?モデルで」

「うっさい!!」

もう2発げんこつをお見舞いする。でも、いつもの調子が戻って良かったわ。

「…そろそろイチャつくのもやめるのだよ」

「え…」

嘘でしょ、この声と喋り方は…

「しん、たろー…?」

「久しぶりなのだよ、ナミ。それより黄瀬、何ださっきの試合は「真太郎!!うそ、本物!?何で神奈川にいるの!!?」

真太郎に抱き付いて、頬をペチペチ叩く。ナミっちーと泣いてる駄犬は無視だ。

48:ピン子◆/Q:2019/02/10(日) 20:37 ID:7bg

「触るな!…黄瀬、さっきの試合は何だ?まあ…どちらが勝っても不快な試合だったが」

メガネをカチャッと上げる仕草は相変わらず癖のようだ。あたしの手を払って涼太くんの方を見る真太郎。

「サルでもできるダンクの応酬。運命に選ばれるはずもない」

「帝光以来っスね。つか別にダンクでも何でもいーじゃないスか。入れば」

ぶーっと頬を膨らます涼太くんの頬をぶすっと潰す。ついでにいつもの仕返しとして、指をグリグリする。

「だからお前はダメなのだよ。近くからは入れて当然。シュートはより遠くから決めてこそ、価値があるのだ」

真太郎の手には、相変わらずのテーピング。

「俺は人事を尽くしている。そして、おは朝占いのラッキーアイテムは必ず身につけている。だから俺のシュートは落ちん!!!」

「毎回思うんスけど…最後の意味が分かんないッス」

これがキセキの世代No. 1シューターであり、キセキの世代No.1変わり者である。

「真太郎、ビビは?」

「アイツなら、もう少しで来るのだよ」

「あ、真ちゃんいたいたー」

「緑間さん!」

真太郎を迎えに来たのか、1人の男子とビビが駆け寄って来た。秀徳のジャージを制服の上から着ているビビはとても可愛い。

「え、アンタ真ちゃんって呼ばれてんの?ぷぷっ、かわいいじゃない」

「うるさいのだよ。」

「しかも友達できたの?これは大ちゃんに報告ね!」

「うるさいのだよ!アイツらは下僕だ」

「照れなさんな」

「うるさいのだよ!!」

ーーーー

「じゃあビビちゃん、俺は先行ってるから真ちゃん連れて来てね」

「分かったわ、高尾さん」

先輩に呼ばれた高尾という男の子を見送る。ここにはあたしと涼太くん、そしてビビと真太郎が残った。

「ビビ、黄瀬涼太よ。涼太くん、この子は砂国ビビ」

「よろしく、ビビっち!」

「ええ。よろしく、黄瀬さん」

ビビと涼太くんが挨拶をする。

「ビビっちは彼氏とかいるんスか?」

「うん。剣道部なんだけどね、幼馴染が恋人よ」

「涼太くん、ビビを狙おうったってそうはいかないわよ!

「そんなこと思ってねーっスよ!」

49:ピン子◆/Q:2019/02/11(月) 00:56 ID:7bg

真太郎とビビと別れて、涼太くんと2人で並んで帰っているとステーキボンバーという店からテツが出てきた。

「テツ!」

「あ、ナミさん。…と黄瀬くん」

「…黒子っち。ちょっと…話さねぇスか」

「……?」

テツに会えたことに嬉かったけど、今のあたしはそれよりも違うことに興味がいった。

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これ、たべれる人いんの?すっごく気になる…それにお腹も空いたし

「ここじゃあれなんで場所移動しよ。行くッスよ、ナミっち。…あれ?」

「ナミさんならワクワクしながら、そこの店に入って行きましたけど」

「はぁ…ナミっち〜…」

ーーーー

ステーキボンバーに入ると誠凛さんが勢揃いだった。
邪魔にならないように端のほうに座って取り敢えず普通サイズのステーキを注文する。

店の人は誠凛さんの方を見て涙を流していた。あたしも見てみると、火神ちゃんがぱくぱくとボリュームステーキを完食していた。

(り、リスみたいに食うとる…)

財布を見ると、お金が少し足りなかった。…仕方ない。お店の人を読んで、潤んだ目で少しシャツのボタンを開けて話す。

「お金が少し足りないんですけど…」

「お、おまけします!おまけ!!」

「やだ!ありがとうございます!!」

ガバッとお店の人に抱き付く。チョロいもんよ、男なんて

店の人にヒラヒラと手を振って外にでると誠凛さん達が慌てていた。

「どうしたの?リコさん」

「あら、ナミちゃん!黒子くん見てない?」

「あー、なんかさっき黄瀬涼太と話をするって…」

最後まで言い終わるうちに、何だってー!?と叫んで誠凛の人達はテツを捜しにいった。

あたしは呑気に涼太くんどこに行ったんだろ、と思いながらスマホを開くと、ストバスが出来る公園に黒子っちといるから、というメールがきていた。

そちらに向かおうとしたら火神ちゃんを見つけた。

「火神ちゃん、テツの居場所分かったわよ」

「案内してくれ」

ストバスの公園につくと涼太くんとテツが深刻そうな話をしていた。だから火神ちゃんと2人でこっそり話を聞いていた。

といっても、あたしには何のことだかさっぱり分からなかったので、早々飽きていた

ボーっとしているといつの間にか隣りに居たはずの火神ちゃんがいなかった。
あれ?と思い涼太くんたちほうを見ると、涼太くんと火神ちゃんが居た。

「テツもいない…」

キョロキョロと辺りを見るとストバスのコートでテツが不良相手に喧嘩売っていた。あたしは思わず駆け出す。

「はあ?いきなりなんだてめぇ」

不良がテツの胸倉を掴んだとこでようやく辿り着いた。

「ちょっと!そいつを離しなさいよ!」

「ナミさん?」

「あ?んだこの女…お、可愛い顔してんじゃねぇか」

そう言って不良どもの手が顔に触れたのでパシッと振り払う。

「触んないで」

「気の強ぇ女も嫌いじゃねえぜ」

不良どもが近づいてきたと思ったら、あたしと不良どもの間にテツが割って入った。

「ナミさんに近づかないでください」

「あ?なんだこら…そうだ、バスケで勝負してやる。負けたらこの女は貰うぞ」

は?何言ってんのよ。見るからに貧乏そうな癖に、と言ってやろうと思ったらなんだかテツがやる気になっていて言い出せなかった。

「あのー…俺らも混ざっていいっスか?」

背後から声がしたので振り返ると涼太くん火神ちゃんがいた。

「ったく、何やってんだテメーら。まぁいい、5対3でいーぜ。かかってこいよ」

火神ちゃんが啖呵を切ると相手の不良どもは怯えていた。

涼太くんにブレザーとネクタイを渡され、またかと思いながら受け取る。
するとテツと火神ちゃんがこれもお願いとジャージを渡してきたので、涼太くんのブレザーを地面に落として2人のジャージを受け取った。

「ナミっちヒドイ!」

と抗議を受けたので仕方なく拾ってやる。そしてブレザーを羽織った。

50:ピン子◆/Q:2019/02/12(火) 01:08 ID:dS2

勝負は瞬殺だった。

もちろんテツたちの勝ち。

「お前は!何を考えてたんだ!!
あのまま喧嘩とかになってたら勝てるつもりだったのかよ!?」

「いや100パーボコボコにされてました」

テツが力こぶを見せるも、全くない。あたしのと同じぐらいなんじゃないだろうか。

あたしは羽織っていたブレザーを脱いで、ネクタイと一緒に涼太くんに渡しに行った。

「ナミっちも、自分が女の子ってこと自覚して欲しいっス。まじでオレ、心臓止まるかと思ったんスから」

「でも「でもじゃない。いくら強くても男が本気出したらナミっちだって勝てないかもしれないんスから」

涼太くんにそう言われて、むぅ…とむくれる。

「黄瀬くんの言う通りですよ、ナミさん」

テツにまで言われて眉根を下げる。そしたら火神ちゃんに頭をガシガシ撫でられた。

「あんま無茶すんなよ」

「火神ちゃんーーー!!」

「うおっ!!」

抱き付くと、不器用ながらも受け止めてくれた

ーーーー

「じゃ、オレたちはそろそろ行くっスわ…最後に黒子っちと一緒にプレーもできたしね!」

そう言って綺麗な顔で笑った涼太くんに無意識に見惚れてて、柄にもなく心臓がドキドキした

すぐに我に返ってテツと火神ちゃんにジャージを渡した。

「あと火神っちにもリベンジ忘れてねぇっスよ!」

「火神っち!?」

「良かったわね。認められた証拠よ」

「良くねぇよ!」

「じゃあね。テツ、火神ちゃん」

「はい」

「おう、またな」

そして、あたしは待っててくれた涼太くんの隣りに並ぶ。

「そういえばナミっち、なんでシャツのボタン開いてるんスか?」

「げっ!!こ、これは…熱くて…」

「また男誘惑して、おまけしてもらったんスね!?危ないからやめてって言ってたじゃないっスか!!」

「ご、ごめんごめん!…きゃっ」

走り出そうとすると、こけそうになって涼太くんが腕を咄嗟に掴んでくれた。

そのまま涼太くんの手はあたしの手をがっしり繋いだけど、今日はこのままにしておこう。

「涼太くん…元気出しなさいよね」

やっぱ。負けた後だからか、どこと無く元気がなかった涼太くん。なんだかこっちが調子狂う。

「もう、だいぶ元気出たっスよ」

涼太くんの言葉に、自然と笑みが浮かぶ。

「…ありがとう、ナミっち。ナミっちが居てくれたから元気出たっス。…出来れば、これからもずっと側にいて欲しいかなー、なーんて…」

「え、ごめん涼太くん。ぜんっぜん聞いてなかったわ。なに?」

「そんな!!俺結構大事なこと言ったッスよ!?」

「ボーッとしてたわ。ごめん!」

「悪魔か!」


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