小説 http://ha10.net/novel/ この戦いは、誰のために?(74) http://ha10.net/test/read.cgi/novel/1521371471/74
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 途中の馬車駅を経由して、私たちはようやく西ムーシの町に到着した。
 到着してすぐに、傭兵団の面々は既に西ムーシの町に居る5人と合流すべく移動し、ブルレッド君は剣の回収の件があるため出来るだけ早く『魔王領』に戻りたいとのことで、今日中にプランツ王国の王都プランツシティまで行くとのことである。
 そして私は、西ムーシ商会の本店へとまずは向かった。


「カルロさん! ありがとうございます。おかげさまでロベステン鉱山を競落できました。本当に良かったですよ」

 当主はとても喜んでいるようだ。
 今後の財産的利益への期待に喜んでいるのか……或いは魔力を有する鉱石を某組織(当主自身が某組織の前身たる組織に所属していた)に供給することで、天使共に対して優位な立場になれるかもしれないという期待からからか、実はその両方から来る喜びなのか、それは私には判らない。
 だが、少なくとも私は『天使共に対して優位な立場になれるかもしれない』という期待はある。

「今回は色々と運が良かっただけだと思うがな。当日になってグランシス商会が競売参加をキャンセルしたわけだし……まあ、他の商会も競売に参加してギリギリで競落できた点、資金を集めつことができたのは良かったが」

 今回の競売は、アリムーシ商会の私的な競売で、競落した者(商会)は直ちに現金を支払わなければならないという決まりであったので、資金を集めておいたのは正解だった。要は手形を振り出すなり、又は他の商会が振り出した手形を所持していたとしても、それを引渡すことによる決済は認めてられていなかったのだ。

「グランシス商会のキャンセルの話は……カルロさんが何とかしたからですよね? 判っているのですよ? 私は貴方のことを、あの戦争前から知っているのですから」

「何とかってなんだよ……」

 この感じだと、どうやら当主は、初めらから私の商人としての能力など期待していなかったようだ(実際皆無だが)。恐らく、私が人には言えないような行為をすることを見込んで、私を副当主という役職に就けさせてロベステン鉱山の競売に係る権限を与えたのだろう。

「その何とかについてだが、王都大聖堂や天使共が絡んでいたのを知ったから謀っておいた。これだけ言えば、お前なら判るだろう? 」

 
「ああ、なるほど。ブルレッドさんの協力を得たりして『何とか』したわけですね? いやあ流石です」

 おいおい、性格の悪さが見え見えだぞ、全くもう。
 まあ、人のことは言えないが。

by アーリア◆Z.:2018/06/20(水) 20:53]]>