( / この度は選んでいただきありがとうございます。これからよろしくお願いしますね!、では初回投下させていただきます )
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( 古びた城にはあまり似つかわしくないような、そこだけ時が止まったように、ピアノが悠然と佇んでいる。よいしょ、と声を漏らし蓋を開けては、楽しげに椅子に腰掛けて。いつ弾いたかわからない曲、けれど指が覚えていたそれを奏ではじめ。幽霊になっても、ペダルを踏む感覚は愛おしいし、楽器から鳴る音は美しい。小さく体を揺らし、響く音を楽しむように。そういえば、この曲のタイトルはなんだったっけ。確か有名な曲。ああそうだ、春の歌、だ。ここに誰かが来てくれたら楽しいのに、なんて、指先は鍵盤に集中したまま、ちらりと辺りを窺って。 )
>> 演奏を聴いてくださる誰かへ