匿名民のCPを勝手に作るスレPart17

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442:匿名の腐女子 hoge:2018/08/19(日) 23:39

悪魔天使(死ネタ注意)

「どこで間違ったんだろうなァ、俺たちはさ」
「初めからですよ」
タバコの煙がくゆる。
半分ほど吸ったそれを地面に投げ捨てると、悪魔はにやりと笑み、ナイフで羽根を壁に釘付けにされた天使に向かってウィンクをした。
「本気を出した俺はどうだったよ?」
天使も美しい顔に似合わぬ皮肉な笑みを浮かべてみせる。
「最低でした」
純白の羽を染めながら、溢れた血は床に溜まりを作っていく。
「でも惚れ直したろ?」
カツリと黒いヒールを鳴らす。
「惚れ直してま……せん」
気を失いそうだ。
天使は目を伏せ、長い睫毛を震わせた。
悪魔との戦いは三日三晩続いた。いつの間にか戦いの場となっていた教会は屋根が吹き飛び、顔を上げれば夜空に浮かぶ星々が煌めいている。
悪魔が勝り、天使は敗れた。
正義が悪に負けてしまった。
(稲荷様や聖書さんに顔向けできませんね)
脳裏に浮かぶ姿たちに、心の中で静かに詫びた。
ボロボロの雑巾の如くになってしまった天使と対照的に、悪魔は服が破けている以外は無事である。というのも、既に自己治癒により傷はとうに治っているのだった。
赤い髪は月光の下で炎のように燃えている。
なんて眩しい存在なのだろう。だからこそ、好きになってしまった。
愛してしまった。
自分とは正反対の存在に惹かれ、恋に堕ちた代償は悪魔の首だった。
厳しい顔で稲荷神が言った言葉は、瀕死の今になってクリアに耳元で再生される。
『罪滅ぼしをするのだ』
どうしていけなかったんだろう。
『罰を受けるが良い』
何を罰するのだろう。
わかっていたのにわからないふりをした。自分と悪魔が結ばれる運命などあってはならないと知っていた。幸せが終わる日が来ることをわかっていた。
いつものように手を繋いで仲睦まじく散歩していたのに、突然牙を剥いて襲いかかった自分を果たして悪魔はどう思ったのだろう。なぜ何も言わず即座に反撃してきたのだろう。
疑問が頭の中をぐるぐる回り、耐えきれなくなった天使は血を吐いてから、笑んでいる悪魔に問いかけた。
「悪魔さんは、わ、たしを、好いてい、ましたか」
一字一句吐くたびに命が共に流れていく気がした。
そして悪魔は少し考え込むと、ニッと笑って、そして吐き捨てた。
「んなわけねーだろ」
どうして。
どうしてーーーーー……
天使は絶望の中、事切れた。


「んなわけねーだろ」
そう吐き捨てた瞬間の天使の表情はあまりにも絶望に包まれていた。
やがて一筋の光となって消えた天使を見送り、悪魔は膝から崩れ落ちた。
大粒の涙が溢れてこぼれて、瓦礫に大きな染みを作っていく。
好きに決まってるだろ。
そう言えればよかったのに。
悪魔もまた天使のように、相容れない者を愛してしまった罪として罰せられていた。その罰は『行動が全て真逆になる』ことだった。宥めたければ傷付ける、愛したければ憎む、そんな非道な術を悪魔は冥府にかけられていた。
「嬉しいなぁ、はは」
笑いながら涙を流す。
「嬉しすぎてどうにかなっちまいそうだ」
右手で柱を殴った。
「ああ、天使、天使、天使ーーー…」
笑い声に混じった悲哀の声はいつまでも、いつまでも冷たい夜空に響き渡った。


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