アイン・ソフ・オウル 〜Riging sun curiosity〜 リメイク版

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5:キュリオス hoge:2017/04/07(金) 15:10

episode2

凛然とした夜風が寒月の光に照らされたブロンドの短髪を揺らす。
ブロンドの髪の少女————ローラ・ルミエールは眼下の街明かりを眺めていた。
龍宮市で一番高い建物、龍宮グランドホテルの屋上にあるヘリポートから見る夜景は、あぁ確かに美しい。一万ドルの夜景と言ったところか、夜景というものは電球の数とかそんなものに関係なく美しいのではないかと思えてくる。
しばらく夜景を堪能していたが、ここにきた目的を思いだしローラの方に向き直るとゆっくり歩み寄る、ローラは私に気付き、震えた声で呟く。
「カミラ……来ちゃったね、ノスフェラトゥもこの街に……」
こちらを振り向いた少女の顔は青ざめていた、ローラは考えていることが顔に出るタイプの人間だ、それが寒さではなく恐怖によるものであるとすぐに分かった。
無理もない、この街明かりの何処かに自分達を殺そうとする怪物が潜んでいるのだ、怖くて当然だろう。


「ええ、これで私を入れて5人」
すでに奴等の半数はこの街にいる、予想ではクリスマス前にまでに九頭龍の全ての頭が揃うだろう、そうなれば私達二人に勝ち目はない、即ち死ぬ、残酷だがそれは不変の事実。
私達に残された時間は多く見積もってあと10日、故に一刻も早く龍の頭を潰さなければならない、そして真っ先に倒す相手はノスフェラトゥと決めていた。
ノスフェラトゥ、戦いをこよなく愛する戦闘狂にして私達の宿敵、何度も剣を交えた戦い馴れた相手、だがそれはノスフェラトゥも同じ。


私は傍らの少女に問い掛けた。
「ねぇローラ、戦うのは怖い?」
「………」
ローラは無言のまま首を縦に振る、その姿にいつもの明るさはない、だから私はローラの恐怖に震える体を抱き締めた、優しく、優しく。
ローラそんな顔しないでよ、あなたは私にとっての太陽(ヒカリ)なんだから。


「——カミラ……」


「大丈夫、私がいるから、あなただけに辛い思いはさせない……」
耳許で囁く、するとローラも私を強く抱き締めた、ローラの温もりが伝わってくる。
何があってもこの少女を守り抜く、それが私にとっての贖罪であり使命。
明日から戦いはより激しさを増すだろう、戦って勝つために、ローラを守るために。


今、私達がやるべきことは——


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