「ねぇ、アスカ、勝虎は今どこで何してると思う?」
「どうした唐突に」
「もしあの時、勝虎がいたらアスカはこんな怪我しなくて済んだのかなって」
「さぁな、あいつが居ようと居まいとこうなる運命なのかも知れないぞ」
そう、ちょっと喧嘩の強い奴が居たところでこの運命は変えられない、あんな怪物にステゴロを挑んで勝てる人間なんていない、それはアスカ自身が一番よく理解している。
もし、あの時勝虎がいたら、きっと二人とも……
ダメだ考えるな、アスカは首は大きく振って、嫌な考えを振り払った。
「七海」
「ん、何?」
「腹減ったからテリヤキバーガーとポテトのLを買ってきてくれ、ドリンクは何でもいい」
アスカは言って、七海に視線を向ける。
七海は意地悪げな微笑を頬に浮かべて言った。
「……それだけ食欲があるなら大丈夫だね、ちょっと安心、でも今日ピザだから、テリヤキはまた今度ね」
七海は部屋を出ようとする、
「あ、ピザのサイズはLで良いよね?」
「好きにしろ……」
アスカは力なく呟いて枕に頭を乗せた。
それから1時間後、ピザ屋のバイクが家の前に止まった。
アスカの意向を汲んでかサイドメニューのポテトが注文されていた。