キャラの過去とか話を書くスレ。
誰でも使って良し。
「なぁ」
…?
「おどれも、ひとりなんか?」
……
「……そか、じゃあ」
わしとおそろいやな
少年は幸せ『だった』
厳しくとも『名君』として信仰を集めていた父
穏やかで優しく美しい母
物心がついたばかりの可愛らしい弟
生まれたばかりの妹
少年は幸福に包まれ育っていた
しかし、『幸福』とは脆く儚い物である
彼の『幸福』はある日の夜、『惨劇』により全て無慈悲にも奪われた
吸血鬼を憎む者らにとって、信仰を一身に集め団結力を高める『父』は邪魔な存在
吸血鬼を憎み、蔑む者達は先導者である『狩人』と共に少年の家族を次々と殺し始めた
幼かった彼に何が出来ただろうか?
母と妹は燃え盛る業火から逃げる事も叶わず生きたまま焼かれた
父と弟はあたかも革命が成し遂げられたかの様に、少年の目の前で首を裂かれた
皮肉にもその『惨劇』が少年に『王』の資格を目覚めさせてしまう
『王』となった『少年』が激昂し叫びを上げる
その刹那周囲を取り巻く『闇』が周囲の人間を、『狩人』を、切り刻み、握り潰し、貫き、蝕み、殺し尽くした
そして起きた更なる惨劇は『王』に『生命の実』を与えた
それは、吸血鬼に必要な『吸血』を行わずとも生きると言う恐ろしき『適応力』
その事に気付かぬ『王』は歩みを進める。二度と『惨劇』を起こさぬ為に。そして自らが築き上げた深く暗い溝を埋める為に
例え、『暗君』と蔑まれようとも…
「おじいさまおじいさま、どうしておててをつなぐんだい?ぼくはもうちゃんとひとりでもあるけるんだよ!」
「そないにいうても、おどれ、すぐどっか行ってまうやろ、はぐれて探すなんや面倒やし、てぇ繋いどった方がええ」
「むー、おじいさまをおいてどこかにいくわけないのに…しんよーくらいしておくれよぉ」
「へーへー、しとるしとる、5つの幼子は保護者に守られとったらええの」
傍から見れば、親子であるのだろう、第三者からみれば、仲のいい親戚なのだろう
とてもおもい、命の恩人どうしは、今日も『普通』どうりに笑みを浮かべている
とてもとても大事な親友、大好きな人、暴走した僕らを止めてくれる友人。
僕の世界はそれだけで完結していた。どこかで失った記憶もあると気付いていたんだ。でも怖かった。この幸せな時間が終わって仕舞うのが。失った記憶を取り戻したらもう今までのように笑えない気がしたんだ。
それくらい僕の世界は狭くて小さいものなんだ。誰かが指を指して嘲笑うくらい、
だからあの時気づかなければ良かった。
「 お久しぶりだねぇ 」
と笑う大天使を見て好奇心がまさり色んなものを見返した。
失っていた記憶は
不器用な二人の友人と
忌まわしい過去
好奇心猫をもころすとはこの事だ。忘れてればよかった。そうすればこんなに苦しまなくても後悔もすることなかったのに…
ねぇ、誰か
僕を助けてよ…