ラ・ファン

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1:シャルル=ヴァレフ:2018/12/15(土) 18:30

(もともとパルルマン第三共和国はデス第二帝国との戦争によって屈辱的な敗北に喫した。これによる領域の割譲要求や巨額の賠償金請求などで一時的に不況に陥り、共和国の人民は第二帝国へのリベンジ心や憎悪の気持ちが広まっていった。初等教育においてもその憎悪は顕在化していた。
そのために、帝国内の吸血鬼と人間との統合、共栄には理解に苦しんだ。そして憎んだ。
もともと人間は吸血鬼を受け入れていなかったために、なおさら共和国の人々は帝国で安定した暮らしを送れている吸血鬼をさらに嫉妬、憎悪し始めた。
それらの感情は、爆発してついに共和国のナショナリズムを高揚させた。
共和国の現内閣によって閣議決定された政策として、吸血鬼を滅亡(終わりに)させることを充実させることを示した。
それによって結成されたのが精鋭軍隊ラ・ファン(終わり)である。)

4:シャルル=ヴァレフ:2018/12/15(土) 18:53

もっところすのだ!吸血鬼など根絶してしまえ!!ハッハッハ!!

(共和国は未だ魔術軍隊を使っていた。産業革命後、工業化はある程度進んだものの、しかし共和国では農業が中心である。その影響も及んでいるのか、あまり自然科学分野の研究は進んでおらず、人々の間にも帝国のごとき科学的で合理的な精神は萌芽していなかった。しかし、共和国では幾度とも革命が起きている。絶対王政や立憲王政、二度の帝政に加え、三度の共和政、恐怖政治、労働者政権などさまざまな政治形態を繰り返した。そのため政治的には先進的で、なんといっても史上初の革命を成功させた近代市民社会の鏡といってもいいだろう。一度目の帝政では、その皇帝が国を主導し、大陸を支配したほどであるからその時の栄光の精神が、そのプライドが、今もなお受け継がれているのだろう。)

5:シャルル=ヴァレフ:2018/12/15(土) 19:00

ヴァン…!!
(この単純なる詠唱により、突風が巻き起こる。
そして、老婆の吸血鬼や子供の吸血鬼など、弱者性別年齢に構わずにその刃のような突風が彼らを斬りつけ、八つ裂きになるまでいたぶりつける。
怒りに燃えるシャルルや、軍は一丸となって魔術を行使する。今や彼らは憎悪の傀儡となって、吸血鬼を殲滅し続ける。)

6:紅き時の魔術師:2018/12/16(日) 00:51

吸血鬼は共和国にとっての害悪でしかない…か。迷惑をかけていたならごめんなさいね、でも決してそんなつもりは無かったのよ
これだけは分かってちょうだい。別に私達は人間を滅ぼして吸血鬼を増殖させようなんて思ってないの。寧ろお互いがお互いの生存に依存する点に注目し、共存を目指しているわ
貴方達がこれ以上吸血鬼を殺したらどうなるか。吸血鬼と人間の個体数のバランスが乱れて生態系全体に影響が出る若しくは吸血鬼の反撃にその身を滅ぼされるか…どちらかよ。

というか、後者の方が早いんじゃないかしら?帝国世論のこともあるし、いい加減辞めないとあんた自身が一匹狼になって、いつかは…。
負けを認めるのか協力するのか、残された道は2つしかないことに早く気付いてね

7:シャルル=ヴァレフ:2018/12/16(日) 11:49

何を言ってるのだ!貴様ら吸血鬼は陳腐な怪物であることは歴史が物語っているではないか。なお、近世からは、貴様らはほとんどの領土を失い、以降民族としての尊厳すらも捨て浮浪者同様、神聖なる我がパルルマン国家にも密かに流入し、我が国の人民を腐敗させた諸悪の根源にして忌むべき悪魔であることは言うまでもない…!!
このような醜悪な悪魔と結託して、我が国を愚弄する帝国はなおさら滅ぼすべしなのだ。ヴァンピール民族ならびに、デス民族は元来より、列強大陸の秩序を脅かさんとする人あらざる者の集合でしかない。
(ここは吸血鬼の集落であった。しかし共和国軍の吸血鬼殲滅政策により、もともと住んでいた彼らは全員死んだ。シャルルは殺した子供の吸血鬼の死体を片方の足で踏みにじる。そして、シャルルが旧式の小銃を構える。すると、軍は四方八方に散らばり、全員が銃を構える。)

8:名を捨てし者:2018/12/16(日) 12:18

「うわ キッショォォ」「ユラさんがせっかく忠告してやったのに、レオンといいシャルルといい…この共和国の人達は、どこまで阿呆抜かしてんだろねぇ(溜息)」「てか銃とかまだ使ってんだwダッサー。」

アイビスの者達は罵りながらも、着々と戦闘の準備を始める。黒翼を生やし宙に舞う者、右手の疼きを確認し炎を出す者等、色々である。

「待って、早まらないで。彼等は魔術も使える筈よ。みんな耳に栓をして…そのまま戦って。」

ユラの一声に、アイビスの者達は凍りつく。耳に栓をした状態で使える詠唱術は数少ない。無詠唱術を身につけている者が少ない彼等にとってこの状況は、為すすべのない、最悪の状況であった。

9:名を捨てし者:2018/12/16(日) 12:20

その時だった。爆音と共に今までシャルル達のいた地面が裂け、そこには大きな神の槍が刺さっている。
「待たせたな。」

風に靡く銀髪に紅いマント、暗闇から姿を現した吸血鬼はルージュだった。

10:シャルル=ヴァレフ:2018/12/17(月) 12:08

なんだ、貴様は…!またしても帝国の犬か?
誰であろうといいだろう、そこまでして死にたいのならば、貴様ら野蛮人どもに目にもの見せてくれよう!

革命より始まる我ら市民の魂を捧げよ。神聖なるパルルマン国家を侵さんと欲する不逞を働らく眼前に広がりし悪魔に裁きを。しからば心身ともに撃滅せんとして、我らの正義に光あれ。祖国に栄光あらんことを。


(おびただしい数に相当する共和国軍は、詠唱の阻害を防ぐよう小銃を適当に射ち放ちながら、魔術詠唱を唱えていく。詠が進むにともない、各小銃が銀色に輝く。それは強大な魔力が、目に見える形で溢れ出しているからである。

パルルマン共和国は近世以降のヴルーン王朝時代から、魔術研究においては随一の国として魔術学界のトップに君臨していた。ゆえに、科学を第一とする帝国とはまさに真逆の思考を持ち合わせ、魔術とは元来より神の天啓から賜るものであると強く信じられていた。そのため共和国は帝国のような効率主義、合理主義よりも、神のお導きなぞという情熱的な宗教観念が国民性の一つとして挙げられる。
しかし、絶対王政時代のフィリップ16世の処刑を成功させたパルルマン市民革命以来は、神ではなく祖国の精神こそが絶対の神として崇め奉られるようになった。
そこから、パルルマン国民は狂信的な愛国主義者として異常なまでに自国に執着するのであった。)

11:シャルル=ヴァレフ:2018/12/17(月) 12:27

双方に散れ…!銀弾の砲撃開始…!
ヴァン・ジュスト…!!

(ほぼ詠唱が完了した共和国軍はシャルルの合図により、構えた小銃の引き金を引く。当然、弾丸は放たれる。そして、魔術によって徐々に加速する銀の弾丸がアイビスへと襲いかかる。魔術効果により銀の弾丸は気体以外の個体や流体、液体などに触れると大爆発を巻き起こす仕様になっている。
すでに辺りではデス=パルルマン戦争以来の爆発が起きている。)

12:シャルル=ヴァレフ:2018/12/17(月) 12:49

(共和国軍が戦闘に突入するさなか、シャルルはルージュへと向かって突撃する。
大隊長であるシャルルには生まれた時から魔力的な天賦の才が備わっていた。彼は、通常の軍魔術師とは異なり、魔力供給者とも呼ばれる。いわゆる魔力を増幅させることができる能力を持っていた。
そのため魔力を仲間に分配することや、あるいは自分自身に効率的に魔力を供給させ、魔術効果を永続させることなど共和国軍にとっては大いなる希望の戦士であった。

ここ、西ライン郊外は、長大な中央ライン川が流れており、共和国と帝国をきれいに区画する自然的国境が引かれている。そのためにこの地帯は戦争地域となりやすいことが歴史上からみても明白な事実として知られる。
そして、共和国軍とアイビスとの軋轢がのちの世界大戦を間接的に招くことは誰しもが予想をしなかった。)

13:シャルル=ヴァレフ 読まなくてOk:2018/12/17(月) 13:50

シャルル=ヴァレフ

パルルマン第二帝政期、首都エッフェルに生まれる。青年時代にはデス=パルルマン戦争に志願し従軍。そこで魔力供給者であることが明らかとなる。世紀末にはセーヌ軍大学で国際法と魔術戦略を教授する。20世紀、中将に昇進。その後第10軍魔術師団の師団長に就任。翌年には第3軍団の軍団長に就任。その後も植民地獲得戦争や、黒人植民地横断政策にも大いに寄与。
その後、ヴァンピール民族殲滅政策におけるラ・ファン第3軍団の大隊長に任命される。

年齢 40代後半ぐらい
容姿 ハゲている。顎からもみあげまで薄らした髭
を生やしている。身長170ぐらいの中肉中背。
性格 愛国的で普段は和やか。帝国に対する憎悪。
能力 魔力供給者。爆砕の軍魔術師。
家族構成 妻と娘がいる。

14:名を捨てし者:2018/12/17(月) 23:17

「ぐっ…!」「がはっ!!」
呑気に戦闘準備をしていた者、耳を塞いで踞っていた者など、油断していたアイビスの者達は次々に吐血し倒れていく。

しまった。神の槍で作れるバリアの膜は、半径10m以内だった。アイビスの中には空中戦を得意とする者も多いのに、これでは地上の、それもごく少人数しか護ることは出来ない。

15:名を捨てし者:2018/12/17(月) 23:18

ルージュがそう気付いた時は、既に遅すぎた。仲間の約半分は弾丸や爆発により負傷し、残りの者達も耳を塞ぎながら必死に逃げ惑うばかりで完全に攻撃の意思を失っている。

そんな時、一人の男がルージュの方へ駆けて来た。

なんだコイツは…?

16:名を捨てし者:2018/12/17(月) 23:19

少し遅れてシャルルだと認識したルージュは、かなり動揺していた。
彼からは、人並み外れた強い決意と魔力が感じられる。その上これほどまでに自分を恐れず殺意を滾らせ、全身でかかってくる者は見たことがない。
それに何故か脳裏にシャルルの情報が流れ込んで来ている。誰だ…?誰が流しているんだ

17:名を捨てし者:2018/12/17(月) 23:21

しかしそんなことはどうでも良い。
すかさず精神を集中させ、地から引き抜いた神の槍と右手の黒き指輪にチカラを注ぐ。

「さぁ、来い…!!」

ルージュの邪気眼は紅く輝き、疾風の如く闇を切り裂き走っていく。
敵は彼だ。─シャルルよ、俺は必ずお前をころす!!

18:シャルル=ヴァレフ:2018/12/17(月) 23:52

(シャルルは、小銃の先端に銃剣を装着させ、槍を持つようにしてルージュの腹部目掛けて突進する。
このような単純な戦い方としては共和国らしい騎士道精神に満ち溢れた情熱的でロマン主義的であるといえるが、彼の行動には戦闘において欠かすことのできない騙し討ちや欺瞞などといった謀略がないことが大きな欠点となっていた。

先ほどの詠唱魔術の副効果、【市民の加護】により、シャルルの動きは加速し、火力は増大している。つまり、今の彼は吸血鬼と同様の強靭かつ俊敏な動きが可能となっているが、それは机上の空論である。
基礎能力は上昇したものの、それを技巧を凝らさずに使えこなせるほどの応用が追いついていなかった。
そのため時々、彼の動きにはたどたどしさが現れている。しかしいずれにせよ彼はルージュに追いついていくように動きを調整し、戦闘の中で学習しているため、応用の点については時間の問題であった。)

19:名を捨てし者:2018/12/18(火) 00:11

小さく何かを呟いたルージュの体が、フッと宙に浮く。
【コピー】。魔術を使うと見せかけ、相手に反撃させる…勿論自身の虚像に、である。

騙し討ちの知恵がない単細胞には、こういう簡単な技が一番効くんだよなぁ

薄笑うルージュは、完全に優越感に浸っていた。
この時彼は大事な仲間を心ごと奪われていることなど、知る由もなかった。

20:シャルル=ヴァレフ:2018/12/18(火) 00:11

(黒い煙が空中に舞い上がりラインの空気を穢す。
さらには大地が唸るようにして爆発が絶えず起きている。つまり戦闘は続いているということで、共和国軍兵士は、無残に殺されたものもいれば、あるいは勝利を確信してアイビスの者達を一掃する兵士もいる。
岩もろとも爆砕する銀の弾丸は、時に同胞の兵士さえも影響が及ぶほど高火力な魔術兵器である。その破壊力から、公式の国際条約により使用が禁止された時代もあったほどである。しかしこの戦闘は両者とも引けをとらずにいる。

一方で帝国は、アイビスの吸血鬼、すなわちヴァンピール民族の観測を西ライン郊外で確認できたために、一時休戦勧告を促すよう会議を進めている。
むろん、これには帝国内世論が大きく影響している。
しかしながらこれを契機として、共和国と帝国の戦争の火種となる可能性が大いにあるので、世論が高まる中で帝国政府は消極的な態度をとらざるおえずにいた。)

21:名を捨てし者:2018/12/18(火) 00:13

その時ユラは、爆発に巻き込まれ、身体に重度のダメージを受けていた。だが今の彼女にとって自分の体の痛みなど、心の底からどうでも良かった。

あの時…銃撃が始まった時、崖の上に居たのは…

蒼い翼と短い黒髪、遠くからでも分かる鋭い目の冷たさ。彼女が見たのは間違いなく彼、ずっと探し求めて来たスバルで間違い無い、そう確信していた。
幼少から魔力訓練を共にし、互いを高め合ってきたスバル。いつしか二人は求め合うようになり、周囲の人々は最強の魔導士ペアだと言って喜んだー

しかし別れは、あまりにも突然訪れた。まだ小さかったユラには彼の気持ちは理解出来ないまま時は過ぎてしまった。
だからこそ彼女は、「今は仕方がないんだ、でも、いつかは…」クレーヌの聖戦で、敵として再会した彼の最後の言葉を忘れること等、到底出来なかった。それはルージュの元で働き、忠誠を誓った今でも変わらない

22:名を捨てし者:2018/12/18(火) 00:13

その時ユラは、爆発に巻き込まれ、身体に重度のダメージを受けていた。だが今の彼女にとって自分の体の痛みなど、心の底からどうでも良かった。

あの時…銃撃が始まった時、崖の上に居たのは…

蒼い翼と短い黒髪、遠くからでも分かる鋭い目の冷たさ。彼女が見たのは間違いなく彼、ずっと探し求めて来たスバルで間違い無い、そう確信していた。
幼少から魔力訓練を共にし、互いを高め合ってきたスバル。いつしか二人は求め合うようになり、周囲の人々は最強の魔導士ペアだと言って喜んだー

しかし別れは、あまりにも突然訪れた。まだ小さかったユラには彼の気持ちは理解出来ないまま時は過ぎてしまった。
だからこそ彼女は、「今は仕方がないんだ、でも、いつかは…」クレーヌの聖戦で、敵として再会した彼の最後の言葉を忘れること等、到底出来なかった。それはルージュの元で働き、忠誠を誓った今でも変わらない

23:名を捨てし者:2018/12/18(火) 00:13

その時ユラは、爆発に巻き込まれ、身体に重度のダメージを受けていた。だが今の彼女にとって自分の体の痛みなど、心の底からどうでも良かった。

あの時…銃撃が始まった時、崖の上に居たのは…

蒼い翼と短い黒髪、遠くからでも分かる鋭い目の冷たさ。彼女が見たのは間違いなく彼、ずっと探し求めて来たスバルで間違い無い、そう確信していた。
幼少から魔力訓練を共にし、互いを高め合ってきたスバル。いつしか二人は求め合うようになり、周囲の人々は最強の魔導士ペアだと言って喜んだー

しかし別れは、あまりにも突然訪れた。まだ小さかったユラには彼の気持ちは理解出来ないまま時は過ぎてしまった。
だからこそ彼女は、「今は仕方がないんだ、でも、いつかは…」クレーヌの聖戦で、敵として再会した彼の最後の言葉を忘れること等、到底出来なかった。それはルージュの元で働き、忠誠を誓った今でも変わらない

24:シャルル=ヴァレフ:2018/12/18(火) 00:21

(魔力の流れ、そして魔力の高低を察知したシャルルは、虚像と本物をすでに区別していた。
しかし、彼はあえてルージュの優越に漬け込み、虚像との戦闘を続けていた。一瞬のすき、虚像の腕を押さえつけ、膝の間からできた隙間に小銃をすかさず突き出し、それを本物であるルージュの方へと向ける。)

痴れ者が…!恥を知るがいい…!

(シャルルは銀の弾丸を撃ち放つ。その反動で虚像とシャルルは、後方へと吹っ飛んでいく。)

25:シャルル=ヴァレフ:2018/12/18(火) 01:22

(日の光を断ち切る暗雲が空全体に広がっていき、急な大雨が降りだす。暗黒の空には、ところどころに霹靂が放たれる。雷鳴が轟いて荒れ狂う暴雨を一層強くする。嵐の到来である。
共和国軍が使用する爆砕の魔術兵器、銀の弾丸は、個体、流体、液体に触れると爆発する仕様となっている。そのため弾丸の使用は断念せざるおえなくなった。
多くの犠牲を生み出した此度の戦闘は、天候の変化によって、ようやく優勢と劣勢を確定させる転機となった。共和国軍兵士の中には、怖気付く者もいたが、帝国への憎悪から闘志に燃えるシャルルは違った。)

26:名を捨てし者:2018/12/19(水) 07:48

「ぐはっ!!」
腹部を撃ち抜かれたルージュは、その痛みに苦しみ悶える。
完全に油断していた。相手のチカラを見くびっていた罰だ。コピーの技を読まれるなんて…、
空に舞う際、神の槍も地面に置いてきてしまった。これでは傷を癒すことも出来ず、攻撃力アップの効果も使えない
致命的な負傷ではないものの、シャルルからは未だ強い殺意が感じられるし、この状況下で闘いを続行することは躊躇われる。
そう判断したルージュは、よろめきながらも吹っ飛んだシャルルから離れ、残っている仲間に収集をかけた。

ところで…ユラは何処へ行ったんだ?まさか、死んだなんてことは…、

不吉な胸騒ぎが、彼の不安を高めていく。

27:名を捨てし者:2018/12/19(水) 07:49

「ルージュは…ルージュは何処にいる?」

理由は分からないが、彼女もスバルがルージュの命を狙っていることを何故か知っていた。そのため必然的に、自分がルージュの居場所を伝えれば、彼がルージュを必ず殺ることも予想出来た。

しかし、彼女の中には微塵も迷いはない
ユラは、好きな人の腕の中で少しずつルージュへの忠誠心を失って行くのを感じていた。
この人の傍で居られるなら、私は、誰に逆らっても良い──。
彼の温もりの中にはそう思わせる何かがあった

28:名を捨てし者:2018/12/19(水) 07:50

「この状況…ルージュはきっと、拠点へ帰るはずよ」

彼女はアイビスの拠点を記したマップを渡して微笑んだ。そして深い眠りへと落ちていった──

29:ピエール総督:2018/12/19(水) 16:17

ーーパルルマン共和国 陸軍総本部 秘密計画局にて。

かつては陸軍最強国として、この大陸を支配するほどの軍事力を持っていたのだがな…我々も衰えたものだ。中隊規模の吸血鬼ごときにここまで手こずらされるとは。
そういえば、例の『水を司りし吸血鬼』については、我が軍の最良兵器たりうるだろうか。これは政府も知らない最高機密となっていることだが、確か…スバル・グラシエスといったか、国家が集約した情報の提供を受ける代わり、共和国への戦力貢献として共和国側についたとか、巷での噂は雑多なものだが、吸血鬼を憎む共和国がまさか吸血鬼の力を仮借しているとはな、私もまだ事実は知らないが、いずれにせよ、水を司りし吸血鬼は帝国にとっても脅威になりうるだろう。これは格好のチャンスと言えるかもしれないな。

30:スバル:2018/12/19(水) 22:04

ユラを抱え、一旦自分の住み家へと帰宅する。

「お帰りなさいませ」

3人のメイドが迎えてくれる。今日も可愛いねと頭を撫でてやり、彼女達にユラを預ける
…こんなに早く落ちるなんて、全く馬鹿な女だ。まぁいいさ、 お前はもう用済みだから

「道で拾ってきた子だ。屋根裏へでも入れておけ」

「かしこまりました。」

ルージュの拠点を知ることが出来た。彼等は完全に弱ってるから、早めに攻めた方が得策だな
…とりあえず、共和国からの使命は果たせそうだ。

スバルは政府へマップを送り、戦闘の計画を立て始める。

31:シャルル=ヴァレフ:2018/12/19(水) 22:17

不逞の輩よ、祖国に悪成さば、我ら祖国の守護に祈らんとす。蒼氓に宿りし市民の魂よ、我らが祖国を救い給え。吾人は市民の勇猛な精神に愬える。我に祖国を侵さんとする敵を打ち破る力を与えたまえ…!祖国に平和を…!我らに幸運の加護を!ガルディアン・レジーム…!


(共和国軍兵士は、シャルルに続いて詠唱をリピートする。リピートしている最中に魔力が枯渇し、そのまま倒れていく兵士も少なくない。
この詠唱魔術は本来であれば自分たちを防御するためのシールドとして使うのが一般的だが、欠点としてシールドを展開しているときは、シールド内に自分たちが閉じ込められるということである。
その原理を利用して現在、ルージュを含むアイビスはシールド内に閉じ込められている。
シールド内は彼らの魔力エネルギーの総和でシールドの大きさ・堅さを決定する。
展開されたシールドの半径は500メートルほどの円形で、シールドの壁は非常に強固となっている。
一方で、共和国軍兵士は6割近くの兵士が戦闘不能の状態に陥り、残りの4割の兵士もかなり疲労が蓄積している。しかしシャルルの偏執的なまでの吸血鬼への攻撃は未だ軟化の兆しを見せない。)

32:シャルル=ヴァレフ:2018/12/19(水) 22:40

(共和国軍の兵士たちは、シールドを展開する際に魔力が尽きてしまったため、銀の弾丸は完全に使えなくなっていた。すなわち、衰微したアイビスの軍勢とまともに戦っても勝てないということである。
兵士たちは逃げ回る者もいた。シールドの内壁まで行き、こじ開けようと必死になる者もいた。
しかしシャルルはシールドを閉じることを許さなかった。
これは全てシャルルの傲慢さにより引き起こされた惨禍である。だがこの男は認めようとしなかったのだ。シャルルはもう引けないところまで来ていた。老若男女問わず吸血鬼を一方的に虐殺している以上、自分の愚かさを認めてしまったら自分が悪になるからだ。だからこそ最後まで、吸血鬼を殲滅して正当化するために突き通す。共和国の正義などという虚像を信じているシャルルの行動は狂気の沙汰と言える。)

33:名を捨てし者 その頃拠点では─:2018/12/19(水) 22:46

ルージュは負傷したアイビスの一人一人に、ユラの居場所を聞いて回る。だが、殆どの者は知らない又はそれどころではなかったと答え、残りの者は痛みに魘され答えてくれない

迷った末、ルージュは最終手段を取ることにした。
俺にはこれがある。いざとなった時に、と手渡された紫色の瓶を手に取り、飲み干した。

ユラの脳に乗り移る。乗り移る方にも乗り移られる方にも大変な副作用が及ぶものの、今はこれしか出来ない
一縷の望みをかけ、極限まで神経を研ぎ澄ます。

34:名を捨てし者:2018/12/19(水) 22:46

─!?

やっと見えたのは、誇りまみれの小さい部屋だった。ベットの上に寝かされているが、拘束は…されていないな。よかった。

でも、何故だ…?ユラの脳が拒んでいるのか、ぼんやりとしか見えてこない。
その上、苦戦しているうちに映像は完全に途切れてしまった。

35:名を捨てし者:2018/12/19(水) 22:47

取り敢えず分かったのは、ユラが誰かに拉致されているという事実である。

「俺…は、…く…っ!!今行くからな!待ってろ!」

副作用のせいで、ルージュの脳は正常に働いていない。
ルージュの異変に気づいたアイビスの者達が止めるものの、 ユラの幻覚すら見えている彼は皆を振り切り、何も持たずに拠点を飛び出した。

36:共和国軍兵士ジール:2018/12/19(水) 22:47

大隊長殿…!このままでは我が軍は統制不可となり、敵の軍勢に圧倒されてしまいます…!どうか一時撤退命令を…!

37:ルージュ:2018/12/19(水) 22:47

「!?」

38:シャルル=ヴァレフ:2018/12/19(水) 22:48

黙れ…!!
(小銃を引き金を引いて同胞である共和国軍兵士ジールを殺害する。)

39:名を捨てし者:2018/12/19(水) 22:49

ルージュは共和軍を見て、自分の拠点が閉じ込められていることを察した。
アイビスの者達もルージュに続いて出てきて、同じように言葉を失っている

40:スバル:2018/12/19(水) 22:53

「待たせたな。」
シールドを越え、スバルが共和軍に合流する

41:スバル:2018/12/19(水) 22:53

「…シャルル…、お前は何をしているんだ?」

42:名を捨てし者:2018/12/19(水) 23:44

スバルはシャルルに銃口を向ける。
「君の目的は知らないけど、共和国からの使命と僕の計画を邪魔するなら…遠慮はしないよ?」

43:シャルル=ヴァレフ:2018/12/20(木) 21:22

…スバル・グラシエスか。大半の者たちは気づいていないようだが、私は貴様が吸血鬼であることは既に気づいているぞ。
軍制部にも噂はあったものの、まさか機密政府は本当に共和国軍の兵器として吸血鬼を登用しているとは。いずれにせよ…登用した共和国政府や、吸血鬼そのものは祖国に仇なす不逞の輩に違いない。神聖を穢す連中には共和国市民を代表して私自らで裁きを下すとしよう。
(陸軍式格闘術を身につけているシャルルはスバルの小銃を振り払おうとする。シャルルはスバルの本質をまだ知らなかった。)

44:スバル:2018/12/20(木) 22:59

「あーあ。強がったって無駄なのにね」

カランカランと銃が転がっていくが、彼は気にも止めない。
それどころか「死に方ぐらいは選ばせてあげるよ」と笑みさえも浮かべている。

「キミさ、共和国の代表とか言ってるけど、見てごらん?君の軍の子達の目。傲慢で、愚かなキミへの憎しみに満ち溢れてるんじゃないかな」

確かにそうであった。共和軍兵士達は道中で倒れていった仲間や、同胞であるのに殺害されたジールを見ていた為、流石にシャルルのやり方に疑問を感じていたのだ。そのためシャルルを助ける者は一人も居らず、冷めた目で二人を見つめている

45:名を捨てし者:2018/12/20(木) 23:00

違う…!俺は間違ってなんかいない…!!間違ってるのは吸血鬼なんだ、!
「五月蝿いなー。まだ分からないの?僕は、キミのやり方がいけないって言ってるんだよ」

刀を持ったスバルは、月明かりを背にしてゆっくりとシャルルの方へ歩み寄る。
…最後まで気づかないんだな、ほんっと馬鹿な奴。

スバルは、己の剣に全力を込める。

「それじゃあ最後だ。恨まないでね」

空気が揺れた
刃は、シャルルの太股を貫通していた。

「─!?ぐぁぁぁぁぁああ!!!!」

46:スバル:2018/12/20(木) 23:03

「殺したら怒られるのは僕だからな。死なせなかっただけマシだと思えよ」

絶叫し、のたうち回るシャルルを尻目にスバルはアイビスの方へと向き直る。

「それに、僕の真のターゲットはこっちだし。」

長年追い続けた敵─ルージュはすぐそこに居る

俺はアイツを越えれるだろうか
いや、越えなければならない。それが僕の使命である…!

スバルの目は銀色の光りを宿している。彼は全身の筋肉に意識を両めその先、つまり刃を感じとる
その瞬間に剣は腕の延長になり、太陽を背に受けた刃は煌めき、本体からの命を待っている

必ず、越えてやる─!!

47:名を捨てし者:2018/12/20(木) 23:28

スバルの異常なまでの殺気を感じ取り、アイビスの何人かが襲いかかる
一人対複数人。状況は圧倒的に不利に思えた。
それなのに …肉の裂ける音、骨の隋に何か硬いものが当たり砕ける鈍い音。数秒後にはスバルの周りの者は皆絶命していた

48:名を捨てし者:2018/12/20(木) 23:42

【凍てつく闇の冷たさ】アイビスの幾人かは知っている。彼がこうなった以上、彼自身がチカラ尽きて倒れる以外自分達に勝ち目は無い。

アハ アハハハ アハアハ
逃げ惑う者。彼が刃を振るう毎に血の海が広がっていく光景は、正に地獄さながらであった
「…綺麗だなー。噴水みたいに血が飛び散っていくよ」完全に狂っているまま、彼は一歩ずつルージュへと近づいていく。

49:シャルル=ヴァレフ:2018/12/21(金) 14:27

(貫かれた大腿は中身の肉が支離滅裂に破壊されている。しかも貫かれたあとには氷の結晶が所々こびりついており、損傷した大腿から流れる血も徐々に凍り始めている。隠忍自重、シャルルは以上の激痛を自身の傲慢的精神で耐え忍いでいるがいよいよそれも限界に達している。というのも、大腿の内部、肉や骨や筋といったものが、並べて一様に氷結しているからだ。
つまりシャルルの太ももの中身は、骨を中心として穏やかに凍っているということで、これらの激痛はシャルルの理性をさらに損失させた。)

50:シャルル=ヴァレフ:2018/12/21(金) 14:42

(黒き空からしんしんと銀色の雪が降り始めた。負傷したシャルルに一応の形式儀礼上の応急処置を試みる兵士もいるが、この紛争で大半の兵士たちは多くの犠牲を伴い、もはや戦う気力すら残存していなかった。
生き残った兵士ですら、腕を失う、脚を失う、目を失うというような絶望に陥っている。もとより、魔力は枯渇し、銃の弾も不足している。むろんこの状況であるからアイビスの軍勢にも大いに打撃を与えることができた。しかしこちら側はもう戦闘を継続することはできない、手当を受けているシャルルは撤退命令を出さざるおえなかった。)

51:名を捨てし者:2018/12/21(金) 17:33

腕。脚。首。 数分前までは人の体についていたと思われる様々な物体が散乱し、所々が凍りついている
そんな血の海の中を、一人の少女が歩いていく。彼女の足は幾分ふらつき錯乱しているようにも見えるが、その目は決意に満ち、明確な意志があることを感じさせる。彼女の手には紅色の弓矢が握られていた。

52:名を捨てし者:2018/12/21(金) 17:42

少女は突然歩を止めた。彼女の目には、錯乱したルージュとその命を狙う一人の男の姿が映っている

考えてる暇は無いわ…どちらを選んでも後悔することなど、分かってるから。
ユラは弓矢を構え、大きく引く。そして呟いた
「ずっと好きでした。…でも、ごめんなさい」

53:名を捨てし者:2018/12/21(金) 17:56

パァァアン!!

一瞬の静寂。振り返った男の目は、驚きに見開かる。そして次の瞬間その口からは紅蓮の血が大量に吹き出し、呆気なく地面に崩れ落ちていく

多くの犠牲を生んだこの闘いは、一人の男の絶命と帝国軍の撤退する音で終わりを告げた。
絶望と希望は紙一重である。ボロボロに破壊されたの拠点の前で、生き残った者達の啜り泣きだけが響いていた


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