探偵チームKZ事件ノート16

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597:文月◆eo 長文ごめんなさい:2017/11/05(日) 18:41 ID:fFg

10月半ば。秋の景色はまだ色濃く残っていて、紅葉は色味を増して 人々を魅了させる。
だが、時より吹き付ける風は 冬の訪れを暗示させた。




探偵チームKZが発足されて、約5年の歳月が経った。発足当時は小学6年だった彼らは もう高校2年生となり、来年の受験を見越して各々勉強を開始させていた。また、若武と上杉はクラブZに所属し、忙しい毎日を送っている。





そのため、必然的にKZメンバーで集まることも少なくなり、連絡を取り合うこともしなかった。
彩は その状況に寂しさを覚えたが、みんなの勉強の妨げになるからと、自ら彼らに連絡することを自粛していた。





怪しげに輝く星空の下、彩は秀明から自宅へと帰っていた。
その道中 どこからかアップテンポの音楽が流れてくる。耳をすませると、彩が中学1年だった時から人気を博しているクールボーイの曲であった。






彩は音楽に関して無関心であったが、クールボーイだけは別である。クールボーイにで一番人気のKAITOこと高宮は 彩の家に泊まったことがあった。その時から彩は、彼らの曲を聴くようになり 自分の中で彼らの曲が大切になっていた。





……
彩の足は自然とその音楽が流れている方へと動いていた。狭い路地裏を通り抜け、街灯が少ない道をしばらく歩くと、小さな公園が見えた。そこにいた一人の少女。





少女は薄暗い街灯の下踊っていた。彩に背を向けて踊っているため顔は見えないが、ミルクブラウンの髪を1つに束ねており、ステップを軽やかに踏むたびに その髪の毛が靡いているのがわかった。
また、女ということを忘れさせるような激しく、また情熱的な動き。けれど 一つ一つ一の動きに無駄がなく、指の先まで神経を張り巡らせている様に思われる 繊細な動きは、日本舞踊に似た雅な雰囲気を醸し出している。






彩は、少女のダンスに魅入っていた。少女が地面を蹴る音と、流されている曲だけが聞こえる。
曲の後半、ギターが激しく弾くリズムに合わせ 少女は宙に舞った。その姿は まるで翼を広げた天使のように美くしかった。とん、と着地するのと同時に曲が終わった。






「凄い……」







彩はそう言葉を漏らし拍手を送る。
少女は背を向けていた顔を、ゆっくりを彩の方にに向けた。






「……え」
彩は目を見開いて、彼女の顔を見た。


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