アーヤside
それから、お布団ひいてくれる人が来たり
皆と一緒にご飯を食べたり
とにかく色々あってから、10時、皆がそれぞれの部屋に戻る時間になった。
だから、私も自分の部屋に帰る事になるわけで。
平和に進んで行けばよかったものの、あのリーダーさんはそういう事はちっとも考えてくれないらしい。
プロロロロープロロロロー
「ごめん、私。出るね……ついでに部屋に戻るから」
iriseeメンバーはそれぞれのcolorの時計を右手に付けている。
右手にバンドと時計を付けているのが、LIVEでも基本の姿。
皆それを保っておけば、色々と楽だと思っているし、私もそう思うからそのまま。
で、この時計はちょっと特殊な作り。
典の自家製なんだけど、アップル社の時計みたいに、話かけたら答えてくれる。
写真も取れるし電話も取れる。電話の基本設定も普通にできる。
この時計からスマホに電話を切り替えたり、その逆もできる。
かなりハイスペックな時計なんだ。
「臣……もうちょっとさ、場面を考えて電話してくれない? あくまでもリーダーなんだからさ……」
部屋を開ける前に電話を取り、それだけ言って一礼してから部屋を出た。
「わりぃわりぃ。でもこっちも都合が都合で……」
あーはいはい。騙すつもりですね。謝るのはその時だけだもんねぇ?
「新曲の事なんだけど……」
臣が張り切ってる新曲の事?
「てかお前、歩くのやめろよ。雑音入って気持ちわりぃ」
ええ……バレたらどうしよう……まあいいか。
とりあえず、壁にもたれかかって電話することにした。
「で、新曲がどうしたの?」
「作詞お前じゃん、作曲和やるじゃん、ダンス典じゃん」
うん。
「俺の見せ場多くしてくれって頼んで回ってるんだ! 」
私はその瞬間電話を切った。
その後何回もかかってきて、何回も留守電を入れてるけどそれは気にしない事にした。
「見せ場ね、作る作るよ。歌詞で臣が独奏するしかないようなの入れるから」
例えば……【リーダー】とか【派手】とかさ。あれ?これ歌に出来ないような……
「ま、いいよね! ……どうしよう典とかめっちゃ切れて電話かけてきそう」
私が言葉を発するとそれは正しく現実になるらしく、その後すぐに典から電話がかかってきた。歩いて部屋まで行き、それで安心しながら対処したんだけど……
「ねえ、作詞に作曲にダンスってやっぱり……でしょ?」
そんな声は私に聞こえてなかったんだ……