幻想郷の日常メインの場所です。
オリキャラはモブだけで、基本は原作キャラだけでお願いします。
それさえ守れれば、多少のキャラ崩壊や、キャラの経歴等で原作に無い事をしてもOKです!
・・・・・活動限界、のようですね・・・・・
(まさか涙を流して、そのまま意識を失い倒れてしまうとは予想外だった・・・・・
地面に倒れる前にフランドールの体を受け止め、お姫様抱っこをする・・・・・
床に寝かしておくわけにはいかないが、かと言って元の部屋に戻せばまた同じことの繰り返しな上に、狂気人格のフランドールが部屋そのものを滅茶苦茶にしてしまったため、自分の部屋へと運び始める・・・・・)
小悪魔
「だ、大丈夫でしたか?咲夜さん……」
意識を失ったフランを抱えて
他の妖精メイド達はまだフランが暴れまわっていると思っているようで誰も手助けのためには来ていない。紅霧異変の時に霊夢と魔理沙を恐れること無く迎撃としようとした戦闘力が高めの妖精メイド軍団でさえもフランわ恐れている。
フランの両手は破壊された妖精メイド達の返り血に濡れており、その彼女の手を取ったり背負った事で端から咲夜達を見ると体ををズタズタに引き裂かれたように見えてしまうだろう。
そんな中でパチュリーの指示で来たと思われる小悪魔が咲夜に怪我はしていないかと心配になった小悪魔が相手を気遣い問いかける。
えぇ、私は大丈夫、掠り傷一つないわ・・・・・
(小悪魔に怪我はないかどうか聞かれては、大丈夫だと答えると同時に、恐らくは他の妖精メイド達はまだフランドールが暴れ回っていると勘違いして来るに来れない状況なのだろうということも察する・・・・・
そして「とりあえず、あとは私が何とかするから、あなたはお嬢様に現状報告をしなさい・・・・」と指示を出し)
小悪魔
「え、ですが………」
怪我をしていないということがわかると、一安心するものの、相手がフランの部屋と反対の方向へ進んでいる事から、もし咲夜の背負っているフランが目を覚まし、再び暴れ始めてしまった場合、一番近くにいる咲夜に危険が迫ってしまう事を心配する。
頼んだわよ・・・・・?
(心配してくれる小悪魔に対して、頼んだわよというと同時に、フランドールのことについては自分に任せるように、及び信じてということをアイコンタクトで伝える・・・・・
フランドールもフランドールで、自分たちが思っている以上の苦悩を抱えているということを知ってしまった今、何とかせずにはいられない・・・・・)
小悪魔
「……わかりました。お任せ下さい。」
フランの穏やかに眠る顔と、咲夜のアイコンタクトを見て、フランの危険性について教えようと開いた口を閉じ、代わりにお嬢様について伝えて欲しいと言う彼女の言葉を了承し、ペコリとお辞儀をして去って行く。
・・・・・さて、これで一応は何とかなるかしらね・・・・・
(小悪魔もわかってくれたことで、これでフランドールについてはひとまず何とかなりそうだと安心する・・・・・
そして、自身の部屋へ着けばそのままフランドールをベッドに寝かして毛布をかける・・・・・
寝顔だけなら、無邪気な子供と変わりないというのに・・・・・)
フランドール
「う……うぅ……ん………」
咲夜がフランを寝かせると、人々から恐れられる吸血鬼である事も、万物を破壊する力を持っていると言うことさえも忘れさせるほど穏やかで静かに眠る。
だが、咲夜のベッドで眠ってから少し経つと、その穏やかな顔が徐々に苦痛に歪み始め、悪夢を見ていることがわかるようになる……
悪夢を見ているのは表の人格か、それとも裏の人格か、或いはその両方なのかは定かではないものの、「ごめんなさい……」「そんなつもりじゃなかったのに……」「助けて……」と呟く……
・・・・・大丈夫ですよ・・・・・大丈夫、大丈夫・・・・・
(悪夢にうなされるフランドールのおでこに手を置き、そっと撫でる・・・・・
異様な見た目のモンスターが出たり、幽霊が出たりするような悪夢よりも、自分自身が責め立てられたり、過去に経験した嫌なことか夢に出る方が、よっぽど悪夢であるということがわかる・・・・・)
フランドール
「…………すー……」
苦しそうに魘され、微かに汗まで出ていたフランだったものの、咲夜が彼女の頭を撫でると、少しだけ苦しみが和らいだのか、再び静かに眠り始める……だが、それでも尚、悪夢を見ているためか、少し苦しそうにしている。
レミリア
「咲夜?いるかしら?」
小悪魔から暴走したフランを咲夜が静めた事を聞き、様子を見るために訪れた紅魔館の主であるレミリアがコンコンとノックをして咲夜がいるかどうかを問いかける。
いますよ、どうぞお入りください・・・・・
(咲夜はフランドールの汗をハンカチで拭きながら、レミリアの言葉に上記を返す・・・・・
今はおとなしく寝てはいるものの、フランドールが暴れたという事実は変わらない・・・・・
フランドールをまた幽閉するという話だろうか・・・・・)
レミリア
「ありがとう。」
咲夜の声が帰って来ると、扉を開けて入室すると、そのまま悪夢に魘されているフランの元にまで歩み寄り、フランの姿を見ながら言葉を続ける……
レミリア
「……貴方達には迷惑をかけたわね……
本来なら姉である私が抑えておかないといけなかったと言うのに……」
本来ならばフランが暴走した時には真っ先に自分が向かわなければならなかったにも関わらず、咲夜達に対応を任せてしまっていた事について謝る……
何をおっしゃいますか、これも従者の役目の一つですよ・・・・・
(そう言うと、咲夜は続けて「お嬢様・・・・・妹様は、また部屋に幽閉されるんですか・・・・・?」と、聞いてみる・・・・・
自分が介入してなんとかできるような問題とも思えないが、介入して少しでもいい方向に向くのであれば、咲夜はじっとしてはいられない・・・・・)
レミリア
「……フランを幽閉する事なんて誰にも出来ないわ。
閉じ込めるとしたら……それはフラン自身がそう望んだから……
私達が出来るのは彼女の意思を汲み取ってそれに合わせるだけ……」
レミリアはベッドに腰かけてフランの頭を優しく撫でながらこれまでフランを幽閉して来ていたのは他ならないフラン自身であり、前に紅魔館の周辺にパチュリーの手で雨を降らせて外に出られないようにしたのも、本来のフランが望んだ事だからだと告げる……
レミリア
「………少し、昔話をしましょうか?」
フランの事を気遣う咲夜を見て、これまでパチュリーと美鈴の二人にしか話したことの無いかつての記憶……フランがどうしてこうなったのか、自分が何故直接手を下そうとしなかったのかについても関係する出来事について話そうかと問いかける。
えぇ、それで私も妹様のことを知ることが出来るのであれば・・・・・
(紅魔館のメイドの長である自分でさえ今まで知ることがなかったフランドールの真実・・・・・
レミリアが敢えて話さなかったのか、それとも話せなかったのか・・・・・
いずれにしても、只事ではないのは確実だろう・・・・・)
レミリア
「私達には親がいた……最低最悪の父親とは違って、私とフランを心から愛し、何時も傍で守ってくれていたお母様がいた……」
レミリアは悪意の化身である父ヴァルターとは対照的に自分とフランの二人を生んで育て、愛してくれていた母親がいたのだと言う……
レミリア
「お母様がいなければ……私達は生まれてすぐに消されていたでしょうね……お母様は"10年"の間に私達に兵器でも駒でも無く、自分らしく生きる事を教えてくれた……」
レミリアとフランの二人はヴァルターにとっては運命を操れる力や万物を破壊できる力を持った強力な駒であり実験体(モルモット)としか見ていなかったのだが、レミリアは10年、フランは5年の間、母から様々な事を教わった。
それは兵器としてでも、駒としてでもない、自分が自分らしく生きること、自分の考えを持ってもいいと言うこと、人ならざる吸血鬼である自分達も幸せになる権利があるのだと言うことを教えてくれたのだと言う……
だが、ヴァルターが先代巫女に倒された事は知られているものの、母親がどうなったのかについては誰も知らず、レミリアも語ろうとはしなかった……これは何を意味しているのだろうか……?
・・・・・妹様の人格形成に繋がるとは思えませんが・・・・・
(フランドールのあの人格を形成するに至るには、レミリアの言うような母親の優しさから繋がるとはとても思えない・・・・・
忌まわしき男ヴァルターからの虐待のみを受けてきたなら、レミリアもフランドール同様の人格を形成していてもおかしくはない・・・・・
母親の愛を注がれているのであれば、フランドールは何故あぁなってしまったのか・・・・・)
レミリア
「そう……"そのまま"ならフランが狂うことも複数の人格が誕生することも無かったでしょうね……けれどフランは……"あの男"によって心に闇の人格を植え付けられた……破壊の力を自分の制御下に置くためにフランの人格を塗り替えようとしたのでしょうね……」
あの男とは父ヴァルターの事を指しているのだろう。
ヴァルターが自身の"闇を統べる力"を用いることでフランの中にあった破壊衝動や殺戮衝動に人格を与え、まだ幼い内にフランの力を完全な支配下に置こうとしたのだと言う。
レミリア
「その結果……あの男の目論見さえ外れ、フランは破壊衝動のままに暴れ始めた……私にも、あの男や、あの男が従える闇の軍勢でさえもフランの暴走を止めることが出来なかった………けれど、お母様がその身を挺してフランの暴走を食い止めた……お母様自身の命と引き換えにね……?」
だが、フランの中に生まれた闇の人格は齢5歳の時点で父ヴァルターでさえ制御、支配する事が出来ない程の力を有していたようで、暴走し、結果として最愛の母親の死と言う悲劇を生み出してしまった……
レミリア
「結果的にフランの暴走を止めることは出来たのだけれど……お母様を"破壊"した事でフランの心には深い傷跡が刻み込まれてしまった……その罪悪感や後悔、そしてあの男が植え付けた闇の人格から逃れるためにフランは幾つもの人格や分身を作った……フランのスペルカードである"フォーオブアカインド"もその名残よ。」
5歳の頃に染み付いたトラウマが400年以上もの時が流れた現在でも残っているようで、それがあの狂気的な言動や破壊行為、特異な人格形成に繋がったのだと言う。
だが……あの狂気の人格はレミリアの回想にあった破壊衝動と殺戮衝動の化身と呼ぶには、コミュニケーションを取ることがまだ可能であった事や、その気になれば館ごと破壊することも出来たにも関わらずそれをせずに意図的にセーブしていたような言動をしていた事が矛盾しているように感じられる。
ヴァルターが与えた"闇の人格"と言うのはあの狂気の人格の事だったのだろうか?それとも幾つもの人格や分身を作った事でそれらに分散して消滅したのか、或いは……
・・・・・お嬢様・・・・・一つ気になることがあるのですが・・・・・
(レミリアが話している内容を聞くと、どうにもレミリアの言う暴れ回っていたフランドールの人格と今回の狂気人格とでは、また別の人格のように思えてくるのは気のせいだろうか・・・・・
いくつかある人格の中でも似ている人格が複数ある、という解釈を述べようとレミリアに声をかける・・・・・)
レミリア
「………ええ、構わないわ。」
レミリアはそっとフランから離れながら、咲夜の疑問に対する問いかけに応えようとする。
本来なら自分が直接フランの暴走を止め、その内に秘めた狂気や闇を払わなければならないのだが、自分にはそれをする資格すら無い……世界でたったの一人しかいない最愛の妹がこうなる事を止められず……いや、父を恐れるあまり止めようとすらせず、父に一度も抗わずに、母が命を落とした瞬間でさえ手を伸ばさなかった自分には……今更救おうとする事すらおこがましいのだから………
さっきまで出現していた妹様の人格は、お嬢様の言う人格とはまた違っているようにも思えました・・・・・お嬢様の説明よりも、やや大人しいと言いますか、話が通用すると言いますか・・・・・
(いくつもある人格の内の一つであるとも考えられるが、相違点こそあれど、レミリアの話すフランドールの人格と似ている部分も多く見られる・・・・・
このことから、パッと聞いた感じでは同一人格のようにも思えてしまう・・・・・)
レミリア
「……そう……それなら安心したわ。
私が知っているのは過去のフランだけ……今はどのように変わっているのかは知らないけど……少しでもあの子が変わってくれたのなら安心したわ……」
自分が知っているのはあの惨劇の日のフランだけ。
そこからどのように、変わったのか、変わろうとしているのかは知らなかった……だからこそ、レミリアは咲夜にあることを頼もうとする。
レミリア
「本来ならパチュリーに頼むつもりだったのだけれど、暴走したフランを力や術じゃない、傷付く事も傷付けることもなく落ち着かせることが出来た貴方に任せたいのだけれども……良いかしら?
勿論、無理にとは言わないわ。」
それは狂化したフランを力や術で無理矢理押さえつけるのではなく、互いに傷つけ合う事無く、その暴走を止めることが出来た咲夜に任せたいと言う。
力が強く、例え手足が吹き飛ばされようとも直ぐに再生する吸血鬼である自分や、パチュリーといった者達とは異なり、言葉による対話が出来ると言うのも、人間と言う種が身に付けた最高にして最善の武器であると認識しているからこその発言なのだが、もし咲夜の負担になるようならフランの表の人格とも協力して再度地下に閉じ籠ってもらおうとも考えている。
無論、構いませんわ・・・・・
(パチュリーに頼むつもりだったということは、何かしらの魔法を用いたことを行う予定だったのだろうかという予想がつくものの、必ずしもそうとは限らず、言葉で落ち着かせることに成功したことを評価している辺り、言葉で人格を落ち着かせるということも考えられる・・・・・
いずれにしても、断るつもりは毛頭ない・・・・・
)
レミリア
「ありがとう……貴方に頼んで良かったわ……
私に出来ることがあったら何時でも言って頂戴ね?」
快諾してくれた親愛な従者に優しく微笑みながら感謝する。
今まで誰も話し合いによる解決を試みた者はいなかった……
父も自分もフランが持つ底知れぬ力を恐れて離れ、フランの方も自分達の言葉に耳を傾ける事さえ無かった……
人間は脆い。手足が千切れればくっ付け事はなく、血が流れるだけで命を落とし、短命であるにも関わらず病にかかる事もある……それ以前に人間が自分達吸血鬼に仕える事などこの幻想郷に訪れる前までは思いもしなかった。
だが……これまで遠ざけていた人間(咲夜)との接触はフランの中にある狂気さえも緩和してくれる……いや、人格の歪みを直してくれる……そんな希望さえ感じられる。不甲斐ない自分の代わりに咲夜に……光の中でも生きても良いのだと言うことをフランに教えてほしい……
【ここから、フランの狂気人格がどうなるのかは、咲夜さんの行動によって幾らでも分岐していくと思います……!
ワクワク(*´ω`*)】
・・・・・私は、美鈴やパチュリー様達と比べれば、このお屋敷、そしてお嬢様に使えた時間こそ少なかれど、人間という立場である以上人間の視点でこそわかることもあると思っています・・・・・頼まれたことは、寧ろ光栄です・・・・・
(そう言うと「妹様は、未だにあの男に対する恐怖が拭いきれていないという部分が、一番の心の闇だと思われます・・・・・これに関してはお嬢様も同様だとは思いますが、妹様の場合は今現在に至るまでの過程がより一層、心の闇に拍車をかけているのでしょう・・・・・」と、ヴァルターについても、ヴァルターの支配していた頃の紅魔館についても、話でしか聞いたことはないが、だからこそ予想での独自見解を示す・・・・・)
【行動によって分岐するの、ワクワクしますね!(((o(*゚▽゚*)o)))】
264:紅魔の主◆3.:2021/06/07(月) 09:23 レミリア
「……貴方にならそれを含めて全て乗り越えてくれる……この500年間止まっていた歯車を動かす事が出来るかもしれない……」
少し天井を見上げ、この500年間、一度も動くことがなかった、変わることの無かった……いや、変わることの無い永劫に制止した運命をも打ち破る事が出来ると言う可能性を見ている。
レミリア
「運命を操る者と銘打っておきながら滑稽かもしれないのだけれども、貴方にならこの閉ざされた運命をも切り開いてくれると信じているわ。」
そう告げると、扉に手をかけ、そのまま部屋の外へと出ていく……
他力本願と言われるかもしれない、いや事実その通りだ。
だが……自分ではフランの心にある闇を取り除くことは出来なかった……どれだけ運命を見通せても、その見通した運命は全て悲惨なものしか存在しなかった……
今回のフランの暴走も本来ならば館の外に出たところをパチュリーが雨を降らせて狂化フランにダメージを与えて疲弊したところを捕縛して取り押さえるようになっていたのだが、咲夜が狂化フランの暴走を止めると言う運命予知には無い事が起こった。
その事に希望を見出だした……いや、その可能性にすがるしか自分には出来ない。全ては親愛なる従者である咲夜に運命を委ねよう……
フラン
「うぅ……ん……?
此処……は………?」
レミリアが退室して少しすると、目を覚ましたフランは見慣れない部屋に困惑して周りを見渡し始める。その目にはもう、あの破壊衝動と殺戮衝動に満ちた狂気は消えている。
【ここからどうなるのかは私自身にもわからないので、私自身も凄いワクワクしています!www】
お目覚めですか?妹様・・・・・
(レミリアが退室し、少しの間これから自分がフランドールと接する際に、どうすれば相手側もこちら側に心を許してくれるだろうかと考えていたその時、フランドールが目覚めたことに気づいて声をかける・・・・・
そして、見慣れない部屋に困惑する様子を察すると「ここは私の部屋でございます」と、簡潔に説明して)
【どうなるか楽しみですね!】
フラン
「貴方の……部屋?
そういえば貴方の名前は……?」
これまで人間を殆ど見たことが無かった。
紅白の巫女や白黒の魔法使いと会った事はあるが、食事を運んでくるのも基本的には妖精メイドだった事もあり、咲夜と交流したことも無かった事から不思議そうに相手を見たまま名前を聞いてみる。
私の名前は十六夜咲夜、あなた様のお姉様にあたるレミリア・スカーレットお嬢様にお仕えする専属メイドであり、このお屋敷、紅魔館のメイド長でございます
(きょとんとしたフランドールに、咲夜は淡々と自己紹介を済ませる・・・・・
主であるレミリアからフランドールに関するある程度の話は聞いてはいたものの、こうして本来の人格が出ている状態で面と向かって話をするのは言われてみれば初めてだと気づく・・・・・)
フラン
「メイド長?
…………あ………」
咲夜の名前と肩書きを聞くと、そういえば自分が暴走した時に壊してしまった妖精メイド達も「咲夜さん」や「メイド長」と口にしていたなと思うと同時に、自分がまた暴走していた事を思い出し、言葉が詰まってしまう……
・・・・・?いかがなされましたか・・・・・?
(突然言葉に詰まるフランドールに、初めて会うも同然だからか、緊張しているのかと思った咲夜はフランドールの心をとにかく落ち着かせようと優しく問いかける・・・・・
己が見るも無残な塊にした妖精メイド達が助けを求めていた人物が、今目の前にいて語りかけてきているのだから、気が気じゃないだろう・・・・・)
フラン
「……あはは……また私が暴れていたみたいだね?
……最近は出てこなかったから気を抜いていたみたい……」
所詮は自分は誰かを壊すことしか出来ない、傷付ける事しか出来ない。だからこそ、誰とも関わらないように地下に籠り、魔理沙達との弾幕ごっこをした後も表だって外に出ないようにしていた……
最近は変化の無い退屈な地下も日光が当たらないし、必要なものは持ってきてくれるから快適で過ごしやすいと思えてきていたのだが、それでも自分の中にいるモノは満足しなかったのだろうか……
フラン
「……そういえば貴方、もしかして……人間?」
自分は父の言うように"兵器"にしかなれないなだろうと言う諦めを抱いていた中、咲夜から自分と同じ吸血鬼でも無ければ妖精メイドのものでもホフゴブリンのものでもないものを感じ取る。
かつて一度嗅いだことのある匂いであり、何時も食事として喰らっている……人間の匂いだ。
えぇ、私は人間ですわ・・・・・吸血鬼に仕えるメイドが人間だなんて、おかしな話でしょう?
(本来であれば、人間は吸血鬼に血を吸われる立場・・・・・言わば、ただの餌でしかない・・・・・
そんな立場の自分が、吸血鬼であるレミリアに忠誠を誓って専属のメイドとして仕えるというなんとも奇妙な関係性を自らおかしいでしょうと少々笑いながら話し、フランドールを少しでも安心させようとする・・・・・)
フラン
「………私の事が怖い?ただでさえ力の強い吸血鬼である事に加えて、どれだけ強い者でも破壊してしまうような力を持った私の事が……」
相手が人間である事についてわかると少し驚いて固まる。
けれど、そもそも調理されていない人間そのものを見るのがこれまで殆ど無かったため、肉を食べる子供が動物を見下していないのと同じように、フランももまた、咲夜達人間を餌として見下してはいなかったものの、あまり頑丈な種族ではないと言うことは知っていたため、腕力も能力も強く、時折暴れまわる事がある自分の事が怖いと思ってしまっているかもしれない……
・・・・・確かに、怖いでしょうね・・・・・常人であれば・・・・・
(そう言うと「私自身も、特殊な能力を持っているせいで、便利ではあるものの何かと生きづらかった時間の方が長いですわ・・・・・それこそ、能力のせいで恐れられることも・・・・・」と言い、フランドールの手を優しく握る・・・・・
能力を使えたのに守りたいものを守れなかったこともあれば、能力のせいで恐れられたこともあるからこそ、フランドールの気持ちは痛いほどにわかる・・・・・)
フラン
「あはは……案外、私達って似た者同士なのかもしれないね……?」
咲夜の手の温もりを感じながら少し笑って見せる。
強い力を持って生まれてしまったが故に"常識"や"通常"の範囲から排除され、周りの者から忌み嫌われ、恐れられてきた者同士であることを感じる……
そうですね・・・・・
(フランドールのわずかな笑みを見れば、少し胸が締め付けられそうになる・・・・・
似たもの同士であれど、失ったものもあるが自分はフランドールと比べれば、まだ全然恵まれている人生を歩んできているということを感じる・・・・・)
フラン
「……うん、貴方が暴走していた私を止めてくれたんだよね?ありがとう。」
元から惜しむような立場でも無く、人間を見下すような吸血鬼らしい傲慢さがあまり無かったからか、素直に頭を下げて咲夜に暴走していた自分を止めてくれた事に感謝の意思を示す。
咲夜は悪しき竜によって両親を奪われ、たった一人の弟をその手にかける事になった凄惨な過去を持つことをフランドールはまだ知らない……
頭をお上げください、私は当然のことをしたまでですわ・・・・・
(頭を下げるフランドールに対して、自分は当然のことをしたまでであるため、頭をお上げくださいと言葉を返す・・・・・
そして、ここで近しい者であるということを、自身の過去について述べるかどうかを悩む・・・・・
ここで過去を話すことで親睦を深めることは出来るとは思うが、なるべく暗い空気にはしたくないという気持ちもある・・・・・)
フラン
「貴方も……優しいんだね……
……これ以上、優しい貴方に迷惑をかけたく無いから、私はまた地下に戻るね……」
また暴走して咲夜達を傷付けたくはない。
もう自分に優しく接してくれた人を失いたくない。
そんな懇願のような考えの中、ベッドからゆっくりと降りて自分は再び地下に戻り、再び閉じ籠ろうと考えている。
貴女様の居場所は、暗く孤独な地下なんかではありませんわ・・・・・
(そう言うと、フランドールの手を握って引き止める・・・・・
そして「貴女様が宜しければ、しばらくはここにいてください・・・・・」と、フランドールの意思を尊重した上でフランドールさえよければこの部屋にいてもらいたいと告げる・・・・・)
フラン
「!!」
もう母のように優しい人を傷付けたり、命を奪いたくない。だからこそ自分から咲夜と距離を取ろうとしたものの、咲夜が手を握って引き留めた事で足を止める。
咲夜の顔を見上げ、彼女の言葉が強がり等ではなく、確かに自分を思っての事だとわかる…
フラン
「本当に……いい……の………?」
自分は此所に居てもいい、そんな言葉を聞き、母を壊して以来、止まり続けていた時が動き出したような……そんな感覚を覚え、目からは一筋の涙が流れ落ちる。
姉は過去に止められなかった、救えなかった事に対する罪悪感からフランに手を差し伸べる事が出来ず……フランを救おうとした母は他ならぬフラン自身の手で破壊してしまった……
誰も救えない、救う事が出来ないと思い込み、何百年も生きてきたフランの心に咲夜の温もりが、優しさが染みる……
勿論です、フランドール様が宜しければの話ですがね・・・・・
(上記を言いながらフランドールの頬を伝う一粒の涙を指で拭えば、そのままフランドールを抱きしめる・・・・・
人間である自分からすれば、フランドールの今に至るまでの何百年という孤独と恐怖の時間の長さは、あまりにも長すぎるためか完全に理解することは難しいが、人間であるからこそその途方もない時間の長さを察することも出来る・・・・・)
フラン
「うわあああああああん!!」
もう二度と感じることがないと思っていたお母様の温もりと同じその優しい温もりを感じ、思わず咲夜に抱き付いたまま泣き出す……母を失ってからこれまで誰にも見せなかった涙が溢れ出す……
レミリア
「………良かった………」
退室した後も、目を覚ましたフランがまだ狂気に染まっていたままだった場合、直ぐに取り押さえることが出来るように部屋の外の通路で話を聞いていたレミリアは2人のやり取りを聞いて安心して廊下の奥へ歩き出し、去っていく。
・・・・・
(部屋の外、通路から感じれる気配、長い付き合いだからかレミリアがこういう場合に聞く耳を立てるだろうということもわかった上で、部屋の扉の方を数秒見つめた後、フランドールの背中をさする・・・・・
こうして素直に泣くことすらもこの数百年できなかったのだろうか・・・・・)
フラン
「………ぅ……ぐすっ………」
咲夜の腕の中で泣き続けていたものの、次第に涙も止まり始め、涙を両手で拭いながら相手の顔を見上げて言う。
フラン
「………咲夜も……外の世界から来たの……?」
咲夜はあの紅白の巫女や白黒の魔法使いと同じように外の世界から来たのかと聞いてみる。これまで、いつ自分の力が暴走するのかがわからず、フラン自身もまた、自分の言動の不安定さを自覚しており、外の世界に興味を持とうとさえしてこなかったのだが、今は外の世界がどうなっているのかが気になり、聞いてみる。
えぇ、私も元々は外の世界の人間でした、お嬢様と出会ってから専属のメイドとしてこのお屋敷、そしてお嬢様に仕えるようになりました・・・・・
(そう言うと、続けて外の世界については「この幻想郷に限定して言えることとしましては、私や博麗の巫女、魔法使いの人間以外に妖精や妖怪がいます、博麗の巫女を筆頭に、かなり自由な性格の輩が多いですが・・・・・」と、幻想郷という場所限定で外の世界というものをフランドールに語り始める・・・・・)
フラン
「咲夜は勇敢だね!私達みたいな怪物……吸血鬼のいる館に
外の世界には沢山の種族がいるんだね!……私もこの力が無かったら……もっと自由に生きられたのかな?
………………ッ!!!」
地下は吸血鬼が嫌う日の光が届かないし、待っているだけで料理等も運ばれて来るため、殆ど何も無い部屋でもあまり苦にはならなかったものの、外の世界に興味がない訳ではなかった。
咲夜のように面白い人間や、紅白の巫女や白黒の魔法使いのような者達が住んでいる世界に行ってみたいとも考えたが……その瞬間にフランの頭に激痛が走り、頭を抑える。
だ、大丈夫ですか・・・・・!?
(フランドールが頭を押さえ始めたのを見て、咲夜は急いで頭をなで始める・・・・・
さっきと同じように、フランドールの中に眠る人格が再び目を覚ます前兆がこれなのか・・・・・
それとも・・・・・)
フラン
「………私を……私達を受け入れられる奴なんかいない。
お前の言うことも嘘に決まっている!私は絶対に信じない!!」
フランの体からメラメラと燃え上がる炎のような魔力と、荒々しい雰囲気に変わると、少し目付きが鋭くなったフランが拒絶するように咲夜を突き飛ばそうとする。
これもフランの情緒不安定さの要因の一つである多重人格による影響によるものなのだろう。最初に暴走していた状態とも、先程までの悲しみを背負ったフランとも雰囲気がまるで別人のように違う。
フランドール様・・・・・
(抵抗はせずにそのままフランドールに突き飛ばされ、体勢を崩すものの、咲夜はなるべく刺激しないように敢えて抵抗をしないで言葉のみでの解決をしようとする・・・・・
しかし、最初の人格とも、本来の人格ともまた違う人格を相手に説得するのは簡単なことではない・・・・・)
フラン(怒)
「私を騙そうとしてもそうはいかない、お前だって私を騙して利用しようとしているだけだ!!」
父や自分、不条理な世界への怒りと憎しみ、そして他者への拒絶に支配されたフランの人格が突き飛ばした咲夜の言葉に耳を貸さずに手刀を作り、その腕を咲夜に向けて突き出す事で咲夜の体を貫こうとするものの、
フラン(哀)
「そうはさせない……!」
先程まで咲夜と話していたフランと同じ雰囲気を身に宿した二人目のフランが怒りに任せて咲夜の体を貫こうとしていたフランの後ろに現れ、その体を床に押し付けて組伏せる事で制止させ、咲夜を助ける。
フランのスペルカードには、三体の分身を作り出す"フォーオブアカインド"と言う技があり、それを応用することで押し込められていた人格が分身と言う仮の容れ物ではあるものの、実体を得ることが出来ている。
・・・・・助かりました、ありがとうございます・・・・・
(なんとか止めてくれた別人格のフランドールに感謝の言葉を述べるが、今起きた出来事から、当たり前ではあるものの複数あるフランドールの人格の中には、まだ自分へ対して警戒していて心を許していない人格もいる、ということだ・・・・・
複数人格があるのだからこういうこともあるだろうとはわかってはいたが、全ての人格と接するにはどうすればいいだろうかと考える・・・・・)
フラン(怒)
「離せ!!邪魔をするのならアンタから壊してやる!!!」
フラン(哀)
「やれるものなら……やってみてよ!!」
押し倒されたフラン(怒)は翼を大きくはためかせ、羽根そのものを触手のようにしてフラン(哀)の体を貫こうとするものの、それに気付いたフラン(哀)が後方に飛び退いて回避すると、それを追撃するためにフラン(怒)が飛び掛かり、二人のフランが部屋の外に出て行く。
フラン(喜)
「こっちこっち。」
咲夜の傍にはいつの間にか三体目のフラン……喜怒哀楽の内の"喜"に該当するフランが嬉しそうに微笑みながら咲夜をこの辺りから避難させようとしているのか、咲夜の服の端を引っ張って逃がそうとする。
で、ですが・・・・・
(喜の人格のフランドールに)引っ張られるがままではあるが、部屋から出ていった怒と哀の人格のフランドールのことが心配で、ドアの方を見つめる・・・・・
大事に発展しなければいいのだが・・・・・)
フラン(喜)
「大丈夫大丈夫、あの二人があそこまで衝突するのは始めてだったけど……基本何時もあんな感じだから!」
ニコニコと嬉しそうに笑いながら咲夜を引っ張って弾幕による被害から逃れられると思われ、更にフラン自身も移動できる地下の通路へと案内しながら何時も怒と哀の激突は日常茶飯事なのだと応える。
あのまま部屋に留まっていれば、咲夜の部屋はとても"風通りのいい"部屋にされてしまっていただろう。
・・・・・あまりはしゃぎすぎなければいいのですが・・・・・
(怒と哀の人格のフランドール達のことを心配しながらボソリと呟けば、そのまま喜の人格のフランドールの頭をそっと撫でる・・・・・
フランドールの人格は一体何人いるのか気になってくるが、一人一人とちゃんと接することで少しでも本来のフランドール同様に心を許してくれればいいのだが・・・・・)
フラン(喜)
「えへへ〜、もっと撫でて〜。」
咲夜が頭を撫でると、何百年も前に失われてしまったかつての温もりや優しさを思い出す事が出来、それが心から嬉しく感じ、もっと撫でて欲しいと求めてみる。
フラン(喜)
「このまま行けば貴方はそう遠くない内に壊れちゃうと思うけど……私は貴方を失いたくないな……だから……私が貴方を貰うことにしたの!他の誰にも渡さない。お姉様にも、他の私にも、誰にも……!」
喜のフランは地下と言う邪魔の入りにくいであろう場所と、二人のフランが激突した事で注意を引き付けてくれると思ったようで、吸血鬼としての強い腕力を用いて咲夜を押し倒そうとする。
大切な母を失った反動で、自分が大切だと感じた者……ようやく出会えた温もりを二度と失わないようにと、少しばかり独占欲の強くなった人格……それが喜の人格なのだろう。
・・・・・!
(少し前まで普通に子供のように無邪気だったのに、いきなり自分を押し倒してくる辺り、やはり喜の人格も少しばかり歪んでしまっているのが伺える・・・・・
しかし、ここは敢えて抵抗せずに、刺激しない方がいいと判断し、喜の人格のフランドールの顔を見つめる・・・・・)
フラン(喜)
「お姉様は血を飲みきれなくて出来ないし、他の私だと跡形もなく吹き飛ばしてしまうけど……私は力加減がちゃーんと出来るから、安心して眷属になれるよ?」
フランはその小さな口を開け、二本の鋭い吸血用の牙を咲夜に見せると、抵抗しない咲夜を見て、眷属になる事を受け入れてくれたのだと思い、咲夜の首筋から血を吸おうと迫る。
・・・っ・・・・・
(このままでは、フランドールによって同族にされてしまう・・・・・
吸血鬼に仕える専属のメイドという立場上、日中の外出の際は日傘を持ったりなど、吸血鬼という種族の生命に関わる役目もあることから、このままだとメイドとしてのこれからの人生に支障が生じることとなる・・・・・
しかし、フランドールの力に抵抗できるほど強い力も持ち合わせていなく、腕を動かすことすらできない・・・・・)
フラン(喜)
「大丈夫、私なら上手くやれるから……!」
咲夜の首筋に牙を立て、種族的な力の差から満足に抵抗する事すら出来ずに押し倒された咲夜の首筋から血を吸おうとする。
・・・・・お、お待ちください・・・・・フランドール様・・・・・
(そう言うと「私は今はまだ人間です、当然、フランドール様やお嬢様達とは違い、日光の下でも活動することができます・・・・・ですが、今ここで私を同族にしてしまえば、普段からお嬢様が外出しているのと同じように、フランドール様をお外へ連れ出すことが出来なくなってしまいますよ・・・・・?」と、通用するかどうか、一か八かの言葉の説得という賭けに出る)
フラン(喜)
「…………?何を言っているの?貴方も私と一緒に地下で暮らすんだよ?」
咲夜の首筋から顔を少し離して自分は始めから外にでるつもりは無く、咲夜が吸血鬼となった後、ずっと自分と一緒に地下に閉じ籠るつもりなのだと応える。
フラン(喜)
「それに……地下に閉じ籠っていれば嫌な目に合うこともない、日の光に怯えなくてもいい、痛い目や苦しい目にも合わなくて済むし、皆もそれを望んでいる。だって……今までもそうしてきたんだもの。」
自分は姉とは違う、姉のようには慣れない、姉のレミリアがフランの暴走を止められなかった罪悪感と後悔を抱いているのと同じように、フランもまた母を壊してしまった事の罪悪感と後悔に苛まれている。
変わらずにずっと嬉しそうに笑っているものの、その顔はまるで寂しそうにも見える……残酷な現実から逃れるために喜の感情をメインにして別れたこの人格の中にもその罪悪感と後悔が刻み込まれてしまっている……
・・・あなたの意思はどうなるんです?
(フランドールの言葉を聞く限り、自分以外の者達も望んでいることだからこそ、自身がそれに従う形が自身の最適な過ごし方でもあるという風に聞こえてくる・・・・・
咲夜は、フランドール自身の意思はどうなるのか、ということを述べる・・・・・)
フラン(喜)
「…………そんな事はいいの。怪物は怪物らしくしないといけないからね!」
自分の意思はどうなのかと聞かれると少しの間、返す言葉が無く、笑ったままでいるものの、結局は答えることが出来ずに少し自分を卑下するように言う。
・・・・・あなたは怪物なんかじゃありませんわ・・・・・
(そう言うと「フランドール様は、もっと自分に自信を持つべきです・・・・・それに、もしあなたが周りをどれだけ拒絶したとしても、私は・・・・・いえ、少なくとも、私とお嬢様はあなたの味方ですわ・・・・・」と、今まで長い間まともに接することも出来ずにいたレミリアも、フランドールの味方あるということを述べる・・・・・)
フラン(喜)
「……お姉………様……」
自分は怪物なんかじゃない、咲夜や姉のレミリアは味方でいてくれると聞くと、喜の人格は咲夜の眷属化を止めて咲夜から少しだけ離れ、「ごめんなさい…」と小さな声で呟く。
フラン(哀)
「咲夜!大丈夫!?」
左腕が肩から切断され、背中の翼も右側が千切られ、ボロボロの状態になりながらも、辛うじて怒りの人格を抑えることが出来たのか、最初に咲夜が説得することに成功した哀の人格が地下室の扉をぶち破って現れ、咲夜に大丈夫かと聞いてみる。
吸血鬼の再生力をも上回る火力を用いた攻防が行われていたようで、いずれの傷も再生出来ていない。
ちょっ!?それはこっちの台詞ですよ!?
(いくら吸血鬼は生命力が高いとは言え、ここまでボロボロになった状態で大丈夫かと聞かれても、そっくりそのまま言葉を返すような状況だ・・・・・
哀の人格のフランドールと比べれば、というか比べなくても、危なかったものの自分は何ともない・・・・・
まずは手当をしなければと考えるものの、手当でなんとかできるようなレベルの怪我ではないのも明白である・・・・・)
フラン(哀)
「大丈夫、この体は分身だからまた治せる。だけど……」
フラン(喜)
「……貴方は私のものになってはくれないの……?」
哀の人格は自分の今の体はフォーオブアカインドで作り出した分身の体であるため、損傷しても一度分身を解除してから再び分身を作れば治せると応える中、喜の人格は大粒の涙を流しながら咲夜は自分のものにはなってくれないのかと問いかける。
・・・・・
(分身体は簡単に治すことが出来ると知り一安心するものの、自分のものにはなってはくれないの?と聞いてくる喜の人格のフランドールに、なんて言葉を返せばいいだろうかと頭を悩ませる・・・・・
素直に「自分はあなたのものにはなれません」と言葉を返すわけにもいかない・・・・・)
フラン(喜)
「あはは!冗談冗談、気にしていないよ!
ちょっと残念だったけど、嫌なら仕方がない!」
哀の人格が自分を見ている事から、下手に力付くで咲夜を眷属化しようとすれば、怒の人格と同じように攻撃されてしまう事から、迂闊に手を出せなくなり、咲夜から離れて行く。
・・・・・
(なんと言葉を返せばいいのかと悩んでいる中、喜の人格のフランドールは敢えて自身の感情を押し殺してその場から去るのを見れば、複雑な心境になる・・・・・
全ての人格としっかりと話し合いをして打ち解けなければ、完全に信頼を得るのは難しいだろう・・・・・)
フラン(哀)
「……貴方は優しいね。」
喜の人格が咲夜から離れていく中でも、彼女が自身の感情を押し殺して去ろうとしているを見て、幾ら孤独を埋めようとするためとはいえ、眷属にしようとしていた喜の人格に対しても同情を抱き、複雑な心境に陥っている様子を見て優しいねと口にする。
哀のフランは母を壊してしまった事による罪悪感と後悔に取り付かれていた。怒の人格は自分を理解して受け入れられる者などいないとして周囲に対して攻撃的になってしまった。そして、喜の人格は純粋に孤独を感じ、それを埋めたいと思っていた。それぞれが異なる思考や考えを元に行動している……
いえ、私はただの臆病者ですわ・・・・・さらかんじょうをだ
(そう言うと「優しさというものは、自然と出すことが出来る感情の一つです、私の場合はただただ自身の臆病さをカモフラージュするために誤魔化しているだけですわ」と言葉を返す・・・・・
自身のかつての守りたいものを守れなかった経験がこの言葉に繋がっているのだろう・・・・・)
フラン(哀)
「そんなに自分を卑下しないで。貴方は私達の出来ないことが出来たんだから……臆病なんかじゃない。」
四つの人格が不安定な状態で顕現した狂気の人格を前にしても逃げることなく、狂気を沈めたその姿を分裂した人格の一つである哀は覚えており、咲夜は臆病なんかじゃないと言うと、館の至るところで地響きが鳴り響き始める。
フラン(喜)
「あははは!上ではお姉様達が"怒の私"と戦っているみたいだね!」
地上では凄まじい轟音や爆音が生じ始めており、まるで戦争が起こっているような凄まじい衝撃と振動が地下にまで届き、それを感じ取った喜のフランは壁にもたれ掛かりながら天井を見上げて呟く。
・・・・・フランドール様・・・・・こちらのフランドール様を、お任せできますか・・・・・?
(哀の人格のフランドールに、喜の人格のフランドールを任せられるかと問う・・・・・
人格の一つの分裂体とはいえ、レミリアのことが心配でならない・・・・・
しかも、司る人格は「怒」、恐らく容赦という概念はない・・・・・)
フラン(哀)
「………?
……!!まさか、行くつもり…!?」
轟音と地鳴りが響く中、喜の人格を抑えておいて欲しいと言う事を聞くと、最初は意図がわからなかったものの、まさか上で戦っているレミリアと怒の人格との戦いの場に向かうつもりなのかと聞いてみる……
怒の人格は見境がない、全てに対して非常に好戦的である上に、自分と違って話を聞こうともせずに暴れまわっている事から、このまま行けば咲夜が殺されてしまうと心配になり、止めようとする。
私の主はレミリアお嬢様です、従者は主をお守りするのが役目・・・・・主の危険とあらば、どんな状況だろうと向かうのが当たり前ですわ・・・・・
(そう言うと、哀の人格のフランドールに近づいてしゃがんで視線を合わせて両手を握れば「大丈夫です、必ず戻りますから・・・・・」と、生還を約束する・・・・・
しかし、身体能力がどんなに高かろうと、人間と吸血鬼とでは天と地ほどの戦力差がある・・・・・)
フラン(哀)
「………わかった……約束だよ?絶対に戻ってきてね!」
咲夜の覚悟を決めた様子を見て、自分がこれ以上言ってもその覚悟がゆらぐことは無いと言うことが彼女の瞳の中を介して知ると、絶対に帰って来て欲しいと言い、彼女を見送る……
えぇ、勿論です・・・・・
(そう言葉を残すと、咲夜は怒の人格のフランドールとレミリアが戦っている場所へと向かう・・・・・
近づくにつれて、館内に轟く衝撃音が徐々に強く、大きくなってゆく・・・・・
怒の人格のフランドールもだが、レミリアも恐らく容赦せずに戦っているのだろうということが伺える・・・・・)
フラン(怒)
「何処までも腹立たしい!!お前達なんか大嫌いだ!!!」
レミリア
「……………………。」
咲夜が雨雲に覆われた空の下で激突している二人の見える場所まで移動すると、そこでは燃え盛るレーヴァテインを両手に持った怒の人格と、グングニルを展開して手にしてはいるものの、一切反撃すること無く、ただ防御や回避だけをしているレミリアの二人が戦っていた……
レミリアがその気になれば分裂した一人格分の力しか持っていない怒の人格を制圧することは何時でも可能であるにも関わらず、それをすることなく、怒の人格からの罵声や怒声に言い返す訳でもなく、ただ静かに黙って受け身になっている。
お嬢様・・・・・!
(二人の姿が見えると、咲夜はレミリアに向けて呼びかける・・・・・
この戦いは相性が最悪だ・・・・・
見境なしに怒りをぶつける怒の人格のフランドールと、例え人格の一つである分身体だとしても妹相手に躊躇しているレミリアとでは戦闘力の高さがどうこうではなく、どちらが有利かが勝敗の決め手になる・・・・・)
フラン(怒)
「あああああ!ムカつくムカつくムカつくムカつくッ!!
どうしてやり返さない!?まさか……私程度、攻撃する必要も無いって言うの!?」
レミリア
「………フラン……私は…………」
レミリアは咲夜の事にまだ気付いていないのかずっと怒の人格と向き合い続けているのだが、対する怒の人格は右手に持っていたレーヴァテインに込められていた魔力を巨大な太陽を連想させるような莫大な熱量を放つ炎球に変化させ始める。
怒の人格が形成している炎球が放つ熱量はすさまじく、離れた場所にいる咲夜のもとにまでその凄まじい熱気が届いており怒の人格の近くにいるレミリアの肌が少し焦がされ始めている……
お嬢様・・・・・!!!!!
(咲夜はレミリアを戦いから引かせる為に、必死に呼び掛ける・・・・・
いくら怒の人格のフランドールが容赦しない性格であるとはいえ、まさか自身達吸血鬼の弱点でもある太陽に近い球体を作り出すまでとは思っていなかった、予想外過ぎた・・・・・
しかも肝心のレミリアは、戦意を見せようとせずにいる、このままでは戦いの行方は明白だ・・・・・)
フラン(怒)
「館もろとも……燃えて無くなれ!!!」
レミリア
「……スピア・ザ・グングニル。」
《ギュオォォォォォォォォォォ》
レミリアは一瞬、地上から咲夜が自分の事を呼ぶ声が聞こえて来たことで視線を彼女に向けるものの、怒の人格は攻めの手を緩めることはなく、太陽のように巨大で煌々と輝く特大の炎球を放つ。
このままレミリア一人が避けることは簡単だが……そうなれば地上の館に住む者達は確実に全滅してしまうだろう。そうならないように手にした赤槍に紅い電撃を纏わせ、それを太陽のような炎球に向けて投げ付ける。
すると、グングニルの名前の元となった必中にして必殺の神槍と同じように、並大抵の人妖では一生かけても蓄えることが出来ない程の圧倒的な魔力によって形成された太陽をも貫き、その更に向こうにあったぶ厚い雨雲をも綺麗に吹き飛ばし、道中にあった全てのものを薙ぎ倒して消滅させていく。
漸く行った反撃であったにも関わらず、レミリアの放った一撃はフランの体を傷付けることはなかった……
《やっぱりこの戦い・・・・・フランドール様の人格の分身体の方が一枚上手・・・・・》
(レミリアが躊躇っているというのもあるかもしれないが、基本的には怒の人格のフランドールの戦闘力の方が、レミリアよりも一枚上手のようにも見える・・・・・
となれば、自分がやはり怒の人格のフランドールを何らかの方法で説得した方が、比較的まだ周りへの被害も少なく済みそうだが・・・・・)
レミリア
「……咲夜。下がっていなさい……貴方では今のフランは危険すぎる……」
フランは両手で一本のレーヴァテインを持って勢いよくそれを振りかざしてレミリアに迫るとレミリアはすかさず紅槍ハートブレイクを形成してそれを受け止める。だがフランの持つレーヴァテインは炎を纏っているため、ジリジリとレミリアの肌を焼いている……
純粋に殺し合いをした場合、これまで霊夢や魔理沙との戦いだけでなく、永夜抄、萃夢想、想天則、非想天則等、数多くの幻想郷の住人達と戦ってきたレミリアの勝利は揺らがないと思われるのだが、守るべきモノが多く、フランを傷付ける事が出来ないレミリアは嫌でも防戦一方になってしまっている。
・・・・・フランドール様!あなたの相手なら私が致します!
カシャッ・・・・・
(咲夜は、吸血鬼であるレミリアに仕える専属メイドという立場上、吸血鬼という種族が人間よりも遥かに強い力を持った存在であるということさ勿論知っていれば、逆に人間では平気な日光などには物凄く弱いということも知っている・・・・・
だからこそ、力では及ばずとも別人格とある程度打ち解けられた自分ならば、怒の人格のフランドールをほんの少しは抑えることができると少なからず自信を持っている・・・・・
寧ろ、相手がレミリアならば、フランドールを刺激してしまうのではないかと危惧するぐらいに・・・・・)
フラン(怒)
「……私の相手をする……?
……へぇ、随分と立派な事を言うねぇ?それじゃあ……相手してもらおっか……なッ!!!」
レミリアは呆然と咲夜を見る中、憎悪と憤懣に支配されたフランはレーヴァテインは右手に持ち、咲夜目掛けて横へ薙ぎ払うようにして勢いよく振るうと、強烈な熱波と衝撃波が放たれ、湖の水面が大きく吹き飛ばされ、津波が起こる程の凄まじい衝撃波と呼吸すら困難になる程の熱波が咲に襲い掛かる……
直撃していない余波の時点で周囲に影響を及ぼすこの一撃が直撃してしまえば確実に人間の咲夜は原型すら残らなくなってしまうだろう……
ぐっ・・・・・!?
《なんて力なの・・・・・!?覚悟してはいたけど、こんなに強い力・・・・・》
(時を止める余裕すらも与えられないほどの絶大なパワー、そして容赦のなさ・・・・・
絶対に合わさってはいけない組み合わせを兼ね備えた最強、そして最凶の存在・・・・・
分身体でありながらも、恐らくは本体のフランドールよりも強いのではないだろうかと思えてくる・・・・・)
フラン(怒)
「哀の人格が貴方を好いているみたいだけど……私は違う!!」
レーヴァテインの一振で津波を引き起こす程の一撃を振るって見せた後、レーヴァテインを大きく振り上げ、次は今の一撃を確実に当てると言う意思を示した上で咲夜へ攻撃を仕掛けようとする。
カチッ・・・・・
攻撃が来るだろうとはわかってはいても、やっぱりこのスピードと威力は時を止めるタイミングに影響が出るわね・・・・・
(時を止めればそれこそ攻撃は避け放題ではあるものの、能力を有している咲夜は人間であることに対し、相手は分離した怒の感情のみが存在する怒りの権化・・・・・
能力の有利さだけではなく、能力を使える者が相手の動きに対応できるかどうかも関係してくる・・・・・
咲夜は、フランドールの視界に入らない後方へと移動すると、時を動かす・・・・・)
カチッ・・・・・
フラン(怒)
「…………!!!」
超スピードで回避しようとしても自分の動体視力は誤魔化せないし、防御を展開しようとしても、自分の振るう攻撃は並大抵の防御技では秒稼ぎにもならない。確実にこれで仕留めにかかるが、振り下ろしたレーヴァテインは紅魔館の塀の一部と霧の湖の一部を両断するだけで、咲夜への攻撃が当たらず、咲夜が反撃、或いは説得するための隙を作り出すことに成功する。
・・・・・予め言っておきますが、私はあなたと戦うことはできません、フランドール様・・・・・
(怒りという感情に身を任せることしか出来ないというのは、裏を返せばそれ以外の感情を知ることが出来なかったという悲しい事実の表れでもある・・・・・
咲夜は、フランドールとは戦うことは出来ないと言うが、咲夜からすれば戦いなどではなく話し合いによる平和的解決を望んでの意味を含んだ言葉だが、戦意を見せなかったレミリアとの戦いの後では、この言葉はフランドールには戦うまでもないという意味を含んでいるように聞こえるだろう・・・・・)
フラン(怒)
「……それはどういう意味……?
私となんて戦うまでも無いって事!?
ムカつくんだよ……そういうのッ!!!」
【運命「ミゼラブルフェイト」】
怒の人格が滾る憤懣の感情に任せて手にもったレーヴァテインを振るって周囲を炎の海に変えようとした直前で無数の紅い鎖がフランの四肢を拘束し、彼女の攻撃を不発に終わらせる。この鎖はレミリアが放ったものであり、万が一、フランが手に負えなくなった時、少しでもフランの動きを止められるようにするために編み出された技でもある。
・・・・・お聞きください、フランドール様・・・・・私も、そしてレミリアお嬢様も、あなたと戦うまでもないという意思は持っていません・・・・・
(怒の人格のフランドールの勘違いによる更なる怒りに、咲夜は自分も、そしてレミリアもフランドールのことを見下したりしているわけではないと誤解を解こうとする・・・・・
戦うことでの周りの被害及びフランドールを傷つけることを避けたいという意思表示をする・・・・・)
フラン(怒)
「うるさいうるさい!!私はそんな口車には乗らない……!誰も信じられるもんか!」
憤怒の形相を浮かべた怒の人格はギリギリと凄まじい力で自分を拘束する紅い鎖を引き千切ろうとしている……怒の人格は誰も信じられない、だからこそ全ての者が敵に見え、それらを破壊するために暴れまわる……その心の根底にあるのは周囲への不信と誰も信じられない自分自身への嫌悪から来ている……
・・・・・
スタ、スタ、スタ・・・・・
(フランドールの怒号を聞くと、咲夜はゆっくりとした足取りでフランドールに近づいてゆく・・・・・
咲夜の顔は、どこか寂しそうにも、悲しそうにも見える・・・・・
フランドールのことを哀れんでいるのか、それとも・・・・・)