たして2で割れたんだけどね

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1:ミルフィーユ:2015/07/10(金) 22:22 ID:cgQ

「酷い。これは理不尽だ」

何度目かもわからないその自分自身の言葉に落胆しつつ、私はもう一度前を見る。
姿見に映った少女………即ち私は、元から汚い顔をさらに醜く歪めながらこちらを睨みつけていた。
………おっといけない。こんな般若面してたら窓から偶然幼女が覗いていた時に逃げられてしまうじゃないか………ここ3階だけどね。

「怖い怖い」

あんたも女の子なんだから………そうそう表情和らげて___口角上げて______うん、いい感じ!
強面プロレスラーも腰抜かす、おぞましい変顔の一丁あがり〜………

って、違う違う!私がしたかったのはこんな化け物みたいな顔じゃなくって………もう少し……こう………んもう!いいや!無理だ!!!

ベッドの上に倒れこみ、枕に顔をうずめる。………もうヤダ。鏡見たくない………。
試行錯誤の末私が出した結論は、「ブスは可愛くなんかなれない」というごく当たり前の「事実」。化粧でもして顔作んなきゃダメだ。ありのままで好かれるなんて事はまずあり得ない。

………うん、やっぱり酷いよ神様!!
なぜここまで綺麗に÷2してくれたものか……なんて今更悶々と考えてももう遅いんだけど……別に、そこまで汚い顔のブスってわけでもないと思うんだけど……でもさ

『あの二人』がいるから私のこの顔はある意味目立ってしまうんだよ。

ーーー


深いため息で、腹の底から空気を吐き切った。

「お前が吐き出すその二酸化炭素のせいで地球温暖化が進んでるんだけど」
「うっせえ禿げろ」

何処から取り寄せたのか、外国語の経済新聞をめくりながら優雅に紅茶なんか啜って毒吐く美青年_____まあ要するに私の兄貴を横目で睨みつける。
私が脳内のボキャブラリーを駆使して返した言葉も、涼しげな顔して「路肩の雑草の方がまだ地球に貢献しているぞ」と一蹴。遠回しに私を全否定してるよこの人。殴っていいかな。

「おねーちゃん!女の子が『禿げろ』なんていっちゃダメだよっ!もうっ!」
「あら、可愛ったら聞いていたの?恥ずかしいわ。」
「………」

私としたことが、無垢な天使にあんな汚い言葉を聞かせてしまった………とまあ、本気で落ち込む私を微妙な顔して見てくる兄貴は置いといて。
………はぁ、今日も可愛いわぁ。超可愛いわぁ。

人差し指をぐっと突き出して、手を腰に当てて………典型的な『委員長ポーズ』を決め込み頬をぷくっと膨らませている天使______あ、間違えた。妹だわ。
なんせ、女であり、彼女と長年過ごしてきた姉である私でさえも見惚れるのだ。耐性のついていないそこらの男子が見たら眩しすぎて気絶しちゃうんじゃないかな。割と冗談抜きの方で。

「まじ可愛い…うっ……マジ……ぅぁ……可愛いすぎるぅ………」
「………………もしもし、××精神病院さんですか………ええ、ええ。……あ、すいません。もう末期状態かも………」
「お、おねーちゃん?どうしたの泣き出しちゃって………
あ、もしかしてお腹空いた?可愛がオムレツ作ってあげる!」
「ああああああああ!!!天然!!!!!天使だよこの子おおおおおおおお!!!」
「うるせえええええ!黙れフチカ!!!!電話してんの分かんねえかあああ!?」
「麗人お兄ちゃん………」

叫び声、悲鳴が飛び交う我が家。

勉学、家事、運動、なにをやらせても完璧な美青年の兄____川柳 麗人
クソ可愛くて天然で頭も良くてオマケにスポーツだってできちゃう妹____川柳 可愛

そして、その二人の間に挟まれた私___川柳 淵花

美人な母とカッコイイ父から生まれたのは、美青年と美少女とモグラの3人でした。


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