デジタルな価値観、リアルの価値観 -ver2.0-

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18:越後:2017/01/09(月) 15:07

【plorogue 5-2 -log out- 音楽の価値観】
            ◆

2ラウンド目。特にリザルトなどか出ないのもあり、基本1ラウンド目と2ラウンド目の間はそんなに時間が無い。
つまり、悔しがるだとか、勝ち誇るような時間を取らず、如何に早く次のラウンドへ調子を崩さずに持っていけるかが意外と大事なのだ。
...が、しかしだ。
調子を崩さないどころか戦法までそのまま2ラウンド目に持ち越してくるのは如何なものなのかと思うんですよね。
そう、彼女、全くさっきと戦法が変わってない。2ラウンド目だし変えてくるかと思ったのだが、変えたとすれば小パンチハメを小キックハメにしただけ。寧ろ劣化しているという始末。
勿論、どっちが勝つかなんてたかが知れていた。

周りが沸く。リザルトの画面が筐体に映る。時間短縮のため、その後も続くアーケードモード(要するにVS.CPU)放置プレイ、サクッと1クレジット(1プレイ分という意味)を消化。そのまま彼女がいるのであろう向こう側の筐体に向かう。
...当の本人は何かガチャガチャとレバーを動かしていた。
「何やってんのお前」
そう率直に聞くと、彼女は白けた感じで答えた。
「いやー、何かレバーの調子がおかしくて弱い技しか出ないのよねー」
「嘘つけコラ」
「チッバレたか」
何がバレたか、だよ。騙せるとでも思っているのか。大体パンチ、キックの大小はボタンの方なんだからレバー関係ないし。バレバレだ。どんだけ強情なんだこの人。
「...まぁ、それで次は何をやんの?」
「ん、あぁ、じゃあ...次は音楽ゲームの方かなぁ...」
そもそも何回戦までやるのかすら知らないのだが...まぁ恐らく三回戦位ろしておこう。その中での二回戦。それさえ勝てば三回戦をやる必要が無くなる訳だ。そこに音ゲー。これまた勝負に出たもんだと思う。

音楽ゲームとは、誰もが知っているであろう某太鼓ゲーなどをジャンルとして纏めたものだ。
何も太鼓だけではない。今や海外産のものやネットで扱われているクローンゲームなどを含めればざっと20種類以上はあるだろう。
しかもほとんどのゲームが毎年大きな規模の大会を開いているのは勿論のこと、何と会社の垣根を超えた四社合同大会が行われることもある。
実は現在最も勢いのあるゲームジャンルなのだ。
勢いがあるともなれば、勿論プレイヤーも腕利きが多い。そこら辺のゲーセンに行ってみれば、大体何処にでも「なんだコイツ」と言いたくなるようなトンデモ音ゲーマーが居る。それほどまでに人気があるのだ。そして、物によってはエグい難易度もある。

...そんな音楽ゲームだが、彼女が選択したのは細長く黄色に光る筐体だった。鍵盤のようなデバイスがあり、それを画面奥から流れてくるアイコンの通りに叩いたり、スライドさせたり、両脇にあるセンサーに反応するように手を上げ下げしたりするゲーム。
現在音ゲー界1インフレが早いと言われている物だ。...さっきも言った気がするが、本当に自信があって筐体を選んでいるのか、はたまたただのバカなのか本当に分からない。
そんなことを考えていたら、いつの間に既にマ選曲画面に移っていた。あれ、俺無意識にプレイ始めてた。こいしでも乗り移ってんのか俺には。
「それじゃ、曲はこっちで決めていいわね?」
そんな健気な声が横から聞こえてくる。半分呆れたように俺がゆっくりと頷くと、数秒経って曲が選択された。それを見て思わず「はぁ?」と声を上げてしまった。何故ならば...

...一曲目から最高難易度である13+が選ばれていたからである。


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