___お星様に、私の願いを託して。
はい、どうも閖時雨です。
こちらで書かせて頂いてます、
『殺虫剤』作者で御座います。
お分かりの通り掛け持ちしてます。
……はい、亀さん更新です。
まぁそんな訳で。
ええとですね、今回は『殺虫剤』とは
違う、恋愛ものを書いていきます!
至らぬ点ばかりですが、
どうかご支援の程、宜しくお願い申し上げます!
Rulu
・荒らし禁止
・なりすまし禁止
・スレ主の硝子のハートパリーン禁止
感想、アドバイスは常時受付中。
ですが辛口はNGで……はい。
Charactar
〇遠藤 華憐 Endou Karen ♀
恋愛未経験。熱しやすく冷めない。
恋心を抱けば、一途に突進。
〇池潟 真 Ikegata Shin ♂
容姿端麗、成績優秀、運動も出来る
絵に描いたような完璧。超人気。
〇椎名 舞 Shiina Mai ♀
華憐の親友で、彼氏が居る。
華憐に恋の良さを教える日々。
〇常森 慧 Tsunemori Satoshi ♂
舞の彼氏。超照れ屋。
どちらかと言うとイケメン。
Prologue
________恋。
そんなの、まだ早いと思ってた。
彼氏彼女の関係なんて。
そう___思ってた。思ってたんだ。
それなのに……なにこれ?
貴方のことを思うと、胸が苦しい。
胸が締め付けられるんだ。
_____これは
恋心に目覚めてしまった私の、
初恋物語____________。
Episode1.ペース
「__ねぇ、華憐。流れ星ってあるでしょ?実は……そのお星様にお願いすると、そのお願い事が叶うんだよ」
遥か遠い昔。本当に幼い頃。
お母さんから聞いた迷信。
あの頃の私だったら、なにを願う?
今の私だったら、なにを願う?
……分からない。
今の私に願い事なんて無いもの。
周りはカレカノだのなんだのと騒いでいるけれど、生憎私は興味無い。
そんなもの、時間の無駄だ。
「華憐!おっはよ!」
「舞……朝からテンション高いね。おはよ。悪いがわしゃ今から寝るのじゃよ、ふぉっふぉっふぉっ」
「いやいやどこの長老!?起きてよ!」
朝イチの突っ込み頂きました。
彼女は椎名舞。唯一の親友であり、彼氏が居る。舞自身はその恋に溺れている。……くだらない。馬鹿馬鹿しい。阿呆らしい。
「阿呆らし……」
「ん?なんか言った?華憐?」
「……いや、なんでもない」
無意識にポロリと口から出た独り言は、私の瞬きと共に消え去っていった。
「さぁて!!今日こそは華憐に恋の良さを教えてあげるよ!」
「……その言い方どうよ。大体私頼んでないし………」
「えー、コホン!」
うわぁ……。もう始まってるんだ。
舞はどこぞの教授の口調を真似て必死になにかを私に訴えている。
こうなると止められない。
ならば私に残された選択肢は1つ。
____ヘッドフォンを付けるのみ。
そう、話を聞かなければ良いのだ。
両耳に大きめの音量で私好みの歌が流れ込んで来る。まぁ私が好きなアーティストの歌を携帯に入れ、携帯本体にヘッドフォンを繋げて聴いているのだから当然ではあるが。
「__カレカノの関係というのは恋をした上での1つ目の目標で……ねぇ聞いてる?」
「………………」
「聞いてますかー」
「………………」
プツッ。
急に耳を傾けていた音楽が途切れた。
一瞬にして学校独特の騒がしさに、現実へと引き戻される。
「ちょっ……ヘッドフォン取んないでよ!」
「だって華憐聞いてくれな____」
「恋とかそういうのには人それぞれのペースってもんがあるでしょ!?」
キーンコーンカーンコーン……。
チャイムが学校中に鳴り響く。
皆が掃除に取り掛かる。
「……ま、いっか」
こうして私の少し長い1日は始まった。
Episode2.分からない
はぁ……。
1時限目から体育とは、ツいてない。
持久走の練習?需要無いでしょ……。
「次ーッ!小林、長谷川、池潟ーッ!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
『池潟』という名前が体育教師の口から出たことで、一斉に女子から歓声が上がる。
____池潟真。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。
おまけにイケメンという4連コンボのモテモテ男子。ちなみに彼女無し。
今まで幾千もの女子が告白し、フラれてきた。取り巻き曰く__『王者』。
誰にも屈しない、誰のものにもならないそのスタイルが好評らしい。
生憎、私はそんな情報を鵜呑みにするタイプじゃない。かと言って否定もしない。走ってる姿がカッコよくない訳じゃないし。
「次ーッ!常森、遠藤、斎藤ーッ!!」
うわ……。私の番じゃん。
一緒に走るのは常森慧か…舞の彼氏。
斎藤桜ちゃん……は、知らないな。
クラス違うし。……ていうかクラスもバラバラで走るの?
ピィィィィィィッ!!
喧しい笛の音と同時に走り出した。
常森は前までスポーツ万能、イケメンということでモテていたが、舞という彼女が出来たことで治まったらしい。
……ってか走んの速ッ!?
凄い………………。
2時限目、数学。
隣の席は池潟真。
横顔もまぁ……そこそこ。
あれ……私…………………………。
休憩時間。私は先程覚えた違和感について酷く考え込んでいた。
「ど〜したのっ!華憐……考え事?」
「舞……。……うん」
「なになに〜?恋の悩みなら任せてよねっ!!」
舞が「えっへん!」と言いながら胸を張る。
「はッ……はぁ!?違ッ……」
“違う”そう言いたかったのに。
何故か言葉を詰まらせてしまった。
「え……なに……マジ……?どうしたの、華憐……?」
「……なんでもない。大丈夫だから」
私は心配をかけないようにわざとらしく微笑んでみせた。
__だが舞は鋭かった。
どうやら見透かされたらしい。
「……嘘でしょ?なんか絶対……」
「…………舞?」
「へっ……あ、ご、ごめん。忘れて」
「うん……」
はぐらかされてしまったが安心した。
深くまで詮索されなくて良かった。
それにしても。
あの違和感は……なんだったの?
分からない。
Episode3.初恋
_____12月9日。
この日、私の青春を大きく変えることとなる運命が訪れる______。
ーーーーーーーーーー*ーーーーーーーーーー
「ひぇーっ!寒いっ!!」
「東北だし……仕方ないよ……。なんでそう舞はオーバーリアクションなのさ」
「華憐がクールすぎるの!!」
そんな他愛もない会話をしながら通学。いつものことだ。
「……ん?」
「ん?華憐、どした?」
「いや……あれ……」
私が指を差した方向に、舞も目を向ける。そこには____池潟真が居た。
……可笑しい。いや絶対に可笑しい。
普段池潟は取り巻きに赤いマフラーを無理矢理キツく巻かれ、苦しそうにしながら苦笑いでその取り巻き達と通学している筈……なのに。
何故1人?気になるが……。
取り巻きに殺されるのは事実。
やめておこ______
「池潟ー、なんで1人なのー?」
……は?
はァァァァァァァァァァ!?
ちょっ……おまっ……。
あまりの衝撃で声にならない悲鳴を上げ、パクパクと口を動かすしか無かった。なんで……なんでこいつはサラッと取り巻き云々や後先を考えず突っ走るの!?いつも!!いや待て、確か舞のモットーは……
“思い立ったが吉日”
Oh……。
すると、池潟はクルリと振り返った。
「おぉー!!遠藤と椎名ー!!」
「よぉー!!なんで1人ー!?」
「んー?
取り巻き達全員フッたからー!!」
……………沈黙。当たり前だ。
取り巻き達を全員……フッた?
なんだかよく分からないが……。
「はァァァァ!?」
「な、ななななんでフ、フ……フッた!?の……!?」
初めて池潟に話し掛けるということに若干の緊張を覚える。
「ん〜……。取り巻き達がウザくなったから?だな!つーか俺好きな人出来たし!!」
え……あ………。
そうか……。
あの不思議な分からない違和感……。
あれ……私…………………………。
あぁ……。
漸くあの違和感の正体が分かった。
私、池潟のこと……。
____好きに、なってたんだ。
違和感を覚えたあの日。
1時限目の体育の時からずっと、池潟のことばかり考えていた。
これが……あれが、好きって気持ち?
ーーーーーーーーーー*ーーーーーーーーーー
___これが、私の初恋。
ちっともロマンチックじゃないけど。
しょうもない理由で好きになってしまった、馬鹿な私。
だけど、気持ちは本当。
恋なんて、まだ早いと思ってたのに。
とんだ誤算だ。
計算が狂ってしまった。
でもまぁ、もうどうだっていいや。
今は……このまま、この気持ちのまま、様子を見るとしよう。
__なんだかんだで1日終了。
寝室に籠り、思考をリセットする。
_____好き、かぁ……。
思えば、異性に好意を抱いたのは初めてだった。じゃあこれが初恋……?
いや、まだ分からない。明日学校で自分を観察しよう。そうすればこの気持ちがなんなのか分かる……。
……もうなんか疲れたし、寝よう。
ーーーーーーーーーー*ーーーーーーーーーー
__翌日。
「ふぁ……お母さんおはよ」
「あら、早いのね華憐。おはよう」
適当に朝の挨拶を交わし、半熟の目玉焼き、白米、味噌汁という普通極まりない朝食が用意された食卓へと近付き、椅子に腰掛ける。
「頂きます」とも言わず、黙々と味噌汁をすすりながら白米を口へと運ぶ。
目玉焼きの中心を箸で押すと、てろてろと黄身が流れ出す。それを真顔で見つめながら昨日の考えを頭に引き戻す。……寝起きだからか、頭が思うように働いてくれない。学校に行ってからにするのが得策か……。
ーーーーーーーーーー*ーーーーーーーーーー
1時限目、2時限目、3時限目、4時限目、5時限目、6時限目……6時限目……分かっ、た……。私、やっぱり池潟が好きなんだ。昨日からずっと池潟のことばかり考えている。
初恋か……。
改めて実感すると、顔が赤くなった。
池潟に見られては……ないな。
でも……どうすれば良いんだ?
こういう時は……舞に頼むに限る!