【リレー小説】学園女王【企画?】

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175:藤井美鈴 時系列:放課後 場所:音楽室:2017/07/01(土) 15:06

「ハーイ!今から半音階のロングトーン始めまーす、8拍でーす」

「何で先生、いないんですか?」

「3人とも出張です。行きまーす、1、2、3」

コンクールまであと2ヶ月。課題曲はあと少しで完成だ。自由曲はやっと3分の1までいった。

「トランペット、少し高いから下げて!ホルンとクラ、音小さいからもっと大きくして!」

「「「ハーイ」」」

「パートで基礎練したと思うので、課題曲します」

コンクールの期日も迫っているというのに、今日はなぜか、顧問も部長もいない。顧問は出張だから仕方ないが、その上部長も欠席となると……。私の負担も考えて休んでほしい。

「クラとフルート、ピッコロ、Jから連符のところ転んでるから焦らないで。もう一回します」

「麻美先輩、ここ教えて下さい」

「ここは――」

1年生、これぐらいわかるだろう!?こんな簡単なのに!中学でも吹部でサックスやってたって言ったよね!?
――なんてことは勿論言わない。ほら、表面上は良い先輩だから、私。

「次、自由曲しまーす。前できなかったHの6小節目から、96でやります。少し早いけど頑張ってね!」

「えー」

「バス、みんなを支えるパートだから、指揮見て。それからパーカス、少しずれてるから気を付けて」

やっぱり自由曲は難しい。金管がメインだけど、木管のソロも多い。どうしようか――

「すみませーん‼遅れましたー!」

大声と共に、女子生徒が飛び込んでくる。ああ、遅刻の子か。誰だろ……って!部長じゃん!
やっと部長来たー‼救世主来たー‼ってことは――私の負担が減る―――‼

「あっ、部長来た!」

「おー」

「あとは部長!お願いします!」

「私、今来たばっかだよ!?」

「遅刻するから悪いんです。さっさと、準備してください!」

「は〜い、それまでやってて。そんなに時間かかんないけど」

「当たり前だよ!?トランペットでしょう!?……気を取り直して、Hからやりまーす」

「ハーイ」

みんなが真っ黒な笑顔なのはなぜ?と思いつつ、私もそうなっているだろう。

「部長、Hからソロまでやってください」

「「「やってくださーい」」」

真っ黒な笑顔、その理由は簡単。ただただ、部長をいじりたいだけ。
やってくれと言ったところ――Hからソロまで――は、一番難しいところ。遅刻したからと言って、そこの手本を見せてほしいと言っているようなものだ。いつも失敗して、笑われていていつも悔しそうにしている。今回もそうなるだろう。

「いいよー」

また、いつものところを間違える――と思ったが、間違えずにちゃんとできていた。

「え―――!?」

「何で‼」

何もかも完璧にできていた。1週間前までできなかったのに。


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