誰もいない一つの教室の中。
そこには、風花 百合香がいた。
常に冷静、同時に冷血な彼女が。
そこに、一つの影が。色で例えれば、黒。
2字の言葉で例えれば、下衆。
「会長………お会い出来ましたねェ………」
そこには、痩せ細り、目にはくまが。
完全に狂人と化していた、片原 拓也が。
「………誰かしら?」
百合香にとって、どうでも良い手駒。
それどころか、足を引っ張るだけの塵の顔など、記憶する必要もなくなった。
「俺ですよ………生徒会、片原 拓也………へへへへ………」
「本当に覚えのない人ですから、立ち去っていただけないかしら。」
「覚えて………ないい?」
「ええ。」
「駄目じゃあないですか会長!」
拓也は机を蹴り倒し、百合香へ歩み寄る。
じりじりと、じりじりと、少しずつ距離を積める。
「俺のことを忘れちゃ、会長は駄目ですよ。
俺が、貴方のことを一番知っていて、貴方の理解者ですから。」
まさにストーカー。
拓也はやや後退りする、百合香へ歩み寄る。
色欲な目をして。