イケの中

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧キーワード▼下へ
1:リリカ@恋歌◆JA:2017/03/12(日) 16:19

川面に、私の姿が映る。

石を投げ込むと、チャポンと、沈む。

私も、消えてしまいたい。

儚く、泡になった、人魚姫のように。

そして私は_________

2:リリカ@恋歌◆JA:2017/03/12(日) 16:33

金坂葵、14歳。

人生に、絶望している。

学校に行けば、結菜にいじめられる。

家に帰れば、お母さんに打たれる。

行き場のない、怒りだけが、日々溜まっていく。

妹の茜は、私に優しいけど、目には軽蔑の光がある。

お父さんはいない。

茜が生まれたときに、死んだ。

事故死だった…。

お父さんが、生きていれば、こうならなかった。

何度思っただろう。

お母さんは、お父さんが死んでから、疲れて、私に手を出し始めた。

「あんたなんか、生まれなければよかったのに。」

何度も、何度も、言われた。

日々、疎まれていく。

なら____

いっそ、この世から、消えてやる。

そう、決意した。

3:リリカ@恋歌◆JA:2017/03/12(日) 21:27

決意して、今日決行!

近くの、殿川。

流れは、ゆるやか。

底は、深い。

「よし!」

声を上げて、殿川に飛び込んだ。

冷たい水が、私の身体を包む。

泡が、ボコボコとたつ。

寒い。

死ぬ、よね。

あれ、息ができる。

目も開けれる。

「……気づいたか。」

澄んだ笛の音のような、不快な金切り声のような声がする。

目の前には、短いアイスブルーの髪と、深緑色の瞳の、カッコイい男の人がいた。

「あの、此処は??」

「此処は、殿川の深き底の、その先の底の国だ。」

えっ……。

そんなところなの!?

「あなたは?」

「我は、殿川の水神。」

水神……!?

「そなたは?」

「金坂葵、14歳です。」

ほぉと、水神は、顎をなでる。

「そなたは、我の花嫁としよう。」

花嫁…!??

「リュー、クラウ。」

水神が、誰かの名を呼ぶ。

銀髪の、短い髪の深い蒼の瞳の男の子と、黒髪の、(こちらは、少し長い。頬にかかるくらい。)黒色の瞳の男の子が出て来た。

「お呼びでしょうか?」

「うむ。葵、銀髪の方は、リュー。黒髪の方は、クラウ。我の眷属だ。」

2人とも、カッコイい。

4:リリカ@恋歌◆JA:2017/03/12(日) 21:42

「「葵様、よろしくお願いします。」」

あ、葵様!?

今まで呼ばれたこと無い。

水神は、

「葵、急で悪いのだが、朱火のもとに向かってくれないか?」

……朱火??

「朱火と言うのは、海の果ての国を治める、水神だ。我の花嫁、と挨拶してくるだけで良い。」

水神かぁ…。

緊張するなぁ。

「連れに、リューがつく。心配するな。」

リュー(呼び捨てでいいかな?)が、うなずく。

大丈夫だよね…?

「それでは、行って参ります!」

私は、リューと共に、朱火様のもとに向かった。

5:リリカ@恋歌◆JA:2017/03/13(月) 07:03

葵が、リューと旅たった後。

水神は、不思議そうに、水晶玉を見る。

そこに映っていたのは。

葵とそっくりの、少女が駆けずり回っている様子だった。

『お姉ちゃん、帰ってきてよ!お願い!!お姉ちゃんを、助けるから!』

場面は、切り替わり。

ショートカットの、少女が大声を出している。

『金坂、今まで悪かった!!!!お願いだから、戻ってきて!』

「葵は、こんなに好かれて、いるのにのぉ。」

水神は、不思議そうに、笑う。

クラウは、じっと、水晶玉を見ていた。

6:リリカ@恋歌◆JA:2017/03/13(月) 20:42

私は、気になったことを口にする。

「朱火様って、強いの?」

リューが、ブルリと震えながら、

「そりゃあそうですよ。この間、挨拶に行って、失礼なことを言ったら、俺、飛び魚に変えられたんですよ。」

飛び魚!?

失礼なことって!?

いろいろツッコミたい。

と言うより、

「リューって、何歳なの?」

リューは、不思議そうに、言う。

「116歳ですよ。」

116歳!?

眷属になってから!?

すごいなぁ。

こんなゆったりとした、田舎にいたなんて。

「ちなみに、好きな子はいた?」

リューの顔が、赤くなる。

7:リリカ@恋歌◆JA:2017/03/13(月) 20:55

「いましたよ、麗奈って言う子が。」

へぇ〜!

どんな子だったんだろ?

聞きたかったけど、止めた。

リューが、青くなっているから。

「葵様、此処は気をつけてください。」

どうして?

「化流と言う、水神になれなかった、者達が、花嫁様を狙っていますから。」

リューは、私の顔をジイッと、見つめる。

「大丈夫だよ!」

自信満々で言う。

リューは、心配げに、ゆっくりと歩を進める。

ゴォー

あたりの水の流れが変わった。

ゆったりだったのが、荒れ始める。

「化流が、近付いています。」

化流…か。

ぼんやりしていると。

ゴォー

竜巻のような、激しい音が近付く。

初めて私は、恐怖を感じた。

時すでに遅し。

泥のような、竜巻が私を取り込む。

『どうして、……………が‥水神に‥。』『どうして、私じゃない。』『許さない。』『花嫁を取り込もう。』『永遠に、苦しむが良い。』

たくさんの、怨念の言葉が、うずまく。

「イヤッ!」

拒絶しても、怨念が私に集中する。

意識が、なくなる。

8:リリカ@恋歌◆JA:2017/03/13(月) 21:41

気がつくと。

目の前に、リューの顔があった。

「ワアッ!?」

ビックリした〜!

だって、リューはカッコイいんだよ?

目の前にあったら、余計ドキドキするよ。

「…葵様…良かった…。」

心なしか、リューの体から、血が出ている。

あちこちに、傷がある。

「もしかして、助けてくれたの?」

そう聞くと、リューは真っ赤になった。

リューの傷を縫い、再び歩く。

朱火様の所、まだまだかぁ。

でも、水の中だし、そんなに辛くない。

そこは、嬉しい。

けどさ。

花嫁って、今更に分からない。

何で私が…!?

水神の花嫁に!?

普通の疑問が、駆けめぐり始めた。


続きを読む 全部 次100> 最新30 ▲上へ
名前 メモ
画像お絵かき長文/一行モード自動更新