教師のホンネ

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1:和菜◆h.:2017/05/05(金) 21:51

かけもっちゃった。完全フィクション、てか勝手な想像


花最 純菜 カサイ ジュンナ (26)
教師3年目。今年薊(あざみ)中学校へ赴任してきた。理科担当。独身。

中島 望 ナカジマ ノゾミ (29)
教師5年目。二年前薊中学校へきた。国語担当。独身。

赤城 優 アカギ ユウ (24)
新任教師。社会担当。独身。

高見 賢人 タカミ ケント (44)
ベテラン。薊中学校に8年程勤めている。数学担当。既婚。

野田 桜子 ノダ サクラコ (34)
4年前薊中学校へきた。英語担当。既婚。

高須 龍雅 タカス リュウガ (29)
教師5年目。昨年薊中学校へきた。体育担当。独身。

2:和菜◆h.:2017/05/05(金) 22:02

4月。薊中学校への異動。教師3年目の私にとって異動は初めてで緊張する。
どんな先生、生徒がいるかな、とか、どんな子と仲良くなれるかな、とか、なるべく明るく考えながら車を走らせる。

ついた。そう大きい学校ではないけれど、この職員駐車場まで掃除が行き届いていてとてもいい雰囲気。

ガラガラガラッ

「おはようございます……」
「おはようございます!花最先生ですね?席はこっちです」

元気な若い女性が私の職員室での席を案内してくれる。

「あ、私は中島望と言います。同じ一年部担当なので、よろしくお願いします!」
「よ、よろしくお願いします!」

中島先生のみならず、職員室全体が誰でも迎え入れられるような温かい雰囲気。とてもいい学校に来れたな。素直にそう思った。

3:和菜◆h.:2017/05/06(土) 21:47

それから入学式まではあっという間だった。

私は1年3組の担任。そして、各クラスの先生は1組から
赤城先生、中島先生、私、高須先生。主任は高見先生、副担任は野田先生。

それぞれ挨拶をし、自分のクラスの学級開きの準備。これが意外にも楽しい。

「どう?花最先生。薊中は」

高見先生。初めて薊中へ来てから6日。まだ緊張のとけない私に優しく声をかけてくださる。

「すごく良いところですね。まだ生徒には会ってないけど、先生だけでもすごく良い雰囲気で。明日の入学式が楽しみです」

「そう。ならよかった!」

ちょっと盛った事実を言うと、高見先生は嬉しそうに職員室を出ていった。

4:和菜◆h.:2017/05/06(土) 22:15

入学式当日。私は新任式にも出席するため、すぐには生徒に会えないし、入学式前に生徒と話すこともほぼない。

「笹野田小学校から来ました、花最純菜と言います。よろしくお願いします」

パチパチパチ…

新任式は無事終了。無難に終わった。
次が本番、入学式。私、というか1年生の担任にとって最大の試練は、自分の受け持つ生徒の名前を、全員噛まずに呼べるか。
ここで噛むと、生徒にも申し訳ないし、なにより自分がはずかしい。
そうこう考えてるうちに、2組が終わった。よし、次だ。覚悟は決めた。

「1年3組 男子 浅井優真 磯貝哉斗……………山田唯奈 吉川芽衣」

ふぅ。やっぱ私は本番に強い!普段はかなり舌がまわってないけど、こういうときだけはうまく言えている自信がある。
そして担任紹介。校長先生が先生の受け持つクラス、名前、担当教科、部活動を紹介する。



「1年2組、中島望、国語、女子バレーボール部」

「1年3組、花最純菜、理科、吹奏楽部」

…………

そう。たったこれだけ。はい。終わり。今日の仕事、終わり。

かと思いきや…学級活動をすっかり忘れてた。
教科書、書類の配布、説明、私の自己紹介、クラス写真の撮影など……。
色々あったのに全部忘れてた私、どうかしてる。どうしよう、自己紹介なにしゃべろう、、

「1年3組の担任となりました、花最純菜です。漢字は黒板に書いた通りです。えっと?好きな食べ物はビール片手に食べる枝豆やスルメですかね。でも甘いものも好きですね。趣味はスマホゲーム、特技は早口言葉です。1年間よろしくお願いしま〜す」

たどり着いた自己紹介がこれ。保護者の前でしょっぱなから飛ばしすぎなような気もするが咄嗟に出た言葉がこれなのだから、しょうがない。
とりあえず、これからクラス写真の撮影をしたら生徒は下校。一休みできる。だからもうすこーし、頑張ろう。

「はぁい、撮りまーす。3,2,1カシャッ
…はぁいオッケーでぇす!」

ふぅ。終わり。これで本当に終わり。

生徒たちを門の前で見送り終え学職(学年職員室)に入ると、早くも疲れきった顔の中島先生が座っていた。

5:絵菜◆8Q ( -.-)ノ ・゚゚・。dice1:2017/05/07(日) 15:15

いいですね。
私の夢は教師ですが、とてもいい感じだと思いますよ。

6:和菜◆h.:2017/05/07(日) 22:28

>>5
あ、ありがとうございます///
教師が夢なんですね!頑張ってください

7:和菜◆h.:2017/05/07(日) 22:39

「な、中島先生…?大丈夫ですか?」

「う〜ん、まぁ、ちょっと………ハァ」

私が薊中へ来てからずっと優しく明るく振る舞ってくれてきた姿からは想像もつかないようなため息。

よくよく話を聞いてみると、小学校から問題児として有名だった子が、しょっぱなからやらかしてくれたらしい。

「…それでもう、ヤバいんですよw」

「なるほど……お疲れ様です、、」

自分のクラスはパッと見た限り問題児らしい問題児は見当たらなかった。
しかし、例の問題児もいる3組の理科を受け持つことは決まっているので気分が少し重くなる。

「まぁお互い頑張りましょ。今日は飲み行きませんか?」

「いいですね!行きます!」

「え、待ってください、お二人行くなら僕らも…」

赤城先生、野田先生、高須先生、そして高見先生。

「いいですね、じゃあ皆で!」

中島先生のその一言で、一年部の先生皆で飲みにいくことに。
私は正直まだほとんど会話していない赤城先生、高須先生、野田先生には緊張してたけど、決まったら行くしかない。

8:和菜◆h. hoge:2017/05/10(水) 22:15

「かんぱ〜〜い!!」

結局集まったのは、中島、野田、赤城、高須、高見、先生。まとめると1年部全員集合ってことになる。

早くも愚痴をこぼす中島先生、新婚ラブラブ生活を披露する野田先生、酔っぱらって踊りだす赤城先生……。
それぞれまぁ個性が強いこと。
とか言う私もなかなか個性あるけど笑
そんな個性溢れつつも優しい1年部の先生たちとなら、うまくやっていけそう。そんな気がした。

9:和菜◆h. hoge:2017/05/10(水) 22:26

飲み会も終わり、今日もまた学校。朝から教室で昨日の入学式仕様の黒板を消していると、ポケットの中のケータイが鳴った。LINEだ。

「1-3の山本唯奈です。体調不良で欠席します」

何で私のLINE知ってるの!という驚きと若干の恐怖心に襲われる。
でも、昨日の印象は良い唯奈さん。ここは無難に返事して、明日にでも事情聴取といきますか。

「分かりました。お大事になさってください」

ふぅ。山田唯奈。待ってろよ。必ず正体突き止めるからな?
誰も待っていない廊下へ出て深呼吸。





いかん。眠すぎてかけない。また。

10:和菜◆h. hoge:2017/05/11(木) 21:52

そしてパン、と一発手を叩いて教室へ戻る。
これ、小さい頃からの習慣。
何かあると、必ず一人で手を叩いてスッキリする。ことの重大さにより、叩く回数はさまざまだ。

ようやく今朝やるべきことを終えた頃、辺りがザワザワし始めた。生徒が登校してきたからだ。
次々と教室へ入ってくる1-3の生徒、一人一人に挨拶をする。
そして、昇降口での挨拶運動への参加を促す。

7時45分。そろそろ行きますか。私も中島先生に連れられ、挨拶運動へ。

「花先生おはようございます!」

「!?」

え?私のこと?花、先生……
首をかしげていると、次は

「花最先生!!おはようございます!!!」

とさっきより大きめの声が聞こえた。

「おはよう〜」

挨拶を返しつつその声の主の顔を見る。
えっと…あぁ、3組の子じゃん。名前…えっと。浅井ゆめかさんだ。昨日早くも圧倒的なリーダー的存在感を見せつけてたゆめかさんだ。
さすが、リーダー。先生のこといきなりあだ名呼びするなんて!

「ゆめかさん」
「はい…?」
「さっき、私のこと何て呼んだ?」
「…花先生……ですw」

怖がってるのか笑ってるのかよくわからない表情で答えるゆめかさん。
ま、ここは優しくいきますか。

「もー、いきなりあだ名呼びとか、やるね〜w」
「そうですか?wいいじゃないですか!」
「うん、良いよ〜、よろしく!」
「はい!よろしくお願いしま〜す」

いい子!リーダー任せた!

「挨拶運動終わりでーす、お疲れ様でしたー」

高見先生の声が響く。皆ゾロゾロと教室へ戻っていく。
その中で私たちは昇降口で打ち合わせを始めた。

11:和菜◆h.:2017/05/13(土) 21:54

新学期が始まってはや2週間半。
学級組織も決まり、だんだん落ち着いて生活できるようになってきた。
1-3の級訓(クラス目標)は「しおこしょう」
わかる人にはわかる。志、思いやり、個性……とかいうやつ。

そして今日は我が3組での初授業。
1、2、4組はもう既に授業は始まっているのに、なぜか3組だけまだだったのだ。

「今から2時間目の授業を始めます」
「「「はい」」」
「お願いします」
「「「お願いします」」」

うーん、挨拶、イマイチ。揃ってはいるんだけど、大きさ……。

「ちいさーい!やりなおしいい!」

そんな怠そうな顔しない!

12:和菜◆h.:2017/05/17(水) 22:23

他クラスよりも明らかにゆるっとしすぎている雰囲気が、3組の長所であり短所でもある。私もこの短い間だが少し悩んでいた。
でも、その雰囲気の他にも何とかすることがあったようななかったような…

あ、、。まだ学級組織の掲示してない。あーぁ。せっかく書いたのに!!

「先生!心の声!ww」
「しかもめっちゃ間抜けwww」

うっかり「あ」とかいう間抜けな声が漏れていたらしく、初日から問題児の山田唯奈と、リーダーの浅井ゆめかからツッコミが入ると、ドッと笑いが起こる。

「すいませんね!じゃ授業始めまーす」

気をとりなおして授業再開。それからはいい感じに授業は進み、無事今日やる予定のところには間に合った。

(掲示は皆の下校後に無事終わらせた)

13:和菜◆h.:2017/05/17(水) 22:39

う〜ん。緊張?いや、楽しみ?いやいや、不安?…………

5月も半ば。今日から1年生は宿泊学習。(通称:宿泊)
もちろん担任の私も行く。
実は私、宿泊に行くのは初めて。期待あり、不安ありのビックイベント。
この宿泊は、再来週にある体育祭へ向けてのクラスの団結力を高めるチャンス。体育祭で優勝するには、ここから手が抜けないのだ。

「行ってきま〜す!!」

青空が広がる運動場で出発の挨拶をし、バスに乗り込む。
私は3号車。もうこの時点でかなりワクワクしている。もしかしたらクラスで一番テンション高いかも。

朝9時なのに興奮ぎみの私とやたら大人しい3組の生徒たちを乗せたバスが山に到着。ここから宿舎までは300m程なので、歩いていく。

トントン

誰かに肩を叩かれた。
クラスではかなり大人しい三浦美穂さん。
まだほとんど会話を交わしていない相手の一人である。

「どうした?」
「ひなたが転びました」
「あらっ。どのへん?」

出た出た、怪我人。(?)
大体、誰かしら怪我しますよね。分かってました。でも正直、それがひなたさんなのは意外。

14:和菜◆h.:2017/05/22(月) 21:22

「大丈夫〜?」
「え、あ、はい…」

とりあえず戻りひなたさんのもとへ。
わー。かなりの出血。こういうときって、どうするのがいいんだっけ?
しかし本人は落ち着いた様子で立ち上がる。

「えええ、ほんとに平気!?」

怪我をした本人よりずっと驚く私に若干戸惑う美穂さんとひなたさん。失礼いたしました。常にテンション高いんですよ、私。

随分と落ち着きのある2人とともに、ゆっくりと宿舎へ到着した。

15:和菜◆h.:2017/05/22(月) 21:31

ひなたの怪我の手当ても終え、入所式、宿舎の部屋配置の確認をすると、早くもお昼の時間。今日は持参したおにぎりを食べることになっている。

「「「「いただきまーす」」」」

今朝コンビニで買ってきた大好きな鮭おにぎりを静かに頬張っていると、近くにいた男子が言いづらそうに、ボソッと何か話しかけてきた。

「………した…」
「え?」
「昼ごはん…れました………」

ハァ………。でたでた。中島先生から聞いてた、初日恒例『弁当忘れ』。

「…はい。どーぞ。」
「あ、、すいません。ありがとうございます…」

しょうがないからツナマヨをプレゼント。おにぎり3つ買って良かった〜。嫌な予感はしてたからね。

16:和菜◆h.:2017/05/22(月) 21:48

昼食後は学級タイム。今夜の学年レクと2日目夜のキャンプファイヤーに向け、学年レク競技の大縄や級訓、担任紹介の練習をする。3組はまず級訓、担任紹介の練習。

「「し!こころざしぃ!」」
「「お!思いやりぃ!」」
「「こ!個性ぃ!」」
「「しょう!笑ぅ!」」

画用紙をあげながら全員で叫ぶ。
…はずだが、もちろん声を出すのは一部だけ。みんな人任せ。

「ストップ。全員声出せてる?」

「「「……………」」」

「みんなでやるって決めたんでしょ。級訓とか担任紹介全力でできない人たちに、体育祭勝つ資格なんてありませんよ」

嫌われても叩かれてもしらけても、たまにはこういうこと言わなきゃね。

「さ!練習練習!!学級委員さん!」

ーーーーーーーーーーーーーーー

「薊中のスーパーアイドル!!!」
「「「「花最!花最!じゅーんーなっ!!イェーーイ!!!」」」」

少し雰囲気が良くなった気がする。自分の名前全力で叫ばれるって、なんか照れくさいけどね。笑
そろそろ外に出しても恥ずかしくない紹介になってきたかね?級訓のときの声もなかなか悪くないし!

「はーーい!お疲れ様でーす、次大縄するので体育館シューズ履いてアリーナにきてくださーーい。場所は2組の隣でーす」

17:和菜◆h.:2017/05/25(木) 22:26

楽しい楽しい宿泊も、ついに2日目の夜。だんだんと寝不足の辛さに襲われる。
昨夜の学年レクは3組は2位。なかなかいい調子。
そこからのキャンプファイヤーでは、級訓、担任紹介がある。これにも何故か順位がつけられるらしく、審査基準は、クラスや担任への愛と声の大きさとのこと。これは負けるわけにはいかん。3組、愛だけは負けないぞ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「は〜い、お疲れ様でした。順位発表します」

まだまだ元気な高見先生の声が、マイクを通してアリーナに響く。

「3位……1組!」

お、まだいけるぞ。

「2位……4組!!」

お?お?お?良いじゃん。

「1位…………………3組!!!!」

「「「キャーーーー!!」」」

よっしゃ!やったぞ3組!プライド捨てて純菜コールした甲斐があったな!

この勝利には私だけでなく3組は皆テンション高く喜んでいる。
そして学級委員のゆめかさんと大成くんが賞状とミニトロフィーを受けとると、拍手が起こる。

こういう嬉しさって、担任ならではで良いよね。よし、体育祭もファイトだ!

ーーーーーーーーーーーーーーーー

無事キャンプファイヤーの企画は優勝し、クラスの反省タイム。
優勝したのだから、文句なんて何もない。それに、素晴らしいことに3組は、生活態度まで良いからもう誉め言葉しか出ない。

「……てことで、明日は最終日なんで、このまま気を抜かず一生懸命いきましょー。以上でーす」

うむ。いちばん気を抜いてるのは恐らく私だろう。
まぁでも、やっと迎える最終日。家に帰ったら思う存分寝れるし!あと少し頑張ろう!

18:和菜◆h.:2017/05/26(金) 22:57

「「「「ただいま〜!!!」」」」

ふーぅ。これで一段落。熱気のこもる体育館で安堵のため息をつく。

「………次、花最先生のお話です」

中島先生から、マイクを受けとる。そしてフゥッと深呼吸し、礼をする。

「3日間、お疲れ様でした。………」

みんなの前で話す機会というのは思いの外少なく、前の学校の頃から毎回緊張する。でも、きっと疲れた体につまらない長話なんぞ入りはしない。ちょっと楽しいエピソードでも。

「……で、アンポンタン学級委員の大成くんがですね、カレーのルーを全部割っちゃって!」

良かった、みんなちょっとリラックスしてるね。でも大成くん、ごめんよ。お名前拝借しました、、


よし。これでほんとに終わり。学級通信を書いたらすぐ帰って寝よう。

19:和菜◆h.:2017/05/26(金) 23:01

学級通信。はぁ。これ、意外と時間かかるんだよな〜。

宿泊学習、お疲れ様でした

長いようであっという間の宿泊学習が終わりました。皆さんは、この宿泊でどのように成長することができたでしょうか。

……………………

20:和菜◆h.:2017/05/28(日) 09:59

(今日は主の趣味が出まくりますご了承ください)



宿泊後最初の登校日。みんな、ひとまわり、、いや、それ以上に成長した、中学生らしい顔つきになっていてなんだか嬉しい。

「先生!おはようございます!」
「おはよう〜!」
「今日から体育祭の練習ですね!楽しみです!!」
「おー!そうね!がんばろー!」

学級委員のゆめかが笑顔で語りかけてくる。もう体育祭のこと考えてくれるあたり、さすがだな!体育祭も優勝できそうな予感…!!


「体育祭応援合戦のテーマソングを発表します
……
1年生、Hey!Say!JUMPの明日へのYELL、2年生………………」

おー!明日へのYELLって、知ってるぞ!いい歌!集会でこんなにテンション上がったの、初めて(笑)

教室に戻ると放課。早くも明日へのYELLが流れていた。

「♪今はまーだ、見えなくて〜も…」

ちょっと口ずさんでみる。するとすかさずツッコミ。

「あ!先生も歌ってる〜!!!」

そら歌うよ!この曲好きだもん!なんて心の中で言い返しつつ、次の学活の準備。

キーンコーンカーンコーン

学活。体育祭に向けて仕事を決めていく。

「………てことで!横断幕7人、小道具10人、振り付け5人、各競技の作戦係8人です。やりたいところで手をあげてくださーい。人数は場合により多少前後してもいいでーす」


はい。決まり。なんか予想通りな感じ!

横断幕はひなたと美穂を中心に絵が得意という7名。
小道具は器用でアイデアもあるがなかなか私のLINEを消そうとしない唯奈を中心に8名。
振り付けはリーダー格のゆめかを中心に、少し増えて7名。
競技の作戦係は運動が得意な男子たち8名。リーダーはアンポンタン学級委員の大成。でも頭の良い優や真面目な駿都もいるので安心。

さぁ、いきましょう!3組の体育祭!
絶対優勝!!!!!!

21:絵菜◆8Q:2017/05/28(日) 19:57

また、読ませていただきました。
私たちの級訓も、『志思個笑』です。
意味が多少違いますが。
宿泊いいですねえ。
私たちも行ってきました!
初めて、私たちのクラスでの団結が生まれました。
その感じが伝わってきました。
はい!
教師になれるように頑張ります。

22:和菜◆h. hoge:2017/06/02(金) 22:52

>>21
おお!ありがとうございます!!
級訓しおこしょうなんですね!
宿泊のお話は、私の思い出を少し借りました。笑

23:和菜◆h.:2017/06/02(金) 23:00

体育祭まであと2週間。
薊中には体育祭の特別日課まであるらしく、7時間目の学級タイム、その後も18時まで自由に残ることができる。だから部活はなくなる。
教師と言えどもあまり体力に自信がない私からしたら、部活にしてくれたほうが有難い。でも決まりは決まりだ。どうせならここでいっちょ頑張ってれ3組が優勝をもらおう。

「花最先生、体育祭ノリノリですね」
「まぁ!3組は優勝しかないんで」

最近、中島先生にも少し素を出せるようになった気がする。生徒たちだけでなく、先生たちも絆が深まりつつある今日この頃。今日の朝の打ち合わせでは、高須先生が一発芸を披露し、見事にしらけたところだ。

24:和菜◆h.:2017/06/02(金) 23:18

〜〜♪♪

「「「3組優勝!!!!!」」」

「「「しおこしょう!!!」」」

「「「かさい じゅんな!!!」」」

この3語を中心に、応援合戦はとにかく叫ぶ、叫ぶ。応援合戦のダンスは動きも大事だが、一番はやはり声の大きさだと高見先生から聞いた。比較的声が出やすい3組は、どの競技よりも応援合戦に力を入れている。

「もっと、声を歌のリズムに合わせたほうがいいと思う」
「声と動きが違いすぎるよね」
………
「先生!これどう思いますか?」

あぁ、なんか嬉しい。こういう姿見てるとね。一緒に頑張りたいって思えるわ。
特に、ゆめかは最近いつも以上にリーダー意識が高く、誰よりも声を出していて、すごく頑張ってると思う。

「うん、いいと思う!」

オッケーの返事をすると、ゆめかは嬉しそうにみんなの元へ駆け寄り、オッケー頂きましたっ、なんて言っている。



「こんなに皆頑張ってるなら、勝っても勝てなくても楽しいよね…まぁ勝つけど」

小さな小さな声だった。たまたま絵の具を取りに戻っていたひなたが美穂にそう呟いていた。

めちゃくちゃいい言葉やないの。
最近リーダー系のゆめかたちと絡み始めて、体育祭にも少し、熱が入っているようだった。

25:和菜◆h.:2017/06/03(土) 21:55

1-3 学級通信No.7 志思個笑

初めての体育祭まであと少しですね。みんなが楽しそうに準備や練習を進めているのを見て、先生も楽しくなってきました。
ですが、体育祭まで残り1週間を切ると、なかなか楽しいだけでは進めなくなると聞きました。
そんなとき、支えてくれる仲間をどれだけ信じてどこまで一緒に頑張れるかが大切だと、先生は思います。
とにかく全員で、明るく頑張っていきましょう!


【今週の名言】
今週も心に響く名言、たくさんありました。これはみんなが体育祭練習を頑張っている証拠。ありがとう。

「楽しいだけじゃ良い体育祭にはならない」
by高見先生
月曜日、朝の打ち合わせにて。

「こんなに皆頑張ってるなら、勝っても勝てなくても楽しい」
by松井ひなた
水曜日、学級タイムにて。

「勝つより全員楽しむことを優先したい」
by浅井ゆめか
水曜日、2限学活にて。

26:和菜◆h.:2017/06/03(土) 22:14

う〜ん。今回の学級通信は、少し頑張った。授業ない空き時間、まるっと1時間かけたからね。
時々載せる、名言のコーナー。これ意外と好きで。今週は出そうと思ってずっと聴覚を研ぎ澄ましていたかいあって、史上初(と言ってもコーナー3度目だが)、3つ同時に名言を載せることに成功した。これは、自分的には素晴らしいと思う!!!

…しかし。書き終えた学級通信のことなんて振り返っても仕方ないので2組の体育の授業を偵察に。


「「「いーち、にーい、さーん、し…あー。」」」

大縄。うん。これは勝てそう。とか思ってたら顔がにやついてたのか、いつの間にか現れた中島先生からツッコミがはいる。

「ちょっと花最先生!3組にだけは、勝利譲りませんからね!!」
「い、いや!優勝旗は3組が頂きますから!!!」
「そんなわけ!優勝は2組に決まってます!」

なんて言い合いを始めると、2組の生徒もこちらに気づいたのか、手を振りながら、「中島先生!フラグ立てないでくださああああい」と叫んでいる子がいる。

「いや、回収しなきゃ言い話なんだから!大縄100回跳んでね!!」

そう元気に返事を返していた中島先生は、またいつの間にか私の隣から姿を消していた。

27:和菜◆h.:2017/06/04(日) 08:06

7時間目、学級タイム。
今日は騎馬戦の3,4人組を決める。
3組は30人だから、3人組が2つと、4人組が6つだ。
3人は4人より危険なので、運動神経が良いメンバーを選ぶようにと、高須先生から言われている。
この中で運動神経が良さそうなのは…
と色々見てみるが、さっぱりだ。
体力テストの記録や普段の様子を見てもなかなか分からず、最終的にはみんなに直接聞くことに。
男子は学級委員の大成、野球少年だという慶真、筋肉がスゴいと噂の晴人。
女子は陸上部エース候補の唯奈、バレーが得意な楓、吹奏楽部に入ると言っていたが運動神経はめちゃくちゃ良い沙依に決まった。
そして、色々試し4人組も完成。
全員が競技参加報告用紙に名前を書き終えたら、とりあえず半分に分けて戦ってみる。

お。やっぱ3人組は強いか?でも向こうも今取ったな。

「ピピー! はい終わりー、はちまき相手に返してくださーい」

うんうん、分かったぞ。
おそらく3組は…騎馬戦弱い!
隣で1組もやってるが、到底追いつけるようなものじゃない。
にしても、騎馬戦は得点高いから勝たなきゃ優勝はないだろう。早急に作戦を練らなければ。

…なんて言わずとも、ゆめかと大成が話し合っている。よくできた学級委員だ。!
しかし数分後、首をかしげながら私のもとへやってきた。

28:和菜◆h.:2017/06/05(月) 22:03

「先生、これって……………」
「…ごめん!もう報告書書いちゃったから変えれないの」

やっぱりな。問題、担任にあり。
後先考えず組を報告書に書いてしまうあたりは、絶対見習わないでほしい。
本当にごめんよ!!!!


それでも3組は強い、強い。どんどん作戦を練っていき、回数を重ねるごとに、うまくなっている気がする。
皆のために、のパワーはすごいのだ。

「今日はこれで終わりにしまーす」

そう掛け声をかけたときには、もう1組なんて敵じゃないくらいに、騎馬戦も、強くなっていた。

29:文月かおり◆DE:2017/06/05(月) 22:18

読ませていただきました!
クラスの子たちの個性が生かされているなあとおもいます。たのしそう!

これからも時々見ますね!

30:絵菜◆8Q:2017/06/10(土) 13:31

読まさせていただきましたよ!
体育祭、本番が楽しみです。
ふとした瞬間の笑みが伝わってきて、私も心が踊ります。
頑張って書いてください。
応援しています!

31:和菜◆h.:2017/06/10(土) 22:41

>>29
あああ、ありがとうございます;
褒められた喜びがスゴい…
駄作ではありますがこれからも見てやってください!

>>30
ありがとうございます;;;;
読んでくれる方がいるとは、有難い。
嬉しすぎる…これからも頑張ります!



あ、あと。。お知らせ?で
テストゥ週間なので更新遅れるかもです;
低浮上気味、、。
でもなるべく早めに書きます。

32:和菜◆h.:2017/06/10(土) 22:55

楽しかった準備も、笑いあり涙ありの練習も今日で終わり、ついに明日、勝負のとき。

疲れで眠い目を擦りながらも誰もいない教室へ向かう。
目的は、今日のうちに黒板に全員が一言ずつかけるように枠を書いておくこと。これを朝に回すとかなり大変だと、中島先生から聞いた。
チョークを持ち、クラスカラーの黄色を基調に次々とイラストと枠を描くと、あっという間に終わってしまった。
中島先生の苦労の気持ち、イマイチ理解できないな、なんて思いつつ、念のため枠の数を確認。自分も入れるから、31あれば正解だ。

「1,2,…………28,29…あれ?」

あーあ。足りない。。。30しかない。
はぁ。しょうがない、足りない分は自分にして、私は紙に書いて貼っとこう。

『どのクラスよりも楽しむ!そして勝つ!!!!!! 純菜』

ありきたりな言葉だが、今の3組にはピッタリな気がした。
そして時計を見ると午後7時。お守りも完成したし、今日は帰って早く寝よう。そう思い、職員室へ向かっていると、後ろから名前を呼ばれた気がした。

「…先生!花最先生!」

赤城先生。急にどうしたんだろう。

33:和菜◆h.:2017/06/10(土) 23:03

「1組赤チョークきれちゃって。どこに置いてあるか分かります?」

…そんなことかい!もっと重要な用事かと…w
まぁでも。お互い薊中1年生なので、校内で分からないことがあれば教えあっている。しかし、普段私は赤チョークをほとんど使わないので、赤チョークの場所はよくわからない。

「ごめんなさい、見たことないです。でも白チョークが学職の奥の棚と印刷室の後ろの引き出しの上にあったので、その近くかもしれないです」

「あー!ありがとうございます」

困ったときは助け合いね。ま、明日は敵だけど。
そんなことを思いながら、今度こそ、私は職員室へ向かった。

34:絵菜◆8Q:2017/06/11(日) 08:51

いえいえ。
頑張ってください。
駄作なんかじゃありません。
自信を持って書き続けてください!
体育祭が楽しみになってきました!

35:和菜◆h.:2017/06/11(日) 21:17

>>34
えええ。もうほんと感謝しかありません。ありがとうございます。!!!!!!

36:絵菜◆8Q:2017/06/11(日) 21:31

こちらこそ、返信してくださっててありがとうございます!
あの、私のことは無視してくれて構いませんので、小説更新を試みてください。
応援してます!

37:和菜◆h.:2017/06/11(日) 21:52

ついに今日。体育祭。
いつもより30分早いアラームで起き、顔を洗い歯を磨き、髪をとかす。
そして、用意しておいたインナーの上に黄色のTシャツ、下はジャージに着替える。この黄色T、似合うかかなり不安で迷いながら買ったが、着てみるとかなーりいい感じで着まわしもでき、今日までにもう2回ほど着てしまったところだ。
そしてリビングへ行くと、母が朝食をつくってくれていた。

「おはよ〜」
「おはよう。ご飯できたよ」

ご飯、味噌汁、卵焼き、牛乳。
普段は朝もコンビニで済ませることが多いので、有難い。

「ごちそうさま〜」

食器を片付けふと時計を見ると、かなりいい時間。

「いってきまーす」

黄色地にピンクのブランドロゴが入ったスニーカーを履いて家を飛び出す。といっても数メートル先の車に乗る、ただそれだけなんだけど。

車を走らせながらいつもは曲を聞くのだが、今日はいまいちそんな気分ではなく、ぼんやりと考えごとをしていた。
すると、何気なく、ある疑問が浮かんだ。

(なんで昨日、赤城先生は赤チョークがほしかったんだろ…)

考えてみれば少し不思議な気もしてくる。
今年の1組のクラスカラーは青なのに、なぜそんなに急いで赤チョークを用意しなければならなかったのだろうか。
そんなどうでもいいことを考えてるうちに学校に到着。
学職へいくと、もう先生たちは揃っていた。
そして、高見先生のお話が始まる。

「………というわけですから、今日1日頑張りましょう!」

「「ハイ!」」

私たちは、それぞれの準備へ向かった。
フリーの私は各教室の見回り。テンションが上がった生徒たちが、何をしだすかわからない。ありえないかもしれないが何かあってからじゃ遅いから、偵察も兼ねて丁寧に見回りをする。
1組は落ち着いていたので、2組をチラリと覗くと、

「花最先生!何みてんですか!」

応援の練習中だったらしく、言葉を発する前に強制退場させられた。
3,4組も特に問題はなく、私の仕事は終わり。しょうがないから廊下の窓付近でたそがれてみる。すると、聞き慣れた声が聞こえてきた。

「花先生!めっちゃ黄色いですねw」
「まぁ。3組だからw」

最近また、ゆめかは私のことを『花先生』と呼ぶようになった。以前お蔵入りになったと私は勝手に思っていたが、どうやら復活したらしい。

「ま、今日の優勝は3組ですね。頑張りましょう!」

「うん、ゆめが今まで一番がんばっとったもんね!」

「いやいや、皆私よりすごい頑張ってましたから!」

ゆめかが皆から慕われるのは、この謙虚さと優しさがあるからか。とか思っていると、チャイムが鳴った。これは恐らく着席完了のチャイム。教室を見るとみんな座っていたので、急いで私も教卓の前に立った。

38:和菜◆h. hoge:2017/06/12(月) 23:16

「……で、30分には椅子を外に並べておいてください。順番や机も出す人は昨日いった通りです。あとは……」

諸々の業務連絡をしているうちに、学級での残り時間はあと10分。急いではいたが、なかなか時間がとれず、皆には申し訳ない…

「よし、体育祭頑張っていきまっしょー!!」
「「「「オー!!!!!」」」」

円陣を組み、ゆめかのかけ声に皆が応える。
そんな雰囲気に、私はこれまでにないくらい、テンションが上がっていた。

39:和菜◆h.:2017/06/12(月) 23:45

ついに体育祭が始まった。開会式、2年生の騎馬戦、3年生の応援合戦が終わり、次は1年生の騎馬戦。最初の競技に緊張しきった情けない男子たちに、ゆめかや唯奈が声をかけている。

「大丈夫!翔たちのチーム、練習のとき最強だったやん!」
「うん、練習通り!とられたら…大成から往復ビンタねw」
「え!何で俺がビンタ!!」

笑いが起こり、みんな緊張が解れてきた様子。
そんないいタイミングで、準備完了合図の旗が上がり、入場。


「よーい、ピーーッ!!」

最初は1組対3組、2組対4組。早くも相手は強敵である1組だ。

「がんばれー!!美穂左左!とれる!!唯奈もそことれる!!」

私の声が届いたのか、素早くハチマキを奪う美穂と唯奈。お、これはなかなかいい戦い…?

「ピピーーッ! 2回戦目を始めます。」


「結果発表をします」

きた。一番の緊張の瞬間。
薊中の騎馬戦は、勝数ではなくとったハチマキの数の合計で勝敗が決まるので、結果発表までドキドキ。

「…3位、3組」

最下位は免れた!!という意味ではみんな安心した表情。そして2、1位の発表を待つ。

「2位、1組」

え…?1組が2位なの!?驚きを隠せないが、こうなれば1位は決まりだ。

「1位、2組!」

キャーーー! 歓声が響く。2組の皆はは中島先生とハイタッチ。3組の皆はそれを横目に拍手。もちろん皆、悔しそうな表情を浮かべている。それは例外なく私もだろう。

「退場します、駆け足〜進め」

「ピッ」 「はい解散〜」


「みんなお疲れ様!次は絶対勝とうね!」
「まだ全然勝ち目ある!」

早くも皆を元気づけたのはゆめか…ともう一人は意外な人物、ひなただった。

「いやいや、ひなたがそーゆーの言うとか、なんか説得力ないわーw」
「んー?こんなに説得力のあるお話初めてだって?ありがとう大成くん!w」

若干ふざけてはいるが、まさかのひなたの活躍にはびっくり。でも確かに、ひなたは準備のときからゆめかたちと一緒に練習を仕切る場面もあった。それに、横断幕はひなたと美穂が、ほぼ2人で作り上げたようなものだ。

「ひなた、さっきはありがとね!」

あとでこっそりお礼を言うと、

「いや〜、もう忘れてください!」

と、照れて首を大きく振りながら話す姿は、宿泊のときからは見違えるほど、成長したようだった。

40:和菜◆h.:2017/06/13(火) 00:06

次の1年生の競技は、応援合戦。
時間短縮のため、2クラス同時に行われる。そのため、声の大きさやインパクトで隣のクラスに負けると、審査対象にすら入らない可能性まであるという。
おまけにこの応援合戦は、学年でのクラス対抗ではなく、学校、全クラス対抗、つまり4クラス×3学年の12クラスで順位をつけるのだ。だから大体1位は3年生。1年生は、5位くらいに入れれば、なかなか良い結果だろう。


「みんな!合言葉は?」
「「「「We love Kasai!We love Junna!」」」」
「うん!それ忘れず、頑張ろう!」
「「「「オー!!!」」」」

今度は唯奈のかけ声で、入場門の前に並ぶ。すると合図の笛が鳴る。

「3組!!!!!!」
「「「「We love Kasai!We love Junna!………」」」」

皆は、冷静に考えるとちょっと謎な合言葉を叫びながら一斉に、こちらへ向かって走ってくる。
一応ここでの担任の位置は、演技をする生徒と向かい合うように、でもラインには入らないギリギリ、ということになっているので、その辺りに座りカメラを構える。
一緒にやるのは2組。一番親しい中島先生のクラスということもあるし、何よりさっきの騎馬戦で惨敗したので、次こそは絶対勝たなくては。

お互い始めの挨拶をすると、曲が流れ始める。

「「「オーーーーーー、ハイッ!オーーーーーー、ハイッ!」」」

振り付けのゆめかたちが、とにかく声を出す応援に仕上げてくれた。小道具は唯奈たちが遅くまで残り作ってくれたもの。どれも最初の案とはかなり違うものだが、皆これに賛成し、練習を重ねてきた。

「「「「かーさーいっ!ハイッ!」」かーさーいっ!ハイツ!」」

41:和菜◆h.:2017/06/13(火) 23:53

良い。とても良い。
3組の演技からは、あり得ないほどの愛を、情熱を、元気を感じられた。

「せーの!」

「「「「We love Kasai Junna!!!」」」」

たった2分30秒の演技だった。普通の観客から見れば、ただの応援合戦だろう。ただ中学生が踊っている、ただそれだけのことだろう。
でも涙が止まらない。今までの皆の頑張りと、今日の演技と。感じてきた、考えてきたものが涙に変わって溢れてくる。

「ピッ」

着席完了の合図の笛でハッと我に返った。担任がこんなんじゃダメだな、と思い、急いで涙を拭い、生徒席へ走る。

「今日のみんな、100点!!」

私がそういうと、おおおー!と歓声が起こった。そして鼻をすする音も聞こえてくる。

「せっ、先生…!どうでしたか…?」

涙を流しながら、ゆめかが聞いてきた。

「…最高すぎた、一番良かったよ」

なんて言ってると、また涙腺が刺激されたらしく、涙が出てくる。

「ところで先生、写真どんな感じですか?」

さっきまでゆめかたちと泣いていた唯奈は、もうそんなこと忘れたかのように、笑顔で聞いてくる。

「う〜んとね、ちょっと待って………え………………」

「まさか先生!撮ってないとか言いませんよね!?」

「……ごめん、撮ってないわ」

「「えええええ!!」」

どうやら感動のあまり写真のことが頭から抜け落ちてしまったようだ。うっかりした先生はやっぱダメね、、

「じゃあどうするんですか!」

「ほ、ほんとごめん、感動しすぎてたw
でも多分、高見先生とか野田先生が撮ってくださってると…思う!」

高見先生と野田先生を信じておこう。
そんなこんなで感動してるうちに、2年生のリレーが始まっていた。

42:和菜◆h.:2017/06/17(土) 22:32

そしていろいろありながらも競技は進み、午後の部。1年生の残る競技は大縄だけ。
今のところ3組は、騎馬戦3位、たま入れ2位、リレー4位と、あまり良い結果は残せていない。応援合戦の結果発表は最後だが、あまりそれに期待して裏切られたら……。
つまり、この大縄で1位を獲らないことには総合優勝なんてありえないのだ。(大縄1位でもちょっと厳しいくらい…)

「みんな〜円陣組むよ!!」

ゆめかのかけ声で全員集合。

「絶対絶対、40回跳ぶぞー!!!」

「「「「オー!!!!」」」」

気合いを入れて入場。
しかし、状況は最悪だ。風が強く、砂がとぶため目に砂が入り縄が見づらい。
でもそんな言い訳を吹っ飛ばすように、みんなはとにかく跳んだ。

「「「「いーち、にー、さーん、しー……………」」」」

「ドンマイドンマイ!次行けるよ!」

「いくよー!せーのっ!」

担任の私は皆に向かってクラスの旗を振っていたが、なんとなく自分も跳んでいるような気持ちになってくる。

「「「「………さんじゅはーち、さんじゅきゅー、よんじゅー!よんじゅいーち、よんじゅにー……………」」」」

すごい………!最高記録の29回をサラッと越え、目標の40回突破。

「「「「……ごーじゅさん、ごーじゅしっ」」」」

「ピーーーーーッ」

53回。すごい。やばい。さすが3組。
とか思ってたら、本日2回目の涙。
昼に化粧直したのにとか、情けないなとか、色々余計なこと考えてるうちに、自然とひっこんでくれたけど。
こんなに泣けるんだね、体育祭って。


「結果を発表します」

緊張の瞬間。

「3位…1組、46回」

「2位…3組、53回」

「1位…2組、55回」

わ。めっちゃ僅差じゃん。超悔しい。
クラスの列を見ると、泣いている子もちらほら。それが最高記録に対する嬉し涙なのか、あるいは2組に負けた悔し涙なのか。それはわからない。(おそらく、後者のほうが多いと思うけど)
それでも自席に戻った頃には皆わーわーといつもの元気でしゃべっていた。

43:和菜◆h.:2017/06/18(日) 22:21

そしてついに、運命の結果発表。
私も含む全校生徒・先生が緊張した表情で指令台を見つめている。

「応援合戦の部は、5位から発表します」

これはなかなか厳しい。5位より下のクラスは発表されずに、紙に順位が貼り出されるだけらしい。

「5位…2年1組!」

「4位…3年3組!」

…このまま流れで3年生に全て奪われるか、、そう思ったときだった。

「3位、1年3組!」

信じられない。ここにまさか入れるなんて。。
皆とガッツポーズをしていると、また涙腺が刺激される。

「2位、1年2組!」

…え。さっきの喜びと今の悲しみ、混ざりあってまた複雑な気持ち。
さっきまでめちゃくちゃ笑顔だった皆も、今はなんとも言えない表情を浮かべている。

「1位、3年4組!」

まぁ。そこは予想通りなんだけど。ほんとにありえない。

「続いて、総合結果の発表です」

「1年生、4位、4組」

「3位、3組」

あぁ。負けた。最下位じゃないだけマとしか言えない。

「2位、1組」

「1位、2組!!」

やっぱり優勝は2組。私たちに残るのは悔しさばかり。

「2年生、4位………」

2年生の発表が始まったが、きっと皆、ほぼ聞いてなかっただろう。自分たちにつきつけられた現実的すぎる結果に、必死に向き合っているように見えた。


閉会式も無事終了、自席に戻るとクラス学年関係無く、多くの生徒が泣いていた。
もちろん優勝した2組は笑顔。中島先生は、感動のあまり泣いてるけど。
1組は2位ならいいだろ!と開き直っている。
4組と3組は皆涙を流している。
私は約5分後の写真撮影のためだけに、今は必死に涙をこらえて話す。

「お疲れ様でした。…結果は思ってたものと違ったかもしれないけど、今日の皆は誰よりも、何よりも輝いてました。そして1番嬉しいのは、応援合戦3位という結果ではないでしょうか!ということでこれは素直に喜びましょう!せーーのっ」

「「「「ヤッホーーイ!!!」」」」

3組の誰かが言い出したこのセリフで、話をしめることにした。ちょっとでも気分をあげてほしかったから。

「お待たせしましたー、写真とりまーす」

「はい、3、2、1 カシャッ」

「オッケーでーすお疲れ様〜」

写真屋さんのその一言で、一気に涙が溢れてきた。どんだけ我慢してたんだよと恥ずかしくなる一方で、こんなに泣けるとかどんだけいいクラスなんだよと、また感動する。
でもこれだって仕事だ。どんなに泣いてても、次の指示は出さざるを得ない。

「ズズッ えーと、椅子もって順番に教室に戻ってください。昇降口前でガムテ剥がして袋に捨ててね ズズッ」

「先生顔真っ赤だし!どんだけないてんですか!」

案の定唯奈からツッコミが入る。
しかし、今回ばかりはそんな唯奈の目も赤く腫れていた。

44:和菜◆h.:2017/06/18(日) 22:25

脱字

誤 最下位じゃないだけマとしか…
正 最下位じゃないだけマシとしか…


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