つむじ風。

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1:かてぃあ◆E2:2017/05/12(金) 22:11


ある日届いた「つむじ風」と名乗るものからの手紙。

その手紙で、一人の少女は変わって行く_____。

__________

元々別サイトで連載していたものをこちらで再開しようかと。

小4の頃書ていたストーリーの文章を直しただけですので、少しおかしなところがあるかと思います。

凄い更新が遅いです。気長に待ちましょう。

感想アドバイスご自由にどうぞ。

2:かてぃあ◆E2:2017/05/12(金) 22:11

1.

白い壁に、灰色の屋根。

大きいが故、その家は平凡な住宅街の中でもよく目立つ。


ヒュー。ヒュー。

かすかに風が吹いた。5月の比較的暖かな風だ。

そういえば、今日はあまり強い風は吹かない日のようだ。


ガチャッ。

その家のドアが開いた。家の雰囲気にあった洒落たドアだ。

一人の少女が出てきた。少し急いでいるようにも見える。

着ている制服を見る限り、この近くにある高校の生徒なのだろう。

肩より少し長いくらいの真っ黒な髪の毛が下を向いたその顔にかかっていて、表情はよく読めない。

でもそれと膝下5pに伸ばしたスカートを見る限り、比較的地味な生徒である事は違いなかった。


少女はドアに鍵をかけ、庭を歩く。門の鍵に手をかけた。




“ようし、そろそろだ”




ブァッ………!


強い風が吹いた。少女は顔をあげた。

風で顔に当たった髪の毛のせいで、やはり顔は見えない。

でも驚いている事は違いなかった。


“ようし、今跳ばそう”


ぱっ


風に押されて、一つの封筒が舞う。

「……………!」

少女は、さらに上を向いた。封筒に気づいたようだ。


ブァッ


風はさらに強くなった。

「……………」

少女は、自分の方へ向かってくる封筒をじっと見つめている。

封筒は、少しずつ家へ近づいていく。



ふと、風が弱くなった。


ひらひら、ひらひら。

封筒はどんどん落ちて行く。


ひらひら、ひらひら。

封筒は僅かな風に揺れて揺れて。




すとん。

軽い音を立てて、門を出たところにある郵便受けへ。

「……わっ」


少女の口から微かに声が漏れた。


ガチャ、ガチャン。

荒い音を立てて、少女は門を開けた。

門から出ると、几帳面に鍵を閉めて。

少し小走りに、そこからあまり距離の無い郵便受けへ。


かちゃっ

郵便受けを開けて、姿勢を低くして覗き込む。


『綾川 愛(あやかわ まな)様へ。
つむじ風』

少し角ばっていて、小さい。

それ以外は特に癖のないきれいな字で、くっきりと。



_______自分宛の手紙だ。

愛は少し固まっていたものの、そうっと封筒を手に取りまじまじと見つめる。

名前以外にも、羅列された漢数字。自分の家宛であるのは間違いない。


そこまでしたところで愛はふと、自分の学生鞄につけている時計に目をやった。


07:45


何事もなかったように、その数字はくっきりと表示されていて。

手紙を両手に持ったまま、小さく「……ごめんなさい」とつぶやくと封筒を鞄へつっこんだ。

折れ曲がったりしていても仕方ないやと言ったように頷いてから、愛は走り出した。


“つむじ風は誰なのか”


そんなことはまだ気にせず。

3:かてぃあ◆E2:2017/05/13(土) 10:15

2.

ガラッ


教室のドアが開いた。

下を向いて、ゆっくりと教室の床を踏みしめる。

少し上を向いて時計を見て普通に間に合っていることを確認すると、愛は自分の席へ向かった。

「…………強い風邪は吹かないって、言ってたのに。』

なんてブツブツつぶやきつつも、自分の席についた。

鞄を開けて、先ほどの封筒を取り出す。

何度も何度も住所、自分の名前を見返した。なんとなく、開けてはいけないような気がしたからだ。

すると、上の方から声が聞こえた。

「愛、おはよう!」

聞き覚えのある声だ。愛は顔を上げた。

ピンク色の頬と唇に、ぱっちり二重のクリクリの目。ツインテールにした栗色の髪の毛が、色白の肌によく似合う。石川 まろんという名前だった。

「おはよう。」

無理やり笑みを作りつつ挨拶をした。

「えへへー、おはよう。愛、それ何?」

愛の手から手紙を取り上げて。

封筒をまじまじと見つめてからまろんは言う。

「へぇ、愛当てじゃん」

開けようとして戸惑ってから、開けて良い?と目で促してきた。

ご自由にどうぞ

と頷いてから頬杖をついて黒板を見つめる。なんとなく、開けようとしているまろんの顔が思い浮かんだ。



キーンコーンカーンコーン………


チャイムが鳴る。

いつもとなんら変わりない、普通のチャイムだった。


「あっ……」

まろんはつぶやいた。


ばさっ。

少し雑に愛の机に手紙を置くと、次は見せてねと笑いながら自分の席へ向かって行った。


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