電柱が血を流す。
2:ひの:2017/05/22(月) 21:28 僕たちは遠足に行くために、横断歩道の赤を待っていた。
遠足と言えば、小学生の時以来だ。大人になっても、遠足に行くとは思わなんだ。
僕は赤を、びゅいっと見つめていた。頭がおかしくなって来る。
幸い、となりにいたユウトが僕を殴ったから、おかしくならなくてすんだ。
「やあ、ありがとう」
「なぐって感謝されるのは、変な気分だ」
「いや、ほんとにありがとう」
「まあいいや」
僕は、なぜか赤を見ると、頭が変になる精神病を抱えている。だから、そのときは誰かに、殴られるとか、
強い刺激を受けないと、大変なことになってしまうんだ。
ミカンが、言った。
「青になったよ」
僕たちはとそとそと渡り始めた。僕たちは仲良し。だって、足がシンクロしているもん。これなら、3人4脚ができる。
……と、僕が足を意識した途端、みんなの足はばらばらになり始めた。こういうのは、意識をしたらだめなんだ。
ばらばらの足に気を取られて、僕は電柱にぶつかった。
電柱が血を流す。
違った、僕の、おでこの血が、電柱にぶつかっただけだ。血は赤い。あかあか。あかかかあかかかかあか。
「ツル君!」
ミカンが僕の異変に気づき、僕を殴る。
僕は、その勢いで、道路に飛び出してしまった。
信号は、いつの間にか青になっていたので、僕は次の瞬間あかあかああかかかかかかかかかかかあ。
みんなあかかかああかかかかかかかかあああか。
あかあかや
あかあかあかや
あかあかや
あかあかあかや
あかあかや月
と歌ったのは、明恵上人だ。
死神は、その明恵上人だった。死んだ僕の横に立っている。徳の高いお坊さんは、こういう、生死を取り扱う仕事を、えんまさんにまかされたりするのだろうかと思った。
「ツル君、イキマショウカ」
と明恵上人は言った。
「いきたくないです」
と、僕は弱音を吐いた。
「じゃあ、いいですよ」
と明恵上人は言った。
え?いいの?と、僕はそうなもうんぼうむりあんとなった。
明恵上人は、のっけらぱんとしながら、どこかへ行ってしまった。とすると、僕はあの世に行かずに幽霊になるんだ。
「幽霊だぞう!」
と僕は、僕の死体を見てかなかなぽろぽろしているミカンとユウトにゔぁゔぁゔぁっとやってみた。
だけど、霊感のない二人は、僕のことが見えないらしくて、あいかわらずかなかなぽろぽろしている。
ああ、僕は死んだんだ。僕までかなかなぽろぽろしてきた。
幽霊になって、誰にも気づかれずに、もう三日。さすがに寂しくなってきて、僕は霊媒師のところへ行って、
「ばあ!」
とやってみた。しかし、こいつ、霊媒師のくせに、僕のことが見えないんだ。
他にも、いろんな霊媒師を探したけれど、どの霊媒師も僕が見えないらしい。死んで初めて、霊媒師というのが全部嘘だったと、気がついた。みんなもしねばわかる。
すると、圧倒的な孤独。明恵上人にあのとき、連れて行ってもらえばよかった、なんて、思ってしまう。
そう言えば、僕はずっと気になっていたことがあって、幽霊になった今なら、その謎が、解決できるかも知れないと思った。
僕は、僕の住んでいた家のわりと近くにある、コンクリートの建物に向かった。
この建物、窓も何もなくて、文字もなにもかいていなくて、なんなのか、ずっとよくわからなかった。鍵もかかっていて、本当になぞだった。
僕は幽霊なので、すりぬけようと思ってがんばれば、みみょおおんとすり抜けることもできる。
そして、なぜかその建物のドアの向こうは、ただの真っ赤な部屋だった。
ずっと意味不明だったけど、入っても意味不明!
なあんだ、つまんないの、と思って出ようと思ったけど、出られなかった。
内側からも、鍵がかかっているのだ。それに、壁通り抜けの技は、ゲームみたいに、PPがあるみたいで、今のところは(ということは、いつかは3回とかになるの?というか、幽霊にはレベルがあるの?まあいいや)、一日一回しかできないらしかった。
「まあいいや……頭もおかしくなって来ることだし」
幽霊になっても、あの精神病はなおらないらしい。赤い部屋の中にいるだけで、あかかかかあかあかかかしてきた。精神病でなくても、普通の人でも、あかかかかあかかかかしてきそうな部屋でもあるが……。
とにかく、あかかかあかかしてきた。永遠に地上につなぎ止められた僕にとって、狂いこそが眠りだ。永遠に狂っていればいいさ。あかかああかかかあしながらさ。
あかかかかかっかかかかかかかかかああああああああかかかっかかかかかかっかかああかか
あかかっかかかっかかああああああかかかkかかk
あっかかかか
あじゃらklああ
qか
あああ亞
34いおうbrfほういjp456h76
おめでとう
そこが君の「あの世」なんだね
天国地獄はありはしない
「あの世」は自分で見つけるものさ
おめでとう
永遠の狂いに
おめでとう
エンドロール
あかあかやあかあかあかやあかあかやあかあかあかやあかあかや月
あとがき
完全な自動筆記でした
アンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」にある方法で書きました。
こんな小説、なんの意味があるんだ!
「ひのちゃんや、無意味だから意味があるんやで」
ああ、そうか。てか、お前だれ。
「ドナルド・トランプだよ」
なんでやねん
反歌
zuzazazaza
zuzazazazazaza
zuzazazaza
と電線に流れるのは
血よ