マオの内緒アート日記

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1:まい◆8Q:2017/07/27(木) 19:24

私、高野真櫻だよっ!マオって呼ばれてるんだ!ある日、アートコンクールに出品したら大賞をゲット!だけど、学校にも友達にも先生にも言ってなくて。わたしのアート日記、始まるっ!

2:まい◆8Q:2017/07/27(木) 22:20

高野 真櫻
美術が好きな小学6年生。
自分では普通のつもりだが普通ではない。
秘密しか抱えていない?

荻窪 翼
真櫻の幼なじみ。
勉強、運動どちらも出来る。
イタズラ好きな真櫻のお世話係。

歌井 ひなた
真櫻の親友。
声が綺麗で、合宿コンクールでひなたのいるチームは必ず勝つほど。

3:まい◆8Q:2017/07/27(木) 22:36

1.私はハッポースチロール

私は、本当に謎に出会う運命なんだろうなって思う。
だってさ、事件によく逢うのよ。
私の頭と事件の頭がゴッツンコ!
これをポスターに描いてみたのよ。
結構力作でさ、これにならないように。みたいに描いたの。
夏休み後、私のポスターが全国へ行ったって。
どういうことっ?
私が買った画用紙って、羽が生えてたってことっ?
ゾ〜クゾクゾク。
あの画用紙、怖〜い。
でもそれは、数々の審査を通ったってことらしい。
ああ、そういうこと。
早く言ってくれたら、恥ずかしくなかったのにさ。
プンプン。
あ、私、高野真櫻だよっ!
みんなには、腐ったハッポースチロールってよく言われる。
意味は分からないけど、バカにされてることは分かってる。
頭いいでしょ、へっへ〜ん。

「マオ。だから翼君に言われるのよ。腐ったハッポースチロールって」

ムッ。
ママまで何てこと言うんだっ!
私がそんなにハッポースチロールに見えるのか〜!
私がそんなにゴミに見えるのかーっ!

「マオ、マンガばっかり見て。勉強したらどうなのよ、勉強。翼君は頭いいのに、どうしてマオはバカなの」

ムッムッムッ!
ママ、黙って聞いてれば、失礼な言葉並べてるじゃない。
ケンカ売ってるのっ?
でも、わたし売ったことも買ったことも、ないんだよね〜。
ケンカって、売るもの?
買うもの?
値段付けられるのかな?
日本語って、フシギ〜。

「ママ、翼君がほしかったわ〜。カッコいいしねえ。頭いいし。運動も出来るのよね。いい子よ〜」

ママにだけよくしてるだけだよっ。
私には、怒ってばっかり。
イライラしちゃう、もう!
でも、ママってよく言うのよ。
翼君がいい、翼君がいいって。
私じゃイヤなら、いいよ!

「翼君のママもマオがいいって言うものだから。交換したいわ〜」

さすがの私も、これにはキレたっ!
ママをにらみながら立ち上がる。

「ろくなこと考えないマオより、翼君の方が絶対いいわ」

「ちょっと。ママッ!何でそんなこと言うのよっ!」

「だってそうなんだもの」

キーッ!
もういいよ。
私だってママ、いらないもんっ!

4:まい◆8Q:2017/07/27(木) 22:48

2.人生初の体験!?

私は、旅行バッグとコロコロ転がすやつに、マンガたっぷり。
パジャマにお洋服。
ヘアゴムに、ばあばの形見。
ありとあらゆる物を詰めてっ!
ママがためてたヘソクリをもらい。
こっそり私は家出っ!
重い、重いぃ。

「あ、マオ。重い荷物持ってどうしたんだ」

コイツが、ムカつく幼なじみ。
荻窪翼。
原因はお前だーっ!

「翼には関係ないでしょっ。ほっときなさいよ」

私は、翼を無視して電車の駅へっ!
カッコいい男の子なら(マンガの世界)、私を追いかけてくれるのに。
翼、手を振るだけ。
余計ムカつくーっ!

「お嬢ちゃん、ひとりで旅行かい?」

駅で座っていたおじいさんと目が合った。
このおじいさん、普通じゃない。
怠けた(すぎた)おじいさんみたい。

「ちょっと親戚の家へ」

「すごいねぇ」

思ってないくせに、そんなこと言うんじゃない。
本当に感じたことを言うんだっ!
私がちょっとにらむと、おじいさんはビクッっとして、もう話しかけてこなかった。
あら。
おじいさん、何か、すみません。
みんな通るのかな?
家出の道。
出来るだけもう通りたくないな。
うん。

5:まい◆8Q:2017/07/28(金) 08:48

3.家出仲間

電車に乗って、マンガを読む。
私の夢は、ズバリ!
マンガ家なのです!
絵をいっぱいいっぱい描くんだ!
そうだ。
家出した子の絵を描こう。
ママに会ったら、つき出してやるんだ。この子かわいそうでしょって。
そう言えば私、どこで降りよう。
私、どこへ行こう。
親戚の家が一番いいから、ママが苦手な叔母さん家へ行ってみよう。
絶対楽しいぞ!
ウキウキ、ランラン、ルンルンルン!
確か、降りる駅は、里賀。

「マオ!そんな荷物持ってどこへ行くの!?」

この子は、クラスのめんどくさい学級委員長、大堀沙矢子。
慣れなれしく、マオって呼んでくるのよねぇ。
呼び捨てで。

「大堀さんこそ、大きな荷物持ってどうしたの」

もしかして、家出?
ちょっと答えを楽しみにしていると、大堀さんはため息をついた。

「お母さんとケンカしたの。私、家に帰りたくない」

あら、家出じゃない。
ちょっとクスッっと笑ってしまうと、大堀さんは怒った。
そりゃ、イヤだよねぇ。
私なんかに笑われちゃあ。

「マオはどうしてなのよ」

「家出。親戚の家行くの」

大堀さんも、クスッっと笑った。
何か、いい気分じゃないね。
でもさ。
大堀さんがイヤだったなら、私に笑わないでほしいな。

「同じ家出ね。私も親戚の家行こう」

大堀さんのことは知らないけど、親戚の家行くなら、私も親戚の家に決定。
ところで私、どこで降りるんだっけ?

「次は、籠尾ー、籠尾ー」

駅マップを見ると、里賀は過ぎている。大堀さんの、バカァ!

6:まい◆8Q:2017/07/28(金) 16:12

4.第二の人生?

何とか里賀に着いた。
大堀さんは、籠尾に降りたんだ。
内心焦ったよ、ホント。
でも、籠尾で降りて、里賀に戻る。
時間ロスだったね、ふんっ!
麦わら帽子を手に、叔母さん家へ向かう。
夏休みってことあって、やっぱり暑いなあ。
ドアフォンを押すと、叔母さんが優しい顔で出てくれた。

「どうしたのマオちゃん。連絡なしで私の家に来て」

私は、叔母さんに、今まであったことを伝えた。
電車降り遅れ事件もね。

「マオちゃん、大変だったわね〜。どうぞどうぞ、上がってちょうだい」

叔母さんに手を引かれて、叔母さんの家に上がった。
あ〜、いい匂い。
蚊取り線香もあって…!
なんて和なのっ!

「お願いなんですけど、私のこと言わないでください。ママやみんなに。私を、羽折にしてください」

羽折って言うのは、叔母さんの名字。
もう、いっそのことここに住んじゃおうかしら。
すごく楽しそうだわ、ランっ!

「マオちゃん、乗ったわ。家ではマオちゃん。外ではミオちゃんでどう?」

「うん、私、羽折ミオになる!」

別の生活だけど、これでいいんだっ!
叔母さんはにっこり笑った。
学校も、新しくここで通えばいいものね。
テレビをポチッっと付けると、ニュースがやっていた。

「速報です。東京都に住んでいる高野真櫻ちゃんが行方不明だそうです」

ゲッ!
私のことっ!

7:まい◆8Q:2017/07/28(金) 16:33

5.行方不明の高野真櫻

このままだと、学校の子にバレちゃうよね、高野真櫻ってこと。
叔母さんと話し合った結果、私は伸ばしていた腰くらいまでの髪の毛を、元美容師の叔母さんに切ってもらいっ!
視力を落とすことにして、メガネをかけるっ!
するともう別人だぁ!

「いい?マオちゃん。あなたは、羽折美櫻なの。いいわね?」

叔母さんに聞かれて、うなずく。
風邪の子ということで、マスクしながらメガネ屋へっ。
夏だから、髪の毛が縛れないし、マスクしてるから暑いのよ。
ミオの生活、いつまで続くんだろ。
でも、よく考えたら、メガネ買っちゃえば、マスクはいらないの。
ずっとミオでいいけど。
でも、全校出校日に、ポスターとか、作文とか提出しちゃった。
1日マオになっても、いいかも。
それで私は、メガネをかけて家に帰ったの。
在庫をそのまま買ったんだっ!
テレビを付けると、まだ私のことが流れてるっ!

「高野真櫻ちゃんのお母さんです」

キャスターが言い、画面がお母さんに切り替わる。
フラッシュをバシャバシャ浴びてる。

「マオとは、ちょっとケンカをしてしまいました。マオの幼なじみの子のことで。そして、全然マオが部屋出てこなかったものですから、部屋をノックしました。返事がなかったので、寝ているのかと思いまして。私はとりあえず部屋に入りませんでした」

ふん、もうその頃には、私はいませんよーだ。
叔母さんもとなりで観ていて、これからどうしようか検討するの。

「時間が経っても経っても来ないので、謝ろうかと思い、部屋をノックしました。返事はなく、心配で部屋を開けました。そうしたら、マオはいませんでした。家中どこを探してもいませんでしたから、警察へ連絡しました」

ふーん。
もうちょっと、娘の心配したらどうなのよ、ねえ。
今はね、叔母さん家で幸せに暮らしてるのよ(暮らそうとしてるのよ)。

「次は、真櫻ちゃんの幼なじみ、翼君に聞いてみました」

翼も出るのぉ。
めんどくさいなぁ、この番組。

8:まい◆8Q:2017/07/28(金) 16:41

1巻の題名は、
『マオの内緒アート日記 1
        消えた画家の日記』

9:まい◆8Q:2017/07/29(土) 10:05

6.転校だっ!

すると、次は翼がバシャバシャフラッシュ浴びてる。
翼って、こういうの好きなのかな。
好きなんだったら、私に感謝しなさいよねっ!

「俺が家の前を通ったら、マオが重たそうな荷物を持っていました。どこへ行くんだと聞いたら、翼には関係ないと言われました。マオは、駅の方へ行きました」

ゲッ!
そこまで言ったら、特定されるじゃないかーっ!
そしてキャスターは、「駅へ行ってみました」と言って、駅が映る。
ドクンドクン。

「重たそうな荷物を持った、高野真櫻ちゃんを見た方いらっしゃいますか?駅員さんに聞いてみます」

すると、次は駅員さんにフラッシュがバシャバシャ!
どれだけ私のニュースやるのよ。

「重たい荷物を持っていらっしゃったお客様は、おふたりいらっしゃいましたので。何とも言えません」

駅員さん、ナイスよ!
このまま、追いかけてくるのを止めてちょうだいっ!
キャスターは振り返った。

「大きな荷物を持った、高野真櫻ちゃんを見かけた方は、こちらまでご連絡をお願いします」

ここで、私気付いたのよ。
大堀さんがいてくれたおかげで、駅員さんで途絶えたんだなって。
大堀さんも、私が乗った駅から乗ったんだね。
バカなんて思って、ごめんなさい。

「マオちゃん。とりあえず、ここの近くの、盆江野小学校へ行きなさい」

ボンエノ小学校。
私、友達出来るかな?
怖くて出来ないかもしれん。
だってさ、友達にバレたら終わりだもんね。
ってほど、軽いことじゃないんだけども。

10:まい◆8Q:2017/07/29(土) 10:16

7.突然女神様っ!

夏休み最終日、8月31日。
みんなが焦る日かもだけど、私はダラダラ、ダ〜ラダラッ!
この前の小学校の宿題なんて持ってきてないし、意味ないもんね。
叔母さんが、羽折美櫻で、盆江野小学校の入学許可を得てくれて、明日から盆江野生、かぁ。

「最近引っ越してきた、羽折美櫻って言います。よろしくお願いします」

近所のみんなにあいさつに回る。
この辺りは、すっごく田舎で、お年寄りがちょっと多い。
だから、小学校の人数もちょっと少ないんだって。
今ごろ、ひなたちゃんはどうしてるのかな。
ひなたちゃんっていうのは、私の親友だよっ!
元の小学校のね。
歌井ひなたって言うんだけど、歌がものすごく上手いの。
感心よっ!

「家の子、盆江野小学校の子なのよ。ミオちゃんと同じ6年生。仲良くしてあげてね」

へ〜。
ここの子も6年生なんだ!

「では、よろしくお願い致します」

あ〜、明日が楽しみっ!
だけど…本当に仲良く出来るかな。
私、どんどん自信なくなってくる。
わーん。

「ミオちゃん。ちょっとっ!」

叔母さんが私の手を引いて、家に帰った。
どうしたの、叔母さん。
そんなに慌てて。
慌てるのは、宿題に追い込まれた子だけでいいのよ。

「大堀さん、家に帰ったんだって。だけど、マオちゃんのことは言わなかった。かばったのよ」

わーん!
感動!
本当に、女神様っ!
バカなんかじゃない、神秘的っ!

「戻るなら、流れに乗って、大堀さんと同じように戻れるけど、本当にいいの?」

「はい」

叔母さんはにっこり笑って、家事に戻った。

11:文楓:2017/08/03(木) 21:42

「明スイ」や「1%の叶わない恋」も読みました。
この作品も新しいジャンルで面白いですね。
頑張って下さい。楽しみにしています

12:まい◆8Q:2017/08/03(木) 22:08

初めまして!
ありがとうございます!
この言葉が励みになります。
これからも、マオをよろしくお願いします!

13:薫:2017/08/04(金) 15:17

まい先生、こっちも読んだよ‼

これからどうなっちゃうの?ドキドキハラハラだよ!

14:まい◆8Q:2017/08/04(金) 18:09

薫先生も目を通してくれたの!?
ありがとうございます〜!
マオねぇ、どうなっちゃうのか。
では、どうぞ。

15:まい◆8Q:2017/08/04(金) 18:22

8.画家デビュー?

翌日、私はニュースを付けた。
朝ごはんのトーストをかじって、ニュースの内容を見る。
『スクープ!行方不明の高野真櫻ちゃん、画家決定!』
へっ?

「今日、画家デビューした高野真櫻ちゃんですが、見つかったら本格的に画家活動をしていく方針です」

え〜!
わたし画家になれるのぉっ!?
ずっと夢だった画家。
帰ってもいいかな?
帰りたい。
正式的に画家になりたいぃ!

「マオちゃん、こうするのよ。まず、テレビに書いてある電話番号にかけるでしょ?それから、私はマオですって言うの。送るのは叔母さんがやるから、それで活動したら?」

うん!
送るのはどうにかしたらいいし、場所も多分バレずに済む!

「叔母さん、ありがとう。私、電話かけるね!」

受話器を握りしめて、おそるおそる電話をかけた。

「もしもし。朝のニュース見ました。高野真櫻です。画家活動させていただいてもいいですか」

「ま、真櫻ちゃんっ?どこにいるの?どうしてかけてきたの?」

「あなたにお答えする必要はないと思います」

私はきっぱり断った。
どうせ、画家デビューってだけでニュースになるのに、そこまで言ったら特定されちゃう。

「真櫻ちゃん、本当に?」

「はい」

「分かりました。では、電話番号を教えてください」

こいつぅっ!
私がかけてるとこ、特定しようとしてるでしょ。
あんたなんかの手柄にしないんだからね、大人のやることも分かるのよ。
フンッ。

「☆★○-●◎◇◆-□■△▲です」

私は、叔母さんの電話番号を教えた。
今日から学校なんだから、かけてこないでよね。

「失礼します」

おおっと。
わたしが切ったら特定される?
そう思って、相手が切るのを待った。
ようやく切れると、ため息。
画家で嬉しいんだけど、ねぇ…。

16:まい◆8Q:2017/08/04(金) 18:36

9.無愛想だけど?

スッっと息を吸い込み、みんなを見回す。

「初めまして。羽折美櫻です。元気が取り柄です。よろしくお願いします」

みんなが拍手してくれて、担任の先生の守口先生を見る。
私の席は、パッっと見無愛想な女の子のとなりだった。
うまくいけるといいなぁ〜。

「私、羽折美櫻。よろしく」

女の子に笑いかけると、その子はちょっとお辞儀した。
礼儀正しいのかな、この子。
でも、そんなのを覆すことをボソッっとつぶやいた。

「そんなの知ってるわよ。さっき自己紹介してたでしょ。私の外見で聞いてないとか決めつけないで」

ヒッ。
そんなつもりじゃなかったのに。
私がシュンとうなだれていると、後ろの女の子が教えてくれた。

「あの子、江ノ島真理。美櫻ちゃんが来ることを誰よりも楽しみにしてたんだよ。ちょっと緊張してるだけだから気にしないであげて」

へえっ!
真理ちゃん、ありがとう!
待っててくれたんだ。
嬉しい〜。

「ちなみに、私は尾原いずみ。ミオちゃんって呼ぶね!」

「うんっ!いずみちゃんって呼ぶね」

な〜んだ。
真理ちゃんいい子じゃん。
私、ここ来て良かったな〜。
あるひとつのことを除いてだけど。

17:まい◆8Q:2017/08/05(土) 10:37

10.変えたいこと

始業式が体育館であって、みんなに着いて行って広いホールへ行った。
ホールの奥へ行くと、体育館がある。
紛らわしいよね、ちょっと。

「ミオちゃん、ここが体育館だよ」

ちょっと狭かった廊下から抜けて、開けた体育館に出た。
盆江野小学校の体育館、狭い。
この前は、結構広かったけど。
いずみちゃんの後ろに座り、始業式が始まった。
自己紹介があるみたいだけど、高野真櫻って言わないようにしなきゃ。
私は、羽折美櫻。
気付けば、校長先生の話だった。

「今日から転校してきた子がいます。自己紹介お願いします」

ドックン。
私は立ち上がり、クラスで自己紹介したみたいに自己紹介した。

「初めまして。私は羽折美櫻です。ミオって呼んでください。よろしくお願いします」

お辞儀すると、みんな拍手してくれた。よく見たら、真理ちゃんも拍手してくれてる。
私と目があった瞬間、すぐにそらされちゃったけど。
耳が赤い。

「座ってください」

校長先生が笑ったので、良かったんだとホッっとする。
始業式が終わり、教室に帰る。

「ミオちゃん緊張しなかったの?」

「しない。私、こういうのすごく慣れてるから」

って言うのもウソ。
私、ずっとこういうの苦手だったの。
でも、マオとミオは違う。
人柄も変えたいし、人を変えたい。
だから、出来るだけ何もかもを変えるんだ。

「ミオちゃんカッコいい。私も、ミオちゃんみたいになれたらいいのに」

「私なんてバカだし、取り柄なんて全然ないよ」

いずみちゃんはそう言うけど、本当。
元気が取り柄ってのはあるけど、自慢は出来ない。
もっとカッコいい取り柄、ほしいな。
あ、学力は上げるつもりよ。
あんまり下でも上でもなかったから、もうこのまま貫くのは無理。
上げてかないと、将来に響くの。
画家だったらいいかもだけど。
国語は結構高いの。
でも、算数が出来ないから低くて、結局真ん中くらいになっちゃう。
これは絶対、変えたいなっ。

18:まい◆8Q:2017/08/06(日) 12:08

11.美術女いずみ

教室に戻って、みんなが宿題を提出している時、私は教科書に名前を書き込んでいた。
盆江野小学校は、ポスターを今日出していた。
遅くない?
出すコンクールが違うのかも。

「ミオちゃん、いずみは盆江野小の美術女だよ!」

いずみちゃんと仲が良いらしい陽香ちゃんが教えてくれた。
へ〜、上手いんだ。
絶対私負けない。
美術だけは、絶対抜かれないんだからね!
いずみちゃんにも譲らない。

「私、すごく美術好きなの。結構前、画家デビューしたの。今年は高野真櫻ちゃんよね」

マオ、私の名前。
私の名前にビクンとしたのを、陽香ちゃんは見逃してなかった。

「高野真櫻ちゃんのこと知ってるの?ミオちゃん」

「うん。友達なの。マオちゃんに絵、もらったことあるから見せるね」

いずみちゃんも、私のこと知ってるんだ。
陽香ちゃんも。

「楽しみ!高野真櫻ちゃんと、勝負してみたいな〜」

いずみちゃん、私だから、勝負しようね、また今度。
秘密は教えられないよ。
いずみちゃんが、ポスターを広げて見せた。

「本当は、交通安全ポスター描いたんだけど、高野真櫻ちゃんのこと聞いてから、ちょっと高野真櫻ちゃんを真似して描かせてもらったの。家庭の日」

それは、昔の私そっくりの子が、お母さんそっくりの人と翼そっくりの人と仲良く話している風景。
懐かしい。
翼のお母さんの帰りが遅いとき、よくこうしてたな。

「高野真櫻ちゃん、早く家に戻らないかな。今のままじゃイヤだなぁ」

私がマオに戻ってほしいの?
ミオでいてほしくないよね。
でも…私の人生はミオだから。

19:みぃ◆8Q:2017/08/14(月) 11:10

12.外での叔母さん

やっとみんなが宿題を出し終わって、リュックを背負って帰る。
今日は、守口先生からもらったいろんなものに名前書くの。
ちょっとめんどくさいけど、仕方ないよね、もう。

「ミオちゃん、手伝おうか?」

いずみちゃんが何度も言ってくれたけど、こんなにめんどくさいことさせられないもんね。

「ん、いいよ」

リュックにたくさん詰め込んで家に帰る。
表札が羽折で、ちょっと違和感。

「ただいま〜」

すぐメガネを取って、目をほぐす。
痛かったな、目。
叔母さんがリュックの中に詰め込んである荷物を見て驚いた。

「担任の先生はいい人だった?そんな荷物どうしたの?友達はできた?これからやっていける?」

「守口先生っていってね、いい先生だと思うよ。名前書くのをもらったの。友達はできたよ。いずみちゃんって子とか。これから楽しみ!」

叔母さんはホッっとして椅子に座った。きっと、ずっと心配してくれてたのかな。
ありがとう、叔母さん。

「じゃあ、名前を書きましょう。早く済ませた方がいいわ」

叔母さんも手伝ってくれて、全部に名前を書いた。
実は、叔母さんって書道習ってたらしいから、すっごく字が上手いの。
私の下手さが身に染みるっ!

「すみませーん。いずみでーす。ミオちゃんいらっしゃいますかー?」

いずみちゃんっ?
私は、叔母さんにちょっとお願いして玄関に走った。

「ミオちゃん、大変でしょ?手伝いに来たよ!」

「いいってばいいってば。叔母さんが手伝ってくれてるし、」

「あら〜、ありがとね〜!もうそろそろ終わるからいいよ。良ければ、遊んでおいで」

叔母さんが突っ込んでくる。
家に上げちゃダメかもだしね。
いずみちゃんは、「遊ぼ〜」って笑ってくれたから、遊ぶことにした。

「私、荷物持ってくるから、そしたらもう一回来るね」

いずみちゃんが帰って、叔母さんが私の手を握る。

「マオちゃん、叔母さんは、外ではお母さん。叔母さんって言わない」

「はい、ごめんなさい」

叔母さんは、私にカワイイカバンを渡してくれて、私は家を出た。

20:みぃ◆8Q:2017/09/06(水) 21:37

13.翼あらわる!

いずみちゃんととなりに立って歩く。
行きたいところがあるんだって。
私としか行けないところ。
陽香ちゃんもいないし、相当だと思っていたら、駅だった。

「真櫻ちゃんが描いた作品を観るの。通ってた学校へ行くから」

いずみちゃん…私、バレる。
だって、だって…。
ずっと長い付き合いの人ばっかり。
髪の毛切ったって、眼鏡かけてたってバレるに違いない。
翼とかにはバレないかもだけど。
だってね、学校で私じゃない人に「マオ」って呼ぶのよ。
ひどいよねえ。

「いずみちゃん。マオちゃんが、私のことを間違えて羽折だから、ハオミって呼んでて。みんなハオミって言ってるから、ハオミって呼んで」

いずみちゃんは、騙されずにオーケーしてくれた。
違和感あるな〜。
ウソに、ミオに、ハオミ。
電車に乗ったすぐから、いずみちゃんは「ハオミちゃん」って呼んでくれてさ。
私って悪いヤツって思ったよ。

「確かここ。ハオミちゃん、ねっ」

「うん。ここで間違いない」

ああ、私の家に近づいてく。
小学校へ行くんだ、小学校へ。
すると、後ろで肩をポンポン叩かれたんだ。
翼に。

「お前ってどこのヤツ?」

「ちょっとあなた、女の子に言い方悪くない?初対面なのに」

いずみちゃんが、翼から私をかばうようにグイと前に出た。
すると翼は苦笑。

「お前には言ってねえ。コイツ。初対面じゃねえだろ」

え…?
耳元でこっそり言われた。

「お前マオだろ。バレバレ。世間に出されたくなかったら、眼鏡外して俺ん家来い」

いずみちゃんに手首を引っ張られて、通っていた小学校へ行く。
久しぶりだな、ここの道。

「あの子嫌な子だったね。女の子に失礼な」

「うんん。ハオミって知ってたけど、なんか名前をマオって言ってて」

「え…?」

いずみちゃんがゆっくりこちらを向く。ここで言うか。
隠し通すか。
やっぱり___。

「私、マオちゃんと顔似てるの。とっさのことで混乱したみたい」

「ふーん」

いずみちゃんは、面白くなさそうに校門をくぐった。

21:岬◆8Q:2017/09/19(火) 17:09

14.マオ室!?

職員室を訪ねる。
あ、担任の先生の悠先生じゃん。
指輪してるってことは、結婚したんだねっ!
おめでとう!

「マオさんっ!?」

こっちでもマオ…。
職員室の先生は、ドッっと私たちを囲んだ。
いずみちゃんが前に出る。

「この子、マオちゃんじゃないです。マオちゃんの友達の、ハオミちゃん。ちょっと顔が似てるだけです」

すると、先生たちは「なーんだ」と言いながら椅子に座った。
悠先生にわけを話して、図工室に案内してもらう。
…本当に懐かしいな〜。
思わず涙が出そう。

「いちにのさんはいっ!」

「一球魂一生捧げる」

あ、野球部の声だ。
ここの小学校オリジナルの掛け声。
ちょっとダサいかもだけど。

「すごく元気なんですねえ」

いずみちゃんがつぶやく。
悠先生は、誇らしげにグラウンドを指差した。

「ここの様子を、マオさんは描いてたの。その作品も見せるから」

私が描いた絵、か〜。
図工室に着くと、いずみちゃんも私もすごく驚いた。
正しく言い直すと、図工室じゃなくてマオ室かも。
私の作品の、ありとあらゆる絵が壁いっぱい…天井にも貼ってある。

「マオさんの絵を展示したの。見本になるし、本校の誇り。それに、早く戻ってほしい願いの表しよ。マオさん、ここに来てほしいわ」

悠先生は、肩を下ろして言った。
私、マオ、ここにいるよ。
気付かないだろうけど。

「ハオミさん、マオさんの友達なんでしょ?話せる機会があれば話してね。悠先生って言ってちょうだい」

私はにっこり笑い返した。
悠先生のこと、みんな葉山先生って呼んでたけど、私だけ悠先生だった。
ちゃんと覚えててくれてたんだ。
私は、悠先生が担任をしてくださったことを、改めて誇りに思った。

22:岬◆8Q:2017/09/19(火) 17:17

15.好きっ?

小学校を出ると、いずみちゃんは感嘆な息を漏らした。

「マオちゃんすごすぎ。私じゃ抜かせないよ」

「うんん。きっといずみちゃんの方が上手いって」

いずみちゃんはブンブン首を横に振りながら笑った。
ぼやかしてるのかな、泣いてるの。
私気付いたのに。
いずみちゃんが、私の絵を見て涙を浮かべたの。
しっかり見てたから。
きっとミオでもない、ハオミでもない。マオである私に届いたよ。

「マオ」

「またあの男」

いずみちゃんが涙をぬぐう。
翼が歩み寄ってきた。
そして、私の頬を思いっきり叩いた。

「アンタねぇ、いい加減にしなさいよね!ハオミちゃんがかわいそうよ!」

「お前は関係ない」

「あるっ!」

私はいずみちゃんの前に立つ。
絶対に関係ある。
翼の方が無関係でしょ!
思いっきりにらみながら吐き捨てた。

「マオちゃんって子が好きなら告白したら!?」

「じゃあ止まれよ」

はっ!?
急に何を…。
翼はガッシリと肩を掴むと、一気に私を抱き抱えて翼の家へ連れていかれた。

「ハオミちゃんっ!」

「いずみちゃん!」

翼は、ゆっくりドアを閉め、カギをかった。
そして、こちらをにらむ。

「マオ。ハオミじゃないお前が好き。恋愛じゃないよ。幼なじみの」

翼は、まっすぐな瞳で見つめてきた。

23:岬◆8Q:2017/09/19(火) 17:43

16.お互い頑張れ!

バカじゃないの、翼。
私は、思いっきり払い除けた。

「幼なじみじゃないでしょ。私はマオちゃんの友達のハオミ!」

「マオだって言わなきゃ世間に出してやる。どう?」

翼はジットリ見てきて、ニヤニヤ笑う。もぉーう!
そういうやり方なくない!?

「お前はマオ?」

「う…ん」

私は、眼鏡を外して、マオの時の笑顔を見せた。
すると、翼はニッっと笑って、髪の毛をクシャッっとした。

「ハオミ、頑張れよ!」

認めてくれてる!?
私は、嬉しい気持ちで翼に笑いかけた。サッカー少年のコイツ。
なかなかの腕前なんだよね。

「翼もサッカーファイト!」

私は、翼の家を、ブスッっとした顔で出てきた。
バレないようにね。
いずみちゃんは、心配げな顔で駆け寄ってきた。

「大丈夫だったっ?」

「うん、まあ。もう帰ろ」

いずみちゃんの手を引きながら電車へ向かう。
ふと、頭をマオがよぎった。
いずれは話さなくてはならない私の物語。
絶対話さなきゃ、だよね。
私は、暗くなり始めた空を見上げた。

24:岬◆8Q:2017/10/12(木) 20:39

17.今日も調査
翌日の朝。
世間にマオが無事であることが流れ、ニュースで取り上げられた。
土曜日だったから、いずみちゃんたちに会わなくて済むけどさ。
ため息をつきつつ、お茶を飲む。
すぐ気付かれそう〜。

「真櫻先生には、内緒の仕事部屋でのアート活動ということで、活動していくとのことです」

真櫻先生だって〜!
私の名前の後に先生ついてる〜!
つい舞い上がる。
すると、叔母さんがトーストを乗せたお盆を持ってリビングに来た。

「ついに取り上げられたわね。担当の人は、上原さんって方らしいわ」

絵を描くのに担当いる?
ほら、例えばだけど、ピカソとかみたいな、自由に描くことは無理なの!?

「すみませーん」

ビクンとする。
この、ちょっと高い声。
昨日から何度聞いたことか。
玄関に出ると、予想通りいずみちゃんがいる。

「朝からごめん、ミオちゃん。マオちゃん活動するんだね。ちょっと調べたいことがあるの。付き合ってくれないかなって」

私のことを調べられるの?
そう考えると、ドクドクと早く脈打つんだよぉっ!
いつバレるかってゾ〜クゾク!

「いいよ。ちょっと待って」

急いで準備して、いずみちゃんと美術館へ行く。
わたしが出した絵が飾ってあるんだって。
叔母さんは、渋々オーケーしてくれた。ごめんね。
こんなことばっかり言って。
住まわせてもらってるのに。

「マオちゃんがとった賞ね、去年私がとったの。同じ活動すると思うな」

「いずみちゃんすごいね」

首をブンブン横に振るいずみちゃん。
いずみちゃんがすごくなかったら、世の中の全てがすごくないよ!
そう思いつつ、電車に乗って、『海王美術館』へ。
結構有名らしいけど、聞いたことないな〜。

「ここよ。来てっ」

私は、思いっきり手を引かれて美術館へ入った。

25:岬◆8Q:2017/10/12(木) 20:55

18.似顔絵と占い

海王美術館のすぐそこに、『高野真櫻アートコンクール優勝作品』というのが飾られている。
いずみちゃんは、絵をジーッっと見つめながらメモをとる。
こんなことされたらヤバイ!

「いずみちゃん、ちょっと向こう見てきていい?」

焦りながら聞くと、疑り深い目でジロジロ見てきた。

「ミオちゃんの仲良しの子でしょ?マオちゃんって。なのに見ないの?」

痛いところをつかれて、ウッっとうめきそうになる。
確かに見た方がいいかも。
でも、ここまできて引き下がれない。
考えていると、いずみちゃんはメモに集中し始めた。

「ちょっと、向こうに変わったのあるから見たいな〜なんて」

いずみちゃんは「いってら」とつぶやいた瞬間、メモをビリッっと破く。
当分終わらないな。
別で時間潰しとこ。
その辺をブラブラ歩いていると、変わった絵描きさんがいた。
『似顔絵1分10円で描きます』。
やってみようかな。
お金を10円出して、絵描きさんに手渡す。

「お願いします」

絵描きさんはにっこり笑って、ゆっくり手を動かして似顔絵を描く。
特徴をしっかりとらえてくれたらいいんだけど。

「出来ました。ありがとうございました!」

もらったのは、あんまり私っぽくない似顔絵(?)
10円くらいだし、まあいいや。
似顔絵を抱えて、描いてもらったところの近くにあるお店を見る。
美術館ってお店あるんだ。

「いらっしゃいませ。似顔絵の特徴を占います」

おおっ、占い!?
私、占いって大好き。
未来が見えるもん。
すぐに占ってもらった。
100円で。

「あなたは、美術の能力を持っています。高野先生に似ている。親戚かな」

高野先生…。
また先生ついてる。
それに、私が私に似てるって…。

「きっと未来は画家ですね」

うーん、多分今それかな。
未来も続けられるみたいでホッっとしつつ、他にもお店がないか探した。
んだけど、なかった。
特別なのかな。
私は、ゆっくりいずみちゃんのいるところへ戻った。

26:岬◆8Q:2017/10/12(木) 21:08

19.アート活動のスケジュール

いずみちゃんはまだメモをとっていて、真剣だった。
ゆっくり近寄る。

「あの、いずみちゃん。どう?」

「マオちゃんの絵は繊細。私も真似したいから書いてるの」

メモしていることは、私を探ることではなくて、絵を探ること。
ホッ。
っとなんてしてられない。
美術だけは誰にも負けたくないのに、私は学校の美術どうしたらいいの!?
いずみちゃんに負けたくない。
でも、同じタッチの仕方だとバレちゃう!
美術楽しめなくなってきたー!

「終〜わり。私は帰れるよ」

私も、早くその場を離れたかったので、すぐ駅へ向かった。
いずみちゃんは、メモを見ながらニヤニヤしている。

「きっと、美術の成績もっと上がる」

私の参考になったんだ。
良かった。
いずみちゃんはメモをしまって、スケジュール張を出した。

「明日、高畑さんからスケジュールもらえる〜」

「何の?」

いずみちゃんはスケジュール張を開いて見せてくれた。
9月分のスケジュールが書かれている。アート活動の。

「ちょっと貸して」

見ると、いろいろな仕事があった。
『ヴァイオリニスト』の絵。
自らの絵。
海王コンクールなど。
私もこれが出来るんだ〜。

「ヴァイオリニストって知ってる?児童文庫の小説の。それの絵、私だよ。アート活動での名前は、まだ内緒」

へ〜。
わたしは何て名前にしよう。
マオ、ミオ、ハオミって。
名前いっぱいあるし。
めんどくさいことになっちゃった。

「電車きた」

いずみちゃんが指差した電車に乗って、カンカン照りの真夏日。
涼しい時間を過ごした。

27:岬◆8Q:2017/10/12(木) 21:17

20.私のスケジュール!

家に帰ると、叔母さんがカワイイスケジュール張を持っていた。
それに、アート活動のスケジュールの紙も。

「FAXで届いたわ。スケジュール張買ってって言われたから、カワイイの買ったけど、いい?」

「ありがとう、叔母さん!」

新品のスケジュール張を握って、9月のスケジュールを書き込む。
ええっと、いずみちゃんもあった!
『海王コンクール』!
『女優の似顔絵コンクール』!
このふたつしかない。
いずみちゃんは多いのに。
ちょっとしょんぼり。
すると、叔母さんが肩に手を置く。

「初めだけよ。きっとマオちゃんならすぐ儲かるわ。いずみちゃんは、忙しいようで、あんまり名前知らないでしょう?でもね、マオちゃんと同じ賞をとったノンノンは?」

ノンノン先生も!?
ノンノン先生と言えば、アート界の女王と言われている。
いずみちゃんは、ごめんなさいだけど知らなかった。
でも、ノンノン先生は最強。

「マオちゃんも、ノンノンみたいになれるわよ」

なれるといいけどね。
まだ初めだもん、ねっ!
急に出来たりしないもんね。
それよりも、前の学校に出したポスターだけど、よくコンクール出してくれたな〜。
そのおかげで、よくここまでこれた。
ちょっとニヤニヤしながら、スケジュール張にペンを走らせた。

28:岬◆8Q:2017/10/12(木) 21:27

21.海王コンクールへ

スケジュールに間に合うように、海王コンクールに出す作品を描く。
お題はないから、風景を描くの。
『私の家の庭』ってところかな。
でも、ちょっと変えるよ。
いずみちゃんが家来たらバレる!

「叔母さん、バケツ取って〜」

慌ただしく動き回る叔母さん。
床の間にかけてある絵をちょっと真似する。
立つと崩れたくないから、全部叔母さん任せ。
ごめんなさい。
私、自分のことしか考えてなくて。
でも、家のお金は私が稼ぐ。
一生懸命描いた。
今日から活動頑張るぞ!

「マオちゃんどうぞ」

バケツをくれて、筆をバケツに浸す。
絵の具が、バケツにたまった水にじわじわ浸透する。
美術ってこういうところいいよね。
つくづく思う。

「マオちゃんお茶飲む?」

「お願い!」

叔母さんにまたもお願いする。
でも忘れて、しっかり絵に集中!
お茶を運んできてくれて、ズズッっとすする。
うまい!
私は筆を握って、絵の具をたっぷりつけた。
そして、ゆっくり葉っぱに筆を近付ける。
タッチした瞬間、私はふふっと嬉しくなった。

             (つづく)

29:岬◆8Q:2017/10/12(木) 21:34

あとがき

初めまして!
『マオの内緒アート日記』いかがでしたか?
数々の名前を持つマオちゃん。
もはや、なんと呼べばいいのか…。
怪しげないずみちゃんも、大切な私のキャラクターです。
注目してあげてくださいね。

皆さんは、美術得意ですか?
私は、テストは無理です。
ですが、授業はそこそこ出来ます。
Aなどはよく取れます!←自慢
でも、テストは平均点取れない。
恥ずかしい限りです。
美術に限らず、エピソードありましたら教えてくださいね。

最後になりましたが、お礼。
ここまで呼んでくださったあなた!
本当に本当にありがとう。
すごく嬉しいです。
これからも、ご支援お願いします。
読んでいない皆さんも、途中からでも大丈夫です。
目を通してみてください。
では、次回会いましょう!

     マオちゃんと成長したい岬

30:岬◆8Q:2017/10/12(木) 21:35

☆次回予告☆
ついに海王コンクール!
ノンノン先生もいずみちゃんも出す!?
マオちゃんの結果は、いかに…!

31:岬◆8Q:2017/10/12(木) 21:41

★マオのアート日記裏話★

マオ>やっほ〜!

いずみ>ミオちゃんテンション高っ!

マオ>えへへ〜

いずみ>それにしても、あの男の子何なのよ!

陽香>あの男の子?

いずみ>あっ、陽香ちゃんは行ってないから知らないよね

マオ>ちょっと私に話しかけてきたの。初対面なのに

いずみ>失礼なこと言ってさ

陽香>ミオちゃんタイプとか?

いずみ>ある〜

マオ>ないからっ!

陽香>本当?

マオ>もうこの話終わりぃっ!

陽香>もう

いずみ>ま、いっか

ミオ>バイバ〜イ!

32:__☆ユニコーン&◆yA:2017/10/13(金) 16:16

以前にも協力していただいたのですが、ユニコーンです。
読書板に『マオの内緒アート日記』を載せてもよろしいでしょうか?お返事お待ちしています。

33:岬◆8Q:2017/10/14(土) 13:13

ぜひぜひ!
よろしければ、こちらも読んでくださったら嬉しいです!

34:__☆ユニコーン&◆yA:2017/10/14(土) 19:57

>>33
いつもご協力ありがとうございます。
頑張ってください。

35:岬◆x.:2017/10/14(土) 20:04

いえいえ。
こちらこそ紹介もかねてありがとうございます。

トリップ変えました。

36:岬◆x.:2017/10/17(火) 20:16

『マオの内緒アート日記 2
      コンクールは事件祭!?』

主な登場人物

高野 真櫻
美術が好きな小学6年生。
ミオとハオミという異名を持つ。
画家デビューした。

尾原 いずみ
去年画家デビューした。
マオの同級生。

江ノ島 真理
マオのとなりの席。
地味だけど楽しみは人一倍。

37:岬◆x.:2017/10/17(火) 20:33

1.今日も美術!

今日も筆を握る。
そして、真っ白で綺麗な画用紙に、黄色の絵の具がたっぷり着いた筆を。
 ボチョッ
バケツに筆を寝かせる。
これで絵は終わり!
たった一本の黄色の線。
作品はこれだけ。
名前に、『真櫻』と記入。


私の名前は高野真櫻。
って、言えたらいいんだけど。
ここでは羽折美櫻。
実家の方ではハオミ。
詳しくは、『消えた画家の日記』を読んでね!
先日、画家デビューしたのです!
大好きな美術と元気が取・り・柄。


すると、私の絵を見た叔母さんが悲鳴を上げた。
褒めてくれるのかと思ったら!

「何この作品。もったいないわ」

「これ、私の人生を表してるの。ずっとまっすぐ突き進んでた」

叔母さんは、それでも首を横に振る。
確かにもったいないと言われてもおかしくないよね。
たった一本の線だもん。

「書き直します」

画用紙を風の当たるところに干し、テレビを付ける。
ちょうど美術番組がやっていた。
いずみちゃんも観てるかな?
いずみちゃんは、私より先に画家デビューした子。
盆江野小学校では、美術女って呼ばれてるとか。

「コンクールに出せる作品以外、書いても意味ないわ」

うーん、そうだけど…。

38:みゆ◆x.:2017/10/24(火) 20:46

名前変えました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
2.山王コンクールに出品!

翌日学校へ行くと、ある話題で持ちきりだった。

「やっぱりいずみんの絵、すごい!」

声を上げたのは、笹山さん。
いずみんって呼び方、カワイイ!
となりで陽香ちゃんがつぶやく。

「さすがだね、いずみちゃん。海王コンクール?にも出すけど、山王コンクールにも出したってよ」

何そのコンクール。
私も出したかった〜。
もしかして、スケジュール張に描いてあった?
…いやいや、海王コンクールしか。
担当の人が、ひとつにしてくれたのだろうか。
わざわざそんなことしなくていいのにさ、もう。

「結果は、来週出るらしいよ」

だいたい結果読めてるだろうね。
いずみちゃん、私の絵とか研究してたしね。
いつも一緒の陽香ちゃんまで笑いながら言うんだし、優秀賞かも。

「ねえねえ、いずみん。私の似顔絵描いてちょーだい!」

笹山さんが言うと、辺りは急ににぎやかになった。
「私も〜」「可愛くね!」「部屋に額縁入れて飾るから〜」。
そこまで!?
私も言われるくらい頑張ろ。
とりあえず席につき、絵を描き始めた。

39:みゆ◆x.:2017/10/24(火) 21:09

3.気まずい空気

すると、いずみちゃんは周りを囲っていた子たちを退けて、私の絵を見る。
囲っていた子たちも、私の絵を。
みんなたちまちのうちに目を奪われていった。

「ちょっとちょっと。いずみんと同じぐらい上手いじゃん!」

「美術女上回るんじゃない?」

「ありがとう〜」

笹山さんと飯塚さんが囲ってくれて、いずみちゃんと陽香ちゃんも見てくれた。
次期には、女の子みんなが私の絵に見いっていた。

「鉛筆のタッチが上手いね。薄いところ、濃いところ。消しゴムの使い方も綺麗」

いずみちゃんが言った瞬間、男の子までもが私の机を囲う。
は、恥ずかしい。
正直、絵を観られるのは、心を観られたみたいで恥ずかしい。

「羽折うめぇ!」

「いずみより上手いんじゃね!?」

「美術女じゃん!」

みんなが私を褒めてくれて、ひとり悲しそうな顔の子、いずみちゃん。
自分は美術女って言われるくらい得意で、好きで画家なのに。
本当は画家だけど、まだ知らない私に座を取られるとか。

「いずみ頑張れよ〜!」

「おいおい!」

いずみちゃんは、ギュッっと服のすそを握って、下を向く。
陽香ちゃんが、いずみちゃんをかばいながら前に出る。

「いずみちゃんがかわいそうよ!」

「確かに…ごめん、いずみん」

もう、この空気なんなのよ〜!

40:みゆ◆x.:2017/11/04(土) 11:37

4.美術に対する思い

すると、いずみちゃんは立ち上がって私の手首を掴んだ。

「ちょっと来てくれる?」

答えを言う前に、いずみちゃんは教室を出て、屋上へ向かった。
階段を歩く足取りが重たい。
ちょっと怪しいと思われてるかもしれないし、何を言われるか!
屋上のドアを開けると、風がビューッっと吹いた。

「ねえ、ミオちゃんってさ、美術がただ好きなだけ?コンクール出したりしてない?」

いずみちゃんに両肩を掴まれて、自由に動けなくなる。
私はコクコクとうなずき、いずみちゃんは手を離した。

「私さ、ずっと前から美術女って呼ばれてて、学年を越えて有名だったの。だけどミオちゃんが来て、私の座を取られた気がする」

「私は、いずみちゃんの方が美術女だと思うけどね」

いずみちゃんは私を見つめる。
こんなことを言うのもなんだけど。
息を吸って、私も見つめる。

「私は美術が大好きで、マオちゃんが大好き。マオちゃんの絵が、好き。私もあんな絵を描きたい。だから、らくがきで描いてるだけ。いずみちゃんみたいな、美術に対する情熱はないからさ。美術女じゃないよ」

強く、はっきり言った。
私は私の絵が好き。
本当の私の絵が描きたい。
それを、上手く名前を当てはめたつもりだけど…。
いずみちゃんはにっこり笑った。

「マオちゃんの絵上手いもんね。ミオちゃんに座を取られてなくて嬉しい」

いずみちゃんは屋上を出て、階段を駆け降りた。
そのまま教室へ向かう。
情熱がないとか言ったけど、誰にも負けない情熱、あると思うな〜。
風が吹く屋上で、ちょっと思った。

41:相原梨子◆x.:2017/12/13(水) 15:55

5.いずみちゃんのトラブル

教室に帰ると、真っ先に陽香ちゃんが飛ぶように走ってきた。

「いずみちゃん大丈夫だったっ!?」

「もちろん。やっぱり美術女はいずみちゃんってことで」

陽香ちゃんはほっとした表情をして、微笑んだ。
私も内心ほっとしてる。
だって、バレたかと思って怖かったんだもん。
すると、陽香ちゃんはゆっくり口を開いて話し始めた。

「いずみちゃんね、一度美術女の座を取られたことがあるの。ミオちゃんみたいに美術がすごく上手い子が転校してきてね」

そうだったんだ。
じゃあ、ちょっとトラウマなのかも。
そのまま陽香ちゃんは続ける。

「その子は、まどかって子なんだけど、知ってる?いずみちゃんの一年前に画家デビューした子」

その子なら、知ってる。
夏休みの課題ポスターで画家デビューした私だけど、いずみちゃんもまどかさんも同じデビューの仕方。
ふたりとも、このコンクールに出してデビューしたんだ。

「まどかが私と仲良くなって、自然にいずみちゃんも一応仲良くなったんだけど、いつになっても親しくならなくて。美術女がまどかだったの」

取られたんだ、美術女の座。
陽香ちゃんはちょっと笑って、いずみちゃんの元へ駆け寄った。
もう、まどかさんの話は終わり。
私もふたりの元へ駆け寄った。

「何話してたの〜?ミオちゃん!陽香ちゃんが教えてくれない」

「え〜、内緒」

そうつぶやくと、いずみちゃんが私を思いっきりにらみつけてきた。
すっ、すごい迫力。
ちょっと怖くて後ずさりする。

「質問、いいかな?ミオちゃんって、どうして私たちといるの?」

「え…?その…席が近くて…話しかけて…くれた…から?」

陽香ちゃんは、いずみちゃんと私の顔を交互に見ている。
思わずゴクリとつばを呑み込む。

「だよね〜。私たちがいなかったらどうしてたと思う?」

「いずみちゃん、こうして私たちといるから、そんなこと分かんないよ。いいじゃんそんなの」

陽香ちゃんがかばってくれたけど、いずみちゃんは無視。
目にも止めていなかった。

「ねえ、聞いてるんだけど!」

教室はシーンとなる。
いずみちゃんはそんなこと気にしない。私は、怖くて目をつむった。

「いずみちゃん…!」

陽香ちゃんが叫び、周りの子たちがどうしたの?と聞いてくる。
いずみちゃんは全てを話し、仲間をたくさん付けていた。

「羽折さん悪くないって!いずみちゃんひっどーい」

私の味方をしてくれてる子もいる…。
何でこんなことしてるの…?
私は困り果て、しゃがみこんだ。

42:相原梨子◆x.:2017/12/13(水) 16:07

6.陽香ちゃんの怒声

「大丈夫!?羽折さん…。ちょっと、いずみちゃん謝りなよ!」

「やっ、やめてっ!」

陽香ちゃんがいずみちゃんの後ろから出てきて、思いっきりいずみちゃんの頭を叩いた。

「みんなバカすぎる!いずみちゃんなんてもっともっとバカっ!内緒何でダメなの?私、いずみちゃんにウソつかれたり、内緒なんていっぱいじゃん!どうしていずみちゃんが言えるの!?」

陽香ちゃん…。
私はその場にいられなくなり、私の味方の子の間を通って教室を出た。
どうして、内緒がこんなに大きく発展するの?
意味分かんないよっ!
いろんな教室の前を走り抜け、上靴のまま外へ。

「羽折さぁーーーーんっ!」

クラスメイトの誰かの声が聞こえるけど、振り向かずに走り続けた。
今さら、誰かと会う気もなかった。
そのまま家へ走る。

「あれっ?マオちゃん?って、どうしたの!上靴のままじゃない!」

叔母さんは、私の部屋に入ってきて、背中をさすってくれた。
私に、バチが当たったんだ。
逃げてきたんだから。
ずっと自分から逃げてる。
お母さんたちからも、逃げて…。

「どうしたの?荷物は?何で上靴のままなの?何で泣いてるの?」

「…」

何も言えない。
だけど、叔母さんに一言言えることがあった。

「今までありがとう。逃げてきたときも、保護してくれて。こんなことになるなんて思ってなかったっ!」

お金を持って、上靴のまま駅へ走り抜けた。
内緒にしただけなのに…!
いずみちゃんの…バカっ!

43:ありふこ◆x.:2017/12/25(月) 21:38

7.私の決心

電車に乗って、家へ帰る。
私の、本当の家に。
もう、こっちで過ごそう。
向こうに行ったのが悪かったんだ。
そもそも、家出してきたから。
うんん、違う。
家であったことが悪いんだ。
お母さんが…。

「君、中学生?上靴のままだけど、どうしたの」

車掌さんに声をかけられたけど、気にしないでいいとだけ伝えた。
ただただうつむく。
何度か、叔母さんの家にもお母さんかや電話がきた。
私が来ていないかって。
もうかかってこなくなったけどね。
あきらめられたのかな。
捨てられたのかな?
そんなことを考えていると、もういつもの駅に着いた。

「降りなくちゃ」

電車から降りて、家への道を歩く。
家の表札に『高野』と書かれている。
家に帰ってこられた…。
ドアをガチャッっと開ける。

「お母さんっ!」

ちょうど玄関のすぐそこの廊下の掃除をしていたお母さんに呼びかける。
お母さんは、一瞬目を疑うようにして見てきた。

「マオなの…?マオよね」

「そう。マオ」

『盆江野』そう書かれたジャージを見て、きっとお母さんは、叔母さんの家に行ったんだと察したんだと思う。

「とりあえず、リビング来て」

優しく包み込むように握ってくれた。
お母さんの温もり。
すごく温かい。
リビングのソファーに腰かける。

「マオ、叔母さんにお世話になったのよね。お礼言った?」

「もちろん」

お母さんは、ちょっとホッっとした顔をして、私の隣に座った。
そして、一枚の新聞を広げた。

「ここに書かれているのは、画家デビューした高野真櫻、行方不明事件。いつか見つかったら捨てようと思って」

その新聞をビリッっと破り、ゴミ箱に思いっきり捨てたお母さん。
この日を夢見てた、のかな?

「ごめんね、マオ。お母さんが、翼くんって言ったから。ごめんね…」

「ごめんなさい、お母さん」

私は涙をティッシュで押さえた。
ずっと我慢していたものが。
全て出た感じ。
マオとミオを違う人に。
ずっとやりたかったことを変えてきた今までの生活。
こんなに辛いことはない。

「マオはどうしたいの?叔母さんのところに戻りたいなら、戻ってもいいんだよ。もう、マオの好きなようにしなさい」

「私は…」

 ピンポーン
お母さんが席を立つ。
きっと、隣のおばさんだろう。
おしゃべりが長くなるよね。
久しぶりに部屋へ行こう。
階段へ足を傾けると。

「おい、マオ」

「翼?タイミングいいね」

あの、ハッポースチロール呼びしてきた翼…なはずだけど。
変わったよね、翼。
がっしりしてて、男の子って感じがする。

「やっぱり、お前ってハッポースチロールだよな。弱い。逃げてばっか」

逃げてばっか。
その言葉に、強く打たれた。
私、どうするのか決めた。
もう迷わない。

「私、盆江野に戻る。謝って、仲直りして、お礼伝えれたら、帰ってくる」

お母さんは、目に涙をためてうなずいた。
翼もニカッっと笑う。
いずみちゃんと、絶対仲直りする。
もし、イヤなことを言われても。

「じゃあマオ、おこづかい」

お母さんの手に握られていたのは、私にしては多めのおこづかい。
だけど、これで頑張れってことだ。

「翼!またね!」

翼は手を上げて、家を出ていく。
お母さんの車で叔母さんの家へ。
私には、迷いの『ま』の字も存在していなかった。

44:ありふこ◆x.:2017/12/25(月) 21:51

8.支えてくれる人

叔母さんの家には、いくつかの靴が散らばっていた。
中には、いずみちゃんと陽香ちゃんの靴もあった。

「すみません、ちょっと」

お母さんが叔母さんを呼ぶ。
まだ泣いている私の代わりに、お母さんが私の意思を伝えてくれた。

「了解しました。まだ、ミオちゃんのままでいこうかしらね」

「ミオ?」

「私のふたつ目の名前。羽折ミオ」

お母さんは笑って帰っていった。
一番私を支えてくれる人。
どうせ、私のことなんてって思ってたけど、お母さんだったんだ。

「ミオちゃん!」

居間に入ると、すぐに陽香ちゃんが声を上げる。
いずみちゃんはこちらを見てくれないけど、来てくれたんだ。

「ごめんなさい、みんな!」

私は、まずペコリと謝った。
陽香ちゃんは「いいんだよ」と体をまっすぐに直した。

「私が身勝手な行動を取ったから、こんなことが起こっちゃって」

私は、何度も何度も謝った。
いずみちゃんが振り向いてくれるまで。

45:相原梨子◆x.:2018/01/08(月) 09:50

9.いずみちゃんの気持ち

陽香ちゃんは「ミオちゃんが謝ることないよ」と背中をさする。
…確かに、私はそんな必要ないのかもしれないよね。
だけど、いずみちゃんが振り返ってくれなきゃ…!

「いずみちゃん!もう一度、話してくれない?私、仲直りしたいの!」

お願い、いずみちゃん。
私の気持ち、届いて!
やがて、いずみちゃんと陽香ちゃんの他に来ていた手塚さんと七原さんが口を開いた。

「私思うんだけど、いずみちゃんもめんどくさいって言うか、グチグチ言い過ぎだと思う」

「それもあるけど、羽折さんもしつこくない?いずみちゃん嫌がってるのに取り入ろうとしてさ」

七原さん、そう思うの…?
しつこくしてたなんて…。
いずみちゃんも、手塚さんの言葉に口を紡ぐ。

「気にしなくていいの。羽折さんは何にも悪くないんだから」

手塚さん…。
本当に私は何にも悪くないの?
いずみちゃんが、家に来た理由って、やっぱり…!

「もうよく分かんないよ!ミオちゃんはとりあえず離れて!一緒にいるとイライラするのよ」

いずみちゃん…っ!
何でそんなこと言うの?
ついに、私は涙を流してしまった。
みんなの前で。

「イライラするとか、本人の前で言うの、最低だよ!」

手塚さんがいずみちゃんに怒る。
こんなままじゃ、ダメだけど。
でも、今は何もできない…。

「悪いけど、帰ってくれる?」

これでいいんだ。
いずみちゃんはすぐに荷物をまとめて家を飛び出す。
それを七原さんは追いかけた。
陽香ちゃんと手塚さんは「いずみちゃんと気まずいよね。明日、学校で待ってるからね」と言う。
私のこと、そんな風に思ってくれる友達がいるんだ…!


翌日の朝。
重たい足取りでランドセルを背負って学校へ向かった。
上靴を持って、新しい靴で。
いつも履いてた靴は、学校だから。

「あ、羽折さん!」

手塚さんだ!
陽香ちゃんもいる。
思ってた通り、いずみちゃんと七原さんはいなかったけど。

46:相原梨子◆x.:2018/01/08(月) 10:29

10.友達!

陽香ちゃんと手塚さんと教室に行くと、クラスの子たちが遠い目で見てきた。
ちょっと、いずらい。
その中心にいたのはいずみちゃん。
もしかして、嫌がらせ?

「気にしなくていいの。いずみちゃんなんて、自分が一番だったら何でもいいんだから」

手塚さんがそっと耳打ちする。
その性格、大変…。
そう思っていると、江ノ島さんがズンズン歩いてきて叫んだ。

「羽折さんのバカッ!どれだけ真理を心配させたと思ってるの!」

クラスがシンとなる。
江ノ島さんはハッっとして、口元を押さえて教室から出ていった。

「ちょっと待って、江ノ島さん!」

ここから先は屋上だ!
屋上に着くと、江ノ島さんが体操座りをして顔をうつ伏せていた。

「羽折さんが飛び出したから、真理が一番初めに追いかけたの。だけど、羽折さんの家知らないし、足遅いから見失ったの。心配かけすぎよ…!」

「追いかけてくれて、ありがとう」

江ノ島さんはハンカチを目元に当てながらつぶやいた。

「羽折さんと仲良くなりたいの…」

「私も、江ノ島さんと友達になりたいよ!こんな子いないもん!」

江ノ島さんは、にっこり笑って屋上を出ていった。
良かった、こんな子が盆江野小学校にいてくれて。
もちろん、陽香ちゃんや手塚さんも。


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