愛衣さん、いや、愛衣は思っていたよりもいい人だ。
ただ、愛衣は、圧しに弱い所があるらしく……。
「愛衣、コレ職員室にもっていって!」
「あ、うん……」
担任にお願いをされると、断れないのだという。
「まあ、これは仕方ないよ」
「そうかなあ……」
本当は変わりたいの、と小さな声で言う愛衣。
「じゃあ、もう徹底的にやるしかないね」
「え、どういうこと、杏奈さん」
杏奈でいいよ、と言った後で
「だって、今のままじゃ、担任と潰すことはできないでしょ」
あっさりと言い捨てる。
「このままだと、私達不利だよ。秋山君にも、どこかからネタを仕入れてもらおう」
「ネタ?」
もちろん、渡井のボロが出てる話のこと、と杏奈は言い、
「ちょっと外に出て来る」
どこかへと走っていった。