から騒ぎ

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1:野獣先輩:2018/01/07(日) 21:12

一番の幸福は生まれないこと。
二番目はすぐ死ぬこと。  ーーある格言

2:野獣先輩:2018/01/07(日) 21:23


 あるときは、空が流動して見えて、液体だと思った。
 
 あるときは、個体だと思った。

 昔、ギリシャの哲人は、動いている矢は
 
 静止しているのだとさえ証明できたように、

 見ようと思えば、空は何にでも見えることが

 面白かった。

 ところがある時、空が虚無に見えたと思った途端、もはや

 虚無は虚無であって

 虚無以外の何物をも連想することはできなくなってしまった。 

3:野獣先輩 イキスギィ!:2018/01/07(日) 21:39


 美術部の奈々に言った。

「何でもいいから、デタラメな絵を描いてくれよ」

「何よ突然……わかった」

 次の日。

「はい、昨日の宿題」

 デタラメな絵を渡された。

 一時間ほど退屈しのぎになった。

「奈々、明日も頼む」

「頭おかしいんじゃないの。別にいいけど」

4:野獣先輩 イキスギィ!:2018/01/07(日) 21:48

 部屋の壁は、いつしか

 奈々の描いたデタラメでいっぱいになった。

 僕が要求するデタラメは日に日に増えて

 最初は奈々も

「デタラメならいくらでも描けるから」

 と言っていたのに

 今では僕の要求は大きな負担になっているらしく

 奈々の顔はやつれて

 テストの成績も下がり

 それでも僕は奈々の 

 新しい絵が欲しくてたまらなくなって

 夜

 奈々にLINEで言った。

「今すぐ持ってきてくれ」

 奈々はふらふらになって

 素晴らしい絵を持ってきてくれた。

https://i.imgur.com/fPiC2As.jpg

5:野獣先輩 イキスギィ!:2018/01/07(日) 22:00


 奈々は転校してしまった。

 奈々は僕から逃げてしまったのだという

 噂を聞いた。
 
 奈々のおかげで虚無を

 僕は忘れることができていたことを

 空を見上げて実感した。

 部屋の壁の

 何百枚もの絵を剥ぎ取って、

 その中に埋もれてみた。

 バラバラに破って、

 さらにデタラメにしてみた。

 そのうちに、奈々の作品はみな

 使い物にならなくなってしてしまって

 再び

 空を見上げると

 悲しみが止まらなくなった。

6:野獣先輩 イキスギィ!:2018/01/07(日) 22:24

 
 LINEが来た。

 それは奈々からだった。

「相変わらず空ばかり眺めているんでしょ。

 私、あんたから逃げたわけじゃないんだからね。

 普通に、家庭の事情だから。

 そりゃあ、
 
 あんたは頭が少しおかしいし、

 あんたのおかげで優等生ぶるのはやめてしまったけれど

 その代わり

 なんだか自信がついた。

 あんたがいつも言っている虚無ってやつは

 あんただけじゃなく

 私にもあってね

 私たちだけじゃなく

 きっと

 誰にでもあって

 私の絵が少しでも虚無を隠蔽することができるなら

 きっと

 それは素敵なことだと思えたのよね

 https://i.imgur.com/ztD4bMG.jpg

 僕は笑って、返信した。

「なんだ、これは笑」


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