隣人が騒がしい。

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1:宇治金時:2018/02/11(日) 15:19

ちょこちょこ更新

8:宇治金時◆s.:2018/02/20(火) 23:12

「生糸うずらです。
早くクラスに馴染みたいです…宜しく
お願いします。」


…まじかよ。


私、平塚由奈の通う 私立杉原高校は
衝撃の偏差値43。
まぁ所謂、滑り止め高校。

本命の市立四つ葉高校に落ちた私も
今ではすっかり杉原生。


その杉原高校2-Dに、青紫の髪をした
美少女が転入してきた。



「はい、じゃあ生糸さんは
一番後ろに席を用意してますから。
あそこに座って下さいね」
「はい。」


目に優しくない色彩の、怪しい隣人。

残念ながら、今日からその一人が
クラスメイトになりました。

9:宇治金時◆s.:2018/02/20(火) 23:51

「……ほし、ぐみ?」
「そうそう。2-Dの通称だよ!!」


休み時間、うずらさんの席には
沢山の生徒が群がっていた。
彼女は真後ろなので、嫌でも話が聞こえてくる。

「ちなみに2-Aが牡丹組で、2-Bは百合組、2-Cは……」


クラス委員の井上桜ちゃんが
明るく説明をしている。
……明るく語る事ではないよね?


ここ杉原高校では、特殊なクラス
分け方法がとられている。


容姿端麗、文武両道、品行方正
完璧な生徒が集められるのがA組。
通称、牡丹組。

勉学に秀でた生徒が集められるのが
B組。
毎年女子の割合が多い。
通称、百合組。

B組とは間逆、運動に秀でた生徒が
集められるのがC組。
通称、菫組。

E組は、不登校や知的障害などがある
生徒のサポートクラス。
ここだけ通称無し、ただのE組。


そして我らがD組は、
キラキラネーム、DQNネームその他諸々……
『常識的な名前ではない』と判断された人が入れられるクラス。
通称星組。


名前がクラス分けに影響する理由は
入学式で説明された。
なんでも
『ペット感覚で子供に名前をつける
親は、頭が足りない場合が多く
その親に育てられた子もまた、歪んでいるかもしれない』

とかなんとか、無茶苦茶な事を
言っていた。

本当は、校長の娘が名前で
いじめを受けた事があるらしく

『普通の名前の中にあるから異端なのだ。
異端を寄せ集めた中に居させれば
目立って苛められることも無い』

との考えのもと設立されたらしい。
成る程、木を隠すなら森の中…



「由奈ちゃーん、私たちも
うずらちゃんと話に行かない?」

あ。

「うーん…私はいいかな」

今話しかけてくれたのは、私の親友
東田伽夜ちゃん。
かよちゃん、ならいい名前なのに。

「ちぇ、ノリ悪ぃな」

悪態をついたのは坂木原海星。

「黙りなさいよヒトデ」


……あ、うずらさんビックリしてる。
聞いちゃったんだね。


クラス委員の桜ちゃんは、
井上桜と書いて井上桜(イノウエ・チェリーブロッサム)って読む事。

10:宇治金時◆s.:2018/02/25(日) 11:31

授業中、後ろの席からメモ用紙が
回ってきた。
……私の後ろはうずらさんです。


仕方なくたたまれた紙を開くと
『明日は ぱみ も転校して来ます』
の文字。

えっ。


数学のノートを破り取り、すぐさま
『まじですか』と書いて回す。

十秒と立たずに『まじですよ』
と書かれた紙が、私の机の上に置かれた。


見るからに怪しいから、関わりたくないのになぁ……

ていうか、あのロリBBA高2かよ。
うずらさんも高2かよ。

なんで二人暮らししてんの……?

11:宇治金時◆s.:2018/03/03(土) 23:02

今日はいつになく疲れた。


交差点で伽夜ちゃんと別れ、一人
家までの道を歩く。

「なんなのあの二人は……」


揃って人工的な髪色の
ロリBBAと美少女が、隣に越してきたのは昨日のこと。

手足が無いピンクツインテールの
幼女『ぱみ』さんと
ぱみさんを抱えて歩く、青紫ロング
ヘアの『うずら』さん。


明らかに見た目おかしいし、近づきたくないのになあ……。

近所ならまだしも、隣人。
最低限の付き合いはせざるを得ない。

ましてやクラスメイトでもあるのに、
邪険にするのは宜しくない。
……私のクラス内ヒエラルキーが
下がってしまうから。


『ぱみも明日転校してくる』
という言葉を思い出し、私は
面倒くさくなる予感で身震いした。

12:宇治金時◆s.:2018/03/10(土) 14:40

『本宮乃塚ぱみじゃ、よろしく頼むぞ‼』


........本当に来やがった。

うずらさんに抱き抱えられ、声高に叫ぶ
ピンクツインテールのロリBBAは、確かに
杉原の制服を纏っていた。

「あ、平塚ではないか!
貴様名前だけでなく頭まで悪いのか⁉」

失礼な。

「は、はい。もとみやのじゅ...づかさんは、
生糸さんの隣の席に...」

あ、噛んだ。

「担任!人の苗字を噛むとは、どういう
神経をしておる?」
「やめなさいぱみ。
貴女の苗字珍しいんですから、それくらい
スルーすべきです。」


目に痛い色彩のロリBBAの登場に
ざわつく外野をよそに、私は『生糸』も
大概珍しいだろ、などと考えていた。

13:宇治金時◆s.:2018/03/27(火) 09:49

「ぽるちゃん先生ー」



その声で、ざわついていた教室が
しん、と静まりかえった。
稀に起こるこの空気、私は苦手。


声をあげたのは海星。あのアホ……


「坂木原くん、どうしたの?」
「なんで本宮乃塚はE組じゃないん
すかー?」

訂正、グッジョブ海星。


その疑問は当然のものだった。
何故なら見て分かる通り、
あのピンクロリには手足が無い。

身体及び知的障害サポートのある
E組に入るのが自然だ。


「ええっと、それはですね…」
「金を詰んでクラス変更してもらったからじゃ。」


先生の声を遮るアニメ声。
……いや、金を詰んだって言った?


「は?何だそれ本宮乃塚………さん」

「長いじゃろ、ぱみでよい。
言った通りじゃ。ここは私立、普通の学校より融通がきく」

「だから金詰んで普通クラスに
入れたっつーこと?」
「そんなところじゃな。」


そんなところじゃな、じゃないよ。
先生顔面蒼白じゃん。


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