新 ロミオとジュリエット

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1:雅:2018/02/17(土) 01:47

たとえ君が僕のことを忘れても、僕は君を忘れない。





生まれ変わっても、必ず君を見つけ出す。





何度でも、君を愛し続ける。





もう、最初で、何度目のキスだろうか。





おやすみ、ジュリエット。

22:雅:2018/03/19(月) 17:18

街外れの古びた屋敷を裏手に周り、壊れた柵の隙間へと体を器用に通す。
この道を通るのはかなり久しぶりだ。ドレスが裂けないように細心の注意を払いながら柵を超えてゆく。

この屋敷の名は通称「月夫人の館」という。
かつて月をも魅了すると言われた美しい娘が、伯爵に結婚を申し込まれ幸せな生活を送ったという。その
夫人の美しさから娘は「月夫人」と呼ばれていたらしい。
その月夫人が、愛する公爵と生涯を過ごした館がここなのだ。

今では古びた屋敷跡となり、枯れ果てた花園と錆びたテーブルが虚しく転がっているだけだ。
かつては色鮮やかな花々が咲き乱れ、テーブルには美味しい紅茶と月夫人の微笑みが儚く佇んでいたのだろう。

23:雅 お久しぶりです:2018/04/05(木) 13:23

柵を越えると、そこには星屑の森へと続く小道がある。
森林の青々とした若葉が一枚、ひらりと優しく風に吹かれて、月夫人の館になびいていった。

その教会は、かつて聖なる五芒星の加護を受けたとされる女魔導士リフェータが、星に祈りを捧げるためにつくったのだという。
当時は教会に華が添えられ泉の水が湧き出る美しい教会だったのだが、今では人々に忘れ去られ、こうして
たまにジュリエットが祈りにくる程度だ。

だが、今日は少し違った。

礼拝堂の中心、割れたステンドグラスの光を浴びて輝く深紅の色。しなやかでありつつも豊潤な肉体。
強気な態度が現れたような、赤と橙のドレス。
その者はジュリエットに気付き、祈りを中断して微笑んだ。

「おや、珍しくも可愛い客が来たと思えば、そなたは王女、ジュリエットではないか」

彼女の名は、恐れ多くも偉大なる赤き火の女王、エキドナレア。
この世界における属性の一つ、「火」の均衡を保つ女王だ。別名は「獄炎の女神インフェリニア」
また、定期的に精霊達と接触し、体内の魔力を活性化させるという役目がある

「エキドナレア様、お久しぶりでございます」

ジュリエットはドレスの裾を摘まんでお辞儀をする。
エキドナレアも扇子を取り出して、ジュリエットに礼をした。

「ふふふ、わらわも運が良いようじゃな。ジュリエットは祈りに来たのか?」

「そうですわ。最近は多忙な日々が続きまして、お祈りが出来なかったのです」

「はあ…こんなにも愛おしく小さき少女に国の面倒事を押し付けるとは、大臣共の狂気が知れぬな。
わらわのジュリエットに精兵の出撃命令など…全く、神が許すというならばわらわが代わりに命令を下したい
ぐらいじゃ」

面倒事というのは大抵ルトーがやってくれるのだが、ジュリエットはあえて言わなかった。
代わりに久しぶりに出会えたエキドナレアとの会話を楽しもう、と心に決める。

「エキドナレア様はどんな時でも、気高くお優しいですわ。さすが火の女王ですわね。そう言えば、エキドナレア様はご用件があって教会におられるのですか?」

「わらわは火の精霊達に会いにきたのじゃが、どうやら眠り姫の効果が発動しているようなのじゃ。
精霊は眠りについておるし、祈りだけ捧げておこうとな」


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