この戦いは、誰のために?

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49:アーリア◆Z.:2018/04/29(日) 20:03

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 俺は今、西ムーシの町にある酒場に居た。

「お待たせしました」

 一瞬、酒場の店員が何かを食べ物でも持ってきたのかと思ったがそれは違う。待ち合わせていた女がちょうどやって来たのだ。

「おう、来たか。で、相変わらず貴女たちは西ムーシの町で待ち惚けをくっているようだな? とは言ってもまだ何日も経ってないか」

 今、俺には手持ちの魔物は相変わらず0匹である。であるからこそ、どこかで勇者たちを留まらせて時間稼ぎをしたかったのだが、どうやら勇者一行の1人が勝手に旅を中断して、その他のメンツは西ムーシの町にしばらく滞在することになったらしい。

「まあ、待ち惚けは相変わらずですけど、勿論西ムーシの町でしばらく滞在しようと提案したのは私ですよ。そしたら、2人ともまんまと乗っかってくれました」

「それはありがてえ。どうもな。だが、すまないのだが俺もそれなりの戦闘力のある魔物を探しているのだが……この辺は雑魚ばかりでな」

 この女の提案で、俺に時間を作ってくれたというのは本当にありがたい。しかし当の魔物はと言うと、捕らえるのに難航しているのだ。しかも今は魔物を使って攻撃をしかける最大のチャンスなのである。と言うのも、勇者一行の旅を中断して1人で勝手にどこかへ行ったのが、倒した魔物に刻印が無いか一体ずつ確認していた奴とのことらしいからだ。 
 奴が居ない今こそ、神経質にならずに魔物を使って一気に攻撃するチャンスと言うに。これは勿体ないことをした。

「なるほど、それなりの戦闘力がある魔物と言うと……実は昨日泊まった駅馬車の宿の付近に森があるのですが、運が良ければ毒タヌキがいたりするかもしれませんね」

 ほう。まあ確かに森なら確かに毒タヌキがいないこともない。なんならとりあえず、行ってみることにしよう。
 ……と言ってもその森が具体的にどこにあるのか判らんな。

「わざわざすまないね。で、その森の行先なのだが、具体的にどこにあるか判らなくてな……一緒に来て森まで案内してもらえないだろうか? 」

「ええ、そういうことなら任せてください」

「重ね重ねすまない」

 という事で、俺はこの女と共に毒タヌキ探しへ行くことになったのである。


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