総督の苦難

葉っぱ天国 > 小説 > スレ一覧 101-キーワード▼下へ
6:総督 銀河の悪魔:2018/05/26(土) 22:15

「てーとく!げんすいが来ました」
見張りの横には背の高い初老らしい男性が立っていた。明らかに私を睨んでいる。(我が策成れり)という喜びを噛んで堪え、その男に話しかけた。
「まあ、かけたまえ。それと見張りは発着口に戻るんだ」
「約束は守っていただかなくてはいけませんからな」
「して、貴方は何をお望みですかな?」
「撤兵していただきたい」
「それは私の独断で、できることではありません。艦隊の指揮権は私にありますが、勝手に交渉して撤兵することは認められていません」
私がそう言い切ると男は不敵な笑みを浮かべると、
「この手がある!」
と叫び私に銃口を向けた。その刹那、鈍い音と銃声が部屋に立ち込めた。
「お見通しだ」
もちろん勝ったのは私である。なぜなら、予期していたのだから。
「なぜ、わかった?」
そう思うのも無理はない、私は男に銃を向けつつ説明した。
「お前が私をころす目的で来たことが確定していたからだ」
「いつ――――から?」
「捉え方によるが、さっき私を睨んだろう?あれがもう合図なのだ」
「どこが?私は何も意図してない」
それはそうかもしれない。だが意思とは意図せずして出てしまうものなのである。
「私の急所を見ていた。どこを撃つか見極めている」
「他にもあったのか?確定・・・で・・・きるものが?」
「ああ、まず、お前が来ることが、この作戦の鍵だ。まあ、元帥と言えば他のやつは艦隊ごと吹き飛ばしたからもういない、お前しかいないから私は銃を用意したのだ。スパイを忍び込ませて良かったよ。お前が外交を使って指揮官をころしたり、卑怯な戦法を愛用することをな」
男は観念したのか黙りこくって跪いていた。
「おい!救護班はこの男をすぐに治療しろ。まだ利用価値がある」
男が私を怨めしそうに睨み付けてきたので私は満面の笑みを返してやった。するとやつは憤怒の余りに暴れだして気絶してしまったので、我々は笑うしかなかった。
「あとはあのデカブツを駆除するだけだな」
私は外の敵艦を指差して微笑んだ。


続きを読む 全部 <<前 次100> 最新30 ▲上へ
名前 メモ
画像お絵かき長文/一行モード自動更新