総督の苦難

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66:総督:2018/07/12(木) 19:43

「海軍の支援を望むしかないか・・・だが成功するだろうか・・・陸軍と彼らだけではあまりにも無力だ」
「総司令、何を泣いておられるのですか?」
そう言って突然男は少尉を押しのけ陸上大将の肩を叩いた。男の軍服はボロボロであったが士官のような印をつけていた。
「その声は・・・ピエトロ少佐!生きていたのか・・・」
驚くのも無理はない。この男、命令を無視して突貫し、死亡報告が出ていたのだ。大将は驚きのあまり矢継ぎ早に質問をした。
「なぜ生きている?」
「なぜここに来た?」
「なぜ・・・」
「総司令、貴方が仰りたいことはだいたいわかります。なぜ生きているかといいますと、自分は敵の射撃を腹と太ももと顎に受けたのですが、突然意識が回復して逃げてきたわけでございます。さっき弾丸を摘出したら痛みも消えましたよ」
彼はつづけた
「私がここに来た理由は、先ほど命令違反を犯したその咎を受けに参ったのです」
「では、君に頼みたいことがある」
ピエトロ少佐は任務と聞くと身を乗り出して嬉々として
「何ですか?何ですか?」
と大慌てで尋ねた。そんな彼を見て大将は微笑ましそうに
「君の部隊と橋立砲兵連隊と合同で今日の夜、東湾の付近に布陣してほしい。政府艦隊から開戦の入電があったらすぐに砲撃を開始せよ。ただし元気な者しか連れて行っちゃいかんぞ」
「御意。早速部下に伝えてまいります」
「うむ・・・すまんな」
大将の目は沈んでいた。これはそこらの咎よりも厳しいのだから。


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