目覚ましより早く起きて、憂鬱な朝を迎える。
中学生最後の年、私は不登校からそろそろ卒業して 普通の生活を送ろうと
頑張っている最中だった。
「頑張ってんのかな、これで」
誰に言うでもない言葉を吐き出し 玄関の扉を閉める。
歩いて四十分ほどの道を 一人で歩くのも もう慣れた。
教室に入っておはよー、と挨拶を交わす中 隣の男子は眠そうにこちらを見て
また机に顔を伏せた。
名前は確か、幸紀<ゆき>と言うはず。
「幸紀君、おはよう」
やっぱり頷くだけで、返事はくれない。
まぁ、仕方ないか。と思い、別の男子の所へ行く。
その幸紀があんな存在になるとは知らずに。