もしも、私と“貴方”が出逢ったことに意味があるのならば────
「私は山南です。気軽に呼んでください」
青年───山南さんは優しく微笑んだ。
こんな、友達も傷つけた馬鹿な私になんで優しくしてくれるの?
嬉しい反面、怖かった。
「屯所では女中として過ごしてくれますか?」
私の気持ちを知ってか、知らずか山南さんは私の顔をのぞき込む。
女中でも何でもいい。
────この人の側にいられるのなら。
こんな気持ちは初めてだ。
優しくされたから、とかではなくて。
この人の側で、尽くしたい。
そう、強く思った。