銀河系の果てで(近世ハイファンタジー)

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2:伊168:2019/01/05(土) 00:10

第2話:砂漠の巨人

着陸するや否やアメデオは勢いよく扉を開けようとした。肝心な惑星の分析結果すら見ずに。
彼の手がボタンにかかった時、危険だと感じたシュミットが大声で、

「待て! 惑星の分析の方はどうだ?」

叫ぶと同時にアメデオを突き飛ばした。
もし、この惑星の大気に有害物質が含まれていたりしたら扉を開けた途端、3人とも御陀仏になってしまう。実際、52年前に、世界最強の冒険家と言われたロバート・グリルスも大気に含まれていた微量な有害物質が原因で病死している。砂山のように脆い人間にとってちょっとしたミスは死に直結する。仮にこの惑星が無事であり、上陸できたとしても気の緩みは許されない。

「2人とも落ち着いて聞いてくれ……」

上村が声を低めて言った。只ならぬ雰囲気を醸し出している上村の声を聞いて、揉めている2人もパッと振り向く。

「まず、この惑星の重力は地球の10.454倍、公転周期は352日、自転周期は86320秒、窒素濃度は74%、酸素濃度は22%、アルゴン濃度は1.2%、二酸化炭素濃度は00.3%、光や水は充分。また、文明の存在も確認。気温は地球よりやや高め。どうも太陽活動が活発らしい。太陽系と違って。日数や1日の長さが大きく違うので、やや弊害はあるだろうが、生存は可能だろう。詳しいことは纏めてあるから各自取って行ってくれ」

言い終わると上村はニコッと笑って、

「じゃあ、降りようか」

と言いつつ扉の前に立った。どうやら深刻そうに低い声を出したのは気をひくためだったらしい。2人もフッーと息を吐いて扉の前に立った。
3人は息を合わせて飛び降りた。足元の砂が撒き散らされる。彼らは降り立つや否や同時に息を吸い込んだ。
地球(都市部)の汚れた空気や火星、カリスト、タイタンなどの人工空気とは比べるだけで失礼なほど良い空気である。登山が趣味だったシュミットなどは懐かしさに目を潤ませている。
彼らは必要なもの−−−−拳銃や本、アルミホイル、金の延べ棒、翻訳装置などをリュックに詰め込んで再び大地を踏みしめた。
すると、前方に前方に毛むくじゃらのゴリラみたいな生き物を見つけた。見た感じ、ゴリラより80センチほど大きい。四足歩行のものや二足歩行のものもいる。地上の類人猿より人類に近いことからかなり進化しているのだろう。猿人や原人とはまた違うが。巨人とでも言おうか。
ジッと見ていると、こちらに気付いたのかこちらに近づいてきた。しかも喧しいほどの鳴き声を上げながらである。
シュミットは驚いて花火弾を自分達と巨人達の間に撃ち込んだ。柔らかい地面に着弾したので、いい具合に爆発が起こった。巨人達は周章狼狽してどこかへ逃げて行った。


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