親友がイケメンすぎる話。 

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1: 絢 ◆CuY:2019/09/01(日) 17:10



  
   女子なのにイケメンすぎるんだよぉー!!!


          >>2



  

2: 絢 ◆CuY:2019/09/01(日) 17:16



  はーい、私です。
  ごめんなさい、もうひとつの小説全く進んでないのに....←

  今回はもうひとつの小説、
  『 若泉家は今日も雨 』とは少し違う雰囲気( ? )だと思います!

  『 若泉家_ 』の方は少し重めのお話なのですが、今回の小説は
  比較的軽く、読みやすいかと...!

  どちらもよろしくお願いいたします...、

  >>3へ!!

  

  

3:ありさ◆8g:2019/09/01(日) 17:43

楽しみです・・・
頑張って下さい!
支援します!

4: 絢 ◆CuY:2019/09/02(月) 16:46



  ありがとうございます...!頑張ります!!>>3


  

5: 絢 ◆CuY:2019/09/02(月) 17:02



□ 主な登場人物紹介 □


■ 坂野 叶花 / サカノ キョウカ / 高校1年生 / ♀
思ったことは口には出さないけど結構良い突っ込みを心の中でする大人しい女子。親友の前だけで素の性格を出す。

□ 東城 紗来 / トウジョウ サキ / 高校1年生 / ♀
夏休み明け、髪をバッサリ切り、性格までイケメンになった叶花の親友。男子より男前で廊下を歩くと女子から声をかけられることも。

■ 小林 姫名 / コバヤシ ヒナ / 高校1年生 / ♀
大人しい性格だった頃の紗来に嫌がらせをしていた。しかし相手の全てが変わってしまい、人気者となってしまったので、紗来に頭を下げる日々。

□ 臼井 純 / ウスイ ジュン / 高校1年生 / ♂
イケメンとなった紗来を「姉貴」「番長」と慕う程、紗来に憧れている男子。少し不良っぽく、教師の言うことも聞かないときがあるが、紗来には弱い。

  

  

6: 絢 ◆CuY:2019/09/04(水) 14:59


■ 新城 虎太郎 / アラシロ コタロウ / 高校1年生 / ♂
イメチェン後の紗来のことが異様に好きな、校内No.2くらいのイケメン。今までは女子に騒がれることが好きだったけど、今となってはどうでもいいらしい。

□ 東城 柚羽 / トウジョウ ユウ / 高校2年生 / ♂
紗来の兄で、校内最強イケメンとまで言われるまさに女子の神的存在。紗来の兄だということを隠しているわけではないが、兄弟だと知っているのは叶花だけ。

  

7: 絢 ◆CuY:2019/09/04(水) 15:51


〈 プロローグ 〉


まだ7時30分だというのに、セミの鳴き声が響く。
まあ、セミに時間帯は関係ないんだろうけど.....。

夏休みが明け、初日の登校。

私は雲ひとつない空を見上げ、友達との待ち合わせ場所へと向かう。
楽しかった夏休みが明け、気分はどん底。
これから長い学校生活が始まると思うと、なんだか憂鬱で仕方ない。

....しかし、紗来の方が憂鬱だろう。
少しばかり...、いや、随分と気が強いクラスのマドンナ的存在の姫名ちゃんに嫌がらせをされているのだから。

紗来は入学して出会った友達だ。

大人しく優しい性格で、腰あたりまである黒いロングヘアが特徴。
染めるのもパーマをかけるのも自由な高校なのに、何もしていない彼女は校内でも珍しかった。

姫名ちゃんは何を言われても言い返せない彼女の性格を利用した悪質な嫌がらせを繰り返している。
私だったら絶対不登校になっていると思うが、いつも、大丈夫、と笑う彼女。
本当はすごく強い女性なのではないだろうか。

じわり、と湧き出てくる汗をハンドタオルで拭うと目的地の古びた看板が見える。

待ち合わせ場所である古い駄菓子屋の前に到着するが、紗来の姿はまだなかった。
時間5分前にはきっちり来る子で、いつもなら私の先に来て待っている。
まあ紗来も人間だ。遅れる日くらいあるだろう。

なるべく涼しい場所で彼女を待つため、
駄菓と隣子屋の建物の陰に入るに私と同じ制服を着た子がスマホをいじっていた。
その子と少しだけ距離をあけて右隣に立つ。

「 あれ、叶花来てたんだ。ごめん、気づかなくて。 」

同じ学校か...、こんな子いたっけ?なんて考えながら隣の子を少し見ていると
相手がこちらに気付き爽やかな笑顔を向けながら自分の名前を呼んだ。

ん?

だ、誰?

名前を知っている、ということはやはり同じ学校か...。

「 ちょっとそんな、誰?みたいな顔しないで!私だよ、紗来。 」

「 .......え......?......紗来? 」

意味が分からない。
だって紗来はこんな爽やかな笑顔じゃないし、こんなイケメン、紗来なわけない。
紗来はもっと、「 おはよう。ふふ、今日も良い天気だねぇ、 」みたいな大人しい感じの...。

戸惑う私を見て紗来は面白そうに、でも温かい笑顔で私を見る。

「 そう。びっくりした? 」

そりゃあびっくりするに決まってる。
髪はアシンメトリーのベリーショートになっていて、金髪よりの茶髪。
1mmも短くしたことなかったスカートはしっかり膝上。
そして、話し方も笑顔も、全てがさっぱりしていて前の紗来とは正反対。

夏休み明けたら、紗来が......、

友達が........、

イケメンになってるんですけど!!!

  

8: 絢 ◆CuY:2019/09/04(水) 17:19


〈 私の親友がイケメンすぎる話 〉


「 うわぁ、久しぶりだなー。 」

校舎を前にして呟いたのはイケメンと化した友達。
その表情生き生きとしていて、何度見てもカッコいい。
そういえば、前の紗紀の顔は半分くらい前髪で隠れていて顔がハッキリ見えなかった。
こんなに美形だったなんて....。

「 叶花?行くよ、 」

少し前に進んだ紗来がボーッと突っ立っている私に声をかけた。
というか....あんなに身長高かったっけ...?

「 紗来さ、身長何cm? 」

私は紗来の隣に並びふと気になったことを尋ねる。
前までは少し猫背気味で....、確かに身長は少し高かったけど...。

「 今はー...、170くらい? 」

ひゃ、ひゃくななじゅう!!
私と15cmは差がある!
なるほどね....、身長が高いから余計カッコよく見えるんだ。


私たちの教室がある3階フロアの廊下はいつもの倍以上賑わっていた。
久しぶりー、とか、髪切ったー?とか、他愛のない会話が聞こえてくる。
これ...、紗来が教室に入ったらみんなどんな反応するんだろう。

「 おはよー。 」

!?
いつも紗来は教室に入るとき「おはよう」なんて言わない。
静かにスッと入って自分の席に大人しく向かって大人しく席に着く。
しかも結構大きい声量だったからクラスのみんながこちらに注目。
「誰?」「転校生かな?」「かっこいいね」なんて声が聞こえてきた。

しかし、うちのイケメンさんはそんなことお構いなし。
自分の席に軽やかに向かって座る。
紗来が席に座った途端、あちらこちらから驚きの声が上がった。

「 え!?あ、あなた、東城さん!? 」

一番はじめに声をかけに行ったのは、紗来をいじめていた姫名ちゃん。
紗来、大丈夫かな...?また何か言われたり...。

「 へぇ〜。髪切ったんだぁ〜...。似合ってはないけどまあいいんじゃない? 」

こいつ...。紗来、言い返せ!言い返しちゃえこんなやつ!
今の紗来なら言えるから!!

「 普通目障り。邪魔だしうるさい。 」

.....クール!めっちゃクール!
なんか、冷たいけどかっこいいよ...!

「 は、はぁ!?あなたね、私になに言ってるか分かって...! 」

「 うるせぇな、分かってるよ自分の言ってることぐらい。お前何様?別にあんたに何言おうが、私の自由。消えて。 」

はーい、もうだめ。もう終わり。
紗来は迫力がありすぎる。
イケメンなんだけど、超怖い。ヤクザか何かですかあなた。
もう紗来には従うしかない、この場に居た全員がそう思ったはず。

  

9: 絢 ◆CuY:2019/09/05(木) 17:05



4限目が終わり教科担任が教室を出ると教室は騒がしくなった。
これから45分間のお昼休み。お昼を食べたり、休憩したり...。過ごし方は人それぞれだ。
唯一私たちが自由に行動できる時間である為、みんなのテンションが一気に上がる。

「 叶花ー、お昼食べよ。 」

そんな騒がしい中でも、イケメン化した紗来の声はよく通る。
周りのみんなの視線が私に集まり、女子と数人の男子からは羨むような声も聞こえてきた。
『私も東城さんと食べたいなー。』『いいよな、坂野は。東城と仲良くて』
いやいや、今まであなたたち、そんなこと思ってなかったでしょうよ。
紗来がイケメンになったからと言って、友達関係まで全てリセットするわけない。

「 叶花?食べないの? 」

紗来が不思議そうに首を傾げ、おいでー、と両手を広げる。
一部の女子からはその紗来の行為に黄色い歓声が上がった。いや、紗来はイケメンだけど一応女子だからね?

「 ごめんね。食べよう。 」

これ以上自分が注目されるのが耐えられなくて、すぐにお弁当を取り紗来の席へと向かった。
小さい声で謝ると、いいのいいの、とまたもやあの爽やかスマイルを向けられる。
その顔は、朝、姫名ちゃんにブチギレた人だとは考えられないくらいの笑顔だった。

「 それじゃ、いただきまーす。 」

私が自分の席の椅子を持ってくるのをじっと待っていた紗来。
紗来の席に私が戻ったことを確認するとパチン、と両手を顔の前で合わせお弁当箱を開ける。
美味しいー!という紗来の声が聞こえると私も小さくいただきます、をしてからお弁当箱を開けた。
さて、食べよう!...........と思ったその時___、

ガラッ!!

勢い良く教室のドアが開き、教室に居た全員の視線が注目する。
立っていたのは、『怒らせたら終わり。喧嘩をしたら終わり。』と私たち1年生の中で言われている、隣のクラスの不良っぽい問題児男子、臼井純。
髪は金髪でピアスも開けているし、制服だって制服じゃない。これを不良と言わず、何を不良というのか、と私は思うのだが...。
こんなヤバイ彼に喧嘩を売った奴がこのクラスにいるのだろうか。
教室のあちらこちらからコソコソと話し声が聞こえてきたところで純が口を開いた。

「 おい。このクラスに東城紗来って居るだろ。 」

紗来!?紗来がこんな奴に喧嘩を売るはずない。
これは何かの間違いだ、そうであることを願う。

「 私だけど。 」

紗来が先ほどの笑顔からは考えられないくらいの目つきをしながら立ち上がる。
紗来はどれだけイケメンになったとはいえ女子。大丈夫なの?

  

  

10:◆4Ew:2019/09/06(金) 17:13

私女だけど、イケメン化した紗来ちゃんと付き合いてぇ...←
めっちゃ面白いし文才あってすごいと思います!!頑張ってください!!

11: 絢 ◆CuY:2019/09/08(日) 15:10



 ありがとうございます!紗来も喜んでます!笑
 文才があるなんて...(照)嬉しいです!これからもよろしくお願いします。

 >>10

  

12: 絢 ◆CuY:2019/09/08(日) 15:51



「 東城紗来さん....。これまた随分と変わったねぇ? 」

昼休みとは思えないくらい静まった教室内に純の声が響き渡る。
ポケットに手を突っ込んだまま紗来をジッと睨み喧嘩を売っているようにも見えた。

「 ...で、用は? 」

それに負けじと紗来も睨み返す。
周りのみんなは、これから何が始まるのか興味深々だ。
もしかして...喧嘩とか、始まっちゃう感じ?...私、紗来がやられそうになったらどうすれば...。

「 俺、お願いがあってきたんだー。 」
「 何? 」

私に考える暇も与えず純が不適な笑みを浮かべながら一歩前に出る。
紗来は大して怯む様子もなく、堂々と構えたままだ。
お互い、一歩も下がる気配はない。

クラス中の視線が二人に集まった。


そして____


「 お願いします!! 」

.........。

純が首が取れそうなくらい全力で頭を下げた。
静かな空気から一変し、みんなはざわざわと騒ぎ始める。
うん、分かる。みんなの言いたいことは分かる。

あんなに睨んで今にも殴りかかりそうな勢いだった純が頭を下げたのだ。
そりゃあびっくりするだろう。

でも一番驚いているのは紗来だ。

「 え?何?何を?何が? 」

元々大きな目をさらに見開きながら戸惑っている。
戸惑う紗来に構わず、純は興奮した様子で話を進めた。

「 あなたこそ俺のボスです!番長! 」

「 だから何なの!? 」

全然噛み合わない二人の会話にくすくすと笑いが起こる。
臼井純って、こんな子だったんだ...。なんだ。意外と良い子そうじゃん。
しかし、笑う子たちに気付いた純が目の色を変える。

「 おいお前ら、何笑ってんだよ。 」

またもや教室は静まり返る。
やっぱり、臼井くんは怖かったか...。

「 臼井くん、話を戻すけど...。 」

キレる純を抑えるように紗来が話しかける。
紗来の方はまだ状況がよく分かっていないようだ。

「 はいっ! 」

純が目つきを変え背筋を伸ばし紗来の方を見る。

「 あの、ね、臼井くんが言いたいことはつまり...。 」

「 はい!!紗来さんに弟子入りさせていただきたいと! 」

で、弟子入り!?
紗来っていつから師匠になったの!?
というか、紗来から何を学ぼうとしているんだろう...。

「 あのー...、私、教えてあげられることなんてないけど...。 」

「 それでも良いんです!紗来さんの側に居させてくださいっ! 」

...これって...一歩間違えば告白ですよね...?
紗来の側にいたいって...ただ単に紗来のことが好きってこと?

「 まあ、いいでしょう!何もしてあげられないけど。...でも、敬語はやめよ? 」

紗来が苦笑いしながら純に言う。
確かに、同級生からの敬語とか今の紗来は嫌いそうだ。

「 あざっす!いいえ!俺、下っ端なんで!敬語のままでお願いします! 」

「 えー...でも、 」

「 駄目っすよ!紗来さんはボスなんですから。一目見ただけでもう俺、運命的なの感じて、 」

「 もういいって! 分かった、そのままで良いから。一旦クラス帰りな? 」

紗来の素晴らしさ的なものを語りだした純の暴走を止め、
相手が自分の教室に帰ったのを確認すると、紗来はふぅ、とため息をついた。

「 叶花ごめん。さ、ご飯食べよ! 」

紗来が自分の席に着いてそう言うと、教室は賑わいを取り戻した。

  

13: 絢 ◆CuY:2019/09/16(月) 12:57


「 …誰か、やってくれる人? 」

この学年にしては珍しい沈黙に、学年主任も困ったような表情を見せる。
主任の佐藤先生の台詞を聞くのはこの30分間で何度目か。

今、学年集会で生徒会に入る人物を3人決めている。
私たちの学年では、リーダー系の仕事をしたがる生徒が他の学年に比べ、極めて少ない。
少ないというか…、はっきり言うといない。

地獄の30分間。誰が手を挙げるのか、というか、生徒会に入るやつなんて現れるのか。

そのとき、あちらこちらから、ワッと喜ぶような、安心したような声が聞こえてきた。
誰か立候補したのだろう。私も立候補した人物を探す。

!!

…独り言なんて、言ったことない。思わず、声が出てしまったこともない。
だけど、つい…。小さかったけど声が出てしまった。


「 紗来…!? 」


驚いた、びっくりした。目が落ちるかと思うくらい目を見開いた。
まさか私の親友が立候補するとは…。

彼女は今までそんなことやるようなタイプではなかった。
紗来は変わった、そんなこと分かっていたけど、やっぱり驚いた。

「 では、東城さんは前へ。 」

佐藤先生は安心したような表情をして、紗来に前に出るように促す。


「 他に、立候補は……、、 」


…これには先生もびっくりだろう。
先ほどまで、誰一人手を挙げていなかったのに、今はほとんどの生徒が挙手をしているのだから。

「 はい!私!私やりたいです! 」

「 俺!先生、俺!やる気あるから! 」

「 絶対仕事さぼりません!だからお願いします!! 」

自分を主張する声の嵐。
いやいや、みんな紗来が立候補した途端…。絶対紗来が目当てでしょ。

「 あー…、どう、どうする?東城さん、 」

先生は相当困ったのか、額をハンカチで拭きながら紗来に尋ねる。
でもね、先生…、紗来に聞いても解決しないと思います。あなたが何とかしないと…!

「 あ!そうだ、東城さんが決めよう、そうしよう。 」

おい!!
先生!生徒を使うな、自分の仕事から逃げないで!?
紗来も何を言っているかまでは分からないけど、苦笑している。

「 みなさん聞いてください。東城さんがあと2人の生徒を決めてくださるそうです。 」

だから!!
紗来が困ってるでしょ、先生!紗来の答え聞かずにみんなに言っちゃうとか、お前最低かよ。


「 えー…、え、えっと…、 」


紗来が約180名の生徒に注目されながら、みんなの顔を見渡す。

「 じゃあ、 」

みんなが緊張したような表情になる。


「 …坂野叶花、前にどうぞ? 」


え。

えー!!!

え、私…

……手挙げてないよ紗来!!

  

14:匿名:2019/09/16(月) 13:50


イケメンっていう言葉に弱い私は題名に惹かれて来ました(笑)
どういう話なのか想像がつかなかったけど、すごく面白い!!!
文章を書くのもお上手で、羨ましいの極みです.......。
アニメ化か映画化してほしいわ...。これからも頑張ってください!
 

15: 絢 ◆CuY:2019/09/17(火) 15:04



きゃー…!!ありがとうございます!
色々と褒めて頂いて…、何からお礼すれば良いのか…!!
本当にうれしいです!はい、これからも頑張りますので、応援宜しくお願いします!

>>14


  

16: 叶雨 ◆ar.:2019/11/23(土) 17:00



「 まじでごめん!ほんっとごめん! 」


私の親友であるイケメンさんは学校を出てからずっとこんな感じ。
怒っているわけでもない私にぺこぺこと頭を下げて謝り続けている。


「 叶花、ほんと… 」

「 もういいよ紗来。 」

「 でも 」

「 本当にいいから。 」


紗来は私が怒っていると思っているのかシュンとした様子で背中を丸めながら歩いている。

…確かに、生徒会に選ばれた時は少し腹がたったけど…
でもあの状況で私より大変だったのは紗来。だから紗来を責める気も怒る気もなかった。


「 ほら元気出して! 」


まだしょんぼりとしている紗来の背中をバシッと叩く。
紗来は一瞬でその背中を伸ばし驚いたような顔でこちらを見る。


「 痛っ!?叶花ってそんなに力強かった!? 」

「 えー、嘘だー!絶対痛くなかったでしょ! 」

「 痛いってほんとに!! 」


目を見開いたまま訴える親友の姿がおかしく、私はつい笑ってしまった。
はじめは私の笑う姿をぽかんとした様子で見ていた紗来だが、私の笑う様子を見ておかしくなったのだろう。
やがて紗来も笑い出し路上で女子中学生がふたり、爆笑するという変な状況が5分ほど続いた。



  

17: 柚菊 ◆r.:2020/02/15(土) 15:30



昼休み、私と柚菊はお弁当を食べ終えたあと他愛のない話で盛り上がっていた。
最近あの俳優が好きなんだよね、えーかっこいいかな?、かっこいいよー、なんて会話をしていると
急に教室が騒がしくなった。出入り口付近に女子が集まっている。すると、

「東城さんっ、新城くんが用事だって〜!!」

出入り口に群がっていた女子の一人が興奮気味に紗来を呼んだ。

「紗来、呼ばれてるけど…」

「よし、叶花も行こ。」

「えーっ、私も!?」

「いーから!」

紗来は勢い良く立ち上がると私の手を引き女子たちが群がる出入り口に行った。
紗来が来たことに気がつくと女子はみんな脇に引いていく。
みんなが群がる先にいたのは先ほどクラスの子が言っていた`新城くん´らしき人。

「やあ、紗来さん。」

新城くんはわざとらしく挨拶をすると口角を上げ笑顔を見せた。
その笑顔に周りの女子はキャーキャーと騒ぎ出す。

「今日もお綺麗ですね。」

その言葉に更に周りは騒ぎ出す。いやうるせえな。

「そりゃどうも。えーっとそれで…どちらさまですか?」

紗来は新城くんの言葉に一切応じず興味なさそうに流す。

「知らないんですか!?どうしてですか、僕を選んでくれたじゃないですか!」

「はあ!?」

何やら急に怒り出した新城くんに腹が立ったのか紗来も思わず声が出る。
ていうかこの人…なにかで一緒だったような…。

「本当に何?何の用なんですか?」

紗来が冷静に詰め寄る。
新城くんは泣きそうな顔で紗来を見つめている。

「紗来さん、僕を一緒の生徒会に指名してくれたじゃないですかぁぁ…!!」

あ、そうだ、思い出した!
新城くんは生徒会に入る3人のうちの1人だ。
紗来は私を指名したあと、一番前にいた新城くんを指名した。

「…え?」

紗来はぽかんとしたまま新城くんを見ている。
自分で指名しといて忘れちゃうとか…そりゃないよ紗来…。


  


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