いじめ ~加害者の末路~

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1:みぃ◆VZbV1gU:2020/06/11(木) 07:25

こんにちは。前回のいじめ~女子の修羅場~が終わったので、新しく作りました。今回は虐めの加害者目線で書いていこうと思います。

ちなみに今までで書き上げた作品は
・オタク女が恋を知るまで…
・いじめ~学校という空間~
・いじめ~女子の修羅場~
です。是非見て欲しいです。

130:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/20(日) 09:24

キーンコーンカーンコーン。私が席に座ったのと同時に、授業が始まるチャイムがなった。

さてと、あいつらへの復讐方法を考えますか。

どんな風に倍に返してやろう……。ありきたりな苛めだとつまらないからなぁ。どうせなら自殺に追い込むぐらい復讐してやらないと。下僕の身分で私に逆らったぐらいのことをしたのだから。しんで償って貰わないと。でも自分の手は汚したくないから新しい下僕に全部やらせるか。その時までに新しい下僕を見つけ出さないとな……。

いや待てよ、新しい下僕が私に命令されたとか言ったら最終的に自分の手が汚れてしまうぞ……。自分の手が汚れてしまったら終わりだからな……。

そうだ、いっそのこと一定の期間は抵抗せずに大人しく苛められて、こっそりと証拠の写真を集めて校長やあいつらの親に渡すのもいい手だな……。そうすれば皆から冷たい目で見られて精神的に追い込まれる筈だ。

……あ、桜と澄恋にも復讐しないと駄目だな。元はと言えばあの二人が私を裏切ったからなのだから。それと、私が独りになってから手のひらを返してきたクラスメイト達も。

……そうだな、そいつらも証拠写真を集めて精神的に追い込むとしよう。それが一番無難で自分の手も汚れないやり方だろう。

131:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/20(日) 10:59

授業が終わり、私は教科書をロッカーに入れようとした。すると、後ろから桜と澄恋に腕をがしりと掴まれた。

「あのさぁ、あんた授業妨害してくれない?私達、もう推薦で受かっているから退屈なんだよねぇ」

授業妨害………?ふざけるな。授業妨害なんてしたら、先生からの信頼が落ちるじゃないか。何故散々いじめられている上に、先生から嫌われなくてはいけないのか。

今まであまりにも衝突なことが続いて何も言い返せなかったが、これだけは断らなくてはいけない。そう思った。

「嫌に決まってんだろ?私は先生から信頼されてんだよ……。その信頼を失ってたまるか!」

この二人が私を裏切った時に私に反発したように、私もこの二人に反発する。

すると、二人は参ったかのように残念な表情を浮かべ、やがて仕方のないようにため息を吐きながら言葉を述べた。

「そっかぁ、信頼されている人からの信頼を失うのは流石に嫌かぁ」

「茉莉を信頼している人が可哀想だしね」

フッ、ようやく分かったか。この馬鹿共が。

そもそもこいつらは、本来なら私の一番の下僕でいなくてはならない存在なのだ。あんたらの命令なんて聞けるかよ!

「今回はあんたの言う事を聞いてあげる。感謝しろよ?」

そう言って二人は私の前から去っていった。

132:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/21(月) 06:19

給食の時間になった。私達はいつものようにグループを作り、皆楽しそうに話しながら食事をしている。

私達の班の皆も、楽しそうに会話をしている。

よし、私もいつものように会話に混ざりますか!

「ねぇねぇ、何話しているの?」

私は笑顔で皆に聞こえる声で話しかけた。しかし、私の言葉はあっけなく無視された。

会話をしている所だったので聞こえなかったのだろうか?……まぁいい。もう一度話しかければいいだけだ。

「あの、聞こえないの?!私の言葉!!」

さっきより大きい声で言ったつもりだが、誰も返事をしてくれない。

「ねぇ、さっきいじめっ子の声がしなかった?」

「うん。でも無視していいでしょ。だっていじめっ子はクラスで不要な人物なんだから」

私が、クラスで不要……?ふざけるな!成績優秀で美人な女王様だぞ?なのに何故このクラスで不要な人物と言われなくてはならないのだ!何故無視されなければならない!

「それにさぁ、私達もいじめっ子に散々無視されたしね」

「今度は私達の番、だよね」

何が、「今度は私達の番」だ。私は苛めをしてもいい人だからやっているだけなのだぞ?こいつらは私のおかげでメンタルが強くなったのに……恩を仇で返すとは、まさにこのこと!

133:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/23(水) 17:54

皆、私を無視したまま笑いながら給食を食べている。

酷い、私を無視するなんて……。私は女王様なのに。

「あっははは!!!」

私の隣の人が、突然私の方に顔を向けて大笑いをしてきた。そのせいで、私の顔は牛乳だらけになった。さっき濡らされた制服もまだ乾いておらず、私の姿はびしょ濡れになった。

何をしてくれるんだ。皆好き勝手やりやがって。今に見てろよ……。絶対に見返してやる!

「ねぇねぇ、なんか牛乳が宙に浮いていない?」

「本当だー。ここに人なんて居る筈がないのにね!なんだか怖いから拭かないと」

見えているくせに。見えているくせに私がいないように振る舞いやがって。これは立派な人権侵害だ。

私に牛乳を吹きかけた奴は、廊下で雑巾を取りに行き、その雑巾で私の顔をごしごしと力強く拭いてきた。

「あれ?苛めっ子、そこにいたんだー。要らなすぎて全然気づかなかったー」

さっきから気づいていたから私をそんな乱暴に扱った癖に。雑巾と牛乳で顔を汚された私の気持ちを考えろ。

134:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/24(木) 06:43

昼休み。先生がいなくなると、桜と澄恋が自分の席から立ち上がった。

「皆で、茉莉のあだ名を考えようと思いまーす!!今から投票用紙を配るので、今日の放課後までにこの投票箱に入れてくださーい」

「発表は、明日の朝の学級会の後にしまーす!」

そうして、桜は投票用紙を皆に見れるようにビラビラと見せ、澄恋も投票箱が皆に見えるように投票箱を持っている腕を頭の上まで伸ばした。

「私も散々茉莉に嫌なあだ名で呼ばれたからね」

「嫌なあだ名で呼ばれた分、こっちも嫌なあだ名で呼ばないとね」

クラスメイト達は、皆ニヤリとした表情を浮かべながらヒソヒソと話している。私を悪者のように見る目で……。

何故、下僕であるあいつらに変なあだ名をつけられなくてはならないのだ。私が今まで皆にあだ名をつけてきたのは、私があいつらに嫌なあだ名をつけてもいい立場だからなのに……。何故下僕共が私に反発をしてくるのだ。

私が孤立した瞬間調子に乗りやがって……どいつもこいつも最低だ!下僕共が調子に乗らなければこんなことにならなかったのによぉ。

私はその場にいてもたってもいられなくて、思わず廊下へ走り出した。

135:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/25(金) 12:59

ようやく六時間目が終わり、今までで一番辛い一日が終わった。

学級会が終わり、担任がいなくなると、私は逃げるように教室から素早く出ようとした。しかし、後ろからがしっと桜と澄恋に両腕を掴まれた。

「はい、まだ帰っちゃ駄目だよー?」

「放課後は、あんたへのお仕置きの時間なんだから。………はい、皆集まってー」

すると、皆が一斉に私の方へ来た。私は桜と澄恋から腕を離されて付き倒され、皆に囲まれた。

何をしようとしているのだ。散々私で遊んだ挙げ句、お仕置きと称した苛めをまだやるなんて!

「まだ反省してないの?仕方ないねぇ。こんな奴にはみっちりとお仕置きしないと」

私は思い切りお腹を叩かれた。それから一秒もしないうちに髪を引っ張られ、それからも次々と暴力を振るわれた。

一つの暴力をしている最中にもう一つの新しい暴力が跳んできて……親から暴力を振るわれている時より痛い。

手だけでなく、鞄や本でも殴ってくる。きっと、私の体は痣だらけだ。

「そろそろこいつの限界が来てるんじゃないか?」

「いやいや、精神的に追い詰められたうちらの痛みからしたら全然比にならないでしょう。だから、もっとやっちゃえー!!」

一人がそう言ってから、皆は更に殴る力が強くなっていった。

136:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/26(土) 06:13

「あ、もうすぐ部活の時間になるよー」

一人がそう言い、皆は次々と暴力をやめていく。

よかった、これで解放される……。

「また明日…………」

私は解放されたのが非常に嬉しく、暴力が止んでから素早く帰った。最後に誰かが私に何か言っていたが、全く覚えていない。

私は家に帰ってから、すぐに着替えて家電屋に向かった。苛めの証拠を集める小型カメラと録音機とカメラのフィルムを買う為だ。携帯だと写真や動画を撮るときに音がなってしまうので、カメラと録音機を持っていこうと思った。

あったあった……。これぐらい小さければバレないだろう。

私は一番小さいカメラと録音機とフィルムを手に取り、会計に行った。値段は中々高かったが、これで苛めから解放できると思うと、全く高く思わなかった。

桜も澄恋も、他のクラスメイトも、今に見ていろ。あんたらが酷いことをする度に、その分後であんたたちの方が痛い目を見るんだから。

私には先生という強い味方がいる。お気に入りの生徒が苛められていると知ったら、先生達は絶対にクラスメイト達に激怒するだろう。

家に帰ったら、まずはこの痣だらけの体をカメラに納めよう。さっき制服から私服に着替えたとき、案の定私の体は痣だらけだったのだ。

137:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/27(日) 19:14

私は家に帰ってカメラにフィルムを入れると、早速服を脱いで体中にある痣をバシャバシャと撮った。

私の綺麗な体をこんな風に汚しやがって。なんてことをしてくれたんだ、と、以前の私は怒りの気持ちしかなかったが、今は苛めのいい証拠になるので、むしろ痣が多くて嬉しい。

あ、ついでに親から殴られた所もクラスメイト達にやられたように撮ってしまおう。そうすれば更に証拠が増えるぞ。……そうだ、今度から当分の間親に殴られたらクラスメイト達のせいにしよう。そうすれば早く証拠の写真が集まって、苛められる日数が減るではないか。まぁ、あえて長く苛められて、その分多くの写真を集めるのも手だが……それだと私の体が持たないのでやめておこう。

それにしても、よくもやってくれたな……。痣の写真で中々の枚数が撮れたぞ。どれだけ殴ってくれたんだ、ニ、三ケ所同時に写っているものもあるので、枚数よりいくらか痣は多いだろう。

写真を取り終わると、私は自分でも気持ち悪くて体の痣を見たくないので、速やかに部屋着に着替えた。

大して偉くもないただのクラスメイト達が、よくもまぁ私の体を傷つけてくれたと。あいつら、私の体を汚した罪は思いぞ……。覚悟しておけ。

138:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/28(月) 18:30

次の日、私はカメラと録音機を制服のポケットに入れて登校した。

桜も澄恋も他のクラスメイト達も、好き勝手やりやがって!許せない……。

まぁいい。今は我慢してやる。最後に勝つのはこの私なのだから。あいつら……見ていろよ。

これから苛められるという覚悟を決めて、教室に入った。その瞬間、桜と澄恋が待ち構えていたように教室の前に立っており、私の両腕をがしっと掴まれた。私はポケットに入れている録音機のボタンを押す。

「はい、今日も茉莉が来たので、お仕置きの始まりー」

「茉莉の一日は、お仕置きから始めないと!」

その瞬間、クラスメイト達が一斉に私を殴り始めた。

……痛っ!!この痛さ、素手ではないぞ。一体何で殴られたのだ?

私は隙をついて、チラリと周りをみる。すると、そこにはバレーボールが転がっていた。

なんて物で殴ってくるんだ!バレーボールだなんて……危ないだろ!しかし、今は我慢だ……。

「茉莉に対してのお仕置きなんて、素手では足りないね!」

そう言って皆は、私を素手でなく物で殴ってくる。しかも、ボールや棒などを、結構な強さでだ。

139:みぃ◆VZbV1gU:2020/09/30(水) 17:36

「あ、今日は茉莉のあだ名を発表するのでこのぐらいにして下さーい」

あだ名、だと……?ああ、そういえば昨日そんなことを言っていたな。

何故だ、何故私がこいつらにあだ名をつけられなくてはならないのだ。おかしすぎる。

皆が暴力をやめると、桜が声を発した。

「一番多かったのは……二十票の『奴隷』でーす!私達も今まで茉莉に散々奴隷のように扱われてきたので、私はこれでいいと思うのですが……どうですかね?」

何が奴隷だ!!私は女王様だぞ?奴隷なのはこいつらの筈だ。何故皆こんなに狂っているのだ。

皆は桜の言葉に大きく賛成していることを表しているように、素早く手をビシッと挙げた。

私は納得していないぞ。何故私が奴隷と呼ばれなくてはならないのだ。

どれもこれも、桜と澄恋が私を裏切ったからこうなったのだ。……桜、澄恋……………許さんぞ。

「じゃあ、今日からこのいじめっ子は『里中茉莉』から『奴隷』という名前に改名しまーす!」

澄恋が私の意志を無視して私を煽るかのような笑顔で言った。

「こいつを奴隷にして、今までのことを反省してもらう!」

「ああ、俺らも随分と奴隷のようにされてきたからな」

皆が私を白い目で見ている。

何だ、これは……。当の本人の意志を無視して変なあだ名をつけるとは……嫌がらせの他の何でもない。

140:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/01(木) 06:25

「一点ー、二点ー」

休み時間、誰かが私にゴミを投げてきた。

私はまた苛めが始まると思い、録音機のボタンを押す。

誰がやったのか気になり後ろを振り向く。

全然話したことのない男子達じゃないか……。何故こいつらにゴミを投げつけられなくてはならない。

「おい、お前は奴隷なんだから、動かないで大人しく的あての的になれよ!」

「そうだよ、この奴隷野郎!」

くそっ、奴隷奴隷とうるさいな。奴隷という名前はお前らが嫌がらせでつけただけだろ?……私は「奴隷」ではない。「茉莉」だ!

「私は……茉莉だ!」

昨日と今日とストレスが溜まってきたので、私は大きな声で吐き出した。

「奴隷だなんて……そんなのお前らが勝手につけた名前だろ?本人の意志を無視して勝手にあだ名をつけるだなんて……そんなの拷問だよ!」

男子達は私の大きな声に一瞬だけ怯んだが、すぐに私を馬鹿にしたような笑顔を作った。そして、笑いながら声を発した。

「ぷっ、自分だって今まで散々人に嫌なあだ名をつけてきた癖によく言えるね」

近くにいたクラスメイト達も加勢してきた。

「私達の身にもなってよね」

「それとも、自分は何をしもいい女王様だとでも思ってるの?」

141:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/02(金) 16:37

「うっわー、偉そうー」

何が偉そう、だ。女王様だから偉そうにしているだけだぞ。女王様なんだから何をしてもいいじゃないか。

「てかさ、的あてが出来ないんだから早く止まれよ、奴隷!!」

そうして男子達はまたゴミを投げつけてきた。主にティッシュなどのゴミなので全く痛くなかったか、自分の体にゴミを投げつけられるというのは精神的に大きく傷ついた。

「奴隷、こっち向け」

なんだ、女王様に向かってその口調は。本当に皆正確悪い。だから皆嫌いなんだよね。 

今は従っておいた方がいいのだろうか。最後に私が勝つために。

私が体を向ける前に、近くにいたクラスメイトが私の体を男子達と向き合うように私の体の向きを動かした。

「顔に当てたほうが面白いじゃないか!」

「ああ。じゃあ奴隷の顔にゴミを当てた奴は五点手に入れられることにしよう」

男子達は、私の顔めがけてゴミを投げてきた。

くそっ、今は我慢してやる!そのかわり、覚えておけ。最後に勝つのはこの私なのだ!

私は自分にそう言い聞かせた。

142:愛羅&◆LY:2020/10/02(金) 17:58

怖っ…!でも面白い!
ちぃさん、頑張ってください!

143:愛羅&◆LY:2020/10/02(金) 17:59

すみません、ちぃじゃなくてみぃでした!

144:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/03(土) 18:20

>>142-143 ありがとうございます!


そうだ、桜と澄恋にさっき録音した音声を聴かせよう。そして桜と澄恋に土下座してもらって、今度は桜と澄恋に奴隷になってもらおう。

本当はもっと証拠を集めたい所だが、もう我慢できん。今やらないと私の身体がいい加減持たないぞ。そして私の事をこんなにも心理的にも身体的にも追い詰めたのは、全部桜と澄恋のせいだ!だから次はあいつらを苛めてやる。

教室の隅で桜と澄恋が話していたので、私は二人の肩をがしっと掴んだ。

「あんたたち、もう私の事を苛めるのはやめたほうがいいよ?じゃないとあんたらが痛い目を見るだけだからさ」

そうして私は二人に向けて録音機を再生する。

「桜、澄恋。今ここで土下座して、次からあんたらが苛めのターゲットとなるならば、先生には黙っておいてあげる。でも、ここで土下座しなかったら、先生に見せちゃうから。………さぁ、どっちにする?」

私は勝ち誇ったような笑顔を作り、二人を睨んだ。二人は私を見て一瞬怯む。

……ふふっ、勝ったな。これを聴いたら、余程の馬鹿以外はここで土下座するだろう。あー、どんな風に痛ませてあげようかな。

あ、そうだ。新しい下僕相手も考えておかないと。そうだ、梨奈とかはどうだろう。あいつは気が弱くて断れないやつだから……。まぁいい。それはこいつらが土下座をしたら考えよう。

145:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/03(土) 18:32

しかし、二人は一瞬怯んだものの、直ぐに表情が元に戻った。しばらくすると二人は私の見下したような目で見てきた。

一体何を考えているのだ?こんなことを忠告されて、笑っていられる奴なんて絶対にいないだろう?何なのだ、一体……。

「へぇー、奴隷にそんなこと、果たして出来るのかな?」

「口だけだったりして、ね」

二人は小馬鹿にしたように笑いながら言った。

「やれるならやってみなよ。まぁ、私達はあんたに沢山借りがあるから、どんなリスクがあろうがあんたを苛め続けるからね」

二人は随分と余裕な表情と声で言った。

この二人は相当な馬鹿なのか?こんなときに気持ちが余裕な奴なんて、焦るという考えがない程の馬鹿しかいないだろう。

「ま、私達は奴隷なんかに構っている暇はないんで。それじゃあ頑張ってねー」

二人は笑いながら教室を出ていった。

何を馬鹿にしている。先生に証拠を見せようと思えば、いつでも出来るのだ。そのぐらい一人でも出来るわ!

「やれるならやってみろよ」、か。ならば、その言葉に甘えて給食後に証拠を見せよう。

桜、澄恋。いまに見てろ。私はあんたらの奴隷でいるほど弱くないのだから!

146:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/04(日) 11:52

おっと、もうすぐ授業が始まる。席に座っておかないとな。

私が席に座ると、近くにいた女子が私を待っていたように私に話しかけてきた。

「ねぇ、奴隷。次の授業私の分もノートとっといてよ」

その女子は、私の机にノートをドンと置いた。

ふんっ、誰が奴隷だ。私は今日で奴隷じゃなくなるんだ。もうすぐ奴隷じゃなくなるのだから、こいつらの指示なんて従わなくてもいいだろう。

「へー、どうしよっかな。引き受けようかなー」

私は馬鹿にした目でその女子をチラチラと見る。その女子はそんな様子の私を見て怒った様な表情をした。

「な、奴隷の癖にそんなこと言わないでくれる?」

残念だな。私はもう奴隷じゃないんだ。奴隷なのは桜と澄恋なんだ。

「言っとくけど、私はもうすぐ奴隷じゃなくなるんだ。だから私があんたらの言うことを聞く意味はない」

その女子は、更に眉間にシワを寄せる。

「な、なんなの?とにかく、私のノートとっといてよね!」

そう吐き捨て、女子は自分の席に戻っていった。

ふんっ、誰がとるかよ。散々私のことを奴隷のように扱いやがって。そんな奴のノートをとる意味なんてなかろう。意地でも取らない。

147:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/05(月) 16:39

授業が始まり、私はさっき渡された女子のノートを机の中にしまった。そして先生が黒板に字を書き始めると、私は自分のノートだけを書いていった。

私は先生の話をしっかりと聞いてノートにメモしているから忙しいんだよ。ただのんびりと板書だけを書いているお前とは違うんでね。面倒なので二人分ノートなんて取るわけないだろ。

それに、私はもう奴隷ではないのだ。いや、正確に言えば昼休みまでなのだが。しかし、あとたった数時間だ。今更私があいつらの言う事を聞いて何になるという。

さぁ、気を取り直して集中して授業を受けるとしよう。

私は、いつも通り自分のノートだけを綺麗に取っていく。しっかりと先生の言う事と板書の書く場所を分け、赤、青、黒の三色のペンでまとめていく。しかし、さっきの女のノートには何もしない。

そういえば、さっき私の所にノートを置いた女は何をしているのだろう。ノートがないので何も書けない筈だぞ。

先生の説明が止んだので、私はさっきの女が座っている席をチラリと見た。

ふっ、教科書に顔を埋めて寝ているではないか。受験間近なのに馬鹿なやつだな。私の忠告も聞かずに本当に馬鹿。

そうだ、次の下僕は梨奈とアイツにするのも悪くない。頭の悪いアイツと、気が弱い梨奈なら、裏切られる心配がないからな。

まぁいいや。私は自分のノートを綺麗に取るだけだ。

先生の説明が再開し、私は再びノートを取っていった。

148:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/06(火) 19:11

授業が終わると、さっきノートを置いて来た女子が腕を組んで私の前に立った。私は万が一の為に録音機のボタンを押す。

「ねぇ奴隷、私のノートちゃんと取ったわけ?」

さっきあれほど指図したのに奴隷と呼ばれるとは……。随分と調子に乗ってやがるな。こういう奴には、天罰を与えないと。

「してないよ。だって二人分のノートを取るなんてやりたくないし。私はやりたくないって言ったよね?」

ここで私がやりたくないと言ったところを録音しておけば、絶対先生はこいつを怒るだろう。……ふっ、良い気味。

すると、その女子は顔をしかめて言葉を発した。

「はぁ?なんで奴隷の癖に私の言う事を聞かなかったの?ふざけるな!」

女子が言葉を言い放ってから、私は録音機を止めた。

録音機を止めると、私はその女子のお腹を思いっきり強く叩いた。

「ごちゃごちゃうるせーな」

「なっ……何なの?!」

突然のことだからか、その女子は一瞬怯える。しかし、私がまだ奴隷なのだと思っているのか、その言葉からは強気な気持ちも感じられた。

「あのさぁ、私もうすぐ奴隷じゃなくなるって言ったよね?もし私がまたクラスの女王様になったらさぁ……あんたが下僕になってよ?」

女子はついに勇気が無くなったのか、その場を逃げていった。逃げながら女子はこう言った。

「意味わからない……。高梨と橘に報告しないと」

……無駄なのに。もうすぐあいつらはクラスの中で一番弱い部類になるんだから。本当に頭悪いな。

まぁいいか。もう給食の時間だ。もう少しで解放されるぞ。桜も澄恋も他の奴らも、今に見てろよ。

149:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/07(水) 05:40

給食が終わった。今日は売店の日なので、私は給食の時間が終わると真っ先に教室へ向かった。

教室に戻ると、私は無意識に顔がニヤけた。皆にバレないように、私は手で口を覆った。

余程あいつらに天罰を与えるのが楽しみなのだろうか。なのでこんなにニヤけてしまうのだろうか。

顔のニヤつきが止まると、私は軽い足取りで職員室に向かった。

私は職員室に向かってる時も、あいつらからの苛めを報告したときの状況を想像せずにはいられなかった。うちの学校で苛めが起きて、先生やクラスメイト達がどんな風に絶望の底に落ちるのか考えたら、興奮せざるを得なかった。

あの二人の苛めを先生に報告したら先生はどんな反応をするだろうか。私を苛めたことか、自分の生徒が苛めをしていたこと、どちらにがっかりするだろうか。

ああ、そういえばクラスメイト達にはどんな風に天罰を降してやろう。取り敢えず梨奈とさっきの女を下僕にして……まぁ、詳細は後で考えればいいか。

職員室に向かってる途中で、校長の姿を見つけた。

折角だし校長に録音機を見せるか。クラスでは終わらせたくないから、担任の先生より校長に見せたほうが学校全体で問題になるだろうし。

150:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/08(木) 17:01

「あっ、校長先生!あの………」

「里中!探したぞ。少し来い」

私の言葉を遮り、校長は私の腕を強く握ってぐいっと引っ張った。

なんだろう?また何か頼み事をされるのだろうか。腕まで掴んじゃって。もしかして校長に好かれてしまったのだろうか。ふふっ、可愛いと色々と面倒だ。

………と、いつもなら思っている所だが、校長の顔は酷く眉間にシワがよっており、とても怒っているような顔をしていた。

なんなだろう?私、学校で何かやらかしただろうか……?……嫌、やってないぞ。いつも先生の前ではいい子を演じているのだからな。それに、全く見に覚えがないぞ。

それでは何なのだろうか?もしかして、私に対しての苛めが発覚し、それで私を苛めたことに対してカンカンに怒っているのだろうか。……きっとそうだろう。他に思い当たることなど一つもない。

桜、澄恋。短い戦いだったな。見ろ、最後に勝ったのはこの私だぞ。

全く、とんだ迷惑だった。しかし、苛めの新しい計画を立てることができた。桜達のように、クラスメイトに口裏を合わせて待ち伏せさせた方が効率がよい。それだけは感謝してやろう。

だが、明日からは私が苛めをする時だ。いや、正確に言えばこの後話を聞かれて臨時の学級会が開かれた後、だ。

ほら、もう校長室が目の前に……。

151:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/09(金) 16:53

私は校長と一緒に校長室に入った。 

校長室に入るなんて初めてだな。きっと余程校長は怒っているんだろうな。

「なんでしょうか?校長先生」

私は姿勢を伸ばし、淡々とした口調で言った。

さーてと、何と言われるのかな。くすっ、今から楽しみ。

次の瞬間、校長が机を乱暴に強く叩いた。

「里中が苛めをしていると聞いたんだが……詳しく話してくれないか?」

……は?また桜と澄恋がチクった訳?こんなことするの……あいつらしかいないぞ。 

でも大丈夫だ。私は先生方から信頼されている。上手いこと言えば誤魔化せるだろう。

「校長先生!私、何もしていません。苛めをしているというのもデマです」

凛々しい表情に、真面目な口調で言った。だがしかし、校長は更に険しい表情になった。

「嘘を言うな!お前が苛めをしていると言うのはお前のクラスの奴から聞いているんだ!!」

くそっ、執念深い奴め。何故私じゃなくてあいつらを信用する?これは少々説得に時間がかかるな。

152:AL ◆6.:2020/10/09(金) 18:18

続き、めっちゃ楽しみです!
頑張って下さい!

153:愛羅 あいちゃん:2020/10/09(金) 19:48

>>151
え〜どうなるんだろう?気になる!

154:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/10(土) 07:16

>>152-153 ありがとうございます!


ええい!人間なんて涙でいくらでもごまかせるんだ!こうなったら嘘泣きをして落としてやるぞ。

私は顔を隠し、すすり声を出す。

「グスッ…………本当に、私は何もやっていないんです………」

どうだ、これできっと校長も理解しただろう。さぁ、どんな表情をしているのだろうか。

私は隠している手の隙間から、チラリと校長の様子を見る。その視界には、更に怒った様子の校長が映っていた。

「まだ薄情しないのか!お前のクラスの奴から証拠の写真まで貰っているんだ!」

そうして校長は机に写真を乱暴に乗せる。そこには梨奈を苛めた時だけでなく、小学一年生の時にやった苛めの写真まで置いてあった。

………桜と澄恋だ。こんなに証拠を集める事が出来るの、ずっと私のそばにいたあいつらしか出来ない。きっと、これ以上私を苛めたら桜と澄恋を苛めると忠告をした後にチクりやがったんだな………!

校長と話なんてしている場合じゃない。桜と澄恋を口封じしておかないと。急いで写真を奪わないと。そうしないとろくな事にならないぞ。

「里中!待て!!話はまだ終わってないぞ!」

普段は決して先生と話している途中に抜け出したりしないが、今は違う。私は素早く校長室を飛び出し、桜と澄恋の元へ向かった。

155:まな ジャニヲタ&:2020/10/10(土) 07:50

初めまして(*˘︶˘*).。.:*♡

156:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/10(土) 16:40

>>155 初めまして!これからも見ていって下さい!


私は一気に二階へ駆け上がり、二人を探した。全力で体力を消耗している為、どんどん体力が減ってきているが、気にしない。廊下だけでなく、一組の教室や女子トイレも探した。

……あ、こんなところに!おのれ、あいつら……。許さんぞ!

桜と澄恋は三組前の廊下で二人でお喋りをしていた。私は話している桜と澄恋に遠慮なく話しかける。

「おい、桜!澄恋!お前ら、何校長にチクりやがってんだよ!」

私は二人の頬をビンタする。二人は一瞬びっくりしたが、直ぐに悪意のある笑顔を作った。

「クスッ……やっぱり怒られたのね。………皆ー、先生からも信用されなくなった奴隷に怖いものなんてないよー!!好き勝手やっちゃってー」

すると、クラスメイト達がどこからともなく現れてきて、ボキボキと関節を鳴らしている。そして、その中の体のでかい男子が私の襟を掴んできた。

「お前……今までよくやってくれたな。だが今のお前に怖いものなんてないんだよ!……さぁ、覚悟してもらおうか」

その男子はガタイがいい上に力も強いので、言いたいことも口に出せなかった。

嫌だ、何されるの……?お願い、私の綺麗な顔を汚さないで……。

その瞬間、桜が男子に呼びかけるように言った。

「ねぇねぇ、もうすぐ休み時間終わるからさ、今はやめとこ?」

「そうか。じゃあまた後で」

157:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/11(日) 09:40

五時間目は技術の授業の予定だったが、体育館での学年集会にどのクラスも変更された。

きっと私の苛めのことを話すのだな。……はぁ、大げさな。あんなのただの遊びだっていうのに。なんでこんなに大事にするのだろう。

体育館に着き、私達は背の順で並んだ。すると前後から舌打ちの声が聞こえた。

「なんで奴隷の前なんだろ。凄いストレス溜まるんだけど」 

「ていうか奴隷がいるってだけでストレス溜まるわな。だって元いじめっ子だからさ」

ごちゃごちゃうるせーな。私の予定では昼休みに先生に録音した声を聞かせて桜達の苛めについて学年集会を開く予定だったのに。

裏切られて苛められて、先生からも信用されなくなって……何してくれるんだよ。

ストレスのあまり私への苛めに加担している奴らを粉々に殴りたい所だったが、これ以上世間の評判を落とさない為に、今は大人しくしておこう。

学年集会には、学年の先生だけでなく、校長と教頭もいた。校長が前に出て、しんみりと話を始める。

「苛めは絶対にしてはいけない。苛めは物だけでなくその人の心まで奪う。ここにいる皆はそのような教育をされてきた筈だ。………しかし、この学年で小学生の頃から苛めをしてきた者がいると言うのだ」

うるせーな。綺麗事ばかり述べやがって。早く終わらせろよ。

158:AL ◆6.:2020/10/11(日) 11:10

凄い………どんどん破滅の道に進んでる!?
続きめっちゃ楽しみです!

159:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/12(月) 16:20

>>158 ありがとうございます!


「三年一組、里中茉莉。お前は今まで、沢山の人を苛めて来たのだな。成績も良く、先生にもしっかりと挨拶をしていたお前が長い間苛めをしていたと言う事には……正直がっかりした」

何だよ、そっちが騙されたんだろ?騙されたお前が悪いんだろうがよ。何人のせいにしているんだよ、このハゲ教師。

「被害者の名前は伏せておくが…………」

その後も校長や学年先生方が何か話していたが、私はこの集会が開かれても反省する気は一ミリも無いので、適当に流していた。

だって、こっちは遊びのつもりだったし。苛めなんて遊びと同じだろ?何が違うんだよ。遊んでる最中に人が転んだりして傷つくことだってあるじゃないか。勝手に物事を大きくしたのはそっちだろ?

「話は以上だ。皆も今後、里中のように人を傷つけることのないように」

いつの間にか話は終わっていた。  

ふぅ、やっと戻れる。ずっと立ちっぱなしで痛かったぞ。

帰り際、前の子にボソリと耳元で囁かれた。

「奴隷、反面教師になったら?奴隷が反面教師になったら、いい人が沢山出てくるよー?」

うるせーな。私のした事は間違っていない。そんなことで怖がるお前らの気持ちが弱いだけだ。

160:AL ◆6.:2020/10/12(月) 17:33

「苛めなんて遊びと同じ」という考え方を持つ
主人公、茉莉が怖いなと思いました。
(ストーリーも現実味があるし)
いつもハラハラしながら読ませて頂いています!
続き期待です!

161:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/13(火) 18:48

くそっ、私はまだ諦めないぞ!絶対、後残り約二ヶ月の間に桜と澄恋に復讐し、私がまた学校の女王様になってやる!

帰り際にそんなことを考えていたら、良い事を思いついた。

それは、梨奈を下僕にして梨奈にあの二人の悪い噂などを流して孤立させ、梨奈に二人を苛めさせるという作戦だ。そして私は自分の手は汚さず陰で梨奈に苛めの指示をするつもりだ。

私が苛められる様になってからもあまり私に対しての苛めに加担していないし……きっとそのぐらい勇気のない奴なんだろう。なので、こちらが何か命令すれば、きっと断れないだろうと思った。

それに、今回のように自分が前に出て人を苛めると、証拠を集められる可能性が大いにある。なので私は自分より価値がなくて弱い人間を使うのだ。

休み時間、私は皆に見つからないように梨奈を探した。誰かに目をつけられると苛められてしまうので、なるべく急いで梨奈を探す。

………待てよ、高校に行けば皆バラバラになる。今いる奴らで遊ぶのは次で最後なのだし梨奈のことも絶望の底に落としたい。……そうだ、写真を集めて卒業式の日、誰かに写真を提出して貰おう。写真を提出する下僕を誰にするかは後で考えよう。

162:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/15(木) 17:59

あっ、あんなところに!……相変わらず醜い顔しているなぁ。

私は水道で水を飲んでいる梨奈を見つけた。梨奈の地味な緑髪と丸眼鏡は直ぐに分かる。

「ねぇ、ブース子!」 

私は梨奈の容姿を煽るように笑顔で梨奈の背中をポンポン叩く。

「あのさ、あんたも知ってると思うんだけど、私今苛められているんだよねー。しかも、相手はずっと下僕にしていた桜と澄恋だよ?」

「はい、知ってます」 

梨奈は半月前と変わらない暗いトーンで話す。

「それでさ、あんたにお願いがあるんだよね。ブス子が私の下僕になって、私が色々と指示を出すからさ。桜と澄恋に嫌がらせをして二人を孤立させて復讐しようと思ってるんだけどさ……どうよ?」

答えはもう予想済みだ。自分の意見が言えない梨奈なら、絶対に嫌と言えないだろう。

さぁ!今から私の下僕になって、汚れていくがいい!

163:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/16(金) 17:19

ところが、次に梨奈が口にした言葉は思いもよらないことだった。

「無理です。ごめんなさい」

………は?どういうこと?何でこいつが首を横に振るわけ?

私は強く拳を作った。拳を握る強さに、自分の怒りが表れている。

「な、なんでだよ!ブスの癖に……ふざけるな!」

感情的になっている私に対して、梨奈はそんな私を見ても冷静だ。その冷静さは、まるで怒っている私を馬鹿にしているような雰囲気だった。

「私、茉莉さんに苛められたせいでかなりストレスが溜まりました。なので、そのような思いをした苛めとは関わりたくないんです」

なんだよ、何も断れなかった癖に。調子に乗りやがって!

その様な発言をしている癖に、何故私の苛めは助けない?………ようし、そこの弱みを握ってみよう。

「じゃあなんで、私がいじめられているのに助けないわけ?ブスなんだからこういう時ぐらい頑張らないと駄目でしょう?」

すると、梨奈は首を大きく横に振った。

「貴女が反省していないからです。貴女以上に、私達は辛い思いをしました。私達の気持ちが分かってからまた来てください。」

なるほど。じゃあ反省している素振りを見せればいいのだな。演技なら私は得意だぞ。

164:匿名 hoge:2020/10/16(金) 17:45

茉莉がなんだか可哀想にみえてきますね、、 
いじめはいけないですが、返すのもだめだと感じました……
校長は茉莉が人をいじめていたということをみんなの目の前で言っていて、校長も茉莉をいじめている気がします………

茉莉は毒親(みたいなもの)と暮らしてきたから少しだけ可哀想ですね……
茉莉を応援してしまいます><

165:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/17(土) 06:49

>>164 ありがとうございます!


私は深々と頭を下げる。

「うん。反省している。自分がやられて、苛められる辛さを思い知ったよ。だから、裏切ったあの二人が許せない。だから、あの二人に対しての復讐を手伝って欲しいんだ」

「もし復讐に成功したら、梨奈の為に何でもしてあげる」と、私は付け加える。

フッ、勝ったな。こんな演技を見れば、誰だって引き受けるに決まってるだろう。

まぁ、これは梨奈を誘い込む為の演技なので、勿論反省なんてしていないし、梨奈のために何でもするわけでもない。桜と澄恋への復讐が成功したら、梨奈のことも追い込むつもりだ。

ところが、梨奈はまたも首を横に振った。

「嫌です。これは私を誘い込む為の演技ですよね?しっかりと反省してから出直して下さい」 

そうして梨奈は、その場を走って去っていった。

……は?何であいつごときが私の魂胆を読めるの?何であいつなんかが私に逆らうの?許せない……。

梨奈に逃げられない為に、今は逃しておこう。だが、次はこうは行かぬぞ。次は梨奈を脅して、無理矢理やらせてやる。でないと今の梨奈はきっと逃げてしまうからな。

166:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/17(土) 20:28

土曜日、私はぼんやりとベッドから起き上がり、朝食を食べる為に下へ降りた。

私は下へ降りてきてリビングに入った瞬間、母親に頬を叩かれた。すると、母親は私を見て泣き出した。

母親が私を殴るとは、珍しいな。父親が私のことを殴っていても、見て見ぬ振りをしているのに。何朝から情緒不安定になっているのだ。こっちまでイライラする。

母親はしばらくその後泣き続き、ある程度落ち着いたら中身が沢山入っている、分厚い封筒を三枚ほど机に出してきた。

「あんたが………小学校の頃から苛めをしているという手紙と写真が昨夜に届いていたの!」

…………嘘だろ。あいつら、こんなことまでするわけ?こんなこと親に知られたら、絶対もっと殴られるだろ?こんなことするの、私の家庭のことも知っていて証拠の写真も持っている、桜と澄恋しかいない。

あいつら、まさかこんなことまでする奴だとは思わなかった。私を裏切ってここまで追い詰めるなんて……最低。絶対梨奈を下僕にして、復讐してやる!!

母親は、とうとう我慢していた涙が溢れ出るように流れ出て、感情的な態度になる。

「あんたは、昔から…………幼稚園の時から苛めをして……………また同じことを繰り返して………自分の子供として恥ずかしい!!!」

……え?私が、幼稚園の頃に苛め……?この人、何言っているんだ?

167:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/18(日) 06:18

「……………」

意味が分からず、私はその場に固まる。

「ねぇ、まさか、忘れた訳ないでしょうね!?」

そう言われても、私はなんの事かさっぱり分からないのでその場で黙る。

本当にこの人は何を言っているのだろう。幼稚園で苛めなんてしていないぞ?感情的になったからって八つ当たりしないで欲しい。

「………………」

誰も話さないので、当然沈黙が続く。しばらく沈黙が続くと、母親がとうとう話しだした。

「ああ!もう!やっぱり覚えてないのね!じゃあ思い出させてあげる!さっさと来なさい!」

母親は私の手首を思いっきり掴んで私の腕ををぐいぐい引っ張り、私の事を無理矢理どこかへ連れて行った。その時の母親の表情は、普段の私に無関心な感じの表情でなく、酷く険しい表情だった。

今までで一番面倒だ。自分が感情的になったからって私まで巻き込みやがって。私は梨奈を説得したり、桜と澄恋に写真をこの親に送ったことに文句を言うなど、まだまだやることが沢山あるというのに。私を傷つけている親共に付き合っている暇なんてないんだよ!

168:AL ◆6.:2020/10/18(日) 10:12

展開が読めず、ハラハラして凄く面白いです。
これからも読みます。

169:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/19(月) 16:58

>>168 ありがとうございます


私は母親と共に二階へ向かい母親の部屋に入った。母親は自分の引き出しの中から数枚の写真と二枚の手紙を出してきた。

「この写真はあんたが幼稚園の時にやった苛めの証拠写真で、この手紙はあんたが苛めていた生徒の保護者からの文句の手紙!」

そこには、小さい頃の私が女の子を泣かしている写真があった。その女の子が誰なのかは思い出せない。

他にも、私が物を壊していたり、女の子に傷をつけている写真などがあった。

「あんたのせいでこの子は『幼稚園に行きたくない』とまで言い出して……。それからお父さんも全然お酒なんて飲まなかったのに毎日の様にお酒を飲むようになって、性格も荒々しくなって……」

母親は目に涙を浮かべながら、荒々しい口調で言った。

次に母親は、もう一つの幼い字で書かれた手紙を見せてきた。

「こっちはあんたが昔書いた謝罪の手紙!手紙を書いたから修まると思ったら、またあんたが苛めをして卒園まで続けて……。だから私もあんたに愛想尽きちゃったの!!」

ふんっ、愛想尽きたなら構ってくるなよ。鬱陶しい。

少しずつだが、その時の記憶が蘇ってきた。

そうだ、父親も母親も昔は優しかった。よく三人で出かけ、家族の仲も良かった。しかし、ある日を境にして私は暴力を受けるようになり、家族の仲は悪化していった。

そう言えば、昔女の子を仲間外れにして楽しんだこともある。……そうか、それが母親の言っている苛めなのか。

170:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/20(火) 18:01

「今まであんたのことなんて放置していたけれど、人様を傷つけるなんてことは許せない!何度も苛めを繰り返して………」

次の瞬間、母親が机をバンと叩き、聞いたこともない大きな声で怒鳴り散らした。

「あんたなんてもう、顔も見たくない!!!早く出てって!!」

うわ!何なんだよ。びっくりするじゃないか。こんな大きい声なんて出されたら。朝から怒られているこっちの身にもなれよ。

私はあまりにもびっくりし、ここにいたら更に怒鳴り散らされそうなので、朝食も食べずに反射的に家を出た。

空は曇っており、それは今の私の状況を表すかのようだった。

幼稚園の頃に苛めをしただと?ふんっ、それがなんだって言うんだ。幼稚園児の苛めなんて、子供の喧嘩だろ?校長も母親もクラスメイトも、いちいち大事にしないで欲しいんだよね。

それに、親なら子供が何をしようと子供には優しくするのが普通だろ?勝手に私にガッカリして性格が変わったのはそっちだろ?だからうちの親は嫌なんだよ。

家を出たとはいえ、何も持っていないので買い物などにも行けない。一体どうしたらいいのだろう。

……そうだ、梨奈のアパートに行こう。梨奈を強引に説得し、今日こそ梨奈を下僕にするんだ!

頭の中でそうと決まると、私は鼻歌を歌いながら梨奈のアパートへ向かった。

171:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/22(木) 19:09

ピンポーン。私は梨奈の部屋のインターホンを鳴らす。

「はーい。どちら様?」

梨奈のお母さんらしい人が出てきた。

「佐崎梨奈さんのお友達の、里中茉莉です。梨奈さんに会いたいので、開けてくれませんか?」

すると、梨奈のお母さんがアパートのドアを開ける。私は中に入ると、「お邪魔します」と礼儀正しくお辞儀をし、綺麗に靴を並べる。

まさか親がいるとは思ってなかったぞ……。こんな中途半端な面積で一階建てのアパートで強引に説得なんてしたら、親に聞こえるかも知れない。さて、どうする?……取り敢えず、梨奈を探そう。

私の家と違い、アパートなので見つけるのも容易そうだ。これなら早く見つけられそう。

梨奈は、奥の方の和室で折り紙を折っていた。和室は梨奈の祖父らしき人と幼い梨奈が写っている写真があるので、きっと祖父の部屋なのだろう。折り紙を折っているのも梨奈の祖父が好きだったのだろうか。だから梨奈が継承しているのだろうか。

そんなことはさておき、私は折り紙をしている梨奈の腕を無理矢理掴んだ。そのせいで折り紙が多少ぐしゃりとなってしまったが、そんなことは気にしない。

「こんにちは、梨奈!ちょっと梨奈に話したいことがあってさー」

さーて、腕を掴んで話しかけたはいいがどうしよう……。

そうだ、外に行って話そう。アパートの駐輪場なら誰もいないから大丈夫そうだ。それに、私も梨奈もそれほど体格が言い訳ではないので、見つかってもただの喧嘩と思われるかもしれない。

「すみません、少し梨奈さんと外で遊んでいきますね」

私は梨奈の母親にそう伝え、梨奈と一緒に外へ出た。

172:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/23(金) 18:03

私は駐輪場に着くと、梨奈の胸元を引っ張った。

「おい、ブス子!とっとと私の下僕になれよ!じゃないと私がまたあんたを苛めちゃうよー?」

「あんたを苛める」というのは、下僕にさせる為の脅しだ。こいつで遊ぶのも飽きたので、次は何がなんでも桜と澄恋を苛めようと思っている。

バンッ!私は梨奈を怯えさせるために、梨奈の顔すれすれの所で地面を叩く。ここら辺ではあまり見かけない土の駐輪場だったので、手は多少汚れたがそこまで痛くなかった。

「なに黙ってるんだよ?すぐ応えないと……こうするぞ!」

私は梨奈の目を目がけて殴る振りをした。

「ほら、早く!トロいんだよ、このブス子がよぉ!」

いい加減早く首を縦に振るなり「はい」と言うなり応えろよ。そろそろ喉が乾いてきたから、私はフードコートで水を飲みに行きたいんだよね。

しばらくすると、梨奈はまた首を横に振った。

………何故?これだけ脅したというのに。話の分からない奴め!

こういう甘い考えの奴には、痛い目を見させないとな。女王様である私に逆らった罰だ!

さっき脅した通り、私は梨奈の顔をグーで殴りかかる。

しかし、梨奈が私の手を抑えたため、私は梨奈を殴ることができなかった。

173:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/24(土) 20:29

「茉莉さん、私、言いましたよね?やりたくないと」

梨奈はスッと立ち上がり、喋り出す。

「この際なので、言わせて貰います」

何?何を言うわけ?こいつがこんなに自分の意見を貫くなんて……地球が滅亡でもするのだろうか?私はそのぐらい驚いた。

「私、茉莉さんに散々苛められて辛かったです。なので、いじめというものにはもう関わりたくないのです」

は?だったら今の私への苛めも止めろよ?言葉が矛盾しているではないか。……よし、そこを突いてみよう。

「ですが……………」

私が言い返す前に、梨奈が口を挟む。

全く、タイミングの悪い時にいいやがって。まぁいい、最後に勝つのはこの私なのだから。こいつがどんなに抵抗しても、私に勝てるわけないだろう。

「茉莉さんは、全く自分のしたことに反省していません!!貴女のような考えを持っている人がいる限り、この世に苛めは無くなりません!!!」

梨奈は、私が今までで聞いたことのないぐらいの大きな声で言った。

「貴女のような考えを持っている人がいる限り、この世に苛めは無くなりません」……?何故私の考えを否定する?人の考えなんて人それぞれだろ?苛めと遊びが同じだと思っていることの何が悪い!こいつは人の人権を侵害している!

「ですが……」と、梨奈はさっき大声を出したとは思えないような冷静な口調で言葉を続ける。

「茉莉さんに感謝していることもあります。それは茉莉さんが、私が意見を言えないからと、私を苛めてきたことです」

ふんっ、そうだ、もっと感謝しろ。私のおかげで、こいつは強くなれた。もっと感謝しないとおかしいだろう。

174:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/25(日) 06:27

「ですが、その分必要以上のストレスも与えられました。毎日何されるのか分からなくて、辛くて、怖かったです……」

梨奈は少し悲しげな表情で言った。

だから何なんだよ。私がそういう思いをさせた分強くなれたんだろ?感謝しろよ!

私はそんな梨奈の主張を無視して言う。

「それがなんだって………」

「なので、そんな恐怖を与えられた茉莉さんとはもう会いたくないです!私の前から消えてください!」

梨奈が私の言葉を遮った。

何、こいつ。ブスの癖に私に反発した上に、私に消えてほしいだの色々と言いやがって。こうなったら暴力で勝ってやる。頭や顔、首やお腹など、色々な所を梨奈が下僕を引き受けるまで殴ってやる。

しかし、私が殴りかかる前に梨奈はその場から逃げ出した。私は梨奈を拳をつくって追いかける。

「ブス子!待てよ!」

しかし、梨奈は思った以上に速いスピードで階段を駆け上がり、自分のアパートに逃げていった。

私は当然のようにアパートの部屋のインターホンを鳴らす。しかし、インターホンには誰も出てくれず、鍵もかけてあった。

そ、そうだ!梨奈の家の前でやったのが行けなかったんだ!これは少々焦りすぎたか……。こうなったら登校中に梨奈を捕まえて下僕にさせるしかない!今日はとりあえず諦めよう。

175:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/25(日) 16:32

くそ、桜も澄恋も梨奈も他のクラスメイトも、好き勝手やりやがって!裏切られて苛められて先生から信頼されなくなった挙げ句、親に苛めがバレて梨奈に反発されて……最近本当にろくな事がない!

喉が乾いてきたので、飲み物を買うために私は財布を取りに家へ向かった。

そろりそろり……私は家に入り、母親に気づかれないようにひっそりと自分の部屋へ向かった。

「あんた!!ちょっと来なさい!」

階段を登っていると、下から母親の声が聞こえた。

ったく、私の顔も見たくないって言ったのは誰なんだよ。言っていることとやっていることがめちゃくちゃじゃないか。

「……何?」

私は階段を降り、素っ気ない声で返事をした。

「さっき、受かっていた高校から推薦を取り消すという電話が来たわ!高校に苛めの写真が送られていて、『人を傷つけるような生徒を入れることは出来ない』、と」

なんだって!?折角推薦で皆より早く合格したというのに!なんてことをする!

……校長か桜達しかいない!こんなことが出来るのは!だって、私の苛めの写真を持っているのは、あいつらしかいないんだから!

まずは桜と澄恋から写真を奪わねば!あいつら、これからもきっと何枚も写真を現像して、私に嫌がらせをするに決まってる!

「待ちなさい!あんた!」

私は財布も持たずに家を飛び出し、桜と澄恋の住んでいるマンションへ向かった。

176:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/27(火) 20:17

ピンポン、ピンポン、ピンポン。私はダッシュで桜と澄恋のマンションに行き、桜の家のインターホンを連打する。いつもは桜の親の目を気にしてインターホンを連打することなんてなかったが、今はそんなことをしている暇はなかった。

ガチャリ。桜がドアから出てくる。

「うわっ、奴隷じゃーん。どうしたの?あんまり近寄られるとばい菌が伝染るから近寄らないでねー」

なんだその言い方は!人をばい菌扱いしやがって。そんなこと言うなら桜に近づいたらこっちだってずる賢さが伝染る!

「あははー、まぁ入ってよ。沢山あんたのことをけなしてあげるからさ。まぁ、あんたと一緒にいると私まで奴隷になるかもしれないから、あんまり長居しないでねー」

うるさい!今はそのような話を聞いている暇はない。こいつから写真を奪わねば!

私はイライラを桜にぶつけるように、桜の胸ぐらをぐっと掴む。

「あんた、よくも高校にあの写真を送ってくれたな……」

「あ、推薦取り消されたんだー。よかったね、あんたがいなくなったことであんたが惹かれていた高校の魅力が軽減されないまま守られたんだから」

桜は私を煽るようににっこりと笑う。

私をバカにしやがって!今に見てろよ、絶対に見つけてやるから!

177:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/28(水) 17:37

「あんた!今すぐ写真を返しなさい!これ以上好き勝手にはさせない!」

私は怒りで息を荒くする。そんな様子の私とは対称的に、桜は余裕のある涼しげな表情をしていた。

「あはは!よく私の所に来てくれたね。奴隷の望んでいる写真は私が預かっているよー」

桜は私をからかうように笑う。

なんでこいつは、こんなときに笑える……?普通だったら、自分でこのような秘密を言ってしまったら戸惑うに決まっているのに!

「でもさぁ、奪ってどうするの?あんたがいじめをしたことに関しては何も変わらないんだよ?」

黙れ!こんなことで怯む私じゃない!今までのことを取り消すことは出来ないが、これ以上事実を広めないことは出来る!

「うるさい!これ以上事実を広ませないためだ!さぁ、早く写真を出せ!」

そう言っても桜の表情は変わらず、冷静なままだった。

「ははっ!だったらあんただって人の個人情報とか人の失敗を皆に広めていたよね?それと同じだよ」

おのれ!こいつと話すと色々な屁理屈を言われるので腹が立つ。

これだと何を言っても屁理屈を返されそうなので、私は桜の家を出た。

「奴隷、もう耐えられなくなったのー?まぁ、私にとってはこれで満足だけど!」

ふん、今はあんなのは無視しよう。少し最近感情的になりすぎているかも知れない。一回落ち着いて、次の作戦を練ろう。

178:みぃ◆VZbV1gU:2020/10/30(金) 06:15

私は家に帰ると、更に家の中で孤立するようになった。

今まではリビングで食べていた食事も、今日からは母親が私の部屋の前に置いたものを勝手に食べるようになった。その上父親からの暴力も止まり、私は完全に見捨てられた。

なんなの?この食事の仕方は。私をペットみたいに扱いやがって!親の癖に私を見捨てやがって。親だったら私が何をしようが優しくしろっての!

全く、感情的になったらあいつらの思う壺になるから表で感情を爆発させることもできない。

しばらく食べていると、母親が部屋に入ってきた。

「あんた、高校はどうするわけ?」

そうだ、高校……。待てよ、私が二番目に希望していた高校は確かまだ試験が開催されていない筈……。

「第二希望の高校を受験するつもり」

私は母親を見ずに食べながら言った。今態度を悪くしても、どうせもう叩かれることもないと思うから。

「そう。自分で何とかしてよね。あんたはもう、うちの子じゃないんだから」

そうして母親は出ていった。

……待てよ?見捨てられたってことは、もう叩かれることも怒られることもないってことだろ?じゃあ、何をしてももう怒られない。また私がいじめをしても……。

そうだ、私は家庭の中で自由なんだ、自由になれたんだ!

179:みぃ◆VZbV1gU:2020/11/01(日) 17:33

そうだ、私はこれから何をしても怒られない。つまり、何をしてもいい。それなら、また苛めをしても家庭で怒られることはない。だから、苛めをしても先生にバレなければ大丈夫なのだろう。私はそう思うと、突然何かから解放されるような気分になった。

私はご飯を食べながら、頭の中で桜と澄恋の写真の件と、梨奈をどうやって説得するかを考えた。

まずは冷静にならないとな。冷静にならないと、桜と澄恋の思う壺になる。それに、感情を表に出して梨奈を説得すると、梨奈がビビってしまう。

そうだ、まずは冷静に。後のことは物事を冷静に捉えられるようになってから考えよう。頭に血が登っている時に考え事をしても、ろくな事を思いつかない。

落ち着くんだ、私……。私は女王様なのだから、きっと勝てる……。

私は自分に冷静になるように言い聞かせると、一人寂しくご飯を食べた。

180:みぃ◆VZbV1gU:2020/11/08(日) 13:34

「あー、奴隷が来たー」

クラスメイトの中の一人が、私が教室に入ってきたところを指差す。

「高梨、橘。今日の最初のお仕置きはどうするの?」

「普通の暴力じゃ物足りないからさ、誰かが奴隷に馬乗りして二階の廊下を一周して貰おうよ」

冗談じゃない。中学生の平均体重がどれくらいなのかこいつらは分かっているのか?わかっていてやっているなら……それはあんまりだ。なんで私がそんなことされなくちゃいけない訳?

……でも、今感情を表に出すとあいつらの思う壺だからな。今は我慢しておこう。今だけは。

「じゃあさ、高梨と橘がやってよ。二人が奴隷いじめのリーダーなんだからさ」

「わかった。皆の分までしっかりとお仕置きしておくね」

は?なんであいつら?私が今一番嫌いなやつに乗られるなんて……。でも、今は感情を出すことも首を横に振ることも出来ない。本当に面倒くさい。

近くにいたクラスメイトが私を四つん這いにさせて、その上に桜と澄恋が乗る。

……重い。二人ともそこまで太っていたりガタイが言い訳ではないが、やはり中学生二人に乗られると重い。

「ほら、奴隷。早く進んでよほら、急いで!」

二人は私を本物の馬のように扱い、私をべしべしと叩く。

くそ、馬じゃないんだから叩かれても早く走らないっての!

181:橋本:2020/11/10(火) 00:20

 キャスフィにいた、まりんさんですか?

182:愛羅 あいちゃん:2020/11/10(火) 18:51

>>181
キャスフィにいる橋本さんですか?私は「優芽」って名前でやってました(もう卒業したけど)。

まりんさんはこっちだと思います。
https://ha10.net/novel/1590721010.html
https://ha10.net/novel/1589930492.html
https://ha10.net/novel/1592039149.html

183:橋本:2020/11/12(木) 21:11

 はいそうです。

184:橋本:2020/11/12(木) 21:12

はいそうです。

185:みぃ◆VZbV1gU:2020/11/15(日) 18:32

「はい、遅ーい。もっと早く走って」

相変わらず二人は私の体をべしべしと叩く。

くそっ、そんなに早く走って欲しいなら降りればいいだろ?本当に面倒くさい。こいつらが大人しくしていれば……。

「おい、奴隷。降りろ。水が飲みたいんだよ」

奴隷はどっちなんだよ。自分の立場を理解せずに女王様気取りしやがって!本当だったら私が女王様でこいつらが奴隷なのに……。

澄恋は、口の中に水を入れると、その水を私の顔に吹きかけてきた。

私の綺麗な顔を汚しやがったな……。許さない!本当だったら今すぐ殴りたい。だが、今感情的になったらこいつらの思う壺だからな………。全く、こいつらのせいで自由を次々と奪われて本当に意味がわからない。

「あっははは!あんたのその『苛めは遊び』だという汚い考えから目を覚ましてあげたから!感謝してよね?」

何が感謝しろ、だ。いじめと遊びが同じだと思っていることの何が悪い?人の考えなんて人それぞれだろ?そんなこともわからないなんて、頭の中小学生かよ。

「あ、あと三十秒ぐらいでなりそうじゃない?チャイム」

すると、桜が私のお腹を踏んづけてきた。

「じゃあ、私達は先に帰るから。じゃあね」

そう言って二人は私を置いて走って教室に戻っていった。

186:みぃ◆VZbV1gU:2020/11/17(火) 07:22

私は腰の痛さもあってか、二人はチャイム着席に間に合ったのに、私はチャイム着席に間に合わなかった。

「里中さん!チャイムはしっかりと守って下さい。この間まで苛めをしていたというのに……まだ反省していないのですか?」

うるせーな。最近まで私の事を信用していた癖に、何手の平返しているんだよ。……以前は泣いて上手いこと言えば大抵のことを許されていたが、今の状態じゃあ私の言い訳も通用しないだろう。

全く、あいつらのせいで私の道はどんどん壊れていって……本当に迷惑。早く復讐の方法を見つけないとな。

「はい、すみません。以後気をつけます」

私が苛めをしたということは先生方にも知れ渡っている。なので先生の中での私の評価をこれ以上下げないために、先生の前では大人しくしておこう。

「里中は本当に反省しているのー?」

「苛めをした挙げ句チャイム着席に遅れるとか……調子乗り過ぎ!!」

皆が私をからかっている。

ごちゃごちゃうるさいな。こっちは一ミリも悪くないのに。私の楽しみを潰したお前らが何を言う。

「こら、貴方達もはやしたてないの!」

そうして私は皆から罵声を浴びせられながら自分の机に向った。

187:愛羅 あいちゃん:2020/11/28(土) 00:05

茉莉ちょっと可哀想…
でも、自業自得だよね…

188:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/01(火) 18:43

>>187 ありがとうございます


 席に着くと机の中に色紙が入っていた。中身を見てみると、そこには「しね」や「クズ」などの私を中傷するような単語が寄せ書きされていた。

 酷い、どうしてこんなこと……。あいつらにこんなことする権利なんてないのに。

 「生きる意味無し」や「害虫」など、私を邪魔者扱いをするような言葉もあった。

 どうしよう、この色紙。………そうだ、梨奈の机に入れて嫌がらせしよう。梨奈が私の下僕にならないと、毎日梨奈に嫌がらせをする……。いいじゃない。これなら絶対に梨奈も諦めてくれるだろう。

 私は桜と澄恋に感情を読まれないように、できる限り冷静を装った。

 最初からこうしておけばよかった。これなら、嫌がらせを受け続けられるか苛めをするかの二択だからな。皆、自分が嫌がらせを受けられるより、苛めをする方がよっぽど楽しいに決まっている。誰かを傷つけるというのは、人生の最高のスパイスだから。

 

189:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/03(木) 15:52

 そうだ、梨菜に対してのメッセージも書いておこう。
 私は筆箱からメモ帳を取り出して一枚千切り、シャーペンを走らせた。
 「梨奈へ
これ以上私に反発したら私があんたに嫌がらせをする。嫌なら私の下僕になりな。 茉莉」、と。こんな感じでいいかな。

 私は他のクラスメイトに見つかると色紙を取り上げられると思ったので、こっそりと梨奈の机に入れた。
 ……よし、無事に入れられたぞ! 後は梨奈が私の下僕になるだけだ。
 さっさと私に従っていれば良かったのに、ずっと反発していた梨奈……なんて生意気なのだろう。梨奈を下僕にしたら、梨菜にきつく説教しなきゃ。……そうだ、梨奈を下僕にしたら梨奈のことも陰で苛めよう。

 私が心の中で一人ウキウキしていると、突然クラスメイトに後ろから背中を蹴られた。私は反射的に後ろを向く。
「何? お前の体があったから蹴っただけだけど?」
 私の背中を思いきり蹴った男子は、余裕な表情をしてその場を去っていった。

 ああ、もう! どいつもこいつも生意気な奴ばっかり! ……もう、梨奈には桜と澄恋以外の奴らも苛めさせよう。
 絶対に私の手で、こいつらを絶望の底に落としてやるんだから……!
 

190:すーちゃん◆IjU すみれ:2020/12/04(金) 17:29

はじめまして!!小説すごく面白いです^-^
梨奈ちゃんがかわいそう、、、

191:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/05(土) 13:02

「止めてください! これ以上私に近づかないでください!」 

 私が梨奈の机に色紙を入れた後、私に向って叫んてきた。
「私、言いましたよね? 下僕にはならないと」
 下僕にはならない? これ以上近づくな? ふん、ブスの癖に何調子に乗ったことを言っている?

 私の中で何かが切れた。
 気づくと、私は梨奈のお腹を蹴り飛ばし、馬乗りになっていた。

「下僕にはならない? これ以上近づくな? ブスの癖に生意気なことを言ってんじゃねぇよ!! お前や桜や澄恋、それ以外の奴らは本来なら私の奴隷であるべきなんだよ! なのに最近私の下僕共は私を苛めるし校長に私がやったことをバラすしよぉ……。こんなのは本当ならあってはいけないんだよ!」
 
 はぁ、はぁ……。怒鳴ったせいで、私の息は荒くなる。
 もう、面倒な作戦とかも一切立てない! 私はもう、ただ手当たり次第にこいつらを苛めていく!

「だからよぉ……ブス子も桜も澄恋も、最近調子乗り過ぎなんだよ。だから、これからな私を傷つけた人全員の事を手当たり次第苛めるからな!」

 私が言い終わると、一つの影が私達の前に立ちはだかった。

192:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/13(日) 10:02

>>190 ありがとうございます


「ふーん。やっぱり奴隷は私達の事を下僕としてしか見ていなかったのね」
 桜が立ちはだかった。その後ろに澄恋もいる。
 しまった! 梨菜に気を取られていて周りを全く気にしてなかった………!

 どうしよう、今の話聞かれたよね?
「私達の事を苛めようとしていたなんて、最低ね!」
 うるせーな。私の何が悪いんだよ。最低なのは下僕の身分で私にはむかったお前らだろ?

「澄恋、こいつにどんな罰を与える?」
「そうね、それなら………」
 二人が何かを話している。コソコソと話しているが、私にはしっかりと聞こえた。
 ……ふざけるな! 何が罰を与える、だ。何故私が下僕共に苛められなきゃいけない?

 私は、クラスでカースト最上位の女王様だ!!!

「やっぱり、もっと苛めの強さを上げるしか無さそうだね」
 澄恋が口にした。
 苛めをもっときつくする? ふざけるな。何故スクールカースト最上位の女王様である私が下僕共を苛めただけでこうなった?
 私は苛めをしても良い人間なのに……。許せない。

193:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/18(金) 16:35

 それから私は、本格的にクラスの奴隷になった。

 今私は、机の中にゴミを沢山入れられ、油性ペンで机に「しね」「クラスのゴミ」等の悪口を掛かれた。そして、落書きをクラスにある洗剤で消し終わるまで、私は蹴られたりゴミ箱のゴミを投げつけられたりする。

 「早く消し終われよ! ずっと蹴っている私の気持ちも考えろよ!」
 

194:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/18(金) 16:45

間違えて途中で送ってしまいました🙇


 私は強く蹴られる。その様子を見ている他のクラスメイトは、遠くで私を見てクスクスと笑っている。
 そして横からはゴミを投げつけられ、おかげで私の制服にホコリが沢山ついている。

 そう、私はターゲットになった。
 もう、スクールカースト最上位にいた面影なんて無い……。私は一瞬でスクールカースト最底辺になった。

 私がスクールカースト最底辺に落ちたおかげで、クラスの隅で細々と生きている奴らは急に教室の真ん中で調子に乗り始めた。スクールカースト関係なく、皆が敵になった。

 私がクラスの奴隷になったことは桜と澄恋のせいでクラスの外にも一瞬で広まり、歳やクラス関係なく苛めていた私はクラスの外の人達からも睨まれるようになった。

 なんで私がこんな目に……。私は何も悪くないのに。私の下僕達が大人しく私に従っていれば……。でも、今反発したらもっと酷い苛めが待っているんだよね。
 桜も澄恋も、本当に許せない。様子を見計らって、タイミングが良い時に絶対に復讐してやる……!

195:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/21(月) 17:02

 休み時間、私は携帯を眺めていると、一つのニュースの記事が目に入った。
 なんとそこには、私が苛めをしていたというニュースがあったのだ。

 そのニュースには、私が唯一自殺にまで追い込んだ百々麻莉奈の事を中心に書かれていた。
 百々麻莉奈を私が死なせた事、他にも何十人者人を苛めていた事など。とにかく分かっている分だけ書かれていた。私の顔写真も載ってあり、私が苛めをしたという事は誰が見ても分かる内容だった。

 これもきっと、桜と澄恋の仕業……。だって、これらの写真、桜と澄恋の顔だけ上手く切ってあるから。絶対にあいつ等しかいない。

 なんで自殺に追い込んだだけでこんな事書かれないと行けないんだよ。確かに百々には色々と遊ばせて貰ったけど、勝手に自殺したのは百々の方でしょ? あんな事で死ぬなんて思ってなかったし、あいつのメンタルが弱すぎなんだよね。
 もう終わった事をどうしてあいつ等はネットに載せるのかな? 私は怒りを通り越して悲しみの気持ちで溢れた。

 桜も澄恋もそうだけど、百々もふざけるなよ。お前が死ななければネットに挙げられる事もなかったかもしれないのに。お前のメンタルが弱いせいで……。私の遊びで死んだやつなんて、お前以外はいないんだよ!

196:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/25(金) 18:32

 さて、このニュースの記事をどうしよう……。早く消さないと大変な事になるぞ。いち早く記事を消す方法を探さないと。

 そんな気持ちで携帯をいじりながら帰っていると、横から強くボールが当たってきた。
 痛いなぁ……。誰がやったんだよ! 私には今こんな事をしている暇はないんだよ!

「やーい、人殺しー」
「おいおい、あまり近づくなよ。俺らまで殺されるぞ」
 後ろを振り返ると、そこには近所の小さい男の子達がいた。
 なんだよ、人殺しなんて。私は人を殺したなんかいねぇよ。あっちが勝手に死んだんだろ?

 その瞬間、私は心臓が大きくドクンと鳴った。
 待てよ、何故あの餓鬼共は私の事を人殺しと行ったんだ……? もしかして、もうあの事件の事が全国に広まっているのか?

 嫌な予感がして、私は走って家に向かった。

 私の勘違いであって欲しい……。何故私がこんな目に会わないといけないのか……。全く理解が出来ない。
 私は悪くない。悪いのは勝手に死んだ百々の方……。
 そう自分に言い聞かせた。

 息を荒しながら家に着くと、そこには数台のパトカーが止まっていた。

197:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/26(土) 08:25

 う、嘘でしょう……? 悪い予感が当たっていたなんて……。この光景を見たら、信じがざるを得なかった。

 家の前に立つと、そこには数人の警察官と両親がいた。一人の警察官がこちらに気づくと、両親がこっちを睨んできた。
「君は、里中さん家のお嬢さんかな?」
 一人の警察官がにっこりと聞いてきた。私はその圧力に圧倒され、無言で頷くしかなかった。
「少し貴女に聞きたい事があるんだ。一緒に来てくれないかな?」
 警察らは、私の応えを聞かずに私を何処かに連れて行った。

 一体何をされるの? 不安で仕方がない。なんで私がこんな目に……。どうして……。

 私は、何も悪くないのに……。

 桜と澄恋が大人しく私の下僕でいてくれれば、私がクラスの奴隷になる事もなかった。あいつが死ななければ、こんな大事になる事もなかった。親が私が苛めをしている事を知っても、私に愛情を注いでいれば、家の中で孤立する事もなかった。私の奴隷だったクラスメイト達が調子に乗らなければ私はずっとクラスの女王様だった。梨奈が私の下僕になっていれば、私は今苛められずに済んでいた……………。

 そう、全ては周りの奴らが悪い。

 私の心の中は、周囲の人間に対する憎しみでいっぱいだった。

198:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/27(日) 10:26

 私は交番で、今までどれくらい苛めをしたのかという事など、とにかく苛めに関する事を全て丸裸にされた。

 なんでわざわざ丸裸にするんだよ。たかが苛めだろ? 私の何が悪いんだよ。
 そりゃあ、頭が良いだけで顔もそこまで可愛くない桜とかが苛めをするのは良くないと思う。けど、私は顔も成績も、世間の評価も高かったんだから。そんな私が苛めをするのは悪い事ではないと思うのだが。

「貴女のせいで、百々さんの遺族は大変辛い思いをしているんだぞ?」
 警察が私に尋ねてきた。
 ふん、何が辛い思いをしている、だ。そんなの知った事ない。勝手に死んだ奴の事で悲しむなんて……大人の癖に随分と意気地がないんだな。あー、笑っちゃう。
 だが、ここで本当に思っている事を言うと更に嫌な目に会いそうなので、取り敢えず謝っておこう。

「はい………。こうやって警察沙汰になって、自分の愚かさを知りました。遺族の方には大変酷い事をしたなと……。そして、百々さん以外にも私は沢山の人を苦しめました。被害者の方々にはこうやって謝る事しか出来ませんが……非常に反省しています……」
 私は心にも思ってない謝罪をした。
 
 くす、我ながら上手い演技だな。昔から自分の手は汚さない様に何かと演技をしてきたので、演技は大得意だ。

199:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/28(月) 09:47

 私はその後も、警察の小言を適当に相槌をうってやり過ごした。
 だって、たかが苛めだろ? なんで私より勝手に死んだ奴の肩を持つんだよ。意味が分からない。それに、私にはもっとやる事が沢山あるんだよ。ネットのニュースの記事を消したり、世間の評価を上げたりと。警察なんかに付き合ってられるか!

 家に帰ると、親は私にもっと冷たくなった。夜ご飯も持って来ない。お腹が空いたら冷蔵庫の物を勝手に漁って食べるだけ。
 父親はもっと酒を好むようになり、母親はいつも機嫌が悪い。私の家はどんどん崩壊していった。

 ジリリリリリ、ジリリリリリ………。うるせーな。ろくに休めもしないじゃないか。
 お風呂に入っていると、家の電話が物凄い頻度で鳴っていた。母親が出て切ったらまた電話が鳴る、切っても切ってもキリがない、そんな感じだった。

 恐らく、私の苛めの事が原因だろう。その証拠に
「はい、本当に申し訳ありません! この事に関しては、何度謝罪をすればいいのか……」
 と、何度も母親が謝っているから。

 私がした事は近所に一気に広まり、近所内で私は「殺人鬼」扱いだった。

200:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/29(火) 07:13

 少し携帯から目を話すと、自分の携帯に「殺人鬼」「お前がしね」「お前がいなくなればこの世は平和になる」などの言葉が書いてあるラインやメールが百件以上あった。
 なんで、どうして……。

 メールやラインだけでなく、電話の履歴も溜まる一方なので、携帯は常に振動が鳴りっぱなしだった。私は携帯の振動に耐えられなくなり、携帯の電源を切ってクローゼットに携帯を放り投げた。
 嫌だ、嫌だ……。どうしてこんな事に……。

「茉莉!!」
 体育座りで蹲っていると、母親が急に部屋を開けてきた。
 なんだよ、こっちはお前の顔なんて見たくないのに……。
「あんたが受験する予定だった高校からも『人を傷つけるような人はいらない』と、断られたわ!」
 __?! 嘘だろう?
 許せない、あいつ等のせいで私の人生をめちゃくちゃにされるなんて……。
「どうするかは自分で決める事ね。あんたのせいでこうなったんだから」
 そう言って母親は部屋を出ていった。
 あんたのせい? 何故? こうなったのは私を追い詰めた桜と澄恋____いや、この世の奴ら全員だろう?

 もう、こうなったら……なるべく遠い所の私立高校しかないじゃない。どうしてくれるんだよ!

201:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/02(土) 07:34

 次の日、学校に行く為に家を出ると周りの人達から冷たい視線を向けられた。
  その光景に耐えられなくなった私は、家からマスクとサングラスを取りに行き、学校に着くまでサングラスを掛けて登校した。日本人には珍しい私の生まれつきの金髪等で何人か気づく奴もいたが、何もつけないよりはマシだ。

 教室に入ると、そこには澄恋が私を待ち構えていたかの様にドアに立っており、そのまま私の頬をバチッとビンタしてきた。
 ……いってーな。いきなり何なんだよ。

 そのまま机に向かうと、今度は桜が私にカッターを向けてきた。
 危ねーじゃないか。当たったらどうするんだよ!
「お前がしねよ、殺人鬼! お前がいなくならないとこの世は平和にならないんだよ!」
 な、何なんだよ………。

 すると、桜はカッターを私の近くで振り回してきた。そのおかげで、私の制服は見事に切り裂かれた。
「あーあ、外しちゃった。もう少しでお前の心臓に当たりそうだったのに」
 その言葉に私はゾッとした。
 もしかして、本当に桜は私の心臓を狙う気だったのだろうか……? いや、そんな事はないか。桜は自分の手を汚す様な大事を起こす者じゃない。

 それにしても、その制服どうしよう……。家に代えはあるが、学校には持ってきていない。これじゃあ授業に出れないじゃないか。

202:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/02(土) 19:00

「何してくれるんだよ、桜!」
 私は桜をキッと睨んだ。すると、桜は一瞬私の格好を嘲笑い、この後桜も私を真似するかのように私を睨んだ。

「お前……そのまま授業受けろよ。お前みたいな殺人鬼に人権なんてないんだから。その程度なら上着を羽織れば何とかなるし、お前は席が後ろの方なんだから先生も中々気づかないでしょう?」
 はぁ? ふざけるなよ。なんで私が下僕共の言う事を聞かないといけないんだよ! もうこっちは懲り懲りだ!

「お前らだって、私と一緒に苛めていた癖に!!」
 私は桜と澄恋に向かって言う。その様子を二人は呆れて見ていた。
「いや、私達はずっと奴隷に復讐しようと思っていたよ? 苛めは良くない事を奴隷に分からせようと思って。ねぇ、澄恋」
 桜の問いに、澄恋は頷く。
 屁理屈ばかり___悔しい、こんな下剋上……許せない!

「学級会の時間まであと十分ぐらいあるじゃん。だから奴隷、少し来てよ」
 今度は何なんだよ! ふざけるな、私のした事を校長にバラした挙げ句ネットにも載せるなんて……許さない!

203:汐梨 しーちゃん:2021/01/03(日) 08:46

続きが気になる!頑張ってね!

204:汐梨 しーちゃん:2021/01/03(日) 08:47

>>203
元愛羅です( ^ω^ )

205:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/04(月) 08:06

>>203 ありがとうございます


 桜と澄恋はトイレに入ると、再びカッターを目の前に出して来た。
 ……今度は何?!

「澄恋は鋏を持って。カッターと鋏でこいつの制服をボロボロにしていこう」
 澄恋がニヤリと笑って頷くと、二人はカッターと鋏をそれぞれ構える。
 制服をボロボロに……? ふざけるなよ、セクハラじゃないか。
「奴隷、そんなに眉間にシワを寄せないの。あんただって梨奈とかの制服を散々切り刻んでいたんだから、やられてもいいんでしょう?」
 
 それは、梨奈がブスだからやっているだけ……。ブスの制服なんて何でもいいと思ったから……。だから、私の制服を桜と澄恋が切り刻んでいい訳がない!
「ふざけるな……………」
 私は二人を睨んで言う。二人は、そんな私の状況をからかうかの様に笑う。
「へぇー、自分がされて嫌な事を他人にもやっていたんだー。その程度の奴がクラスで女王様を気取っていたなんて……面白過ぎて笑っちゃう」
 二人はクスクスと笑い始めた。
 なっ………、何が面白いんだ! ランクの高い人間がランクの低い人間を苛めて何が悪い!

「まぁいいや。取り敢えずあんたには罰を与えないと。桜、行くよ!」
 澄恋が桜にそう言うと、二人は刃物をこちらに向けてきた。

206:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/05(火) 07:34

「きゃあ!!」
 二人は私を無理矢理床に倒し、制服を切り刻んでいった。
 二人がかりなので、制服は物凄いスピードでボロボロになっていった。

「あはは、いいねぇ澄恋。どんどんやっちゃって!」
 二人は、私を挑発する様に声をかけながら切っていく。

 ………ガリッ! 痛い……! 足に当たった! 私の自慢の白い脚が……。これはわざとなのか? それともまぐれなのか? ……どっちにしろ私の脚に当たった事は同じなんだよね。私の制服をズタズタに切るんじゃねぇよ!

 三分経つ頃には、私の制服は端切れ同然の様になっていた。
「うわぁ、露出狂じゃん! だっさーい」
 二人は私を指差してゲラゲラ笑う。

「さぁ、帰ろう。皆奴隷の事を待っているよ」
 それって私を苛めるために待っているんだろう? そんな教室に戻るなんて御免だな。
「何奴隷立ち止まっているの? ほら、早くついてきなよ!」
 二人は私の腕を笑顔で掴み、腕が痛くなるほど強く握りしめて来た。

 ふと、切られた脚を見てみると……やはり脚に血が流れていた。
 ふざけるな、覚えておけよ。いつか絶対に復讐してやるから。

207:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/06(水) 09:41

 私が教室に入ると、皆が私の姿を見て爆笑して来た。
「奴隷、何その格好! そんなに皆に見せたいんだったらもう全部脱いじゃえよ!」
 皆が私の事をからかって来る。
 ……私だって好きでこんな風になった訳じゃねぇよ。皆好き勝手に私の事を笑いやがって。お前らのせいで私は受かっていた高校にも入学を拒否されて、世間からも冷たい目で見られる様になったんだよ!

 ジャージに着替えよう。こんな姿を先生に見られるなんて絶対に御免だからな。以前だったら私を心配してくれるだろうが……今だと私の敵になるかも知れないからな。

 ジャージに着替えようと私はサブバッグを取り出すと、澄恋が足をドンと鳴らした。
「奴隷、ジャージに着替えるの? 着替えるんだったら教室で着替えてよね」
 はぁ? こいつ、何言っているの? 出来るわけないだろ、そんな事。
 しかし、クラスメイト達は澄恋に続く様に文句を言ってきた。
「俺だって散々お前に皆の前で脱がされたんだから、お前もやれよ!」
「そんなに制服がボロボロなんだから、制服来てない状態とほぼ同じでしょ?」

 うるさいなぁ。お前らみたいなランクの低い人間はともかく、何故私が皆の前で着替えないといけない? ふざけるな。

 すると、桜と澄恋が私を押さえつけてきた。
「ほら、早く着替えなよ。着替えないとずっと離さないよ?」

208:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/07(木) 18:03

 二人に押さえつけられて身動きが出来なくなった私は、仕方なく皆の前で着替え始めた。
 皆がこっちを指差してヘラヘラと笑っている。

「あっははは!!! 奴隷ー、その汚い体を見せるなよ。殺人を犯しているんだから、血とかついているんじゃないの?」
 クラスメイトの一人が私を馬鹿にしてきた。
 私は人を殺してなんかいない。あいつが勝手に死んだだけなのに……。てか、あの事を思い出させるなよ。折角事故という形で問題は済んだのに、桜と澄恋のせいで……。

 カシャッ。クラスメイトが私の着替えているところを撮ってきた。それも、バシャバシャバシャバシャと、連続で。
「はは、これネットに匿名であげちゃおうかなー」
 その内、一人だけでなく色々な奴らが私を撮ってきた。
「そうだ、学年ラインに送ろう。それで学校の後輩達に広める様頼もう」
 ………は? ふざけるな、それはセクハラだぞ?!

「っ………おい!!」
 学年ラインに送ると言った奴に文句を言おうとすると、桜が私の口を抑えてきた。
「どうしたの? 着替えたなら大人しく座っていなよ」
 また私の邪魔をしやがって……。ふざけるな!

 私は着替え終わると、ドスンと椅子を鳴らして座った。

209:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/08(金) 16:32

 着替え終わって席に着き、一時間目の用意をしようとしたら、私の机の中に沢山のちり紙があった。ちり紙を見てみると、そこには「しね」「人殺し」「疫病神」等、少し前より酷い悪口が書かれていた。
 来た時はこんな物なかったぞ………? ……そうか、桜と澄恋が私の制服をボロボロにしている時にクラスメイトの奴等がちり紙を入れたんだな。
 
 あいつ等………どれだけ悪知恵を使ってこっちを苛めてくるんだよ。こいつ等のせいで私は世間から殺人鬼扱いされるしよ……。こんな事になるんだったら桜と澄恋を下僕にするんじゃなかった。

 その様子に気づいたのか、澄恋がこっちに来てちり紙をばっと取ってきた。
「茉莉、ちり紙見たの? ちり紙見たなら早くしんでよ」
 死ぬわけないだろう? お前らに復讐をしてない状態でしねるわけがない。じゃないと私はきっと成仏できずに、永遠に現世をさまようだろう。
「ちり紙を学校のごみ箱なんかに捨てないでよ。そしたら先生達に私達の事がバレるかも知れないから」
 澄恋はそう言うと、私の鞄の中に紙を奥の方に入れてきた。
 ……言われなくても学校のごみ箱なんかに捨てねぇよ。だって、きっと先生達も私の敵だから。

 苛めは人の心を壊すとか綺麗事ばかり言いやがって。ふざけるなよ、どいつもこいつも。

210:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/10(日) 20:33

訂正
茉莉、ちり紙見たの?→奴隷、ちり紙見たの?

211:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/13(水) 17:18

 休み時間、私は窓際でぼーっと空を見ている。
 鳥が羨ましい。鳥は人間と違って裏表が無く、苛める事もない。私も鳥に生まれて鳥の中の女王様になっていたら……。

 曇り空を飛んでいる鳥を眺めていたら、突然誰かに背中を押された。
 ………危ないじゃないか!! 落ちたらどうするんだよ!
 イライラした私は誰がやったのか確かめる為に後ろを見てみると、そこにはクラスの男女四人が立っていた。

「はぁ、最悪。もう少しで奴隷を殺せそうだったのに」
 その中の女子が言う。
 はぁ?! 殺せそうだった? こいつら、私をころす気だったのか……? ふざけるなよ。
「奴隷の身分だから分からないかも知れないけど、日本では人を殺したら大抵は死刑を執行しないといけないの。たから奴隷の事も殺さないと」
 ……私は、殺人なんて犯してないのに。自殺と殺人なんて全く別の物だろ? 何故私が殺した事になっている?

「皆ー、奴隷の死刑を執行しよう。窓から突き落としてね?」
 その人は、近くのクラスメイト達に呼びかけた。そこには桜と澄恋の姿もあり、二人は誰よりも早くこちらに駆けつけてきた。

「このぐらい集まれば執行には十分かな。じゃあ、皆で協力してこいつへの恨みを晴らそうね!」

 

212:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/15(金) 17:18

「落ちーろ、落ちーろ!」
 皆がおしくら饅頭をする様に私をぐいぐいと押してくる。
 ……やめろ、このままじゃ本当に落ちちゃう!

 皆は、ぐいぐいと私を押している最中に次々と「しね」「殺人鬼」「あの子にあの世で土下座しろ」等の罵声を言ってきた。私はクラスの女王様から、小さな殺人鬼になっていた。
 ええい! 私が殺人鬼だなんて絶対に認めないぞ! 私は殺してなんかしないんだ、あいつが勝手に死んだだけの話だ!

 キーンコーンカーンコーン。皆が私を押している最中にチャイムが鳴った。私を押していた人達は舌打ちを鳴らしたりと、残念がりながら席に戻っていった。

「あと少しであいつを落とせそうだったのに………」
 誰かがそう呟いた。
 くそ、昔の私だったらこんな時は間違いなく呟いた奴を殴っていたが、今だと見事に私が悪者のように仕立てられるから嫌がらせも出来ない……。本当に腹が立つ。
 
 私は心の中でクラスメイトを憎みながら机に向かった。

213:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/17(日) 10:36

「消えろ、殺人鬼!」
 放課後、家に向かっていると名前も知らない子供や学生に「しね」「消えろ」等の言葉を浴びせられた。
 変装していても私だと分かるなんて……。

 家が見えると、そこには空き缶や使用済みの煙草がわざとらしく大量に捨ててあった。きっとその辺のを誰かが集めたのだろう………。
 更に、窓の門を開けると家のポストに手紙が大量に入ってあり、何枚か手紙が落ちていた。
 ……ふん、誰かこんな手紙等を開けるか! どうせ私に対しての悪口が書かれているんだろう? どいつもこいつも私を悪者にしやがって! 許さんぞ!

 家に入ると、とどめを刺す様に父親の携帯や家の電話が鳴りっぱなしだった。きっと誰かが私に文句を言いたいのだろう。
 相変わらず父親は酒に溺れて寝ている。私はふと、母親に苛めがバレた時の事を思い出した。父親は私のせいで酒に溺れるようになったと言っていたからだ。
 ……ふん、父親は私のせいで酒に溺れるようになっただと? そんなの知った事はない。子供のお遊びと酒が何の関係があるんだよ。

 私は部屋に入ると、いきなりどっと疲れが出てきた。
 私、もう疲れた……。下僕共から下剋上をされた挙げ句ネットに私の遊びの内容を書かれて……。そして今は街の殺人鬼扱い。この日本人には珍しい金髪も、完全には隠せない。この街にいる限りどこにいても冷たい目で見られる……。もう、高校に入学するまで不登校になった方が良いのではないか……。

214:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/18(月) 17:02

 私は不登校を決意した。私の事を見放した両親は心配する気配もなく、私は誰にも文句を言われずに不登校になれた。

 文句の声や電話の音が聞こえるのが嫌なので、私はお腹が空いた時以外は絶対に部屋から出る事はなかった。
 そして、自分の部屋からでも文句の声は聞こえるので、私は勉強して一日一食食べ終わると直ぐに眠りについた。
 夜の十時に寝るようになり、朝は毎日九時に起きる。そして受験の為に三時間勉強して少し経ったらご飯を食べる。そして四時間ほど昼寝をしてお風呂に入ったら部屋で漫画を読んだり桜達の復讐方法を考えるなど、自由な時間を過ごしたら眠る。こんな日々が続いた。

 一日一食だと足りないのではないか、そう思う人もいるかも知れない。しかし、脳しか動いていない私は全くお腹が空かないのだ。なので、一食で十分だ。もしかしたら全く動いてないのでお風呂も要らぬかも知れない。
 
 ……もう、全てが面倒だ。学校の女王様じゃない私なんて私じゃない。高校入学まであと一ヶ月半もあるのだ。それぐらい経てば苛めなんて皆忘れるだろう。高校も電車で一時間ほどかかる隣の県の高校だし……。きっともうすぐで私は救われるだろう。

 そして私は今日もお風呂に入ったので眠りにつく。

215:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/19(火) 18:23

 部屋にいても文句の声は聞こえる、いつ外に出ても人はいるので外に出れば文句は言われる……。そんな事から私は家から出られなくなり、少し脂肪がついてきた。
 
 仕方ない。だって、ストレスが溜まって体も一切動かさない、食事も一日一食。そりゃあ太るだろう。
 以前は折角の私のいいスタイルが崩れるのが嫌だったが、最近私は太った自分の体型を好きになってきた。何故なら、太る事で少しでも自分の見た目を変える事が出来るから。これなら私立の受験で会場に向かう為に外に出る時も少しは暴言を吐かれる回数が少なくなるだろう。

 そう思い、私はお風呂に入りながら自分のお腹を見る。自分の柔らかいお腹を見ながら、私は段々と怒りが込み上げてきた。
 そもそも下僕共が下剋上をしなければ私が太る必要もなかった筈……。どうしてくれるんだよ! もしドヤえもんがこの世にいたらあいつ等をぶん殴りまくって外に出られない顔にしてやりたいわ!

 ……たく、最近本当に下僕共のせいでストレスが溜まる。下僕共のせいでどんどん太ってくるわ。許さない、絶対に。

216:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/28(木) 06:50

 寝てばかりの日々が過ぎるのはあっという間で、いつの間にか私立高校の受験日になっていた。
 なので私は帽子を深く被ってサングラスを掛け、筆記用具や受験番号の紙を持って電車に乗った。外に出るのなんて半月程久しぶりだ。

 ガタンゴトン、ガタンゴトン………。電車の中で私はクラスメイト達を激しく恨んだ。
 なんで私が遠くの私立高校に行かなければならないんだよ! 折角推薦で都立に受かって梨奈を苛め放題だったのに……。私を不登校にした挙げ句、私の自慢のスタイルを奪いやがって!
 あ、でも、もうこれで開放されるんだったな。私立高校は隣の県の高校だから苛めがバレる可能性も低いし、桜と澄恋にどこの私立高校なのかというのは教えていない……。
 これならきっと私はまたクラスの女王様になれる!

 いけないいけない。今は受験の事を考えなくては。持ち点は十分高いがそれでも頑張らないと。じゃないと私の生きている意味がないからな。

 そう思い、私は暗記の本を開いた。

217:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/30(土) 07:50

 勉強三昧の日々だったので私は暗記の本を丸々暗記していた。これ以上暗記をする必要は無いと思った私は、心を落ち着かせる為に会場に着くまで仮眠を取った。

 
 ――――――――――――――

 車掌の声で目が覚め、そこは丁度会場がある駅だった。
 これで受かれば、私はまた学校の女王様に__! 私はようやく開放されるのだ!
 高校に入学したら、私は早速下僕を作って、苛めの最初のターゲットを決めて、クラスの女王様になって……。ああ、考えただけでワクワクする。

 不登校になった分沢山勉強をし、学校の成績も良かったので持ち点も高く、受かる自信しかない。
 それでも受からなかったら私は大変な事になるので、念には念を入れて私は受験会場に入るともう一度暗記の本を開いた。
 理科社会等の暗記教科だけでなく、数学の公式等もしっかりと覚え直す。最初は国語から始まるので、特に国語の漢字や古文等を覚え直した。

 そして国語の試験が始まり、私は試験に挑んだ。

218:ソヨン:2022/10/20(木) 17:58

続きが楽しみですっ!!

219:TACOWASA◆DU:2022/11/22(火) 02:56

続きをご期待!

220:匿名 o:2023/02/04(土) 17:43

続きはいつですか?

221:徒食芽癒◆gA:2023/02/14(火) 17:31

>>217
続き楽しみにしています

222:りう。◆TtqcRX.2/M:2024/04/09(火) 15:54

めちゃ面白いです!
つづきまってますっ

223:匿名 hoge:2024/04/12(金) 18:41

>>221それなです


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