いじめ ~加害者の末路~

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1:みぃ◆VZbV1gU:2020/06/11(木) 07:25

こんにちは。前回のいじめ~女子の修羅場~が終わったので、新しく作りました。今回は虐めの加害者目線で書いていこうと思います。

ちなみに今までで書き上げた作品は
・オタク女が恋を知るまで…
・いじめ~学校という空間~
・いじめ~女子の修羅場~
です。是非見て欲しいです。

194:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/18(金) 16:45

間違えて途中で送ってしまいました🙇


 私は強く蹴られる。その様子を見ている他のクラスメイトは、遠くで私を見てクスクスと笑っている。
 そして横からはゴミを投げつけられ、おかげで私の制服にホコリが沢山ついている。

 そう、私はターゲットになった。
 もう、スクールカースト最上位にいた面影なんて無い……。私は一瞬でスクールカースト最底辺になった。

 私がスクールカースト最底辺に落ちたおかげで、クラスの隅で細々と生きている奴らは急に教室の真ん中で調子に乗り始めた。スクールカースト関係なく、皆が敵になった。

 私がクラスの奴隷になったことは桜と澄恋のせいでクラスの外にも一瞬で広まり、歳やクラス関係なく苛めていた私はクラスの外の人達からも睨まれるようになった。

 なんで私がこんな目に……。私は何も悪くないのに。私の下僕達が大人しく私に従っていれば……。でも、今反発したらもっと酷い苛めが待っているんだよね。
 桜も澄恋も、本当に許せない。様子を見計らって、タイミングが良い時に絶対に復讐してやる……!

195:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/21(月) 17:02

 休み時間、私は携帯を眺めていると、一つのニュースの記事が目に入った。
 なんとそこには、私が苛めをしていたというニュースがあったのだ。

 そのニュースには、私が唯一自殺にまで追い込んだ百々麻莉奈の事を中心に書かれていた。
 百々麻莉奈を私が死なせた事、他にも何十人者人を苛めていた事など。とにかく分かっている分だけ書かれていた。私の顔写真も載ってあり、私が苛めをしたという事は誰が見ても分かる内容だった。

 これもきっと、桜と澄恋の仕業……。だって、これらの写真、桜と澄恋の顔だけ上手く切ってあるから。絶対にあいつ等しかいない。

 なんで自殺に追い込んだだけでこんな事書かれないと行けないんだよ。確かに百々には色々と遊ばせて貰ったけど、勝手に自殺したのは百々の方でしょ? あんな事で死ぬなんて思ってなかったし、あいつのメンタルが弱すぎなんだよね。
 もう終わった事をどうしてあいつ等はネットに載せるのかな? 私は怒りを通り越して悲しみの気持ちで溢れた。

 桜も澄恋もそうだけど、百々もふざけるなよ。お前が死ななければネットに挙げられる事もなかったかもしれないのに。お前のメンタルが弱いせいで……。私の遊びで死んだやつなんて、お前以外はいないんだよ!

196:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/25(金) 18:32

 さて、このニュースの記事をどうしよう……。早く消さないと大変な事になるぞ。いち早く記事を消す方法を探さないと。

 そんな気持ちで携帯をいじりながら帰っていると、横から強くボールが当たってきた。
 痛いなぁ……。誰がやったんだよ! 私には今こんな事をしている暇はないんだよ!

「やーい、人殺しー」
「おいおい、あまり近づくなよ。俺らまで殺されるぞ」
 後ろを振り返ると、そこには近所の小さい男の子達がいた。
 なんだよ、人殺しなんて。私は人を殺したなんかいねぇよ。あっちが勝手に死んだんだろ?

 その瞬間、私は心臓が大きくドクンと鳴った。
 待てよ、何故あの餓鬼共は私の事を人殺しと行ったんだ……? もしかして、もうあの事件の事が全国に広まっているのか?

 嫌な予感がして、私は走って家に向かった。

 私の勘違いであって欲しい……。何故私がこんな目に会わないといけないのか……。全く理解が出来ない。
 私は悪くない。悪いのは勝手に死んだ百々の方……。
 そう自分に言い聞かせた。

 息を荒しながら家に着くと、そこには数台のパトカーが止まっていた。

197:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/26(土) 08:25

 う、嘘でしょう……? 悪い予感が当たっていたなんて……。この光景を見たら、信じがざるを得なかった。

 家の前に立つと、そこには数人の警察官と両親がいた。一人の警察官がこちらに気づくと、両親がこっちを睨んできた。
「君は、里中さん家のお嬢さんかな?」
 一人の警察官がにっこりと聞いてきた。私はその圧力に圧倒され、無言で頷くしかなかった。
「少し貴女に聞きたい事があるんだ。一緒に来てくれないかな?」
 警察らは、私の応えを聞かずに私を何処かに連れて行った。

 一体何をされるの? 不安で仕方がない。なんで私がこんな目に……。どうして……。

 私は、何も悪くないのに……。

 桜と澄恋が大人しく私の下僕でいてくれれば、私がクラスの奴隷になる事もなかった。あいつが死ななければ、こんな大事になる事もなかった。親が私が苛めをしている事を知っても、私に愛情を注いでいれば、家の中で孤立する事もなかった。私の奴隷だったクラスメイト達が調子に乗らなければ私はずっとクラスの女王様だった。梨奈が私の下僕になっていれば、私は今苛められずに済んでいた……………。

 そう、全ては周りの奴らが悪い。

 私の心の中は、周囲の人間に対する憎しみでいっぱいだった。

198:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/27(日) 10:26

 私は交番で、今までどれくらい苛めをしたのかという事など、とにかく苛めに関する事を全て丸裸にされた。

 なんでわざわざ丸裸にするんだよ。たかが苛めだろ? 私の何が悪いんだよ。
 そりゃあ、頭が良いだけで顔もそこまで可愛くない桜とかが苛めをするのは良くないと思う。けど、私は顔も成績も、世間の評価も高かったんだから。そんな私が苛めをするのは悪い事ではないと思うのだが。

「貴女のせいで、百々さんの遺族は大変辛い思いをしているんだぞ?」
 警察が私に尋ねてきた。
 ふん、何が辛い思いをしている、だ。そんなの知った事ない。勝手に死んだ奴の事で悲しむなんて……大人の癖に随分と意気地がないんだな。あー、笑っちゃう。
 だが、ここで本当に思っている事を言うと更に嫌な目に会いそうなので、取り敢えず謝っておこう。

「はい………。こうやって警察沙汰になって、自分の愚かさを知りました。遺族の方には大変酷い事をしたなと……。そして、百々さん以外にも私は沢山の人を苦しめました。被害者の方々にはこうやって謝る事しか出来ませんが……非常に反省しています……」
 私は心にも思ってない謝罪をした。
 
 くす、我ながら上手い演技だな。昔から自分の手は汚さない様に何かと演技をしてきたので、演技は大得意だ。

199:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/28(月) 09:47

 私はその後も、警察の小言を適当に相槌をうってやり過ごした。
 だって、たかが苛めだろ? なんで私より勝手に死んだ奴の肩を持つんだよ。意味が分からない。それに、私にはもっとやる事が沢山あるんだよ。ネットのニュースの記事を消したり、世間の評価を上げたりと。警察なんかに付き合ってられるか!

 家に帰ると、親は私にもっと冷たくなった。夜ご飯も持って来ない。お腹が空いたら冷蔵庫の物を勝手に漁って食べるだけ。
 父親はもっと酒を好むようになり、母親はいつも機嫌が悪い。私の家はどんどん崩壊していった。

 ジリリリリリ、ジリリリリリ………。うるせーな。ろくに休めもしないじゃないか。
 お風呂に入っていると、家の電話が物凄い頻度で鳴っていた。母親が出て切ったらまた電話が鳴る、切っても切ってもキリがない、そんな感じだった。

 恐らく、私の苛めの事が原因だろう。その証拠に
「はい、本当に申し訳ありません! この事に関しては、何度謝罪をすればいいのか……」
 と、何度も母親が謝っているから。

 私がした事は近所に一気に広まり、近所内で私は「殺人鬼」扱いだった。

200:みぃ◆VZbV1gU:2020/12/29(火) 07:13

 少し携帯から目を話すと、自分の携帯に「殺人鬼」「お前がしね」「お前がいなくなればこの世は平和になる」などの言葉が書いてあるラインやメールが百件以上あった。
 なんで、どうして……。

 メールやラインだけでなく、電話の履歴も溜まる一方なので、携帯は常に振動が鳴りっぱなしだった。私は携帯の振動に耐えられなくなり、携帯の電源を切ってクローゼットに携帯を放り投げた。
 嫌だ、嫌だ……。どうしてこんな事に……。

「茉莉!!」
 体育座りで蹲っていると、母親が急に部屋を開けてきた。
 なんだよ、こっちはお前の顔なんて見たくないのに……。
「あんたが受験する予定だった高校からも『人を傷つけるような人はいらない』と、断られたわ!」
 __?! 嘘だろう?
 許せない、あいつ等のせいで私の人生をめちゃくちゃにされるなんて……。
「どうするかは自分で決める事ね。あんたのせいでこうなったんだから」
 そう言って母親は部屋を出ていった。
 あんたのせい? 何故? こうなったのは私を追い詰めた桜と澄恋____いや、この世の奴ら全員だろう?

 もう、こうなったら……なるべく遠い所の私立高校しかないじゃない。どうしてくれるんだよ!

201:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/02(土) 07:34

 次の日、学校に行く為に家を出ると周りの人達から冷たい視線を向けられた。
  その光景に耐えられなくなった私は、家からマスクとサングラスを取りに行き、学校に着くまでサングラスを掛けて登校した。日本人には珍しい私の生まれつきの金髪等で何人か気づく奴もいたが、何もつけないよりはマシだ。

 教室に入ると、そこには澄恋が私を待ち構えていたかの様にドアに立っており、そのまま私の頬をバチッとビンタしてきた。
 ……いってーな。いきなり何なんだよ。

 そのまま机に向かうと、今度は桜が私にカッターを向けてきた。
 危ねーじゃないか。当たったらどうするんだよ!
「お前がしねよ、殺人鬼! お前がいなくならないとこの世は平和にならないんだよ!」
 な、何なんだよ………。

 すると、桜はカッターを私の近くで振り回してきた。そのおかげで、私の制服は見事に切り裂かれた。
「あーあ、外しちゃった。もう少しでお前の心臓に当たりそうだったのに」
 その言葉に私はゾッとした。
 もしかして、本当に桜は私の心臓を狙う気だったのだろうか……? いや、そんな事はないか。桜は自分の手を汚す様な大事を起こす者じゃない。

 それにしても、その制服どうしよう……。家に代えはあるが、学校には持ってきていない。これじゃあ授業に出れないじゃないか。

202:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/02(土) 19:00

「何してくれるんだよ、桜!」
 私は桜をキッと睨んだ。すると、桜は一瞬私の格好を嘲笑い、この後桜も私を真似するかのように私を睨んだ。

「お前……そのまま授業受けろよ。お前みたいな殺人鬼に人権なんてないんだから。その程度なら上着を羽織れば何とかなるし、お前は席が後ろの方なんだから先生も中々気づかないでしょう?」
 はぁ? ふざけるなよ。なんで私が下僕共の言う事を聞かないといけないんだよ! もうこっちは懲り懲りだ!

「お前らだって、私と一緒に苛めていた癖に!!」
 私は桜と澄恋に向かって言う。その様子を二人は呆れて見ていた。
「いや、私達はずっと奴隷に復讐しようと思っていたよ? 苛めは良くない事を奴隷に分からせようと思って。ねぇ、澄恋」
 桜の問いに、澄恋は頷く。
 屁理屈ばかり___悔しい、こんな下剋上……許せない!

「学級会の時間まであと十分ぐらいあるじゃん。だから奴隷、少し来てよ」
 今度は何なんだよ! ふざけるな、私のした事を校長にバラした挙げ句ネットにも載せるなんて……許さない!

203:汐梨 しーちゃん:2021/01/03(日) 08:46

続きが気になる!頑張ってね!

204:汐梨 しーちゃん:2021/01/03(日) 08:47

>>203
元愛羅です( ^ω^ )

205:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/04(月) 08:06

>>203 ありがとうございます


 桜と澄恋はトイレに入ると、再びカッターを目の前に出して来た。
 ……今度は何?!

「澄恋は鋏を持って。カッターと鋏でこいつの制服をボロボロにしていこう」
 澄恋がニヤリと笑って頷くと、二人はカッターと鋏をそれぞれ構える。
 制服をボロボロに……? ふざけるなよ、セクハラじゃないか。
「奴隷、そんなに眉間にシワを寄せないの。あんただって梨奈とかの制服を散々切り刻んでいたんだから、やられてもいいんでしょう?」
 
 それは、梨奈がブスだからやっているだけ……。ブスの制服なんて何でもいいと思ったから……。だから、私の制服を桜と澄恋が切り刻んでいい訳がない!
「ふざけるな……………」
 私は二人を睨んで言う。二人は、そんな私の状況をからかうかの様に笑う。
「へぇー、自分がされて嫌な事を他人にもやっていたんだー。その程度の奴がクラスで女王様を気取っていたなんて……面白過ぎて笑っちゃう」
 二人はクスクスと笑い始めた。
 なっ………、何が面白いんだ! ランクの高い人間がランクの低い人間を苛めて何が悪い!

「まぁいいや。取り敢えずあんたには罰を与えないと。桜、行くよ!」
 澄恋が桜にそう言うと、二人は刃物をこちらに向けてきた。

206:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/05(火) 07:34

「きゃあ!!」
 二人は私を無理矢理床に倒し、制服を切り刻んでいった。
 二人がかりなので、制服は物凄いスピードでボロボロになっていった。

「あはは、いいねぇ澄恋。どんどんやっちゃって!」
 二人は、私を挑発する様に声をかけながら切っていく。

 ………ガリッ! 痛い……! 足に当たった! 私の自慢の白い脚が……。これはわざとなのか? それともまぐれなのか? ……どっちにしろ私の脚に当たった事は同じなんだよね。私の制服をズタズタに切るんじゃねぇよ!

 三分経つ頃には、私の制服は端切れ同然の様になっていた。
「うわぁ、露出狂じゃん! だっさーい」
 二人は私を指差してゲラゲラ笑う。

「さぁ、帰ろう。皆奴隷の事を待っているよ」
 それって私を苛めるために待っているんだろう? そんな教室に戻るなんて御免だな。
「何奴隷立ち止まっているの? ほら、早くついてきなよ!」
 二人は私の腕を笑顔で掴み、腕が痛くなるほど強く握りしめて来た。

 ふと、切られた脚を見てみると……やはり脚に血が流れていた。
 ふざけるな、覚えておけよ。いつか絶対に復讐してやるから。

207:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/06(水) 09:41

 私が教室に入ると、皆が私の姿を見て爆笑して来た。
「奴隷、何その格好! そんなに皆に見せたいんだったらもう全部脱いじゃえよ!」
 皆が私の事をからかって来る。
 ……私だって好きでこんな風になった訳じゃねぇよ。皆好き勝手に私の事を笑いやがって。お前らのせいで私は受かっていた高校にも入学を拒否されて、世間からも冷たい目で見られる様になったんだよ!

 ジャージに着替えよう。こんな姿を先生に見られるなんて絶対に御免だからな。以前だったら私を心配してくれるだろうが……今だと私の敵になるかも知れないからな。

 ジャージに着替えようと私はサブバッグを取り出すと、澄恋が足をドンと鳴らした。
「奴隷、ジャージに着替えるの? 着替えるんだったら教室で着替えてよね」
 はぁ? こいつ、何言っているの? 出来るわけないだろ、そんな事。
 しかし、クラスメイト達は澄恋に続く様に文句を言ってきた。
「俺だって散々お前に皆の前で脱がされたんだから、お前もやれよ!」
「そんなに制服がボロボロなんだから、制服来てない状態とほぼ同じでしょ?」

 うるさいなぁ。お前らみたいなランクの低い人間はともかく、何故私が皆の前で着替えないといけない? ふざけるな。

 すると、桜と澄恋が私を押さえつけてきた。
「ほら、早く着替えなよ。着替えないとずっと離さないよ?」

208:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/07(木) 18:03

 二人に押さえつけられて身動きが出来なくなった私は、仕方なく皆の前で着替え始めた。
 皆がこっちを指差してヘラヘラと笑っている。

「あっははは!!! 奴隷ー、その汚い体を見せるなよ。殺人を犯しているんだから、血とかついているんじゃないの?」
 クラスメイトの一人が私を馬鹿にしてきた。
 私は人を殺してなんかいない。あいつが勝手に死んだだけなのに……。てか、あの事を思い出させるなよ。折角事故という形で問題は済んだのに、桜と澄恋のせいで……。

 カシャッ。クラスメイトが私の着替えているところを撮ってきた。それも、バシャバシャバシャバシャと、連続で。
「はは、これネットに匿名であげちゃおうかなー」
 その内、一人だけでなく色々な奴らが私を撮ってきた。
「そうだ、学年ラインに送ろう。それで学校の後輩達に広める様頼もう」
 ………は? ふざけるな、それはセクハラだぞ?!

「っ………おい!!」
 学年ラインに送ると言った奴に文句を言おうとすると、桜が私の口を抑えてきた。
「どうしたの? 着替えたなら大人しく座っていなよ」
 また私の邪魔をしやがって……。ふざけるな!

 私は着替え終わると、ドスンと椅子を鳴らして座った。

209:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/08(金) 16:32

 着替え終わって席に着き、一時間目の用意をしようとしたら、私の机の中に沢山のちり紙があった。ちり紙を見てみると、そこには「しね」「人殺し」「疫病神」等、少し前より酷い悪口が書かれていた。
 来た時はこんな物なかったぞ………? ……そうか、桜と澄恋が私の制服をボロボロにしている時にクラスメイトの奴等がちり紙を入れたんだな。
 
 あいつ等………どれだけ悪知恵を使ってこっちを苛めてくるんだよ。こいつ等のせいで私は世間から殺人鬼扱いされるしよ……。こんな事になるんだったら桜と澄恋を下僕にするんじゃなかった。

 その様子に気づいたのか、澄恋がこっちに来てちり紙をばっと取ってきた。
「茉莉、ちり紙見たの? ちり紙見たなら早くしんでよ」
 死ぬわけないだろう? お前らに復讐をしてない状態でしねるわけがない。じゃないと私はきっと成仏できずに、永遠に現世をさまようだろう。
「ちり紙を学校のごみ箱なんかに捨てないでよ。そしたら先生達に私達の事がバレるかも知れないから」
 澄恋はそう言うと、私の鞄の中に紙を奥の方に入れてきた。
 ……言われなくても学校のごみ箱なんかに捨てねぇよ。だって、きっと先生達も私の敵だから。

 苛めは人の心を壊すとか綺麗事ばかり言いやがって。ふざけるなよ、どいつもこいつも。

210:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/10(日) 20:33

訂正
茉莉、ちり紙見たの?→奴隷、ちり紙見たの?

211:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/13(水) 17:18

 休み時間、私は窓際でぼーっと空を見ている。
 鳥が羨ましい。鳥は人間と違って裏表が無く、苛める事もない。私も鳥に生まれて鳥の中の女王様になっていたら……。

 曇り空を飛んでいる鳥を眺めていたら、突然誰かに背中を押された。
 ………危ないじゃないか!! 落ちたらどうするんだよ!
 イライラした私は誰がやったのか確かめる為に後ろを見てみると、そこにはクラスの男女四人が立っていた。

「はぁ、最悪。もう少しで奴隷を殺せそうだったのに」
 その中の女子が言う。
 はぁ?! 殺せそうだった? こいつら、私をころす気だったのか……? ふざけるなよ。
「奴隷の身分だから分からないかも知れないけど、日本では人を殺したら大抵は死刑を執行しないといけないの。たから奴隷の事も殺さないと」
 ……私は、殺人なんて犯してないのに。自殺と殺人なんて全く別の物だろ? 何故私が殺した事になっている?

「皆ー、奴隷の死刑を執行しよう。窓から突き落としてね?」
 その人は、近くのクラスメイト達に呼びかけた。そこには桜と澄恋の姿もあり、二人は誰よりも早くこちらに駆けつけてきた。

「このぐらい集まれば執行には十分かな。じゃあ、皆で協力してこいつへの恨みを晴らそうね!」

 

212:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/15(金) 17:18

「落ちーろ、落ちーろ!」
 皆がおしくら饅頭をする様に私をぐいぐいと押してくる。
 ……やめろ、このままじゃ本当に落ちちゃう!

 皆は、ぐいぐいと私を押している最中に次々と「しね」「殺人鬼」「あの子にあの世で土下座しろ」等の罵声を言ってきた。私はクラスの女王様から、小さな殺人鬼になっていた。
 ええい! 私が殺人鬼だなんて絶対に認めないぞ! 私は殺してなんかしないんだ、あいつが勝手に死んだだけの話だ!

 キーンコーンカーンコーン。皆が私を押している最中にチャイムが鳴った。私を押していた人達は舌打ちを鳴らしたりと、残念がりながら席に戻っていった。

「あと少しであいつを落とせそうだったのに………」
 誰かがそう呟いた。
 くそ、昔の私だったらこんな時は間違いなく呟いた奴を殴っていたが、今だと見事に私が悪者のように仕立てられるから嫌がらせも出来ない……。本当に腹が立つ。
 
 私は心の中でクラスメイトを憎みながら机に向かった。

213:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/17(日) 10:36

「消えろ、殺人鬼!」
 放課後、家に向かっていると名前も知らない子供や学生に「しね」「消えろ」等の言葉を浴びせられた。
 変装していても私だと分かるなんて……。

 家が見えると、そこには空き缶や使用済みの煙草がわざとらしく大量に捨ててあった。きっとその辺のを誰かが集めたのだろう………。
 更に、窓の門を開けると家のポストに手紙が大量に入ってあり、何枚か手紙が落ちていた。
 ……ふん、誰かこんな手紙等を開けるか! どうせ私に対しての悪口が書かれているんだろう? どいつもこいつも私を悪者にしやがって! 許さんぞ!

 家に入ると、とどめを刺す様に父親の携帯や家の電話が鳴りっぱなしだった。きっと誰かが私に文句を言いたいのだろう。
 相変わらず父親は酒に溺れて寝ている。私はふと、母親に苛めがバレた時の事を思い出した。父親は私のせいで酒に溺れるようになったと言っていたからだ。
 ……ふん、父親は私のせいで酒に溺れるようになっただと? そんなの知った事はない。子供のお遊びと酒が何の関係があるんだよ。

 私は部屋に入ると、いきなりどっと疲れが出てきた。
 私、もう疲れた……。下僕共から下剋上をされた挙げ句ネットに私の遊びの内容を書かれて……。そして今は街の殺人鬼扱い。この日本人には珍しい金髪も、完全には隠せない。この街にいる限りどこにいても冷たい目で見られる……。もう、高校に入学するまで不登校になった方が良いのではないか……。

214:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/18(月) 17:02

 私は不登校を決意した。私の事を見放した両親は心配する気配もなく、私は誰にも文句を言われずに不登校になれた。

 文句の声や電話の音が聞こえるのが嫌なので、私はお腹が空いた時以外は絶対に部屋から出る事はなかった。
 そして、自分の部屋からでも文句の声は聞こえるので、私は勉強して一日一食食べ終わると直ぐに眠りについた。
 夜の十時に寝るようになり、朝は毎日九時に起きる。そして受験の為に三時間勉強して少し経ったらご飯を食べる。そして四時間ほど昼寝をしてお風呂に入ったら部屋で漫画を読んだり桜達の復讐方法を考えるなど、自由な時間を過ごしたら眠る。こんな日々が続いた。

 一日一食だと足りないのではないか、そう思う人もいるかも知れない。しかし、脳しか動いていない私は全くお腹が空かないのだ。なので、一食で十分だ。もしかしたら全く動いてないのでお風呂も要らぬかも知れない。
 
 ……もう、全てが面倒だ。学校の女王様じゃない私なんて私じゃない。高校入学まであと一ヶ月半もあるのだ。それぐらい経てば苛めなんて皆忘れるだろう。高校も電車で一時間ほどかかる隣の県の高校だし……。きっともうすぐで私は救われるだろう。

 そして私は今日もお風呂に入ったので眠りにつく。

215:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/19(火) 18:23

 部屋にいても文句の声は聞こえる、いつ外に出ても人はいるので外に出れば文句は言われる……。そんな事から私は家から出られなくなり、少し脂肪がついてきた。
 
 仕方ない。だって、ストレスが溜まって体も一切動かさない、食事も一日一食。そりゃあ太るだろう。
 以前は折角の私のいいスタイルが崩れるのが嫌だったが、最近私は太った自分の体型を好きになってきた。何故なら、太る事で少しでも自分の見た目を変える事が出来るから。これなら私立の受験で会場に向かう為に外に出る時も少しは暴言を吐かれる回数が少なくなるだろう。

 そう思い、私はお風呂に入りながら自分のお腹を見る。自分の柔らかいお腹を見ながら、私は段々と怒りが込み上げてきた。
 そもそも下僕共が下剋上をしなければ私が太る必要もなかった筈……。どうしてくれるんだよ! もしドヤえもんがこの世にいたらあいつ等をぶん殴りまくって外に出られない顔にしてやりたいわ!

 ……たく、最近本当に下僕共のせいでストレスが溜まる。下僕共のせいでどんどん太ってくるわ。許さない、絶対に。

216:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/28(木) 06:50

 寝てばかりの日々が過ぎるのはあっという間で、いつの間にか私立高校の受験日になっていた。
 なので私は帽子を深く被ってサングラスを掛け、筆記用具や受験番号の紙を持って電車に乗った。外に出るのなんて半月程久しぶりだ。

 ガタンゴトン、ガタンゴトン………。電車の中で私はクラスメイト達を激しく恨んだ。
 なんで私が遠くの私立高校に行かなければならないんだよ! 折角推薦で都立に受かって梨奈を苛め放題だったのに……。私を不登校にした挙げ句、私の自慢のスタイルを奪いやがって!
 あ、でも、もうこれで開放されるんだったな。私立高校は隣の県の高校だから苛めがバレる可能性も低いし、桜と澄恋にどこの私立高校なのかというのは教えていない……。
 これならきっと私はまたクラスの女王様になれる!

 いけないいけない。今は受験の事を考えなくては。持ち点は十分高いがそれでも頑張らないと。じゃないと私の生きている意味がないからな。

 そう思い、私は暗記の本を開いた。

217:みぃ◆VZbV1gU:2021/01/30(土) 07:50

 勉強三昧の日々だったので私は暗記の本を丸々暗記していた。これ以上暗記をする必要は無いと思った私は、心を落ち着かせる為に会場に着くまで仮眠を取った。

 
 ――――――――――――――

 車掌の声で目が覚め、そこは丁度会場がある駅だった。
 これで受かれば、私はまた学校の女王様に__! 私はようやく開放されるのだ!
 高校に入学したら、私は早速下僕を作って、苛めの最初のターゲットを決めて、クラスの女王様になって……。ああ、考えただけでワクワクする。

 不登校になった分沢山勉強をし、学校の成績も良かったので持ち点も高く、受かる自信しかない。
 それでも受からなかったら私は大変な事になるので、念には念を入れて私は受験会場に入るともう一度暗記の本を開いた。
 理科社会等の暗記教科だけでなく、数学の公式等もしっかりと覚え直す。最初は国語から始まるので、特に国語の漢字や古文等を覚え直した。

 そして国語の試験が始まり、私は試験に挑んだ。

218:ソヨン:2022/10/20(木) 17:58

続きが楽しみですっ!!

219:TACOWASA◆DU:2022/11/22(火) 02:56

続きをご期待!

220:匿名 o:2023/02/04(土) 17:43

続きはいつですか?

221:徒食芽癒◆gA:2023/02/14(火) 17:31

>>217
続き楽しみにしています

222:りう。◆TtqcRX.2/M:2024/04/09(火) 15:54

めちゃ面白いです!
つづきまってますっ

223:匿名 hoge:2024/04/12(金) 18:41

>>221それなです


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