花を摘まんでいる
嗤うカサブランカと五月病
マリオネット症候群
戯れの青薔薇は悲鳴を上げる
聖歌を口遊むモルモットが、
硝子の瞳から涙を流す滑稽さに
笑う、哂う、嗤う
偽りの御伽噺とちっぽけな夢
びしょ濡れの蝋燭が灯す炎に映る
真っ赤な懐中時計
妄言吐きの悪いお口は真実を
語る、騙る
3時を告げる古時計に
奇怪な音色のピアノが重なる
いっそ目を瞑ってしまえば、
焦げた赤色なんて見えやしないのに
五月雨と五月病
或いは穢れたモルモット
淡紅色のノクターン
夜祭前に、
アマリリス、どうか笑っておくれ
後世、火は灯り花は枯れる
盲目の修道女が綴る贖罪の物語を、
枯れた花弁ほど愛らしいものはなく
壊れた人形ほど狂おしいものはない
聲さえ海底に沈んでしまう
傾いた天秤と月蝕
日蝕、終わる世界と君の影
( どうかどうか、救ってくださいませ )
硝子張りの夢を見る
きっと破片は飛び散ると分かっていても
四角い月に祈りを捧げる、
瞳孔に刺したナイフが嫌よ嫌よと紅を帯びる
腐った瑪瑙に似た美しい横顔さえ
きっと蝕してしまうのだろう