“深淵唱詩”

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1:アビス◆wc:2017/10/12(木) 06:11

思いついたら取りあえず書く事に決めた(センスは皆無)。

電柱から覗く君は誰だろか?
私はコソリと確かめゆく
けれども何時もシュッパイする

今日も君はシャッテン延びる電柱から私を見ている
そんな所で見てないで早くお入りよ
けれども君は首を横に振る

レーゲン降る日も
シュタルカー・ヴィント吹く日も
君は只私を柱から覗くだけ

何故かと私は君に聞いた
君は口を開いた
“だって僕はゲシュペンストだから”

727:アビス◆wc:2018/12/18(火) 00:44

(1)
今 おかあさんの
おなかが動いたよ

おかあさんの丸い
おなかの中にはね

僕の弟か妹かが
いるんだって

おなかが動く度
おかあさんは嬉しそうに
笑うんだ

おとうさんも
嬉しそう

だけど僕は
嬉しくない

だってそっちにばかり
構うんだもん

もしも生まれたら
どうなるのかな

僕なんて
どうでもよくなって
捨てられちゃうのかな

いやだ いやだよ
おかあさんのおなかの中の

弟か妹なんて
生まれてこなきゃ
いいのに

728:アビス◆wc:2018/12/18(火) 00:47

(2)

おかあさんの
おなかが
大きくなってる

もうすぐ
生まれるんだって

おかあさんのは僕に
貴方はお兄ちゃん
なるのよと僕にいった

僕は笑った
その時だけは

僕は怖かった
弟か妹が生まれるのが

そして僕は
まだ見ない
弟か妹を憎み始めていた

729:アビス◆wc:2018/12/19(水) 20:46

(3)

生きものを殺した
初めては芋虫だった

地面を這っていたから
くつで踏んだんだ

ピクピク動いてて
黄色い汁がついてたよ

次は僕の飼い犬
鳴き声が最近うるさくて
ねむれないから

ガムテープで
口をぐるぐる巻きにして
だまらせた

夜 おかあさんが
僕のとなりで寝ていた

僕はおきていて
おかあさんの大きいおなかを
みていた

おとうさんは朝まで
おきない

ビールの中に
睡眠薬を入れたから

明日おかあさんは
病院に行く

そしてしばらく
戻ってこなくなる

だめ 絶対に
行かせない

行ったら家族が
ふえるから

そうなったら
僕はきっとすてられる

僕はまだ子供
おかあさんにいっぱい
甘えたい

けど 弟か妹がいたら
甘えられなくなる
お兄ちゃんになるから

台所から
包丁をとってきて

おかあさんの
おなかに刺して

中に入っていた
僕の弟か妹になるモノを
取り出して

繋がっていた
ヒモみたいなのを切って

庭の土の中に
埋めたんだ

これでもう
僕はお兄ちゃんに
ならなくていいんだ

おかあさんに
いっぱい甘えられるんだ

僕はまた眠る
血だらけの包丁を
にぎりしめて

からっぽおなかの
おかあさんの横で

笑って

730:アビス◆wc:2018/12/23(日) 17:44

(1)
掌の砂時計を砕く
割れて零れ落ちる
硝子と白砂と血

それでも時は流れ続ける
梢の実はもう生らない

枯れ果てた 嘗て其処にあった
泉の傍にあるphoenixの
羽状の葉は老いている

ーメトロポリス
大都市にそびえたつ建造物は
生きる者達の墓場か

歩いている
海に向かって
夕日と共に

誰もいない
一人私のみの
静寂の海

沈む夕日を見て
私はどうにも出来ないと
呟いた

呆然と立ち尽くす
私の足元の砂は

波に拐われ
戻って来ては
また拐われる…

このままいたとして
波は砂は私を

息の出来ない
水の中へと
連れて行ってくれるだろうか?

731:アビス◆wc:2018/12/23(日) 21:47

(2)

太陽は泣き
涙を流しても

自らの熱で
蒸発する

祈らば
空より鋼の粒が

流星群となりて
降ってくる

鋼の粒は空気との
摩擦によって

非常な高熱を帯びて
地面を溶かす

それは何日も
冷めやらぬ

石をかち合わせ
火花散らさば

集めた枝に
火が点いた

手を差し出し
暖をとる

火を間に挟み
座る私の向かい側には

何時の間にやら
黒猫が火にあたっていて

しかも其処の川で
捕ってきたであろう魚を
ちゃっかり焼いていた

黒猫は御礼だと云い
焼いた魚を一匹私にくれて

私は塩を振り
黒猫は何も付けず

黙々と一人と一匹は
魚を食べていた

旅鞄から
ブランケットを取り出して
くるまっている間

黒猫はずっと
金目の中に火を映し

ぱちぱち云う焚火を
じっと見ていた

火が小さく
そして消えた時

黒猫も
二本足で歩いてひょこひょこ
何処かに行った

其処には私と
炭が残っている

732:アビス◆wc:2018/12/24(月) 09:59

雪が降っている
イルミネーションが光る

ケーキを囲って
チキンを食べて
ジュースを飲んで

皆笑顔の
クリスマス

其の空の上の
サンタクロースが

夢いっぱいの
袋を持って
麋と飛んでいる

良い子には
プレゼントを
あげましょう

悪い子には
( )を与えましょう

寝静まった
子供部屋に

起こさない様に
窓を開けて忍び込む

手に持ってるのは
(良い子)のリストと
(悪い子)のリスト

この子は良い子だから
ぶら下げている靴下に

望むプレゼント入れて
リストに(○)付けて
次に行こう

この子は少し悪い子だ
嫌いな食べ物を何時も
残しているから

だから靴下に
この子の嫌いな食べ物を

腐らせた状態で
入れましょう

リストに小さい(×)付けて
次に行こう

おやおやこの子は
とても悪い子みたいです

何かを何時も苛めて傷付けて
金持ちの子だから

誰も何も云わずに
放置されて

完全に苛めが遊びだと
思ってる

親も親で
金で何でも解決出来ると
思ってる

プレゼントをあげましょう
( )と云う名のね

窓から入って
悪い金持ちの

子供の首を
切り落として

親の首も
切り落として

大きな家に
火を点けた

白い大地と
炎のクリスマスツリー

袋に詰め込もう
悪い子の首を

赤い服だから
気付かれないよ

悪い子の首を
切り落とした時の
返り血は

リストに大きな(×)を付けたら
夜が明けた

733:ありあ◆D6M:2018/12/24(月) 17:06

彩音さん(ナミさん?)の師匠だとお聞きし、自分も1から読ませていただきました!

なにかの歌詞のような1言1言が重い詩で
心を打たれました。
擬音や隠語、複線も多重使用していて
深くも刻まれやすいものだと感じます。

突然の乱入失礼いたしました

734:アビス◆wc:2018/12/24(月) 22:29

>>733
感想をありがとう!
一から読んでくれたんだね。
目は疲れて無いかな?

歌詞よろしくなっているのは
多分ユーチューブで音楽とか
聴いている影響かな。

良く私は鞄に文豪の詩集を入れて
持ち歩いているんだ。
中原中也と萩原朔太郎と
北原白秋と宮沢賢治と立原道造の
何れか一冊をね。
電車の中でとか
空いている時間に読むんだ。
私は携帯やスマホを
持っていないからね。
其れで学ぶのさ、どういう言葉が
使われているのだろうかとかね。

乱入は気にしないよ。
何時でも入ってきて良いからね。

735:アビス◆wc:2018/12/28(金) 22:47

私は今
詩を書いている

他愛の無い
そんな詩を書いている

あっ!非道い
風が私の詩を
もっていってしまった

風よ何故 私の詩を
持って行ったのだ?

あれはまだ
書きかけだと云うのに

別の日 私はまた
詩を書く

風に持って行かれて
仕舞わぬ様

窓を閉め
鍵も掛けた

風よ これで私の詩は
持って行けないだろう

風に持って行かれた
詩を思い出し乍書いて

其の続きを私は
書いている

机の上で
うたた寝をしていると

何やらかじる
音がする

あっ!非道い
今度は鼠が

私の詩を
食べて仕舞った

穴だらけだ
これでは何を書いたか
判らない

とりあえず
これは捨てよう

別の日 私はまた
詩を書く

この間と
違う物を

この家に
鼠はいない

昨日殺鼠剤を
焚いてやったのだ

詩を食われた
恨みとして

家中の鼠は皆
コロリと逝っていた

これでやっと
詩を書ける
誰にも邪魔をされないで

736:アビス◆wc:2019/01/07(月) 21:00

君は私が居なければ
何も出来ない女なんだよ

ご飯を食べさせて貰う時
あげているのはこの私

だって君には
両手が無い

何処か別の所へ
移動する時

連れて行っているのは
この私

だって君には
両足が無い

私が君を
この家に閉じ込めた時

君は直ぐに
逃げ出した

だから私も
直ぐに君を捕まえて

次は鎖で君を繋いで
閉じ込めた

それでも君は
逃げ出した

私もまた
直ぐに君を捕まえた

そして次の日に
君の右手を切り取った

次の日に
君の左手を切り取った

次の日に
君の右足を切り取った

次の日に
君の左足を切り取った

私から逃げ出す
手足等必要無いからだ

欲しいのは
君だけだ

今では君は
抵抗しなくなり

溢れんばかりの愛を
全て受け入れている

時には君から
欲する事もある

縋り強請る姿は
とても愛らしくて
直ぐに与える時もあれば

もう少し見ていたいから
焦らす時もある

彼女の頭に
人差し指を置く

優しく体を
曲線に沿ってなぞる

そうすると
彼女の体はビクンッ…と跳ねる

感じているの…?と
耳元で囁けば

彼女は羞恥から
赤面して黙る

嘘つき…だと
じゃあ…辞めようか…?と云えば
彼女は首を横に振る

黙ってたら判らないと
少し意地悪をする

もっと触れて欲しいと
彼女は云う

私は彼女が
何処に触れて欲しいか
判っているが

敢えて判らないフリをして
何処を?と聞く

私は彼女の口から
云わせたいのだ

口か 頭か 頬か 首か
腕か 脇か 胸か 鎖骨か
腹か 太股か…はてまた此処では
書けはしない部分とかを

服の上からか
其れとも直が良いのかも

さて 今日の彼女は
どちらだろうか

彼女のいる部屋の扉を
私は叩く

737:アビス◆wc:2019/01/10(木) 17:44

(1)
私は生まれた
何一つ優れた所無く
この世に生まれた

私は頭が悪い
何度教えられても
理解が出来ない

だから私は罵られる
出来の悪い馬鹿な子だと

でも あの子は
褒められている

私と違って
頭が良いから

教えられた事を
直ぐに理解している

私もあの子と同じ様に
頭が良かったら

少しは褒めて
貰えるのかな

あぁ 欲しいな

欲しいな 欲しいな
欲しいな 欲しいな

あの子の 知恵の詰まった
脳味噌が 欲しいな

だから私は
あの子を

人気の 無い所に
呼び出して

脳味噌を 取り出して
取り替えたんだ

私は一つ
優れた 所が出来た

其れは頭が
良くなった所

テストで 自分が
とった事の無い点が
とれる様になったんだ

まだまだ 自分は
良くなりたい

738:アビス◆wc:2019/01/14(月) 21:31

(2)

私は運動が
下手だ

走れば遅いし
リレーで何時も
皆の足を引っ張るから

だから私は罵られる
お前がいたら
必ず負けると

でも あの子は
そんな事云われない

私と違って
運動が出来るから

走れば早くて
リレーで何時も
一番だから

私もあの子と同じ様に
運動が出来るのなら

もっと褒めて
貰えるのかな

あぁ 欲しいな

欲しいな 欲しいな
欲しいな 欲しいな

あの子の 早く走れる
足が 欲しいな

だから 私は
あの子も

人気の無い所に
呼び出して

自分の足と
取り替えっこしたんだ

また一つ
優れた所が出来た

それは 運動が
出来る様になった所

リレーで一番が
獲れる様になったんだ

けれど まだ
駄目みたいだ

739:アビス◆wc:2019/01/17(木) 20:40

(3)

私は顔が
良くない方だ

ニキビが多くて
いつも下を向いている

だから私は罵られる
幽霊みたいな 根暗の
不細工だと

でも あの子は
ちやほやされている

私と違って
明るくて 美人だから

気配りも出来るし
私にも手を
さしのべてくれる

私もあの子と同じ様に
美人だったなら

もっと褒めて
貰えるのかな

あぁ 欲しいな

欲しいな 欲しいな
欲しいな 欲しいな

あの子の 綺麗な顔が
欲しいな

だから私は
あの子も

人気の無い所に
呼び出して

自分の顔と
取り替えっこしたんだ

完璧な自分
みんなの理想

頭の良い私
素材は頭の良い
あの子の脳味噌

運動の出来る私
素材は足の早い
あの子の足

美人の私
素材は綺麗な顔の
あの子の顔

捨てたのは…

頭の悪い 自分
足の遅い 自分
顔醜悪の 自分

鏡を見る
これは 私?
私 なの?

いいえ 貴女は
私では ありません

ただの 良い所の
寄せ集めの キメラに
過ぎません

其の脳味噌は
誰のですか?

あの子のです
今は頭の悪い
頭の良かった子の

其の足は
誰のですか?

あの子のです
今は足の遅い
足の早いあの子の

其の顔は
誰のですか?

あの子のです
今は醜悪な
美人のあの子の

740:アビス◆wc:2019/02/23(土) 21:42

…もう良いだろう?
私を解放してくれないか…?

741:アビス◆wc:2019/02/23(土) 21:43

…いよっしゃあああ!!
規制解けたぞおおお!!!

742:アビス◆wc:2019/04/28(日) 11:56

…書き込みたい

743:アビス◆wc:2019/04/28(日) 13:47

何故だ!?
何故私が
封じられねばならない!

神の名を冠する者は
私に戒めの楔を穿ち

暗き底へ
この身を封じた…

我が詩が
そんなに疎ましかったか?

我が詩がそんなにも
貴様の管理する世界の秩序を
乱す物だったか?

ならば私は今後何処で
この胸の内に秘めし

暗鬱とした感情を
吐き出せば良い!?

されば私は呪おう
貴様の管理する世界が
廃れ逝く様に

そして其処に住まう者達も
破滅へと向かう様に!

我が性根は元より
人より遠く

本能のままに活動する
獣に似たり!

仮に私の戒めの楔を
解いたとしても

我が詩想は
永劫に変わらぬ
物と知れ!

744:アビス◆wc:2019/04/28(日) 17:21

(1)
たった一杯の
スプーンに掬われている
致死量の猛毒を

君の口の中へ
流し込む

脳内は
薬物に汚染された
真黒の環境

目の下を
指で引っ張り

眼球をライトで
照らす

箱が頭で
手足が人間の
くまのぬいぐるみ

ふたがひらきゃ
中の身は

目玉の溶けた
集合体がドロリ

腕は ね
傷だらけ

其処には ね
血まみれのカミソリ 落ちてんの

自分で
切ったんだってさ

痛いね 痛いねと
泣いている 泣いている

顔は? 顔はね
笑っているよ キャッキャッと

745:アビス◆wc:2019/04/28(日) 17:32

(2)
病院 白い壁
白いベッド ふかふか

たたけば ほこりが
まって 私が それを
吸い込んで

ひとつ ふたつ みっつと
せきをした

扉に鉄格子
出らんないね

とぉっても自由な
お外の世界に

全身が映ってる
鏡を割った

がしゃあん!がらがらと
くずれる銀の破片

あしあとをつけようか
素足で破片をふんで

ひたひた ぴちゃぴちゃ
床いっぱぁいの足跡

元素の[s]と
[H]を化合させて
[H2SO4]を作ったよ

これで鉄格子を
溶かせるね

746:アビス◆wc:2019/04/28(日) 17:45

(3)
病院から逃げて
自分は頭のネジが取れた
患者だという事を忘れて

野原でお腹を抱えて
笑い狂ってる 転がってる

今は夜さ!
空を見ろ!どうだ?暗いか?

いいや!いいや!違うね!
私はなぁんも見えなんだ!

永遠のまぁっくら!
あぁあの大ほらふき野郎が
私をだます!

にわとりのふりをして
私に偽りの朝を
教えにくるんだ!

私は何を
云っているのだろう?

むかえに行かねば
ならぬのに
愛しいあの子を

やぁやぁ!待ってたかい?
寂しくてしょうがなかったろうに
愛しいあの子の生首よ!

(誰も生きてるとは
云ってない)

聞いてくれよ 非道いのだよ
世間は私の事を
とても酷い言葉で呼ぶのだよ!

何て云われてるかだって?
そんな事云える訳が
無いだろう?馬鹿だなぁ!

愛しいあの子の生首を
私はチウリップ帽とどてらに
はだしの格好で抱えて

イカれた歌を
とちった調子で
ほがらかに歌う

私を連れ戻しに来たのか!?
放せ!放せ!
私は正常だ!

愛しいあの子も
私を正常だと
云ってくれている!

別に首から下が
無いからって
良いじゃないか!

それでも私は
この子を愛してる!

あぁ あの子が!
水の中へと
落ちていく!

まって!まって!
お願いだ!置いてかないでくれ!

お前らのせいだ!
どうしてくれるんだ!

あの子は泳げないと
いうのに!

747:アビス◆wc:2019/04/28(日) 18:03

(作者より1)
久しぶりに自分でも
ぶっ飛んだ詩を書いたなと思ったね。

因みに云っておきます
フィクションです!
私の詩は9割がフィクションです!

はい!大事な事なので
二回云いましたよ!

此処はテストに出るかですと?
はい!勿論出ません!

なのでこれを
観て下さっている皆々様方、

どうか真に受けられませぬ様
宜しく御願い致します!

748:アビス◆wc:2019/04/28(日) 18:23

(作者より2)
皆様こんにちは!
若しくはこんばんは!

さて、突如ですが
皆様は私の詩をどう
思いますでしょうか?

ヤバい…引くわ…気持ち悪…と
思っているでしょう!?

其の通りです!
皆様の思っている事は
大正解なのです!

もう笑って下さい!
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハっとね!

でもこれが私の詩なのです!
私の脳内から産出された詩なのです!

在るがままの
私の詩なのです!

それでは皆様、
これからも私の勝手極まる詩に
お付き合いください!けーぐ!

749:アビス◆wc:2019/04/29(月) 20:15

首へ巻いた風船が
ふわりお空へ飛んでゆくよ

天国へ
いってらっしゃい
私の大嫌いな人達よ

羊が数えたよ
いち、にぃ、さん て
柵を飛び越えて

750:アビス◆wc:2019/04/29(月) 20:16

よっぱらい
くだくだくだくだ
くだまいてさ

大声でわめいて
そんで寝て

朝になりゃ
冷たくなってらぁ

751:アビス◆wc:2019/04/29(月) 20:17

常に考え乍
前へと進め

思考の停止は
自らの死と知れ

752:アビス◆wc:2019/04/29(月) 20:21

赤い兵士が
勇ましく進んだ

いざや! いざや!
悪の根城へと

進んで 進んで
食べられた

頭だけ残して
食べられた

青い兵士が
慎重に進んだ

いざや…いざや…
悪の根城へと

進んで 進んで
食べられた

腕だけ残して
食べられた

黄色い兵士が
隠れて進んだ

い……や …ざ…や
悪の根城へと

進んで 進んで
食べられた

足だけ残して
食べられた

753:アビス◆wc:2019/04/30(火) 18:59

元号が
変わるからって
何なんだ

平成から令和に
なるからって
何なんだ

只私には
時が移ろう位だとしか
感じない

つまりだ
私にとっては

日常を形作る
断片でしかないと云う事ですよ

754:アビス◆wc:2019/04/30(火) 19:10

「虫食」
うねうねしている
この赤い頭をした
白い虫を

これから私は
食べる事にする

理由は単純
腹が減っているからだ

土を掘っていたら
この虫が出てきた

体は芋みたく
短くて太い

つまみあげて
まじまじと見ていたら

丁度夕餉の時も
相まってか
食べたくなってきた

火も何時の間にやら
焚いて鉄串に虫を
刺していた

まだ生きているのか
虫は体をピクピク
痙攣させていた

火に体を炙られて
虫の体には焦げ目が
ついていた

暫くすると
虫の体と同じ色の液が
滴り落ち始めた

頃合いなので
火から離して
虫にかぶりついた

身は弾力があり
食感は海老みたく
味は無い

このままだと
ゴムを食べている
みたいなので

手持ちの塩を
振りかける

そうすると
ゴムを食べている様な
感覚から

本当に海老を
食べてるみたくなる

755:アビス◆wc:2019/05/02(木) 22:00

あらあら
どうしたのですか?
お口を真っ赤にして

何を食べたの?
そう…人間を食べたのね
おいしかった?

まずかったって?
そりゃそうよね

あなたの食べた人間は
太っていて脂身が
多そうだものね

骨ものこさず
全部食べた?
偉いわ よしよし…

それじゃあおいで
べたべたのお口を
拭ってあげましょうね

756:アビス◆wc:2019/05/02(木) 22:06

電線に凧が
引っ掛かってます

それを取ろうと
したのは大人でした

それで大人は
糸を手に掴みましたが

糸には電気が
流れておりましたので

掴んだ大人は感電して
地面に落ちてしまったのです

それで引っ掛けた
子供はと云いますと

新しい凧を買って貰い
空へと飛ばしておりました

その子供は
知らんのですもん

まさか自分の
飛ばした凧で

人間一人が
事切れているだなんて

凧は空を飛んでいます
糸に繋がれ飛んでいます

子供が高く
あげていたら

糸は切れて
凧は川にと
流されて

子供の手には
巻いた糸だけが
残っておりました

757:アビス◆wc:2019/05/04(土) 21:42

彼女は知らないのです
人の優しさという物を

彼女はずっと
育ってきました

衣食住はあるけれど
自分が肯定されない環境の中で

暴言を浴びせられ
暴力も時折振るわれて

そんなので彼女はどう
人を信じれば良いのでしょう

周りは云います
友達がいるのは良い事だ
友達を作りなさいと

ですが友達を作るには
笑顔でないといけません

そして彼女は何時も
仏頂面です

彼女は他人を常に
攻撃しています
口でも手でも足でも

それが彼女の
コミュニケーションの取り方です

というよりも
それしか彼女は

知りませんし
判らないのです

人の良い所を見つけて
褒めてみようと
周りは云います

が 彼女は
褒められた事なんて
ないので

そんな事は
無理なのですから

周りの声に
彼女は苛々を
募らせます

何故自分を
判ってくれないんだ

出来る訳が無い
自分がそんな事を

そして彼女は捌け口に
他人に拳を振るい
足で蹴るのです

758:アビス◆wc:2019/05/05(日) 21:43

力無く頭を垂れて
渇れて腐敗して散っていく
光の射さない黒い空に

無明長夜のこの世界で
冤罪者は怨恨の言葉を吐いて
進むや死者行軍

汚染物質の群雲は
強酸性雨を降り注がせ

不気味な姿晒すは
石柱の上のガーゴイル

何度も同じ言葉だけを
繰り返すゲシュタルト崩壊の楽音
其れを好き好んで聴くかね?

釘を口に含んで
頬に一匹の針鼠でも
飼うが良いさ

759:アビス◆wc:2019/05/05(日) 21:52

あのね あの子供にさ
教えようかと思うんだ
そ あの子の事

手を差しのべているのは
悪い大人だよ

君を玩具にして
弄ぼうとしているて

ヤク 購って 打って 飲んで
食んで 吸って 夢幻

見て 驚いて 叫んで 狂って
逃げて 御陀仏 から末路

線香はあげよう
口の中になら
何本入るかな?

限界まで入ったら
教えてよ
火を点けるから

あ ライターが無い
どうしようか

<何をしているんだ>
五月蝿いな

見ての通り
弔ってあげてるんだ
薬物中毒者を

<嘘を吐くな
遊んでるだろ お前>

あ ばれたか
ところでさライター
持ってない?

<持っているが
何に使うのだ?>

この薬物中毒者の
口に突っ込んだ線香に
火を点けたいんだ

<じゃあ駄目だ
貸せないな>

なにさ この
ケチンボめが

760:アビス◆wc:2019/05/10(金) 22:04

「鳴門記」

風が海を扇動し
波を白立てる

其れが眼前に広がる
私が今見ている景色

此処から身を投げれば
絶対に助かりはしない
死体だって浮かばない…

だろうと思い乍私私は
ベンチに座り詩集を読んでいる

曇り空では鳶が
いち、にぃ、さん匹
飛んでいる

読んでいた所に
人がやって来て

写真を撮ってあげようと
云ってきた
私は即座に断った

気分を害された
読んでいた所を
邪魔されたからだ

そして私は写真を
撮られるのが大嫌いだからだ

レンズ越しに人の顔を
じろりぎょろりと見られるのが
たまったもんじゃない

自分から撮られたい奴の
気がしれない

船にのる
渦潮を見る為に

追走する鴎達に
パン屑をやる

ほおったパン屑は
海に落ちて

其れを鴎が
食べている

渦潮のある所に
着いたが

北風の影響で
渦は形を
成してはいなかった

寒さだけが
躰に残っている

761:アビス◆wc:2019/05/13(月) 21:05

(1)
瓶の蓋を開ける
中の白い錠剤を飲む
そして眠る

朝になって起きる
瓶の蓋を開ける
白い錠剤を飲む

外で働く
昼十二時

今日の弁当は
弁当箱に詰めた
白い錠剤

腹いっぱいになるのかと
同僚に聞かれた

なる と
私は答えた

頬張った
口の中の錠剤を
水で流し込む

762:アビス◆wc:2019/05/14(火) 21:05

(2)
夕方コンビニで
栄養ドリンクを買った

家に帰って
皿に移し替えて
レンジで温めた

机…ではなく
床に置いて

犬みたく
這いつくばって

温めた栄養ドリンクを
ピチャピチャ舐めた

瓶の中に入った
白い錠剤は
残り半分だ

錠剤を飲まずに寝た
悪夢に襲われた

赤くて大きな心臓が
虚ろな目をして
傷を付けていて

黒い血を流して
お前の所為だと
私に云ってきた

其の後も
知らない誰かの声で
責められ続けた

何時の間にか
責められなくなって

何時の間にか
私は起きていて

何時の間にか
包丁を持っていて

目の前には
血染めの浴槽と

血溜まりに浮かぶ
知らない誰かの
死体があった

私は人を……と呟いて
死体を引き摺って
窓の外に放り捨てた

死体は川に落ちた
流れが速くて
死体は直ぐに消えた

窓を閉めて
引き摺った血の跡を
綺麗に掃除した

763:アビス◆wc:2019/05/16(木) 08:39

(3)
白い錠剤を飲んだ
…最後に笑ったのは
何時だったかな

…最後に怒ったのは
何時だったかな

…最後に泣いたのは
何時だったかな

何も感情が
沸かない

何かに対して
可笑しいと
思わなくなった

何かに対して
腹立だしいと
思わなくなった

何かに対して
悲しいと
思わなくなった

そもそもこの白い錠剤が
何なのかを判っていない

でも 飲み続けなければ
ならないと

昔 誰かに
云われていたのは
覚えている

其の誰かの顔は
思い出せない

瓶の中の錠剤を飲む
中身はもう無い

764:アビス◆wc:2019/05/20(月) 20:57


寂しいです
貴方が側に
いてくれないと

駄目なんです
貴方が離れては

嫌なんです
貴方が他の誰かと
話すのは

僕だけに
向けて欲しいのです
貴方の喜怒哀楽を

鬱陶しがられても良いから
常日頃から貴方を
視界に入れておきたい

後をついていって
貴方に近付く害虫を
排除したい

貴方の事を判るのは
僕だけでありたい
他の誰でもない

765:アビス◆wc:2019/05/21(火) 20:40

(1)
貴方の部屋に
カメラを仕掛けました

貴方の行動を
二十四時間監視
出来るように

起床時間は
何時なのか

朝食の時間は
何時なのか

仕事に行く時間は
何時なのか

昼食の時間は
何時なのか

終業時間は
何時なのか

夕食の時間は
何時なのか

入浴時間は
何時なのか

貴方がゴミを
出す度に

僕は持ち帰って
普段何を食べているのか
調べています

レシートがあれば
最高です

貴方が何処の店で
何を買っているのかが
判りますから

貴方が捨てた服は
僕が持っています

だって貴方の匂いが
染み付いているのですから

この服が
貴方の素肌を
包んでいたかと思うと…

766:アビス◆wc:2019/05/28(火) 21:50

(2)
僕の家にある
ビンの中身は
貴方の髪と爪です

カメラを仕掛けた時
部屋から持ち出しました

時折僕は
貴方を求めて
我慢が出来なくなった時

このビンの中の
貴方の髪と爪を食べて
気持ちを落ち着かせているのです

僕は貴方と
一つになりたい…

同じ時間に
起床して

同じ時間に
朝食を食べて

同じ時間に
仕事に行って

同じ時間に
昼食を食べて

同じ時間に
仕事を終えて

同じ時間に
入浴をして

同じ時間に
就寝をして…

そうすれば
距離が離れて
いようとも

僕は貴方で
貴方は僕でいられるのです

767:アビス◆wc:2019/05/29(水) 21:15

黒い 人形が
首を 吊っていた

青い 空の
大きな 木の下で

赤い ヒモで
首を 吊っていた

宙 ぶらりん
ちゅう ぶらりん

風が 吹いて
宙 ぶらりん

ぞろ ぞろ
ぞろ ぞろ ぞろ

黒い 人形が
列を 成して
赤い ヒモ持って

ちゅう ぶらりんに
なりたいから

力無く 頭を垂れて
手を垂れて 足を垂れて
ちゅう ぶらりん

768:アビス◆wc:2019/06/03(月) 23:40

(1)
祈りなさい
されば貴方に
復音が訪れるでしょう

貴方は今、先の見えない
不幸の渦中にありませんか?

其の時こそ
我が神に祈りなさい

されば貴方の前に
神は現れ貴方を救うでしょう

我が神は何者にも
手を差しのべ、迷い子達に
道標を示します

不幸から解放
されたくば

我が神の示した
道のみを歩みなさい

其の道から外れるのならば
貴方は再び不幸の渦中に
呑み込まれて

苦悶の日々を
過ごすでしょう

ですが道を
踏み外さなければ

そんな事は一切無く
幸福に満ちた日々を
過ごせるのです

769:かずま:2019/06/04(火) 14:07

すげー、怖いよ。

770:アビス◆wc:2019/06/05(水) 20:35

>>769
読んでくれたんだね、ありがとう。
私の詩は、頭に浮かんだ物を
そのまま書いてるだけだからねぇ。

読ませて貰ったよ君のも、
特に八番目のが気になったかな。
彼処まで色欲を暴発出来る詩は
私じゃ書けないね。

771:アビス◆wc:2019/06/05(水) 20:43

>>768の続き
(2)
我が神は
あらゆる行為を
禁じたりしません

好きな事をして
良いのです

食べたいままに
食べたり

飲みたいままに
飲んだり

歌いたいままに
歌ったり

踊りたいままに
踊ったり

淫らな迄に
享楽に耽けよと

我が神は
無欲なる者の血肉より

欲に肥えた血肉が
好物なのですから…

772:アビス◆wc:2019/06/09(日) 21:46

飢えて食べた
ご飯の味

飢えて食べた
パンの味

飢えて食べた
流し台の
クズ野菜の味

飢えて食べた
生ゴミの味

飢えて食べた
病原菌持ちの
ネズミの味

飢えて食べた
ゴキブリの味

飢えて食べた
泥水の底溜まりの
泥の味…

773:アビス◆wc:2019/06/10(月) 23:03

(1)
私は死んだ 私は死んだ
私は死んだ 私は死んだ
私は死んだ 私は死んだ

自分の顔が判らないの
自分の心が判らないの

皆が笑顔で
いろと云うから
私はい続けた

そしたらそれが
張り付いて

笑う事以外が
できなくなった

だから顔面を
壁に何度も
打ちつけて

自分の顔を
たたき割った

割れたけれど
何も無かった

思っていた事は
何だっけ

自分は何を
云いたかったんだっけ

其の意見には
反対をしたい

だけど口から出るのは
賛成だ

自分なんて無いよ
もうとっくに
死んでいるんだ

何故かって?
それは自分が
一番良く知っているだろう

目を開いても 閉じても
開いても 閉じても
開いて閉じて開いて
閉じて開いて閉じて
開いて開いて開いて
閉じて閉じて閉じて

774:アビス◆wc:2019/06/11(火) 23:10

(2)
起きて鏡を見たら
自分の顔があった

鏡に映る自分の顔が
無性に腹立だしくなって
素手で鏡を割った

鏡の破片が手に刺さる
砕けて飛び散る床に落ちる

流血する手で
絵を描いた

床に広げた
大きな画用紙に
自分の絵を描いた

ラリッてる目の
狂った笑いを浮かべた
グチャグチャの赤い自分

ああ ひどいこった
でもこれが今の…
本当の自分なんだろうな

775:アビス◆wc:2019/06/17(月) 22:52

(3)
もう笑えてきちゃうよ
たった一人でさぁ

出血多量でやべぇが
そんな事はもう知らん

だって楽しいんだよ
こんなにも

痛みは
ぶっとんだワ

むしろ気持ちが
良いのですよ

これはきっと脳内でエンドルフィンや
ドーパミンが生成されている状態で
つまりはハイと云うことで…

小難しい事は
どうでもいいや

兎に角は
今が楽しい

私は生きてる 私は生きてる
私は楽しい 私は楽しい
出血多量し乍転げ回って
床一面に自分の血を
ぶちまけて誰に見せる
訳でも無い自画像を
なんともみにくいんだろう!と
自分の事を侮辱して笑っている

776:かずま:2019/06/19(水) 19:53

闘え大人
傷を受け
悩み
茨の道へと歩む
誰かのために
その時
あなたの心が光だす
英雄の象徴が
苦しみ闘う人ほど
美しい
誰かの幸せのために

777:アビス◆wc:2019/06/19(水) 23:37

>>776
おお!格好良いね!

778:アビス◆wc:2019/06/19(水) 23:41

針 針 針
君の 胸の中に 刺さる
嘘吐きの証

私との 約束を
破ったね

だから 飲ませるよ
千本針

口を開けて
この瓶の中に詰まった針を
全て飲め

吐き出すな
飲み込み 苦痛を
とくと味わえ

779:アビス◆wc:2019/06/22(土) 19:25

沈め 沈め 沈め
廃れよ 滅びよ こんな世界

何もしないで助けてと
叫ぶ自称劣等人間の
シュプレッヒコールは聞き飽きた

神はお前等を見放した
だから祈って縋っても
【無駄】なのさ

オーソドキシーな考え方が
正しいとか本気で云っているのか?

そんなんだから
視野が狭くなんだ

平和は幻想
陸・海・空から定期的に
災禍はやって来る

懺悔する罪人を
マイトリーの目で見つめ

微笑をもって
地獄へ落とす

覚悟せよ 王
忠義などはとうに無い

降りかざす 凶刃を
烙印を押されても構わない

この腐敗と耽溺に溢れた
国が破滅へと向かうなら

780:Pくん hoge:2019/06/23(日) 02:15

素敵です

781:アビス◆wc:2019/06/23(日) 20:29

>>780
見てくれて
そして褒めてくれてありがとう!

782:アビス◆wc:2019/06/25(火) 23:15

「ぬのこさん」
布子さん
私のクラスにいる
不思議な女の子

布子さんは
いつも白い布を
頭から被っていて

顔をクラスの誰も
見た事無い

寒い日も暑い日も
布子さんは白い布を
被っている

布子さんは
いつも裸足

雪の積もる地面でも
焼けたアスファルトの上でも

布子さん
体育の授業は必ず
休んでる

日陰のある所で
三角座りで

ある日 クラスの男の子が
布子さんの顔を見たいと云って
下から覗きこんだ

瞬間 男の子は
布子さんの中に
引き摺りこまれて

消えた

布子さんは 私達の方を
振り向いて教室を 出て行った

783:詠み人知らず hoge:2019/06/28(金) 01:20

ひとつきくらい前からここに来てる、アビスさんの、にわかなファンです
私もこういった不思議で、グロテスクで、ナンセンスな世界観が大好きでして
詩人の好みまでばっちり合うので、勝手に運命共同体だと思っておきますね
応援しています

784:アビス◆wc:2019/06/28(金) 08:54

>>783
ありがとう!

にわかでも良いんだよ。
誰だって最初は何かのファンになる時
其処から始まるのだから。

文豪の事に関しては私もまだまだ
にわかだからねぇ。家にある物を仕事の合間に何度も読み返したり、図書館に行って読んだりしているよ。

785:アビス◆wc:2019/06/28(金) 09:04

(1)
暗い…ポタリと
滴が落ちる部屋の中で
私は一人

水槽の中で
干からびた熱帯魚が
泳いでいる

私は失敗作
人間によって作られた
人間じゃない人間

ハサミで切るの
可愛い小鳥さん

さえずる声が
悲鳴に変わる

部屋中に羽が散る
血飛沫と共に

充満していく
鉄の臭いが

それで私は楽しくなって
籠の中から一匹出して

態と逃がして追い掛けて
捕まえてバラバラにする

だから此処には
小鳥の死体が
沢山あるんだ

786:アビス◆wc:2019/06/30(日) 21:29

(2)
眠って起きても
暗い部屋の中

白い皿に置いてある
ザクロを一粒ずつ
丁寧に食べる

それが私の
一日の食事

食べた後は遊ぶの
誰かが買ってくれた

籠に詰められた
新しい小鳥さんと

出して見つめて
握り潰して

手の中で死んだ小鳥を
籠に戻して
他の小鳥に食べさせて

787:アビス◆wc:2019/07/03(水) 02:20

(3)
私に小鳥を
与えた人は

何時の間にか
籠の中で小鳥に
なっている

嬉しくなって取り出して
頭を撫でた

逃げない様に
足を千切った

飛べない様に
羽根を毟った

目玉をスプーンで
ほじくって戻して
またほじくって 戻した

だから遊び相手は
毎日 小鳥と魚

788:アビス◆wc:2019/07/08(月) 20:49

君の頭が
シャボン玉であったら
良かったのに

そしたら指先一つで
弾いてパチンッと消す事が
出来るのに

君の体が
お菓子で出来ていたら
良かったのに

爪と骨はビスケット
目と髪は白と黒の
チョコレートで

皮はモナカ
内臓は真っ赤な
イチゴのタルト

若しそうだったら
君を喜んで食べるよ

白い皿の上に
君を乗せて

銀のナイフで
切り分けて

バラバラの君を
銀のフォークで
突き刺して

口の中へ運んで
噛み砕いて

飲み込んで
溶かしてやりたいな

789:レミング◆yc:2019/07/10(水) 14:16

遠く、終末を告げるサイレンが鳴り響く。

もはやこの町で生き残っているのは
私だけになってしまった。

あの時にした約束も、
あの時遊んだ公園も、
何もかも懐かしくて、愛おしくて。

一瞬のうちに消えてしまうのが
哀しくて、悔しくて。

独りぼっちの不安をあおる様に、
ひぐらしが一層高く鳴いていた。

790:レミング◆yc:2019/07/10(水) 14:21

アビスさんを真似して慣れない詩を書いてみました。
でも、だめですね。こうして見てみると稚拙でつまらない詩です。
文章を書くのは好きなので、修行のためにまた書きに来ます。

791:アビス◆wc:2019/07/10(水) 21:52

>>790
文章を書く事が好きなら、
どんどん書くと良い。
其れが何れだけ
自分にとってつまらない物でも
其れが積み重なって、
自分でも気付かない内に
上手になっていくんだよ。

頑張れ

792:アビス◆wc:2019/07/10(水) 23:54

これ そんな物騒な物
此方に向けなさんな

森の動物達が
怯えているじゃろうに

それ 黒い花に
変えてやろ

それ 銀の花に
変えてやろ

森を荒そうとする
自然を恐れぬ不敬な輩は

強靭な蔓にて
全身を打ってやろう

締め上げて雨を降らせてやろうか?
それとも種を埋めて
苗床にしてやろうか?

怯えておるのか?
なら疾く去るが良い

これ以上ワシの森に
人の骸を増やすで無いわ

793:レミング◆yc:2019/07/11(木) 15:41

>>791
褒め上手ですね。
頑張れ、なんて言われてしまえば頑張るしかないでしょう。

794:レミング◆yc:2019/07/11(木) 16:03

ねぇ、ふと思ったのだけれど

貴方の胸元に付いている
ブローチの宝石は、
口に含んだら冷たそうじゃない?

きっとそうよ

冬の朝のティーカップより、
きらきら輝く初雪より、
舌の根元から凍ってしまうほど
冷たいの

味はどうなのかって?
そうね…

そんなに蒼いのだから、
サイダーの味かしら?

よく磨かれて、
飴にも見えるわね
甘いのかしら?

嗚呼、でも……

……貴方の、
よりによって貴方の胸元に
付いているんですもの、

きっと、
孤独な涙の味がすると思うわ

795:アビス◆wc:2019/07/11(木) 17:58

>>794
其の調子だよ、頑張ってるね。

…褒め上手か。
私は思った事を云った迄なんだ、
そんな立派な事じゃないよ。
でも、そう云ってくれて嬉しいな。

796:アビス◆wc:2019/07/11(木) 18:06

牧羊犬が
羊を追う

右へ回って
ひと吠えして

左へ回って
ひと吠えして

めぇめぇなきながら
羊は追われる
とあるところの夕陽の牧場

小屋へと帰る羊達
外でじと待つ犬いちひき

そこへ牧場主のぼっちゃんが
犬の横へすとんとすわります

それで犬にだきついて
あの羊はおわなくていいの?と
云いました

あれの事と
ぼっちゃんが

指差した先は
空の雲

それはね坊っちゃん
羊雲と云うのですよ

羊と名は付いてますが
雲なので私には
追えないのですよ

さぁ坊っちゃん
風邪をひくと
いけないですから

私と一緒に
お家まで帰りましょうね

797:レミング◆yc:2019/07/12(金) 16:18

メガホンと壊れたスピーカー
視界に映るのは
そのふたつだけ

__あれから、
どれ程の時間が過ぎただろうか?

外の世界のことは
何も分からない

けれど、
あの人は僕に

「ここで待っていて」

と、確かにそう言った
だから僕は、この場所で
待っていなければいけない

メガホンは
僕の声を大きくしてくれないし、
スピーカーは
ざらついたノイズ以外を
吐かなくなった

もう、あの人のことも
よく思い出せない
声も、顔も、匂いも

そもそも、
あの人なんていたのか?
それすら思い出せない

記憶はひび割れて、すき間から
夜色の虚無が流れ込んで来る

それでも
虚無を振り払い、
スピーカーのスイッチを入れる
メガホンに向かって叫ぶ

僕は待つ
三つ文明が滅んで
二回支配者が変わって
一つ星が崩れても

あの人を

798:アビス◆wc:2019/07/12(金) 21:25

粉 個 粉 々々 個
周り 皆々様方で 指差して

一 人り 目を を目々を 隠して

障 り 悪の 口と 雑な言
開いて 白い歯 赤い舌 何枚

人り 一 を耳 耳を耳 塞いで

涙 流れて ひび入って
ごしゃごしゃしたまま
成長したよ

僕と云う名の地球と云う名の
海7割地3割の惑星において
人間と云う有機生命体と云う

存 在 は

精神痛覚感度率100パァセント
肉体痛覚感度率100パァセント

目を瞑って脳味噌の事を
思い浮かべれば花畑

アヘンによりモルヒネにより
ヘロインによりコカインにより
大麻により
テトラヒドロカンナビノールにより
覚醒剤によりLSDにより
脱法ドラッグにより煙草により
アルコールにより

生ずる多幸感からは
一度手を出せばもう
逃れる事は出来ない

病的な高笑いから
始まります

そしてそれから
血圧上がり瞳孔開いて
交感神経興奮状態となり
幻視幻聴の強烈な不安に
おそわれて

皮の下に虫が這い回る様な
皮膚寄生虫妄想に苦しめられ

ぶんはひらがなになり
小学校でならうレベルの
計算もできなくなる知的能力の低下…

自分は人間ですかね?

ええ 人間ですとも
【カテゴリー】上では

自分は誰と話しているのでしょう?

さぁ?判りません

と云うよりあなたは誰ですか

当ててごらんなさい

自分ですか?

正解です お見事
拍手を送りましょう

パチパチパチパチ
パチパチパチパチ
パチパチパチパチ
パチパチパチパチ

真顔で拍手はやめてよ

笑顔でしろとは
云われてないので

そりゃそうか

僕は人生何時終わるかな?

もうすぐですよ あと一分

三十秒

0

799:レミング◆yc:2019/07/14(日) 16:21

あの人の声が好きだ

安定した高音で、
赤い狂気に塗れていて

そして時々怪しく唸るように笑っては
高らかに叫び、
命を狩り取る

無邪気な子供のような
邪悪な怪物のような
あの声が

ただしそれは、
私に向けられることはない

なぜなら
私も彼も同じ、
“こちら側”の人間だから

それでも、
共に戦う度に
願わずにいられない

人生最期に聞くのは、
心底楽しそうなあの人の高笑いが良い、と

800:樹音@新一 ◆6Y:2019/07/14(日) 19:56

お久しぶりです!
アビス先輩!

801:アビス◆wc:2019/07/14(日) 20:54

>>800
やあ、久しぶりだね。

802:アビス◆wc:2019/07/14(日) 21:03

料理をしていると
妖怪が出てくる

何時の間にやら
材料が一片無いんだ

自分で食べちゃいないよ
だって今切っているのは
生肉だから

次に使おうと思った
野菜の人参が無い…
一本何処行った?

しょうがないので
そのまま料理を続ける

すると横から
手がのびてきた

これだよ これが
妖怪の正体なんだ

其処で私は
腰に着けてた

ポーチの中に入っている
パンのひとつを

妖怪の口に押し込んだ
これでも食ってろ

すると妖怪は満足したのか
あっちへと行った

と 思ったら
また横から
手がのびてきた

なので今度はお玉で
手をひっぱたいた
手は引っこんだ

暫くするとまた
妖怪はやって来て

お玉で叩かれた
赤腫れた手をのばし

切ってゆでた馬鈴薯を
取ろうとした

なのでフライパンで
脳天を叩いたら

それきり来なく
なったとさ

803:樹音@新一 ◆6Y:2019/07/15(月) 20:47

>>801
覚えててもらえて光栄です!
私もまた、ポエム板復活したんですよ。
またよろしくお願いしますねm(__)mペコリ

804:アビス◆wc:2019/07/15(月) 20:52

>>803
うん、此方こそ宜しくね。

805:樹音@新一 ◆6Y:2019/07/15(月) 21:00

>>804
はい、よろしくお願いしますねm(__)m

806:アビス◆wc:2019/07/15(月) 21:01

シオマネキと云う
カニを知ってるかい?

片方のハサミが
やたらとでかくて

片方のハサミが
やたらと小さい奴さ

つまる所
私はそれだ

片方の力は大きいがね
片方の力はてんで駄目

私と握手したら判るよ
ほら 最初は右手で握手だ

痛いだろ?お前の骨が
ミシミシ云ってるのが聞こえる

このまま続ければ
お前の骨は
確実にひしゃげるな

折る為に握手を
する訳じゃないから
手を放そう

次は左手だ
握っているのかって?
握っているとも これでも

力一杯さ
嘘じゃあないよ

こんなんじゃあ
花を摘む事も
できやしないだって?

はは まぁ確かに
それは云えるわな

でも安心してくれ
豆腐を握り潰す位の
握力はあるさ

807:アビス◆wc:2019/07/16(火) 00:20

皿の上の卵を食べて
フォークでカチャカチャ鳴らす
「まだ足りない」

皿の上のお肉を食べて
フォークでカチャカチャ鳴らす
「まだ足りない」

皿の上のお野菜食べて
フォークでカチャカチャ鳴らす
「まだ足りない」

皿の上のデザトを食べて
フォークでカチャカチャ鳴らす
「まだ足りない」

皿の中のスゥプを飲んで
スプーンでカチャカチャ鳴らす
「まだ足りない」

カップの中のティーを飲んで
スプーンでカチャカチャ鳴らす
「まだ足りない」

がつがつ食べて
ごくごく飲んで

それでも足りない
まだ足りない

808:レミング◆yc:2019/07/16(火) 15:00

「冬は、雪が降った方が暖かいんだ」
と誰かが言っていた

なるほど
確かに、今日は雪も降らないのに
凍えるような寒さだ

冬独特の
突き刺さるような日光が、
屋根に反射して
白く光っている

鈍色の空の色との対比が
美しいと思った

眼下の工場を眺めていた

柵を掴む手が
いうことを聞かなくなって、
ここに来てから
かなり時間が経っていると
気づいた

指先を温めるため
ゆっくりと息を吐けば、
冷気に触れた先から
白く凍ってゆき
頭上へと昇って行った

これじゃあ温まらないと、
両手を乱暴に
外套のポケットに突っ込む

しばらく工場の
がちゃがちゃ忙しない音を
聞いていた

すると、
騒音に混ざって、
聞き覚えのある声が
感覚のなくなった
耳に届いた

もう二度と聞くことは
無いと思っていた
恩人の声が

809:レミング◆yc:2019/07/17(水) 15:13

復讐、ですか?

その人ころしちゃうんですね

なんでですか?

幸せそうだったから?
……よく分かりません

幸せな人が憎いから
ころす?

いえ
そうではなくて……
ころすのは
別にどうでも良いんですけど

幸せそうだったから
ころすんですよね?
それって、必要ですか?

誰かをころすのに、

「この人は幸せそうだ」

とかって考えるのは、
必要なことなんですか?

810:アビス◆wc:2019/07/18(木) 20:47

足りないと云っている
あの人間の腹にはさ

それは大っきな穴が
開いてんだ

だから…

卵を食べても
地に落ちる

肉を食べても
地に落ちる

野菜を食べても
地に落ちる

デザトを食べても
地に落ちる

スゥプを飲んでも
地に落ちる

ティーを飲んでも
地に落ちる

それでいつまで経っても
あの人間は腹いっぱいにならなくて

足りないといっつも
云ってんのさ

811:レミング◆yc:2019/07/19(金) 16:05

君の白い首を
体重をかけて押しつぶす

俺の爪や細い指が
君の首に食い込んでいく

俺が手袋を取ると君はよく、
綺麗な手だと褒めてくれた

その手指は今、
君の命を消そうとしている

あいつの冗談より笑えない

眠らせている訳ではないが
君は特別抵抗することもなく、
大人しくじわじわと
呼吸を諦めている

気管よりも頸動脈を抑えた方が
手っ取り早いことは
知っていた

でも、
徐々に変わる君の表情を
ゆっくり見ていたくて、
気管だけを抑える

俺よりも
小さくて可愛い喉仏を
親指で押してみる

すると痛いのか、
君が少し抵抗する

加虐愛の気はないので
指を離す

しばらく経つと、
短い悲鳴のような
遺言を残して君は動かなくなる

死体愛好の気もないが
君の顔は、
今まで見たどの死体より美しかった

812:アビス◆wc:2019/07/19(金) 17:41

お口に手を当てない子は
何処にいる?

そんな子はお口が
いらないようだから

この私が
そいじゃるか

お目々に手を当てない子は
何処にいる?

そんな子はお目々が
いらないようだから

この私が
くりぬいちゃろか

お耳に手を当てない子は
何処にいる?

そんな子はお耳が
いらないようだから

この私が
引き千切ろうか

お手手を背に隠さん子は
何処にいる?

そんな子はお手手が
いらないようだから

この私が
切り落とそうか

体全部を隠さん子は
何処にいる?

そんな子は全部が
いらないようだから

この私が
袋に詰めてやろ

813:アビス◆wc:2019/07/19(金) 23:09

右の父がでかけた時にゃ
左の赤ちゃん泣き出した

あやす為に左の父が
右の赤ちゃんへすっとび

左の母がそれは
右の赤ちゃんよと止めに行って

右の母が左の母を
ちょいと捕まえて世間話して

左の兄は右の姉と
仲がよい

右の兄は左の姉と
仲が悪い

右の父が帰ってきて
左の赤ちゃんあやしてる

814:レミング◆yc:2019/07/20(土) 05:36

愛する貴方が
狂っていると聞いたから、
私もそうなりたいと思った

けれど、
私は狂気を知らない
そこで私は別の場所に
目をつけた

貴方はもの凄く頭が良い
私は頭が良くない

特に貴方が得意な数学が
出来なかったから、
私は毎日コショウの粒を
数えて過ごした

貴方はとっても紳士的
私はドレスコードに詳しくない

私は色々な本屋でも図書館でも
通い詰めて、
どの国のどんな祭典に
呼ばれても完璧な振る舞いが
出来るようになった

貴方は友達が多い
私は独りぼっち

私は町の目につく人
全員に話しかけることにして、
今や隣の国のトップと
五分で会えるほど人脈が広まった

__そんな時、
地球の裏側にいる友達に聞いた

“彼には婚約者がいるらしい”

815:レミング◆yc:2019/07/20(土) 05:56

その娘は友達が多いの?

いや少ない
でも、
その分余計な顔合わせをしなくて
済むらしい

その娘はドレスコードを
マスターしているの?

いいや
でも、
たどたどしく会話しているのが
健気で可愛いんだと

その娘は数学が出来るの?

これっぽっちも
でも、
何でもかんでも数字任せにする
奴に彼は飽き飽きしていたそうだ

その娘は私より彼を愛しているの?

さあね?
でも、
彼は追われるより追う方が
好みだって言っていたわ

その娘は

貴方は
私じゃなくてその娘を選んだ 

私の全ては無駄だった?

私が何を叫んでも貴方には届かない
届かない

私は死んだ

私は貴方に愛されたかった
私は貴方に愛されなかった
愛されたかった

愛されない私は死んでいる
私は死んでいる

私は間違っていた
何を?
分からない
何も分からない?
私は貴方が分からない!

私は

私はいつの間に狂っていた?

816:レミング◆yc:2019/07/21(日) 16:30

今年一番目の
向日葵が咲いた

一面の黄色と群青
そしてそれらを分かつ
立体的な白

とても鮮やかで
奇麗で
つい手元のライカで写した

でも実物の鮮やかさは
表現出来なかくて

このままの色彩で
残しておけないことが
とても残念だった 

写真を諦めて近くの
向日葵を覗き込んでみる 

自然的でそれでいて
幾何学的な模様が渦巻いて、
目が回りそうだった

姉さんは
「向日葵は太陽に向かって咲く」
と言っていた

確かめるため
顔を上げてみると

全ての向日葵が私を見ていた

817:アビス◆wc:2019/07/22(月) 00:49

ほれ こっちだ
そら 私はここだ

私はそこにはいないよ
間抜けた犬共め

捕まえられるものなら
捕まえてみろ

下で下りてこいと
わんわん云っている

やだね 下りるもんかと
私ゃ舌をだす

ポッケの中から
石をだす

キラキラ光る
赤い石

あの犬共から
くすねてきたんだ

売る為に
とったんじゃあない

からかいたいから
とったのさ

犬共がゴミ箱につまづいて
生ゴミまみれには笑ったね

ほれほれ欲しいか?この石が
なら今から放ってやろう
とってこい!

818:アビス◆wc:2019/07/22(月) 21:10

となりの家の主人が
私の家の木を一本伐ったので

私はとなりの家の木を
二本伐ってやった

それに怒った
となりの家の主人が

私の家の木を
三本伐った

そこで私はとなりの家の木を
四本伐ってやったんだ

そしたらとなりの家の主人が
私の家の木を
燃やして炭にしちゃった

だから私は
となりの家のまんまえに

今まで伐った木を
置いて火を点けたんだ

819:アビス◆wc:2019/07/23(火) 20:44

目の前に男と女の
カップルがいる

とても仲が
むつまじそうだ

其れ故に私は
不幸だ

ひどい喧嘩をして
お互いを憎んだまま

別れてくれないだろうかと
密かに願う

そして叶ったならば
私は幸福であれる

820:レミング◆yc:2019/07/24(水) 06:00

夜が明ける前、
空気は冷たい
町はまだ眠っている

朝日の帳が
降りるのも待たず、
私は教会へ向かう

建て付けの悪いドアを
震える手で開き
ワイン色の絨毯へと
足を踏み入れた

銀鍍金の剥がれかかった
ロザリオを握り締め、
神の御前へ跪く

太陽は出ていないのに
ステンドグラスは
厳かに断罪の光を見せつける

その青紫の煌めきが
目に突き刺さって
苦しくなって
瞳を閉じた

突然、左手の甲に鋭い痛みが走る

私はそれが
幻覚だと分かっていた

それでも
骨まで砕けそうな痛みに
耐えられず、

呻きながら
肩から崩れ落ちた

__その一挙一動も全て、
毎夜同じことの繰り返しで

何も変われていなくて

自嘲の笑みを零しては
滝のような汗を拭って
女神像を睨む

左手の痛みと伴って
あの日の苦い記憶も
鮮烈に蘇る

何十年と教会に通っても
忘れることさえ出来なかった

それでも私は、
神に祈る以外に何も出来ない
死ぬことすら許されない

私は永遠に
許されることは無い

「……分かっているさ」

821:アビス◆wc:2019/07/24(水) 21:23

私は他人の不幸が
幸福だ

他人の幸福が
私の不幸だ

幸福の感じ方は
人其々だ

私はたまたま
他人の不幸が
幸福であっただけだ

指を指されて
非難される筋合いは無い

幸福で笑う顔が嫌いだ
剥ぎ取りたくなる
切れ味の悪い短刀で

不幸で泣き顔に変わったら
其の侭放置したい
眺めて茶でも飲み乍

822:レミング◆yc:2019/07/28(日) 03:33

夕方
ラジオ放送を
聞いていると、

近くの町で
殺人事件があった

と女のキャスターの
声が告げた

途切れ途切れの
そのニュースを聞いた私は
憎々し気に舌打ちをした

「人一人死んだところで
……何が変わるっていうの」

誰に問うた訳でもなかったが、
貴方は少し考える素振りをして
答えてくれた 

「人一人が死んだということは
この世界に何十億と
ある物語が一つ、
幕を下ろして
終焉を迎えたということだ

赤の他人の俺達には
関係ないが
周りの人間から見れば
隣の舞台が 
見知らぬ誰かに
無理矢理終わらされたことになる

……誰一人観客も居ないままな」

お望みの回答か?と、
付け足すのは、
すぐに茶化す貴方の悪い癖

思ったより気恥ずかしい
回答が返ってきたため、
少しそれに乗ってみる
ことにした

「……私が幕を下ろす時
私の物語が終わる時、
貴方は傍に居てくれるの?」

すると貴方は一瞬
驚いたような顔をして 
直ぐにいつもの表情に戻って

「あんたの人生の幕を
下ろすのは俺だろう?

むしろ、俺以外は居なくて良い」


婀娜に笑んだ

823:レミング◆yc:2019/07/28(日) 03:46

この詩の
婀娜
は、広辞苑(第六版)の

あ-だ【婀娜】
A色っぽくなまめかしいさま。洗練されて粋なさま。

を指すものとします
妖艶と迷ったのですが、
語感が合っていたので
こちらにさせていただきました

824:アビス◆wc:2019/07/29(月) 21:33

マンホールの
フタがある

スズッ…と重たい
音がして少しずつ
フタが開く

開いた先から
出てきたのは手と
長い黒髪

逃げる
何か嫌な
予感がして

追いかけてくる
四つ足で
地面を這う様に

雨が降ってきた
バチャバチャ
バチャチャチャ

計六つの
足音

隙間に
身を隠す

か細い奇声を漏らして
力無く腕を垂らして
あたりを見回している

風で缶が
派手な音を立てて
転がった

此方に来て
隠れている隙間を
覗いている

隙間の路地に
逃げ込む

壁に囲まれていて
行き止まり

視線が消えた
下を見ると
マンホールがあった

フタが開いた
其処から出てきた髪と手が
足を掴んだ

振り払おうと もがく
骨に皮を張っただけの様な
手の癖して

力が強くて
振りほどけない

マンホールの中に
引き摺り込まれる

長い黒髪の奥で
黄色い単眼が
細めいていた

マンホールのフタが閉じた

825:アビス◆wc:2019/07/31(水) 20:13

爆発した 四散した
僕の体は ただの
肉片になった

僕の肉片 集めておくれよ
一つ残らず 集めておくれよ

それで 集めたらさ
ていねいに洗って
土を落として

青いフタのついた
人一人が入るポリバケツに
詰めておくれよ

そしたらさ 僕は
ポリバケツの中で

肉と肉とを
くっつけて 復活を
するからさ

826:レミング◆yc:2019/08/01(木) 04:39

歌唄いよ
この世の
昏きを唄え

道に転がる塵芥を

嫌悪すべき病を

唄え

それはきっと
おまえに付き纏う
ものだから 

歌唄いよ
この世の
哀しみを唄え

用済みとばかりに
道に放り出された女を

不治を背負う子供を

唄え

それはきっと
おまえの近くにある
ものだから

歌唄いよ
この世の
醜きを唄え

女を塵芥のように
捨てた男を

病を指差し
嘲笑う者を

唄え

それはきっと
おまえを厭う
ものだから

歌唄いよ
この世の
愛を唄え

捨てられた女の
肩を抱く男を

嘲笑を振り払い
不治に抗う夫婦を

唄え

それはきっと
おまえに寄り添う
ものだから

歌唄いよ
唄え

昏きを
哀しみを
醜きを
愛を

唄え

かつて私が
そうしたように


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